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厄災どおる:世界観

よりにもよって3月11日になる3時間前に思いついてしまったため、流石に投稿はどうなんやってなったやつ。別に企画って訳じゃないけど取り敢えず設定だけ書こうね。使える人がいたら勝手に使っても良いよ。

舞台は現代、とある災害大国。現実で言うところの日本語と全く同じ言語文化をしているだけの架空の国家です。小さな島国でありながら複数のプレートの境界上に存在し、気流・海流・周辺地形も複雑に絡み合った結果である、『我が国の特産品は災害である。唯一の欠点は輸出できないことだ』というブラックジョークがあるほどの多種多様な災害件数と、それへの備え、対災害技術は世界でも有名である。
さて、この国において主流のアニミズム的多神信仰において、疱瘡神、疫病神、貧乏神等をはじめとした『人間にとって害になる現象』を擬人化・神格化し、鎮めることでその影響を受けないことを間接的な『利益』として享受してきた歴史がある。
ここに注目し、様々な災害を子供の姿に封じ込め、大規模被害の防止及び人間のために活用しようと確立された半呪術的存在が、“厄災どおる”である(残り半分は防災科学)。
※ちなみにどうでも良いことだけど、どおるによって例のジョークにある「輸出できない」という問題が消えました。国力とか戦力(実力)とか外交とかそういう問題がヤバい。外交関係のお役人さんは頑張ってください。

ところで話は変わるんだが、福島土産に「ままどおる」ってお菓子があるじゃないですか。あれ美味しいですよね。いや特に意味は無いんだが。

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Daemonium Bellum RE:堕ちた明星と狼 Act 2

昼、日が1番高い所へ昇り切った頃。
日干し煉瓦でできた建物が立ち並ぶ、小さな街の広場で開かれている市で、外套を身に纏い頭巾で顔を隠した2人組が人混みをかき分けつつ歩いている。
「人、多いね」
天界の天使より多そうと紫髪の堕天使が呟く。
「そりゃそうだよ」
この世界は天使より人間の方が多いんだから、と隣を歩く金髪の天使が答える。ふーんと頷きつつ紫髪の堕天使は辺りを見回す。市を行き交う人々は天界の天使や地上の悪魔たちに比べるとみすぼらしい姿をしているが、どこか力強さを感じさせる雰囲気を纏っており、市は活気に溢れていた。
「…意外と、天使が秩序で地上を平定しなくてもみんな幸せそうだね」
紫髪の堕天使が何気なくそう言うと、金髪の天使はもちろん!と笑う。
「案外人間っていうのは強いから…」
金髪の天使がそう言った所で、2人の間を無理やり通るように帽子を目深に被った人物が駆け抜けていく。2人が思わず通り過ぎていった人物が向かった方を見た時、いたぞ‼︎と上から声が飛んできた。見上げると、3人の白い制服を着た天使たちが市の通り上空を飛んでいった。
「今のって…」
金髪の天使が紫髪の堕天使の方を見ると、紫髪の堕天使は先程の帽子の人物が駆けていった方を見ていた。
「ぼす?」
「ねぇ“べべ”」
金髪の天使が紫髪の堕天使のことを呼ぶと、紫髪の堕天使は振り向かずに呟く。
「ぼく、ちょっと行ってくる」
「え?」
べべと呼ばれた金髪の天使がポカンとする中、紫髪の堕天使は帽子の人物が走っていった方に向かって駆け出す。
「ちょ、ちょっとぼす〜」
べべもその後を追いかけ始めた。

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少年少女色彩都市・某Edit. Modeling Master Amenonuboko その③

