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CHILDish Monstrum:或る離島の業務日誌 その④

「まあ良いや。朝ごはん食べるから外で待ってて。作業場には入らないでね、蒸し死んじゃうから」
キュクロプスに言われて、ひとまず小屋の前で待機することにする。
手帳の内容を復習しながら待つことおよそ30分。扉が僅かに開き、キュクロプスが顔だけを覗かせてきた。
周囲に注意を払うキュクロプスと目が合う。
「いた」
「やあ」
キュクロプスが屋外に出てきた。そのまま丘陵を下り、麓の村落の方へ歩いて行く。とりあえず後をついて行くことにする。
道中、私は手帳に書いたとある項を思い返していた。

・散歩には、手も口も出さないこと
・散歩には、必ず同行すること

黙ってついて行け、か。たしかに過干渉はストレスになるだろうが、モンストルムはあんな外見でいても所詮は“兵器”だ。手出しすらしてはいけないというのは奇妙な……。
考えながら歩いていると、いつの間にか村落に到着していた。
既に活動を開始していた島民たちは、キュクロプスの姿を見ると親し気に近寄っていって挨拶を交わしていた。意外にも、キュクロプスはこの島ではかなり親しまれているらしい。
キュクロプスは島民の1人と随分話し込んでいて時間がかかりそうだったので、近くにいた別の島民に話を聞くことにした。

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CHILDish Monstrum:カミグライ・レジスタンス キャラクター紹介

・フェンリル
性別:男  外見年齢:16歳  身長:160㎝
特殊能力:行動の全てが破壊に帰結する
DEM社の地下深くに幽閉されているモンストルム。「破壊力」は「強さ」。無数の拘束具でガッチガチに拘束されているものの、ほぼ無意味。何なら彼の能力で全滅していてもおかしくないので、気を遣っているまである。自分に邪魔な錘を付けて閉じ込める人間は嫌いだが、暴れた分だけ喜んでくれるから人間を守ることは好き。拘束具は邪魔だから嫌いだが、武器になるから好き。正直脱走しようとすれば余裕で出られるし嫌いな人間たちに迷惑かけられるからアリだとも思っているけど、今の生活も好きなので別に逃げない。

・スレイプニル
性別:女  外見年齢:16歳  身長:166㎝
特殊能力:超高速で移動する
DEM社の地下深くに幽閉されているモンストルム。「速度」は「強さ」。無数の拘束具でガッチガチに拘束されていたものの、フェンリルに解放された。好きなことは走ること。普段は隔離施設の廊下を爆走している。できることなら永遠に走り続けていたいのだが、速度があり過ぎて周囲への被害が尋常でないので、あまり走らせてもらえない。そういうわけで人間は嫌い。恩人であるフェンリルが脱走しないので自分も我慢しているが、脱走派が多数派になった瞬間脱出する準備はできている。

・デーモン
性別:男  外見年齢:15歳  身長:155㎝
特殊能力:人間の望みを叶える
DEM社の地下深くに幽閉されているモンストルム。「実行力」は「強さ」。人間大好き派で能力も対人間のものだが、「受けた望みをどう叶えるか」にちょっとした問題があってあまり表には出せない。別に脱出しても構わないとは思っているけど、それをして嫌な気分になる人間もいることは理解しているので逃げたくない。

・ベヒモス
性別:女  外見年齢:14歳  身長:150㎝
特殊能力:自身の質量を変える
DEM社の地下深くに幽閉されているモンストルム。「質量」は「強さ」。初めて戦場に出た際、ちょっとやらかし過ぎて閉じ込められた。そのせいで人間は大嫌いだし逃げ出したい。それはそれとして一般人が危ない目に合ってるのを放っておけない程度には良識と正義感ある、良い意味で普通の子。割とタフいけど、もう二度と戦いたくないです。守ってもらう側になりたい。

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CHILDish Monstrum:カミグライ・レジスタンス その⑭

「……何?」
「私、モンストルムやめて人間になる」
「生物学的に無理じゃね?」
フェンリルの茶々を無視して続ける。
「人間側になる。それで、まともなモンストルムの子たちに守ってもらう」
「良いんじゃない? じゃ、あと2人脱走派を引き入れようか」
「……なんで2人?」
「俺の意向だよ」
フェンリルが答える。
「俺は別にどっちでも良いから留まっとく派だったんだが……いや脱走して人間ども困らせるのもナシじゃねーんだけど、スレイプニルが俺とじゃなきゃ出ないっつーから決めたんだ。俺らの集まりが偶数の時、票が偏った方に決めるって。今はデーモン合わせて2対2だな」
「そういうこと。まあ、ここに不満持ってる奴はそれなりにいるし、すぐ出られるんじゃない?」
スレイプニルはそう言って、自分の独房に引き返していった。
「デーモン、私のことも運んでくれる?」
「勿論」
私もデーモンに自分の独房まで連れて行ってもらった。何も無い硬い床に寝転がったけど、これまでの壁に括られた状態よりもずっと身体が楽だ。
ここでは最低限の食事は貰えるし、“メンテナンス”も受けられるから、この怪我もきっと良くなる。そしたら、フェンリルやスレイプニル達と一緒に脱走したいってモンストルム達を集めて、外に出るんだ。何だか希望が出てきた。
まずは戦いで失った体力を回復させなきゃ。私は再び、気絶するように眠りに就いた。

