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2

アナーキー・イン・ザ・クラスルーム

狂ったように騒ぐ街と、抜け出した後に感じる孤独
孤独を抜け出す勇気を棄ててあまんじて受け入れる
まぜこぜた陰鬱なアパートの、ある一室のドアを開ければ、
そこは僕だけの国、ビザのないやつは入れない


変わってくのは僕ら人間で
地球さんは何も変わらない
唯一変わるといえば僕達が汚してくだけ

空回るよグルグルグルグル回る
歪が過ぎた世界の円周は
3,いくつじゃ 正直測れねぇ
空回るよグルグルグルグル


権利でありほぼ義務で登校、夢で何度も殺たあの顔
今日も「ノリ」という名のマジョリティー、そして今日も先生が泣いてる
出来ることなら馬乗りになって、首絞めながらあいつに言いたい
「ねぇ今日も馬鹿デカい声でさ、あのクソみたいな『ノリ』をやってよ」


今は黙って見ているけど
後少しネジが回っちゃったら
狂った僕が君を絞め殺してしまうんだろう

空回るよグルグルグルグル回る
歪が過ぎた世界の円周は
3,いくつじゃ 正直測れねぇ
空回るよグルグルグルグル


止まらない涙の連鎖を
誰も止めることすらしたがらず
「正解」という名の群衆たち
蹴散らす救世主すら出てこない

空回るよグルグルグルグル回る
歪が過ぎた世界の円周は
3,いくつじゃ 正直測れねぇ
空回るよグルグルグルグル

空回るよグルグルグルグル回る
歪が過ぎた世界の円周は
3,いくつじゃ 正直測れねぇ
空回るよグルグルグルグル

アナーキー・イン・ザ・クラスルーム
僕がもっとぶっ壊してやるよ
アナーキー・イン・ザ・クラスルーム
僕がもっと犯しくしてやるよ

6

ω

加速する日常に嫌気が差す若かりし日
虚無へ向かう旅路は複雑怪奇で
分岐点で間違い後戻りもできずに
急ぎ足で雑踏の中を歩いた
影に隠れた惨めさはどこからともなく現れ
あらゆる行動についての抑止力として
苦悩、絶望、諦観と嗚咽の種となる

自発的な交流をする程の自信は持てずに
目を瞑った事実が幾つかあった
それはきっと青春と形容される日々にて
犯した失敗が恐怖に結び付いたから
人のせいにしていたら成長はできないな
でも全部自分が背負い込むのも違うな
昔同じ眼をしたあの子が言った通りだ

僕の歌口ずさんでる君の幻影を見たんだ
泥濘に堕ちてこその人生
できなかった事 見つけきれなかった物
無垢な君の笑顔を守れなかった記憶が
僕を縛っていた呪いもいよいよ消えた
それでも肯定には程遠い
僕は僕のままで良かったか

煙臭いあの部屋 咄嗟についた嘘
一人また一人と離れていった
好き嫌いの境目が徐に消えていき
それがいつの日にかつまらなく思えて
自分とは何者か
曖昧な命題に妥協する人間を横目に生きた
そんな頑固さが吉と出たか凶と出たかは分からない

僕の歌口ずさんでる君の幻影を見たんだ
泥濘に堕ちてこその人生
当たって砕けた事 諦めて逃げた事
あの日立てた誓いを殺してしまった記憶が
僕を縛っていた呪いもいよいよ消えた
それでも肯定とは程遠い
僕は僕のままで良かったか

息を切らして雨の中駆け抜けた日々が
主観的には不規則に進む時間が
とちりながらも必死に紡いだ言葉が
分かり合えないと知りながら愛した心が
昨日までの生の集積が形作る
歪なんて言うのも憚られるそれは
自然な完璧が失敗を含むように
僕を否定した僕が織り込まれている

僕の歌口ずさんでる君の幻影を見たんだ
泥濘に堕ちてこその人生
いつか振り返ったときそう思えればいいが
無垢な君の笑顔を守れなかった記憶が
僕を縛っていた呪いもいよいよ消えた
それでも肯定とは程遠い
僕は僕のままで良かったか

