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魔法少女学園都市レピドプテラ -small cabbage white- 10

「有力な学園同士だと小競り合いがあるってことは聞いたことあるけど、うちみたいに大した力もない無名の学園が急に襲われるなんて聞いたことないよ……」
グッタータは不安げに身を震わせた。
一方ラパエは困惑しているような顔をしている。それに気付いたシーアは、大丈夫かラパエと声をかけた。
「あ、ごめんなさい」
多分あたしのせいでこんなことになっちゃったんですよね……とラパエは俯く。シーアは「アンタは悪くないよ」と肩に手を置くが、ラパエは違うんですと首を横に振る。
「あたし、実はここに来る前は外の世界のテロ組織みたいな所で、大人たちのいいように使われてたんです」
あたしの魔法は人を傷つけるのに向いているから、それで目をつけられてずっと……とラパエは続ける。シーアとグッタータは何も言えないまま話を聞いていた。
「だけど、魔法が使える女の子はみんな“魔法少女学園都市”っていう魔法少女の街に行けるって聞いてたから、いつかそこに行けると信じて生きてきたんです」
それでひと月前、組織が国際警察に壊滅させられた時にあたしは保護されて、それでここへやって来たんですよ、とラパエは言う。
「あたし、レピドプテラに憧れてたから、とっても素敵な楽園みたいな所だと思ってたけど、ここでもあたしのせいで人が傷ついて……」
どうしてこんなことに……とラパエは声を震わせる。その様子を見てシーアとグッタータはかける言葉を見つけられなかった。
「ぐっ!」
ラパエたちが黙り込んでいると、不意に玄関口にサルペが転がり込んでくる。それを見てラパエは、サルペ先輩!と思わず駆け寄る。シーアとグッタータも駆け寄ってきた。
サルペはみんな……と呟きながら立ち上がろうとするが、魔力弾でつけられた脚の傷が痛んで思うように立ち上がれない。ラパエは「先輩無理しないで!」と声をかけるが、サルペはいいやと拒否する。

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魔法少女学園都市レピドプテラ -small cabbage white- 9

「フン、逃げるつもりか……撃てぇ‼︎」
サイアがそう声を上げると、彼女が従えている少女たちは一斉に銃器のトリガーを引く。サルペは咄嗟に展開している光壁を横方向に広げ、攻撃の飛んでこない上方向へ飛び上がった。光壁は少女たちが撃った光る弾丸を弾き飛ばす。
空中に飛び上がったサルペは右手に持つ水色の刀と同じ刀を周囲に生成し、地上にいる少女たちに向けて放つ。刀はそのまま少女たちが持つ武器目がけて飛んでいき、銃器を弾き飛ばす。しかしそれを避け切った少女もおり、そういった少女たちは塀から飛び降りて銃口をサルペに向けた。
サルペはそれに気付くと、飛行魔法を使って地上のサイア目がけて飛んでいく。サルペは飛びながら刀を構え、サイアも自身が持つマシンガンを向けてトリガーを引く。しかしサルペはサイアが放つ魔力弾を易々と避け、サイアの懐に入ろうとする。
だがサイアはサルペが自身まで3メートルほどの所まで近付いた時に魔力でできたバリアを展開する。サルペはバリアに弾かれ、小さくうめき声を上げてその場に転がった。
「……やっぱり、そう来るよねぇ」
サルペは立ち上がりながらそう呟く。当たり前だ、とサイアは答えた。
「私とお前は何年同じ学園にいたと思っている」
お前の作戦くらい簡単に分かる、とサイアはサルペにマシンガンを向ける。サルペは咄嗟に空中に飛び上がってそれを避けるが、すぐにサイアは銃口を空に向けて飛び回るサルペを追いかける。サイアが従える少女たちも各々の持つ銃器を空中のサルペに向けた。
「これは……だいぶマズくね⁇」
校門の前から校舎内に退避したシーアは、建物の柱の陰から外の様子を見て思わずこぼす。それに対し、グッタータもうん……と頷く。

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魔法少女学園都市レピドプテラ -small cabbage white- 8

