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Specter children:人形遣いと水潜り その①

8月中旬。時刻は18時過ぎ。“逢魔時”とも呼ぶべき薄暗がりの中、とある山間の集落に続く未舗装の細い道路を、一人の少女が歩いていた。
その集落に住む数少ない少年少女たちの通っているいずれの中学・高校の指定制服とも異なるデザインの、黒い長袖のセーラー服に身を包んでいながら、僅かに露出した素肌には汗の一筋も流しておらず、人界から隔絶しているかのような奇妙に仄暗い雰囲気を漂わせている。
少女は厚いスニーカーで石ころや木の根を踏み越えながら、歩調を乱すことなく歩き続けていたが、集落が目視できる距離にまで到達すると立ち止まり、溜め息のように長く細く呼気を吐き出した。
「……思ったより、距離あったな。タクシーでも使えば良かった」
その場で両脚を上げ下げしながら疲労を誤魔化していた少女は、不意に背後の木々の奥に広がる暗闇に目を向けた。
「ふむ…………“怒”」
呟いて少女がスカートのポケットから取り出したのは、掌に収まる程度の小さな人型のぬいぐるみだった。ジンジャーブレッドを立体的に膨らませたような、クリーム色の人型の頭部には、単純な丸型の小さな両目と半月型の大きく笑ったような口だけが縫い留められている。
「行っておいで」
少女が手の中に囁きかけると、人形は小さく震えながら立ち上がり、短い両腕で力こぶを作るようなジェスチャーを決めると威勢よく地面に飛び降りた。そのまま少女が元来た方向へ短い脚を精一杯回して走り、地面に盛り上がった木の根に阻まれあっさりと転倒した。
次の瞬間だった。暗闇の奥から風のように現れた大型の野犬のような生物数頭が一瞬にして人形に飛び掛かり、鋭い牙と爪によって無数の繊維片へと解体されてしまった。
破壊された人形の残骸が少しずつ崩れて消滅する様子を眺めながら、少女は溜め息を吐いて道端の木の根元に慎重に座り込んだ。
(……送り狼、かぁ…………。何か途中から気配がついて来るとは思ったけどさぁ……)
木の幹に寄りかかる少女の周囲を、送り狼たちはしばらくうろついてから、小さく鼻を鳴らして再び闇の奥へと消えた。
「……ま、あの村までの安全は担保されたってことで」
少女は立ち上がり、服に付いた土埃を手で払うと、再び集落へと歩き出した。

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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ:告鳥と悪霧 キャラクター②

アヴェス:ピトフーイ・ディクロス
モチーフ:ズグロモリモズ(Pitohui dichrous)
年齢:12歳  身長:152㎝
所属カテルヴァ:以津真天
説明:対大型敵対存在特攻先遣部隊“以津真天”の新入り。戦績は上々。最近の悩みは前歯が抜けてしまったこと。ご飯が食べにくい。大人になりたくないので、立派に戦って殉職したい。
レヴェリテルム:ソルス=ヴェネヌム(Solus venenum) 語義:唯一の毒
説明:口を開けた毒蛇を模した、全長3mほどの金属製の杖。首が自由に動き、顎も開閉する。内部に仕込まれた腐食液を毒牙部分を通して射出可能で、相手に食いつかせてから注入すれば確実にぶつけられる。何故か火炎放射も可能。舌下の穴からぶわって出る。特に意味も無く目も光る。思いの外やりたい放題。

アヴェス:ステルコラリウス・ポマリヌス
モチーフ:トウゾクカモメ(Stercorarius pomarinus)
年齢:16歳  身長:173㎝
所属カテルヴァ:以津真天
説明:対大型敵対存在特攻先遣部隊“以津真天”の副隊長。高校生なので結構忙しい。一番の年上なので何かと頼られがちだが、他人のサポートはかなりド下手クソ。1人で戦うか、周りが合わせてくれるのが一番やりやすい。
レヴェリテルム:ポラリス=カエルム(Polaris caelum) 語義:極地の空
説明:長さ150㎝程度の短槍と、縦横150㎝×45㎝程の大盾。大盾は浮遊させ、飛行ユニットとして利用可能。小型無誘導ミサイルも撃てる高性能大盾。短槍の方は馬上槍形態と大刀形態に変形可能。短槍形態は投擲、馬上槍形態は刺突、大刀形態は斬撃の威力をブースターユニットによって強化可能。更に、大刀形態の武器と大盾を変形合体させることで、大型戦斧にもなる。

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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ:告鳥と悪霧 キャラクター①

アヴェス:カズアリウス・カズアリウス
モチーフ:ヒクイドリ(Casuarius casuarius)
年齢:15歳  身長:165㎝
所属カテルヴァ:以津真天
説明:対大型敵対存在特攻先遣部隊“以津真天”のリーダー。好戦的だがその暴力性はアリエヌスにしか向かないので意外と安全。ただ、戦闘時の様子が恐ろし過ぎるので、よそ様からは怖がられている。趣味は対戦型ゲーム。
レヴェリテルム:カルチトラーレ=ウングラ(Calcitrare ungula) 語義:蹴爪
説明:両脚の膝近くまでを覆う脚甲。爪先と踵部分にはブレードが、両足裏と脹脛にはブースターが仕込まれており、爆発的加速を乗せた蹴りでブレードを叩き込む。ブースターを利用することで、短距離の飛行も可能。ブレードを格納することで打撃武器として使ったり、ブースターの出力を射程武器(エネルギー砲)として利用することも可能。『足を覆っている』こと以外に欠点が無い。

