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〜二人の秘密〜長文なので時間がある時に読んで下さると嬉しいです!

「先生、おはよ〜。」
今日はいつもの窓辺、ではなく先生の部屋の扉を叩いていた。

『あぁ、おはよう。どうかしたか?』
「いや、もう夏休み終わっちゃうのに、宿題が手に付かないから遊び来た。」
『おぉ。…遊び来たか?』
「ねぇ、なんで繰り返した(笑)?」
『繰り返してはない(笑)。…う〜ん、麦茶くらいしかないぞ?麦茶でいいか?』
「うん!麦茶がいい!」
先生は冷蔵庫の中から麦茶の入ったピッチャーとガラスのコップを2つ取り出した。

『あとどのくらい残ってんの?』
「宿題のこと?あとちょっとが多いのよ。」
『半分しかやってないだろ(笑)?』
「そうね、半分くらい(笑)。」
『じゃあ、宿題持ってくるか?』
先生はコップに注ぎながら問いかける。

「どこに?」
『ここに。』
「なんで?」
『ここでやるから。』
「嫌だ。」
『嫌なんかい(笑)!』
「嫌に決まってるでしょ(笑)!この時間はこの時間で大切だから(笑)。」
『じゃあ明日にでも勉強会しよう。それならいいだろう?』
「えっ?ごめん、聴こえなかった。」
『確信犯だろ(笑)。』
「もう(笑)!わかったよ(笑)。明日勉強会ね。」
私はお茶を飲むと一息つく。

『8月も、もうすぐ終わりだな。』
「寂しいね。花火大会とか行きたかったな。青春したかったわ(笑)。」

私は先生の横顔を見ながら、私の青春は学校生活よりもこの人だなと感じていた。
私はくすくす笑いながら、ただ一つ、「先生に浴衣姿を見てほしかった」とは言えなかった。

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〜二人の秘密〜長文なので時間がある時に読んで下さると嬉しいです!

「今は降ってないみたいだけど、雨、ひどいね。」
私は窓枠に手をかけ外をみていたので、ふらっと現れた先生にそうなげかける。

『怖いか?』
顔を覗き込むと、いつものように腰掛ける。
「怖くはないけど、なんか7年前の災害と同じくらいの雨が降るんだって。」
『ここも地球温暖化の影響を受けてるのかもな。』
「うん。雨は好きだけどここまで降られるのは困る。」
『この感じだと郵便も当分来ないな。』
「あぁ、梟さん?あの子達先生のとこ来てたんだ。」
『そりゃあ、魔法に使う道具はこっちに売ってないからな。』
今日は私も先生と同じ向きで座る。

「また先生の魔法見たいな〜。」
『そろそろ、アルの魔法も上達したんじゃないか(笑)?』
「そうね(笑)、アルの魔法が先ね(笑)。」
『楽しみにしとくといい(笑)。』
“勝手に約束しないでくださいよ!”
ムスッとしたアルがでてくる。

「いつからいたの?」
“君が座ったあたりかな。”
「あ、あと、ムスッってしてたけど、約束してたよね?魔法見せてくれる約束したよ!?」
“え、嘘?いつ?”
『してたよな。』
「だよね!!」
『どっちみち魔法を見せなきゃだ。』
“え〜…。”
「手伝ってあげるから。」
“じゃあ、夏休み中にはなんとかするわ〜。”

『ちょろいな(笑)。』
アルは魔法の段取りをしていたので、それを横目に先生は耳元で呟いた。

私は、この雨が止んで3人の上に虹がかかる事を祈った。

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〜二人の秘密〜長文なので時間がある時に読んで下さると嬉しいです!