2

ψ

具現化された悪意に触れる度僕は思うんだ
人間は自分が思う程高尚じゃないと
終末論は嫌いだよ でもこんな世界も愛せないよ
無垢な優しさが
足枷となるような場面を幾つも見た
僕は歌を歌ってた 誰かに届ける為じゃなく
いずれ何者かになってしまう
自分への供養としての歌
それは確かに深淵に突き落とされたあの日の僕を
もう一度手にしてみる動機として
美しく機能していた
それを笑うような奴にはいつかその報いが訪れる
そんなありきたりな道徳は
もう僕には必要ないんだ
喪失が流させた涙も 未だ風化しないトラウマも
全部糧にしてみせるから 全部歌にしてみせるから

世界が変わるのを待ってる 窓から外を眺めている
少年だった僕に告ぐ 武器を取り戦うべきは今
肯定される事は無いが美しいと形容される
人間の足掻くその様は数少ない愛せるものだ

洗い流す機会も無く誰もが多少の罪を背負う
それを糾弾する資格を
誰も持ってないのは自明だが
身の程知らずは何処からか
掃いて捨てる程に湧いて
心無い言葉はまるで頭上を飛ぶ弾道ミサイル
アルコールで安い眠りに誘われた弱い精神は
希望を未だ持っている 手放す事なく持っている
誓いを立てたあの場所は
コンビニへと様変わりして
虚しい気持ちになったからギターを握って抗った
投げつけられた物も多く 手では拭えない物も多く
大衆に異分子と見做されるような事も沢山あった
それでもまだ立ち上がるのは
それでもまだ戦えるのは
この苦しみと生きる意味が
無関係じゃないと思うから

その確信は楔である 僕を貫く楔である
少年だった僕に告ぐ 足元にひっそりあった影
色も形も多種多様な苦悩が集まる海辺にて
眺める落日は懐かしく数少ない愛せるものだ

流動的な価値観を意識せざるを得なくなって
それを後戻りの言い訳にしそうな自分を叱咤して
理解されないような機微や報われない擦れ違いは
ここで荼毘に付すとするよ この歌を墓標にするよ

どうにもならない日々の事 殴るに殴れない敵の事
研ぎ澄まされた眼光は痛みに隠れる一縷の望み
できない事はやらないけど使える物は全部使う
そうして辿り着いた自分は数少ない愛せるものだ

0

χ

ワイドショーを賑わす連続強盗殺人事件
月光が照らすは何の変哲も無い一軒家
夫婦仲は悪く夫は今別居中だ
家庭を顧みなかった彼には当然の報いか
妻の体には至る所に刺し傷があって
幼い息子が一人取り残されて
犯人の映像は監視カメラにあって
推定するに二十代後半 未だ逃走中で

こんな夜は探せばそれなりにある
だからどうした? 吹く風はいつも冷たい

誰からも愛された事の無い人は屈折して
心の大きな穴を何かで埋め合わせたくて
それを合法的にするのは思うより難しくて
誰が悪いとか誰かに勝手に決められたくなくて

涙で見上げた月が滲んだ
涙で見上げた月が滲んだ

暴力とは物理的なものだけでは無くて
むしろ鋭い言葉の方が彼を傷つけて
母親に捨てられたのだと彼は思い込んで
部屋には多数の酒瓶 臭いが充満して
彼は人前で笑顔など見せた事は無くて
心配してくれる人も少なからずいたが
そんな懇意は沈黙により尽く打ち払われて
いつしか彼の胸には狂気が潜んでいて

こんな夜は探せばそれなりにある
だからどうしても吹く風は冷たくなる

理由があれば何でも許される訳じゃないけど
衝動が形成される過程は確かにあって
その引き金は往々にして外からの刺激で
結局性格は生まれた場所で決められて

涙で見上げた月が滲んだ
涙で見上げた月が滲んだ

数日後犯人が呆気なく捕まると
誰も彼もがこの事件に興味を失くして
娘を失った遺族は人知れず泣いた
事件解決を喜ぶ世間に隠れて泣いた
母を失った少年が理解するのは数年後の話
憎しみが連鎖するのは至極当然な理
忘れてしまいそうになるが人間も動物
頭の中で思っている通りには行動できない動物