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CHILDish Monstrum:怪物報恩日記 7日目

時、14時12分。場所、インバーダ対策課のメンテナンスルーム。
ダキニの『協力』のおかげで、私はあの漁村に留まれることに決まった。と言っても、外傷の治療のため、一度古巣の大都市に戻る必要はあったわけだが。
老人にしばしの別れを告げ、スーツの男の乗って来た自動車で帰還し、現在はメンテナンスを受けている。
全体的な治療を済ませ、寝台の上で安静にしていると、ダキニが軽やかな足取りで枕元にやって来た。
彼女曰く、相棒である私について、あの漁村まで来てくれるとのこと。私には恩義があるが、ダキニにとっては何の思い入れも無いはずだろう。それについて問うと、彼女は私を救った恩をあの村に覚えているのだとか。
私の愛しい荼枳尼天の異能は、『人間の守護』に主眼を置いている。あの小さな村を守るためには有用だろう。
彼女の申し出に感謝して、私はひとまず眠りに就くことにした。傷は癒えた。体力の消耗も明日まで眠れば回復するだろう。
明日目覚めたら、朝一番であの村に帰ろう。道は覚えているし、足はダキニに頼めば良い。対策課の人間に頼めば、もしかしたら車ぐらい出してもらえるかもしれない。
あの漁村でも、きっと私は戦いに身を投じることになるだろう。しかし私の心は不思議と、これまでの淡泊な義務感とは違う、奇妙で幸福な高揚感で満たされていた。

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CHILDish Monstrum:カミグライ・レジスタンス その⑬

次に目覚めたのは、あの地上と地下隔離施設を繋ぐエレベータの中だった。周りを見回してみると、怪物態のデーモンが私を肩に担いでいる。
「デーモン、ありがとう」
「気にしないでよ、フェンリルの頼みだ。彼がやると君、死んじゃうからねぇ」
「……そういえばフェンリル、さっきも言ってたけどどういう能力なの?」
「あ? 俺の能力か。『行動全てが破壊に変換される』、そういう能力。手足を軽く曲げるだけでも、呼吸をするだけでも、心臓が打つそれだけでも、全部周りをぶっ壊す。耐久力も硬度も全部無視してな。そういう能力。頑張れば止めておくこともできるんだけどな」
彼が言い終わった辺りで、エレベータが地下に到着した。そこから出て、スレイプニルが向かったあの地下空洞の方を見る。2体の馬のインバーダはどちらも舌を出して地面に倒れていて、代わりに8本脚の灰色の馬が立っていた。灰色と言っても、まるで光り輝くような艶やかな毛並みで、灰というより銀って感じだ。
「よ、スレイプニル。どうだった?」
「楽しかった」
言いながら、その馬はスレイプニル(人型)に戻った。
「ベヒモス。戦いの感想は?」
「……今回は周りに普通の人も居たから、みんなを守らなきゃって思って、最初より頑張れた。……みんなを守れてよかったと思う」
「そう。それじゃ、これからも人間を守るために戦い続けたい?」
「いや」
驚くほど即答できた。
「ずっと精神擦り減りっぱなしだったし、身体痛いししんどいし、もうやりたくない。……ああ、スレイプニル」
「何?」
「私、外に出てやりたい事決まった」

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視える世界を越えて エピソード5:犬神 その⑥

土煙が止んで数分、固唾を飲んで見守っていると、種枚さんがあの少女を背負って穴の外まで跳び上がってきた。
「まけたぁー」
種枚さんの背中で満足げにそう言う少女……犬神ちゃんだったか。
「勝ったー」
口調を合わせるように言う種枚さん。
「でも思いっきりぶつかり合えて楽しかったー。まんぞく」
「私もだよ犬神ちゃん。良いガス抜きになった」
自分達の前まで和やかな雰囲気で歩いて来てから、犬神ちゃんが自分から種枚さんの背中を下りた。そのまま種枚さんの正面に回り、右手の人差し指を突き付ける。
「今日はありがとね、キノコちゃん。次は負けないから、覚悟しておいてね?」
「ああ、期待してるよ」
種枚さんはニタリと笑って答え、犬神ちゃんの指に彼女自身の人差し指を軽く突き合わせた。

「なァ、君、あの子に何を見た?」
駅までの帰り道、不意に種枚さんが話しかけてきた。
「はい?」
「『視えて』いたろ? 何が憑いていた?」
「…………ああ」
そう言われてようやく思い出した。鎌鼬くんにも聞いたが、あの子に憑いていたものはとても「犬神」とは思えなかった。
「そうですね…………何か、何て言うんでしょう……。肩に、その……モグラ? みたいなのが」
「それが『犬神』だよ。あの子は犬神憑きなんだ。土や岩を操るあの力も、どうもそれ由来みたいだ」
鎌鼬くんから既に聞いている、というのは言わないでおく。