今日は久しぶりにいつもの窓辺で、足を外に出して座っていた。
『君がそうやって座ってるときは何かあるときだ。』
先生が後ろから声をかける。

「う〜ん、今日はちょっと違うかな〜(笑)。」
『というと?』
「何かあるわけじゃないんだけど考え事かな。」
先生は横に私とは反対の向きで座る。
『考え事?』
「うん。ほら、8月6日が来るでしょ?」
『8月6日?』
「あっ、そっか。先生、魔法の世界の事しか知らないよね!!」
『しかで悪かったな(笑)。』
「私は先生からたくさん学べるからそれはそれで好きよ(笑)?」
『私の話はいいんだ。8月6日、何かあるのか?』
「厳密に言えば何かがあったのほうが正しいかな。私の故郷は広島なんだけどね、76年前の8月6日、市内に原子爆弾が落ちたんだよ。」
『なんで?』
「ほら、魔法の世界でもあるでしょ?戦争。戦争があったの。」
『それで?なんで思い馳せてたわけ?』
先生は少し長い髪を耳にかける。

「う〜ん、最近思うんだよね。戦争とか紛争ってさ私達は経験してないからわからないでしょ?だけど思いを寄せることはできる。それって意味のある事だと私は思う。だからかな(笑)。」
『君のそういうところ、私はいいと思うよ。』
「先生に褒められると嬉しい〜。」
私はそう言いながら先生の肩に寄りかかる。

『どうした?』
「眠い。おやすみ。」
私はそうつぶやくと寝たふりをしてみた。
すると先生の温かい手が頭に触れる。
『落ちるなよ?…おやすみ。』

先生の優しい声を聞きながらこの『平和』な時間が続けばいいなと思った。
先生の温もりが伝わる距離で、手と手が触れ合えそうな距離に、このまま時間を止めてしまいたいと思う。

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〜二人の秘密〜長文なので時間がある時に読んで下さると嬉しいです!

コンコン。
私は先生の部屋の扉を叩く。

『どうぞ。』
中から少し冷たい声が聴こえる。
「私。」
そう言いながら、扉から顔を覗かせる。
『あぁ。君か(笑)。』
さっきの冷たい声が嘘かのような優しい声で言う。

「ねぇ、私だと思ってなかったからだと思うけど、すっごい冷たい冷えきった声だったよ(笑)?」
『しょうがないだろ……。』
先生は少し恥ずかしそうに俯く。
「先生も私と同じで好き嫌い激しいもんね(笑)。」
『で、何しに来たんだよ〜。』
「ほら、約束。そろそろ魔法見せてもらおうかなと。」

『どんな魔法をご所望ですか??』
店員さんのようにそう言うと、貴族のようにお辞儀をする。
「今日は暑くないのがいいな(笑)。」
『そんな都合の良い魔法なんてないよ(笑)。薬学にはね!』
「うん、なんとなくそうだろうなって思ったのよ(笑)。いつものやつ見せて?」
『おう。今日は材料を変えてやってみようか。』
「色が変わったりするの?」
『それは見てからのお楽しみ(笑)。』
先生はイタズラに笑いながら、少し大きい釜のような鍋を取り出す。
『アルが来る前に済ませるぞ(笑)?』

私は手伝いをしながらいつもの魔法(材料を変えているが…。)を見ながら、先生の細い指を見ていた。
いつもとおなじように綺麗な魔法と、先生の美しさをこのまま記憶の中で冷凍保存してしまいたいと思った。

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〜二人の秘密〜少し長いので時間がある時に読んで下さると嬉しいです。

「暑い……。」
そう呟いた声を先生が拾う。

『まぁ夏だからな。』
「お〜、いつの間に先生。」
『顔にタオルをかけてるからだ。』
「いや、もう暑すぎて(笑)。」
『確かにこの暑さは死んでしまいそうだ(笑)。』
先生はチョロっと舌を出しながら笑う。

「うわ。何それ。可愛いかよ。」
私は先生を少し睨む。
『いや、なんで睨むんだ?』
「私より可愛かった罰。」
私はムスッとした顔を見せるとニコッと笑う。
「先生、可愛いから焼きもち焼いちゃう(笑)。」
『君は女の子なんだから、君より可愛い訳はないさ。』
「最近は更にさらけ出してるよね、先生(笑)。」
『何をさらけ出してる?』
「う〜ん、全部かな。自分をさらけ出しすぎ〜(笑)。」
『そんなつもりはないのだが??』
「いやいや、自覚なし(笑)?」
『自覚も何もさらけ出していない。』
「ふふ。先生のそういうとこ好きよ(笑)。」

