表示件数
0

Advent 12/19

(どうすべきか…)
スマホを見ながら、私はぼんやりと考えていた。
内容はもちろん”フェス”のこと。
すでに集まるメンバーのうち2人が、行くことを決定している。
自分も行きたい、けど…
(やっぱり親は許してくれるのか)
多分OKしてはくれないだろう。なにせ私は受験生。ついでに志望校合格すらも少し怪しい。
そんなことを、ここしばらくスマホを見るたびに考えている。
(会場から家が遠かったら、言い訳が付くんだけどな…)
会場から家の最寄駅まで、電車で30分。そこそこの距離だ。行こうと思えば行ける。
(でも、)
そこから先が出てこなかった。
ピロン、とスマホが鳴った。
誰からだ、と思いながら通知を見ると、クラスLINEにメッセージが来ていた。
メッセージの主はクラスの男子、星一登(イチト)だった。
どうやら明日の時間割を教えてほしいとのこと。
なんで学校にいるうちに、明日の時間割確認しないんだよと心の中でつっこんだところで、ふと、昼間のことを思い出した。
給食の最中、星が他の男子とこんなことを話していた。
「俺さ~こないだの模試D判定でさ~」
「おれもD判定。志望校変えるわー」
「マジか! じゃ、星も志望校変えんのか?」
「俺は変えない。やるだけやるつもりさ」
「おいおい、落ちてもいいのかよ」
「落ちないために今から頑張るんだよ! やるだけやって足掻く! 後悔は嫌だし」
「相変わらずのカッコつけめ」
これを横で聞いていた私は、カッコつけてんなぁと心の中で笑ったけど、”やるだけやっておく”のも、いいのかもしれない。
(なんなら、)
フェスのこと、親に言うか。却下されてもいいから、言ってしまおう。公開だけはしたくない。受験だって―
「リイー、ご飯できたわよー」
リビングから、お母さんの声が聞こえる。
ご飯食べながらでも、このことを言ってしまおう。
大丈夫、どうにでもなるさ。本心を伝えればいい。
今行くーと大声で答えながら、私は自室を出た。自分の思いを伝えるためにも。

遅れを取り戻そうと必死です… 明日には全部取り戻すんで! 物語は遂にクライマックス!

0

Advent 12/18

クリスマスが近づいて、駅前はイルミネーションで飾られている。
これが”フェス”の会場、東京だと、もっとたくさん光り輝いているのだろう。
フェスに行かないなら、俗に言う「クリぼっち」って呼ばれるのかもな、と俺は思った。別にそう呼ばれてもいいんだけど。
まぁそういう時は、ヘッドフォンでもして、周りの音を遮断すればいい。
ヘッドフォンは現実逃避には格好のアイテムだと思っている。してしまえば、周りの音は大体聴こえない。
そんなことを考えつつ、いつも通り、ヘッドフォンでテキトーな曲を聴いていたのだが、
「痛っ」
しばらくぶりの衝撃。カバンをぶつけてきたのはもちろん―
「よっ!」
カバンをぶつけてきたのは、去年まで同じ部活の先輩だった、光ヶ丘先輩。
「先輩、もうそういうことしないでくださいって言いましたよね?」
俺はヘッドフォンを外しながら言った。
「え~でもさ~ヘッドフォンしてるから、後ろから呼んでも聞こえないかな~って」
「…」
思わず沈黙。さすがにそれは分からなくもないけれど…
「てか、先輩、今日部活だったんですね」
「おっ! よく覚えてるな~」
「前にもこういうことありましたよ?」
この先輩は忘れっぽい、あとアホ。そういうところが後輩から好かれるんだけど…
「でさ~、志望校決まった?」
「よく覚えてますねそんなこと」
「こういうことは忘れないのよね~」
最近は受験のことも考えてるけど、”フェス”のことも考えてる。自分は行くか行かないか考え中だけど、すでに決めている人もいる。そうなるとますます…
「…もしや、フェスのこと考えてる?」
「うぐっ」
「わ~図星だ~っ」
そういえばこの人も、行くみたいなこと言ってたな。去年も行ったみたいだし。
「じゃあさじゃあさ、一緒に行く?」
「…ハイ⁉」
「え~よくない? 会場では別行動でさー」
「他のヤツに見られたらどうするんですか⁉ 絶対面倒なことになりますよ⁉」
「え~その時はその時でさ~」
「断固拒否します」
「あ、もしかしてさ、ウチのコ…」
「んなわけあるか!」
思わずタメ口でツッコミ。そんなこと一切考えてない。というか考えたくないし。
俺はヘッドフォンで耳を塞いだ。それでも先輩は話を止めなかったけど。


