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世にも不思議な人々㊲ 死なない人・死なせない人その3

「まあそいつら普通に捕まったんだけどな」
「へー、どうやって?」
「二段ジャンプ野郎はより高いジャンプで取り押さえたし、影の薄い奴は普通に突っ込んで捕まえてた」
「二段ジャンプより高いジャンプができるその子何者?アスリートか何か?」
「さあ、知らん。けど知らないってことは違うんだろ。で、神か少年も物陰に隠れてたのがバレてあっさりお縄」
「神か少年って何その略し方」
「で、残りが主催者のジョジョなんだが、探しに行く気配が無いからどうしたのかと訊いたらそいつは絶対に捕まえられないからどうせ無駄だっつって、じゃあ試しにと一回ケイドロ止めて範囲決めてそいつを全員で捕まえようってことになったんだよ」
「範囲って?」
「4m四方」
「無理でしょ。1対6でしょ?」
「ああ、無理だった」
「やっぱり」
「捕まえるのが」
「ファッ!?」
「あれは人間の身体能力じゃなかったわ。あいつも俺らの同類だったのかね?」
「ハッハッハ、そんな馬鹿な。そんなコロコロいるわけ無いよ」
「……そうだな。それもそうだ。……あれ、そうだよな?あんまり人外ばっかで感覚変になってたかな」
「それもやむなし。だって君だろ、二段ジャンプだろ、逃げ足特化だろ……、マジに全員能力者あるかも……」
「だろ。折角だから今度そいつらにカマかけてみよっかな」
「何か分かったら教えてよ」
「おう。……さて、ところで一つ良いか?」
「何?」
「お前が不登校な分には別に構わないんだが、何故俺ん家に来た」
「細かいことは気にするなよ、少年」

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世にも不思議な人々㊱ 死なない人・死なせない人その2

「さて、少年?どうしてこうなったのか話を聞こうか?」
少女が大男に問うた。
「あー、そうだな、簡単に説明するとだな、まあこれを見てくれ」
そう言って大男は自分のスマホの画面を見せた。チャットアプリの画面が表示されている。少女がその文章を音読した。
「『逃げ足に自信のある奴集合!あの公園でケイドロしようぜ!日時は……』。……何これ。いやね、まあ、それに参加したってことなのは分かった。けどそれでどうしてあんなになるの?君はもっと自分を…まあ死なないし良いのか?」
「まあそういうわけだ」
「まあ良いでしょう。じゃあその時の話聞かせてよ。どういうメンツでやったのさ?」
「えー、メンバーは殆どクラスの男子で、主催者はジョジョだろ、他には」
「待って、ジョジョって誰よ?」
「所沢初だが」
「無茶が過ぎない?」
「そうか?で、他がクラス一の俊足だろ、『お前神か』が口癖の奴だろ、影の薄い奴だろ、二段ジャンプできるやつだろ、」
「ちょっと待って。二段ジャンプってできるもんなの?」
「そいつはできたからなー。んであとは、ジョジョが連れてきたお前くらいちっさい少女」
「ほう。それで?」
「その少女が鬼だったんだが、真っ先にクラス一の俊足がやられた」
「へえ、その子速いんだねえ」
「で、その次に俺がやられた。逃げるときに枝に引っ掛けるか何かしたんだろ」
「引っ掛けるのは服くらいにしてほしいよ……」
「んで、そこからが長かったな。鬼は二段ジャンプ使いを追ってたんだが、相手は空中を上手いこと逃げるからなかなか捕まらない。その間に影の薄い奴が解放に来たんだが、あの鬼、20mくらい離れた距離からそれに対応しやがったんだ。けど何故かそいつも捕まえるには至らない」
「はー。そんなことあるのか」