アヴェス:サジタリウス・サルペンタリウス
モチーフ:ヘビクイワシ(Sagittarius serpentarius)
年齢:14歳  身長:158㎝
所属カテルヴァ:以津真天
説明:対大型敵対存在特攻先遣部隊“以津真天”の一員。密かな自慢は『両利きなこと』。どちらから攻められても同じように受け、押し返せる対応力の高さが売り。
レヴェリテルム:チェレリタス=フルグル(Celeritus fulgur) 語義:雷速
説明:一節辺り約1mある、大型三節棍。各節部分は鎖状に変形可能で、疑似的二刀武器や鎖付き武器としても扱える。また、各節は部分的に側面を刃状に変形させられる。

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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ あとがき

どうも、テトモンよ永遠に!です。
まだ投稿中の人もいるだろうけど、とりあえず書くって言ったので企画「空想少年要塞都市パッセリフォルムズ」の一応のあとがきです。
どうぞお付き合いください。

今回の企画は前回開催した企画「魔法少女学園都市レピドプテラ」と対になる世界観…のつもりで作りました。
「レピドプテラ」は女の子が主役で戦う物語だったので、次は逆に男の子が主役で戦う物語を作ろうと思ったのがきっかけです。
しかし「レピドプテラ」の魔法少女たちみたいに、一般人がある日突然特別な力を手にして…みたいな話にするのは二番煎じ感が否めないので、都市の外から攻めてくる敵を倒すために製造された人造人間のお話にしました。
ただ、世界観を構築している最中は「どこにもないオリジナルの世界観だ〜ヒャッハー‼︎」とノリノリだったのですが、あとから考えてみると要塞都市って某進撃の巨人っぽいし、参加者さんからの指摘によるとレヴェリテルムは某BLEACHに登場する斬魄刀みたいとのことなので、やっぱりなにかの二番煎じみたくなっちゃったな〜と感じてます。
あと設定が山盛りすぎたかもしれない(笑)
ちなみにモチーフを「鳥」にしたのは以前没にした物語でモチーフが「鳥」で、いつか再利用したいなぁと思ってたからです。
また、レヴェリテルムが可変武器なのは自分の好きな「アサルトリリィ」に登場する武器「CHARM」が変形武器なので、そのアイデアを自分が作るものでも使いたいと思ったからですね。
まぁ自分が色々なところから無意識のうちに影響を受けているかもしれないことを実感した企画でした。

さて、今回はこれぐらいにして。
開催期間を撤廃してもこんな調子だしそもそも忙しいので、もう大規模な企画を開催するのは終わりにしようかなと思います。
ただ手元にオリジナルの世界観の物語がまだいくつか残っているので、機会があれば自由に使っていいアイデアとしてここに出すかもしれません。
あとお題だけ設定した企画はやるかもしれない…?

長々書きましたが、参加者の皆さんには感謝でいっぱいです。
あと「あとがき」以降の作品投稿も大歓迎です。
それではこの辺で。
テトモン永遠に!でした〜。

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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ:告鳥と悪霧 その⑩

「見えたぜェ、リーダー後輩。お前の上げた“狼煙”がよォ……」
粉塵の舞い上がる中から、刺々しい声が楽し気に響く。
「それで? コイツをブッ殺せば良いのか? 遅刻した分働くぜェ……!」
薙ぎ払いが粉塵を吹き飛ばす。高校制服姿のアヴェスが、大盾と大刀で武装して立っていた。
「よく来てくれたぜゾッさん。テストの出来はどうだった?」
「現文駄目だった!」
「ドンマイ! じゃあ頼む!」
「りょーかいィ」
“ゾッさん”と呼ばれたアヴェス、ステルコラリウス・ポマリヌスはレヴェリテルムを変形合体させ、一つの大型戦斧を完成させた。
「叩き斬れ……“Polaris caelum”!」
全長約3mもあるそれを大きく振りかぶり、大型アリエヌスの正中線に照準を定める。
「せェー…………のォッ!」
渾身の振り下ろしが炸裂する。その破壊力はアリエヌスが構えていた両腕を破壊し、剣圧の余波を体幹部にまで到達させ、その巨体を完全に両断した。
「ふゥー……大型アリエヌス何するものぞ。俺が本気出しゃぁこんなモンよ」
レヴェリテルム“ポラリス=カエルム”の合体機構を解除し、ポマリヌスは研究者とクミを睨みつけた。
「で? 何なのお前ら。マッドサイエンティスト?」
「似たようなものだね」
研究者の男が答える脇でクミが片手を振り上げると、大型アリエヌスの残骸から黒い霧が吹き出し、彼女の足下に吸い込まれて消えた。
「うおっ、何あれ」
「ゾッさん。あのおチビちゃん、アヴェスらしいぜ」
カズアリウスの言葉に、ポマリヌスはカズアリウスとクミを交互に見た。
「えっマジで? 女の子じゃん」
「あのマッドが作ったんだとよ」
「マぁジか。ガチマッドじゃん。通報したろ。……帰してくれるならの話だけどな」
ポマリヌスが短槍を握りしめ研究者の男を睨む。しかし、男はけろっとした表情でビデオカメラをしまい、アヴェス達を追い払うように手を振った。
「帰ってくれて構わないよ。君達には感謝しているんだ。恩には報いるのが信条でね。帰った後は好きに通報してくれて構わないよ。どちらにしろ、私の研究に大きな支障は無いからね。さぁ帰った帰った。良い日を過ごしておくれ」
研究者の男とクミが手を振って送り出す中、4人のアヴェスは釈然としない感情でエレベーターに乗り込んだのだった。

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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ:告鳥と悪霧 その⑨

