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【第一部 FANATICALとADDICTED】p.1

1話 狂信的で依存的な


「ただいまアディくーん、愛しのハニーが帰ってきたわよー」

 07号室の扉が開き、派手な服装の少女がにこにこしながら闖入してきた。

「おー、おかえりー。ファナ、遅かったな」

 アディくんと呼ばれた少年――アッドは簡易ベッドに横になって、本を読んでいた。その隣には文庫や新書など五冊が積まれている。
 アッドは少女をファナと呼んで、一度振り返っただけで読書を再開する。

 時刻は午前0時。子供が出歩くには遅すぎる時間に帰ってきた相棒を心配する素振りを見せないアッドに、ファナは不満そうな顔をした。

「ねーちょっと! 親愛なる女の子がこんな遅い時間に帰ってきたのよ。心配してよ!」
「別に心配することないだろ。襲われても倒せるんだし」
「そーうーだーけーど! 何、ファナには興味ないんだ?」

 ファナは拗ねた顔でベッドに寝そべるアッドの上に跨って座った。アッドは苦笑して本を閉じた。

「なんか飛躍したなあ」

 アッドは起き上がって、左手でファナの頬を優しく撫でた。その左の薬指にはめた指輪はファナとお揃いだ。

「じゃあどこ行ってたの」
「えー、どこだと思う?」
「自分で言わせといて……」

 不平を漏らしつつもアッドの表情は愛しい者を見るときの微笑みを浮かべている。ファナはその手を優しく包んで、満足げな表情を呈している。

「それよりね、ファナ、今日10万も貰っちゃった」

 ファナはそう言って剥き身の10枚の紙幣を鞄から取り出し、無邪気に少年の目の前に突きつける。アッドは複雑な心境で眉をひそめた。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 25.ヴァンピレス ⑱

「ボク達について来るのはいいけど、異能力者同士のいさかいに自分から首を突っ込むなってボクは言いたいんだ」
ネロはそう言って立ち上がった。
「…異能力は”一般人”には秘密にしなくちゃいけないものなんだよ」
それなのに、異能力の事をアンタは知ってしまった、とネロはわたしを睨む。
「そんなアンタが今回の決闘に手を出したら、どうなるか分かんないだぞ?」
それでボクは忠告してるんだ、とネロは瞳を赤紫色に光らせた。
わたしはその言葉に気圧されそうになったが、負けじとで、でも!と立ち上がる。
「他の皆は…」
「あーゴメンおれネロに賛成だわ」
わたしの言葉を、耀平が手を挙げて遮断する。
わたしは驚いていると、耀平はだってと続けた。
「一般人のお前を下手にこのごたごたに巻き込む訳にいかねーし」
それに、と耀平は黎や師郎の方を見やる。
「足を引っ張られた結果、おれ達の内の誰かがヴァンピレスの手にかかっちゃ困るし」
なぁ?と耀平が同意を求めると、黎は静かにうなずき、師郎はあぁそうだなと答えた。
「そんな…」
わたしは思わず落胆する。
それを見て師郎は、まぁ仕方ない事さと呟いた。

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悪女と呼ばれた令嬢は皇太子殿下に愛される

感想ください!

「ん〜!いい朝。」
私の名前はティアラローズ・ルナ・アフネル。エルザカール王国の上級貴族、セフィロス・リリック・アフネルの娘です。
「お嬢様、失礼いたします。」
「どうぞ。」
入ってきたのは私の侍女、マリー。
「おはよう、マリー。」
「おはようございます、ティアラお嬢様。お髪を整えてますね。」
エルゼカール王国は、北にフィルクガイラ帝国、南にリィニ法国、西にヴィロ妖精国、東にルウェン公国と、四つの大国と隣接しています。エルゼカール王国はそのうちの二つ、フィルクガイラ帝国とヴィロ妖精国と同盟を結んでいます。フィルクガイラ帝国の皇帝はアレカシウス・クィ・フィルクガイラ様、ヴィロ妖精国の王はミハエル・ディ・ヴィロ様です。お二方ともお会いしたことがありますが、アレクシウス様は豪快で勇敢な方、ミハエル様は知的でお優しい方でした。リィニ法国とルウェン公国とは宗教上の違いから敵対していますが、今は休戦しています。ちなみに、この国の王様はセシル・バイエ・エルゼカール様、次期国王である皇太子様はフランシス・バイエ・エルゼカール様です。
「ティアラ様、どうなさいました?お支度終わりましたよ?」
「あら、ごめんなさい。少し考え事をしていたのよ。さあ、広間へ行きましょう。」

