無銘造物再誕 Act 25
「別にいいだろ」
よく分かんない邪魔者が失せたんだし、何も問題はないとナツィは服のポケットに両手を突っ込む。
「…でも、あの子どう考えても“作られたばかり”でしょ」
あのまま1人で放っておくのは、ちょっと…とかすみは不安そうな顔をする。
「なんだよ」
アイツのことが心配なのか?とナツィはかすみに尋ねる。
かすみは…だってと返す。
「何も分からなかった頃の自分を見ているみたいで、なんか、さ…」
かすみの言葉にナツィはなんとも言えない顔をする。
暫しの間2人はその場で黙り込んでいたが、やがてナツィがこう呟いた。
「…行くぞ」
「え?」
既に金髪のコドモが歩き去った方へ向かおうとしているナツィに対し、かすみはポカンとした様子で返す。
「だから行くんだよ」
アイツを追いかけに、とナツィはかすみに背を向けたまま呟く。
かすみは思わず目をぱちくりさせたが、やがてうんと頷いた。
ナツィはその返事を聞くとスタスタと歩き出した。