こんな夜は探せばそれなりにある
だからといって吹く風を冷たくしないでよ

怒りの対象が常に形あるものとは限らず
社会構造に殴られる事だってある
綺麗事なんかさらさら言う気は無いけれど
こんな夜はさっさと明けてほしいんだよ

涙で見上げた月が滲んだ
涙で見上げた月が滲んだ

3

υ

心、擦り減ったお前を彼女は優しく撫でてくれた
やるせないどんな不条理も
あのとき確かに昇華された

心、酔っ払いの怒号にそんなに怯える事はないよ
虫の群がる街灯に有象無象は溶け込むから

足元を見て歩いていたら
誰とも目を合わさずに済むけど
愛しい彼女の澄んだ瞳はお前一人では持ち得ない物

こんな僕の苦いだけの記憶も
切り分けてよと笑ってくれた
だから僕は傷跡をなぞる
その白い腕を走る細い線を

心、僕はたまにお前が分からなくなる事がある
何の解決にもならないと知ってて
数々に当たり散らす

心、今日はもう眠ろうか 明日の事は明日考えよう
彼女の目にできてた隈は幸福からは程遠い

澱んだ空気に吐きそうになる
混濁させるのは容易いけれど
鋭く尖ったままでいてと頼まれたあの日の残像

こんな僕の苦いだけの記憶も
切り分けてよと笑ってくれた
だから僕は傷跡をなぞる
その白い腕を走る細い線を
指と指絡み合えば刹那生き辛さも消えた
そんな気がしたんだ
だから僕は足跡をなぞる
いつか迷わず走ったあの線を

心、僕は決してお前を零したりしない ここに誓うよ
彼女が僕の中にお前を見つけてくれたのが
嬉しかったんだ

こんな僕の苦いだけの記憶も
切り分けてよと笑ってくれた
だから僕は傷跡をなぞる
その白い腕を走る細い線を
指と指絡み合えば刹那生き辛さも消えた
そんな気がしたんだ
だから僕は足跡をなぞる
いつか迷わず走ったあの線を

2

σ

咄嗟に嘘をついたら
その後生きづらくなってしまったこと
暗い話はしたくないから
テレビで聞いた話をしていたこと
本当の僕は君が思うよりも汚くて
君に好かれるようなところが何一つ無かったこと

覚えてる

君が何か伝えるときに
僕の目を真っ直ぐ見てくれたこと
君と手を繋いだときに
命の温もりを肌で感じたこと
別れ際になって初めて君が怒ったとき
何考えているのか分からないと叫んだこと

覚えてる

確固たる夢など持たず彷徨う
煙草の煙の行方を目で追う
自分の不甲斐なさに半ば呆れながらも
自分を奮い立たせる今日
何にもできなくてごめんなさい
生まれてきてから今まで間違いだらけの人生だった

僕は君のことそんなに
好きじゃなかったのかもしれないな
君に求められてるのが
ただ嬉しかっただけなのかもな
あの頃の僕の埋め合わせ
ポケットには幾らかの小銭だけで
真面目に働かないとな、なんて思った

転んだ拍子に
砂が口の中に入って気持ち悪かったこと
人の顔色を伺って無難な選択ばかりしていたこと
死んだと思ってた親父が実は生きていたこと
母親の腕の痣を誰がつけたのか分かったこと

覚えてる

考えてもどうしようもないことを考えて怖くなる
もしも君がいたら
一人じゃないよ、とか言ってくれたかな
そんな都合のいいことを夢想する
やっぱり僕は汚いな 昔の最低なままだ
失望されるのも慣れたよ

好きだった漫画の最終回 大団円で嫌いになった
世界は綺麗好きなんだと
そのとき思い知らされたんだ
お前には居場所がないって言われた気がしたんだ
口の中に苦い味が広がったような記憶

覚えてる

僕は同じ場所でもがいてる 君は随分遠くにいる
こちらを振り返らずに 僕には一瞥もくれずに
走り去っていく君がとても綺麗だった
その残り香は君のいない世界にも
まだ残っている気がした

4

ρ

味方なんて一人もいない
匿名希望の罵詈雑言
どうせ君も人間だ 得てして屑に違いない
幸せだと思い込んだら幸せになれるようなもんさ
そう思っていたあの日々は確かに幸せだったんだ

確かに幸せだったんだ

掴み所のない虚無に 行くあてなど知らない憤怒に
こんなに荷物が増えるとは
予想していなかったけれど
誰も信じられないんだ その言葉だけ信じていよう
君が僕の敵だったときに落胆せずに済むように