「我々はかつて同じ学園の仲間だったじゃないか」
恩を仇で返すとでも?とサイアはサルペに尋ねる。サルペは「……そうだね」と目を逸らす。
「ボクたちはかつて仲間だった」
だけど、とサルペは右手に青い刀身の刀を生成する。
「今のボクはキミたちと同じ諜報員ではない」
だからキミに従う理由はないよ、とサルペはサイアを睨む。
「……それに」
サルペは続ける。
「ボクの友達たちに武器を向ける人の言うことなんて、聞けるわけがないじゃん」
その言葉に驚いてラパエはサルペの方を見る。その視線に気付いたサルペはラパエを見てにこりと笑い、またサイアの方を見た。
「と、いう訳で、マイセリア サイアニス」
キミやその仲間たちにはお引き取り願いたいんだけど、とサルペは笑いかけた。
それを聞いて、サイアは「……そうか」と呟く。
「それなら我々は実力を行使するしかないな」
そう言うと、誰もいなかった学園の敷地を囲む塀の上に黒い軍服のような制服姿で、銃器を構えた少女たちが一斉に現れた。その光景を見たラパエ、シーア、グッタータは思わず身構えるが、サルペはそうかいと答える。
「キミたちが本気を出すというのなら、ボクもそうするしかないね」
そう言うと、サルペは背後にいるラパエたちに目を向けた。
「3人とも、危ないからどこかに隠れてて」
今からちょっと手荒なことをするから、とサルペは言う。それを聞いたラパエたちは頷いて校舎内へ戻り始めた。

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魔法少女学園都市レピドプテラ -small cabbage white- 7

「えっ、なに⁈」
真っ白な煙の中、ラパエは慌てて周囲を見回す。グッタータとシーアもなにが起きたのか分からず立ちすくむが、サルペだけは冷静に首のペンダントについた水色で六角柱の宝石のようなアイテム……メディウムを握りしめる。その次の瞬間、煙の外から光る弾丸が飛んでくると共にサルペの周囲から光が放たれた。
「⁈」
光が止んでからラパエ、グッタータ、シーアの3人は恐る恐る顔を上げる。彼女らの目の前では黒と水色のサイバーパンク風ファッションに身を包んだサルペが手を前に出して光の壁を展開していた。
そして彼女の数メートル前方の校門の前には、青紫の軍服のような服装に身を包むボブカットの少女がマシンガンを携えて立っていた。
「久しぶりだね」
サイア、とサルペは相手を睨みつける。サイアと呼ばれた少女はああ、そうだなと淡々と答える。
「まさかお前がこんな所にいるとは思わなかったが」
我々の邪魔か?とサイアは尋ねる。サルペは「いや、ボクはなにも知らないね」と返す。
「あの学園を去ったボクにとって、キミたち諜報員の動向は最早無関係だよ」
サルペはそう続けるが、サイアはそうかと呟く。
「……なら、そのバリアを解除してほしい」
我々はそこのピエリス ラパエに用があるんだ、とサイアはラパエに目をやる。ラパエは驚いて目を見開いた。
「あ、あたし……?」
なんで……⁇とラパエは困惑する。その言葉に驚いてグッタータとシーアもラパエに目を向けた。
「理由は今ここで言えないが、ピエリスさんには我々についてきてもらいたいのだ」
だから頼むとサイアはサルペの目を見る。暫くの間その場に沈黙が降りたが、やがてサルペが口を開く。
「……残念ながら、ボクにはそれができない」
その言葉を聞いてサイアはなぜ?と聞き返す。

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魔法少女学園都市レピドプテラ -small cabbage white- 6

「えーどうして〜?」
シーアが口を尖らせると、ピレタはどうしてってと腕を組む。
「ポリゴニアさんはよくやらかすからよ」
「そ〜う〜?」
シーアは笑いながら首を傾げる。ピレタは呆れたようにため息をついた。
「…とにかく、私はここで留守番してるわ」
やることあるし、とピレタは組んでいる腕を解いた。
それを見てシーアはつまんないの、と呟くが、すぐにサルペとラパエに向き直り「…じゃ、行こうか!」とイスから勢いよく立ち上がる。ラパエも行きましょ〜とイスから立ち、サルペも黄土色の髪の少女も立ち上がって荷物をまとめると、教室から去っていった。