0

Advent 12/17

こうしてみんなと一緒に帰るのは、しばらくぶりだな、とあたしは思った。
まだ、部活をやっていたころは、こうしてみんなでよく一緒に帰っていた。
でも、部活をやめてからは、みんなクラスが違うから、一緒に帰ることはすっかりなくなった。
今日、こうしてみんなで帰っているのは、なんとなくあたしがみんなを誘っただけだった。
「ねぇ鈴~、こないだのテスト何点だった~?」
この前のテストで、あまりいい点が取れなかった雪希音が、あたしに尋ねた。
「え~と、国語が70点で、数学が65点、英語は…67点かな」
「よっ!平均点どストライクガール!」
ココナがそうあたしをはやしたてた。その言い方はちょっと嫌だな、と思ったけど。
「でもここまでいい点が取れたのは、冷ちゃんのおかげだよ~」
あたしは、普段このメンバーとは一緒に帰らない、冷ちゃんこと、冷泉ミユキの方を振り向いた。
「え~、でもそれは、鈴ちゃんが努力した結果だと思うよ?」
冷ちゃんは恥ずかしそうにした。
「でも冷泉さんはすごいよね~、今回も学年1ケタなんでしょう?」
「まぁ…」
日苗のほめ言葉に、冷ちゃんはちょっと押され気味だ。
「ね、冷泉さんは、どこの高校行くの? やっぱ、めっちゃ頭いいトコ?」
ココナは自分らより勉強できる人に、めちゃくちゃ興味津々だ。
「実は…まだ決めてないんだ」
「え~! でもどこにしようと、絶対合格するよ~」
ココナは予想外の回答に、ちょっとのけぞってしまった。
「そういってるココナの進学先は…」
「あーっ、あーっ! 言わないでよ日苗! 恥ずかしいから!」
近くでちょっとしたわちゃわちゃが起きているさなか、冷ちゃんはこんなことを訊いてきた。
「ねえ、鈴ちゃん」
「なぁに、冷ちゃん」
「よく鈴ちゃんがしている、”ライブ”の話。あれの続き、教えてくれる?」
そうだった、今日の休み時間中にそんな話して、チャイムが鳴ったから、じゃ、あとで、って…
「…あ~、”クリスマスフェス”ね。毎年東京で開催される、ちょっとしたフェスティバル。なんと入場料無料なんだ! 去年行ったんだよね~」
「へぇ~、じゃ、今年も、行くの?」
その言葉を聞いたとき、あたしの中で、行くか行かないか、迷っていた心に光がさしたような気がした。ありがとね、冷ちゃん。

0

Advent 12/16

「25日、行けるようになったよ! みんなに会えるのがとっても楽しみ♡」
「12月15日 15:57 既読済み」
最初に動いたのは、あの子か、と最初僕は思った。
彼女の性格を考えれば、決まったら真っ先に報告するだろう。
(…これで、みんなも動くのかな)
僕はスマホから目を上げた。今日は一段と寒いような気がする。
今、僕は、模試の会場から家へ帰っているところだ。正確には模試の会場の最寄駅に向かっているところ。
”彼女”のメッセージを見たせいで、昨日はちょっと勉強できなかった。
まさかとは思った。ちゃんと行くんだ…と。
こうなると、自分も行かなきゃと思ってしまう。
6人のうち、自分以外がライブへ行くことになると、ちょっと寂しい。置いて行かれたみたいで。
「でもな~」
行きたいって言っても、親が許可を出してくれるかが問題だった。
多分、駄目、と却下するだろう。受験生なんだから、来年でもいいでしょ、とか。
(来年でもいいけど…)
何となく、それは違うような気がした。今年のライブは今年のしかないし。
妥協はしたくないと思った。そんなことしてたまるかって…
そんなことを、模試の休み時間中にずっと考えていた。
そして出た回答は、
「絶対に行く」
そのためには、もちろん親を説得しなきゃいけない。
だから、少し怖いけど―今日帰ったら、親に言おうと思っている。
修羅場覚悟でいくつもり。きっと大丈夫、自分の志望校を親につきとおすことができたんだし、多分平気―
(ライブにも行くし、新幸田高校にも絶対合格する!)
そう心に決めた。
「あ、そうだ」
ふとスマホに目を戻した。決めたのなら、ここでみんなに言っておかないと。
そうして、僕はこう打ち込んだ。
「この後親に、ライブ行っていいか聞く。妥協するつもりはないから。絶対に行ってやるよ!!」

