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世にも不思議な人々62 緊急招集

キタ「はーい全員集合ー」
初「何だ何だ」
キタ「朗報だよー」
真琴「だから何だ。早く言え」
キタ「なんとですねー、だいぶ前から出てたコラボの件、向こうからOKもらえましたー」
那由多「ぃよっしゃ!」
伏見「で、誰が向かうんだい?」
キタ「そうなんだよなー、問題はそこなんだ。まずあんまり多人数だといろいろ面倒だろ、こっちにも何人かは残しとく必要あるし。という訳で、まず一人、なっちゃんは確定としてー、あと三人くらいかな?」
那由多「じゃあ安芸ちゃんは連れていきたい」
キタ「了解、じゃああと二人。そういや移動要員はどうする?」
伏見「んじゃあそれは僕が務めよう」
キタ「良し、………んー、じゃあもういっそ残り一人は萩ちゃんで良いね?」
萩『……え、私?』
キタ「そうそう。折角だから親衛隊で揃えちゃうかなって。誰か異論は?」
初「無し」
真琴「無い」
阿蘇「無いナ別に」
キタ「ああ、君いたの。人間モードだと影薄いねー」
ヌエ「別に構わんよ」
キタ「お前もいたのか。何、みんな暇なの?」
ヌエ「自分で呼んどいて何言ってんだか」
キタ「まさか来るとは思わなかった」
ヌエ「だから来たんじゃないか」
キタ「本当、変な能力だよな」
ヌエ「変じゃない能力の方が少なかろうに」

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文学少女(7)

「~♪。……。聴こえた?」
 一曲全て歌い終わった後、その子が聞いてきた。
「……うん……」
「ね? 本が読めなくても、まだ楽しめるものはあるでしょ?」
「えっ!?」
 私は、その言葉に驚いた。
『そうか……。私にはまだ音楽があるんだ……』
そう思ったら、私は自然と部屋の鍵を開けていた。私が部屋の外に出ると、
「えっ!?」
と言うその子の驚いた声が聞こえた。
「○○ちゃん、どこ?」
手を伸ばし、その子の居る場所を探していると、ふいに何かに包み込まれた感触がし、抱きしめられた事が分かった。
「えっ……!?」
突然の事に驚いていると、その子は私の耳元で
「私はここに居るよ」
と囁いた。その言葉を聞いた途端、私はその子に縋りついて泣いていた。
 そこから、私は○○ちゃんと一緒に生きるために頑張った。
          ※
「夢上さんでした~!!」
「……お疲れ様。はい、水よ」
「ありがとう」
 音楽に助けられた私は、その後「盲目の女性シンガー=夢上もね」として活動し、毎週オリコントップ10入りする程のとても有名な歌手になった。
 私は決めたのだ。盲目である事を憎むのではなく、その他の事で楽しもうと。
 もちろん、あの子と一緒に……。
  
~終~

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場内アナウンス(あとがき)

みなさんこんにちは、fLactorです。
先日の掲示板夏祭りへの参加、ありがとうございました。
皆さんのおかげで大成功のうちに終幕を迎えることができました。
お知らせですが、あとで掲示板夏祭りのまとめを作成しようと思っています。載せるのは今回の企画で使われたタグ「夏祭り」「思ひ出の詩」「百鬼夜行」のいずれか一つでも入っていた作品です。ご理解のほどよろしくお願いします。

夏祭り、楽しかったですか? と言っても皆さんは実際に会場に足を運んだわけでもなく、屋台に目を輝かせたわけでもなく、まして花火を見ることもありませんでした。この掲示板夏祭りでは言葉のみが唯一あなたの視覚、味覚、聴覚、嗅覚、触覚となり、あなたに夏祭りを届けるのです。そう、あなたは文字を読み、言葉として理解して夏祭りの会場を散策することができ、自らの夏祭りを想像し、それを言葉に直し、文字として投稿フォームに打ち込むことでこの祭りに参加できるのです。
今回の唯一の参加資格はそこでした。当たり前のことながら、この世界を見るとなかなかどうしてそれは難しいことでしょう。我々が言葉を解する、それで以て想像できるということがなんと素晴らしいことでしょうか。
あなたの中の夏祭りの一端を、電柱の陰から、路地裏の隅から、遠い入道雲の上から覗くことができたなら、これほど心躍ることはありません。

