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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 21.ティアマト ⑭

そうこうしている内に、わたし達は寿々谷公園に到着した。
休日の人々で賑わう公園内を周りつつわたしは昔の話をあま音さんとしていたが、あま音さんはことごとく覚えていないようだった。
周りの皆はそれを不思議そうな目で見ていたが、ネロだけはなぜか周囲を気にしていた。
「…今日はありがとうね」
色々とわがままに付き合ってもらっちゃって、とあま音さんは日の暮れかけた公園の隅のベンチで言う。
公園にいた人々は少しずつ帰り始めており、辺りの人気は減りつつあった。
「いえいえ、別に良いですよ」
わたしも楽しかったです、とわたしはあま音さんに笑いかける。
「…おれ達は付き合わされてただけだけどな」
しかし耀平はふてくされたように呟き、その隣に立つ黎はうんうんとうなずく。
わたしはそれを見て苦笑した。
一方そんな中でも、ネロは何かに警戒するかのように辺りを見回していた。
「お待たせ~」
…とここで、穂積と雪葉がお手洗いから帰って来た。
「あ、おかえり~」
「じゃあそろそろ行くかね」
耀平と師郎はそれぞれそう言う。
わたしもそうだねと言ってベンチから立ち上がろうとした。
その時だった。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 21.ティアマト ⑨

「…やっぱり、あの子変な異能力の気配がする」
わたしが駄菓子を買って店の外へ出た所で、雪葉はそんな事をネロ達と話していた。
「まぁ確かに、あの女からはうっすらと異能力の気配がするけど…」
別に気にする程でもなくない?とネロは言いながら、買いたてのココアシガレットの箱を開ける。
「そうなんだけどさ」
気になるじゃん?と雪葉は頭をかく。
「もしかしたらヴァンピレスと関係あるかもしれないし」
雪葉がそう笑うとネロは少し顔をしかめる。
「…さすがに寿々谷の外から来てるみたいだからそんな事ないと思うんだけど」
ネロの言葉に、彼女の隣に立つ耀平はだなとうなずく。
「あのヴァンピレスが寿々谷の外で活動している話なんて聞いた事ないし」
てか何でも奴と結びつけんなよ、と耀平は呟く。
雪葉はごめんごめんと苦笑した。
…とここであま音さんがわたし達の元へやって来た。
色々と駄菓子を買ったのか、その右手には中身の入ったビニール袋がさがっている。
「皆、何の話してるの?」
何か寿々谷がどうとかって聞こえたけど、とあま音さんは尋ねる。
わたし達は一瞬どきりとしたが、すぐに機転を利かせた穂積がこう言いだした。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 21.ティアマト ⑧

不思議な少女と再会してから暫く。
なんだかんだで少女と共に行動することになったわたし達は、いつもの駄菓子屋の前にいた。
「ここが駄菓子屋かー」
ここに来る途中で鯨井 あま音(くじらい あまね)と名乗った彼女は、駄菓子屋の店先を物珍しそうに眺めた。
そんな彼女を尻目にネロ達はいつものように店内に入っていく。
わたしもあま音さんも彼らに続いて中に入った。
「なんか、絵に描いたようなお店だね~」
すごーい、とあま音さんは商品が所狭しと並んだ店内を見渡しながら呟く。
「そうですか?」
「うん、すごいよー」
わたしの言葉にあま音さんは笑顔でうなずいた。
「わたしも昔はここに来てたのかな~」
あま音さんは駄菓子が平置きされた台を覗き込む。
彼女の言葉に相変わらず違和感を抱きながら、わたしは彼女の横顔を眺めていた。
「…お前、駄菓子は買わないのか?」
ふとネロに尋ねられて、わたしはハッとしたように顔を上げる。
そう言えば駄菓子屋に来ていたのに何も選んでいなかった。
その事に気付いたわたしは、慌てて品物を選び始める。
そしてわた選んだ物をレジに持って行って会計を済ませた。
あま音さんもそれを見てわたしに続いてレジに向かった。