「おい、離れろエベルソル!」
新人くんがエベルソルに叫び、チャリオットから飛び降りながらガラスペンで何かを描き始めた。奴がアパートに半分入り込んでいる状態だから、馬や戦車は使いにくいんだろう。私の戦闘スタイルも広範囲を巻き込みやすいから狙いにくいな……。
「……でも、急がなくちゃ駄目だもんなー」
ガラスペンで小さな立方体をモデリングし、エベルソルにぶつける。表面が硬そうだったから反応するかは微妙なところだったけど、幸運にも奴は屋内に侵入しようともがくのを止めて、こちらを向くためにその首を引っ張り出した。
眼も鼻も耳も無い、大顎だけの爬虫類みたいな頭部がこちらに向けられる。それとほぼ同時に、新人くんが描いたのであろう可愛らしいうさぎさんがその頭部に飛びついた。
「あっうさぎー」
「ウサギは小さくても脚力に優れたパワフルな草食獣です!」
「そっか……お、これは都合が良い」
エベルソルがうさぎさんを振り解くために暴れ、アパートから離れて地面に下りた。
「新人くん、君はまず中の様子を確認して。要救助者がいないかとか」
「え、あっはい。そうだ、今なら軍馬も戦える!」
新人くんがそう言うと、チャリオットに繋がれていたままの馬たちから馬具が消え、エベルソルに一斉に突撃していった。
「では、ちょっと離れます!」
「うん、こっちは任せてー」
馬たちと協力してエベルソルの気を引いている隙に、新人くんは奴の脇をすり抜けて件の部屋に行くために階段を駆け上っていった。

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Daemonium Bellum RE:ふぉーるんらぼらとり その⑦

青年が悪魔氏に斬りかかる。悪魔氏はまたあの鼠色の不定形に姿を変えて回避しようとしたが、青年の斬撃はあまりにも素早く、不定形の物質を真っ二つにしてしまった。
断面から、真っ赤な血のような液体があふれ出る。悪魔も血は赤いのか。
「あがぁ……おい片羽根ェ、テメェ強いな」
「お褒めに与り光栄です。どうです? 死ねそうですか?」
「生憎と首も心臓も斬られてねェからなァ……どっちか消し飛ばしてから言え」
「どちらかと言わず、全身消し飛ばされたらどうでしょう」
「アー、死ぬかも。やってみろ……ッとその前に」
物質が一度悪魔氏の姿に戻り、椅子ごと私を蹴り倒してしまった。
「流石に巻き込まれて死なれても寝覚めが悪りィ」
「天使さんはどうします?」
「それは運が悪かったということで」
「了解です」
2人は戦闘を再開させた。決して広くはないこの部屋の容積、それをほぼ目一杯に使って、壁や天井すら足場として蹴りながら乱闘している。
時折彼らの戦闘の余波が天使氏に向かい、その身体を少しずつすり減らしていくが、天使氏もすぐに再生していくから、短剣が刺さったままの口以外に外傷は残らない。
もう何十度目かという青年の放った斬撃が壁に深く痕を残し、悪魔氏がその傷を足掛かりに壁を駆け、彼我の距離を詰める。眼前に迫った悪魔氏を、青年の長剣は既に捉えられない。
不定形の物質が青年の顔に迫ったその時、青年は長剣を手元で回転させ、自分の肩口に刃が食い込むのも構わず異形の悪魔氏を切り裂いた。

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逃鷲造物茶会 Act 1

昼下がり、とある小さな喫茶店の店内にて。
カウンターからエプロン姿のコドモがティーセットを載せたお盆を持ち上げる。
そしてそれを持ったまま窓際のテーブルに向かった。
「ご注文の…」
エプロン姿のコドモことかすみがそう言いつつティーセットをテーブルの上に置いた所で、目の前のイスに座る明るい茶髪の少女がこう言った。
「ここ、いい店じゃない」
突然の言葉にかすみはへ?と拍子抜けする。
「内装といい、雰囲気といい、わたしは好きよ」
少女はそう言うが、かすみははぁ、と返すだけだ。
「あらあなた、ここの店員さんなのに良さが分からないって言うの?」
もったいないわね、と少女は溢す。
「何年ここで働いてるの?」
少女に尋ねられ、かすみはふと宙を見上げる。
「えーと…1年半、くらい?」
かすみは首を傾げながら言った。
「ふーん」
結構長いじゃない、と少女はティーカップに紅茶を注ぎながら呟く。
「まぁ、自分はアルバイトじゃなくてマスターのお手伝いみたいなものだから…」
あんまりここの良さとか考えたことなかったなぁ、とかすみは笑う。
「そう」
少女は窓の外を見ながら頷いた。
するとここで店内のカウンターの向こうに座る店主の老人がかすみの名を呼んだ。
はい?とかすみが振り向くと、店主は2階のあの子たちが呼んでる、と店の奥を指さした。
「あ、分かりました〜」
かすみはそう言うと、じゃあ自分はこれでと少女に一礼してカウンターの方に向かった。

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Daemonium Bellum RE:ふぉーるんらぼらとり その⑥

