空想少年要塞都市パッセリフォルムズ:告鳥と悪霧 その④
クミの案内に従って、3人は細い路地を奥へ奥へと進んでいく。
「クミちゃん……君の家、随分と奥まった場所にあるね?」
「んー」
サルペンタリウスの呼びかけに、クミは気の抜けた返事を返した。
「あ、とまって」
クミが不意に声を上げる。
「っとと……何?」
「とおりすぎちゃった」
「そっか。どこまで?」
「1こまえー」
「了解」
そう言ったサルペンタリウスが振り返る。
路地から枝分かれした細い道から、体高4mほどの小型アリエヌスが上半身を乗り出していた。
「……は?」
「はぁぁ⁉ なんでまたアリエヌスがいるんだよ! “天蓋”はどうなってんだ“天蓋”はぁ! ズー坊!」
カズアリウスの指示で、ディクロスが蛇杖を構えて突撃した。アリエヌスが完全に身体を出す前に蛇杖の『胴体』部分を巻き付け、その脳天に毒牙を突き刺す。
「食らいやがれ!」
アリエヌスの身体に直接腐食液が注ぎ込まれ、内部から少しずつ崩壊していく。
「ダメ押しだこのヤロー!」
崩れた内部に、蛇杖の口からの火炎放射が放たれる。体内から熱量に晒され、アリエヌスは崩れ落ちた。
「クミちゃん、大丈夫だった?」
「ん。はやくー」
サルペンタリウスの問いかけに頷くと、クミは路地の奥を指差した。