表示件数
0

タイムジャック7

「お前が…俺の術のタイミングをズラしたのか…」
智也は歯を食いしばりながら言う。
「察しがいいな、一瞬お前の時を止め、俺のいた位置にこいつがいるタイミングで解除した。そうすればお前の術はこいつに当たる」
やっと思い当たるシーンが浮かんだ。
あの時の…あれは俺への時間停止じゃなかったのか…
あれをかわさなければ…
いや、そうすればその時点で捕まっていたか
「言っただろう、ここでは能力が全てだ、能力を使う、かわす、そんなことは猿でもできる。大切なのはどう使わせるかだ、自分の術だけじゃなく、相手も使う。正しく支配者だ」
う…ウザイ…
しかし、言っていることは事実だ。
相手の思うようにやられた…
ここからどうやって…
俺たちは今、2人ではなく1人が2つあったに過ぎない状態…どちらかが利用されるのは必至。
ならどうやって…
今更こいつと仲良しこよしとかごめんだし…
でもそれじゃ…勝てない…
変わらなきゃ…いけない…
「なぁ智也、お前もう隠してることないよな…」
「さっきので最初で最後だよ、言ったろ、守を貶めるつもりはなかったって」
相手から目を離さないため、智也の顔は確認出来ないが嘘をついていないのは十分伝わった。
「オーケイ…ならこっからは息合わせていくぞ…」
「OKっていうか、元々そのつもりだったけどね」
心なしか、さっきよりも会話のテンポがあってるように感じた。
「作戦会議は終わったか?」
「あぁ、こっからは第2ラウンドだ」
「かかってこい…」
相手は左手でこちらを誘っている。
「いくぞ!」「うん!」

1
0

タイムジャック6

「殺す…?随分生意気な口を聞くんだね」
「生意気かどうか、自分の肌で確かめてみるんだな」
そう強い語気で言ってはみるが、正直勝てる見込みが全然ない…
この拳しか武器はない…
術は相手が格上…
見ろ…見るんだ…
どんなに小さな隙も見逃すな…
未来予知、術痕に全神経を注げ…
心拍数は着実に上がっていく
「お前の術は…つまらん」
先程と同じように左手をこちらに向けた。
今だ…
時間停止の術が起こる。
見え見えだ…かわせる!
その術をかわし、右手の拳を振りかざす。
当然相手はその拳を後ろに下がってかわす。
この硬直を狙って術を発動することも予測したが、それはなかった。
よし…ここから左ストレートを囮に…
そう思って左に拳を作る。
その瞬間動きが止まった。
何故だ…相手の術は全て見ていた、相手は今術を発動していない…
じゃあ何故…
「お前は今1人で戦っているのか?」
停止させられた俺の左拳をポンポンと叩きながら相手は不敵に笑って言った。
まさか…
振り返ることも叶わず、確認はできない。
それでも相手の笑みは雄弁に答えを教えた。
智也の術だというのか…
その答えにたどり着いた途端、停止が解除された。
「智也…お前…」
「ごめん!あいつに向かって術を発動したつもりが…」
「そうじゃない、お前術を…」
智也は静かに頷く。
「あぁ、騙して悪かったな、俺のは守と同じ能力なんかじゃない、干渉者ってやつだ」
「じゃあ、術をかわしたり、未来予知とかはどうやって…?」
「術をかわすのは守のタイミングを見てかわすか術に干渉すれば容易、未来予知は演技だ…」
「そんな…」
「でも別にお前を貶めたかったわけじゃない!俺は純粋に50人集めて平和的に生き残りたかっただけ…」
「どうだっていい!結果としてお前は俺に術をかけたことに変わりはない!」
「だからそれは事故で…」
「事故か…自責の念というのは面白いな」
突然相手が笑い出す。
「何?」
俺は驚くが、智也は相手をキッと睨んだ。
一体…何が起こっているのやら…