来たる痛みと死に備え、反射的に目を瞑り身体を強張らせる。しかし、肉の潰れるような気持ち悪い音が聞こえるばかりで、恐れていたものはいつまでも襲ってこなかった。疑問に感じおそるおそる目を開くと、私から見て右側、悪魔氏がいた方から伸びてきた鼠色の物体が、青年の長剣を受け止めていた。
「……ッたくよォ…………俺らを『悪魔』と呼んでるのはテメエらだぜ? それをお前、人命救助なんかに使わせやがってよォ……!」
「ようやく出てきたか。それを待っていたんだ。俺の知る限り唯一無二の、『首も心臓も無い悪魔』!」
拘束を易々とすり抜けた鼠色の不定形の物質は、私の前で伸び上がり人型に、あの悪魔氏の姿に戻った。
「なるほどねェ……弱点皆無最強無敵の俺サマをご所望かい。で、その俺をどうするつもりだ?」
「勿論、殺します! あんたを殺せたとなれば、恐れるものはもう無いでしょう?」
「なるほど正論。それじゃ、恐れるものの無くなったテメェは何をするんだ?」
「いや別に……。普通に不可能を可能にする浪漫を追いたいだけですが」
「……そっかー…………。んじゃ、ヒトカスは解放してやれよ。本題は今、テメエの目の前に立ってるぜ?」
「あー、天使のひとの方は気にしない感じです?」
「まあ、うん……天使だし…………」
「了解。それじゃ、本気で殺し合いましょう!」

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少年少女色彩都市・某Edit. Modeling Master Amenonuboko その②

「や、新人くん」
先に待っていた新人くんに挨拶する。新人くんはまだ13歳か14歳程度の細っこい男の子で、濃紺のロングコートを纏っていた。
「ぬぼ子さん、急に手伝いなんか頼んじゃってすいません。今日はよろしくお願いします」
「良いんだよぉそんなに恐縮しなくて。後輩のお世話も私たち先輩の仕事だからね。君も成長したら、自分より後輩の子を助けてあげるんだよ?」
「はい、それじゃあ急ぎましょう。俺が乗り物を用意します」
そう言って、新人くんは素早く空中に何かを描き始めた。流れるような動作で、迷いなくぐいぐいと描き進め、みるみるうちに2頭引きのチャリオットを完成させてしまった。
「ほら、乗ってください」
「うん……動物描くの上手いねぇ」
言いながら、恐る恐るその戦車に乗り込む。初めて乗るチャリオットはなかなかアンバランスで乗り心地が悪かった。もちろん、口にはしないのだけど。
「では、行きますよ!」
新人くんが手綱を振るうと、2頭の馬が駆け出し、チャリオットは空を走り始めた。
「うわぁ! 飛んだ⁉」
「ほら、天高く、って言うでしょう?」
「越ゆるのかー」
そもそも今の季節は春では……? まあ良いや。
彼の駆るチャリオットは彩市上空をすごい速度で飛んでいき、あっという間に目的地へ到着した。
外見上はただのアパート。しかしてその実態は、ほぼ全室に腕利きのアーティストが居住、あるいはアトリエとして利用しているという、彩市民の間ではそこそこ有名な芸術家の集まるアパートだ。
そしてその一室に首を突っ込んでいる、大理石みたいな質感のエベルソルが1体。新人くんに任されているだけあってか、そこまで大きいサイズではないみたい。

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Daemonium Bellum RE:堕ちた明星と狼 Act 1

