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指定席

三両目、一番前のドアから電車に乗る。
この時間はどの席にもいつも同じ人が座っている。
不思議なものだな、と思いながらもいつもの『自分の席』に座る。
四人掛けシートの窓側。進行方向と反対側の席。この席は朝日を眺める特等席だ。

単語帳を広げてもやる気が起きない。赤シートに朝日が反射して眩しい。あの朝日をうっとうしいと思ったのはこれが初めてだ。今まではぼーっと朝日を眺めながら音楽を聴くのが楽しみだったのに。頭に入らないアルファベットの羅列を眺めながら、私は何がしたいんだろう、と考える。
したいことが見つからない。行きたい高校が見つからない。好きなことも見つからない。学校に行って、部活に行って、友達付き合いも忘れずに。そうして家に帰ればまた次の日も学校だ。全て誰かに敷かれたレールの上を進んでいるようで、ぞっとする。私でなくても私という存在が成り立ってしまうのではないかと、矛盾しているような想像をしては一人で落ち込む。その頃には、気づけば手元の単語帳は閉じられていて、車内放送が最寄り駅に到着したことを告げる。

慌てて「すみません」と言いながら席を立つ。隣の高校生の男の人は軽く会釈しながら長い脚を折りたたんで、私が通れるように最善を尽くしてくれる。
電車から降りると笑顔でいなければならない。
いつも通り、後ろから軽快な足音がする。
「和花ちゃんおはよー」
「おはよー、今日寒いね」

悩みを悟られないように、明るく。



【和花 Sakura Nodoka】
中学三年生
吹奏楽部員
高校受験に悩む

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CHILDish Monstrum:CRALADOLE Act 11

「2人共!」
バリアを展開するデルピュネーと共にビーシーが2人の元へ駆けつける。
「小型種はみんな片付けたよ」
後はあの大物だけ、とビーシーはゲーリュオーンとイフリートに声をかける。
「…ゲーリュオーン?」
ゲーリュオーンの暗い顔を、心配そうにビーシーは覗き込む。
ゲーリュオーンはハッとしたように顔を上げた。
「大丈夫?」
ビーシーの問いかけにゲーリュオーンはあ、ああと答える。
その瞬間ガシャーンとインバーダにワイバーンが押し倒された。
「うおやっべ!」
ワイバーン押されてるよとイフリートは呟く。
「やっぱしおいらのでば…」
「いやいい」
イフリートがそう言って前へ出ようとした所を、自分が行くとゲーリュオーンが止める。
「じ、自分が行くって…」
お前怪物態は…とイフリートは言いかけたが、ゲーリュオーンは大丈夫と返す。
「別に使えない訳じゃない」
ただ、少し暴走するかもしれないだけと歩きながらゲーリュオーンは携えた槍を投げ捨てる。
「だから、その時は、頼む」
ゲーリュオーンはそうとだけこぼすと目の前の敵に向かって駆け出した。
「ちょ、ちょっと待て!」
頼むって…とイフリートはその後を追い始めたが、その時にはもう目の前のモンストルムは3つ首の翼の生えた巨人に変貌していた。

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CHILDish Monstrum:CRALADOLE Act 10

「*]‘;・’{‘;’}<}+[‼︎」
飛竜はそのままインバーダに飛びかかった。
「いっけー‼︎」
ワイバーン!とイフリートは拳を突き上げて飛び跳ねるが、ゲーリュオーンは呆れたようにワイバーンの様子を見ていた。
「ワイバーン…指示はまだなのに」
「えーいーじゃんそれくらいー」
今回の出撃自体命令が出る前だったし、これくらい許してくれるだろーとイフリートはゲーリュオーンの方を見る。
「確かに命令が出る前の出撃だったが、それはまだいいとして指示前の怪物態使用は…」
「なんだよおめー真面目だな」
イフリートは長剣を地面に突き立てながら言う。
「アレか、お前作戦失敗が怖いんだ…」
イフリートはそう言いかけて言葉を止める。
なぜならゲーリュオーンが黙って俯いていたからだ。
「お前」
イフリートが思わず呟くが、ゲーリュオーンは黙ったままだ。
「…」
2人の間に沈黙が流れる。
しかしその沈黙は近くの建物にインバーダがぶつかり建物が崩れたことで破られた。
「危ない‼︎」
高い声と共に2人の頭上にバリアが張られ、頭上から落ちてくる瓦礫は弾かれた。
「2人共!」
バリアを展開するデルピュネーと共にビーシーが2人の元へ駆けつける。

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CHILDish Monstrum:CRALADOLE Act 9

「さーてどう奴を…っと?」
建物の屋上からワイバーンが地上を見下ろすと、2人のモンストルムが目に入った。
「イフリートにゲーリュオーン‼︎」
おーい!とワイバーンが大声を上げると、地上を走る2人は顔を上げた。
「お」
ワイバーン‼︎とイフリートは手を上げる。
「暴れ回ってるアイツー、あたいが倒しちゃってもいーいー?」
ワイバーンがインバーダを指差しながら尋ねると、イフリートはいーんじゃ…と答えかける。
しかし、いやまだだとゲーリュオーンがそれを遮る。
「本部からの指示が出てない」
「いやそんなのどうでもいいでしょ!」
イフリートはそう言い返す。
「指示ばっか待ってたら街への被害が広がるだけだ!」
お前だって分かってるだろ!とイフリートはゲーリュオーンに詰め寄る。
「…」
ゲーリュオーンはそっぽを向いた。
「という訳でワイバーン‼︎」
やっちゃえ‼︎とイフリートはワイバーンに向かってサムズアップをする。
その様子を見てワイバーンは了解‼︎とインバーダの方を見据えた。
そして雑居ビルの屋上から飛び降りた。
その瞬間ワイバーンの身体から光が放たれ、その影はみるみる内にインバーダと同じくらいの前足のない赤い飛竜の姿に変わった。

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