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Metallevma:水晶玉は流星を見通す その⑤

戦場に駆け付けたルチルの目に入ったのは、力無くへたり込む相棒の姿と、その数十m前方に立ちはだかる甲冑姿のメタルヴマだった。
「アメシスト!」
仲間の名を呼びながら戦線に飛び込み、ルチルは最大出力の水晶柱を敵に叩きつけた。
「うお、遅いよルチルクォーツ。私が半分無くなっちゃったじゃないか」
おどけて言うアメシストの両腕と左脚は根元から失われ、腹部も半分以上抉り抜かれている。
「すまない、遅くなった」
「いやごめんて、軽口よ軽口……実際早すぎるくらいだよ。しかしさっきの攻撃すごかったね。『針』ってより最早『柱』って感じだ」
「あれで斃れていてくれれば良いんだが……」
ルチルの言葉と同時に、地面に深々と突き刺さった水晶柱が爆ぜるように砕け、土煙の奥から抜き身の刀を引きずる甲冑姿のメタルヴマが現れた。
「出たな……トロイライト」
「気を付けなよ。“流星刀”は間合いを問わず、理不尽なほどの剛剣だ」
「ああ。あれだけの距離を余波が飛ぶんだからな……」
呟きながら、ルチルは無数の水晶針を自身の周囲に漂わせた。
青年、トロイライトが刀を振り上げると同時に、刀身に狙いを定めて水晶針を全て叩きつけ、斬撃を妨害する。刀は水晶針の威力に跳ね返されるが、その反動は斬撃の余波として前進し、ルチルの右腕とアメシストの髪を一束吹き飛ばした。
(な……⁉ 馬鹿な、完全に防いだはず……⁉ 横暴にも程がある……!)
「お、先にやり合ってた私と同じ反応してら」
アメシストがけらけらと揶揄うように笑った。

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Metallevma:水晶玉は流星を見通す その④

「外……だと?」
「そーお外」
ルチルが訝し気に問い返すも、ネコメは事も無げに答える。
「クリスチャンにも見えてるんだろうさ。ドキドキワクワクするような、“異世界”ってやつが」
言いながら、ネコメはクリスタルに意識を向けた。その目に映らないクリスタルの口元は、心なしか僅かに上がっていた。
「ナワバリ争い? 下らないねそんなこと。こんな小さい世界に甘んじる奴らの諍いになんか興味無いよ。すぐそこに見えてンだ、この不可視で強大な『壁』のその先が。出自やナワバリの違いなんかでいがみ合ってる暇も無いほど、ボクらの戦いは困難で不確かなんだぜィ?」
ネコメがニヤリと不敵な笑みをルチルに向けた瞬間、ネコメの首が刎ね飛び、後方から飛んできた何者かの腕に吹き飛ばされていった。
「ッ⁉ ネコメ⁉」
咄嗟に立ち上がるルチル。
「る、ルチル! 敵襲だ!」
駆け寄って来たのは、片腕を失ったルチルやクリスタルの仲間、ローズだった。
「ローズちゃん! あの腕ローズちゃんだったの⁉」
「うん、油断した。クソ、“あれ”が来たんだ!」
「あれってなに……」
首だけになったネコメが尋ねる。答えるのはルチル。
「……“流星刀”のトロイライト。最近この辺で猛威を振るってる『隕鉄一派』の1人だ」
「そっかー……ところでなおして」
「ああ。ローズちゃん!」
ルチルに呼ばれ、ローズが自身の傷口を抑えながら駆け寄ってくる。
「クリスちゃんとついでにネコメを頼む。戦況は?」
「アメシストがどうにかしてる」
「私はそっちに行く。他に誰も近付けるな。私とアメシストで駄目ならあとはもう無駄な被害だ」
「了解。行くよ、クリスちゃん」
「んぇあ?」
クリスタルはネコメの胴体を小脇に抱えたローズに呼ばれ、訳も分からずネコメの頭を抱えてローズについて避難した。

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