「この者を堕天の刑に処す‼︎」
「お前のせいであんなことになったんだぞ」
「やっぱり堕ちて当然よねぇ」
「さっさとここから失せろ」
「消えやがれ」
「…」
朝、日がそこそこに昇った頃、森の中の古びた屋敷の片隅の部屋にある寝台で、片翼で紫髪の堕天使が目を覚ます。横を向いて寝ていたその人物は、隣に横になってこちらを見ている1対の翼を持つ金髪の天使と目が合った。
「⁈」
紫髪の堕天使は驚いたように飛び起きる。しかし相手はえへへ〜と笑う。
「おはようぼす〜」
金髪の天使は笑顔で小さく手を振ったので、紫髪の人物は気まずそうな顔をする。
「添い寝は恥ずかしいからやめてと言ったのに」
紫髪の堕天使は呆れたように呟くが、金髪の天使はいいじゃーんと続ける。
「ぼすったらすごくうなされてたみたいだし」
傍にいてあげようかな〜と思って、と金髪の人物は起き上がる。紫髪の堕天使は恥ずかしそうにそっぽを向いた。
「…うなされてたってことは、やっぱり処刑される時の夢を見てたの?」
金髪の天使がふと真顔に戻って尋ねると、紫髪の堕天使は静かに俯く。
「やっぱり」
金髪の人物はそう呟くと寝台から降りる。
「あの一件はよく分からないよね」
ぼすなら反乱なんて起こしたりしないはずなのに、と金髪の天使は呟く。
「だからボクは何かの手違いだと思ってるんだけど…」
金髪の天使はそう言いながら紫髪の人物の方を振り向く。
「ぼす⁇」
金髪の天使は紫髪の堕天使がぼんやりしていることに気付いて、思わず声をかける。紫髪の堕天使はハッと顔を上げた。

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ピッタリ十数字・勝手に表彰

どうもナニガシさんです。好き勝手やるならしばらく更新されない週末がチャンスだぜってことで、ナニガシさんが以前開いた企画『ピッタリ十数字』で個人的に惚れた作品を勝手に紹介していきます。


・『ピッタリ10文字』byTohofantasy
貴方に出会えた十文字

習作の時点で遭遇した何か滅茶苦茶気に入ったやつ。レスで会話した内容を引用するに、「僕自身が滅多に浮上しないアカウントであることと、あとは第三者視点でも交わらなかったはずの2人が十文字(=交差点)で交差する感じを両方10文字で表してみました」だそうです。これがエモいってやつなのか? 僕には若者語が分からねえ。

・『朝』by晴結
井の中の蛙は、空がみたい。

何かよく分からないけど何故か異様にというか奇妙にというか何か印象に残って気が付いたらお気に入り登録してたやつ。そういえばお気に入り登録って個数上限あるんすね。

・『ピッタリ十数字』byぞろりく
       昨日

         おはよ >  ●
              ⒎⒛
       今日

  〇 < さよなら
  ⒗⒓

ルールを最大限悪用してくださった作品。すげー!ってなった後に「本当にセーフかこれ?」って冷静になったけど、1回納得させた時点で彼の勝ちです。この企画において恐らく唯一『勝者』を名乗って良い。

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視える世界を超えて エピソード6:月夜 その⑨

少女は既に数十度目に達していた攻撃を終え、再び怪異から距離を取ろうとした。しかし疲労の蓄積は少女自身の想定以上に大きく、後退ろうとした両足から力が抜け、その場に尻もちをついてしまう。
「っ……!」
刀で身体を支え立とうとしたが、肉塊怪異は既に眼前まで迫っており、彼女の足の状態で回避できる段階は過ぎ去っていた。
せめて直接の衝突は避けようと、刀を盾として目の前に突き出し、無意識に両目をきつく閉じ、身体を強張らせる。
しかし怪異が衝突する直前、少女の目の前、まさに怪異が迫って来ていた方向から突風が吹き付け、彼女は吹き飛ばされるままに地面を転がった。
予想していたのと異なる挙動に、少女が恐る恐る目を開くと、肉塊怪異は移動に用いていた短い手足を忙しなく動かし続けていたものの、その移動は完全に止まっていた。
「あ……あれ……? なんで、止まって……」
呆然と怪異の様子を眺めていた少女だったが、すぐ思い出したように周囲を見回す。突風に巻かれた際に取り落とした日本刀は、手を伸ばして届く程度の距離に転がっており、すぐに回収してよろよろと立ち上がる。両脚には既に力が殆ど入らない状態ではあったが、アスファルトに突き立てた刀に寄りかかるようにして、辛うじて怪異の前に立ちはだかる。
(……なんでか分からないけど、アイツの動きは止まったし、私の脚もまだ、ギリギリ動く)
頽れそうになる脚を気力で無理やり動かし、数歩、怪異に近付く。
瞑目し、深く息を吐き、短く息を吸い、再び目を見開く。そして杖にしていた刀の柄を両手で握りしめ、大きく振り上げ、怪異に突き刺そうとした。
「……ッ⁉」
しかし、支えを失ったことで膝の力が抜け、姿勢が大きく崩れる。そのまま倒れ込むかというその時、斜め下後方から吹き上げた突風が、少女の身体を強引に立ち上がらせた。
結果、刺突の勢いは衰える事無く、肉塊怪異に深々と刃が突き刺さった。
怪異は悲鳴を上げるかのように全身を震わせ、身体を激しく上下左右に振り、一度大きく仰け反ってから、再び地面に突っ伏し、動かなくなった。