前回よりは短いですね~(笑)

0

Advent 12/15

「ねぇねぇ、冬休みってさ、何する?」
「え~もちろん受験勉強でしょ」
「だよね~」
「それ以外にあるの?」
「メインは受験勉強だよ」
「まぁそうだよね~」
ノエルは苦笑した。まぁ受験生だもんね、頑張らないと。
「でもさー、ノエルはすごいよね~。だって偏差値60超えてるんでしょ? やっぱすごいよ~」
「え~、これでも志望校にはまだまだだよ?」
それでもイチゴは、ノエルはすごいな、と思った。自分なんかと全然違う。自分なんか、まだ志望校だってあやふや…
ノエルこと、桐淵ノエル・ブッシュとは、塾で出会った。それもそのはず、2人は学校が違うから、普通出会うことはないのだ。
たまたま塾で隣の席だったのがきっかけで、2人は友達になったのだ。
ノエルはイチゴよりも頭がいい。だから、友達でもあるけど、ちょっとした憧れの存在でもあるのだ。
「あ、そうだ」
ふとイチゴは思い出したかのように、カバンから何かを引っ張り出した。
「?」
ノエルはそんなイチゴを、不思議そうに見ている。
「はいこれ、ノエルへのクリスマスプレゼント」
「え、え、え⁉ ホントに⁉」
ノエルは目を輝かせた。イチゴの手の中には、プレゼントボックス型のストラップがあった。
「冬期講習が始まってさ、会う機会減ると思うでしょ? だから今のうちに渡しておこうと思って」
「え、あ、ありがとうイチゴちゃん。めっちゃ大事にするねコレ」
ノエルが喜ぶ様子を見て、イチゴもうれしくなった。
「あ、あとさ」
「?今度は何?」
ノエルはイチゴの顔を覗き込んだ。
「今度さ…25日、ライブ行けるようになったんだ」
「え…あ、ホントに⁉」
ノエルは予想外の発言にちょっと後ずさった。
「いや、もういっそ言っちゃおうかって…パパやママに聞いたらあっさりOKしてくれて、そっちのほうがビックリしたんだけど」
「めっちゃ行きたいって言ってたけど…ホントよかったね。楽しんでね」
このライブの話はよくノエルや親友の藍瑠に話していた。だからこんな報告ができるのだ。
(行くことができるから、)
みんなに、また会える。約束通り、もう一度、もう一度―
空を見上げるイチゴの顔は、本当にすがすがしかった。

0

Advent 12/14

金曜日、諸事情により書き込めず、そのまま3日たって12/14分を書くという…
てなわけで本編スタート↓

「くっ、そぉぉぉぉぉぉ~」
「一体どうした十文字」
隣の席の田母神鞠愛(たぼがみまりあ)が尋ねる。
「昨日さ、母さんにライブ行きたいって言ったんだけど…」
言ったけど、案の定ダメの一点張り。そりゃそうだよね。だっておれは今、受験生だし、ついでに志望校だってC判定だし…
「そりゃ無理だな」
グサッ。さすがは田母神、毒舌級長と陰で呼ばれるだけある。
「だってそもそも受験真っただ中なのよ? そんなワガママ、私でも却下する」
「そんなぁ~」
田母神のセリフにまたまた大ダメージ。今さっきから机に突っ伏してるけど、この調子だと顔を上げられそうにない。
でも。おれはまだあきらめようとは思ってない。まだ当日まで時間はある。だって約束したじゃないか、おれが自分から、またこの場所で会おうって…
そういうの破ったら、多分おれのプライドが腐る。
「…参太?」
「!…ヨシヒサ⁉」
思わず顔を上げると、親友のヨシヒサこと、神部夜士久が立っていた。
「え、な…」
「いや、花田が、田母神が呼んでるって―」
恐るべし田母神鞠愛。おれが見てないうちに、目で、女子に情報を伝えるとは…
「十文字が、ライブ行きたいとかどうとか」
「おい田母神!」
本人でもないのに状況説明しだした田母神に、おれは突っ込んだ。
「教室の端から、なんか参太が元気ないのは見えてたけど、何か言うようなことではないと思ってて」
「言うようでもないことって…」
「例えば、今年も非リアだからカワイイ女の子からクリスマスプレゼントもらえねぇ~、とか」
「んなわけあるか!」
「あ~、それ、私も思った~」
「ちょっ!田母神まで…」
おれは二人にあきれてしまった。おれってそんな風に見えてんのか。
「あ~でもさ、ライブ行きたいんなら、親にゴリ押しでもいいから頼めば? そのほうが参太らしいし」
「…!…ヨシヒサ」
「あ、チャイム。また今度な」
チャイムを聞くと、ヨシヒサは自席へ帰っていった。
田母神も自席に座った。
「…田母神、なんかサンキューな」
「フン、どういたしまして。ライブ行けるといいわね」
田母神、おれとヨシヒサの、仲を少し取り戻してくれてありがとう。

