愛していたよ、もう二度と会えないといいね
──砂時計の中に閉じ込められる夢を見ている。ダイヤモンドを吐息で潤ませたような色をした砂粒が、裸で横たわる私を目掛けて真っ直ぐに降り落ちてくる。
流れることを諦めた流れ星に、撃ち抜かれ続けているみたいだ。冷たいガラスに体温を絡め取られながらそんな風に思っていると、何やらスケールのおかしい君がこちらを見つめていることに気が付いた。
あの日の別れ際のように振ろうとした掌は、とっくのとうに砂の海の底だ。仕方がないので、水面から半月型に露出した頬で微笑んだ。君は静かに泣いていた。
最後の砂粒が私の髪を沈める。意識の花弁が一枚ずつ剥がれ落ちていく。次に目を覚ますとき、きっと私は私も君もいない世界に居るのだろう。そういえばこれは夢なんだっけ。どうでもいいね。おやすみなさい。