終末を巡る_4
琥珀は林檎の首根っこを咥えたまま光の漏れる扉からじりじりと離れる。
「こんな時間に子供?」
人に見つかると捕獲される可能性があるのでできれば見つかりたくはないのだが、生憎この廊下は障害物がなかった。小さな兎の林檎ならいざ知らず、琥珀はかなり大きい大型犬だ。見つからないというのは無理がある。
「…?」
脱兎の如し。琥珀は逃げることを選んだ。長い廊下を大型犬は全力で駆け抜けた。
『こはく、もういいんじゃない?』
林檎がぱたぱたと身体を震わせるので、琥珀は林檎の首根っこを離した。林檎はとてとてと歩きまわり、壁を興味深そうに眺め始めた。
『どうした林檎?』
『これ、え!』
『ああ、絵?そうだな、絵画だな』
どうやらここは画廊であるらしい。