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Side:Law in Black Market 用語集・地理編

・スカイ・スクレイパー群:滅亡の危機において人類が退避した、世界各地のメトロポリスの高層建造物群。特に呼称が定まっているわけでは無く、敢えてそれ全体を指して呼ぶ際はかつてその場所につけられていた地名で呼ばれる。

・〈アッパーヤード〉:居住区のうち、地表から100m以上に位置するエリア。有力者や権力者の居住区と、情報・記録関連の施設が見られる。『天界』と呼ばれることもある。ちなみに〈グラウンド〉や〈ブラックマーケット〉の人間がここに来たからと言って罰せられるとか後ろ指差されるとかいったことは起きないので安心。人間皆、滅亡の危機を協力して乗り越える仲間である。……いややっぱブラマの住人は変な目で見られるかも。バレてはいけない。

・〈グラウンド〉:居住区のうち、地表から40~100mに位置するエリア。構想建造物どうしの間に橋渡しのように増築された居住区が特徴。総人口の7割ほどが住んでいる。『地上』と呼ばれることもある。

・〈地表面〉:〈グラウンド〉において、高層ビルの隙間に橋渡しするように増築された部分。多層的に重なり、ほとんど隙間なく敷き詰められていることから、〈グラウンド〉で生まれ育った若者や子供の中には、自分の立っている場所が文字通り「地表面」と勘違いしている者もいたりする。

・〈ブラックマーケット〉:居住区のうち、〈アッパーヤード〉にも〈グラウンド〉にも属さないエリア。ここの住人に市民権は無く、このエリア内で法律は適用されない。

・〈ホワイトホール〉:周囲を〈ブラックマーケット〉の領域に囲まれ、完全に分断された〈グラウンド〉または〈アッパーヤード〉。ほとんど見られない。一見危険そうに見えるが、〈ブラックマーケット〉の住人は外にあまり出ないので意外と安全。ただ旅行はできないのが難点。

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Side:Law in Black Market

企画っていうか厳密にはその下位互換っていうか、敢えて明文化するなら『誰でも好き勝手使って良い世界観』とでも言えば良いんですかね。そんな感じのものをご用意したんですがね。誰か使ってくれないかなー……って。
そういうわけで期間なんかも特に定まっていないわけなんですが。これ使って何かやれそうだなって人はタグに『Side:Law in Black Market』か『SLBM』か『さいどろ』と入れてお話とかポエムとか書いてくれると嬉しいです。というわけで以下雑に世界観。

舞台は近未来の世界。自律ロボットもサイボーグも多分いる。約200年前、人類は滅亡の危機に瀕した。
理由は不明。紙媒体の資料はポスト・アポカリプスにおいて『燃料』として消えてしまったから。デジタル・デバイスは生きているが、重要な情報は大部分が厳重に保管・秘匿されているため、真相を知る人間は少ない。
人類は世界各地のメトロポリスの高層建造物群を利用し、上へ上へと逃げるように移住していった。やがて彼らはそれぞれの役割に応じて、そのスカイ・スクレイパー群に3層に住み分けるようになる。
地表から100m以上の上層〈アッパーヤード〉。総人口の約2割、主に有力者や権力者が住み、デジタル・メモリを利用した情報・記録の保存と各スカイ・スクレイパー群の統治を目的としたエリア。
〈アッパーヤード〉より下、地表から40m以上の〈グラウンド〉。建造物の隙間に橋を渡すように増築された『地表』が総面積の約7割を占める、一般市民の居住区。
そして、〈ブラックマーケット〉。正確な規模や面積は一切不明で、地表から〈グラウンド〉や〈アッパーヤード〉の高さにまで食い込んでいることすらある、人格や思想故に民衆から『あぶれざるを得なかった』ドロップアウター達が最後に辿り着く危険地帯。
〈ブラックマーケット〉の領域内において上層の『法』は適用されず、ただ『商品価値』を示せる限り生を許されるという『掟』だけで回っている。『価値』を失った人間は、最後に残った『肉体』と『生命』を『価値』が分かる人間に『活用』されることになる。