覚悟を決めて立ち上がれ
陳腐な叱咤と激励
大衆は自分勝手
分かったよ 好きにやらせてくれ

あの日陰で誰か泣いていた
それはもしかすると僕だった
よくある別段何ともないような話
奥歯を食いしばり歩いてた

ふざけんな こんなどん底で
終わりなんかにしてたまるかよ
唾吐き石ころ蹴飛ばし帰る寒空
充血した目で見据える未来

大人はいつも小賢しい 徒党を組めば尚一層
それらはいつも壁となり 決まって僕の邪魔をする
どんなに惑わされようと 自分だけは信じていよう
自分で決めた道を行くときに振り返らないように

絶対死ぬなって言われて
僕は何て答えたっけ
右手の拳力込めて
大きく息吐く 外は雨

あの日陰で誰か泣いていた
それはもしかすると僕だった
よくある別段何ともないような話
奥歯を食いしばり歩いてた

ふざけんな こっから正念場
ハンデはこれくらいで結構だ
唾吐き石ころ蹴飛ばし帰る寒空
充血した目で見据える未来

死に物狂いで生きなきゃ駄目なんだ
じゃなきゃ死んでるのと何も変わらないんだ

あの日陰で誰か泣いていた
それはもしかすると僕だった
よくある別段何ともないような話
奥歯を食いしばり歩いてた

ふざけんな こんなどん底で
終わりなんかにしてたまるかよ
唾吐き石ころ蹴飛ばし帰る寒空
充血した目で見据える未来

2

ο

そんな暗い顔せんといて
ウチまで悲しくなるから
ここまでよく頑張ったね
ってたくさん褒めてあげるから
今日はゆっくり二人でテレビでも見ようよ
スタッフの笑い声が響く深夜のバラエティ

努力してもできないことはできないまんまさ
一生懸命やったんだから君は悪くないよ
もう少しお金貯めたら広い家に移って結婚しよう
プロポーズはこの前君が酔ったときしたでしょ

大人になったら少しは成長できてるのかな
小学生のときの夢見がちな部分は同じだけど
これから大変なこともいっぱいあると思うんだ
でも二人ならなんとかなるよ
ねえ、そういうことにしとこうよ

ウチがすぐ寝ちゃった日に
ウチの手首の傷見たでしょ
君は笑ったりせずにそっと傷を撫でてくれた
それだけで泣きそうになった 最近ホント涙脆くて
君と同じ時間を過ごせて
ウチは幸せ者だな

大人になっても全然変わらないところが
ちょっとはあればいいなって考えてた
どうだったっけ? これで良かったんだっけ?
これから大変なこともいっぱいあると思うんだ
でも二人ならなんとかなるよ
ねえ、そういうことにしとこうよ

いつか小さい猫を飼って
二人でその子を溺愛しよう
ウチと君との間に子供ができたら
その子もめちゃくちゃ愛そう
ほらね、未来は素晴らしいでしょ
だからそんな顔しないでよ
君が沈んだときにはウチがその分明るくなるから

いくつになっても二人は
もう二人のままでいいよ
それだけで満足だから
その言葉に嘘はないから
君がどれだけ落ち込んでも
ウチが励ましてあげるから
埼玉出身だけど関西弁で励ましたるから