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CHILDish Monstrum:怪物報恩日記 6日目-2

ダキニに支えてもらい、居間に入る。スーツの男に老人が掴みかかっていた。ダキニと協力して二人を引き離し、話を聞くことにする。
スーツの男曰く、私を迎えに来たとのこと。老人には、私を保護していた謝礼も払うつもりでいるとか。なるほど何もおかしくない。
老人曰く、私のような子供を死にかねない大怪我をするような戦場に駆り出す所業が許せないとのこと。これは分からない。私は兵器だと、彼には既に言ったはずだが。
しかし私の意思としては、再び戦場に戻れるのは喜ばしいことだし、対策課やDEM社の預かりになった方が修復も早いだろうから、スーツの男の側につきたいところだが。
老人は善人である。この村の人間たちもまた、善人である。無知ながらも、然して逞しい善人たちだ。
そして私は、彼らに生命を救われた恩がある。インバーダの魔の手から守られない、哀れなこの村を捨てるように別れるというのも、あまりに不義理ではないか。
そこで私から、スーツの男に申し出た。私にこの村の守護を任せてほしいと。
スーツの男曰く、大都市の防衛にはより戦力を割く必要があり、元の担当区域とこの漁村の距離が数十㎞もあることから私が抜けた穴を埋めるのも簡単な話では無いとのこと。早い話が、彼は私の申し出に反対しているわけだ。
全く理解できないことである。たかが人間如きが、何故モンストルムに逆らおうとするのか。『生み出した側』である。ただそれだけの理由で、自分たちが決戦兵器の意思を操れるとでも思っているのだろうか。
私が手を出す前に、ダキニが動いてくれた。彼女が怪物態に変化し、巨大な白狐の牙をスーツの男の喉元に宛がったのだ。

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CHILDish Monstrum:或る離島の業務日誌 その③

恐る恐るといった感じで、屋内を覗く。入口から右側の壁は、一面の本棚に埋め尽くされており、それが入り口と反対側の壁の方まで侵食している。入り口扉の正面には簡素な台所があり、入って右には細長いテーブルが置いてある。椅子は無い。家具はそれだけだった。
無意識に小屋の中に1歩踏み入り、中の様子を見ていると、奥の方で何か物音が聞こえた。本棚で埋め尽くされた角の所だ。
そちらに目をやったのとほぼ同時に、本棚の上からだらり、と腕が垂れ下がった。棒切れのように細く、小麦色に日焼けした、柔い子どもの腕だ。どうやら、本棚の上に小さなロフトのようなスペースがあるらしい。
その腕をじっと見つめていると、子どもの全身が蛇のように床にずり落ちてきた。
もう11時を過ぎているが、まだ寝ぼけているのだろうか。うつ伏せのまま動かなかったその子どもは、突然がばっと身を起こし、こちらを睨みつけた。
「……おじさん、だれ?」
まだ“おじさん”なんて年齢では無いと思っていたんだが……。
「えっと、勝手に入ってきて悪かったね。私は見沼といって、前任の浦和さんに代わってインバーダ対策課から来た者だ」
「…………?」
「君が、モンストルム“キュクロプス”だね?」
「ん」
私が名乗ったのには微妙な反応をしたが、向こうの名前を確認すると、短く頷いて再びロフトに潜り込んでいった。
そして数分ほどして、寝間着から着替えてまた下りてきた。
「ねーおじさん、おじいちゃんは?」
キュクロプスが尋ねてくる。“おじいちゃん”というのはおそらく、前任の浦和さんのことだろう。
「浦和さんは、定年ということで退職したよ。それで今年から、私がこの島を担当することになったんだ」
「…………?」
キュクロプスはピンと来ていないようだった。

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我流もの書きスタイル:世界改造論

このポエム掲示板では、時折生徒の皆さんが何かしらの企画を用意してくださることがあります。僕も現在『ピッタリ十数字』という企画を打ち出しておりますね。詳しくはナニガシの過去の投稿を漁っていただければ。

閑話休題。
生徒主催の企画の中には、大きく分けて
・ポエム企画
・小説企画
・ジャンル不問企画
があります。
ところでナニガシさんの主観では、ポエム企画に寄るほどそれなりに人が集まり、小説企画に寄るほど人の集まり方が微妙になる傾向があるっぽいのです。ナニガシさんの場合は企画ってだけで反射的に首突っ込んじゃうんですが。

小説企画に人が集まりにくくて、ナニガシさんが躊躇無く参加しているその違いって何なんやろなー、と考えていて1つ思いついたのが、「他人様の用意した世界の中で好き勝手暴れることができるか否か」じゃないかね、と。そう思った次第。
だってほら、他人様の創り出した世界で下手こいて致命的な解釈違い起きたりしたら何かあれじゃないですか……。(創造主側で経験あり)
ナニガシさんはアマチュアTRPGプレイヤーなので、与えられた世界の中でルールを守りながら、時には穴を探しながら、ある程度好き勝手やるってことに慣れているんじゃないかと。

というわけでポエム掲示板のみんな! TRPGやろうぜ! 意外とライブ感で物語書くのに役立つぞ!