「ビク太郎、ズー坊。お前らの出る幕は無ぇ。大人しく下がってろ」
カズアリウスの指揮で、他の2人は後退した。
「おや、君のような雑魚一人で相手するつもりかい? 思い上がるのはやめた方が良いと思うがねぇ」
研究者の男が揶揄うように言う。
「うるっせ。馬鹿にすんなよ? これでも“以津真天”のアタマ張ってんだ。1つ、俺の本気ってやつを見せてやるよ。アリエヌス壊されて泣くなよ?」
「確約はできないね。本当にそうなったなら、嬉し泣きするかもしれない」
「ほざけ」
そう吐き捨て、カズアリウスは彼のレヴェリテルム“Calcitrare ungula”を変形させた。変形機構が起動し、踵部分に長さ20㎝程度の折り畳み刃が展開する。
「……随分と短い刃だ。大型を相手するには力不足だろう?」
「そうかもな。まァ食らって判断しやがれ」
足裏のブースターを起動し、カズアリウスはアリエヌスの頭頂より高く飛び上がると、右脚を伸ばしたまま足裏が直上を向くほどに振り上げた。
「蹴り殺せ――」
ブースターを再点火し、振り下ろす動きを超加速して、アリエヌスの脳天目掛けて踵落としを叩き込む。
「Calcitrare ungula”ァッ!」
ブースターからは凝縮された高火力エネルギー砲が放たれ、それを推進力としてアリエヌスが盾のように構えた腕に踵のブレードが突き刺さる。勢いは衰える事無く蹴撃が完全に振り抜かれ、腕の一部を大きく抉り抜いた。
「……なるほど、なかなか悪くない威力だ。ブースターの出力断面積を敢えて絞ることで、威力密度を上げているわけか。……だが、大型の敵を相手にするにはあまりに小規模過ぎるな」
研究者の言葉に、カズアリウスはニタリと笑う。
「別に良いんだよ。端ッからそいつ殺すことなんざ狙ってねェからな。“以津真天”が何を目的にした部隊だと思っていやがる」
カズアリウスは空間天井を指差す。ブースター役のエネルギー砲は天井を貫き、地上にまで貫通していたのだ。
「『大型相手の時間稼ぎ』だぜ。俺の仕事はもう終わったんだよ」
地上から爆発的破壊音と振動が伝わり、天井を揺らし小さな瓦礫片を落とす。
「選手交代だ。“うち”の最高火力を見やがれこの野郎」
カズアリウスが言ったその瞬間、天井が粉砕され、一つの影が飛び込んできた。

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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ:告鳥と悪霧 その⑧

アリエヌスの拳が、3人に向けて振り下ろされる。
「クソが! “カルチトラーレ=ウングラ”!」
カズアリウスの履いていた金属製脚甲の脹脛に仕込まれた加速用ブースターが一斉に起動し、超高速の蹴りが拳を迎撃する。
「この……ッ! だらあァッ!」
ブースターの出力を上げて跳ね返し、足裏の噴射機構からエネルギー砲を撃ち出して反撃する。
「この野郎ォ……俺のレヴェリテルム“Calcitrare ungula”は、ただの機動用ブーツじゃねェぞ」
カズアリウスが右脚を上げ、足裏をアリエヌスに向ける。
「出力を調整すれば、こうしてビーム兵器にもなれる」
研究者の男はビデオカメラを構え、戦闘の様子を撮影観察していた。
「なるほど。しかしまぁ……可哀そうな能力だね。その”蹴爪”という名のレヴェリテルム……その程度の出力で得られる機動力は、レヴェリテルムの標準性能で得られるだろう?」
「うっせ、俺ぁこいつが一番性に合ってんだよ。大体、動力も翼も無しに空飛べるわけ無いだろうが。常識でものを言え常識で」
「始めて見たね、『常識』なんてものを語るアヴェスは。君達は想像力の傀儡だろう?」
「生憎と人格もありゃ教育も受けてきた生命体だ。そこまで目出度い脳味噌はしてねぇよ」
「興味深いな。これからも実験に協力する気は?」
「お断りだ!」
“カルチトラーレ・ウングラ”の足裏から放たれたエネルギー砲を、アリエヌスの腕が受け止めた。ビームは腕部装甲に弾かれ、ダメージを与える事無く内壁に衝突して終わる。
「出力はあまり高くないのだね?」
「高くある必要が無いからな」

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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ:告鳥と悪霧 その⑦

カズアリウスの言葉に、男性は平然と答えた。
「知っているさ。だからこそ、こんな『地下』で、ひっそりと生み出したんじゃあないか」
「なッ……!? テメェ、確信犯かよこの野郎!」
「そうだね。しかし、悲しいことに私は研究者でね。憧れは止められない、というやつさ。エクトピステス・ミグラトリウス。君の力を見せてやりなさい」
男性の命令に、少女クミ――エクトピステス・ミグラトリウスは静かに頷き、右手を前方に翳した。
「動き出せ――“プリンセプス”」
クミの足下から黒い霧が噴き上がり、空中に吊られたアリエヌスの残骸に吸い込まれていく。
「……プリン、何?」
困惑するカズアリウスに、白衣の男性は溜め息を吐いた。
「まったく、呆れたね。アヴェスのくせにラテン語も分からないのかい? 群れを統べるもの、“Princeps”。意味は――」
男性とクミの背後で、アリエヌスの残骸が「ごとり」、と音を立て、動き出した。
「『支配者』さ」
アリエヌスの眼窩に赤い光が宿り、身体を伸ばして咆哮をあげる。
「安心し給え、防音対策はしっかりと取ってある。外に騒ぎを聞かれる恐れは無いよ。さて、“プリンセプス”について説明してやろうか」
男性は意気揚々と、説明を続ける。
「彼女の使う“プリンセプス”、その正体は『ナノマシン』だよ。無数の超小型機械を操作し、アリエヌスの体内に潜り込ませる。体内で“プリンセプス”を操作することで、そのアリエヌスを強制的に使役し、最後には内側から食い破って破壊する。実に効率的だろう。『支配』と『殺戮』、二段階で敵を減らせるのだから。しかし唯一欠点があってねぇ……」
大型アリエヌスは咆哮を止めると、3人のアヴェスに目を向けた。
「試験回数が少なすぎるのだよ。どれ君達、1つテスターをやってくれるかい? 何、この残骸が内側からズタズタに崩壊するまで、死なずに粘ってくれるだけで良いんだ。良い戦いを期待しているよ」