毎週投稿します!続きも読んでください!

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LINkerWorld LINearWaltz / Miraculous-Ephemeral 24

 前線都市・ヘスぺリデスにディソーダーが出現したとの一報から三時間。
 ヘスぺリデス内に出現したディソーダーたちは、基地所属のリニアーワルツたちによって全て倒され、リニアーワルツたちには基地への帰投命令が出された。しかしミラは、ディソーダーによって荒らされた商店街でウェスト管理官に怒られていた。
「ホント、なんで勝手に戦場へ出てきちゃったのよ……」
 「お前はペアのいない戦力外だっていうのに」とウェスト管理官は呆れ顔でミラを睨む。対するミラは「まぁいいじゃん……」と頭を掻いた。
「最終的にペアが見つかったんだし、それでいいでしょ?」
「よくない」
 「そもそも、この子とペアが成立しなかったらどうするつもりだったのよ~」とウェスト管理官はミラの隣に立つ薄桃色の髪のリニアーワルツに目を向ける。薄桃色の髪のリニアーワルツには「別に」とそっぽを向いた。
「私はただこの人が一緒に戦うと言ったからジェミニを提供しただけで」
「なによ他人事みたいね!」
 ウェスト管理官は思わず突っ込む。そして自らの後ろから様子を見ている平坂管理官にも目を向けた。
「それに、開発機構の上層部直属管理官と遊撃専門リニアーワルツがヘスぺリデスに来てたなんて」
 「私聞いてなかったわよ?」とウェスト管理官は平坂管理官を睨む。平坂管理官は「まぁまぁ怖い顔しないでくださいよ」と笑って手を振った。
「我々は上層部の特命を帯びてここに来たのですから」
「なによそれ」
 「怪しい……」とウェスト管理官は顔をしかめる。その様子をミラは苦笑いしながら見ていたが、不意に「あ」と呟いた。
「そういえば、これ、返してなかったね」
 「えーと、きみの名前は……」と言いながら、ミラはズボンのポケットにしまっていた花が象られたキーホルダーを薄桃色の髪のリニアーワルツに差し出す。薄桃色の髪のリニアーワルツは一瞬驚いたような顔をしたが、キーホルダーを受け取ってこう答えた。
「私は、エフェメラル」
 その言葉にミラは目をぱちくりさせるが、すぐに「そっか!」と笑みを浮かべる。
「じゃあエフって呼ぶね!」
 「ふふふ」と笑うミラに対し、エフは恥ずかしそうにそっぽを向いた。

〈おわり〉

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LINkerWorld LINearWaltz / Miraculous-Ephemeral 23