“なんかイチャイチャしてんな〜(笑)。”
アルが音をたてながら歩いてくる。
「おっ、久しぶりアル。」
“久しぶり(笑)。”
「何してたの?」
“仕事だよ、仕事。”
「先生はここに来てくれてるのにな〜……。アルは仕事ばっかしてんだな〜。」
私はアルをジロッと見る。
『可愛い顔が台無しだぞ(笑)?』
先生は笑いながら手で私の目を覆う。

私は先生の手をずらしながらアルに言う。
「アルめ。今日は先生がいるからお預けだっ!」
“いや、アニメのセリフみたいに言うなよ(笑)。”
「ごめん(笑)。そういうつもりじゃなかったんだけど(笑)。」

久しぶりに3人揃った廊下は少し騒がしかった。
3人の笑い声が響く廊下に、蝉の不思議そうな目が釘付けされている事を私達は知るはずもなかった。

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〜二人の秘密〜長文なので時間があるときに読んで下さると嬉しいです!

今日もいつもの窓辺に座っていた。

『今日は暑いな。』
「いや、ホントだよ〜。暑すぎ。」
私は第一ボタンを開けた制服のシャツをぱふぱふしながら答える。

『いきなり夏になったな。』
「雲もさ、夏の雲してるんだよ(笑)。濃いい影なんてつけてさ。」
『夏の雲は特徴的だからな(笑)。』
「う〜ん、クラスマッチが面倒くさいくらいだよ(笑)。日焼けしそ〜。」
私は遠くを眺めるように仕草をつける。

『ん(笑)?どこ見てんだ?』
「いやさ、あの山の向こうに太陽沈んでくんないかなって(笑)。」
『クラスマッチはお昼だから真上だな。』
「う〜ん、ボイコットしよっかな(笑)。」

『誰と?』
「先生と?」
『どこで?』
「先生の部屋で?」
『何するの?』
「魔法見せてもらう?」
『なんで全部はてなで返すんだよ(笑)。』
「いや、ほんとにボイコットしないもん(笑)。唯一楽しい行事じゃん。」
私はニコッと笑って見せる。

『確かに動いてるときは楽しそうだもんな(笑)。』
「動くとストレス発散になるのよ(笑)。まぁ、発散しながら溜まってるんだけど(笑)。」
先生は頭をポンとする。
「まてっ!!!汗かいてる!!!!」
先生は笑うとほっぺをプニッとする。
「ねぇ、そこも汗かいてるでしょ?」
『ここではありのままの君でいいんだ。』
「ねぇ、汗ダクダクの中言うことじゃないから(笑)。」
『しょうがないだろ?夏なんだから。』
「そうだけど〜。……うわっ、アル来たぞ。」
“いや、来たら駄目か?”
「暑苦しい!!!!!」

私達は3人揃った暑苦しい中、アルが売店で買ってきたアイスを口にいれた。
アルがいない間に、私達は《二人の秘密》の時間を共有していた。
次はどんな秘密になるのか楽しみにしながら、最後の一口を放り込んだ。

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〜二人の秘密〜長文なので時間があるときに読んで下さると嬉しいです!

今日は、雨が降っていていつもより少し怖さが増した窓辺に座っていた。

「ねぇ、今日の雨凄くない??」
先生が来たことを確認すると、座ってしまう前に口を開く。
『今日は雷も凄いな。』
「まぁ、雷は全然怖くないんだけどね〜。」
『なんだ?』
「ほら、この間地震あったでしょ?震度1くらいかな?」
『震源地で震度3だったはずだからここらへんは震度1のはずだよ。』
「震度1でもさ、2階ってめっちゃ揺れるんだよ。雷よりそっちのほうが怖い。」
遠くの方で雷がゴロゴロ音を立てる。

『雷は当たりさえしなければ、あれでもきれいだからな。』
「お、わかってんね(笑)。」
私がそう言ったとき、アルも合流した。

“雨も雷も凄いですね。”
「……ねぇ、今それ話してた。違うの出して。」
“君はなんでそんなに僕に素っ気ないんだ??”
『私も違う話がいいな(笑)。』
「ほら。先生もこう言ってる(笑)。」

“あ、そういえば、久しぶりに先生の魔法見せてくださいよ。”
「いやいや、先にアルが魔法見せる番でしょ?」
『どっちでもいいさ(笑)。君との約束もあったし、アルより先に済ませてしまうよ。』
“うわ〜、なんかセコいですね、先生。”
「ん??先生に文句があるなら私が受け取りますけど〜??」
“いや、特にありません!”