物語の主な舞台は〈ブラックマーケット〉。ドロップアウター共が己の『価値』を武器に現世の地獄を生き抜く、そんな歴史の端にも引っかからないような、ちっぽけなお話。

というわけでもうちょい色々書きますね。

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視える世界を超えて エピソード9:五行 その⑥

「お、全員揃ってんじゃーん。みんな真面目だねェ」
そう言いながら、扉に一番近い椅子に身を投げ出したのは種枚さん。その背後に鎌鼬くんが立ち、……あと1人、この少女は見たことが無いな。小学生くらいかな? 種枚さんの知り合いだろうか。
「ほれ、全員座りなよ。いつまでも立ってるのも疲れるだろ? ああ、犬神ちゃん、セッティングありがとう」
「良いの良いの」
答えながら、犬神ちゃんは種枚さんの席から1席挟んだところに座った。隣に座るだろうと思っていたから意外だった。種枚さんの隣には、近くにいた白神さんが座る。
「……あれ、潜龍神社の跡継ぎさんだ」
「ん? ……何だ、岩戸の三女じゃないか」
「なんで姉さまとの縁談断ったんです?」
「悪いがこちらも跡取りだ……というかそんな話を人前でするな」
「これは失礼しました」
少女はどうやら、神社の男性と知り合いらしい。
「……コネの無い連中は知らない同士だろ。とりあえず自己紹介でもしておくかね? お前ら全員私のことは知ってるはずだから良いとして」
種枚さんが顎で白神さんを指す。
「あ、白神メイです。どうぞよろしくー。じゃあお隣さん」
「私? 犬神って呼んでくれれば良いよ。はいお隣にパス」
犬神ちゃんの左隣に座っていたのはあの少女だった。
「えっと、岩戸青葉です。呼び方はどうぞお好きなように。跡継ぎさん、どうぞ」
「む…………一応、潜龍の名で通ってはいるが……平坂だ」
一周して、種枚さんに手番が回ってくる。
「あとは私の馬鹿息子とお気に入りが同席してるな」
「だからその言い方やめ……あの、俺別にこの人の子どもとか養子とかそういうのじゃないんで。どっちかっつーと弟子です。えっと、まあ鎌鼬と呼んでいただければ。じゃあお気に入りさん」
「えっあっはい」
そういえば、鎌鼬くんにも名乗った事は無かったっけ。
「えっと、千葉です。種枚さんにはいろいろと助けてもらってます」
何故か拍手があがった。

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鉄路の魔女:Nameless Phantom その②

『私』が自我を得た時、既に下半身は機械の蹄を持った馬のそれだった。ただでさえ文字通り『馬力』のある脚が、更に機械仕掛けでパワーを強化されている。そんな私の蹴りを受けて尚、あの二人は立っていた。どうやら各々、武器で身体を庇っていたようだ。
「さて……困ったなァ…………喧嘩は良くないって常識じゃンかァ…………」
イマジネーションはさっきの人から十分もらってるから、戦うには足りる。
「…………けどなァ……そういうの良くないもんなァ……」
残念ながらアオイちゃんもミドリちゃんもやる気満々みたいなので、取り敢えず自衛のために武器は用意しておくことにする。
右手を真上に掲げ、その中に私の武器、金属製の六角柱に持ち手を付けたような武骨な外見の棍棒を生成する。取り敢えずそれを肩に担ぎ、2人の様子を見ることに。
「くっ……アイツ、武器を出した。やる気だよアオイちゃん」
「うん……かなり大きい。不用意に射程に入らないようにしなきゃ」
2人はどうやら作戦会議をしているようだ。まあ、こちらから仕掛ける理由も必要も無いわけだし、のんびり待とうか。
2人は声を潜めてしばらく会話していたが、20秒ほどで切り上げ、こちらに向かってきた。その足取りはさっきまでの勢いのあるものとは違う慎重なもので、試しに棍棒を軽く振って見ると、すぐに後退ってしまう。
「どうしたの? 私を倒すンじゃァなかったの?」
「うっ……うるさい! お前なんか、私たち2人で掛かれば楽勝なんだから!」
ミドリちゃんがそう言った。頼もしいね。
それから数秒ほどだろうか、2人が遂に動き出した。