皆様に、心よりの謝辞を。

さて、9月辺りにめめんとさんが何か企画しているようですね。え? 今は審査員を選考中? 参加希望の生徒は書き込みのレスか廊下にて受付中だって?
……果たしてどうなることやら、見逃せませんね!(血眼)

コホン。

以上、掲示板夏祭り実行委員のfLactorでした。ご静聴ありがとうございました。
まだまだ暑い日が続くので体にはお気をつけて。

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神の夏祭り

へへっ変化成功!
さてさてぶらぶらするかー…
…うぉっ!?なんだよこの人間の数!
みんな"はなび"とやらを見に来てるんだよな?
これじゃあ"はなび"を見に来てるのか人間を見に来てるのかわかんないっての…
あ、俺は違うぞ!?
俺は想像力を司る神…とでも言えばいいのだろうか。
昔は死神とかいう生意気で優秀なやつが同級生にいたんだぞ?
俺はそれと似たようなやつ神種で、人間の想像力を司ってるって訳だ!
下らない妄想をさせているのも俺。
カンが当たったり当たらなかったりするのも俺が影響していたり。
文字だけを読んで、その風景を投影させているのは…俺の同僚かな…。
んで、そんな偉い存在の俺がなんでこんなところに居るのかというと。
…まぁ、上のひとの命令でっていうか…
「お前は想像力の神のくせに人間への想像力が乏しいっ!」
とか言われて嫌々"まつりかいじょう"にいるってことだ。
決して「楽しそうだったからむしろラッキー」だとは思ってないからな!?
とまぁ、神には肉体がないから人間の男の姿になって潜入している訳だが。
"はなび"の時間までまだあるからなぁ…
人間のことを知るには…よし。
そこらへんのものを食べ尽くしてやるか!
(続)

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掲示板夏祭りのご案内

どうもこんにちは、fLactorです。
きょうは7/31です。終わりますね7月。始まりますね8月。
ということでこのクソ暑い夏休みに心機一転、企画をご用意しました。
長文となりますが、以下が案内状となります。


《ポエム掲示板“夏祭り”のご案内》
◎ルール
 ·夏祭りをテーマにした書き込み
 ·時間帯に沿った書き込み
◎期間:8/1〜8/5までの5日間 ※土日含む
◎プログラム
 ·常設:各種屋台、花火大会(毎夜七時以降)、展示ブース〜思ひ出の詩〜
 ·特設:百鬼夜行(土·日)
◎プログラムに関して(解説)
 ·展示ブース〜思ひ出の詩〜:過去作の展示ブースです。あなたの過去の夏っぽい作品、お気に入りの作品などを再掲してください。
 ·百鬼夜行:土曜日曜は掲示板が稼動しません。それに合わせ、誰もいない祭り会場で妖怪たちに楽しんでもらうというコンセプトのもと、夏の妖怪たちを書いてみてください。長文可。書き込み日時が土曜日曜となるようご協力ください。それ以外の日時に現れた妖怪は……設定次第で楽しくなりそうですね。
◎来場に関して
①すべての会場、プログラムは言葉のみで構成されます。想像力をご持参ください。
②時系列を守ってご参加ください。
③祭り会場はあなたの詩に影響されることはありません。たとえ爆破されても問題ありませんので、存分に暴れまわっていただいて構いません。
④書き込む場所は制限しません。たとえば会場近くにあるあなたのアパートの一室から、あるいは会場全体を見渡せる展望台からなど、どこでもお好きな場所で書き込みください。
⑤会場は一であれど、すべてはあなたの想像力次第です。あなたの中にあるまつりの風景を期待しております。
◎書き込みに関して
タグは「夏祭り」をつけてください。
また展示ブース、百鬼夜行へのご参加の際はそれぞれ「思ひ出の詩」「百鬼夜行」をつけてください。
◎最後に
この企画は僕史上最大の企画です。しかし多くの方に参加して楽しんでいただかなければ意味がありません。
この祭りの成功のために、他でもないあなたのご参加を心よりお待ちしております。