そんな暗い顔せんといて
ウチまで悲しくなるから
でも伏し目がちで無口な
君もまあまあ格好いいよ

0

ξ

左手首の切り傷を隠そうと背中を丸めて歩く
あいつがとても羨ましい
その孤独の色は同じらしい

昔のことを思い出すと途端に息ができなくなる

水溜まりに落とした運命を
指の隙間から零した奇跡を
自分の論理で繫ぎ止める
多分上手くできてはいないけど

風景 現世 滑稽 酩酊
何をするにも気力が足りねえ
仮定 未定 露呈 余生
剥き出しの心で何を願おう
ねえ、どうしよう

些細なこと 誰かに打ち明けるのも憚られるような
だからずっと胸の内で飼い慣らしてたこんな感情

我慢は体に悪いよ その台詞だけ覚えてる

あの人に比べれば幸せと言える幸せに
どれ程の価値があるのかなんて分からない
僕が掴みたいのはそれじゃない

風景 現世 滑稽 酩酊
何をするにも気力が足りねえ
仮定 未定 露呈 余生
剥き出しの心で何を願おう
ねえ、どうしよう

生きたくても生きられない人がいると君は言う
死にたくても死ねない人も同じくらいいるんだよ

窓越しの 涙越しの 背中越しの 電話越しの
窓越しの 涙越しの 背中越しの 電話越しの

死ぬ程抱えた後悔を
ふとしたきっかけで思い出す
自分でもバカだと思ってる
どこで道を間違えたんだろう

風景 現世 滑稽 酩酊
何をするにも気力が足りねえ
仮定 未定 露呈 余生
剥き出しの心で何を願おう
ねえ、どうしよう

もう、どうしよう

0

λ

僕が生きてる意味はどこにあるんだろう
ってどこかにあるとまだ思ってるよ
逆光 香水 水道に顔を近付けるあの子が尊い

僕が生きてる意味はどこにあるんだろう
って生きてる間に見つかると思ってるよ
アスファルトに根を張る黄色い花
涙 惰眠 民主化 過呼吸

午前三時の静寂が不気味
自分以外の人が皆死んだみたいで

慢性的な鬱状態に差し込んだ光としての偶像か
その笑い声で至極理不尽な怒りが鎮まるんだから
まさに魔法だ
自分の醜さを熟知してるからこそ
少し遠いくらいの距離感で
光は今日も僕を照らす
傷から流れるこの血を照らす

僕が生きてる意味はどこにあるんだろう
皆と同じ場所にあるんだろうか
睡眠薬 約十分の喧騒 想起する未来 来春の可能性

目の前に立ちはだかる難題の解決策を
知らないからもう今すぐ逃げ出したい

盲目的な意識の中で思い出すあの子は眩しすぎる
その存在が至極理不尽なこの世界にしがみつく
唯一つの理由
自分の愚かさを熟知してるからこそ
こんな関わり方しかできない
光は今日も僕を照らす
傷から流れるこの血を照らす

僕が生きてる意味はどこにあるんだろう
もしあったとして僕はその意味に
誰かが決めたその意味に
納得できるかな 逆らえるかな

僕が生きてる意味はどこにもねえよ
あったらこんな人間じゃねえよ
あったらこんな人生じゃねえよ
あったらこんな風に探してねえよ

劣等感虚無感を掻き分けて
千鳥足で一応のゴールまで
何の義理があってこんな社会に
貢献することが決められてんだよ
自分の情けなさを熟知してるからこそ
光なしで闇を歩けない
光は今日も僕を照らす
余すところなく僕の汚点を照らす

生きてる意味とか考えると
いつも死にたくなってしまうから
何か別のことを考えよう
例えばあの子のこととか

2

κ

どこが好きかとか訊いて君を困らせてごめんね
でも全部だと答えてくれたのは嬉しかったよ
ずっと繋がってる関係は窮屈だっていう
私の我が儘に応えてくれてどうもありがとう

借りてきた映画を二人で観るような幸せに
慣れてないから
楽しい時間はいつか終わると思う癖に
これから先についての漠然とした不安に
押し潰されそうになったときはどうか慰めてね

私に君は勿体無くて
だから他には何も望まない

紡いだ先から消えてく言葉は脆いね
そんなもので無理して気持ちを伝えるのやめよう
言わなきゃ分かんないことも沢山あるけど
愛してるって言っても

どこが好きかとか訊いて君を困らせてごめんね
自分のこと好きになれないから心配になってさ
昔から空気を読むのがあんまり得意じゃなくて
特に女の子でそれはもう致命傷に近くて

私はただ不甲斐なくて
だから君には何も望まない

紡いだ先から消えてく今日は脆いね
こんな幸せもいつか忘れてしまう
忘れなきゃいけないことも沢山あるけど
愛してる君だけは

落ち着く温もりが欲しかった
二人だけの秘密が欲しかった
君もそうだったらいいな
独りよがりでごめん

紡いだ先から消えてく愛は脆いね
私も君もいつか消えてしまう
消えなきゃいけない運命にあるけど
今だけ 今だけは

2

θ

思わず叫んだその声が父親のそれによく似てた
気持ち悪くなってその日は早く寝た
運命で片付けられるようになりたい

不潔 伏し目 小さなささくれに
絡まる糸由来の溜め息
震える手で書き殴るのは
遺書と呼ぶにはあまりに粗末で

譲ってはいけないものを譲ってしまった弱さを
認めて前に進もうとすると足がもつれて
その場に転げる お決まりの展開

人は一人で生きていけないらしい
その言葉の冷たさが
僕に失望して去ったあの人みたい
真面目であればあるほど損をするらしい
その言葉に救われたと思ってしまう甘さは
もはや僕の一部だ