『そろそろ戻ろう。どんどん暗くなってしまうよ(笑)。』
「そうね、賛成。戻ろ!ほらアルも行くよ!!」

私達は談話室に戻ったあと、雨と雷の音に包まれながらカードゲームをして遊んだ。
このなんでもない幸せな日々が続けばいいなと、今日も思う。

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〜二人の秘密〜長文なので時間があるときに読んで下さると嬉しいです!

「先生!!今日七夕だよ!!!何お願いするの??」
私はいつもの窓辺につくなり、そう尋ねる。

『そっか、もう七夕なのか。』
先生がそう言ったとき、アルも合流した。
“1年は早いですからね。”
「あ、アルおひさ。」
“挨拶、雑だな(笑)。で、先生は何をお願いするんです?”
『それは秘密だろう。教えてしまったら叶わない気がするよ(笑)。』
「確かに……。先生、ロマンチックな事考えてるんだね(笑)。」
私は笑うと、いつものように窓辺に腰掛ける。
“でも今日は雨ですね。”
『毎年こんなもんさ。』
“今年も織姫と彦星は会えないですね。”
「それは違う!!」『それは違う。』
私と先生は声を合わせてそう言った。

『雨が降ってるのは雲より下の地上だけだ。』
「つまり、雲より上は雨が降ってないから星は輝いてるって事。」
『星さえあれば、二人は会えると思うよ。』
「私も先生と同じ意見(笑)。」
“ロマンチックなのに、結構現実的に考えるんですね(笑)。”
「だって1年に1回のチャンスを地球の条件で潰すわけにはいかないでしょ?」
“君はロマンチックなのか、怖いのかわからないよ(笑)。”
「何が怖いのよ(笑)。失礼ね〜。」
『さぁさぁ、今頃織姫と彦星が会っているだろうからお願い事をしよう。』
「雲がかかってるからこっちの世界は見いないんじゃないかな〜??」
『しっかりお願い事をしたら、雲の向こうにも届くよ。』
「ほんと??」
『あぁ。ほら、お願いをしよう。』

私達はいつもの窓辺から、織姫と彦星がいるであろう方向を向いて願い事をした。
手を組むと優しく目をつむり、「この空間が出来る限り長く続きますように」とこっそりお願い事をした。

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〜二人の秘密〜長文なので時間がある時に読んで下さると嬉しいです。

「ふ〜。」
私はいつもの窓辺につくとため息を1つつく。

『なんだ?やっとここに来たと思ったらため息か?
……大丈夫か?』
先生は隣に座ると、少し首を傾ける。
「全部はてなつけて聞かないでよ(笑)。」
『心配してるんだろ?』
「わかってるよ(笑)。ありがと先生。あっ、でも聞くのは1つずつ。」
『そこは曲げないんだな(笑)。』
「そりゃそうよ。1つずつ答えを返したいでしょ?」
『君らしいな。』
「でしょう(笑)?」
私は少しイタズラに笑う。

『…はぁ〜。』
「ん?……何?」
『君は可愛いのにもったいない。』
「どうしたの?急に。」
『急じゃない。もっと笑え。可愛い顔が台無しだ!』
先生は頬をプニッとする。
「ねぇ、ため息からのそれは恥ずかしい…。」
私は頬を膨らませて、怒ったポーズをする。

『そのありのままの顔がいいんだよ(笑)。』
先生は面白がっているように笑うと、いつものように頭をポンとする。
「もう!からかわないでっ!面白がらない!!」
『あははは(笑)。あー、苦しい(笑)。君は本当に可愛い顔をするな(笑)。』
「ね〜、そろそろ笑い止みなさい!!」
『笑うと楽しくなったろ(笑)?何かあるんなら必ず相談すること。いいな(笑)?』
先生はさっきの面白がった笑いとは違う笑顔を見せる。
「何回も聞いてるよ(笑)。ありがとう。…何か先生にハメられた気がするな〜(笑)。」
『ほらほら、話したい事があるなら話せ(笑)。』
「今はいいよ(笑)。ほら、見て。アルが来た。アルもここに来るの久しぶりなんだからもてなさないと(笑)。」