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少年少女色彩都市・某Edit. Modeling Master Amenonuboko その①

徹夜までして丸二日かけて制作した動画を動画投稿サイトにアップロードし、一仕事終えた達成感で大きく溜息を吐いた。
すっかり冷たくなった缶のカフェオレを飲み干し、大きく伸びをして、何となく辺りを見回す。フォールム本部の休憩室の一つを借りて、第二の作業場として使わせてもらっている、自室以外ではほとんど唯一と言って良い、安心できる居場所だ。
別に対人トラブルがあるわけじゃない。そんな物が無くたって、身内以外の人がいる場所が何となく苦手だってことはあるでしょう?
……そういえば名乗っていなかったっけ。ネット上では『雨野ぬぼ子』の名前で3Dアニメーションの動画を投稿していたりする、彩市在住1X歳のリプリゼントルです。同業のみんなからは『ぬぼ子』の名前で呼んでもらっています。本名っていう個人情報を明かさなくて済むのは有難い。
安心して少しずつ眠気を思い出しつつある頭でぼんやりとスマホのSNSアプリをチェックしていると、メッセージアプリの通知が出てきた。
『ぬぼ子さん、今本部にいますよね?』
同業者……リプリゼントルの1人だ。たしかこの子は少し前になったばかりの割と新人さんだったっけ。
『いるよー』
手短に返信する。
『これからエベルソル退治なんですけど、サポートお願いしたいんですが』
これは困った。今、眠くて仮眠取ろうとしてたところなんだけど……。
まあ、新人さんが力を付けるまでのお世話も、先輩の仕事の一つだし。電源マークをちょっぴり豪華にしたような魔法陣をぱぱっと描き上げ、変身した。
『OK!』というスタンプを送り、休憩室を出る。途中、自販機でエナジードリンクを購入し、飲みながら本部を出た。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 連載開始5周年記念! 作者からのごあいさつ

どうも、テトモンよ永遠に!です。
先日、3月4日をもちまして、「ハブ ア ウィル ―異能力者たち―」は連載開始5周年を迎えました~!
いやーめでたい(?)ですねー。
これもひとえに皆さんのスタンプやレスのお陰です。
いつもありがとう。

さて、今回はまたですが近況報告をしようと思います。
とにかく最近はてんやわんやでした。
「連載再開2周年記念! 作者からのごあいさつ」でも言った通り、ウチのばーちゃんが生死の境をさまよってたりしましたが、2週間くらい前の日曜日にとうとう亡くなってしまいました。
それで今週の月曜日は葬儀でして、「ごあいさつ」を書き込むことをすっかり忘れてたんですよね…
まぁ無事に見送れたし、「ごあいさつ」も書き込めてるのでよしとしましょう。
あと歳の近い妹が某藝大の受験のため頑張っています。
とりあえずこの間一次試験を突破したので明日あさってで二次試験に挑むそうです。
ぼくは隣で美術予備校や藝大受験の話を聞いてやることしかできないけど、本番の空気に飲まれないでほしいなぁと思ってます(彼女のことだから大丈夫とは思うけど)。

…と、いう訳で今回の「ごあいさつ」はここまで。
次は「20個目のエピソード記念! 作者からのごあいさつ」でお会いしましょう。
ちなみに今はその20個目のエピソードを作りかけで放置してます(笑)
実は「よその小説投稿サイトみたいな所にも自作の物語を載せてみたい!」と最近思ってそっち用に物語を書いてる内に「ハブ ア ウィル」とか「造物茶会シリーズ」の執筆作業がちょっとおざなりになってたんですよ。
「造物茶会シリーズ」は1エピソード分の書き溜めがあるので大丈夫なのですが、「ハブ ア ウィル」の新エピソードは途中で止まっているのです。
一応新エピソードの話の流れはできてるので、あとはそれをアウトプットするだけなんですけどね。
まぁ無理せず頑張ります。
ではこの辺で。
テトモンよ永遠に!でした~

