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とある街にて 9

「それで、その彼女にもう一度会いたいの」
”彼女”とは、無論魔女のことだ。八式と謎の”魔女”の衝撃的すぎる対面の話で引き攣った顔を、白鞘と美澄はケーキの甘味と時間の経過によって収まらせた後の話である。理解しがたい情報で埋もれた脳が、白いクリームとイチゴの酸味で再び回転し始める。
「確かにその”魔女”の存在を信じざるを得なくなりましたが、もう一度会うといっても難しいと思いますし、ていうかなんでもう一度会いたいんですか。普通トラウマで顔も見たく無いみたいになってもおかしくないんじゃ……」
「まあ、少し恐怖心は残ってるけど」
「残ってるんかい」
「でもその人、なんか雰囲気が違ったのよ」
「そりゃ、RPGマジシャン装備で目の前に壁貫通で現れたら、雰囲気くらい不思議に思っても不思議じゃないというか」
「ううん、違うの。なんていうか……外人?みたいな。とにかくここの、カグラの人ではないと思うの」
「カグラだって人口多いんだ。そんな奴が一人や二人くらいはいるんじゃないか」
「うーん……」
釈然としない声を出したまま八式は宙を見上げた。外国が存在しない今、外国人なんているはずがない。しかし八式は確かにあのとき、この都市とは異なるにおいを嗅ぎとっていた。カグラの人ではない、と直感的に悟っていたのだ。
「もしその人が、本当に”外国”から来てるのだとしたら……」
呟くように言葉を発してその口にケーキを静かに突っ込んだ八式に、白鞘が答えた。
「まあもしそれが本当なら、大発見ですよね」

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とある街にて

「あ、白鞘」
とある日の放課後。ひとりで帰路についていた僕――白鞘凪にひとりの生徒が声をかけてきた。歩道橋の上である。
「おや、先輩。こんにちは」
若干の小走りで横に追いついたその人に、僕は軽く挨拶をする。
「もしかしてボッチで帰りたかった?邪魔して悪いね」
「追いついて早々何言ってるんですか」
「なはは、ごめんごめん」
からかうように笑う横顔。馴れ馴れしい態度で話しかけてくるこの人は、高1である僕の一個上の先輩である。
黒髪のロングにまっ黒な目。思わず二度見したくなるような美貌を持つこの先輩の名は八式永里という。
「で、どうしたんですか?八式先輩」
「む、永里でいいって言ってるのに。……今日ちょっと集まれるかな。面白そうな噂が見つかったんだ」
「上機嫌ですね。いいですよ。場所はいつものところで?」
「うん。美澄も呼んだから、三人揃ったところで”それ”を発表するよ」
「僕は先輩がどんな噂を拾ったのか楽しみです」
「ふふん。楽しみにしておいてね。じゃ、また向こうで」
そういうと、八式先輩はとっとと先に行ってしまった。話したいことは向こうで話すつもりなのだろう。
僕は少しだけ胸を高鳴らせると、歩く足を速めた。

――――――
みんなが小説書いてるの見たら自分も書きたくなってきた、ミーハー体質な月影です。これから連載できたらいいんですけど、いかんせん一つ書くのにとんでもなく時間がかかります。忘れたころに投稿するかもなのでご容赦を。
登場人物を少しだけ。
 白鞘凪……千ヶ暮高校1年。目立たない方の人間。
 八式英里……千ヶ暮高校2年。成績はトップクラス、眉目秀麗、周りからの人気
       絶大と三拍子揃ってる人。

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花が咲く頃に

彼女の後ろ姿はもうそこにはない。カラッとドアが開く音がしてそっちの方へ視線をやる。僕はベットになんかしんないけど座ってるからカーテンを開けドアの方人の影がある方へ目をやる。そこには隣のクラスの人がいた。「あの。。。一年B組の野々山です。」彼女は恥ずかしそうに僕の方を向いた。なぜか彼女の言葉を思い出した。「君はモテるからね。」なんで?わからない。モテるとか告られたこともない。付き合ったこともない。人を好きになった事もない。なぜ?「あの。。。ずっと前から。。。あなたのことが好きでした!」「。。。え?」え?僕は今なにを言われた、、?告白された?分かっているけど思考が追いつかない。「え、あっどう、して?」デリカシーがなかっただろうか。でも口をつぐむことはできなかった。「そ、れは!こんな私に優しくしてくれて、嬉しくて、、!きになっ、ちゃって。。。気づいたら、す、きだったんです、」なんで?野々山さんは行事の時に関わった程度。しかもたった一ヶ月だぞ?僕がおかしいのか?「えっ、と、ありがとう。?
ただ今君とは付き合えないかな、、。ごめん」なんとか答えた回答それが僕の回答。うまく思考が回らなかった。
「そう、ですか、、やっぱ私なんかじゃ無理ですよね!ごめんなさい!それじゃ!」そう言い切った野々山さんはの瞳からは涙が流れていた。。。彼女はとても可愛い感じの人ででも自己評価は低い人だ。不思議な人だと思ってた。ただそれだけ。彼女は違ってた。僕を好きだったのだ、それは今考えてもわかんない。でも彼女と僕が付き合うのはなんか違う気がしてしまった。なぜ?わからない?「あーっ、、、!くっそっ、、!わかんねーよ、、」と小さく呟いた僕の声はお昼休みの騒がしさで消されて言った…

「鈍感でしょ、君は、、さ、、。これじゃ勝ち目ないじゃん、、」
私はそう保健室前のドアで呟いた。


こんなにも君が愛おしくて溢れ出しそうな気持ちはなんだろう。

3

花が咲く頃に

「ねぇ、君は音楽が好きなの?」と僕は聞いて突然だったからか彼女はびっくりしていたがすぐにこう答えた「まぁね。仕事でもあるしね。でも嫌いじゃないよ」その仕事の意味はなんなんだろうか。親なのか自分の意思なのか。流石にそれは聞かずに「ふぅん。」とだけ返しておいた。すると彼女は少し笑みを浮かべてこういった。「君は?運動好き?」と。そういやそんなこと考えもしなかった。迷ってると彼女は笑いながらこういった。「君はモテるからね。女の子はやっぱ運動神経いい男の子好きだよ。」そんなものなのか。そうしてこういった「自分の取り柄の一つが運動ってだけ好きではないかもだけど、嫌いじゃないよ。君と一緒でね。でもまぁ気にいってはいるよ。」彼女はなぜか少し驚いていった。「そうかそうか。なんかもっと男の子って自慢げだから、、ちょっと驚いちゃった!」「そっか。まぁそんなもんだけだからね大してなんも思わないよ」「私は…と彼女が言いかけたその時。キーンコーンカーンコーン。お昼のチャイム騒ぎ出す廊下。昼休みが来てしまった。彼女はちょっと残念そうに「またね」と呟くように保健室を出てってしまった。
彼女はなにを言いかけたんだろう。綺麗な後ろ姿を見つめていると名残惜しい気持ちだけが僕の心に残った