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CHILDish Monstrum:カミグライ・レジスタンス その⑫

「っ! 危ない!」
体重をほぼ0にして少しでも足を速め、大蜥蜴の前に飛び出す。奴は私に噛みつこうとしてきたけど、全身の質量増加で受け止める。
「モンストルムが外に1人いるはずです! 彼に指示を仰いでください!」
蜥蜴との押し比べに集中している中、辛うじて背後の人たちに向けて叫んだ。あの人たちが慌てて逃げ出す足音が聞こえてくる。彼らがいなくなれば、少しは安心できる。フェンリルは強いから、きっと彼らを守ってくれるだろう。
「がっ…………!」
突然、下腹に強い衝撃を受けた。大蜥蜴が高速で舌を伸ばそうとしたのだ。けれど、その程度で私の質量を動かせるわけが無い。衝撃で呼吸が止まりそうになりながらも、少しずつ大蜥蜴を押し返していく。
少しずつ、勢いを増しながら。少しずつ、速度を上げながら。少しずつ、エネルギーを増しながら大蜥蜴を押し返し、壁際まで追い詰める。加速を止める事無くそのまま壁に衝突する。建物の壁と私の質量で挟むようにして、大蜥蜴を押し潰す。鱗と筋肉と骨と内臓が潰れていく嫌な感触を感じながら、そのまま完全に潰してやった。
大蜥蜴の口が力無く開き、解放される。奴がもう死んでいることを目視で確認すると、私の身体は糸が切れたように勝手に倒れた。受け身もできず身体を床に打ち付ける。
そりゃあそうだ。あれだけダメージを受けたんだし、長いこと人間を庇いながら戦っていたせいで精神もずっと張り詰めっ放しで消耗しきっていたんだから。
「おーい無事かー?」
フェンリルが入ってきて、私に尋ねてきた。
「……フェン、リル…………、あの人たちは……?」
「あー? 死にたくなきゃ勝手に逃げろっつっといた。俺の近くにいるだけで能力に巻き込まれて死にかねないからな」
「……大丈夫かな…………」
「大丈夫だろ。インバーダはほぼ全滅状態だったしな。お前の時間稼ぎの賜物だな。お前が目立ってたお陰で、他のモンストルムもこの辺にはあまり近付かなかった。マジでお前、よくやったよ」
「…………そっか」
そこで私の意識は途切れた。

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視える世界を越えて エピソード5:犬神 その⑤

時間を僅かに遡り、大穴の底。
犬神の力によって突如発生した落下に、種枚は即座に対応し、受け身を取ることで無傷で着地していた。
「じゃあキノコちゃん! いつも通りのルールね!」
「あァ、互いに全力で1発ずつ。押し通せた方の勝ち」
犬神に答えながら、種枚はパーカーを脱いで腰に巻き直した。
「さあ来な、犬神ちゃん。真ッ正面からブチ抜いてやる」
ファイティングポーズをとる種枚に対し、犬神はニィ、と笑って煽り返した。
「キノコちゃんみたいなパワーのある子はさぁ、こんな簡単な事実をついつい忘れちゃうんだ」
2人の頭上を覆っていた土砂の塊が、より密度を増して凝縮される。
「良い? キノコちゃん。……『重い』は『強い』なんだよ」
上空の土砂塊を制御するため上空に向けていた手を、勢い良く振り下ろす。
それに従って、土砂塊も種枚の頭上に向けて高速で落下し始めた。
「……分かってるさ、そのくらい」
対する種枚は呟き、体勢を変えた。左脚を前、右脚を後ろに半身に立ち腰を落とし、五指を僅かに曲げた右腕を大きく引き、左腕は身体の前方で肘を直角に曲げ、地面に対して水平に構える。
「【惨輪爪】」
そして土砂塊との距離が1mを切ったのとほぼ同時に、右足で強く踏み切り、左足を軸に高速で回転し始めた。
回転の速度と形状は、遠心力で自然と伸びた両手の先、計10本の鋭く伸びた爪を起点として、破壊力を生じた。更に彼女の放つ純粋な殺意が乗ることで攻撃の威力は遠心力に乗って周囲広範に伝播し、範囲的な破壊を瞬時に発生させ、その余波で頭上に迫っていた土砂塊をも砕き飛ばした。

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CHILDish Monstrum:或る離島の業務日誌 その②

港からの道中、時折遭遇する島民に挨拶しながら、キュクロプスの住居に向かう。
実際に近くまで来てみると、それは思っていた以上に巨大だった。
1辺当たり30m以上はありそうな巨大な立方体。壁に触れてみると、どうやら何かの金属でできているようだった。
ふと思い出し、スーツのポケットから手帳を取り出す。前任者から聞いていた、キュクロプスについての情報やアドバイスをまとめているものだ。

