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ー人は兵器になれるー

あるべき姿とはなんだろうか
自分のことは自分が1番知っている
こんなのは本当の僕じゃない
本当の私はもっと醜い
どこの誰が作ったのかも分からない自分らしさを追求し苦しみ続けている
私はこう思う
らしさは自分からは見えず
他人から見えるようにできている
さらに言うならば
人は自分に対しての興味が乏しい
誰もがそうなのだと 自分がどんなに好きであろうとどんなに自分に誇りを持っていようと
自分という人間を掘り下げることを断固としてしない
無意識に
それを知ることで自分が壊れてしまうかもしれないという人とはしての生理的恐怖が
セーフティーとなっているのだと思う
それを人は理性という名で語る
人間とは実に繊細に作られているものだ
電子機器と変わらない
無防備で受けた衝撃はダイレクトに本体の活動能力を確実に損傷させる
だから我々には理性という名のカバーが存在する
しかしおかしな話だな
これは神様のお遊びか
そんな繊細な我々人間には爆弾が搭載されている
それを人は感情と呼ぶ
理性の扉を破壊し己すら蹂躙し内側から滅ぼしてしまう
感情は神様がゲームを面白くするために仕組んだちょっとしたバグ 揺らぎのようなもの
普段から直接干渉しない そのくせ1度一線を超えればあとは滅ぶ道をひた走る
造り手は壊し方を知っている
つまり我々人間は自ら創造したこの世界の
壊し方を知っているのだ
誰でも世界は壊せる

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ー誰かの規定した自分ー

自分らしさ

とはなんだろ
に対する俺の結論
それは結局自分しか知らないもの
という結論だ
「誰かの言うらしさは常に少しズレている」
分かりみが深い
というやつだ
ホントにその通りなのだ
だって誰の前でも自分らしい時間は歳を重ねれば限りなくゼロに近くなっていくからだ
なんでかなんて簡単な話で我々には学習能力というものが備わっているから
よく言う次男は長男が怒られてるのを見て育ってるからナントカ的な
まぁそれが嘘か本当かは今どうでもいい
誰かが怒られてる所を見かけそれが何故起こったのかを知っていたとして怒ってる相手を真の脅威と認識していれば
何をすればその脅威が自分に牙を剥くか知っていてわざわざ丸見えのトラップに自分から足を踏み出す奴は居ない
ということ
自分が安全でいるためには人はどうにだって変われる
そもそも生まれてから今日と言う日まである程度の時間を過ごせば変化をするのは当たり前の話
そしてその変化は往々にしてらしさを表から裏に追いやる変化である
生みの親が子供のらしさを間違えている
なんて不思議なことでもなんでもないだって親と子の関係は血縁関係を取り除けばただの他人対他人なのだから
人なのだよどちらも
人は自分以外の者に無自覚に理想を押し付けている
それが当人にとって偽りの自分であるなんてこと
あるあるなのだと思う
そして チラチラ見えて来る知らないあなたに違和感を感じる
そこで人間は2種類に分かれる
拒絶者 適応者
だから誰かのらしさはその誰かと数少ない希少種である適応者
しか知らない

ここでもうひとつ 自分らしさなんて僕私は分からないというそこのあなたは
実に単純な回答しかなく
あなたがあなたに大した興味が無い
というだけの話なのだ
人はどんな人種だろうが興味のないもののことは知らない
そして知らない物を嫌う
だからいつまでも知りたいと思わない
だって自分の知らない自分がいるかもしれないから
まぁそれでもいいじゃないか
どうせいつか向き合うように世界は人は作られてるような気がするから

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ーみんな一緒じゃないかー

人はみんな自分勝手だ
誰かを自分の思い通りにしたがる
「私は僕は違うあんな奴とは違うんだ」
どうかな?
広く見ればみんな一緒 みんな
ワガママで意地っ張りで自分勝手
本質は一緒
そりゃそうだよ だって同じ生物なんだもの
ならなんで人それぞれなんて言葉があるのかって?
それも多分人間という生物の願望
そして僅かの事実
人は誰もが特別で居たい 何か違っていたい 個性が欲しい
周りと違うことが評価されれば自分は意味ある個性あると究極は特別と思われるかもしれないから
そして環境という鎧が私達を色んな自分にしてくれる
それは時に嫌いな自分を生み出す
あっ でもそれも
個性が欲しいから
環境がくれた自分嫌いな鎧で
個性を得てる結局利用してるだけなんだ
それだって自分勝手じゃないか 内なる自分を省みず欲しいのは周りの私に向けられる特別なやつだという眼差し
それはどんな種類でも良い
だって私の知ってる周りの誰も浴びたことない眼差しが欲しいから
トラウマなんて所詮鎧なんだ
親嫌い 学校嫌い 不登校
全部個性 究極は全て私が特別で居たいため
そしてそれは全て自分勝手な人の欲望
人は皆んな欲深くて自分勝手な生き物なんだ
ほら よく見てごらん どんな人間だって鎧の隙間から見える本当の自分は
私にあなたと同じ顔してるよ?