「$’(=~=)(%$#$%&’()*⁈」
 突然のことに、ディソーダーは悲鳴を上げて暴れまわる。頭部に攻撃を喰らったことで、周りが見えなくなったようだ。
「大丈夫?」
 ミラは地面に座り込む薄桃色の髪のリニアーワルツに手を差し伸べる。薄桃色の髪のリニアーワルツは驚いたような顔をしつつ、「まぁ……うん」とミラの手を取り立ち上がった。
「あなた、ちゃんと起動できたのね」
 薄桃色の髪のリニアーワルツはに言われて、ミラはイワナガを見ながら「うん」と頷く。
「なんか、想いが通じたみたい」
「なによそれ」
 ミラの言葉に薄桃色の髪のリニアーワルツは笑みを浮かべる。ミラも「えへへ」と笑うが、不意に雄叫びが辺りに響いた。
 二人が声のする方を見ると、ディソーダーが頭部を再生させつつ突進してきていた。
 その様子にミラは身構えるが、薄桃色の髪のリニアーワルツは「あなた」と落ち着いた声でミラに言う。
「合体形態、使うわよ!」
 その言葉にミラは「……わかった!」と返す。そしてミラはイワナガに念じて変形させ、機体の砲身を露出させた状態で地面に置く。その上に、薄桃色の髪のリニアーワルツは変形させたコノハナサクヤを合体させ、グリップ部分のトリガーを引いた。
 二人に向かってくるディソーダーに向かって、合体したジェミニの砲身から薄桃色と黄緑色の光線が真っ直ぐに放たれる。ディソーダーは一瞬にして、光の奔流に飲み込まれた。

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LINkerWorld LINearWaltz / Miraculous-Ephemeral 21

「ジェミニの起動方法はわかってる⁈」
「あ、うん!」
 薄桃色の髪のリニアーワルツの言葉に、駆け寄ってきたミラは慌てて頷く。薄桃色の髪のリニアーワルツは「それなら」とミラにそれを手渡した。
「これを起動させてごらんなさい」
 「そしてもし起動できたら私と戦いなさい」と薄桃色の髪のリニアーワルツはコノハナサクヤを肩に担いでディソーダーの方を見る。クモのような姿のディソーダーは、分離・合体を繰り返しては先ほど攻撃してきた二人のリニアーワルツ——インテとフォーを苦戦させていた。
「私は奴を足止めして時間稼ぎする」
 「その間に、あなたはジェミニを起動させるのよ‼」と薄桃色の髪のリニアーワルツはコノハナサクヤを構えなおして、ディソーダーの方へ走り出した。その場に取り残されたミラは近くに立つ平坂管理官の方を見やる。平坂管理官は「ま、やってみたら~?」と笑って、路地裏へ去っていった。
「……よし」
 ミラは頷いてしゃがみ込み、受け取ったケースの鍵を開ける。その中には、黄緑色の折りたたまれた状態のジェミニと、小さな箱が入っている。ミラは迷わず小箱を開けると、そこには銀色の指輪が収まっていた。
「これが、起動リング……」
 リニアーワルツがジェミニを起動させるために必要な起動キー……確か利き手の人差し指にはめて色が変わったら、ジェミニを起動できる状態になって戦えるようになる。
 ミラはラボで教わったことを思い返し、恐る恐る指輪を右手の人差し指にはめようとする。しかし辺りに轟音が響き、ミラはハッと顔を上げる。クモ型ディソーダーが近くの建物に光線を当てたのだ。薄桃色の髪のリニアーワルツはコノハナサクヤでディソーダーの脚部を切り落とそうとしているが、外皮が硬いのかあまり攻撃が効かない。インテやフォーもそのそばで援護するが、ディソーダーは相変わらず光線を吐き出しリニアーワルツを阻んでいる。

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LINkerWorld LINearWaltz / MIraculous-Ephemeral 20