0

Advent 12/13

「なあ、今度みんなで集まらないか? あの場所で、もう一度 別に今すぐ、行くかどうか返事しなくていい。当日でもOK」 
「12月1日 14:12 既読済み」
「25日なんだけど、みんなはどうする? 俺は迷ってる。本当は行きたいけど…」
「12月12日 16:38 既読済み」
「…」
スマホの画面をスクロールする手が止まる。そもそも、そこまでたくさんスクロールするほど、見るメッセージはない。
新たなメッセージが来たのは、つい昨日の夕方の、4時くらいのことだ。
最初は、誰かが決断したのかと思った。でも違った。想定外の展開、まさかの確認みたいなメッセージだった。
もちろん、新たなメッセージの送り主は、最初の”彼”とは違う人だった。
これで分かったことは2つ―1つはみんな、互いの様子を見ていること。
もう1つは―まだ、みんな迷っているということ、つまり決めていない。
多分みんな、行くかどうか迷ってるんだろうと思った。ということは、全員あの場にそろう可能性があるということ。
「私も行きたいけれど―」 
今のこの状況で、行けるのか? 会場には6人の中で一番近いとはいえ、親が行くことを許すだろうか。
(受験生、時間帯、約束―)
どうすべき? 私はどうすべき? 親に反対されるのなら、行かないほうがマシ?
それで志望校合格できなかったら、何を言われる―?
何気なく、窓の外を見た。最初のメールの送り主のところは、もう雪が降ったんだっけ?
「いいなぁ、12月で雪が降るんでしょ? じゃあ、ホワイトクリスマスじゃん! すっごい素敵~」
「はぁ⁉ 雪かきめんどいよ? なんなら、東京みたいに、年に1回降るぐらいがいんじゃね? こっちなんて、雪の夜は全然ロマンチックとかじゃないからな。真っ暗だよ、ふぶいてたりもする」
「いつか行ってみたいな」
「あ、イチゴもイチゴも!」
「あの~こっちも雪降るんですが~」
「いいね! いつかみんなの家、行ってみたい!」
「俺ん家はちょっと嫌なんだけど」
「えー、恥ずかしいのかよ~」
「兄妹がめんどくさいだけだよ」
ワイワイ笑いあった、あの日。また会おうと約束した、あの場所。
もしできるのなら、叶うのなら―
「どうでもいいけど、今日はふたご座流星群あるんだっけ」
ふと、そんなことを 思い出した。

0

Advent 12/12

「? 何見てんの?」
「別になんでも?」
「ちょっ、見せろや」
「あーっあーっ、ちょっと~」
ホタルは俺からパッとスマホを取り上げると、メッセージアプリの履歴を眺め始めた。
「ふ~ん、なんもしてねぇのか」
「そう」
「さっきの感じからして、恋人とやり取りしているのかと」
「は⁉ そもそも、お前そういうのに興味あった⁇」
「ボクはそういうの興味ないし」
「…その一人称やめたら?」
「フン、やだね。これがボクなのだよ」
「やなかんじ」
変わらない掛け合い。特に一人称については昔から言い続けている。
ホタル、入間ホタル。おれの妹。生意気な小学5年生。
いつからか、自分のことを”ボク”と言っている。そういうの、俺は嫌なんですけど。
「でさ、フェスの件。どうすんの?」
「ああ」
実は決めかねているクリスマスの、”フェス”のこと、俺の周りで知っているのは、こいつ―ホタルだけだ。
こういう悩み事系は、優柔不断な弟のケイではなく、妹のホタルに言っている。
ホタルはこういう性格だから、悩み事は、アドバイスはくれないけれど―流し聞きしてくれている。
そういうのもあって、結構信頼してるんだけど。
「行くか行かないか、まだ迷ってる」
「そういうのは早く父さん母さんに言うといい」
「まぁそうだけど…」
「…行けば?」
ホタルがこっちを見ている。その釣り目が笑っている。
「…とりあえず、みんなに聞いてみよっかな」
「いんじゃね? ボクには異論を言う立場じゃない」
俺はホタルからスマホを取り返すと、みんなへの”言葉”を打ち始めた―

昨日に比べれば、短いかも。もしかしたら、ここはカギになる回かも?

