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横暴狩りのキャラクター紹介

・日和
異能:無生物の支配者
今回は裏で頑張ってました。描写が無かっただけです。2人ほど礼儀知らずをボコボコにしてたのです。手下(※みっちゃん)を(文字通り殺しても死なないので)平気で死地に向かわせる(敵に対しては間違いなく)冷血無慈悲の愚(※諸説あり)王。

・湊音
異能:時間の干渉者
今回は主人公。日和が後見している数々の異能者の中で、唯一彼女が積極的に絡みたがる異能者であり、また唯一日和を『女王』として持ち上げている。
干渉者級という弱い能力であるにもかかわらず、一瞬で意識を刈り取るか意識が無い時に即死させるかでもしない限りほぼ不死身というすごくすごい能力なので、ひぃちゃんでもうっかり死にかねない危険な現場には彼が出向きます。
最近はひぃちゃんに倣って上位存在しぐさも様になってきた。

・刃の青年
異能:刃の指揮者
問題児その1。異能は手足の振りが斬撃に変わるというもの。指揮者級であることで、その射程は数mほどにまで伸びている。多分数人やってる。

・イグアナの子
異能:イグアナの干渉者
問題児その4。異能はイグアナを周囲に勝手に寄ってくるというもの。彼女に触れたイグアナは彼女を守ろうとする。ちなみに繁殖スピードが数倍になる。覚悟の足りない飼育者が逃がしたイグアナがこの子の異能によって加速度的に増えていてちょっと大変なことになってます。

・落ちてきたイグアナ
イグアナの子の異能によって呼び寄せられ、ドームの一部になっていたイグアナのうちの1匹。うっかり落ちてきてみっちゃんを気絶させかけた。
今回一番湊音を追い詰めた存在。

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視える世界を超えて エピソード1:鬼子 その④

「え、種枚さん……?」
「いやァっははははは! ごめんね、君があんまり無知なものだから!」
種枚さんはなかなか歯に衣着せぬ言い方をしてくる。
「良いかい、君? 『霊感』とは、文字通り五感で霊体に干渉する能力だ」
こちらの胸の辺りを、やけに長く尖った爪の生えた指でつつきながら、種枚さんは言葉を続ける。
「霊体を感知する。それだけならそれは霊感でも何でもない。奴らの存在を知っているなら、誰にでもそのくらいできるものさ」
言いながら、種枚さんは親指で彼女の後方を指差した。
そちらに目をやると、さっき遭遇したあの巨大な人影が、物凄い勢いでこちらに突進を仕掛けてきているのが見えた。
「いやァ、思ったより早かったね。腕を1本奪ったのに……良いかい君」
自分を庇うように、種枚さんはあの人影に向けて一歩踏み出した。そういえばよく見ると、ハーフパンツから伸びた彼女の足は、何も履いていない素足のままである。
「霊感ってのは『こういうの』のことを言うんだ。覚えておきな」
彼女が僅かに重心を前に傾ける。瞬間、その姿が『消えた』。
人影は勢いそのままにこちらに突進してくる。種枚さんはどこに消えたのか。目だけを動かし探していると、すぐに彼女は見つかった。

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幼鬼造物薄暮

「ねー寧依(ねい)〜」
日が沈みかけ、辺りが薄暗くなってきた頃。
とある大学の図書館の窓際の席で、メガネの女子大学生がノートパソコンと睨めっこしている。
彼女がパソコンを置く机の向かい側には、短い金髪に白いカチューシャを付けた小柄なコドモが机に伏していた。
「まだ〜?」
金髪のコドモは机から顔を上げつつ寧依と呼んだ女子大学生に尋ねる。
「…まだ」
「え〜」
寧依の言葉に金髪のコドモは不満げに答える。
「…あと少しでレポートが終わるから、ちょっと待ってて」
寧依はそう諭すが、金髪のコドモはむーと頬を膨らませる。
「そんなに待ちきれない?」
きーちゃん、と寧依はパソコンから顔を上げる。
「だって退屈なんだもーん」
きーちゃんことキヲンは口を尖らせる。
「今日はナツィも全然構ってくれないしさ、ずっとつまんなかったー」
寧依だって忙しいし、とキヲンは窓の外を見る。
もう外は暗くなってきていた。
「…」
寧依は暫くキヲンの方を見ていたが、不意に口を開いた。
「きーちゃんは、どうしてわたしにそんな構ってほしいの?」
寧依の質問に、キヲンはぴくと反応する。
「きーちゃんには元々別のマスターがいて、その人の手で“造られた”んだから、その人のことが気…」
寧依がそう言いかけた所で、キヲンが急に右手の人差し指を寧依の口に近付けた。
「それ以上はダ〜メっ」
キヲンはそう言って笑みを浮かべる。
「…ボクには確かに“前のマスター”がいたみたいだけど、ボクにも詳しいことはよく分かんない」
キヲンは続ける。
「でも今のボクは、“寧依が造ってくれた”」
だから寧依はボクのマスターで、親なのとキヲンは近付けた指を寧依から離す。
「だからボクは、寧依に構ってほしいんだ」
キヲンはそう言って再度笑った。
「…」
寧依は思わず黙りこくる。
「ね、大好きだよ寧依」
キヲンは自身が身を乗り出した机の上に登って寧依に抱きつく。
「…他の人に見られたらどうするのよ」
寧依は思わずそう呟くが、キヲンは別にいーじゃーんと寧依を抱きしめる。
寧依は呆れたようにため息をつくと、キヲンの頭を撫で始めた。
外はもう、すっかり暗くなっていた。