「ジェミニなら、あるわ」
「えっ?」
 ミラはその言葉にポカンとする。薄桃色の髪のリニアーワルツは立ち上がり、耳に装着している通信機に手を当てた。
「こちらエフェメラル、大至急イワナガをこちらに寄越せないかしら?」
『おや、どういう風の吹き回しかい⁇』
「そんなことはいいから早く!」
「わたしはここにいるよ」
 ミラと薄桃色の髪のリニアーワルツが声のする方を見やると、通りの路地から大きな黒いケースを右手に提げた、男とも女ともつかない大人が現れる。薄桃色の髪のリニアーワルツは「平坂管理官」と駆け寄った。
「なんでそんなところから」
「君が迷子になっちゃったから探してたんだよ?」
「うっ」
 平坂、と呼ばれる人物はにやけるが、薄桃色の髪のリニアーワルツは気まずそうな顔をする。だが平坂管理官は「ほら」と薄桃色の髪のリニアーワルツに黒い大きなケースを差し出した。
「もしかしなくても、君、あの子にこれを起動させる気でいるでしょう」
 平坂管理官の言葉に、薄桃色の髪のリニアーワルツは静かに頷く。平坂管理官はにやりと笑った。
「もうペアを失いたくないから新しいペアはいらないって言ってたのに、まさかペア候補を見つけてくるなんてね」
「本当にあの子がこれを起動できるかなんてわからないわよ」
 「起動できたらペアにする、ただそれだけ」と薄桃色の髪のリニアーワルツはケースを受け取り、ミラに向かって「あなた!」と呼びかけた。

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LINkerWorld LINearWaltz / Miraculous-Ephemeral 19

「!」
 薄桃色の髪のリニアーワルツは慌てて背後を見やるが、すでに分離したディソーダーたちはクモの姿に合体しており、その姿で光線を放とうとしている。薄桃色の髪のリニアーワルツはそれを回避しようとする。だが、突然ディソーダーの右側から青と紫の光線が飛んできて、ディソーダーを横倒しにした。
 今のは、と薄桃色の髪のリニアーワルツが光線の発射された方に目を向けると、青髪のリニアーワルツと紫髪のリニアーワルツがジェミニの合体を解除している。薄桃色の髪のリニアーワルツは驚くが、そこへ「おーい‼」と聞き覚えのある声が耳に入った。
 薄桃色の髪のリニアーワルツがハッと我に返ると、黄緑色の髪のリニアーワルツが抱きつく。薄桃色の髪のリニアーワルツは驚いて身体を硬直させた。
「やっと見つけた~!」
 「探したんだよ⁈」と黄緑色の髪のリニアーワルツ——ミラは薄桃色の髪のリニアーワルツの顔を見て声を上げる。薄桃色の髪のリニアーワルツは「なんで……」と呟くが、ミラは「だって!」と続けた。
「きみのこと、心配だったんだから‼」
 その言葉に、薄桃色の髪のリニアーワルツは「えっ」と小さく呟く。ミラは気にせず「一人で苦しんでる人を放っとけないもん!」と笑顔を浮かべる。薄桃色の髪のリニアーワルツは「そんなこと……」と俯く。しかしミラは「そんなことじゃないよ!」と相手の両肩に手を置いた。
「きみ、ペアの話をしたらすごく苦しそうにしてたでしょう?」
 「それに一人で戦うなんて、無茶だよ!」とミラは薄桃色の髪のリニアーワルツの肩を揺する。薄桃色の髪のリニアーワルツはハッとしたように顔を上げた。ミラは続ける。
「だから、自分が、きみと一緒に戦う!」
 「ペアがいないからジェミニを持ってないけど……」とミラは苦笑いしたが、薄桃色の髪のリニアーワルツは不意に「いいや」とこぼした。

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創作のタネ(その2)

その1の続き。

D:Aの取り巻きの1人。Aに憧れていて、Aに気に入られたくて背伸びしまくった結果Aの友人になった。Aに心酔しており、Aのヤバさにはあまり気づいていない。Aと付き合いの長いBにちょっと嫉妬しているし、Aから目の敵にされているCのことは嫌いで、Aのご命令とあらばなんだってやってしまう。最終的にAを見捨てて逃げ出し、BやCの協力者になったり。
E:いわゆる第三勢力。Aのヤバさに気づいているが、そのヤバさ含めてなぜかAのことを心の底から気に入っており、隙あらば絡みに行っている。そのためAからはよく思われていないし、B以外のAの取り巻きからは嫌われている…が、マゾヒスト(?)なのでウハウハしている。Aのお気に入りであるBが羨ましいけど、別に嫉妬していないしAに近づくため積極的に接近しているし、Cにもなぜか興味を持って絡みまくっている。なに考えてるか本当にわからない奴。最終的にBやCに協力し、Dなど友人や周囲の人に見捨てられてズタボロになったAに近づき、共依存みたいな関係にしてしまう。