やっと3人揃ったこの廊下で、
当たり前の日々を再開した。

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いつもの窓辺で外にぶらぶら足を出して座っていた。
『君が足をぶらぶらしてるときは何かあるときだな。』
先生は後ろから声をかけると、私と反対向きに座る。
そして、私は驚いて横を向く。
「なんで?…なんでそう思ったの?」
『大体そうだろ?』
「楽しい時だってぶらぶらするよ?今、楽しんでるかもよ?」
『「だって」とか「かも」とか、絶対楽しんでないだろ(笑)?』
先生は優しく朗らかに笑うと頭をぽんぽんする。

「先生、よくわかったね(笑)。あ、今日もアルいないの?」
『アルは勉強熱心だからな。それに私と違って沢山の教師仲間がいる。』
「何それ。先生に仲間がいないみたいな言い方。別に教師仲間なんていなくていいじゃん。ほら、ここに生徒仲間がいるでしょ(笑)?」
先生は恥ずかしそうに笑うと私の頬をぷにっとする。
『私の話はいいから。君の話を聞かせてくれ?』
相談に乗ってくれるとき、先生はいつも朗らかに笑う。

「特に何かあるわけじゃないんだけど、私単体だとホコリみたいなものなんだなって。」
『なんでそんな事言うんだ?私が悲しいぞ?』
「ごめん(笑)。でも事実なんだよ。私1人だと教師もクラスメートの反応も違うんだもん(笑)。」
私がそう言ったとき、先生は横からギュッとハグをする。

「先生?」
『他の奴等が君に嫌な態度をとるなら代わりに私が特別な扱いをしてやろう。君、ハグするのは好きだったろう?』
「ハグは大好きだよ。「大好き」とか「もっと仲良くなりたい」とかっていう私の挨拶だから。」
『そして、君を落ち着かせるための方法だ。』
「先生本当に私の事よくわかってるね(笑)。」
私は先生からのハグをハグで返す。
『誰かと何かが繋がってないと不安になるんだろ?』
「生きてる実感を求めてるから(笑)。ねぇ、先生良い匂いする(笑)。」
私は握った先生の服をより強く握りしめる。

「でもね、良い事もあったよ。私の事、嫌いなんだろなって思ってた教師、私の事嫌いではなかったみたい(笑)。」
『そっか(笑)。それは良かったな。』
先生はもう一度朗らかに笑う。

私達は話し終わると、先生の部屋でいつものようにまた魔法をいくつか見せてもらった。
これは先生の励ましなのだろうなと感じながら綺麗な魔法を楽しんだ。

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〜二人の秘密〜長文なので時間がある時に読んで下さると嬉しいです!

今日は窓辺に座っていつもの窓辺から見える景色を描いていた。
『今日は絵を描いているのか。』
先生とアルは両脇から私の絵を覗き込む。

「描きたい絵が描けないから下手だけど。」
“君にはここがこんなふうに見えてるんだな。”
『雨上がりって感じだな。』
先生は描いた絵を指でなぞりながらそう言った。

「よくわかったね?ほら、ちょっと前、雨の中遊んだでしょ?その時の色。」
“え、知らない。その話、知らない。”
「確か、アルがこっち来る前だったかな。」
『あぁ、君が雨具もなしに楽しそうにしてるから。』
「え〜、そうだっけ〜(笑)?でも先生が魔法を使ってくれたのは覚えてるよ。」
“どの魔法?”
「それは秘密だよ。ねぇ、先生。」
『言ってもいいと思うが君がそう言うなら秘密だな(笑)。』
先生は笑うと私の頭に手を乗せて早く描けと促す。

私は目線を描いている絵に戻す。
「あのときの感動とは少し違う気がするんだよね。」
『そうか??私はこんな感じだったと思うが?』
“う〜ん。その時の景色はわからないけど、綺麗だよ?”
「そう?じゃあいっか。」
私はそのまま続きを描き始める。

『君が描き終わるまで横で見てる。』
“賛成です。君の絵、見てたい。”
「いいよ。話ながらやる。」

私は絵を描きながら、先生やアルと魔法の話をした。
また今度、魔法の薬学を見せてもらう事を約束したとき、丁度絵が完成した。

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〜二人の秘密〜長文なので時間がある時に読んで下さると嬉しいです!

