表示件数
2

復讐代行 あとがき

復讐代行を読んでくださった皆さん!
本当にありがとうございます!
当初の予定よりも長くなり、更新の空く期間もあり
と散々な形ではありますが
先程の最終話を持って無事に完結しました!
皆さんいかがだったでしょうか?

今作は初め、「宇宙を駆けるよだか」という作品を見てこんな設定の作品を書いてみたいなぁというところから始まりました。
この作品はクラスでブスといじめられる女子と主人公が入れ替わる物語で、ただパクるのもつまらないので、主人公の方を男にしてみました。
ですが
「いじめ」をテーマにするとついつい色々詰め込みたくなるのが悪い癖ですね笑
登場人物それぞれに考えがあるようにして自分の中にある全てを書こうとも思ったのですが長くなるので避けました。なので実はまだ小橋と橘のお話が少し残ってます
もしかしたら来週辺り書くかもしれません。
最終的に書きたかったこととしては
「いじめ」は人を壊してしまう。
それは時に、優しさすら信じられなくなるほどに
でもその優しさを信じることこそが生きる希望
それをどうか自分の中に確かに持っていて欲しい

ちょっと隠しすぎたかな?
あんまりまっすぐだとクサくなっちゃうから
少し遠回しにしたり、素直な言い方をしなかったり
そんな僕の小説…に限らず詩も
これからも楽しんで頂けたら幸いです

0

理外の理に触れる者:蝶と鴉と猫 肆

「ネコっちゃネコだが…こりゃ異能に操られたネコだな」
黒いボロ布の姿をしていたモノがカラスの姿に戻って言う。
「お前の実家はこの世の裏で活動する異能者とも繋がってるから、さしずめそういうのを雇ってお前に差し向けたんだろう」
カラスは羽繕いをしながら言った。
「…」
黒羽は息絶えたネコに手を伸ばそうとした。
「おっと、ソレには触らない方がいいぜ」
カラスに言われて、黒羽はぴたと手を止める。
「…周りに少なく見積もって十数体、コイツみたいなのがいる」
確実にお前を狙ってるぜ、とカラスは黒羽の肩に飛び移る。
「抜け道も塞がれて、逃げ場もない」
カラスは黒羽の耳元で囁いた。
「じゃあどうしたら…」
「どうしたらって、オレ様がなんとかしてやるよ‼︎」
そう言ってカラスは飛び立つ。
それと共にカラスの姿は大型犬の姿に変わった。
「ニ゛ャー‼︎」
直後に周囲の物陰からネコが飛びかかってくる。
「黒羽!お前は物陰にでも隠れてろ!」
大型犬に怒鳴られて、黒羽はうん、と近くの建物の陰に隠れようとする。
しかしその建物の陰からネコが飛び出してきた。
「ニ゛ャー‼︎」
「⁈」
黒羽は後ずさろうとして足元の小石につまずき、後ろに向かって倒れる。
「しまった!」
大型犬がそう叫ぶ声が聞こえたような気がしたが、黒羽の意識はすぐに遠のいた。

1
1

Trans Far-East Travelogue㉜

おおむね定刻通り、正確には30秒遅れで俺達を乗せた電車は横須賀中央の1番ホームに滑り込む
「懐かしいなぁ…高校の卒業旅行以来か〜」
思わずそう呟くと嫁が「高校の卒業旅行?そう言えば中学時代の卒業旅行は聞いたことあるけど高校時代は聞いたことなかった」と言って上目遣いになってるので歩きながら話すことに
「俺が君に恋しても会えなくて、一時期めちゃくちゃ苦しんだことは話したっけ?」と訊くと「それは聞いたよ。確か、あまりにも辛くて傷心旅行であの鉄道旅行ったんでしょ?」と返ってきたので「そうだよ。でも、話はあの旅の前に遡る。俺は元々福岡に行く予定だったんだけど、母さんがどうしても韓国の親戚に会いたがってて、それで韓国に行ったんだ。その時、韓国の南海岸に行くことになったから、釜山の港から福岡まで俺だけ船で行く予定を考えたんだけど、宿が取れなくて、高速バスも取れないし、なんなら新幹線はグリーン車しか空いてない、飛行機もダメで帰京できなくて諦めたんだ…それで、仕方ないから中学時代のメンバーで当時の場所を巡るというのを一気に前倒しして、2月のうちに、河津桜と菜の花が咲き誇る綺麗なうちに行くことを提案した。でも、メンバーの1人が勝手に先輩たちに呼びかけて3月に延ばすわ、他の1人は俺が韓国に飛ぶその日しか予定が空いてないって言われてヤケクソになって自分だけ行ったんだ」と言うと嫁は黙って聴いてる
続けて、「その時も今と同じ『みさきまぐろきっぷ』で横須賀中央で途中下車して三笠に行った。
そこのモールス信号打電体験ブースが空いてたから、長文だけど『キュウシュウノ,フクオカニイルアノコニアイタイ。ソシテ、アノコニアエタラ、イマデモダイスキダ。オレハキミノシアワセヲイノッテイルガ、モシコンナオレデモスキデイテクレルノナラ、カノジョニナッテクダサイ。ソノトキマデマッテマストツタエタイ。ハヤク、キミニアイタイ』と打ったんだ。そしたら、自分でも知らないうちに大好きな君と結ばれて、君は俺の彼女になるどころか今じゃ大好きな奥さんになってるんだ。全く、運命ってのは何があるか分からないな」と言って笑うと嫁が「伝えたいことはあるけど、直接じゃ恥ずかしいからモールス使うね」と囁くので何を言われるのかドキドキしながら記念艦に入ると嫁がモールスを早速打っている
その姿は陽の光を浴びる海面に反射して輝いている