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Daemonium Bellum RE:ふぉーるんらぼらとり その⑤

「あんまり待たせないでほしいなぁ……そうだ」
青年は長剣を床の上に放り出し、別のものを手に取った。干からびた枯れ枝のようで、先端は4つに分かれ尖った白い何かが貼り付いている。
「これ、この間あなたの同類から貰ってきたんですよ」
「『奪ってきた』の間違いじゃねえか?」
悪魔氏の返事に彼の方を見ると、頭も両脚も既に完全に再生していた。
「もしかしたらそうかも。まあそんなことはどうでも良くって。同類の腕に切り刻まれるのって屈辱的な気分じゃありません?」
「……いやァ? 俺は別にそーいうの気にしないタイプだしなァ」
「そうですか。じゃ、やりますね」
「バッチ来ぉい」
青年はその枯れ枝……悪魔の腕の爪を用いて、悪魔氏の頭、肩、腹、腿、腕と次々斬りつけていった。血飛沫と内臓が悪魔氏の身体から飛び出していくにも拘わらず、悪魔氏は平然として笑っていた。
「ふーむ……天使の武器も駄目。悪魔の爪も駄目」
「ソラお前、首も心臓も丁寧に外すんだからこっちも何の心配も無く受けられらァな」
「どうすれば本性表してくれます?」
「これもまた俺の本性だよ」
「そう言うの良いんで。……けど困ったなぁ…………あ、そうだ」
青年が腕から長剣に持ち替え、こちらに顔を向けた。
「同じ地上に住む者同士、仲良くしておくれ」
彼の考えに気付く前に、長剣の刃が私の首に迫っていた。

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革命のレイ〜第1話 勧誘〜

「本日の審議はこれまでとする」
議長のその一言に異を唱える者はいない。誰もこの議会に意味を求めていないことはとっくに明確だ。
「今日はどこだったっけ?」
「知るかよ軍部の話なんか」
議事堂の廊下は三股に分岐していて、議会が終わると種族に別れてそれぞれの方向へ帰るのがお決まりだ。
「先日の負傷者は?」
「既に3桁を越えたとの報告が、MIAも含めるとさらに…」
この分岐点は机上の空論を絵に描いたように現場とはかけ離れた会話が飛び交っている。
「1次避難所の首尾は?」
「野良の装甲ですが、奴らの権能には十分耐えうるものになっています」
世界では天使と悪魔の戦争が続いている。人間は両種族の奴隷として軍備や援護をさせられ、いつしかそれに疑問も持たなくなっていた。
「レイ、いつまでこんな議会にこだわるつもりだ」
議事堂を出たところで声をかけてきた男の名ははムーラ。彼はレイの幼なじみであり先代の議員の息子だ。
「さぁな、せめてこの戦争が終わるまでかな」
「それが俺たちにどうこうできることじゃないのはお前の方がよく知ってるだろ」
確かに彼の言うことは事実だ。議会にいる立場では軍部に物を言うことは出来ないし、世界の実情が戦争によって多くを決しているのは否定できない。
「そうだな、でも全く変わらないってわけでもない」
「だからぁ!小さな変化じゃダメなんだよ!」
はぐらかすように軽く返したレイに対してムーラは血相を変えてレイの胸倉を掴んだ。
「離せよ…」
レイの声色は先程と違い重いものだった。ムーラも思わず手を離してしまう。
「とにかく、レイもそろそろこっちに合流してくれ」
彼がココ最近来る理由はこればかりだ。独立した人間の蜂起軍を結成するとの事らしい。
「すまないがそれは出来ない」
「何故だ?なぜそこまで議会にこだわる?」
「ムーラこそなぜ武力にこだわる?武力で抑え込んだところで同じことの繰り返しだ。たとえ今人間の手で戦争を終わらせられたとて、この軋轢はそう変わりはしない」
「それでも…このままよりはいい」
その言葉は人間の苦痛、怒りを込めたようでレイも返すことが出来なかった。

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Daemonium Bellum RE:ふぉーるんらぼらとり その④