今日もいつもの窓辺で外を眺めていた。
『どうしたんだ?今日はやけに疲れてるな?』
私はいつものように振り返ると口を開く。
「ねぇ、先生。あっ、アルもいる。今から驚くような事実言ってもいい??」
“ねぇ、なんでいないと思ったの?ねぇ。”
アルが少し拗ねているのを無視して先生は続ける。

『何だ?事実って。』
“えっ、先生、無視ですか??ねぇ、先生?君もさ、無視しないでくれよ、ねぇ?”
「言うよ?あのね……。」
私は先生とアルを交互に見る。
“ねぇ、見えてはいるんだね?ねぇ?”
「今日はまだ月曜日なんだよ。」
私がそう言った瞬間、二人とも笑い出す。

「え〜?なんで笑うの?」
『いや、あまりにも重大な事を言いそうな顔だったのに当たり前すぎる事を、言うから(笑)。』
先生がそう言ったとき“無視されてたんだった!”と言う顔でアルがムスっとした。
「だって、まだ月曜日なのに、金曜日みたいな気持ちになる事ある??あとアル、その顔やめて(笑)。ちゃんと無視しないから(笑)。ごめんって(笑)。」
“ムスッ”
アルは効果音だけを口に出す。
『月曜日なのに金曜日みたいな気持ちになる事はあるがな。』
「いや、こんなにだるくて疲れてる月曜日はないよ(笑)?ねぇ、アル?」
“う〜ん。なんで月曜日って金曜日みたいに感じるんだろうね。”
『…まさか昨日、夜遅くまで起きてたか?』
「昨日はそうでもないよ?一昨日は3時くらいまで起きてたけど(笑)。」
『“いや原因それだろ!”』
先生とアルは声を揃えて言った。

「え?そんなに声揃えなくても……。」
『休みでも3時まで起きてたらそりゃ疲れ残るだろ!』
“君はとっとと寝ろ!!”
「アルがそう言うなら、先生連れて部屋戻るわ〜。」
“えっ!?なんでここで無視入るの!?”
「無視じゃないも〜ん(笑)。」
私はイタズラに笑うと、とりあえず先生とアルの手を取って自室へと向かった。

今日のアルはなんだか可愛いな〜と思いながら、
部屋でキャンドルを焚くとその火が消えてしまうまでいろんな話を3人で話し合った。

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〜二人の秘密〜長文なので時間がある時に読んで下さると嬉しいです!

今日もいつものように何もせず“ボー”っと座っていると、先生が歩いて来た。
「あれ、今日もアル居ないんだね?」
『仕事してるんだろう。アルもまだ新任だからな。』
「ふふふ。今日も二人でいれて嬉しいよ(笑)。」
『なんで照れるんだよ(笑)。』
「照れてないよ!アルが嫌いなわけじゃないけど、先生と二人っていうのもまた違う感覚なんだよね(笑)。」
私は笑うとあくびを1つする。

『眠いのか?』
「ほら、雨降ってるでしょ?音が微妙に心地よくて眠くなるのよ(笑)。」
『それは君が寝てないからだろう(笑)?』
「そうかもね(笑)。でもしょうがないのよ。英検あるし。」
『勉強、進んでるか?』
「うふふ。全く。もうあと2日くらいしかないんじゃない(笑)?」
『それ、笑い事じゃないだろ(笑)?』
「もー、大変だよね。頑張ってはいるんだけど…。」
私はもう1度あくびをするとチラッと先生を見る。

『眠いなら寝るか?』
「え〜、いいの?」
『あぁ。その代わり今晩はちゃんと勉強する事。』
「えぇ〜。結局勉強しなきゃならないの〜?」
私は文句を言いながら、先生の肩に寄りかかる。
『文句言いながらも寝るんだな(笑)。』
「1分1秒の睡眠も大切よ。」
『アルが来るか、夕飯の時間になったら起こすぞ?』
「う〜ん。りょうか〜い。」 
『絶対起きろよ?』
「うん、わかってる(笑)。おやすみ。」
『あぁ。おやすみ』

私は先生の、柔らかい柔軟剤の匂いを感じながら深い眠りについた。

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〜二人の秘密〜長文なので時間がある時に読んで下さると嬉しいです!