共感されるのが条件の文化の隆盛に舌打ちを
幼馴染みに「君しかいない」と
言える図太さを身につけたい

負けてはいけない戦に負けた事実を
反省して備えようとすると
空回りして同じ結果になって努力を疑われる始末

僕よりも不幸な人間は大勢いるらしい
その言葉の冷たさがまかり通ったらいよいよ
全員不幸だ
人間たるものいずれは死ぬのが必然らしい
その言葉に救われたと思ってないけど それでも
武器にはなり得る

どうにもならないことはどうにもならない
流行りの漫画の主人公みたいな
才能も粘り強さも持ってないから
それでいいよ、もう
完璧を描いて挫折するくらいなら
この手に収まる丁度いい夢を

昔に比べたら今は平和な時代らしい
その言葉に隠れる無知を怒りの下に引き剥がせる
それが青さだ
どんな困難も終われば美談と化すらしい
その言葉が本当ならいいな
後悔だらけの今日をいつか誇れるといいな

2

η

要らない物と言えない 癒えない
時が解決してくれない 紅
友達と思っていたのは 自分だけだったよくある話
道端に捨てられた煙草の吸殻を見て立ち止まる午後
日常が奪われるって一周回ってもう日常だ

好きです付き合ってください一目見たときからあなたのことが頭から離れないんです
どうしようもない 救いようがない
いや、本当に救いようがないのは
そんな衝動さえない自分
強風で倒れた自転車を横目に俯いて歩いた

好きな人とやるべき事を
好きでもない人とやったのは
何にも好きになれないから
誰も好きになれないから

ぞんざいに扱った罰だ
触れる事もできないのはどうして
文字の羅列に 情報の信号に
揺さぶられない心を置いて

子供の無邪気な笑い声と不快指数との相関関係
そういえば家庭科の授業で習った事を全部忘れてた
ブランコからサンダル飛ばす
遠くを目指すにはコツがいる
ここからどこにも行けないのは
きっとそういうことなんだろう

好きな人に宛てる言葉を
嫌いな人に送ったのは
もう誰でもよかったから
でも誰かにいてほしかったから

ぞんざいに生きてきた罰だ
考えた瞬間に嘘になるのはどうして
ありふれたメロディーに いつもの夕陽に
揺さぶられない心を置いて

小さくても構わない 歪でも構わない
不良品でも構わない 粗悪品でも構わない
構わない 構わないって妥協したところで叶わない
流れ星が綺麗だった
この目で見れば綺麗だった

ぞんざいに扱った罰だ
触れる事もできないのはどうして
文字の羅列に 情報の信号に
揺さぶられない心を置いて

4

ζ

最近は朝が寒くて 起きるのも一苦労だ
みんな難なくこなしてるからさ
愚痴をこぼすこともできないし

幼稚園に通ってたとき よく蟻を指で潰してた
天国に行けないとしたら 原因はそれくらいかもね

ギター掻き鳴らす少年への憧憬
好きだったアーティストの盗作疑惑
頭の悪い学生のノリ
空気を読めという空気 頭痛 生理痛
もう充分頑張ったから 自分の中ではそうだから
だから誰か私を褒めてよ

吐き気がして 枕が濡れて
どうでもいい会話をして
普通になりきれない中身を嫌われないように隠して
相槌打って 音楽聴いて
困ったら愛想笑いをして
そこまでしてしがみつく意味をたまに考えて

電車の中で痴漢されたと 同じクラスの子が喋ってた
どことなく嬉しそうだった 男に生まれたら良かった

できることとできないことを説明する度に自己嫌悪
曖昧な境界の拠り所が自分であるという憂鬱
故に生じる身体障害者への歪んだ羨望を
未だに抱いてる私を殴ってよ

勘違いして 恥かいて
自転車に乗ったらふらついて
みんなが好きなものが薄っぺらいものに思えて
水を飲んで 昼寝して
自慢話と悪口を聞いて
何をやっても上手くいかないのを
誰かのせいにしたくなって