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世にも不思議な人々㉟ 死なない人・死なせない人その1

「やあお帰り、少年。まーたボロボロになって帰ってきたね?」
少年、と言うには肉体的に成長し過ぎた、一応年齢のみは少年の2m超えの大男に、彼の3分の2程度しか無い、とても彼と同い年とは思えない少女が心底寛いだ様子で話しかけた。
「……ここは俺の家だ。何故ここにいる。そんな当たり前のように」
「案ずるな、君の親には了承を取っている。嬉々として招き入れてくれたぞ」
「……そうか。それなら仕方無いな」
良いのか。
「傷を見せてみな?私が治してやるからさ」
「いらん。どうせ大したことはない」
「腕の骨が露出するほどの裂傷を大したことないと形容するのは君だけなものだよ。全身傷だらけのズタボロだし。何をしたの?」
何故平気なんだろうねー?痛みは?気合でどうにかなるレベルを大きく超えてますけど?
「おお、そんな酷かったか。うん、確かに。こいつは実に気持ち悪い。いやな、ちょっとばかし、な」
ちょっと、何だ。
「そうでしょ?いくら君が不死身でも治癒は君の専門外なんだから」
ほう、不死なのね?道理で気にしない訳だ。
「おう、で、今回は何で治すつもりだ?包丁系は大体やっちまったろ?牛刀とかどうだ?」
「この間やったよ」
「あれ片手剣じゃなかったのか。鮪包丁は?」
「それもやったね。あれは確か半月前だったんじゃないかな?」
「あれ日本刀じゃなかったのか」
会話が剣呑過ぎます。治す算段はどこに消えた。
「まあ、私の力なら最悪縫い針1本で十分なんだけどね」
「何でも良いから早く治せ」
「了解。じゃあ果物ナイフ辺りで行きますかね」
そう言って、少女は果物ナイフをどこからか取り出し、大男に向き直り、ナイフを深々と彼の胸に突き刺した。ってちょっと待てぃ。治すって何だっけ。
「ごっふ」
そしてナイフを抜くと、胸の傷を含め全身の外傷は消えていた。
「うおお…、相変わらず慣れねーな。つーかもっと丁度良いものあったんでは?」
「気にするな。治してもらったんだから文句言わないの」

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世にも不思議な人々㉞ 悲しきトカゲその2

以下、トカゲの書いた文面である。
『やあお二人さん。話を聞いた限りでは二人も私の同類とお見受けする。その縁でどうか私の話を聞いてほしい。信じてもらえないかも知れないが私はもともと人間だったのだ。』
こんな文章書ける知能がある時点で十分信じるに値しますよ、トカゲさん。以下続き。
『ある日私は不思議な力を手に入れた。「暗示によって己の姿を変える」というものだ。それによって友人にこの姿に変えられてしまった。元に戻れたらあいつは殴ろうと思う。どうやらこの力は自分の意思によっては姿を変えられないらしいのだ。そこで頼みがある。何とかして私を人間に戻して欲しいのだ。無茶は承知だが、この姿のままでいるともしかしたら私は自分の人間出会った頃を忘れ、ただのトカゲとして知性も手放し無意味に一生を終えてしまうかもしれない。それが私はたまらなく恐ろしいのだ。』
「………どうするつーさん?」
暫く呆然とした後、有栖が口を開いた。
「………無茶にも程があると思うのよ、私。っていうか呼び方よ。……でもまあ、私達が拾ってて運が良かったね」
「けどつくば、人をトカゲには出来そうだけど、逆いけるの?」
「どうだろ。だから君の力を使うんだよ。確実に治すためにさ」
「どういうこと?」
「私の能力で君に、『あのトカゲは人間に戻る』と暗示をかける。そうすれば彼も元に戻るって寸法だよ。もちろん私もトカゲ氏に対して呪(まじな)うよ?」
「その手があったか。よし、早速実践だ」

「ありがとうお二人さん!あなた方は私の恩人だよ!恩に着る!」
トカゲ氏は無事元に戻りました。
「いえいえ良いのですよ。同じ能力者ですから。困ったときはお互い様です」
これはつーさん。
「しかし暗示で能力が発動ですか。シンパシー感じます。」
「ほう、君もその手の能力か。ぜひ詳しく聞かせてほしいな」
「はい、喜んで」
「フフフ、友人増えて良かったねアリスちゃん」
「え、うん、ってその呼び方やめてってば!」