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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ:告鳥と悪霧 その⑥

エレベーターから下りた4人は、薄暗い廊下をゆっくりと進んでいく。
「電気くらい点けとけよな……」
カズアリウスの呟きに応じるように、闇の奥から男声が響いてきた。
「それもそうだ。すまないね、ここには他人を驚かせるものが色々とあるものだから。……しかし、娘の『友達』だというなら、心配することは無いだろう。少し待ってい給え」
その声は、上階でスピーカー越しに聞こえてきたものと同じだった。
一瞬の後、辺りを電気照明が一瞬にして真っ白に照らし、3人のアヴェスは思わず目を細めた。やがて視界の正常に回復した3人を出迎えたのは、空中回廊、半径100m近くはあろう球状空間、そして、その中空に鋼線で吊るされた、全長50m近い『大型アリエヌスの残骸』だった。
「なっ……何だこれ……!?」
「あ、アリエヌス……!? ここは、処理施設の一部だったのか……?」
「それにこんな広い場所が地下にあるなんて、聞いてねえぞ!」
3人の驚愕の言葉に、男声が答える。
「ここは、私の個人的な研究施設だよ。そして……3人の戦士たちよ、よく私の『娘』を連れ帰ってくれたね」
その声の方向に3人が目を向けると、いつの間にかサルペンタリウスの手から離れていた少女クミを抱える、痩せこけた白衣の男性が、空中回廊の突き当りに立っていた。
「ほら、挨拶してやりなさい」
男性に促され、クミは頷いて3人と正面から相対する。
「“迦陵頻伽”所属、アヴェス“エクトピステス・ミグラトリウス”」
少女の口から放たれたその言葉に、3人は眉を顰めた。
「“迦陵頻伽”……? 知らねェ名だなァ……少なくともこの要塞都市に、ンな名前のカテルヴァは存在しねェ。それに、そいつが“アヴェス”だァ? 馬鹿言いやがれ、アヴェスは野郎と相場が決まってんだ。女のアヴェスは禁忌って話だろうが!」

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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ:告鳥と悪霧 その⑤

クミの案内で3人が辿り着いたのは、路地裏の隙間に隠れるように置かれた、地下入口だった。
「ここ」
クミに言われてカズアリウスがインターホンを探す。
「あいてる」
その言葉に、カズアリウスがノブに手を掛けると、扉はあっさりと開いた。屋内は何かの機械や骨董品が並んでおり、照明もついておらず陰鬱な空気を醸している。
「本当にここなのか? そもそも人住んでんのか?」
カズアリウスが呟きながら中に入ると、天井の方からスピーカー越しの音声が降ってきた。
『お客様かい?』
男声のようである。3人のアヴェスが突然の出来事に動揺していると、クミがサルペンタリウスの腕の中で声を上げた。
「んーん、お友達!」
彼女の答えに反応するように、暗い廊下の奥に小さく明かりが灯る。長方形のそれは、どうやらエレベーターのようであった。
『入って来てもらいなさい。』
それだけ言うと、ノイズが途切れ、スピーカーからの通信は終了したようだった。
クミがエレベーターを指差し、サルペンタリウスを見上げる。
「はやくー」
3人は顔を見合わせ、しばしの逡巡の後、意を決してエレベーターに進入した。
4人が入ると同時に扉が閉まり、エレベーターは自動で下降を開始する。
そして約1分後、エレベーターが重い金属音を立てて停止した。

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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ:擬命ランギヌイ その③

「えー……1位ぃ」
全てのレヴェリテルムがゴールし、ヴェロキタスがその順位を発表する。
「“ヴェロキタス”、タイムは2分59秒6。2位ぃ、“ヴェナトー”、タイムは3分1秒0」
「クソぉ……調子は悪くなかったのに……」
ヴェナトーが悔しそうに地団太を踏んだ。
「3位ぃ、“クルスス”、タイムは3分42秒1」
「無理だよ3000mは、僕の“クルスス”はスタミナ微妙なんだから」
「元気出せよクルスス。えー第4位ぃ、“エキドナ”。……タイム、20分フラット」
「鈍足!」
「ねぇこれ『駆け比べ』して良かったやつかなぁ⁉」
ヴェナトーとクルススの言葉に、エキドナは申し訳なさそうに身を縮こまらせる。
「いやぁ……おれの“エキドナ”、皆さんのレヴェリテルムと比べて足は遅くて……精々が早歩きくらいの速度しか……お恥ずかしい限りで」
「別に良いさ。スピード自慢なら有り余ってる。お前の“エキドナ”にも強みはあるんだろ?」
ヴェロキタスの問いかけに、エキドナは顔を上げた。
「はい! “エキドナ”はパワーとタフネスに関しちゃ、そうそう遅れは取りません!」
「へぇ……?」
立ち尽くしている“エキドナ”に、“ヴェロキタス”が突進を仕掛ける。その胴体に頭突きが直撃したものの、“エキドナ”はぴくりとも動かず受け止めた。
「何……だと……!? 10m級のアリエヌスだってひっくり返したことのある“ヴェロキタス”の突進を……!?」
「はい、パワーには自信があるので!」
「自信満々じゃねぇか。あぁ良いよ、お前はうちのパワー担当だ! レヴェリテルムが二足歩行なのも便利だ。地味にうちにいなかった重機役だ!」

