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No music No life #4 うみなおし

結月視点

「それはね、人を切る音を聞きたくなかったからかなぁ。ひどいよね。音楽耳栓がわりにしてさあ。」
「でもさ、結月はその頃から音楽好きだったんでしょ?」
「うん。あれだけが癒しで、あれだけが生きがいだった。まあ、今もそうだけどね。」
「じゃあさ、こうすればいいんじゃない?」
そう言った時雨ちゃんの方を見て、僕は首を傾げた。
「大好きな音楽を肌身離さずにいるっていうことにすれば。」
「…‥」僕は黙り込んでしまった。
本当にそれでいいのだろうか。でも、それも一理あるかもなぁって思う。だから、
「なるほどね」って言って笑っといた。
「まあ、その理由をつけるか、つけないかは結月次第だけどね。」
続けて時雨ちゃんは言った。
「でも、どっちにしろ、君は何も悪くないぜ。多分。」
そう言って部屋から出てしまった。
あ、あれってうみなおしの歌詞か。
口調変だなと思ったら、そういうことか。

僕は悪くないといいけどね。

#4うみなおし【終わり】
#5 TOGENKYO に【続く】

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4話終わり早いな!(作っといて言うなよ)
それはさておき、作って欲しい曲のリクエストください!番外編などで書けると思うので。
それと、もう一つあるのです。
学園祭の話を書こうと思っているので、セットリストのリクエストもください!
多くてすみません!これからも頑張ります!

5

雪が、落ちてゆく。

                   ゆ       こ
                    き      の
                     が     ゆ
                     ひ     き
                     と     が
                    ひ      お
                   ら       ち
                           き
                           る
                 ゆ         ま
                き          え
                が          に
                ふ
           あ     た
           な      ひ
           た       ら
           に
           あ
           い         ゆ
           し         き
           て         が
           る        み
           と       ひ
                  ら     つ
                        た
                        え
               ゆ        ら
               き        れ
               が        る
                よ       だ
                 ん      ろ
                  ひ     う
                   ら    か



                あ    わ
                な  と た
                た    し

1

きみは友達

今日は土曜日。
私は友達のレイと遊ぶ約束をしていた。

「ねえ、この服似合ってる?」
レイが小さな顔を綻ばせて私に訊いてくる。
スカートを翻し、華麗にくるりとターン。長い黒髪が揺れうごく。
「もちろん。すっごく可愛い」
私は素直に感想を述べた。
「え〜、そう? ……嬉しい。ありがと」
少し目線を下に向けるレイ。桜色の唇は小さく笑み、頬には朱が刺している。
すぐ恥ずかしがって赤くなるのがレイの弱点だ。
多くの男子はこの赤ら顔にやられる。

あー、それにしても可愛いなぁと心の中で呟く。季節は夏であり、白い肌がだいぶ晒されている。
ちょっとくらっときそう。

倒れるようにして、私はレイを正面から抱きしめた。
レイの先程の恥ずかしげだった瞳が、困惑のそれへと変わる。戸惑ったように口を小さく開け、手は徐々に握り込まれてゆく。
「……。……どうしたの?」
「んー。ちょっとくらっときちゃって……?」
言いながらレイの髪をなでた。
一瞬何かを悟ったように目を見開いて先ほどとはまた違った赤で頬が染まってゆくレイを、私は静かに見つめる。私しか知らない顔。私だけが知っている顔。
愛おしい。レイの、何もかも。
私はレイを二度と離したくなくて、もう一度ぎゅっと抱きしめた。

「……私達、友だち……だよね……?」
絞り出してやっと出たようなか弱い声でレイは私に尋ねる。私は拘束を解き、レイの瞳をまっすぐに見つめながら言った。
にっこり。笑んで。


 そう、きみは友達。

……今は、まだ。


>>男女同士もさることながら、こういう恋愛も個人的に好きです。

5

青い夏

誰もいないはずのプールサイド。今年初めて水を張った今日。僕はふらっとプールに向かった。

ぴちゃん、ぱちゃん、ぱしゃん。プールから音が聞こえた。不思議に思いながらプールサイドに出る。まず、目に飛び込んできたのは、青い硝子玉のように美しい空を反射する真新しい水。そして一人の少女。
「西城さん…。何やってるの…?」
なに聞いてんだ…。一人でため息をつく。見たら分かる。水に足を浸けてる。西城さんと話すことは今までほとんどなかった。感じた違和感は夏の空に似合わない白い肌だった。黒い長髪を揺らして振り返る。
「何って…。死のうと思って。」
冗談とも本気ともとれない表情で言い放った。
「死ぬ…?」
「冗談だよ。こんなとこで死のうと思って死ねないでしょう?本気にしちゃって、君、面白いね」
「西城さんって…変な人…?」
「ふははっ。そうかもね。梢でいいよ。西城さんって固い。この際仲良くなろうよ。」
「梢…は本当は死にたいと思う?」
「誰だって思うんじゃないかな。君もあるでしょう?意味もなく死にたくなるとき。」
「あるかも…しれない。」
「一回死んでみようか。」
「え。」
梢がプールに飛び込む。
「はっ?何して…。」
「ぷはぁー!!気持ちいいよ!!」
僕の手を梢が引っ張る。
「うわぁ⁉」
顔を上げると濡れた髪が気持ちいい。馬鹿だと思った。青すぎて笑っちゃいそうだった。というか実際笑ってた。
「どこが死んでるんだよ。」
「うじうじ考えてても仕方ないからそういう考えを殺した。」
「そっか」
梢がプールサイドに上がって鞄からバスタオルわ出す。
「何で持ってるんだよ…」
「え、逆に君は持ってないの?」
「当たり前だろ…。」
「貸すから、拗ねないの。」
「拗ねてない。」
梢はバスタオルを被ってフェンスの外を見て呟いた。
「私、生きるよ。君の生きる世界で、生きてみる。もー…君のせいだよ?私が死ねなかったのは。」
なぜか声が震えていた。

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とある街にて 9

「それで、その彼女にもう一度会いたいの」
”彼女”とは、無論魔女のことだ。八式と謎の”魔女”の衝撃的すぎる対面の話で引き攣った顔を、白鞘と美澄はケーキの甘味と時間の経過によって収まらせた後の話である。理解しがたい情報で埋もれた脳が、白いクリームとイチゴの酸味で再び回転し始める。
「確かにその”魔女”の存在を信じざるを得なくなりましたが、もう一度会うといっても難しいと思いますし、ていうかなんでもう一度会いたいんですか。普通トラウマで顔も見たく無いみたいになってもおかしくないんじゃ……」
「まあ、少し恐怖心は残ってるけど」
「残ってるんかい」
「でもその人、なんか雰囲気が違ったのよ」
「そりゃ、RPGマジシャン装備で目の前に壁貫通で現れたら、雰囲気くらい不思議に思っても不思議じゃないというか」
「ううん、違うの。なんていうか……外人?みたいな。とにかくここの、カグラの人ではないと思うの」
「カグラだって人口多いんだ。そんな奴が一人や二人くらいはいるんじゃないか」
「うーん……」
釈然としない声を出したまま八式は宙を見上げた。外国が存在しない今、外国人なんているはずがない。しかし八式は確かにあのとき、この都市とは異なるにおいを嗅ぎとっていた。カグラの人ではない、と直感的に悟っていたのだ。
「もしその人が、本当に”外国”から来てるのだとしたら……」
呟くように言葉を発してその口にケーキを静かに突っ込んだ八式に、白鞘が答えた。
「まあもしそれが本当なら、大発見ですよね」