…走り書きと言ったのに、すごい分量になっちゃった。
でもまぁいいか。
(ちなみにここで自由に使っていい設定。自分は今すぐに設定を使う予定はないけど、使うとしたら少年マンガ的なバトル×百合みたいな感じになりそう…)

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創作のタネ(その1)

さっきNHKのテレビドラマをたまたまちょっと観てたんだけど、なんか自分の義務教育時代を思い出して胸クソ悪くなるようなコドモキャラが出てきてたんだよね。
でもここから創作のタネが閃いたので、走り書き程度に残しておく。

とりあえず登場人物は5人。

A:すごくなんでもできる人気者だが、恐ろしいことに友達を自分の所有物やペットのように思っており、無意識のうちに自分の思い通りになるよう誘導したり工作したりしている。もちろん自分の思い通りにならない奴は徹底的に貶める。ただのやべー奴だが、周囲は意外と気づいてない。最終的になんやかやで自滅するが、後述のEとともに行動することに。
B:Aと付き合いの長い友人であるが、自分が所有物扱いされていることに薄々気づいている。が、Aとは昔からの友人でBの親など周囲の人間はAのことを「とてもいい子」だと思っているし、下手なことをすれば後述のCのようにAにいじめられると思っているので、とりあえず愛想笑いしてる。最終的にAと決別し、後述のCとともに行動するようになる。主役を張るならコイツ。
C:友人があまりいない一匹狼で、周囲からだいぶ浮いている。Aやその周囲のようにやたらめたら群れている奴らに興味を持たないこともありAから目の敵にされていて、なにかにつけて陰口叩かれたりヒドい目に合わされたりしている…が、諸事情で鋼のメンタルを持っているためあまり傷ついていない。とりあえずAやその周囲のことは「愚かだなぁ」と思っている。なんやかやBとともに行動するようになる。

長いからその2に続く。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 25.ヴァンピレス ⑫

「ぼくの異能力…”ヴァンパイア”は”他者の記憶を奪い取る”能力だ」
つまり、きみやヴァンピレスとあまり変わらない、と逢賀さんは目を光らせるのをやめて続ける。
「だからきみは、ぼくのアシストをしてくれればそれで良いんだ」
最後に手を下すのは、ぼくだけで十分、と逢賀さんは前を見た。
「あの子…ヴァンピレスが異能力を発現させて、人々の記憶を奪うようになってから、ぼくはずっと罪悪感を抱いてきた」
ぼくの妹のせいで多くの人が困っているのを、見ていられなかったんだと逢賀さんは呟く。
「最初は説得で何とかしようって思ってたけど全然上手くいかなくて、もうほとんど諦めてた」
でも、きみ達…ネクロマンサー達の存在を知って、ぼくは希望を持つことができたんだ、と逢賀さんはネロの方を見やった。
「きみや、その仲間達みたいな強力な異能力者がいれば、きっと彼女を止められる」
だから、ぼくの手助けをしてほしい、と逢賀さんは言う。
「これ以上、彼女によって、記憶や異能力を失う人をなくすために」
そして、きみ達自身が、安心してこの街で暮らせるように…と逢賀さんはネロの目をじっと見た。

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LINkerWorld LINearWaltz / Miraculous-Ephemeral 18

「あの子、ここにいたの⁈」
 ミラがそう訊くと、フォーは「うん」と頷く。
「じゃ、じゃあ、追いかけなきゃ!」
 「どこに行ったの⁈」とミラはフォーに尋ねるが、ここでインテが「ちょっと待ってください」と間に入った。
「ミラ一人を行かせるなんて、ちょっと危ないんじゃ……」
「いや、ミラを一人で行かせるなんて言ってないよ?」
「えっ?」
 フォーの言葉に、インテはついポカンとする。フォーは「えへへへへ」と笑った。