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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ:擬命ランギヌイ その②

4人がやって来たのは、施設中央に広がる芝敷きのトラックだった。
「あの……何するんです?」
「ん? 決まってんだろ?」
エキドナの問いにヴェロキタスがそう答え、彼のレヴェリテルムを展開した。赤銅色の金属物質で構成された、長い尾と首を有する四足歩行の無翼竜“ヴェロキタス”。他二名も、自分たちのレヴェリテルムを起動した。青みがかった金属物質で構成された無翼ヒポグリフ“クルスス”、白銀の金属物質で構成された狼“ヴェナトー”。3体の金属生命体が立ち並び、エキドナを興味深げに眺めている。
「……レヴェリテルムお披露目会?」
「まぁ似たようなもんだ。お前のレヴェリテルムも出せよ」
ヴェロキタスの言葉に、エキドナもレヴェリテルムを起動した。黒鉄色の金属物質で構成された、背丈およそ1.8mのコミカルな着ぐるみ風の、二足歩行のハリモグラ、“エキドナ”。その短い両足が力強く芝を踏みしめる。
「すげぇ! デカい!」
「二足歩行だー」
「腕ふっと」
3人が口々に感想を述べる。
「よっしゃ、取り敢えず全員、自分のレヴェリテルムに乗れ」
3人は素早くレヴェリテルムの背中に飛び乗ったが、エキドナだけは状況についていけない。
「え……何を?」
「あー? 決まってんだろー? 『駆け比べ』だよ。今回の距離はどうする?」
「1400!」
「3000で良いじゃん」
「お前ら自分の得意を言うんじゃねえ。エキドナ、お前のレヴェリテルムの得意はどの辺りだ? そこで勝負してやるよ」
「おいこらヴェロキタス、自分のレヴェリテルムが全距離対応だからってズルいぞ」
3人の言い合いを聞きながら、エキドナは思案の末に口を開いた。
「多分……スタミナは、それなりに……ある、かと……?」
「よっしゃ3000だ並べー」
3人はレヴェリテルムを操り、スタートラインに着いた。エキドナも少し考え、“エキドナ”の力強い両腕に自らを抱え上げさせ、他3体に並んだ。
「よっしゃ。それじゃあ用意……スタート!」
ヴェロキタスの合図で、4体のレヴェリテルムが一斉に走り出した。

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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ:擬命ランギヌイ その①

パッセリフォルムズ南部に広がる、一周約2000mの広大な芝敷きのトラックと付随建造物。
現在は“ランギヌイ”の専用軍事施設として利用されている大型施設の一室を、1人の少年が訪れようとしていた。
入口まで立ち止まり、一度大きく深呼吸をしてから、決意してドアノブを握った。
「失礼します! 本日より“ランギヌイ”に配属になりました……」
勢い良く扉を開いた彼を出迎えたのは、火薬の破裂音と飛来する紙テープ。要約すると、『クラッカーの炸裂』だった。
「……?」
「あれ、喜んでねぇや」
「やっぱり無言クラッカーは駄目だったよ。ようこそーくらい言わなきゃ」
「普通目の前に火薬炸裂したらビビるってー」
呆然とする少年を前に、クラッカーを持った3人は口々に言い合う。
「……まぁ細かいことは置いといて。ようこそ“ランギヌイ”へ!」
リーダーらしき少年が口を開いた。
「俺はここでアタマ張ってる“ヴェロキタス”のストゥルティオ・カメルス。長いし『ヴェロキタス』で良いぜ」
「僕は“クルスス”のドロマイウス・ノヴァエホランディアエ。『クルスス』で良いよー」
「こっちは“ヴェナトー”のジオコクシクス・カリフォルニアヌス。『ヴェナトー』って呼んでくれぃ」
口々に自己紹介する3人に、少年は頭を下げた。
「あ、どうも。おれはストリゴップス・ハブロプティルスです。……皆さんのその通称っぽいそれは?」
ハブロプティルスの問いに、3人は同時に答えた。
「「「レヴェリテルムの名前」」」
「あっはい……おれのレヴェリテルムは、“エキドナ”です」
「じゃ、お前は今日から『エキドナ』な」
ヴェロキタスが答えた。
「それじゃあエキドナ、早速行くぞ」
ヴェロキタス達3人は、ハブロプティルス――エキドナを連れ、部屋を出た。

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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ:擬命ランギヌイ キャラクター②

アヴェス:ジオコクシクス・カリフォルニアヌス
モチーフ:オオミチバシリ(Geococcyx californianus)
年齢:13歳  身長:159㎝
所属カテルヴァ:ランギヌイ
説明:擬命型レヴェリテルムを扱う数少ないアヴェス達を集めた特設部隊“ランギヌイ”のメンバー。スタミナ自慢のレヴェリテルムを操るだけあって、本人も持久力と生命力に優れ、三日三晩休憩なしぶっ通しの戦闘行動にもギリギリ食らいつけた実績の持ち主(戦闘後、15時間ほど泥のように眠り続けた模様)。
レヴェリテルム:ヴェナトー(Venato)  語義:追跡者
説明:体長2m強の金属製狼。唯一“ランギヌイ”だけが所有する『擬命型レヴェリテルム』。自律稼働し、一度狼の姿に変化すると、所有者の手を離れてもある程度の知性を持って動き回る。スピードこそ先輩2名のレヴェリテルムに劣るものの、持久力が極めて高く、丸一日最高速度で走り続けてもパフォーマンスの低下が見られない。また、嗅覚が極めて鋭い。