やることないからテレビを見た
コンビニのお弁当は美味しかった
こんな時間が幸せと思える私は不幸せだ

ビビりすぎ オドオドしすぎ 自信無さすぎと笑われた
自分を持てと言われても持ち方を知らなかった
会う人全て悪人に見えて外に出れなくなった
そんなのはメンタルが弱いせいだと一蹴された

パン食べて 化粧して
スマホいじって 時間潰して
頑張って我慢しようと
決意した矢先に泣きたくなって
他人の思考を推測できなくて
永遠に一人でいたくて
それでも何とかしないとって
手探りで明日を迎えて

0

ε

死にたくなったら私を思い出してね
それでも駄目なら電話していいから
この前うっかりスマホを落として
画面にヒビ入ったけど一応使えるんだ

あなたが何に苦しんでいるのか
分かってあげられなくて本当にごめんね
住む世界が違うって前に言ってたよね
やっぱり今でもそんな感じなの?

優しくされたくらいで
人を好きになるのは良くないよ
私が無味無臭で味気ない人だって
知らないでここまで来たんでしょう
こんな最低な奴のことを大事に想ってるのは
ちょっと可哀想だな

同じだね、だなんて
烏滸がましくて口に出来ないし
したところで何だか怒りそうだけど
私もそれなりの痛みとか傷とかあるから
だから、何だろう?
何言おうとしたか忘れた

誰にでも明日は来ると思うから、また明日
誰にでも明日は来ると思うから、また明日

死にたくなったからあなたを思い出すね
サラサラの髪の毛 割と羨ましいな
あなたの笑う顔が結構気に入ってる
ごめん、嘘ついた でも笑ってほしいな

優しくされたくらいじゃ
人を好きにならないからさ
簡単に満たされない面倒臭い厄介な
人間になってしまったな
こんなはずじゃなかったのに
どこを間違えたのかな
ちょっと可哀想でしょ?

大人になるときに
大事なものを色々失った気がして
あの時に戻りたいけど
昔の消えない過去とかと向き合うのも嫌だから
だから、今はただこうやっていたいの

誰にでも明日は来ると思うから、また明日
誰にでも明日は来ると思うから、また明日

理不尽だらけ 矛盾だらけ しがらみだらけの
今日を
放り出してどこか遠いところにでも
なんて嘆いて勇気が足りなくて
目に映るもの全てを壊して掻きむしって
すぐに後悔して
それでも生きるあなたが
狂おしいほど愛しい

同じだね、結局はみんな細胞の集まりで
生まれて消えるまでのたったそれだけの間
手でも繋ごうか
恥ずかしいからやっぱやめとこうか
手汗と周りの目を気にしてしまうしさ

誰にでも明日は来ると思うから、また明日
誰にでも明日は来ると思うから、また明日
誰にでも終わりが来る等しさが、神秘的で
誰にでも終わりが来る等しさが、神秘的で

2

γ

誰が悪いか決めたくなった
分かりづらい現実に分かりやすさを求めた
無口で地味な少年が
その捌け口になるのはよくある話だが

「お前はいつも何かに怒っているよな
そんな生き方して辛くないか?」
辛い辛くないの問題じゃないと
答えるのも辛かったから黙った

君は真面目で優しすぎるよ
ここで生きるのには向いてないくらいに
でも私は君のそんなところが好きになったの
って言ってくれてどうもありがとう

人を傷つける資格もない奴が
素知らぬ顔して人を傷つける
そんなのは珍しくも何でもないと
目を逸らし足早に去る
誰かの吐いたニコチンと溜め息を
君は深く大きく吸い込む
こんな社会とそれに汚される
君を守れない僕が嫌いだ

自分を大事にできない人が
他の人を大事にできるわけはないよな
今になってそんなことに
気付くなんてやっぱり僕は莫迦だ

卑屈で最低だったと思う
好きと言ってくれたのに疑ってごめんな
君は今何してるだろうか
幸せになってくれたらいいな

君は真面目で優しすぎるよ
って言われたけどどうしてもそうは思えないんだ
本当に優しい人は
そうやって気を遣わせたりしないんだろうから

目に見えるものばかりに惑わされて
何かを失う様は滑稽なんだろうな
女子高生の甲高い笑い声が耳障りだ うるせえよ
って呟いた後で歩いて
背広の男とぶつかり舌打ちされた
ああ、邪魔者は僕の方だったのか
僕を守れない僕が嫌いだ

もう全部嫌いだ