こういう季節は
方舟の乗組員にもらった地図を眺めながら、どっかの馬鹿が作った螺旋階段を登ってる。
休憩がてら段に腰をおろす。
そういやどこに行きたいんだろうな。とても素敵な空中庭園だったっけ。
青りんごのパイを食べながら、今まであったことををぼんやりと思い出してみる。
歌の欠片みたいな雨が降ったあとに育った草原で、アルパカは今でものんびり草を食んでいるんだろうか。
鬼と友達なピーターパンには一番右端から2番目の、ボールみたいな赤い星目がけて朝まで飛んでりゃ会えるらしい。緑色の白鳥にでも乗っていけば目立って見つけてもらえるかもな。
魔法の呪文を呟きながらくるくると鱗に花鳥風月を映してた魚は、さくらんぼが落ちてきたとき驚いてたっけな。
雨の日出会った大怪我の青年は、それでも誰かの明日の幸せを願ってた。
知的なあの子は、今何を感じているんだろう。
そろそろ誰かの夢が覚める時間かもしれないな。
パイも食べ終わったし、勇ましい旅人に教えてもらった口笛でも吹きながら行こう。