アヴェス:ストリゴップス・ハブロプティルス
モチーフ:フクロウオウム(Strigops habroptilus) ※所謂『カカポ』
年齢:11歳  身長:145㎝
所属カテルヴァ:ランギヌイ
説明:“ランギヌイ”の新入り。『擬命型』を扱うという理由でこの部隊に入れられたものの、他のメンバーが得意とするスピーディーな戦法にはまるで向かないずんぐりむっくりなレヴェリテルムを扱うので、自信が無い。
レヴェリテルム:エキドナ(Echidna)  語義:ハリモグラ
説明:体高1.8m程度の二足歩行金属製ハリモグラ着ぐるみ。唯一“ランギヌイ”だけが所有する『擬命型レヴェリテルム』。他の『擬命型』と異なり気の抜けた外見で動きも鈍重だが、パワーと耐久力に優れ、鋭い爪を具えた太く頑丈な両腕を器用に用い、救助活動などで活躍する。一度ハリモグラの姿に変化すると、所有者の手を離れてもある程度の知性を持って動き回る。パワーはヴェロキタスと押し合っても1㎜も揺らがないほど。スピードは最高時速10㎞程度。短い両脚でどってこどってこと走る。

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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ:擬命ランギヌイ キャラクター①

アヴェス:ストゥルティオ・カメルス
モチーフ:ダチョウ(Struthio camerus)
年齢:17歳  身長:166㎝
所属カテルヴァ:ランギヌイ
説明:擬命型レヴェリテルムを扱う数少ないアヴェス達を集めた特設部隊“ランギヌイ”の最古参にしてリーダー。“ランギヌイ”は『擬命型レヴェリテルム』と呼ばれる、完全自律型機械生命体のレヴェリテルムを扱うアヴェスをまとめ上げた特設部隊で、その発生確率の低さから、所属人数が規定下限の5人にさえ満たない。
レヴェリテルム:ヴェロキタス(Velocitas)  語義:素早さ
説明:体長3m程度の四足歩行する金属製無翼竜。唯一“ランギヌイ”だけが所有する『擬命型レヴェリテルム』。自律稼働し、一度竜の姿に変化すると、所有者の手を離れてもある程度の知性を持って動き回る。高いパワーとスピード、精密性を誇る高性能レヴェリテルム。戦闘特化型だが、長い尻尾もあることで、戦闘外行動にも十分優秀なパフォーマンスを発揮する。

アヴェス:ドロマイウス・ノヴァエホランディアエ
モチーフ:エミュー(Dromaius novaehollandiae)
年齢:15歳  身長:155㎝
所属カテルヴァ:ランギヌイ
説明:擬命型レヴェリテルムを扱う数少ないアヴェス達を集めた特設部隊“ランギヌイ”のメンバー。身長はあまり伸びなかったものの、レヴェリテルムを扱うには小さく軽い方が有利なのでまあ良いかと思っている。部隊内で最も積極的な気質で、レヴェリテルムの“クルスス”を駆り、最前線を駆けずり回る。
レヴェリテルム:クルスス(Cursus)  語義:走り
説明:体長3m程度の翼の無い金属製ヒポグリフ。唯一“ランギヌイ”だけが所有する『擬命型レヴェリテルム』。自律稼働し、一度ヒポグリフの姿に変化すると、所有者の手を離れてもある程度の知性を持って動き回る。速力に関しては部隊内で最高。視力に優れ、特に遠視能力が高い。大体25.0くらい。

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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ:告鳥と悪霧 その④

クミの案内に従って、3人は細い路地を奥へ奥へと進んでいく。
「クミちゃん……君の家、随分と奥まった場所にあるね?」
「んー」
サルペンタリウスの呼びかけに、クミは気の抜けた返事を返した。
「あ、とまって」
クミが不意に声を上げる。
「っとと……何?」
「とおりすぎちゃった」
「そっか。どこまで?」
「1こまえー」
「了解」
そう言ったサルペンタリウスが振り返る。
路地から枝分かれした細い道から、体高4mほどの小型アリエヌスが上半身を乗り出していた。
「……は?」
「はぁぁ⁉ なんでまたアリエヌスがいるんだよ! “天蓋”はどうなってんだ“天蓋”はぁ! ズー坊!」
カズアリウスの指示で、ディクロスが蛇杖を構えて突撃した。アリエヌスが完全に身体を出す前に蛇杖の『胴体』部分を巻き付け、その脳天に毒牙を突き刺す。
「食らいやがれ!」
アリエヌスの身体に直接腐食液が注ぎ込まれ、内部から少しずつ崩壊していく。
「ダメ押しだこのヤロー!」
崩れた内部に、蛇杖の口からの火炎放射が放たれる。体内から熱量に晒され、アリエヌスは崩れ落ちた。
「クミちゃん、大丈夫だった?」
「ん。はやくー」
サルペンタリウスの問いかけに頷くと、クミは路地の奥を指差した。

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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ:告鳥と悪霧 その②