・作業場(箱形の建造物)から作業音が聞こえてこなかった場合、東側に隣接した小屋(居住スペース)を尋ねること

“作業場”の扉に近付くが、中からは何も聞こえない。壁に手を付きながら東側に回ると、木材と煉瓦でできた、どこかメルヘンチックな雰囲気の小屋があった。
西側の壁は“作業場”にぴったりと接しており、扉のあるのと同じ側の壁には、遮光ガラスの窓が1つ。周囲を1周したところ、他に窓は無いようだった。
とりあえず扉の前に立ち、再び手帳を確認する。

・小屋に入る際は、扉に設置されたノッカーを叩くこと

扉には、日本では珍しい金属製のノッカーが取り付けられていた。重い金属環を握り、3度扉を叩く。反応は無い。ドアノブに手をかけると、施錠はされていなかったらしくあっさりと開いた。

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CHILDish Monstrum:怪物報恩日記 6日目-1

時、9時30分。場所、老人の家の廊下。
運動能力の回復のため、今日も廊下を往復しようと部屋を出た時、玄関の方であの老人が怒鳴る声が聞こえた。
あの老人と共に過ごした時間は決して長かったわけでは無いが、あの善人が怒鳴るなんて何があったのか、疑問に思いそちらに歩いていくと、老人は客人と相対していた。
客人は2人。1人は、ひょろ長い体格の、背の高いスーツ姿の若い男。もう1人は、薄着の和装に身を包んだ、どこか軽薄そうな雰囲気の少女。男の方は知らないが、こちらはよく知っている。我が愛しの相棒、荼枳尼天、ダキニだった。
その姿を見とめた瞬間、ほとんど反射的に駆け出していた。十分に回復していなかったせいで転びそうになったが、ダキニが素早く抱き留めてくれた。
何故ダキニがここにいるのか、彼女に尋ねた。彼女によると、どうやらわたしやダキニの体内には、位置情報の発信機が埋め込まれているらしい。それならもっと早く迎えを寄越すこともできたと思うけれど。
ダキニとこの1週間弱、何があったのか話しているうちに、老人はあのスーツの男を家に上げていた。とりあえずダキニと連れ立って、彼らが入っていった居間に向かう。
その短い道中、再びあの老人が怒鳴る声が聞こえてきた。

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CHILDish Monstrum:カミグライ・レジスタンス その⑪

少しずつ意識が薄れてきた頃、遠くから私に向けて声がかけられた。
「おい、そこの化け物! お前、ベヒモスだろ!」
そちらに目だけを向けると、相変わらず拘束具まみれのままのフェンリルが立っていた。
「やっぱりそうだな、やけに大人しいと思ってたんだ。お前の性格っぽい。ちょっと待ってろすぐ片付ける」
「っ……!」
建物だけは巻き込まないでくれ、そう言う前に彼は片手を振るった。その余波で、周りにいたインバーダ達は塵と化した。
「…………⁉」
今起きた状況に驚愕しながらも、人型に戻る。身体の至る所に鈍痛や痣、切り傷が残っていた。
「その建物、守ってたんだろ? 流石に壊さねえだけの良識はあるさ」
駆け寄ってきたフェンリルはそう言いながら、民間人が入っていったあの建物を指した。
「……そうだ、あの人たち!」
無事だろうか、中で崩落でも起きていないだろうか、そう思って、急いで中に入る。
痛む身体に鞭打ち、中に入っていくと、奥の方であの人たちは一塊で蹲って震えていた。どうやら怪我などは無いみたいだ。
「大丈夫ですか、皆さん! 外のインバーダはもう倒しました!」
民間人の1人が顔を上げる。セーラー服姿の女の子だった。中学生だろうか、高校生だろうか。
そんなことより、彼女は目に見えて怯えた表情で私を見返していたのだ。
「……皆さん今のうちに外へ、早くここを離れ……」
彼女の表情は気にしないようにしながら言おうとして、建物の奥、民間人たちの死角から、1体のインバーダが迫っていることに気付いた。大きな蜥蜴のような姿のインバーダが、音も無く壁を這い、みんなに迫っている。

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CHILDish Monstrum:カミグライ・レジスタンス その⑩

奴らの方に駆け出しながら、“怪物態”に変化する。初めてインバーダと戦ったあの日、初めて変化したあの姿。能力を半ば暴走させてしまったせいで、一度は街をひどく壊してしまったあの姿。もう失敗はできない。私の後ろには、守るべき人たちがいる。
どの動物のそれとも微妙に違う、巨大で重厚な怪物の身体で、インバーダ達を蹴散らす。
怪物の身体に備わる本能が、「全て破壊し、喰い尽くせ」と語りかけてくる。それを自我のある『私』の理性で強引に抑え込み、周りの建物には決して触れないよう、インバーダだけを慎重に、そして乱暴に、踏み潰し倒していく。
衝撃で民間人が避難している建物が揺れているのに気付き、慌てて身体の動きを止め、穴の前に身を伏せる。せめて、奴らがあの人たちを襲えないように。
インバーダ達はあの人たちを狙っているのか、私に何度も攻撃を放ってくる。けど、ただでさえ巨大な怪物の身体に、能力で質量増加までしている。奴らの攻撃は私をほんの数㎜だって動かすことはできなかった。
それでも、何度も攻撃を受ければ、流石にダメージが蓄積してくる。厚く硬い皮膚にも少しずつ目立つ傷ができ始め、筋肉と脂肪の鎧を通して、衝撃が少しずつ、それでいて着実に、体内に影響を与えているのを感じ始めていた。