実行委員会:fLactor、月影:つきかげ

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世にも不思議な人々㉗ 乙鳥の世界その①

ある日の朝目覚めると、時間が止まっていた。
こんにちは皆さん、伏見清次です。
何を言っているのか分からないと思う。僕もよく分かっていない。けど、外の様子を見たところ、どうやらマジに時間が止まっているようなのだ。空の鳥は空中に固定されているし、自動車も全て動いていない。歩行者(止まっている)に話しかけてみたけども、やはり反応無し。
では何故僕が動けているのかというと、昨夜懐中時計手に持ったまま寝落ちしたからだ。何故そうなったかは聞くな。『時間に縛られずに行動できる能力』がある。
しばらく街を探索していたところ、僕と同じように動いている人間を見つけた。何と驚き、皆さんご存知、安芸華世さんですよ。
「やァお華さん」
「あれ、チャチャさん。動けるんですね」
「うん。懐中時計の能力」
「懐中時計持ってるんですか?格好良い!」
「そうかい?ところで、これは君が止めたんじゃないんだな?」
「はい。誰なんでしょうね?」
「分からない。にしても長過ぎないか?もう体感三時間くらいは経ってるぜ」
「おー。……あれ、もしかして今、私たちこの世界に二人っきりですかね?」
「えっ、ん、んー……、いや、これをやった奴がいるから最低三人な筈だ」
「今どこか分からないじゃないですか」
「それもそうか。とりあえず早くもとに戻してほしい」
「あ、そうだ!」
「お、どうした?」
「チャチャさんって、一人暮らしなんですか?」
「え、そうだけど」
「お家に連れてってください」
「ごめん、どこでどう繋がればそうなるんだ?」
「私、犯人はチャチャさんの回りの人だと思うんです」
「何故?」
「だって語り手が……」
「分かった。それ以上言うな。つまり僕に関わる場所にいるだろうと?」
「はい、という訳で」
「ええ……。あー……分かった。けど君、あんまり不用意に男の家に行きたいとか言うもんじゃないぞ?」
「チャチャさんのこと信じてるので大丈夫です」
「お、おう。じゃあ行こうか」

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或秘密結社入口会話仲間不仲間見極合言葉(馬鹿長)

「こちらは創業何年になるんですか」
「今年でちょうど、三百年になります」
「ご主人は何代目ですか」
「初代です」
「iPhoneのパスワードは」
「3150、さいこお です」
「好きな音楽は」
「椎名林檎一択」
「本当に?」
「坂本慎太郎とチバユウスケ」
「きゅうり好きですか」
「アレルギーです」
「トマトは?」
「今ポケットの中に」
「今何時?」
「マクロファージ」
「ここはどこ?」
「南ブータン村」
「色即是空」
「不規則に食う」
「空即是色」
「食う得レシピ」
「一切合切全ては空」
「実際問題食えれば食う」
「…せーのっ」
「「お父さんいつもありがとう」」
「からの?」
「「アミノ酸+オリゴ糖」」
「海!」
「川!」
「齋藤!」
「飛鳥!」
「かわ!」
「いい!」
「写真集買った?」
「買いました!」
「どこで?」
「もちろん!」
「「Amazonで!」」
「…」
「…」
「スパイナンバーを言え」
「3928です」
「本当は?」
「7です」
「いいだろう。入れ」
「あの…ホントにこれって必要ですかね?」
「しょうがないよ。上の命令だもん。」
「ですよね。お疲れ様です」
「今度飲み行くか」
「良いですね。」
「…!」
ーーーーーーーーーバキュンーーーーーーーーー
「結構情報漏れてるな…。あと少しで入られるところだった。」
情報管理が大切な時代ですね。と、マダムは笑った。