1

タイムジャック5

「処刑…?あんたも時の能力者のはず…そんな物騒な術持ってるのか?」
「俺は時の支配者だ。やろうと思えばなんとでもなる。例えば…お前たちの時間を消す…とかな」
相手は相変わらず表情ひとつ変えない。まるで何人もそうやって手にかけて来たかのようだ。
「支配者…?随分大きく出たな」
「間違ってはいない、俺の能力は支配者のそれだ」
「能力…」
智也は自分の右手を見た。
「そうだ…ここでは能力こそが全てだ」
「なんでそう言い切れる…」
俺は拳を作る。
「簡単なことだ、俺がこのゲームの支配者なだけだ」
「は?何を言って…」
俺も智也も驚きを隠せなかった。
「ちょうどいい、冥土の土産にいくつか教えてやるよ」
相手は脅しのように掲げた左手を下ろし、戦意の無い様子を示してくる。
「聞いてやる、いいよな?智也」
「え?あぁうん、気にはなるからね、このゲームのこととか」
「このゲームは…全て俺と俺の親父によって企画されたものだ」
そう言って始まった彼の過去についての話は、俺らからしたら大して驚く内容ではない。能力者ならば多少なり心当たりのあるものだ。
「なるほど、能力者だから寂しい…その友達探しのためにこんなゲームを…ねぇ?」
「まったく迷惑な話だ…だから生き残りは50人なのか」
「そうだ、そしてゲーム形式にするのはもうひとつの目的がある。それが親父側の目的、優秀な能力者を選別して実験体を探してるんだ、生活の保証もモルモットとしての安定した衣食住ってだけだ」
「そんな…」
「ここに捕まった時点で俺たちはもう死ぬか、実験台にされるかの2択しかないってこと」
相手は無表情を貫きながら筋肉だけで諦めるように少し笑った。
「ふざけんな!なんでそんなこと!」
「だから言ったろ、処刑されるのを光栄に思えって。お前たちは支配者である俺の術をかわした栄誉のままに死ねる。中途半端な親父の実験の犠牲者にならなくて済む。これがどれだけ光栄なことか」
「はぁ」
俺は大きくため息をついた。今度は納得ではなく、すっかり呆れてしまったのだ。
「そういうのが、気に入らねぇんだよ!人の気持ちを勝手に決めんな!俺たちはそんなことこれっぽっちも望んでねぇ!そんなに実験台が嫌なら今ここで俺が殺してやるよ!」

1

タイムジャック4

「あんまり気に入らないね、ああいうやつが生き残るのは」
「おい、まさか戦おうって言うんじゃ…」
「そのまさかだよ」
智也は見せたことの無い笑顔を浮かべていた。
「でもどうやってやろうか」
「おいおい、あいつは今止まってるやつから順に狙うって言ってたじゃねーか、勝負を急がなくたって」
「じゃあ守はいいの?あんなやつと一緒にされるの」
「それは…嫌だけど」
「でしょ?せっかく生き残れそうならその辺もこだわりたいじゃん」
智也の笑顔は濁ることもなかった。
ため息を大きくついて自分を納得させる。
「…わかったよ…でも!やばかったらすぐ逃げるからな」
「OK!やっぱりやってみなくちゃね!」
言い終わるのを待たずに智也は走り出した。
「ったく…お前1人じゃ無理だろ!」
それを追って走り出す。
時間が止まっている影響か若干体を動かす感覚が通常とは違う。
「はぁぁ!!」
智也は飛び蹴りを繰り出す。
「は?なんのつもり?」
相手も相手で驚く様子もなく受け止める。
「そりゃあ、戦うためでしょ」
笑顔はますます輝きを増している。
相手の無表情との落差がそう思わせるのか…
「せっかく生き残れるのにわざわざ殺されに来るなんてお前ら…馬鹿だな」
相手は左手をそっと俺らの方へ向ける。
「お前らから先に処刑してやるよ…光栄に思え」
ほんとに…ここ来てからろくなことがない…

1

タイムジャック3

0:00
そう画面に表示される瞬間
『始め!』
の掛け声よりも早く一斉に術の撃ち合いが始まる。
と言ってもそれがわかっていれば
かわすのは容易である。
何せ、ここに集まっているのは
<時>の能力者達。
術が直接的な攻撃では無い。
時を止める。
巻き戻す訳にはまだいかないので皆それを選ぶ。
あとはタイミングと術痕さえ見分けられれば十分に対処は可能だ(多分)
さぁあと1秒…
0:01を表示したモニターは
0:00に変化した。
放送のカフが入った音がする。
見た未来通りなら…
『始め』の合図よりも前に
術が起こる。
確か…
僕の右斜め40°前…それから…
景色が止まった。
その余波が起こる。
すかさずその波動の隙間に飛び込む。
横で同じ動きをする智也の姿。
「さすが、まずは第1関門突破かな」
「あぁ、お前もさすがだ」
術は回避できたようだ。
しかし気は抜けない。同じことができるやつはそれなりにいるはずだ。そいつが直接狙ってくる可能性もある。警戒心を解くな…
しかし予想に反してその関門クリアは多くない。
「あれ?おっかしいなぁ、確実に全員止められるように術のタイミングずらしたのに、なんで動いてるの?」
あいつが術の主か…
「まぁいいや、50人には達してなさそうだし、1人ずつ倒せば」
こいつ…狂ってる…
これが…【サバイバル】