0

Advent 12/11

「うおーい、おーい、」
べしべし、とワークでたたいても起きそうにない。まぁ、いっか。
あたしはまたテスト勉強に戻った。そうそう、なぜわたしは同じ部活の仲間―雨宮日苗(ひなえ)と一緒に勉強しているのか? その理由は―
「うわ、マジかったるいぃぃぃ…」
「夜更かししてんの?」
「そうだよ」
「え…えっら!」
「いや鈴もめちゃ頑張ってるじゃん」
「日苗も負けてないよ?」
「あそー」
今日はテスト2日目。実施教科は国語と理科と音楽。テストが終わるんたんびに、「あ~死んだぁぁ」
「マジ終わった」
「それなーー!」
こんな調子。あたしはうまくいったと思ってはいるんだけど…
「ねぇ鈴、今日も鈴ん家行ってもいい?」
「全然OK 」
「ココナとか、雪希音(ゆきね)とかは無理らしいけど」
「冷ちゃんも無理らしいね。やっぱあの子は、1人で勉強したほうが気が楽みたい」
「まぁ、そういう子だもん。鈴が勝手に巻き込んでるだけ」
「おい! それはひどすぎるぞぉ~」
「あははははは! じゃ、放課後また会おう! あばよ!」
「日苗…」
こんな会話を、朝教室で繰り広げていたのだ。
で、テスト終了後、こうして家で勉強中…なのだけど。
「今日は寝ないといったのにねぇ」
日苗はばっちり寝ている。昨日もそうだったんだけど。まぁ疲れてるだろうから、放置!
あたしは何気なく、スマホの電源を入れた。メッセージアプリを開いて、ちょっとメッセージを打ち込もうとした、が
「鈴ちゃーん! またねぇーっ!」
別れ際に全身で手を振った、”あの子”。あの時、絶対に来年も―と心に決めた自分。
なんだかあの子―だけでなく、ほかのみんなのことを考えると、今、自分が決断するのは早すぎるような気がした。
(今はまだ―)
「…鈴?」
「あ、起きた。」
「ウチは、今年クリスマスがなさそう。」
「それでも12月25日は来るよ? 受験生でも、崖っぷちでも。」
「さすがは鈴だね―」
日苗はそう言って起き上がった。

昨日のより、長そう(笑) ウチも受験勉強頑張らなきゃ…

2

Advent 12/10

「あ、の~」
「?」
ノートから目を上げると、小柄な女子生徒が僕の顔を覗き込んでいた。
「これ分かんないんだけどさー…ヒマなら教えてくれる⁇」
「おい、今は暇じゃないでしょ…」とギャラリーの女子生徒たちがあきれている。
「あー…別にいいけど…」
「うわ、ありがと!」
そういうや否や、女子生徒―文野霜菜(そうな)は僕の前の席に座った。もし、前の席に人がいたら、彼女はどこに座っただろう。
「いや~郡クンに勉強教えてくれるなんて~アタシついてるな~」
そうのんきなことを文野さんは言っている。この調子だと、こっちの解説を聞かなさそう。
「とにかく本題だよ文野さん、まず…」
「あ~待って! さん付けはカタいよ。メンドいからソナでいい。おあいこでアタシ、ゆっきーて呼ぶからさ」
「正直それは嫌なんだけど…」
「嫌だった⁉ じゃー雪夜くんにする」
「じゃあゆっきーでいい」
「OK、じゃ解説続けて」
正直この人はめんどくさい。クラスの人気者だけど、マトモに付き合える人間は限られる。僕はマトモに付き合えない、っていうか付き合うことはないと思ってたんだけど。
解説を続けるうちに、ギャラリーの数は減っていった。多分飽きたとか…そんな感じだろう。
「お~、やっぱ学年トップはすごいな~ ありがとうゆっきー」
「どうも」
「そういやさー」
思わず「?」と聞き返した。
「クリスマスは、何するタイプ?」
「え」
「あーアタシは、みんなで受験勉強かな。六華(りっか)とか、サクラコとかと。ゆっきーは?」
「…行きたいライブあるけどな~…」
「えマジ⁉ ライブとか行くんだ~ いがーい」
だけど…と言ったけど、全く聞いてない。
「じゃー今度教えて! 約束だよっ!」
「…」
もはや僕は何も言えない…

今回ちょっと長くなりすぎた。まぁ、このお話、最初の方会話少なめだったからな~