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世にも不思議な人々㉓ 回避の限界にチャレンジ

安芸「こんにち…うわっ。何やってるんです?」
萩『おーやっと来た。リー…安芸ちゃんも早く来て!』
安芸「ちょっと皆さん?何故にその人吊られてるのです?」
キタ「前回言ったろ?回避性能の限界にチャレンジするのさね」
初「おーい早く始めておくれェ……。頭に血が登るゥ………」
キタ「了解!さあさあ皆様。こちらに用意されましたのは、ナーフ都合125台。X-shot都合70台。弾はそれぞれ五回は再装填できます。BB弾を撃ち出すエアガンが合計8丁。弾は全部で2000発。スリングショットも3台。弾は…確か500発くらいあったかな?ダーツが80本。あとはブーメランが7本。これら全部初君に向かって撃ち込みます!全て避け切ったら拍手喝采モノ!ああ、因みに初君には目隠しもしてもらいます」
伏見「うへえ無慈悲」
滝沢「日頃の仕返し、させてもらうぜ!」
キタ「全員銃は持ったね?撃ち方ー、始め!」
 ・
 ・
 ・
伏見「全弾撃ち尽くしたかな……」
キタ「予想はしてたけどまさか全部避けるとは」
那由多「こいつも化物だったか」
初「こいつって言うな…僕年上ぞ…。あー疲れた。どこから何が来るかは分かるんだがよ……集中しなきゃなんないのがキツイな」
安芸「ところで一つ良いですか?さっきまで逆さ吊りにしてた縄を支えてたその巨人は何者なのです?」
萩『ああ、それについては私が説明するよ。彼はこの間会った能力者の…』
阿蘇「オーイお嬢。萩美帆嬢。俺の本名ハ言うなと言ってるヨナ?言わないトは思うガ念を押しトクゼ」
萩『おっと。えっと、彼は…阿蘇さんです。能力は「森のくまさん」。人外になる能力だとか』
安芸「へえ……。阿蘇さん、初めまして。安芸華世と申します。以後お見知りおきを」
阿蘇「オウヨロシク」
キタ「まあ、僕は君の本名知ってるんだけどな?言ってやろうか?フフフ」
阿蘇「アア?テメーぺっちゃんこに潰シテくれようカ?」
キタ「おお怖い怖い」

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世にも不思議な人々㉒ みんなで鬼ごっこ!

キタ「というわけで今日は、みんなでケイドロをやりたいと思います!」
滝沢「どういうわけだよ。ってかケイドロって何だ。それを言うならドロケイだろ?」
伏見「え、ドロジュンじゃないのか?」
初「ドロ、何?」
伏見「泥棒と、巡査」
キタ「ご当地ネタは置いといて。鬼は一人。捕まった時点でアウト。制限時間は20分。範囲は噴水の公園敷地内。良いね?」
那由多「良いけど。鬼は?」
キタ「そりゃあ勿論……」
滝沢「……俺か」
キタ「そう!じゃあ一分間は動くなよ?よーい、スタート!」

2分後
萩『いやー』
那由多「全員」
キタ「捕まって」
安芸「しまいましたね」
伏見「オータロー以外な」
萩『まさか開始三秒で捕まるとは』
那由多「ボクはその5秒後。素の身体能力には自信あったのに……」
キタ「見えてたからいけると思ったんだがなぁ。30秒もたなかった」
安芸「やった!女子で一番!」
伏見「いくら短距離とはいえさぁ、瞬間移動に対応するあいつ何なの?あと僕、時速50kmは出してたんだが?僕は大体50秒辺りで捕まったんだったかな」
キタ「あれ、お前瞬間移動なんてできたっけ」
伏見「ワイヤーキーホルダーの能力。『最大5m後方への瞬間移動』の能力らしい」
安芸「うわあすごい。私も能力使えば良かった」
キタ「で、ハツ君は…。おお、やるな。逃げてる逃げてる。みんなにも見せてやろう」
伏見「いや、何も見えない。残像すら見えないって何?化物?」
那由多「ボク達にも見えるようにしてよ」
安芸「私には見えるんですけどねえ?」

更に18分後
初「よっしゃ逃げ切った………」
滝沢「ああクッソ!また捕まえられなかった!」
キタ「いやー二人ともすごかったよ」
那由多「ホントホント。途中から不可視レベルの速度だったものね。ほら見てよ、木が数本折れてる」
伏見「いや良く数本で済んだな⁉」
安芸「すごい能力ですねー」
萩『おめでとうオータロー』
滝沢「そういや何でこんなことを?」
キタ「ん?君の能力の限界にチャレンジしただけだが?そうだ、ついでに他のやつでも試してみよう」
初「え、てことはもしかして僕も何かやるの?」
キタ「Exactly(その通りでございます)。次回を楽しみにしてな」