3

タイムジャック2

「協力?」
“そうか、別に戦わない選択肢がないと言うだけで協力しちゃいけない訳じゃない”
「そう、明確な攻撃手段がないだろ?お互いさ」
「ま、まぁな」
俺は少し拳を作った。
「もちろん、それは超能力という意味だ、その拳はこの話に意味がない」
やはりバレている。こいつも本当に未来が…
「確かに協力した方が良さそうだ」
拳を解き、その手を彼に向ける。
「同じ能力同士だと話が早くて助かるよ」
彼もその手を掴んだ。
「お互いまだ名乗ってなかったな、俺は常磐守、よろしくな」
「僕は奥野智也、君とは仲良くなれそうだ」
『さぁ超能力者の原石達よ、準備はいいか?』
会場を先程の静寂に包む声。
『あと10分でスタートだ。存分に生き残りたまえ!』
部屋の壁面にモニターが現れ、タイマーが表示される。
「いよいよ始まるね」
「あぁ、やるしかねーな」
0:10
この辺りから色んな人間の思惑が頭の中に飛び込んでくる。
0:09
「僕らみたいな考えのやつもいるだろうね」
0:08
「どうかな…基本人間なんて自分勝手だからな」
0:07
時間を止める。または時間を早回しする。
0:06
色んな考えのやつがいる。
0:05
それを認知できるなら…
0:04
せっかく智也もいる
0:03
攻撃しなくたって
0:02
やりようはある
0:01
「来る…」
0:00
画面がその数字を表示した瞬間、
景色が全て停止した。
「さすが、まずは第1関門突破かな」

0

タイムジャック1

“ここは…一体…”
俺が目を覚ますとそこには見たこともない人達が大勢いた。年齢も人種も様々、世界中から集まったといった感じだ。それを見ていると何故か
【サバイバル】
という単語が呼び起こされる。
“なんでだ?そもそも俺はなぜこんなところに…俺は確か…あの時、コンビニを出てから…”
『やぁやぁ、超能力者の原石どもよ』
突如として館内放送で鳴り響く。
無機質で抑揚のない声
『君達はサバイバルを行ってもらう』
その言葉は会場を、ざわつかせた。
しかし俺を含め、1部はやけに落ち着いていた。
『と言っても食料も寝床もある、やってもらうのは殺し合うという意味のサバイバルだ』
???
会場は当然先程以上の動揺に包まれる。そのざわめきを切り裂くように放送は続く。
『君達は、自覚無自覚に関わらず世界中から集められた超能力者の原石、そして同じ部屋にいるのはそんな超能力の対象が同じ者どもだ。もう言わなくてもわかるな?自分が超能力者として他の奴らより優れていることを証明しろ。それがこのサバイバルだ』
ざわめきは放送が続くにつれて静まっていく。気づけば皆放送に釘付けだ。
『制限時間は1時間後の午前0時からの1日、そこで生き残った者は超能力者として我々が生活を保証しよう。元に世界に帰りたければ死にものぐるいで生きろ!以上』
放送はそうして途切れた。
怯える者、やたらに目付きを鋭くさせる者、どう勝つかを考え始める者、放送の受け取り方も多種多様だ。
俺はと言えば…
『あぁ、そうだ、言うのを忘れていた、各部屋制限時間内に50人以下にならなかった場合、全員その場で死ぬものとする。戦わずに生き残ろうなんて考えないことだな』
考えていた生き残り方が潰された。
戦うしかないのか…
「ねぇ、僕と協力しない?君も…未来が見えるんでしょ?」

0

復讐代行〜第27話 回想〜

ひとまずは青路の言う排除をやり通すか
そうすれば自ずと橘は動くだろう。
あいつの重い腰が動くのを待つのはもうやめだ。
ここからは俺の番だ!
決意は固かった。
LINEの通知はさらにその決意を固くさせた。
「まさか、そこまで本気になってくれるなんて、一体何が?」
そういえば今まで誰かに話したことがなかった。
だからこそ孤独だったし、群がってばかりの陰キャが嫌に見えたのかもしれない。
いっそ話してみるのもありかもしれない。
排除なんて言葉を覚えた青路なら理解してくれるだろう。
【俺の大改革】を

全ては橘と行動を共にするようになった小学生の時から始まる。彼は当時からカリスマ性を持っていた。しかしそれを決して攻撃には使わなかった。
俺からすれば煩わしいほどに。
「なぁ、なんで蓮ってあんなウザい奴らとも仲良くできんの?」
「健太郎、ウザいとか言わない」
そう言って蓮は笑う。そのつもりはないだろうけど、嘲笑うようにしか聞こえない。
「別に俺にとっては、平和が楽ってだけだよ」
いつも言ってた。でも必ずその後に
「喧嘩を売られたなら致し方ないけどね」
別人のような蓮の顔もまたセットだ。

“一体どっちがホントの橘蓮なんだ…”