〈幼鬼造物薄暮 おわり〉

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ファンタジーの設定だけ置いていこう:火薬銃

この世界の銃器は大きく2種類に分かれる。
一つは魔力を弾丸に変換して撃ち出す魔力銃。そしてもう一つが、現実に存在するものとほぼ同じ、火薬を利用して弾丸を発射する火薬銃(別名に非魔力銃ともいい、敢えて2分類に入れる場合は空気銃などもこちらに分類される)。

魔力銃は込める魔力の量やバランスを調整することで、威力や弾速を調節することが可能。また、弾薬を必要としないという点も長所である。
代わりに調節に時間と思考を割かれるため上級者向けであることや、使用者の魔法適性が大きく影響してくるため、使い手を選ぶなどの短所もある。

これに対して火薬銃は、一定の威力でしか出力されない上に弾薬を必要とするため物資を圧迫する代わりに、所有者の能力値に拘らず高い威力を発揮し、また非魔法武器であるため魔法耐性や魔力無効などの防御を無視してダメージを与えることができる。
かつて戦術・戦略が魔法に大きく依存し、魔力がその者の価値とさえ捉えられていた時代、魔力感知・対魔法障壁の影響を受けない火薬銃を用いる射撃兵奇襲部隊が活躍した事件は有名。

ちなみに成立は火薬銃が先。保有魔力の高くない者でも魔法職と同等の射程と威力で戦えるようにと開発され、改善と多様化を繰り返してきた。
この火薬銃を基に、魔法職の者が詠唱などの手間を無視して素早く攻撃に転じることができるように開発されたのが魔力銃。

また、かつては火薬銃の威力や弾速を魔力によって制御・強化する半魔法銃が考案されたこともあったが、魔力銃を使用できるほどの魔力がある者にとって火薬銃を使う利点は特に無く、火薬銃を使う者にとっては魔力による操作が余計な手間となったため、実用化には至っていない。個人で開発している者がいる可能性は十分ある。

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ファンタジーの設定だけ置いていこう:遠釣り

水棲の魔物を討伐・捕獲するための技法の一つ。

「釣り」と名につくように、大型の釣竿を用いて行う。

対象が生息する川や海、湖などの水際から最低数m~最大数十m離れた位置から釣り糸(対象のサイズやパワーによってはこれが金属製のワイヤーになるが、その場合も「釣り糸」と呼ばれる)を投げ、対象を地上に引き上げることで行動能力を低下させ、討伐したり生け捕りにしたりする。
この過剰なまでに取られる距離の目的は、対象を引き上げ戦闘する空間の確保、また対象に力で劣る場合に引きずり込まれるまでの時間を稼ぎ対応するためである。

また、この狩猟法は必ず2人以上で行わなければならない。
1人は竿を保持し、釣り上げる役割(「釣り手」と呼ばれる)。
そしてもう1人は、釣り手の横で望遠鏡や高台などを利用して水面の様子を観察し、釣り手が仕掛けるタイミングを指示する「観測手」。観測手を置く理由は、仕掛けの浮かぶ水面との角度と距離のために、釣り手からは目視確認が困難なこと、また基本的に大型の魔物に対して行う技法のため、釣り手は引き上げだけに集中すべきであることなどにある。
人手が足りている場合は、針投げ(最初に釣りのための仕掛けを水面に投げる役割の人員。また、仕掛けを投げる行為そのものも指す)、釣り手補佐、戦闘員などもう少しサポート要員を増やしたりもする。

ちなみに、針投げのスタイルにもいくつかの種類があり、地面・水面に対しほぼ水平に投げる「線投」、30~60度程度角度をつけて斜めに投げ上げる「純投」、水際近くで放ってから走って距離を取る「放走」、跳躍や踏み台など高低差を利用してやや下に投げる「降投」、弩型の専用器具を利用し機械動力で発射する「射投」などが知られている。