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世にも不思議な人々⑳ キタさん難受けるその2

で、どこまで話したっけか…。そうそう、能力の影響が空間全体に及んでいたってところまでだ。出られないのは困るのでまず僕は状況の把握をしようと試みた。さっきとは違って、実際に空間を歩き回って壁がどこにどのようにあるかを触って確かめて、そのイメージを可視化したのだ。これなら問題無く壁が見える。
で、分かったのは、空間は4m立方に区切られていて、隙間なんてものはないってこと。
………どうやって出ろと?無理だよ。詰みだよ。……まあ、出られたからここで話してるわけなんだが。
まず僕はこの能力が誰のものなのかを考えた。やはり怪しいのはあのマイマーだ。何せ消えちまったんだ。ただの大道芸人なわけがない。そもそもあんな意味ありげな登場したのにモブなんておかしいだろ?やはり奴が本体と見て間違いないだろう。
ではどのような能力なのか?その時の状態をそのまま言うなら、『中に入った者を閉じ込める空間を作り出す能力』だろうか?だとしたらそれこそ詰みだ。
いったい何故こんなことをするのか?純粋に誰かを閉じ込めて楽しんでるとか?それはまず無いだろう。閉じ込めることそのものが目的なんてサイコパス、そういない。だとしたら捕獲?回収に来ないのならそれも違う。
………まあ、面倒くさいので、真相を『可視化』してやりましたよ。ホント僕の能力便利。
それで無事脱出できたわけなのだ。どうやったかって?簡単なことだ。この能力の正体は、『パントマイムのアクションを現実にする』というものだったんだ。だから壁に近寄って、ドアを開けるような仕草をしたら、手応えがあって、空間に穴ができて、そこから出られた。能力の影響下なら他者のパントマイムも現実にするなんて、すごい能力だよ。
で、空間を出たら、どこからか紙を折り畳んだものが落ちてきた。文章が書いてあるようだ。それを読んだ僕は、今度こそびっくり仰天、驚いた。内容についてはまた次回な。

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世にも不思議な人々⑲ キタさん難受けるその1

やあやあどうも、こんにちは皆さん。最近暑いなー、なんて思ってたら今度は梅雨入りで逆にひんやりし過ぎるくらいなお天気の今日この頃。元気にやってるかい?え、お前誰だよって?タイトル見ろよ、キタさんだよ。こんな雰囲気の夜に一つ怪談でもしようかと思ってね。まあ聞いてくれ。
これはこの間実際に僕自身が体験した話なんだ。仕事の都合でちょいと人通りの少ないところを歩いていたんだ。え?僕の仕事が何かなんてどうでも良いだろ?するとパントマイマーが一人、芸を披露してたんだ。それを見てたら、そいつ芸を止めて建物の隙間の細い所に入っていったんだよ。これは興味深いな、と思って後をつけたんだ。ああ、仕事は別に急ぎじゃないから良いの。で、しばらく進むと4m四方くらいの空間に出たんだよ。中庭みたいなものなのかな?いやそんなはずは。
ここからがミステリー。あのマイマーは居なかったんだ。行き止まりだったし分岐も無かったから居ないわけは無いのに。
おかしいなあ、と思ってその空間から引き返そうとしたら、来た道に入れず、何か透明な壁に阻まれたのだよ。少し驚いたが僕はそう簡単に焦ったりしない。僕が戻るのを阻んだものを『可視化』しようとしたんだ。ところができなかったんだ。何も可視化出来なかった。まるで阻んだものなど存在していなかったかのように。けど何かあるんだよ。だから今度は『何者かの能力の影響』を可視化してみた。こんなおかしなことは何かの能力でなきゃあり得ないからな。流石に今度は少し焦った。何とその影響は『その空間全体に』広がっていたんだ。