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世にも不思議な人々㉝ 悲しきトカゲその1

ここは、皆さんご存知、高崎有栖の自室である。今回もまた例によって例の如く、前橋つくばが窓から入り込んできた。虫かごを抱えている。
「ハローアリスちゃん!面白いもの持ってきたよ!」
「だからその呼び方止めてってばつーさん」
「思いっきりブーメランだよ。大体君みたいな最早可憐とさえ言える少年を格好いい呼び方なんてできるわけ無いでしょう?」
「な、何だとぅ!」
「君、男子に告白された回数が女子にされたそれより多いって噂あったよね。あれホント?」
「うっ……。と、とにかく!早く本題入ろう、面白いものって何?」
「ああ、それなんだけどね……」
そう言ってつくばは虫かごを有栖の前に突き出した。中には、トカゲが一匹だけ入っている。
「これ!すごくない?」
「何これ……作り物……?」
「いいやよく見て。ちゃんと生きてるでしょ?」
「いや、それは分かるんだけどさ……。私、うずくまって頭抱えて考え事してるようなポーズする爬虫類は初めて見たよ……」
「そうでしょー?見つけたから捕まえてきたの!面白いじゃない」
と、トカゲが二人の方を、まるで助けを求めるかのようにじっと見た。
「む、こっち見てら。何だ何だ、私たちが人間、しかも不思議な能力を持ったヤバい奴らと知っての狼藉か?」
「止めなつーさん。トカゲ相手に喧嘩売ってちゃ別の意味でヤバい奴だよ。きっと何かあるんだ。……そうだ!」
有栖は机上からインク壺と紙を一枚持って来て、床に置き、その上にトカゲを放した。というか有栖さん、インク壺なんて持ってるのね。
「さあトカゲ氏。何か思うところがあるなら、筆談で教えておくんなし」
「アリスちゃんもアリスちゃんでなかなかヤバい奴のムーブメントだよ」
「喧嘩売るよかマシでしょ!」
そうしているうちに、トカゲが紙の上をインクを付けた身体で這いずり回り、その軌跡は汚いながらも文字の形をなしていた。

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世にも不思議な人々をリストアップ4

鈴木燕(すずき つばめ)
伏見清次の友人。彼よりは一つ年下。つまり現役合格している。
能力 WAになっておどろう
時間を止めてその中で自由に動ける。制限時間などは特に無いが、喩えるならば水に潜るようなもので、あんまり止めてるとキツイらしい。教わるまで時を再始動するという点についてはこの能力の効果の範囲外だった。
作者のコメント
彼の場合は名前の方が地名由来です。ところで、燕市について調べてたら、市長が鈴木でびっくりしました。偶然ってすごい。

高崎有栖(たかさき ありす)
中二の少年。アルビノ。一人称が定まらず、使ったことのある一人称を挙げると、僕、私、俺、わー、なー、うー、我、うら、おいら、わっち、有栖さん、この高崎有栖、わちき、それがし、わたくしめ、オラ、我輩、などとキリが無い。
能力 子守歌
自分にかけられた暗示が世界にまで影響を与える能力。彼に嘘をついてはいけない。
作者のコメント
シューベルトのあれです。一応童謡の部類には入るはず。

前橋つくば(まえばし つくば)
有栖と同い年の少女。有栖とは10年来の友人。両親は理系だが、彼女は別にそういうわけではない。しかし腐っても科学屋の両親から産まれた自分が非科学の極みみたいな能力を手に入れてしまい、これで良いのかとも思ったが、難しいことを考えるのは得意ではないので、まあ良いかとそれについては考えるのを止めた。
能力 ひみつのパレード
対象を『呪う』能力。これは『のろう』能力にして『まじなう』能力でもある。
作者のコメント
苗字も名前も地名由来。呪術系は強い。というか、この辺でだんだん能力のレベルが暴走し出してる気がする。

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元人間は吸血鬼(仮)になりました。#3.5

雨月視点


静かにピアノを弾き続ける涼香。本当に何も覚えてないんだ。あんなに必死であの四人のことを守ろうとしてたのに。人間ってやわだなあ。誰かに守ってもらわないと行けないなんて。
きっと私にも、人間だった頃があったんだろうけど、何も覚えてない。何も分からない。なにかを守る理由が。守るものも、守られることもなかったから。愛されなかった。ただそれだけ。分かりきってる事。だから、きっとその、憎しみで、私は、死んでから、キョンシーなんかになったしまったんだろう。
こんなに醜い見た目じゃ、ここでも誰にも愛されない。でも、風花が教えてくれた。怪物は、同族には優しいってこと。
だから、できることなら、二度と人間は見たくない。
涼香は、愛されたのかな。愛されてたか。あの四人に。悔しいな。あの四人に教えてやりたい。「怪物になってから、お前らのことなんか、涼香は忘れたよ」って。
きっと、あの四人は、笑って許すんだろう。悔しい。私だって、愛されたかった。
どうしようもなく悔しい。
きっと私は、涼香に嫉妬してるんだ。こんなに醜い感情を持っているから、愛されないんだ。
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はい!皆さん!お久しぶりです!
イカとにゃんこです!覚えてる人いますかー⁈
覚えてる人はレスください!
実は、部活を辞めたり、勉強したり、ベース弾いたり(おい!)で忙しかったので書き込みできませんでした。(苦しい言い訳)
これからもよろしくです!(急だな!)

