元人間は吸血鬼(仮)になりました #0
目を開けると、真っ暗だった。なにこれ。狭い箱のようなものの中に入っているらしい。そして、寝転んでいる。体を動かすことはできるので、はこを揺らしてみた。すると、
「うるせぇ!」と怒りのようなものを含んだ声が聞こえた。しかしその声は男のように低いものではなく、女の子のような高い声だった。
その声が聞こえてから、私の方に足音が近づいてきた。そして、視界が開けた。
「大丈夫〜?」と聞いた声の主はふにゃふにゃした口調の女の子だった。さっきの声とは違う。
とりあえず、「大丈夫です。」と答えると彼女は
「よかった〜」と言った。だが、彼女の見た目はよくテレビとかで見る、キョンシーに似ている。額にはお札をつけて、中華服を着ている。
私は戸惑いつつも彼女に尋ねた。
「ここはどこですか?」すると、
「知りたい?」と先程、私が怒らせたと思われる女の子が聞いた。私はまたもや戸惑いつつも頷いた。戸惑った理由は彼女が先程のキョンシーの子と同じように、人間とは思えない見た目だったからだ。その姿はまるでゾンビだった。火傷のような傷のある肌、ギラリと光る紅い目、ところどころ破れた服。その服は警官服のようだ。
そして彼女は私の手を引いて歩き出した。この頃の私は、現実味のある夢だなぁ、としか思っていなかった。
【続く】