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世にも不思議な人々⑱ 人じゃない人

こんにちは皆さん。マホこと萩美帆です。先日面白いことがあったので、お話したいと思います。
あれは先週の日曜日、ラジオ番組のテキストを買いに行った帰りのこと。視界の端に何か大きなモノが見えたので、そちらへ向かってみたところ、そこには巨大な生き物が居たのです。
ベースは人間似なものの、身の丈は4mか5m、6本の細長い腕、短い脛と長い踵を備えた力強そうな脚、その脚と同じくらいの長さの尻尾、何か不定形のオーラでも纏っているかのような真っ黒な皮膚等々。とても人間とは思えませんでした。
驚いていると、その生き物が私に気付き、近寄ってきました。これは食われる、私の人生もこれまでか、と思いましたが、そうはならず、その生き物は日本語で話しかけてきました。
「うお、やっべ、見られた。えーっと、無理だとは思うが怖がらんでくれよ。こう見えても俺ァ人間なんだよ」
人間。とてもそうは見えませんが。とりあえず私は、能力で会話を試みました。
『えーっと……こんにちは』
「おォ!こいつ、直接脳内に!面白ェ!」
『私の能力「少年と魔法のロボット」です。貴方も能力者なんですか?』
「ウヒヒ、俺の他にも居たんだなァ、能力者!ああそうだよ」
『原曲は?』
「原曲ゥ?……ああ、アレか。この姿になる度に頭に流れるやつか。曲は『森のくまさん』。見ての通り異形になる能力だ」
『へえ!私の知ってる中でもかなり異色ですよ!その能力!』
「他にも居るんか?」
『はい。そういえば、お名前は?』
「あー……。まあ、同じ能力者のよしみで教えてやるよ。俺の名は阿蘇一寸(あそちょっと)。この名前あんま好きじゃないから言いたくないんだよなぁ……」
『それはすみません…。あ、私、萩美帆と言います』
「へェ。良い名前じゃあないか」
『ありがとうございます。そういえば、さっきの言い方、人間に戻れるんです?』
「ああ。戻ろうか?」
『えー、じゃあ、お願いします』
「おう、これが俺の人間モードだ」
あら、彼、意外とイケメンでした。

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世にも不思議な人々⑰ 集え!リータ親衛隊

マホ『どーも皆さん。マホこと萩美帆です。今回は筆談でお送りします』
チャチャ「チャチャこと伏見清次ですー」
那由多「あだ名特に無し、神子元那由多です」
萩『今回はですねー、タイトルの通り、本シリーズ最強の能力者、リータこと安芸華世ちゃんと縁のある人物が集まってお話するという企画なのですけども』
伏見「で、何を話せと?」
萩『えー、作者からこれ話して、みたいな注文がいくつか来てるのでそれについて』
那由多「じゃあ早速行こう」
萩『最初は、「リータとの馴れ初めを教えて」』
伏見「前の方のエピソードを読め。」
那由多「終わっちゃった。終わっちゃったよ」
萩『うーん早い。じゃあ次。「ぶっちゃけ彼女のことどう思ってる?」』
伏見「うーむ……。何というか…、手のかかる、妹みたいな?あるいは姪っ子」
萩『私にとっては、命の恩人で、一番の親友で、それで……やっぱり何でも無いです」
伏見「何言いかけた?で、君は?」
那由多「え、えーっと……、その………、うぅ…
…、い、言えるかー!」
伏見「なぜキレた」
萩『落ち着いてなっちゃん』
那由多「なっちゃん言うな!」
萩『次行くよー。「なっちゃんマジであの時何されたの?」。私も気になる』
那由多「え、……えーっと……その……無理!言えない!」
伏見「マジ何されたの?」
萩『それはもう「ヨニヒト」七不思議の一つってことで』
伏見「ここに来て唐突に略称決まったね。そう取るか。作者のセンスが伺えるよ」
萩『じゃあ最後。「なっちゃんが某死霊使いに似てるってコメントがあったんだけど」だって』
伏見「ああ、あれか」
那由多「え、何それ」
伏見「ミズサキって人の語り部で能力者との日常を描いた作品があってね」
那由多「ちょっと見てくる」
萩『行ってらっしゃい』
伏見「行ってらっしゃい…暇になったな」
萩『しりとりでもする?りんご』
伏見「ゴール」
 ・
 ・
 ・
伏見「オパール」
萩『うー……もうるは無いよ…』
那由多「何してんの?」
伏見「おお、お帰りどうだった?」
那由多「確かにボクと似てたー。けど面白いね。あのネロって子。ちょっと会ってみたいなー」
伏見「それについては作者に後でアポ取ってもらうということで」