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世にも不思議な人々㉜ 呪う人・信じ込む人その3

「君の能力、それは……」
「……それは……?」
「『自分にかけられた暗示が世界にまで影響する能力』です!」
「……何それ?つまりどういうこと?」
「つまりね、君に『あなたはだんだん眠くなる』って暗示をかけたとするでしょ?そしたら君はただ眠くなるだけ。だけどさっきみたいに、たとえば、『今はもう夜だ。だから君もそろそろ眠くなるはずだ』みたいに暗示をかければ、本当に夜になる。つまりそういうこと」
「いや、全く分からん。理解はしたが納得ができない」
「これが本当って証拠が一つだけあるよ」
「何?」
「私、君に対して嘘だけはついたこと無いでしょう?もちろん君への好意はあるよ?けど君の能力がうっかり変な方に動いちゃいけないってのもあって」
「ええ……。我ちょっとショック受けたさ……」
作者のナニガシさんはそれが理由として成り立つことにショックを受けたさ……。ところで。
「あ、そういえばつーさん?」
「何?…って、だーかーらー!呼び方ー!」
「ああ、ごめんつくば。君は何をしたの?まさか暗示だけじゃないよね?今更わざわざやりに来たってことは、何かあるんだと思うんだけど」
「ウフフフ。やっぱりちゃんと呼ばれると嬉しいねぇ。ああ、そうそう、それが私が来た目的なんだけどね。なんとついに私も不思議な能力手に入れたんですよ!」
「へえ。どんなの?」
「『呪う』能力」
「……え?」
………え?
「今何て」
「だからー、呪う能力だって」
「え、のろ……」
「私の能力は『のろう』能力であり『まじなう』能力でもあるの」
「へ、へえ……。……あ!そういえばその二つ同じ字か!」
「そう!分かってくれた?」
「うん。……けどさ、何かもう夜になっちゃったしさ、もう帰りなよ」
「えー、いけずぅー。『泊まってけ』くらい言えないの?それだから君はアルティメットチキンなんだよ」
だからそれは他人だっての。

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世にも不思議な人々㉛ 呪う人・信じ込む人その2

「そこの壁に時計、かけてあるでしょ?……あれをイメージして……。今は…15時30分……、今31分になった。そのまま長針はどんどん回る…。ほーら、もう16時……17時……18時……」
彼女の言葉に対応するように、壁掛け時計の針はありえないスピードで回っていく。電波時計で電波受信させたときみたいになってる。彼女の言葉はまだ続く。
「19時……30分。もうすっかり夜。外も真っ暗。いくら今が夏で昼が長いと言っても、流石に日が暮れたよ。……さあ目を開けて」
アリスなる少年が目を開くと、少女の言葉の通り時間は四時間進み、外はすっかり真っ暗になっていた。
「うわっ、何だこれ。さっきまでもうちょっと明るくなかった?」
「そうだねー、さっきまでもう少し明るかったねー。時間も四時間くらい進んでるねー。私数十秒くらいしか話してないよ?」
「あれ、じゃあおかしくない?何、つーさん何かした?」
「ほらー、また『つーさん』って。止めてって言ってるでしょう」
「いや、今はそんな場合じゃあないよね?これどうなってるの?つくばが何かした?」
「お、今度は呼んでくれたね?つーさん嬉しいよお?……そうねー、確かに私も少しは何かしたけど、大部分は君の仕業だよ」
「え、どういうことさ?」
「あー……。君気付いてなかったのかー。もう、そうだなー、四年くらい前、小四の頃から君、この力持ってたんだけどねー」
「え、力って何?有栖さん聞いたことないよ?いやホント何、怖いな」
アリスってそう書くのか。話は変わるけどそういう小説家いたよね。で、有栖君の能力ってどんなのなのさ。続けて。
「え、それこそ嘘でしょ?そんなしょっちゅうとはいかなくても、たまーに使ってたよ」
「え、何のことさ。怖い話止めて」
「むー……。しょうがないなー。私が教えてしんぜよう!」
お、待ってました!毎度お馴染み、能力説明タイム!アリスちゃんはどういう能力なのかな?

