Modern ARTists:威霊遣彩能媛 その④
「うわぁ……すごいのが召喚された……」
ヒトエの感嘆に、エイリはどや顔を決める。
「どうだ、すごいだろう。これが私の【玉桜楼】の力だよ。使い魔召喚の術。これでもっとしっかりサポートできるよ」
甲冑たちはぞろぞろと前進し、2人を守るように立つ。
「んー……? このこたちはぁ……」
カミラが甲冑の1体の胸元に手を当てるが、甲冑は吸収される事無くその手を振り払った。
「むー…………すえない」
「お前が後輩ちゃんと戯れている隙に、じっくり余裕をもって印を組めたからね。お前の弱点は聞いてる。私と後輩ちゃんの敵じゃないよ!」
エイリの指揮で、甲冑たちがカミラに襲い掛かる。カミラは鬱陶しそうに宙を泳ぎ、甲冑たちの攻撃を回避しながら、ヒトエに突進した。
「ヒトエぇー、やろ?」
ヒトエの目の前で停止し、顔を突き合わせてニタリと笑う。
「は、離れて!」
ヒトエの振るった双剣を回避し、カミラは空中で腹を抱えてけらけらと笑った。再び宙を泳ぎ、ヒトエの背中に隠れて甲冑たちをやり過ごそうとする。
「そうはさせないよ!」
エイリは叫びながらカミラに飛び掛かり、回し蹴りを放った。その足を手で受け止めようとしたカミラの前に、ヒトエが手を伸ばして手甲で掌を受け止める。
「エイリさん、触られないように気を付けなきゃ駄目ですよ!」
「うへぇ、怒られちった」
「……けど、やっぱり狭い……!」
ヒトエが窓の外に目を向ける。それに気付いたエイリは、甲冑の1体を操り、窓の一つを勢い良く開いた。
「助かります!」
ヒトエがカミラの腕を取り、勢い良く窓の外へ投げる。空中で態勢を整えようとしたカミラに、更に飛び掛かり、空中で馬乗りになりながら二人は約6m下方の地面に向けて落下していった。