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思い出した。今日は僕の誕生日だ。

だったら良い日にしなきゃ、と思う。でも無理に何もしなくても、きらきらの水たまりをのせたマンションの屋上に、朝の風。見渡す僕の街は まぶしくてまぶしくて、今日はもう良い日に違いなかった。

自分のために花でも買ってしまおうか。少し散財して欲しかったものを僕宛てに贈るなんてどうだろう。
でもやっぱり、誰かからのおめでとうが欲しいや。
そういえば、夢の国は誕生日に行くとみんなからおめでとうを言ってもらえる場所だという話を聞いたことがある。早速僕は新幹線と電車にのって、夢の国に向かった。

噂どおり、夢の国はみんながみんな夢の国にいることを楽しんでいる夢の国だった。現実を忘れることに、ちょっと必死なくらいに。
たくさんの人で溢れるパーク内を愉快な音楽と風船と夢が飛び交う。
とっても素敵なのに、不思議なことがひとつ。誰もおめでとうを言ってくれないのだ。

ふと隣でアトラクションの列に並んでいる少年を見ると、なにやら特別な名札をつけていた。名札はHAPPY BIRTHDAYの文字と、お馴染みのキャラクターたちで縁取られている。なるほど、あれがないと祝ってもらえないのか。

どこで名札をもらえるのか聞こうとしたとき、少年の手から、するりと風船が旅立つ。

あ。手をのばして、掴んだ!と思ったのに。風船の紐は僕の手をすり抜ける。追いかけていく少年も、僕の身体をすり抜けた。あれれ。

思い出した。僕は死んだんだった。

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プロジェクト・ゼロ 下

「さて、仕上げといこうか。これで俺達は冥界の楽園には行けねぇな...最後の海で氷付けか、悪夢の空でさ迷うか...」
「ここまで来たんです、覚悟はできてます」
一人がベルトと試験管を持ってきた。
...あれだ!
先に試験管を注入し、経過を見る
おぉ...力がみなぎってくる...
「こんなもんでいいか...おい、エボルドライバーに入れろ」
エボルドライバーと呼ばれるベルトに「それ」が落ちる
刹那、強烈な光と共に「それ」が人の形になっていく
「な...なにが...」
「こいつは驚いた...」
次の瞬間、二人の意識はどこかへ落ちていった...


ロック!ロック!エボルロック!
フッハッハッハ!

電子音と共に形の形成が完了する
「まだ不安定か...」
コアを取り戻し、全てを取り戻した「それ」がそこにあった紙束に視線を落とす。
Iris...イリスか...それが私の名前...
そこにはこう記してあった

完全寄生生命体Iris
ネフェリムの血と下級天使の肉体3体を結合
5日後、被験体の安定化を確認

そして一番下に手書きのラテン語で

Lets dare virtutis est domina. Ut ex me.
(貴女に力を与えましょう。私のもとへ)

イリスは研究員一人の肉体を奪い、命令に従ってネフェリムのいる場所を目指した...





その日、全ての次元を脅かす悪魔が誕生した
そして同時に、創造主の分身...ノアの手によって神への反逆者...ネフェリムが力を削がれて地上へと封印された