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世にも不思議な人々㉚ 呪う人・信じ込む人その1

所変わって、ここはある人物の私室である。もちろん物語には初出だ。ベッドに少女が一人、寝そべって本を読んでいた。日本人にも拘らず、髪はプラチナブロンド、目は赤みを帯びていて、肌は陶磁器のように白い。先天性白皮症、所謂アルビノというやつだ。
と、そこに、窓から別の少女が侵入してきた。
「ヘイヘイヘーイ、ハローアリスちゃん」
窓から入ってきた方が部屋で本を読んでいた方に呼びかける。
「その呼び方やめてって言ってるじゃないのつーさん。僕、これでも一応立派な男よ?」
呼びかけられた方がベッドに座り直して言い返す。ていうかごめん、男だったの?じゃあ少年だな。ほんとごめんね、雰囲気が男っぽくなかったからさ。
「ここで『これでも一応』とかつけるあたり立派な男じゃないよ」
つーさん、と呼ばれた少女が言い返す。
「大体アリスちゃんは男のくせに名前も外見も可愛らしすぎるのだよ。髪だって伸ばしてるしさ。身長いくつだっけ?120?130だった?」
「140は超えてるよ!」
「私152−。うふふ、勝った」
「つーさんこそ背が高すぎるんじゃない?」
「そうかな?普通だよ?それに呼び方についてなら私にも文句があるよ。君はいつもいつも私のことを『つーさん』と渾名でしか読んでくれない。普段から『つくば』と呼び捨てにしてくれと言ってるでしょう?」
ちょっと待って。つくば?今そう言った?キラキラネーム過ぎん?
「いや、何かもうつーさんで定着してると言いますか、何といいますか……」
「ええいうだうだと!私が下の名前で呼び捨てにするのを許してるのなんて君くらいなのだよ!友達にだって許してないのだから!このヘタレ!甲斐性無し!アルティメットチキン!」
それは別の人だ。止めてあげなさい。というかそろそろ本題に入れ。
「ああそうそう、で、本題なんだけど」
「うん、何?」
「ちょっと目を瞑って!」
「え、何でさ、怖い」
「まあ良いから良いから」
「わ、分かった」
アリスと呼ばれていた少年が目を閉じると、つーさんなる少女は彼に近寄り、耳元で囁いた。

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世にも不思議な人々㉙ 乙鳥の世界その3

鈴木「お前、昔っからそのケはあったけどよー、やっぱりだったか……」
僕「いや違うってば。やめてそういうの」
鈴木「まあまあ、たとえお前がロリコンだったとしても俺は親友のままでいてやるからよ」
僕「だーかーらー!違うってのに!」
などと鈴木の奴としばらく喋ったところで、僕はそろそろ本題に戻ることにした。
僕「そうだ。早く時間動かせよ。ずっと止まりっぱなしってのも不便だし」
鈴木「ああ、それなんだけどな………」
やけに気まずそうな鈴木。
僕「どうした?……あ、お前、まさか……」
鈴木「まさか、何?おにーさんに言ってみ?多分当たってるから」
僕「いやまさかそんな……。だってお前、自分で時間止めたんだろ?まさか動かせないなんて…」
鈴木「ビンゴ」
僕「え?」
鈴木「いやな、俺、この間この力を手に入れて、今日初めて使ったんだよ。でな、ほんの実験に留めとこうとしてな、タイムアウトで勝手に戻るかな?って思ったんだが、なかなか動かない。じゃあ動かそうと思っても、動かし方が分からん。なあ、どうしよ?」
僕「いや、知らねーよ。僕の能力でできるのは止まった時間の中で動くことだけで時間の操作じゃない。あ、けどそれなら適役が。お華さん!」
安芸「はい。何でしょう?」
僕「この時間動かせない?」
安芸「他の人が止めたのを動かすなんてそんな」
ええ……。
僕「じゃあせめて、こいつに時の動かし方を教えてやるくらいは」
安芸「それくらいなら。……では、えーと、鈴木さん、でしたっけ?」
鈴木「おう。鈴木燕ってんだ。よろしくな。で、君は何て?」
安芸「はい、私、安芸華世と言います」
鈴木「それで『お華さん』か。じゃあ、教えてくださいな」
安芸「はい、まず、できると信じます」
鈴木「え、お、おう。それで?」
安芸「そしたら出来ます」
鈴木「お、おう。おお?」
駄目だ、彼女の場合少し特殊だから参考にならない。あれ、これもしかして詰んだまである?
鈴木「時は動き出す!」
動き出したわ。マジか。
鈴木「おお!ありがとう!お華さんや!君は恩人だ!」
安芸「いえいえ。良いのですよ」
まあ、これでハッピーエンドだ。それより僕は家に帰って寝たい。いやここが僕ん家なんだが。
僕「という訳で僕は疲れたんで寝る。解散!」

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