LOST MEMORIES ⅦⅩⅥ
良いのか悪いのか、タイミングは重なるもので。
「祝。」
本日2度目。瑛瑠の心臓は、今日は労働過多である。
「せ、先生……」
振り返ると同時に、思いきりねめつける。
「先生まで急に声をかけないでください。心臓が止まってしまいます。」
そう思う一方、昨日と同じ意味で驚く。やはり、チャールズ以外の大人にこんな態度をとったことはなかった。
「すまん。でも、俺の他にも同じことする奴がいたんだな。」
面白そうに笑って受け流される。
「何してる?」
「調べものを。」
そこで瑛瑠は聞いた。
「先生は、何しにここへ?」
「そうだ。長谷川を探してたんだ。見なかったか?」
きっと、先の頼み事の件なのだろう。
「ついさっき出ていきましたよ。
先生、長谷川に何を頼んだんですか?」
すると、訝しげな顔をされたのだ。
「放課後はまだ長谷川に会ってないぞ?」