その恐怖からいつしか蓮とは素直には付き合えなくなっていた。それでも高校も同じ所を受験した。
それが最も都合がいいからだ。
そして高校に上がり少し変化が訪れる。それが桐谷青路の登場だ。今まで会ったことのない雰囲気を持った奴だった。そこからはただ楽しかった。
恐怖を中和し、喜びを増幅させた。
しかし、それは目の前で崩れた。
蓮は俺を裏切った。
陰キャごときに味方しだしたんだ。
あの女にも…
「俺の邪魔をするな、陽キャでも陰キャでもない二軍崩れが」
そう言っていた。
あいつは…支配する気だ…このクラスを…
このヒエラルキーを…

そんなことはさせてたまるか…
今の平和は決して失わせない…
やつを…この革命で…
堕とすんだ…!

to be continued…

2

能力モノの設定を思いついたので誰か書いてください その①

異能設定
肉体年齢3歳以上の人間または人外存在に、大体2d6振って6ゾロが出るのと同じくらいの確率で何の前触れもなく唐突に発現する。人外存在の場合は若干確率が上がり、人間の倍くらいの確率で発現する。平均して学校の1クラスに1人か2人はいるくらいの確率。
能力名は以下の2要素によって説明される(「○○の●●者」みたいな感じで)。
・能力対象
異能で干渉する対象。1d100でファンブルするのと同じくらいの確率で同じものを対象とする異能者が現れることもある。
・位階
干渉の程度の強さ。4段階に分かれる。能力の強制力は上の位階ほど強く、能力同士が干渉した場合、より高い位階の能力が優先される。
能力の使用には代償が必要で、基本的には体力の消耗という形で処理される。稀にそれ以外の方法でどうにかしている能力者もいる。位階が上がるほど代償は大きくなるが、その分できることの幅も大きくなる。
また、能力を使い続けることで上の位階にランクアップすることもあり得なくは無いが、一つ位階を上げるためには普通にやったら大体数百年から数千年の年月が必要なので、人間には基本的に不可能。それこそ時間の異能者でも無ければ無理。ランクは以下の通り。
観測者:最も低い位階。対象を知覚認識する異能。所謂「霊感」「未来予知」「読心」などはこれに当たる。能力者全体での割合は2d6振って4以下が出る確率と同じくらい。
干渉者:2番目に低い位階。対象に触れ、その動作に干渉する。できることはあまり多くは無いが、能力使用による代償も少ない。能力者全体での割合は2d6振って5~7が出る確率と同じくらい。
指揮者:2番目に高い位階。ある程度の強制力と威力を以て能力対象を操作するもの。能力使用時、改変の規模に比例してより大きな代償が必要になる。能力者全体での割合は2d6振って8~11が出る確率と同じくらい。
支配者:最高位階にして能力の完成形。指揮者以下にできることは大体できる上、絶対的な強制力を持っている。威光による命令であるため、代償も存在しない。能力者全体での割合は、2d6振って6ゾロが出る確率と同じくらい。

0

復讐代行〜第25話 乗換〜

「…復讐代行を」
あえて一人称は俺にしてみた。
ほんとに気づいているならこれだけで誰への復讐なのか、そして橘なら何をするのか想像がつくかもしれない
「信じてくれたようで嬉しいよ、しかし復讐代行?一体何をする気だ?」
さすがに買いかぶりすぎた。しかし思ったより話は早く進みそうだな…
「ここまでのことどこまで想像がついてる?俺と闇子のことから…あいつの狙いは?わかるか?」
「闇子ちゃんの…狙い?罰告のやり直し?いや、だとしたら俺や小橋を巻き込む理由はない、わからん」
なんだ?まるでとぼけたかのような返信だ。
「わかった、じゃあそこから話そう」
「助かるよ」
即レス…待たれているのか?
疑ってしまうのは悪い癖だ。
「最初に闇子の目的は、ヒエラルキーの崩壊だ。それを踏まえて話を聞いてくれ」
そうして俺の目線でことのあらましを説明した。
「このままじゃ俺は捨て駒にされかねない、そして駒を失えば計画は必ず失敗し、下手をすれば強硬手段に出かねない」
「それは避けたいな」
「だから今のうちに止める」
実際は俺自身が過去にケリをつけたいだけだ。
いじめというものとの自分の繋がりを断ちたい。そういう意味では闇子の計画に乗っているのは悪くなかった。けどそれ以上に橘につく方が分が良い。
「わかった、協力しよう」
橘ならそう言うとわかっていた。
「助かるよ」
これでいい。これで誰も傷つかない。
体に情でも移ったかな…
闇子さえ救いたいと思えてきた。
そう思い右手で体をなぞる。
あの傷が…疼く。
やっぱり俺のとは違う…
こいつはきっと体より、心を壊されたんだ…
そこまで思考が行き着いた途端、体から溢れてくるように頭にひとつの予感がよぎる。
「!?…急がなきゃ…あいつは…死ぬ気だ…」

to be continued…