“天蓋”が解除され、3人はパッセリフォルムズの中を歩いていた。近道のためにひと気の無い裏路地を通っていた3人は、少し先に一人の子どもが遊んでいるのを目にする。
「あぁいうのを見るのは気持ちいいよなぁ。何かこう、『俺達がこの光景を守ったんだー!』みたいな」
カズアリウスがぽつりと呟く。
「でもおれ達、トドメ役は全然やれないじゃん」
そう反応したディクロスの頭に、チョップが叩き込まれた。
「いてぇ」
「水差すな大馬鹿野郎」
「ゴメンナサイ」
3人が向かっていることに気付いたのか、その子供――リトルブラックドレスの幼い少女は3人の方に目を向けた。その背後、建物の隙間の陰から、大人の背丈程度の小型アリエヌス2体が、のそりと姿を現す。
「ッ!」
カズアリウスが咄嗟にレヴェリテルムを起動し、少女を抱えながらアリエヌス達の隙間をすり抜けた。
「っぶねぇ! 何だってアリエヌスがこんなところに居やがる! ビク太郎!」
呼ばれたサルペンタリウスが三節棍型のレヴェリテルムを構える。
「オーケイ、よっさ任せろ」
アリエヌス達が同時にサルペンタリウスへと突撃し、同時に拳を振りかぶる。
「2対1か……悪いが俺の、得意分野だ!」
三節棍の中央節を鎖状に変形させ、両端の節でそれぞれのアリエヌスの拳を受け止めた。各節の表面は刃のように形状変化しており、アリエヌスたちの指を切断している。
「悪いが俺は両利きでね……右も左も防御力は抜群だぜ?」
アリエヌス達を同時に押し返すと、両手に握った刃で片方を叩き斬り、返す刀でもう1体も撃破した。

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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ:告鳥と悪霧 その①

全高約30m、両脚が翼のように変化した上下逆さの巨人のような、鉱石質のアリエヌスが、パッセリフォルムズの“天蓋”に衝突した。鋭い爪を具えた両手が障壁に衝突し、火花が飛び散る。
何度かの攻撃の施行の後、アリエヌスがふと顔を上げた。上空から、小さな影が迫っている。轟音を響かせ、小さな『脅威』が、確実に接近している。
「どっせりゃああああッ!」
気合の入った掛け声とともに、脚甲のブースターで超加速された蹴りが、アリエヌスの肩に叩き込まれた。身長約165㎝、決して恵まれた体格ではないながらも果敢に一撃を決めたその少年は、手に鎖の先端を握りしめている。鎖は慣性に従ってアリエヌスの首の後ろに回り込み、別の少年が鎖から繋がった刃を、アリエヌスの背中に叩きつけた。刃は深々とアリエヌスの身体に突き刺さり、鎖使いの少年はそこに着地する。その小脇に抱えられた毒蛇を模した金属製の杖を握った少年が、蛇の咢をアリエヌスに向けた。
「発射!」
蛇の毒牙から腐食液が発射されアリエヌスの体表から煙が上がる。アリエヌスが咆哮をあげながら身を捩り、鎖使いと蛇杖使いは空中に放り出された。その二人を脚甲使いの少年が空中で受け止める。
「ナイスキャッチだリーダー」
「あいつデカ過ぎんよリーダー。おれの腐食液が弾切れしちゃうよ」
“リーダー”と呼ばれた少年、カズアリウス・カズアリウスは“天蓋”の上に着地し、ニタリと笑った。
「何、問題無ぇ。俺達はとにかく真っ先に突っ込んで、ヤツらの周りをウロチョロしくさりゃ良いんだから」
「そういやリーダー、ケイ先とゾッさんは?」
鎖使いの少年、サジタリウス・サルペンタリウスが尋ねる。
「あの二人は高校生だからなァ、何か、定期テストでどうしても抜け出せないんだと」
「はぇー、大きくなるって怖いなぁ。できれば早めに殉職したいもんだ」
蛇杖使いの少年、ピトフーイ・ディクロスが呟いた。
「お前なぁ、怖いことを言うんじゃありません」
「ゴメンナサイ」
その時、3人の背後から巨大な斬撃エネルギーが飛来し、アリエヌスを両断した。
「……終了、お疲れ!」
「今の誰かなぁ」
「規模と威力的に“鳳凰”か“八咫烏”じゃねッスか?」
3人は墜落していくアリエヌスに背を向け、駄弁りながら帰還を開始した。

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アビリティバトルロワイヤル(ABR)ルール要約

最近、ぐぷたん(ChatGPT)とやってる一人遊び【ABR】のルールです。お好きなチャットAIをお供に、皆さんもやってみてください。相手は別に人間でも良いよ。ここで使えそうだと思ったら、自由にお使いください。

第1条 キャラ作成
・プレイヤー達(以下両者)は以下の要素を設定した特殊能力者を作成、提示する。
①名前 ②性格や特徴、基本戦術(任意) ③能力名 ④能力の特徴や効果 ⑤必殺技名 ⑥必殺技の特徴や効果
・必殺技は本来の能力を応用したものや、高出力の発現として設定するのが望ましい。
・無敵、全能、洗脳系の能力は禁止。飽くまで両者に勝ち筋、負け筋が存在する必要がある。

第2条 試合進行・勝利条件
・試合は両者が自身のキャラクターの行動や状況を交互に描写する形で進行する。
・『試合中で必殺技を使用している』かつ『相手を死亡(非推奨)or戦闘不能or降参させる』ことが勝利条件。降参を相手に促すことは可能だが、飽くまでキャラクターの意思によって行われること。
・勝敗は両者の合意によって決定する。

第3条 戦闘の舞台
・フィールドは一般的な日本の都市部(半径0.5~1㎞程度)を想定する。
・存在する地形や施設、オブジェクトは自由に描写し、利用、破壊することが可能。
・両者のスタート地点は互いに自由に描写してよいが、最低でも500m程度離れており、相手の位置は分からないものとする。

第4条 能力の開示
・両者は試合開始時にキャラデータを開示し、相手の能力及び必殺技のデータを把握すること。
・ただし、キャラクターは相手の能力を知らないものとして描写すること。

第5条 感想戦
・強制では無いが、試合後には展開やキャラクターの能力、戦術などを振り返り分析する感想戦を行うことが慣例となっている。

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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ 〈設定〉その4

