コーヒーブレイク⑱
空気を察した妻は入口付近で立ち止まる
僕はすぐにマスターを見つけた。
「マスター...少し遅かったみたいだね。」
「義父さん最後の客の貴方に品を出せて良かったって言ってたのよ。」
僕は驚き振り向くとそこにたまたま墓参りに来たマスターの息子夫婦が居た。
こ慣れた手つきで墓の花を変えながら
「俺の仕事は終わった。ってそう言ってたわ。」
と僕に話してくれた。
「...そっか。ならマスターに伝えてくれないか」
僕は息子夫婦に問いかける
「美味かったよ。ご馳走さん...と」
「分かったわ。きっと伝えるわ」
僕の無理な願いを聴いてくれた息子夫婦を置いて僕達は帰ることにした。
それから僕は毎月の月命日に自分で珈琲を3杯つくることにした。
僕の分と妻の分と...
「美味しかった。ごっそうさん。」