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鉄路の魔女:Nameless Phantom その①

今日は朝から気分が良かった。こんなに意識がはっきりしているのはひと月ぶりくらいだろうか。せっかく機嫌が良かったから、私の進むべき道をのんびり散歩していただけだというのに。
「アオイ、そっち行った!」
「了解! 食ら……えっ!」
いつか何かの広告で見た海のように青いドレス姿の“鉄路の魔女”アオイちゃんが突き出してきたランスを、大きく身を屈めて回避する。回避のために咄嗟に足を止めたせいで、もう片方の“鉄路の魔女”ミドリちゃんも追いついて来て、メイスを叩きつけてくる。機械腕でそれを防ぎ、大きく跳躍して二人から距離を取る。
「もう……なんだってこんな……仲間じゃァないかァ……」
「仲間だって⁉」
「お前なんかと一緒にするなよ、“幻影”!」
2人は私に対して、随分と敵意を剥き出しにしている。たしかに人間とほとんど姿の変わらない2人と違って私の下半身は馬のそれだけれども。ケンタウロス差別だろうか。
「何言ってるのか分からないけどさァ……もっと平和にいこうよ、ね?」
2人を落ち着かせようと話しかけながら、ついでに近くを通りかかった人間の頭に腕を突っ込んで、「イマジネーション」を少しばかりいただく。瞬間、2人が目を見開いてこっちに突っ込んできた。
「おまっ、お前ぇっ!」
「今人間を……! 許さない!」
2人は何を怒っているんだろうか。人間なんて、生きていれば嫌でもものを考えるんだから、少しくらいもらったって支障は無いだろうに。
アオイちゃんのランスを片手で受け止め、ミドリちゃんの振り下ろすメイスは払うように受け流し、2人を前脚で蹴り飛ばす。

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視える世界を超えて エピソード9:五行 その④

「やあ、岩戸青葉さん」
学校から帰ってきた少女を、彼女の自宅の門の前で種枚が出迎えた。
「あの月夜ぶりだね。君の化け物狩りの姿、正直感動してたんだぜ」
そう言われて、ようやくその少女、青葉も種枚のことを思い出したようだった。
「あ……あの時はありがとうございます、えっと……」
「そういえば、名乗っていなかったか。こっちは人伝に君の名を聞いていたけど……改めて、私は種枚。よろしく」
「よろしくお願いします。私は……って、もう知ってるんでしたっけ」
「ああ。それで、今日私が来た用事については、聞いているかな?」
「…………あ、もしかして、この間姉さまが言ってた人って、あなたでしたか」
「そうそう。それで、来てくれるのかな?」
「えっと、はい。少し待っていてください、鞄片付けて着替えてくるので」
「ああ。……そうだ、ついでに君の愛刀も持ってくると良い。きちんと鞘に仕舞った状態でね」
「? 分かりました。では一度失礼します」
数分後、私服に着替えた青葉が、刀を専用の袋にしまった状態で携えてやって来た。
「ようやく役者が出揃った。じゃ、行こうか。そうだ、『青葉ちゃん』って読んでも良いかね?」
「え、まあはい。どうぞ好きなように」