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CHILDish Monstrum:怪物報恩日記 5日目

時、6時35分。場所、老人の家の居間。
朝食の後、老人と昨日のインバーダ襲撃の一件について話し合った。
あの後、村の漁師たちとインバーダの間に割って入ったわたしは、すぐさま怪物態に姿を変えた。ろくな武器も無い、身体機能も十分では無い、体格差まである、そんな状態で戦えるわけが無い。
多頭の巨大なコブラの姿をした怪物態、“ナーギニー”。大蜈蚣がその毒牙をわたしの鱗に突き立てた。しかし、ただでさえ強固な鱗の装甲に加え、“ナーギニー”には有毒物質を操作する異能もある。大蜈蚣の牙から流れる毒液を逆に支配下に置き、棘状に変形させて奴の体内を破壊し、暴れ出したインバーダの頭を噛み砕いて倒し、すぐに人型に戻った。巨体での戦闘は、肉体への影響が大きかったからだ。直後、わたしは体力を使い切ったためか気を失った。
話し合いが始まって、老人から最初にかけられた言葉は、昨日の戦いがわたしの身体に障っていないかという質問だった。
正直言って、意外だった。あんな怪物に化けるのを見られたのだから、恐ろしがられてもおかしくなかったのに。いくら彼が善人と言っても、あるいはインバーダを倒したことを感謝される程度が自然では無いか。わたしよりずっとか弱い人間である彼が、わたしの身を案じている。全く以て未知の感覚だった。
わたしが無事だと答えると、老人はようやく、わたしが何者なのか、ということを問うてきた。
わたしは『ナギニ』と名乗った。インバーダ、昨日の大蜈蚣のような化け物と戦うために生み出された怪物である。そう答えた。
老人は、わたしの答えを聞いて複雑な表情で黙りこくった。
現状、わたしの身体は十分に回復していないのに戦闘を行ったせいで、調子が良いとは言えない状態だ。もう少し、ここで厄介にならなければ帰れないのに、なんだか気まずくなってしまったような気がする。

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CHILDish Monstrum:人造神話隊 キャラクター紹介

・ビヤーキー
性別:女  外見年齢:14歳  身長:148㎝
特殊能力:飛行能力。また、飛行速度・高度に拘らず、飛行中自身はダメージを受けない。
主な使用武器:バグナク
パーティ〈人造神話隊〉の足担当。みんなを背中に乗せて空を飛ぶ。髪型はツインテールだが、何故かツインテ部分も自由に動かせる。飛行中は何となく翼の形にしているが、別にその形で無いと飛べないわけでも無ければそれでバランスを取っているわけでも無い。ちなみに能力で自分はどう空を飛んでも平気だが、乗っている人らは効果の対象外なので文字通り他者の命を背負うことになる。渾名は「ビャキ/ビャキたん」。

・ディープ=ワン
性別:女  外見年齢:12歳  身長:139㎝
特殊能力:信仰対象を強化する
主な使用武器:自動小銃、三叉槍
パーティ〈人造神話隊〉のバッファー。対策課の職員さんにもらった本の影響で兵器とかが好き。能力は「この人/ものは強いんだぞ!」というある種「信仰」のような気持ちが、信仰対象の強さに直結するというもの。味方にするととても心強い。渾名は「ぷわん」。

・ティンダロス
性別:女  外見年齢:14歳  身長:151㎝
特殊能力:攻撃の触れた固体を腐食させる/「角」を介して瞬間移動する
主な使用武器:双剣
パーティ〈人造神話隊〉のアタッカー。相手がスライムとかじゃない限りまず防御力が意味を成さないのでとても強い。そっちの能力が強すぎて、瞬間移動の方の能力は今回は使わなかった。渾名は「ティー」。

・ナイトゴーント
性別:男  外見年齢:15歳  身長:162㎝
特殊能力:自身の存在を希薄にする
主な使用武器:大鎌、革鞭
パーティ〈人造神話隊〉の保護者役。隠密行動に適した能力を利用して戦場を移動し、敵の隙を作ったり味方の隙を潰したりしている。移動中は体重ほぼ0にしているのでビヤーキーに乗っていても負担にならない。他の2人も見習ってほしい。渾名は「ヤキ」。

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CHILDish Monstrum:カミグライ・レジスタンス その⑨