1
1

あいうえお作文で曲を作る

これは過去に出した「あいうえお作文でポエムを作る」の進化系です。

明日もきっと笑顔になれる
いつか僕らは幸せになれる
俯いていては何も始まらない
エンドロールを作るのは自分自身
終わりのない映画を始めよう

「頑張らなくてもいいんだよ」
君が僕にくれた言葉
苦しくたって 辛くたって
元気になれる一言だ
こんな僕を気にかけてくれる君に
「さよなら」なんて伝えたくないよ
正直な思いを君に告げた
「ずっとそばにいて欲しい」
「絶対大切にするよ」と

それぞれの道を歩む
例え話の無い世界
力の限り僕は叫んだ
「続きを君と作っていきたい」
手と手を取り合って僕ら
遠き未来の彼方へ
何度も彷徨ったっていい
ニコニコ笑っていられるなら

塗り絵のような空想の世界
「ねえ、どんな気持ち?」君はそう言った
のんびりした声で僕はこう言った
「馬鹿げたような世界だけれど
まるで昔君と見た世界に似てる」
皆が皆して「おかしな世界だ」と
「無謀な世界だ」と口々に言った
めいいっぱいの愛を君のために
もっとたくさんの旅を君と共に

約束の場所へと走り出してく
ゆっくりでもいいから進んでいたいんだ
呼ばれたって僕はもう止まりはしない
楽な感情は全部どこかに捨てて
リュックに詰めた思い出を頼りにして
ルートを決めてただひたすら歩く
零から始めたい君との世界
ローペースだっていい
笑っていられるなら
Wow… いつまでも…
nn…

明日もきっと笑顔になれる
いつか僕らは幸せになれる
俯いていては何も始まらない
エンドロールを作るのは自分自身
終わりのない映画を始めよう
Yeah.

0

Trans Far-East Travelogue㉛

「下を見ると古い建物が多いね」という嫁の呟きに「京浜急行は神奈川まで、五街道の一つである旧東海道に沿ってるからね。そりゃ古い建物の一つや二つくらいはあるだろうよ」と返すと「神奈川って県じゃないの?」と訊いてきたので「幕末期の開港の話、覚えてる?」と訊き返すと「元々神奈川開港だったけど横浜になったんでしょ?」と返ってきた
「そこがミソなんだよ。神奈川は日本の大動脈、東海道の宿場町だから人が多くて京から江戸に向かう攘夷派や江戸から京に向かう攘夷派の人が多かった。そんな中に外国人居留地を設けたら紛争が起きてで国際問題になりかねない。だから、少し離れた田舎の横浜村を整備して開港場にしたのさ。でも、そんな事情を知らない他国は『神奈川開港の約束なのに横浜開港は話が違うだろ』と主張して怒った」と説明すると、「日本側は『横浜も神奈川の一部』って主張したよね?」と嫁が言うので補足して「その通りさ。でも、独立している村の名前をそれぞれ挙げて一方は開港場で、もう一方はその一部と呼ぶのは無理があったから、廃藩置県の時に神奈川県を作って『横浜は神奈川県の一部、つまり神奈川の一部だろ?』と主張して認めさせたという経緯があるのさ。そうした背景のもとで神奈川県に横浜市があるんだけど、後に鉄道を敷設した時に東海道線は神奈川の宿場の近くを通過するが駅がないから止まらないのに、駅がある横浜は貿易で栄えたものだから発展した横浜市が勢力を失った元々の神奈川を吸収合併した。そして、その名残は東神奈川とか京急の神奈川駅くらいにしか残ってないんだよ」と言うと嫁は納得したようで、「幕末の話って、私達の原点だね」と言って笑ってるので「その当時の名残を残す地域を走る鉄道で俺の原点とも、青春の集大成とも言える場所の1つに行くからね」と言って俺も笑う間に蒲田のホームに滑り込んだ
かつては帝都と呼ばれ、現在も愛する故郷、東京を防衛する為に置かれた海軍や海上自衛隊の施設の拠点であり、俺が10代になってからは俺には歴史を通じて様々な知識や教訓を与えてくれた大切な街、横須賀にはあと1時間程で着くだろう