今日は皆既月食が見える日。
私はいつもの窓辺で空を眺めていた。

『皆既月食、探してるのか?』
先生は後ろから優しく声をかける。
「う〜ん。探してるんだけどもう梅雨だから。曇ってるね。」
私はいつものように窓辺に腰掛けると、先生をみて微笑んだ。
『雲の向こうに行けば月を見れるかもな。』
「地に足つけて見るのがいいんだよ。届かない感じがさ。」
空を眺める先生の横顔を見ながらそう答える。
『そっか。君はロマンチストだからな(笑)。』
「それ、いじってるの(笑)?」
『いじってないさ。私も流星群や月食は好きだよ。』
私はもう一度立ち上がると空を眺める。

「ねぇ、雨、降りそうじゃない??」
『予報ではいつ降ってもおかしくないって感じだったな。』
「う〜ん。次は12年後か。スーパームーンで見れる月食。」
『スーパームーンじゃなくてもいいなら来年見れるんじゃないか?』
「そうね。12年後、生きてるかもわからないし(笑)。」
私はいたずらに笑う。

『歳と12を足しなさい。』
「言いたい事はわかってるよ(笑)。でも、いつ何があるかなんてわからないでしょ?だから12年先の事なんてわからないよ(笑)。」
『12年先も、何もないと良いな。』
先生は私の言いたい事を理解したかのように、そう言った。

「さ、もう見れないだろうしご飯食べよ?あ、そういえばアルは?」
『部屋で仕事してるんじゃないか?忙しそうだったよ。』
「そっか、じゃあアルの部屋に寄るのが先だね!」

私達がアルの部屋へと足を向けたとき、小さな粒の雨が降り始めた。

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〜二人の秘密〜番外編 長文なので時間がある時に読んで下さると嬉しいです!

今日はいつものように彼女に引っ張られアルの部屋に行くと、ピクニックに行く事になった。
『飲み物くらい持っていくか。』
私は飲み物を持って校門へ行くと1番乗りだった。

「先生早いね!」
私が飲み物を持ってきたというと彼女は笑ってサンドイッチを持ち上げた。
“遅くなってすみません!”
アルも来て3人そろったので、私は口を開いた。
『人がいないところに行って魔法で移動しようか。』
“そうですね。”
アルもそう返事をしたので人気のない所へ行った。

『こっちにおいで。』
「どうするの?」
彼女を手招きすると少し不安そうな顔をした。
『手を貸して。アル、準備はできたな?さぁ、君は目を瞑って。離すんじゃないぞ。』
私がそう言うと、彼女はギュッと目を瞑り、恋人繋ぎで手を離さないように握った。
アルと目を合わせると、彼女の言う「綺麗な魔法」で移動をした。
私が『もう開けてもいいよ。』と声をかけると彼女は目を開け、綺麗な草原に見とれていて、嬉しそうだった。
彼女は持って来たレジャーシートをアルと広げる。
そして、真ん中に座るとランチボックスを広げ両脇に座るよう私達に指示を出した。

“これは美味しい!”
「でしょ!?昨日ちゃんと作ったんだよ(笑)?」
『昨日から考えてたのか(笑)?』
「うん(笑)。サプライズ。」
彼女は可愛らしく笑うと、残りのサンドイッチを口に入れる。
“ほんと美味しかったよ。”
『ごちそうさま。』
私がそう言ったとき、彼女は空を向いて寝転んだ。
「今日、凄く良い天気だね!このまま寝ちゃおっかな。」
“それ乗った。”
アルがそう言って眠りに着こうとしたとき、彼女はもうすでにスヤスヤと寝息をたてていた。
そして5分も経たないうちに2人とも眠ってしまった。

私は2人の寝る横で、可愛らしい寝顔を眺める事にした。
快い風と太陽の温もりが優しく包み込み、気持ち良さそうだった。
彼女が起きてしまうまで、私はそっと二人の寝顔を見守った。