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No music No life #8 アディショナルメモリー

時雨視点



「ねえ、あんたら誰?」
私が言い放った言葉は宙に浮いてる三人に届いているのだろうか。空いた窓の外に宙に人間ではない三人がいる。
「誰って聞かれると困るよね〜」
額にお札を貼ったキョンシーと思われる奴が喋った。
「まあ、異界の住人ってところでしょうね。」
そう吸血鬼が言うと、ゾンビが
「訳あって、君の仲間たちをこっちの世界に引きずりこまなきゃいけないんだ。」
と言った。
冗談ではないらしい。
「という訳で大人しく引きずりこまれてください。」
「無理に決まってる。」
「だよね〜」
刀を抜いて斬りかかろうとすると、
「やめとけ、時雨ちゃん。」
聞き慣れた声に止められた。
「チッ」
ゾンビと思われる奴の舌打ちが聞こえた。
「何で戦おうとしてるって分かったの?」
「長年の付き合いですからね(笑)」
そう結月は笑った。
「それにしても本気だね、時雨ちゃん。」
「そりゃ、みんなのためだからね。」
「時雨ちゃんが、君が、一人が、誰かが、抱える必要ないよ。」
「でも、私のせいで、みんなに迷惑かけてるじゃん!」
「私達は迷惑かけられる前提で貴方の隣にいるんですよ。」
「いくらでも、迷惑掛けてください。」
後から二人が言ってくれた。

「「「いくらでも付き合ってやるよ
そのわがままに。」」」

私は最高の仲間、いや、家族を持ったらしい。


【続く】

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世にも不思議な人々をリストアップ2

安芸 華世(リータ)
高校一年生のぽやんとした少女。背丈は145くらい。どうやら周りに人が集まって来る星の下に産まれたらしく、主人公以上に人徳があり周りに人が集まって来る。加えてあのチート能力。もしかしたら彼女が真の主人公なのかも…いやそんな馬鹿な。疑うということを知らないので、能力との相性がとても良い。
能力 メトロポリタン美術館
出来ると信じたことはどんなことでも出来る。少しでも疑う心があると発動しない。
作者のコメント
読み方は「あき はなよ」。もういっそキャラ名地名に由来させようかな。ところで一体通り魔ちゃんに何したの?

萩 美帆(マホ)
リータと同い年。生まれつきの障害で話すことができない。そのため能力との相性がすごい。
能力 少年と魔法のロボット
対象1名への一方通行のテレパシー。射程距離は50m。間に動物が入ると妨害されて少し短くなるが、植物だと枝葉や根を伝って若干伸びる。
作者のコメント
読み方は「はぎ みほ」。なんと本名とあだ名がニアミス。

伏見 清次(チャチャ)
21歳。大学二年生。……ああそうだよ浪人したんだよ一浪だよ何か文句あっか!身長は180くらいある。いつもコートを着てフードをかぶっている。コートには細工がしてあっていろいろ入ってる。
能力 おもちゃのチャチャチャ
道具を媒体にして様々な現象を起こす。どんな能力になるかは触れた瞬間分かる。
作者のコメント
読み方は「ふしみ せいじ」。名前の由来は観阿弥だったりする。作中で二番目に強いと思います。外見不審者。あと、苦労人というか常識人。

神子元 那由多
14歳。中2。一人称は「ボク」。背はかなり低くて131か2くらい。割と良い子。あだ名は無い。あの後リータに懐いたらしい。
能力 グラスホッパー物語
刃物で生物を斬ったとき、ダメージを与えず代わりにその生物の持つ嫌な記憶を切り離す。副次的な能力として対象の持つ嫌な記憶を見ることができる。
作者のコメント
読み方は「みこもと なゆた」。地図帳で見かけた「神子元島」が由来。ホントに何をされたのかねー?作者も知らないのだよ。