1

Trans Far-East Travelogue㉚

午前8時5分、予定通り品川に到着した
腕時計を見て「あと5分か…切符急いで買えば間に合うな」と呟くと「任せといて」と言って嫁が京急線改札口へ先に向かうのを見て少し呆れながらも遅れてついて行くと「ご所望の切符、私の奢りね」と言ってお目当ての切符を買っていてくれた
「2100か…先頭はキツイかなぁ」と呟くと「2100形ってどうして分かるの?」と嫁が訊くので「アナウンスで2つドアの当駅始発って言ってるだろ?京急って地下鉄やその先の京成にも乗り入れているけど、2100形は車両が直通に対応してない関係から、下り電車は隣の泉岳寺か品川始発の2択さ」と説明すると、お目当ての快特京急久里浜行きが入線してきた
「青いけど、アレも2100形なの?」と嫁が訊くので「男の子の夢と希望を詰め込んだ青い車両のブルースカイトレイン、通称ブルスカだね。横の窓の形からして、2100で間違いないよ」と少し興奮気味に返すと「貴方ってやっぱり電車好きなんだね」と言って嫁は笑ってる
「夢みたいだな…大好きな人と結ばれて、思い出と子供の頃からの夢が溢れる大好きな車両に乗ってまた思い出の1ページが上書きされるんだから」と呟き、乗り込むと数少ない運転席後ろのボックス席が2人分、それも右側だけが空いてるので2人でそこに座るともう興奮して心臓がバクバク鳴って前面展望どころでは無い
ふと我に返ると、もう気付いたらお気に入りの場所、八ツ山橋を過ぎていた
「よく分からない車両いたから撮ってみたよ」と言う嫁が差し出す写真を見て思わず「嘘だろ」と呟く
新幹線側には滅多にお目にかかれない観測車であり、レア車両として有名なドクターイエロー、そしてなんと在来線側には滅多にお目にかかれない上、お召し列車として利用されたことでお馴染みのE-655系の「和(なごみ)」の並走だったのだ思わず、「子供時代の俺が見てたら卒倒しそうだな」と呟くと嫁が「なんで?」と訊いてきた
「まず、こんなに可愛い嫁さんと一緒でしょ?それから、今乗ってるブルスカ含めて子供の頃から憧れてた車両のオールスターだからね。子供の頃には考えられない、夢のようなシチュエーションさ」と笑って返すと「私にとっても夢みたい」と言って嫁もうっとりしてる
もう間も無く、鮫洲を通過するようだ