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ー雨ー

窓も開けていないのに
聞こえてくる
屋根をコンクリートを車を
ただひたすらに叩き続ける音が
今日は神様に話しかけてみたんだ
私をどんな風に作ったの?
私はこれからどんな人になっていくの?
って
私の周りは皆んな私を知らない 私も私を知らない
生まれてから今までお母さんの中に小さな小さな光としてこの世界に誕生日して生命として体をなし自分という存在が意識できた時から今日まで
私は私で居続けて来たのに
誰よりも近しい誰よりも理解者のはずな私が私を知らないのだ
ならいっそ
私を小さな小さな生命という光として母の中に授けたはずの神様なら私を知ってるかもしれないそんな気がして
話しかけてみた
答えは無言のまま地を叩く雨の音だった
思って見れば私が私の1番の理解者だなどと誰が証明できるのか
私を知らないものが証明出来ようはずがない
さらに言えば誰でも自分が自分を1番知ってるだなんて思い込みなのかもしれない
生命としてこの地に生まれて人間にカテゴライズされて言葉を与えられ思考力を与えられた
だから今私は何なのか
などと言えているのだ
言葉もなく思考力もなければこんな瞬間で出会いはしなかった
人は誰も自分という悲しい旅人の理解者を求めてる
そんな人どこにも居ないって本能的に分かってるから自分を自分の理解者と位置づけるという手短な方法を選んでいるだろう
私は私の理解者を求めてる
孤独というものに対する本能的恐怖
それが私を苦しめると同時に
私を私たらしめているのだ

2

幽霊さん。

私の友達の幽霊さんがいきなり聞いてきた。
“ねぇ、生きてるってどう?”
“いきなり聞かれてもわからないよ?”私は答える。
生きるってどうかと聞かれるとわからなくなる。
生きてるってなんだろうな。
そう考えていたとき、幽霊さんは言った。
“僕、思うんだ。生きるってさ、自分の好きな事ができる期間だなって。”
“幽霊さんは幽霊になって好きな事、できてないの?”
“うん?できてるよ?今日だって、日向ぼっこしてさちょっぴりいたずらしてさ。楽しかったよ。
でもね。幽霊は将来の夢って叶えられないんだよ。”
少し寂しそうな顔をした幽霊さんは話を続けた。
“君が思ってる夢ってさ、アイドルになりたいとか声優さんになりたいとかラジオ局で働きたいとか、ちょっと無理だなって思う夢があるでしょ?”
“うん。あるよ。”
“今のうちに叶えておかないと死んでから後悔するよ?”幽霊さんはニカッと笑った。
“親が言うことより、自分がどうしたいかだよ!
君ならきっと叶えられるよ。アイドルにでも、声優にでも、なんだってなれる。生きるって、楽しいんだよ。君の行動一つで楽しくなるものなんだよ!
10年後また来るね。その時また聞くよ。生きるってどうかって。     じゃあまたね。”

3

ディナー

 いい店ありますよ、と部下に耳打ちされてから数時間後、わたしは自宅とは反対方向の電車に揺られていた。
 目当ての雑居ビルはすぐに見つかった。近代的なビル群のなかで、さびれた外観がひときわ目立っていたからだ。
 エレベーターの扉が開くと、キャミソール姿の女がピンク色の照明に照らされ立っていた。直接部屋に出るとは思っていなかったのでやや面くらったが、すぐに気を取り直した。のん気に面くらっている場合ではない。神経を研ぎ澄まして料金ぶん堪能しなくては。
「予約した鈴木です」
 こくりと女はうなずき、ジェスチャーでついて来るよううながした。
 通されたのはリノリウム床の、高度経済成長期に流行ったようなダイニングキッチンだった。ばかでかい食器棚の中央にブラウン管のテレビが納まっていた。映るのだろうか。単なる飾りか。女にきこうとしたが、すでに調理を始めていた。話しかけて集中力を削ぐのは愚だ。
 きっちり十分で料理が運ばれてきた。飴色のスープ、ちぢれ麺、正真正銘のインスタントラーメンだった。
 我を忘れてスープ一滴残さずたいらげ、余韻にひたっていると、缶コーヒーを渡された。渡されたはいいが、どうやって開けるのかわからなかった。女は察したらしく、手を伸ばし、開けてくれた。口のなかで転がし、鼻から息を抜き、香りをじっくり味わってから食道に流し込んだ。至福のひとときだった。
 缶コーヒーを飲み干してから女に、「あのテレビは映るの?」ときいた。女は何も言わず、曖昧な笑みを浮かべた。
「日本語わかる?」
 女は首を振った。
 目的は達成したのだ。長居してもしょうがない。わたしは会計してくれるようジェスチャーで示した。すると、「ありがとうございます。八万二千円になります」と元気のいい声がどこからかきこえた。テレビだった。ブラウン管に萌え系のキャラクターが浮かび上がるのと同時に女は目を閉じ、固まってしまった。わたしは戸惑い、女と萌えキャラを見比べた。
「その女は他律型ロボットです。指示を出していたのはこのわたくし。ラーメンはお口に合いましたでしょうか」
「ああ、もちろん」
 ぼそりとわたしはこたえた。
 こんな未来の到来を待たずに死を迎える世代は幸福である。