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横暴狩り その⑨

「むぅ……思ったより層が厚いな」
数度同じことを繰り返し、イグアナ・ドームに目をやるが、数匹剥がれて若干薄くなったその部分は、僅かに内側の空間に続く小さな穴が見える程度で、なおも形状を保っている。
「流石に面倒だなぁ…………それっ」
小さく溜息を吐き、その小さな亀裂に勢いよく片手を突っ込む。即座にイグアナ数匹が噛みついてくるが、構わずドーム内に向けて声をかける。
「掴める⁉」
返答の代わりに、その手を掴む感触が返ってくる。即座に、仰向けに倒れ込むようにして引き上げる。遂に爬虫類の壁から現れたのは、湊音よりやや幼く見える少女だった。
「助かりました……ありがとうございます」
「どういたしまして。……ところで、このイグアナ何とかしてもらえる?」
未だ腕に噛みついたままのイグアナたちを見せるが、少女は首を横に振った。
「すいません、私にできるのはこの子たちを呼び寄せることくらいで……いや正確にはこの子たちが勝手に群がってくるって感じなんですが。イグアナってもう少し大人しいって聞いてたんですがね……」
「それは残念」
噛みついているイグアナ1匹1匹に順番に異能を使い、口を開けさせて難を逃れた後、少女に向き直った。
「そうだ。君、異能の制御に興味は無いかい?」
「え、あります! もうイグアナに閉じ込められるのはごめんです!」
「それならちょうど良い。得意な人に心当たりがあるから口利きしてあげよう」
少女を引き連れて、湊音は雑居ビルの屋上を後にした。

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視える世界を超えて エピソード1:鬼子 その③

「……ここまで逃げれば、大丈夫かねェ」
路地を出て、ひと気の多い大通りを抜けて、再びひと気の無い細い道に入ってから、漸く『誰か』は立ち止まってくれた。
「あー……ありがとうございます」
「え? あーうん」
『誰か』はそう答えてから、思い出したように手を放してくれた。かなり力が強かったうえに爪も長かったのか、手首にはくっきりと痕が残っている。
「……ありゃ、ごめんよ」
手首を見つめていると、『誰か』は謝罪の言葉を述べてきた。
「私、力は強い方でさ。怪我になったりしてない?」
「あっはい大丈夫です」
「そりゃ良かった」
からからと笑い、『誰か』は被っていたフードを脱いだ。前髪が同じ長さに切り揃えられたショートヘア、金色に光る虹彩と縦に切れ長の瞳孔、にやりと笑った口元からは鋭い犬歯が覗く、凛々しくも少女であると察せる、そんな顔が現れた。
「私は種枚(クサビラ)、よろしく」
「あ、はい、よろしくです」
くさびら……キノコ?
「せっかく私が名乗ったんだし、君の名前も教えてほしいなー?」
「あー……と、自分は千葉っていいます」
「うんよろしく。ところで君」
種枚さんが尋ねてきた。
「『あれ』が見えてたよね?」
「え……はい。えっと、何て言うか、昔っから霊感みたいなものがありまして……」
自分の言葉を聞いて、種枚さんは一瞬きょとんとして、突然大笑いし始めた。

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横暴狩り その⑧

イグアナ・ドームと格闘しつつ数分ほど待っていると、土くれ小人が数体組で引き返してきた。その手には長さ60㎝ほどの木の枝と軍手が1双携えられている。
「おやありがとう、素敵な気遣いまで」
軍手を履き、木の枝を手に湊音は再びイグアナ・ドームに相対した。
まずイグアナの1匹の頭を、枝で軽く突く。すると、別のイグアナが枝に素早く噛みついた。
(よし来た。さて、釣れるかな……)
イグアナが木の枝を放そうとしないのを確認してから、それを慎重に手元へ引き寄せる。やがて前肢がドームから離れ、あと一歩というその時、枝に更に重量がかかった。また別のイグアナ数匹が、持ち上がりかけていたイグアナを捕まえているのだ。
「……君たち、随分とこの『壁』を壊したくないみたいだね。中の人がよっぽど大切なのかな?」
枝を引く力を僅かに強め、片手が届く距離まで引き寄せてから、枝を咥えていたイグアナの頭に触れる。
(この枝にガッチリと食らいついた、その瞬間を『固定』した)
「これで君はもう……」
枝を勢い良く振り抜くようにして、イグアナを『釣り上げる』。
「離れられない」
枝を噛んでいたイグアナが引き上げられるのに巻き込まれ、他の数匹の個体もドームから弾き飛ばされた。

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