2
1

Trans Far-East Travelogue㉙

場所によっては鉄道大国である日本の心臓部、関東と言えど電車の本数が少ない関係で、明日の目的地を早く決めないと困るので嫁に訊いたら、「貴方の思い出の場所が良い」と言うので、電車のダイヤと相談して神奈川県方面へ行くことにしたが、時刻表を見て思わず「勘弁してくれよ」と叫んでしまう
ターミナル駅が身近な場所にある俺にとって、鉄道の利便性はどうしても目的地までの速達性とイコールになるので、ダイヤ改正で優等種別が途中駅にもガンガン止まるようになった小田急や東急線、JRは不便極まりないため湘南方面は論外だ
しかし、京急も日中最速達の「グリラピ」こと快特が思いっきり減便されている上に快特のほとんどが途中の久里浜止まりで、しかも久里浜での乗り継ぎも不便になっていて、終点までは特急ばかりであることに頭を抱えていると、路線図を見ていた嫁が「横須賀中央で降りて三笠見て、特急までの時間稼ぎすれば?」と提案してくれた
最悪、横須賀中央から各駅停車に乗る羽目になっても少し先にある堀之内という駅で乗り換えれば、特急で三崎口を目指せることは時刻表も過去の経験も示しているため嫁の提案を承諾し、お得な切符の使用を前提としてプランを練るが、ここで思わぬ障壁が立ちはだかる
特典付きか否かを問わず、切符がどれも以前よりも値上げしているのだから無理もない
思わずため息混じりに「俺の財布も京急か」と呟くと、嫁が「京急電車のメインカラーは赤、ナンバリングのイニシャルはKK…金欠(Kin Ketsu)のKKで赤字…つまり、財布も京急だとお金が無いってこと?」と訊くので「バレちゃったか…東京モンは金持ちだと思われてるから見栄張ろうとしてたんだけどなぁ…バレたモンは仕方ないか」と笑って返す
すると、嫁が「マレーから殆ど貴方の奢りだったよね…そりゃ金欠にもなるよ」と言って笑ってるので「君の前ではカッコいい男でいたいからな」と笑って返し、気付いた時には日付も変わってたので起床事故を起こさないようにする為にも消灯する
「ライアンの隣にはつば九郎」と言って嫁がいきなり俺の布団に入って来たのでお互いに抱き合うように寝るとなぜか予想以上にグッスリ眠れて予定通りに起きられた
さぁ行こう、俺の青春の集大成とも言える場所へ!

0

タイムジャック7

「お前が…俺の術のタイミングをズラしたのか…」
智也は歯を食いしばりながら言う。
「察しがいいな、一瞬お前の時を止め、俺のいた位置にこいつがいるタイミングで解除した。そうすればお前の術はこいつに当たる」
やっと思い当たるシーンが浮かんだ。
あの時の…あれは俺への時間停止じゃなかったのか…
あれをかわさなければ…
いや、そうすればその時点で捕まっていたか
「言っただろう、ここでは能力が全てだ、能力を使う、かわす、そんなことは猿でもできる。大切なのはどう使わせるかだ、自分の術だけじゃなく、相手も使う。正しく支配者だ」
う…ウザイ…
しかし、言っていることは事実だ。
相手の思うようにやられた…
ここからどうやって…
俺たちは今、2人ではなく1人が2つあったに過ぎない状態…どちらかが利用されるのは必至。
ならどうやって…
今更こいつと仲良しこよしとかごめんだし…
でもそれじゃ…勝てない…
変わらなきゃ…いけない…
「なぁ智也、お前もう隠してることないよな…」
「さっきので最初で最後だよ、言ったろ、守を貶めるつもりはなかったって」
相手から目を離さないため、智也の顔は確認出来ないが嘘をついていないのは十分伝わった。
「オーケイ…ならこっからは息合わせていくぞ…」
「OKっていうか、元々そのつもりだったけどね」
心なしか、さっきよりも会話のテンポがあってるように感じた。
「作戦会議は終わったか?」
「あぁ、こっからは第2ラウンドだ」
「かかってこい…」
相手は左手でこちらを誘っている。
「いくぞ!」「うん!」

1
1

音が繋ぐ

「おはよう」
振り返ると君がいる。
おはよ、と返しつつスマホの画面を君に向ける。
「俺の好きなバンドじゃん!知ってるの?」
当たり前でしょ、すすめてきたのは君なんだから。
知ってるよ、と何もなかったように話すけど
つまりは、あの日の会話は忘れられている訳で。
少しだけ、ほんの少しだけ、寂しくなる。
「あぁ!ツアー情報出たんだよね!!!」
分かりやすく高揚する君を愛しく思う。
愛しい、なんて言うと好きな人みたいだけど
いやいや、彼のことは好きだけど、
なんか、そういうのじゃないんだよなあ。
「え、え、いつがいい?」
唐突な君の言葉にえっ、と言葉に詰まる。
一緒に行くの?と可愛げのない返しをする。
「え、行こうよ!」
君のそのありすぎる行動力が苦手という人もいると思うし、正直始めは僕もドン引きだったんだけど。
その行動力に、あの時の僕は救われたから。
溢れるワクワクを抑えるように
チケット、当たるといいけど
って口を尖らせてみた。
「神社通うわ!毎日!!!」
わけのわからない返しをしてきた君と
大好きなバンドのライブへ行って
それがきっかけで音楽にのめり込んで
僕ら2人がギターを持って、ステージに立つのは
もう少し先のお話。