LOST MEMORIES CⅧ
「昨日はごめんね。」
開口一番に望は瑛瑠に謝ってきた。申し訳なさそうな様子からは、謝罪の気持ちしか見てとれない。
「いえ、こちらこそすみませんでした。」
あの別れ方は礼儀としてなっていないと、瑛瑠も反省した。昨日の瑛瑠の拒絶のためか、気持ちに抑えがかかったのかもしれない。魔力は少しも感じられなかった。
午前の授業が終わるまでは。
午前中の授業が終わったあと、英人が話しかけてきたのだ。
「瑛瑠、少し話したい。昼休み、抜けられるか?」
瑛瑠が気付いたことに気付いて話しかけてきたのだろうと察する。だから、二つ返事で応えるはずだった。
ここで、思わぬ邪魔が入る。望だ。
望はそれまで頻繁に後ろを振り返ることをやめていたため、英人のその言葉に気付いて今日初めて振り返った。
「瑛瑠さんはひとりがいいんだよ、霧。不用意に近づくのはやめてあげなよ。」
思わぬ解釈のされ方だった。自分の発言に混乱する瑛瑠。たしかにひとりにさせてとは言ったが。
どうやら、望に対する拒絶というより、周りへの拒絶と受け取られているらしい。
「いえ、私がお願いしたんです。行きましょう、英人さん。」
英人まで目をつけられるのは避けたい。なんせ、彼も特殊型だ。さらに、情報は掴んでおきたい。これはチャンスなのだ。
立ち上がり、英人の服の端を掴んで促す。もしかすると、この行動がいけなかったのかもしれない。はたまた名前呼びか、英人を優先したことか。
激しい目眩に襲われ、瑛瑠は卒倒した。