そんなこんなで、ラパエとサルペはピレタ以外の都市伝説同好会の面々と広い校舎内から外へ向かった。
この学園に前々から所属しているシーアと黄土色の髪の少女は複雑な校舎の構造がしっかり頭に入っているらしく、あっという間にラパエとサルペは校舎を抜けて校門の手前まで辿り着いた。
「へー、“グッタータ”だからぐっちゃんなんだ〜」
「はい、その方が呼びやすいとシーア先輩が言ってくれたので」
ラパエの言葉に黄土色の髪の少女は答える。
「先輩はこんな気弱でできないことの方が多いわたしに最初からすっごく優しくしてくれたんです」
だから先輩と同じ同好会に入ったんです、とグッタータは恥ずかしげに言う。それを聞いてシーアは「照れるよぐっちゃ〜ん」と頭を掻いた。
「あたいは困ってる奴を放っとけないだけなんだよー」
ピレタみたいに冷たくないんだし、とシーアは笑う。
…とここでサルペが不意に足を止めた。
「あれ、どうしたんですサルペ先輩」
ラパエが気になって尋ねると、サルペは「……ねぇ」と周囲の少女たちに話しかける。
「あそこ、何かいる」
サルペは学園の敷地を囲む柵の上を指さす。
しかしそこに目を向けるラパエたちには何も見えない。
「なにも……見えないですよ」
「そうですね」
ラパエとグッタータはそれぞれそう答える。シーアも「なにが見えるんだ?」とサルペの方を向いた。
サルペは「いや、それは……」と口ごもるが、その瞬間缶のようなものが投げ込まれる音がした。4人がハッと音のした方を見た瞬間、辺りに煙が立ち込め始めた。

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魔法少女学園都市レピドプテラ -small cabbage white- 5

「……なるほど」
アンタたちは転入生で、それで校舎の中で迷子になってたんだねとサイドテールの少女は教室のイスに座りつつ腕を組む。「うん、そうなの」とサイドテールの少女が座るイスの、目の前の席に座るラパエは頷く。
それを聞いてサイドテールの少女は「まーそうだよね〜」と笑う。
「この学園は生徒数の割に敷地が広くて校舎デカいから初見は迷子になりやすいんだよ〜」
あたいも初めてここに来た頃はよく迷子になったし、とサイドテールの少女は頷く。
「ぐっちゃんなんか迷子になり過ぎて泣いてたもんな」
「ちょ、ちょっとシーア先輩〜」
わたし1回しか泣いてないですよーと、サイドテールの少女の隣に座るぐっちゃんと呼ばれた黄土色の髪の少女は恥ずかしそうにする。それに対しシーアと呼ばれたサイドテールの少女は「泣いたこと認めてるじゃん」と笑う。
「……まぁとにかく、グラフィウムさんとピエリスさんは仲良く迷子してる内にこの都市伝説同好会の溜まり場に辿り着いてしまった、と」
話を切り替えるように、少女たちの近くに立つ三つ編みお下げの少女は腕を組んだ。その言葉にシーアは「おいおいピレタ、言葉に棘があるぞぅ」と三つ編みお下げの少女をからかう。ピレタと呼ばれた三つ編みお下げの少女は「そのつもりはありませんよポリゴニアさん」とシーアから目を逸らした。
「……まぁともかく、ボクたちはこの校舎内で迷子になっちゃったんだ」
という訳でここから出るためにキミたちの力を借りたいんだけど、いいかな?とサルペは笑いかける。
それに対しシーアは「いいよ〜」と威勢よく答えた。
「あたいたち暇してたし」
ね、ぐっちゃん?とシーアが黄土色の髪の少女に目をやると、彼女はあ、うんと頷く。しかし不意に私は行かないわとピレタは冷たく答えた。

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魔法少女学園都市レピドプテラ -small cabbage white- 4

「いや、そこの教室に誰かいるみたいでさ」
気になるんだよね、とサルペは教室の窓を睨む。ラパエは「えっ」と驚く。
「そこの教室に誰かいるんですか?」
全然分かんないけど……とラパエは教室の方を見ながら目をこする。
サルペは足音を殺してそっと教室の扉に近付くと、勢いよく扉を開けた。
「わぁっ‼︎」
サルペが開いた扉の向こうからは、3人の少女が転がり出てきた。サルペは軽い身のこなしでそれを避ける。
「ぐえー、ぐっちゃん重い〜」
「そ、そんなこと言わないでくださいよシーア先輩〜」
「あぁもう、アンタたちねぇ……」
廊下の床に倒れる3人を見ながらサルペは微笑み、ラパエはポカンとする。3人の少女たちは暫くうだうだ話していたが、その内の黄土色の髪の少女はが顔を上げてラパエとサルペに気付くと「ひぇっ」と声を上げた。黄土色の髪の少女の下敷きになっていたサイドテールの少女は不思議そうに顔を上げ、そのそばで手と膝をついていた三つ編みお下げの少女は顔を上げてラパエとサルペに気付くと顔をしかめた。
「あなた……」
三つ編みお下げの少女がそう呟くと、サルペは「よっ」と手を小さく上げるとこう尋ねた。
「ちょっとキミたちに訊きたいことがあるんだけどさ」
「いいかな?」とサルペは笑いかける。3人の少女は顔を見合わせた。