 一方そのころ、薄桃色の髪のリニアーワルツはディソーダーの群れの中を走りながら、迫りくるディソーダーと戦っていた。ただでさえ不気味な見た目なのに、けばけばしい色合いが余計恐ろしく見える敵を薄桃色の髪のリニアーワルツは手に持つ刀型ジェミニ・コノハナサクヤで切り伏せ続けている。小型のディソーダーたちは悲鳴を上げながらコノハナサクヤによって両断されていった。
「;***+`*:#%&(+>=)‼」
 薄桃色の髪のリニアーワルツが次々とディソーダーを倒していくと、不意に前方からつんざくような雄叫びが響く。薄桃色の髪のリニアーワルツが顔を上げると、大型のクモのような形をしたディソーダーが飛びかかってくる。薄桃色の髪のリニアーワルツはコノハナサクヤを突くような体勢で構えて、ディソーダーに向かって駆け出した。
 しかしクモのようなディソーダーは、薄桃色の髪のリニアーワルツの目の前で翅のある甲虫のような姿にばらばらと分離して、薄桃色の髪のリニアーワルツの攻撃を避けてしまう。薄桃色の髪のリニアーワルツはハッとしたように目を見開いた。

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LINkerWorld LINearWaltz / Miraculous-Ephemeral 17

「誰だかわかんねーけど、まさか……」
 パッションがそう言いかけたとき、リニアーワルツたちの後方から「みんなーっ‼」という大きな声が響いた。パッションとグリッタが振り向くと、黄緑色の短髪のコドモ——ミラが走ってきている。
「えっミラ⁈」
 驚くパッションに対し、ミラは「大丈夫だった⁈」と尋ねる。パッションは「いやそんなことより……」と言いかけるが、ここで「ミラ」と落ち着いた声が飛んできた。ミラが声の主の方を見ると、ポセイドンを抱えたインテが駆け寄ってきている。
「どうしてここに来たんです⁇」
 「基地にいるようにと言ったのに……」とインテは心配そうな表情をする。ミラは「ごめん」と謝るが、「でもね」と続けた。
「これを落としてった子が心配になっちゃって」
 「それでいても立ってもいられなくて……」とミラは手の中のキーホルダーをインテに見せる。インテは呆れたように「ミラ……」と呟くが、それを遮るようにミラは「だけど」と口を開く。
「自分はあの子を放っとけないんだ」
 「だってあの子、ペアのことを訊いたら様子がおかしかったし……」とミラは手の中のキーホルダーに目を落とす。インテは「そんなこと言っても——」と言いかけるが、ここで「別にいいんじゃない?」という声がミラの背後から聞こえた。ミラが振り向くと、弩型ジェミニ・アンフィトリテを持った紫髪のリニアーワルツ・フォーことフォーチュネイトが微笑んでいた。
「ミラは、その子のことが心配なんでしょ?」
 「なら、追いかけなよ」とフォーは笑う。
「さっきの見たことないリニアーワルツ、きっとミラが拾ったキーホルダーの持ち主だろうし」
「えっ⁈」
 フォーの言葉に、ミラは思わず声を上げた。

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LINkerWorld LINearWaltz / Miraculous-Ephemeral 16