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化け蜘蛛の友達

三笠雪菜(ミカサ・ユナ)
年齢:15歳  性別:女  身長:149㎝
願い:〈友斬〉と一緒にいたい
マジックアイテム:《蜘蛛切》
衣装:黒地に女郎蜘蛛と蜘蛛の巣の刺繡模様が入った和装
魔法:化け蜘蛛の力を部分的に引き出す
不幸にも〈友斬〉に絡まれ、その上で見事に勝利してしまったため、魔法使いになった少女。大賢者と無関係の魔法使いは多分激レア。
死闘の中で〈友斬〉との奇妙な絆を覚えてしまい、完全に精神がおかしくなってしまった(普段は正常な人間っぽく振舞えてはいる)。殺し合ったまでは記憶があるものの、自分が〈友斬〉を殺してしまったことは完全に忘れており、暇なときは変身して唯一最高の親友〈友斬〉を探して彷徨い歩き、目についた魔法使いとファントムには取り敢えず斬りかかっている。そのせいで大賢者と一度バチりかけたけど彼女は今日も元気に蜘蛛狂いやっています。
魔法の性質は雑に言うと「蜘蛛のように壁や天井を歩き回れるようになり、敏捷性が上がり、感覚能力も上がる」というもの。ちなみに《蜘蛛切》(雪菜自身は頑なに《友切》と呼び続けている)にはデフォルトで「刃が当たっただけで斬撃が発生する」という魔法効果がかかっていたりする。
変身中は何故かうっすらと〈友斬〉との繋がりを感じられるので、変身状態は好き。

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魔法使いの友達

〈友斬〉(トモキリ)
巨大な蜘蛛の姿をしたファントム。素質があると思われる人間の前に現れ、どこからか刀を一振り目の前に投げ、それを用いて自分と戦うように告げる。相手が死んだら仕方ないので食べて証拠隠滅する。
戦闘時には相手が魔法使いでなくとも見えるようになってくれる上、周囲のあらゆる生物や魔法使い、ファントムから認識できなくなる。
人間どもに喧嘩を売る理由はただ一つ、「己にとって最高の友人を見付け、その友人に殺されるため」。強さに絶対的な自信を持っており、自分を殺すことができるとしたらそれは自分が認めた友人であり、用いる道具は自身の所持している刀《友切》であると考えている。実際滅茶苦茶硬くて結構速くて糸も毒も吐くからかなり強い。
〈友斬〉を殺した《友切》は《蜘蛛切》と銘を変え、魔法使いに変身するためのマジックアイテムとなる。ちなみに《蜘蛛切》は普段、邪魔なので組紐飾りに変化して手首や足首や首に巻き付いている。
最高の友人と出会い、無事殺されることができたものの、友人の「願い」に反応して彼女に吸収される形で一命を取り留めることとなった。まあ出てくることなんて無いので実質死んでるようなものなんだが。

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視える世界を超えて エピソード9:五行 その③

「やあ、君」
千葉・白神の2人は大学からの帰り道、種枚から声をかけられた。
「……いるとは思ってたが、やっぱりシラカミも一緒にいたか」
「あっはい」
「さぞしんどかろうて」
「意外と慣れますよ。たまにバチッと来るくらいで」
「まあ良いや。今回用があるのはシラカミの方だから」
「およ、メイさんに何の御用ですかね?」
「来週の金曜、17時以降、空いてるかい?」
「うん空いてるけど……」
「来てほしい場所があるんだ。その子を連れてきても構わないから、来てくれるかい?」
「良いよー。千葉さんや、一緒に来てくれる?」
「あ、良いですよ」
「よっしゃ、じゃあ場所と時間を教えるぜ。多少なら遅刻してくれたって構わないから、気楽に構えておくれよ」
2人に情報を伝え、種枚は足早にその場を去った。
「……白神さん」
背中にぴったりと貼り付く白神に、千葉が声をかける。
「何?」
「実は行きたくなかったりします?」
「なんで?」
「いや、あの……電気が漏れてまして」
「あ、ごめん。いやね? やろうと思えばちゃんと抑えられるんだよ? 動ける?」
「少し待ってもらえれば……」
「ごめんよー」
謝罪したにも拘わらず離れようとしない白神に苦笑し、千葉は絶え間なく弱い電流を流され続けて麻痺した身体を解そうと少しずつ動かし始めた。

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