「デーモン、穴が開いた!」
「ちょっと狭いな。まあ良いや、みんなも助けてほしいって言ってたし……」
怪物態に変化していたデーモンが、長い尾で民間人を数人巻き取り、軽く勢いをつけて投げ飛ばした。
「デーモン⁉」
あんな速度で投げたら、絶対怪我する!
結局、心配は杞憂に終わった。いつの間にか包囲の外に待機していたデーモンが、またもや尻尾で民間人たちをキャッチして、安全に地面に下ろしたのだ。
「え……ええ⁉」
さっきまでデーモンがいたはずの場所を見て、思わず声をあげる。そこには相変わらず、怪物態のデーモンが立っていたのだ。
「え、デーモン⁉ 分身……?」
包囲の中と外のデーモンを交互に見ながら、疑問が自然と口から出る。
「いや? 僕は一人だけだけど。……それじゃ、僕は外に送った分の世話しなきゃだから、あとの人達は君が守るんだよ」
「え⁉ あ、了解⁉」
デーモンは言い残して、包囲の外に消えてしまった。またインバーダたちが襲い掛かってくる。私の能力でこれら全部を民間人を守りながら片付けるのは難しいと判断し、重くした拳を建物の壁に叩きつけて破壊した。
「皆さん、中へ!」
民間人たちは少しずつ、建物の中へ避難する。最後の1人が入っていったのを確認してから、壁の穴の前に仁王立ちになった。
「…………絶対に通さない。お前ら全部、叩き潰してやる!」

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CHILDish Monstrum:怪物報恩日記 4日目

時、11時22分。場所、老人の家。
昨日の夕食から魚を食べさせてもらえていたこともあり、ダメージの回復は順調に進んでいた。少しなら立ち上がって歩けるようになったので、家の中を歩き回って運動能力の回復・維持も並行することにした。
廊下を往復していると、玄関の引き戸が勢い良く開いた。あの老人は扉に鍵をかけるということをしないのだ。
扉を開けたのは、40代後半程度と見られる中年の男性だった。この漁村の住人だろう。男性は慌てた様子で、海に妖怪が現れたと言った。彼の話す内容からして、おそらくインバーダが現れたのだろう。
しかし、彼は『インバーダ』ではなく『妖怪』と言った。つまり、この漁村はインバーダ、並びにモンストルムを知らないということ。モンストルムとインバーダ対策課の守護は、この漁村に届いていないということ。
老人は中年男性の言葉を聞いて、玄関に立てかけてあった鉈を手に家を出た。
たしかに彼は漁業従事者なだけあって、痩せこけているようで全身に無駄なく筋肉が付いており、実戦に出てもそれなりに良い動きができる事だろう。
しかし、相手はインバーダ。しかも、中年男性の話から推測するに、全長約十数mの中型。軍事訓練すら受けていない一般人に、どうこうできる相手では無い。
だから、老人に申し出た。わたしも連れて行ってくれと。当然、老人はそれを許さず、わたしには大人しく寝ていろと言いつけて出て行ってしまった。
そして当然、わたしもそれに従う訳は無い。彼らと20秒ほど時間を置いて家を抜け出し、海岸に向かう。
大蜈蚣のような外見のインバーダを、村中の漁師が手に手に武器代わりの農具を持ち、追い返そうとしていた。決して力のあるわけでは無い、それどころか非力とさえ言える人間が、決死の覚悟で勝ち目のない脅威に立ち向かっている。肉体が戦闘に堪えられなくとも、わたしの能力が彼らを救う以外の選択肢を取らせてくれなかった。

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CHILDish Monstrum:カミグライ・レジスタンス その⑧

幸いにも、民間人は大体ひとまとまりになってある建物の傍に固まっていた。そして、そのせいかインバーダ達は彼らに一斉に襲い掛かっていた。
「この距離だと、ちょっと間に合わなさそうだな……ちょっと失礼するよ、ベヒモス」
「え?」
突然、デーモンが私の腰の辺りを掴んできた。
「デ、デーモン⁉」
「飛ぶよ」
そう言って、デーモンが“怪物態”に変化した。山羊の脚と角、蝙蝠の翼、長い尾を持つ、大柄で不気味な人型の怪物が私を捕まえたまま飛び上がる。咄嗟に私も能力を発動して、体重をほぼ0にまで軽くした。
「わ、軽い。こりゃ良いや」
デーモンは殆ど瞬間移動みたいなスピードでインバーダの群れをかき分け、人型に戻りながら化け物たちの前に立ち塞がった。
「やあ君達、君達の願いを叶えてあげる。だから望みをお言い?」
デーモンは何故か、民間人たちに向かって何やら言い始めた。
「デーモン、何やってるの⁉ インバーダが……」
「悪いけど、必要なことなんだよね。ちょっと時間稼ぎ頼める?」
「ええ……ああもう!」
仕方ない。とにかく私だけでもインバーダと戦わなきゃ。まずは飛びかかってきたクマのような姿のインバーダの突進を受け止める。能力で全身の質量を何十倍にも上げることで防御には成功した。そして、無防備に晒された鼻っ面に、更に質量を増強させた拳を、思いっきり振り下ろし殴り潰した。地面に伏せた頭をそのまま踏み潰し、続いて飛びかかってきた食肉目型のインバーダもパンチで吹っ飛ばす。この攻撃で、小さなインバーダがいくらか巻き込まれて吹っ飛び、包囲網に小さな穴ができた。