「ま、おれとしては戦えればどうでもいいんだけどよ!」
 「おもしれーことになりそうだし?」とパッションは目の前のディソーダーにエンキドゥを突き立てようとする。だが左側から光の矢が複数飛来し、ディソーダーに突き刺さった。
「⁈」
 急に自分の獲物を取られたパッションは、驚いて矢の飛んできた方を見る。パッションの視線の先にある建物の上からは、弓型ジェミニ・ギルガメッシュを持った金髪ボブカットのリニアーワルツ・グリッタことグリッタリングが飛び降りてきていた。
「ちょっとパッション‼」
 「戦えればどうでもいいとか言わないの!」とグリッタはパッションの服の襟首を掴む。パッションは「ちょ、ちょっと」と慌てるが、グリッタは「ちょっとじゃない!」と言い返す。
「前線都市でディソーダーなんて前代未聞なのよ⁈」
 「フツーに大ピンチなの、あたしのペアならわかるでしょぉ⁈」とグリッタはパッションの襟首を掴んだまま前後に揺さぶる。パッションは「落ち着け落ち着け」とグリッタを止めようとした。しかし不意に二人はなにかの気配を感じ取り、パッと顔を上げる。
 二人の目の前には、体長数メートルほどあるムカデのようなディソーダーが頭部をもたげていた。
「……ひぇっ」
 パッションとグリッタは小さく悲鳴を上げる。ディソーダーに潰される——と二人は青ざめるが、そこへ一つの人影が飛び込んできた。
 人影は近くの建物の上から飛び降りつつ、手に持つ刀のようなものでムカデ型ディソーダーに斬りかかる。ディソーダーは悲鳴を上げてのけぞり、そのまま地面に倒れた。
「……」
 人影は地上に着地すると、刀のようなものを一振りしてから背後を見る。そこにはケンカをしていたパッションとグリッタが呆然と立ち尽くしていた。周囲のリニアーワルツたちも、ポカンとした様子でその人物を見ている。薄桃色の長髪をなびかせたその人物は周囲の者たちを一瞥すると、次々と向かってくるディソーダーたちの方へ駆け出した。
「ねぇ、あの子って……」
 グリッタが恐る恐る口を開くと、パッションは「あ、あぁ……」と呟く。

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LINkerWorld LINearWaltz / Miraculous-Ephemeral 15

 前線都市内でディソーダーの出現が確認されてから暫く。ヘスぺリデスの商店街では派手な色をした体長数メートルほどのディソーダーが、周囲に大小さまざまなディソーダーを引き連れて暴れまわっていた。ディソーダーは口のような器官から光線を放って街を破壊しつつ、ヘスぺリデスの大通りを進んでいる。基地の避難指示によって街中には人影がなく、ディソーダーが侵攻する地鳴りのような音だけが響いていた。
 しかしディソーダーの群れが大通りの交差点にさしかかったとき、群れの横から光の矢や光弾が複数飛んでくる。突然の攻撃に小型のディソーダーは悲鳴を上げてひっくり返り、大型のディソーダーは動きを止めて光の矢や光弾が飛んできた方を見た。
 交差点の角の向こう、商店街の建物の屋根の上や道路上には、華やかな容姿にカラフルな衣装を着込んだコドモたち——リニアーワルツが、弓や銃器の形をした武器——ジェミニを構えて立っている。敵の出現に気づいたディソーダーたちは雄叫びのような声を上げて、リニアーワルツたちの立つ方へ方向転換した。
 しかしそんなディソーダーの目の前に、商店街の細い横道や建物の陰から刃物や鈍器の形をしたジェミニを持ったリニアーワルツたちが現れる。近接武器を持ったリニアーワルツたちは、群れの前方に固まる甲虫のような姿をしたディソーダーに飛びかかっていった。ディソーダーたちは口から光線を吐いたり攻撃を避けようとしたりしたが、次々とリニアーワルツたちに撃破されていく。そんな中で、青い長髪をバンスクリップでまとめたリニアーワルツ・インテことインテリジェントは、三叉矛型ジェミニ・ポセイドンを振り回して小型のディソーダーたちを串刺しにしていた。
「……それにしても、前線都市内でディソーダーが出るなんて、随分妙な話ですよ」
 「ねぇ?」とインテが近くで大剣型ジェミニ・エンキドゥを振り回すリニアーワルツ・パッションことパッショネイトに話しかけると、パッションは「そうだな!」とディソーダーを斬り捨てつつ返す。