「それじゃ、本題に入りましょうか」
青年は眩しいほどの笑顔で私達の方に向き直った。その手には先ほどまで見ていた長剣とは違う、刃渡り20㎝ほどの沿った片刃の短剣を携えている。
「まぁその前に」
言葉を続けながら青年は天使氏の方に歩み寄り、短剣をその口内に向けて深く突き刺した。
「このひとは煩いから黙らせときましょう。どうせこの程度じゃ死なないんだし。……では悪魔さん?」
「ンだよ」
「その偽物の身体、さっさと捨ててください。俺が用があるのはそんな小さい紛い物じゃなく、禍々しい化け物の姿の方なんですから」
長剣の刃を向け、青年は悪魔氏に言い放った。
「……『偽物』? 『紛い物』? 心外な言い方してくれんじゃねえか。この姿もまとめてひっくるめて俺なんだぜ?」
「ああごめんなさい、あなたの理屈は割とどうでも良いんです」
言いながら、青年は悪魔氏の足下に向けて長剣を振るった。殆ど何の抵抗も無く、悪魔氏の両の脛が切断される。
「俺が興味あるのは、あなたの“異形態”だけなんで」
「……そいつァアあんまりな言い分じゃねーの? 俺、自分の全てを愛してもらいたいタイプなんだk」
彼の言葉は途中で遮られた。青年が悪魔氏の上顎より上を斬り飛ばしたのだ。

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少年少女色彩都市某Edit. Passive Notes Walker その⑦

タマモは追加で新たに小さなインキ弾を数十個、やや大きめのインキ弾を数個生成し、理宇の身体が僅かに傾いた隙を通してエベルソルに叩き込む。まず腕を叩き落とし、頭や肩を重点的に狙うことで動きを制限する。
「ん! ありがとうございます!」
理宇が飛び退くのとほぼ同時に、タマモは予め用意していたインキ砲弾を蹴飛ばし、エベルソルに向けて転がした。
「俺の弾幕の残りは十分、つまり攻撃はもう来ない。対するこちら、この砲弾。コイツはまさに『破壊力』。スローで確かにテメエに向かい、防ぎようも無く轢き潰す! っつーわけで……さらばクソ文化破壊者!」
動きを止めるための弾幕が止むのと、砲弾がエベルソルに直撃したのはほぼ同時だった。
砲弾はエベルソルに当たった順に腕、頭、胴、脚、尾と消し飛ばした。
「わー……あんな恐ろしい攻撃できたんですね」
「俺としては、お前のインキの使い方に驚いたよ。ああいうの、アリなんだな」
「できてるしアリっぽいです。……ところでタマモ先輩?」
へたり込んだままの理宇が尋ねる。
「何だ?」
「その……運んでいただけると」
「……まあ、そりゃ内臓損傷してるだろうからな」
タマモは理宇を抱き上げ、肩に担いだ。
「あ、そう運ぶんです?」
「ん、流石に腹押す形はマズかったか? 負ぶってやった方が良いか」
「いやぁ…………そうですね、それでお願いします」
「了解」
背負い直し、歩き始める。
「……お疲れ、後輩。よく頑張った。寝てて良いぞ」
「光栄です……すみません、ご迷惑おかけします」
その言葉を最後に、理宇は意識を手放した。

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Daemonium Bellum RE:ふぉーるんらぼらとり その③

「……で。なんでだ?」
あの男性……彼の言葉から察するに、悪魔氏は、先ほどまでの軽い口調とは打って変わった真剣な口調で青年に問いかけた。
「俺に用があるなら、俺だけラチりゃ良いだろ。……ぁいや俺ラチってきたのも許してねーけど。羽根カスとヒトカスはなんでここに居る? 言っとくが悪魔にだって知識として『常識』はあンだよ」
長剣の刃を見ていた青年は身体の動きをぴたりと止め、ゆっくりと悪魔氏の方に向き直った。
「えっと、そうですね……見ての通り俺は片翼の“堕天使”なわけですが」
「あァ、そうだな」
「やっぱ俺って、追放された側なわけじゃないすか」
「そりゃテメェで反旗翻してンだからな」
「普通恨みません?」
「お前個人は?」
「いや特に……俺も馬鹿な事したなーって。けどせっかく見つけたんで、物のついでってことで」
「ヒヒヒ! お前良い性格してンねェ!」
「おい貴様! 誰が物のついでだと⁉」
天使氏の言葉には2人とも無視を決め込んでいた。
「あ、ついでにそっちの“かよわきいきもの”は?」
「それはほら、天使って暴力的なところあるじゃないですか」
「ウン」
「だからほら、無力な人間が一人いれば、無法出来なくなるなって」