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CHILDish Monstrum:カミグライ・レジスタンス その⑦

「よ、お前も気の毒だったな。ご苦労だった、あとは俺ら『化け物』に任せてくれ」
地上階のエレベータの脇に倒れていたDEM社員に、フェンリルが声を掛けた。多分死んでるだろうけど。
周囲を見回してみると、屋内にも既に小型のインバーダが何体か入り込んでいる。
「あ、俺は中の連中片付けていくから、先に出てて良いぜ。言っとくけど、逃げようとは思うなよ? 撃たれるぜ」
フェンリルが言いながら、ガラスの割れた自動ドアを指し示した。
「うん。じゃあ、お先に失礼します」
手を振るフェンリルに軽く頭を下げて、外に出る。
外もまた、ひどい有様だった。大小さまざまなインバーダがそこら中で暴れていて、モンストルム達の能力でアスファルトも周りの建物もボロボロになっていて、ところどころ逃げ遅れた民間人の姿も見える。
「な……なんで、まだ逃げられてない人も居るのにこんな……?」
「まあ、気性難で閉じ込められた連中も結構いるからねぇ」
隣のデーモンが応じた。
「さて、せっかく出てこられたわけだけど、君はどうしたい?」
「…………まずは民間人を避難させる」
「僕もそうしたいと思っていたところだ。さあ行こうか」

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CHILDish Monstrum:カミグライ・レジスタンス その⑥

迷路のように入り組んだ廊下を進む。いくつかの独房はフェンリルの仕業か、扉が破壊されていて、残りの扉は普通に開いている。そして、中には誰も居なかった。
「これ、何がどうなってるんですか?」
スレイプニルに尋ねる。
「フェンリルが言ってた通り。外に出られるからみんな喜んで外に暴れに出てるの。ここにいる奴って、結構好戦的なのも多いから」
「へえ……」
「あと、敬語じゃなくて良いよ。ちょっと無理してるでしょ。フェンリルもデーモンも別に気にしないから」
「え⁉ あ、うん、ありがとう……」
しばらく歩き続けるうちに、大きな金属製のスライド扉の前でフェンリルが立ち止まった。
「このエレベータで地上まで出られるんだぜ。大体2分くらいかかるけど」
フェンリルが壁のボタンを押すと、すぐに扉が開いた。そしてエレベータの中には2つの影があった。
「……おいおいマジかよ。警備はどうなってんだ警備は。インバーダにここまで入られてるのは結構詰んでるだろ」
フェンリルが苦笑いしながらこぼした。
エレベータの中にいたのは、頭蓋骨の露出した馬のような姿をした2体のインバーダ。1体は痩せ型だけど体高のある栗毛、もう1体はそれより小柄だけど筋肉がしっかり付いた真っ黒なの。
何となくスレイプニルの顔を見上げると、目をかっと見開いて舌なめずりをしていた。
「……フェンリル」
「ああ、行ってこい」
「ありがと」
「ベヒモス、伏せて」
デーモンに頭を押さえられてうつ伏せに倒れる。直後、すごい破壊音が響いて横の壁が粉砕して、広大な空洞ができた。音の聞こえ方からして、今の一撃でできた穴なんだろう。
「おいで、お馬さん達。速いんでしょ?」
スレイプニルが顎でそちらを指し示すと、2体のインバーダは大人しく空洞の方に向かって歩いて行った。
「よっしゃ、行こうぜ」
いつの間にかエレベータに乗り込んでいたフェンリルに言われて、私たちもエレベータに駆け込んだ。

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企画:ピッタリ十数字 レギュレーション補足

こんばんは、ナニガシさんです。
先日ナニガシさんが立ち上げたポエム企画「ピッタリ数十字」ですが、参加作品を書いている最中に、レギュレーションに穴を見つけたので、埋めていこうと思います。
まずはレギュレーションの振り返り。

・本文の文字数が「10字」「13字」「15字」「19字」のいずれかのポエムを制作し、投稿する。
・参加投稿には、指定タグとして「ピッタリ〇字」を付ける事。
※「〇」の部分には選択した文字数を入れてください。
・期間は2月中。それより前の投稿は指定タグが「ピッタリ〇字習作」に、3月以降の投稿は指定タグが「ピッタリ〇字遅刻組」になります。
・英数字や記号は、半角全角に拘らず全て1文字としてカウントする。
・句読点、「!」、「?」も全部1字カウント。なので「⁉」は2字だし「!!!」なら3字になります。使い方には気を付けて。

ここに1つだけ追加させてください。それがこちら。

・空白(スペース)や改行は文字数にカウントしない。

例を示すなら「カエル」も「カ エ ル」も「カ エ ル」も全部3文字としてカウントされます。
「 カ
 エル」 ←これも3文字。

本番前に気付けて良かった。新ルールも上手く使って、ポエム掲示板を盛り上げていきましょう。