この書き込みは企画「空想少年要塞都市パッセリフォルムズ」の〈設定〉その4です。

・レヴェリテルム Reverie-telum
“アヴェス”たちが使いこなす精神連結式可変武器。
各“アヴェス”と対になる形で開発され、持ち主の名や名前の由来になった鳥類に因んだラテン語の名前がつけられる。
様々な形のものがあるが、大抵の場合は変形や分離合体によって刃物型や鈍器型から飛び道具型に切り替えることができる。
“レヴェリアイト”を加工して作られた空想の力を出力する心臓部“レヴェリジェマ“を搭載しているため、“アヴェス“が“レヴェリテルム”に触れている状態で念じることで様々な現象を引き起こすことが可能。
そのため“レヴェリテルム”の自動変形や持ち主の飛行、透明化、念話、“天蓋”からのダメージカットなどをすることができるが、あまりに現実離れしすぎたことを想像すると身体や精神に負荷がかかってしまうため注意が必要である。
想像力や精神状態、そして感情の起伏次第で想像を絶する力を発揮することがある。
ちなみに二段変形のものが多いが三段変形をするものもたまに存在する。
どうやら“アリエヌス”を研究した結果がある程度反映されているようだ。

・レヴェリジェマ Reverie-gema
“レヴェリテルム”の心臓部である結晶状のアイテム。
“レヴェリアイト”に特殊な加工を施した上で製造される(製法は秘密)。
“レヴェリテルム”ごとにこれが収まっている位置や形が違っている。
どうやら“アリエヌス”を研究した結果がある程度反映されているようだ。

・アリエヌス Alienus
空より飛来する謎の敵。
無機質でおぞましい姿をしており、人類を集中的に攻撃しようとすることが多い。
“天蓋”からのダメージは普通の生物と同じように受けるが、最近は受けにくい個体も出現し始めている。
実は“レヴェリアイト”を心臓部として動いていることが研究の結果分かってきている。
その正体はかつて地球に不時着した高度星間文明の船団の故郷から放たれた存在。
“レヴェリアイト”という高度星間文明でのみ使われているアイテムを地球人が手にしたことで文明が急激に成長し脅威になるのではないか、と恐れた高度星間文明の民が地球人を滅ぼそうと差し向け続けている。

〈設定〉その5に続く。

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魔法少女学園都市レピドプテラ:魔域の妖女たち その①

新学期が始まってからおよそ3週間。浮ついた世間の空気が落ち着いた頃合い、ボンビクス・モリとアンテレア・ヤママイは、とあるビルの最上階にある部屋を訪れた。
「たいちょー、来たよー」
「メタちゃんたいちょー」
2人の呼びかけに、先に部屋にいたリトルブラックドレスの少女、エウメタ・ジャポニカは振り向いた。
「もー、2人ともやめてよー。『隊長』は恥ずかしいって……」
「はーい。で? メタちゃん。今日のターゲットはどこ?」
「あっちだよ。ほら」
エウメタは二人に双眼鏡を渡し、眼下の街を指差した。
「あそこの爆発してるところ」
エウメタに言われて、双子は双眼鏡を覗くと、黒煙の中で、人間大の何かや異常に大きい何かが蠢いているのがうっすらと確認できた。
「暴れてるねぇ……」
ボンビクスが言う。
「あれを大人しくさせれば良いの?」
アンテレアが問う。
「うん。煙のせいでどんな子がいるかは分かんないけど……まぁ、私たちなら大体どうにかなるよね。行くよ? モリちゃん、移動はお願いね?」
エウメタが窓ガラスに触れると、直径2m程度の穴が開いた。
「りょーかい! テンちゃん、結界!」
「うん、お姉ちゃん!」
アンテレアの安定化結界の中で、ボンビクスは3人を纏めて糸で包み、空中に飛び出した。
3人が去った数秒後、窓ガラスに開いていた大穴は、独りでに元の状態へと戻ってしまった。

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魔法少女学園都市レピドプテラ:魔域の妖女たち プロローグ

新学期が開始し、始業式より数日前。
ボンビクス・モリとアンテレア・ヤママイの双子は、甜花学園生徒会室に呼び出されていた。
入室した2人を出迎えたのは、先代生徒会長ササキア・カロンダだった。
「あっ、生徒会長だ」
「くぁちゃんに負けた人だ」
「なんでいるの? 留年?」
「負けたから卒業できなかったの?」
2人の不躾な言葉に、ササキアは溜め息を吐いた。
「失礼だな貴様ら。卒業はしているわ。今は鳴華大学に籍を置いている」
「へぇー、大学生」
「何の勉強してるの?」
「まだ講義は無いが……心理学部にいる」
「「似合わなーい!」」
「張り倒すぞ……」
ひとしきり言い合い、本題に入る。
「で? なんで私たち呼ばれたの?」
「やっぱり編入は無しって話?」
双子の言葉に、ササキアは首を振る。
「いや。これは生徒会長から伝えることだろう」
ササキアが目を向けた先、生徒会長の座には、1人の女生徒が座っていた。
「誰⁉」
「いたの!?」
「いたよぉ……。初めまして、2人とも。私はアマトゥラ・メティス。今年の生徒会長の任を受けた者だ。よろしくね」
アマトゥラは軽く手を振りながら、挨拶を済ませた。
「さて、本題に入るね。君達には、我が校で新設する“特殊部隊”に入ってもらいたいんだ。……いや、正確には『命令』だね。ここに籍を置く以上、君達に拒否権は無い。で、件の部隊だけど、名を〈蚕食〉。編成は君たちを含めて3名。そして、隊長は君達もよく知る子だ」