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世にも不思議な人々をリストアップ

所沢 初(オータロー)
高校二年生。本シリーズの主人公。大した活躍はしていないが、作者が言うのだから間違い無い。
能力 およげ!たいやきくん
逃走、回避行動に大きな補正がかかる。その成功率はほぼ100%と言って良い。単純な身体能力強化だけではなく、無意識でのルート選択、スタミナ切れがしなくなる、回避の際はほぼ未来予知に等しい危機察知など、その補正は色々なものがある。
作者のコメント
名前は、「ところざわ はつ」と読みます。「はつ」が嫌なら「うい」でも良いよ。

キタ
妖怪みたいな雰囲気の怪しげな青年。26歳。身長約190cm。体重約65kg。なぜ生きている。七つ道具を持っているらしい。仕事は自営業らしいが職種は不明。仕事の際は「喜多方颯(きたかたはやて)」の名を使っている。
能力 北風小僧の寒太郎
普通なら見えないものを可視化する。可視化には自分にのみ可視化、一部の対象に可視化、無差別の可視化の3種類がある。
作者のコメント
この人は何となく不審者であってほしいので本名は伏せています。

滝沢 真琴(ラモス)
高校三年生。元不良だが能力者になってからは足を洗った。かつては色々とやらかしたらしいが酒と煙草とドラッグだけは怖くてできなかったそうな。お前ホントに不良だったの?
能力 まっくら森の歌
追跡、足止めに大きな補正がかかる。成功率はほぼ100%と言って良い。単純な身体能力強化ではなく、障害物があれば回避するなり破壊するなりして押し通るし、たとえ完全に撒かれても、僅かなヒントから逃げ道を探り出せるし、万が一相手が瞬間移動しても勘だけで探せる。
作者のコメント
名前の読みは「たきざわ まこと」。この子は基本ツッコミ役にされてます。実は名前の由来は南総里見八犬伝の作者。

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世にも不思議な人々⑯ 斬って切る人その4

「チャチャさん、一体何をしたんです?」
オータローがチャチャに尋ねた。
「ああ、虫かごだよ。『生き物にぶつけることでその生き物を中に閉じ込める』能力」
「へえ……。つまりモンスターb」
「止めろ」
キタとラモスは下らないことを話している。
話は戻って、無事通り魔を捕えた彼らであった。が、これをどうしたものかと悩んでいたところ、リータが口を開いた。
「ねえチャチャさん」
「ん、何?」
「その中に私も入れませんか?」
「ああ…うん、行けるけど」
「じゃあお願いします」
「うん、けど一体何をするんだい?」
「お気になさらず」
そう言ってリータは虫かごの中に入っていってしまった。
それから五分後。
「ただいま戻りましたー」
リータが突然戻って来た。
「おお、お帰り……って、通り魔すごいことなってるけど大丈夫!?」
通り魔、放心状態でぐったりしている。
「何かすごいビクンビクン痙攣してんぞ!」
「ああ、大丈夫です。あのくらいじゃ死にませんよ。で、彼女についてですが」
「え、ちょっと待て」
これはラモス。
「そいつ女なのか?」
「はい。?」
「え、何、お前気付かなかったの?」
キタが煽る。
「彼女について、話を続けますよ」
リータ、構わず話し続ける。
「名前は神子元那由多。14歳。中学2年生。能力は『グラスホッパー物語』。『刃物で生物を斬るとき、代わりにその生物の抱えている嫌な記憶を切り離す』というものだそうです」
「なるほど。それで『慈善事業』か」
オータローが納得したように言う。
「……一つ良い?」
「何でしょうチャチャさん?」
「そいつに何したの?それだけが気になる」
「ああ、それは、………やっぱり内緒です」
「え…。すごい気になる。キタさん、可視化」
「オーケー!」
チャチャはキタに可視化を命じた。
「うんうん……えっ……へぇ………はぁ〜〜、おぉ、フフフ」
「え、何か分かったんですか」
「えー……。僕から言うことは何も無いよ」
(何やったんだ一体………)
オータロー、ラモス、マホ、チャチャの考えが見事にシンクロした。
「何はともあれ!これでこの子も仲間です!めでたしめでたし!」
           斬って切る人 終わり