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ファヴァー魔法図書館 #37

『サルヴェイジ』

ある朝のこと、
「ねぇ、ガラシャくん。」
と、ユリはガラシャに向って話しかけた。
そして、
「君の記憶を取り戻す準備は整った。これから私は君の望む通りに事を運ぶ事にする。」
と、続けた。

ガラシャは余りにも突然のことに唖然とした。
ガラシャは記憶を取り戻したい、それは揺るぎない願いであり意思である。
それと同時にガラシャは本能的にユリとの別れを覚っていた。
その時、齢九つのアタマは『揺れた』。
そしてひとつの答えを出した。
「ユリ、私もう怖くない。記憶を取り戻したい!」

ユリはゆっくりと頷いた。
そして話し始めた。
「それじゃぁ、これから君の記憶をサルヴェイジするけど聞いてね。
君の記憶は私の魔法で引き上げるんだけど、ひとつ難点がある。
サルヴェイジと言っても思い出させる対象を見分ける事が出来ないから、結果的に君はこれまでの記憶を全て取り戻すことになる。過去の些細な会話とか、これまで食べたパンの枚数さえも思い出すことになるけどいいね?」
ガラシャの返事は決まっていた。
「言ったでしょう、もう怖くないって。」
ユリは笑顔でガラシャの前にしゃがみ耳元で囁いた。
「何があっても動揺してはだめ。だめだからね。」

ユリは立って、グリモワールの詠唱を初めた。
部屋は眩い光に包まれた。

To be continued #38 『ノスタルジイ』

P.S.#36なんてなかった、いいね。
#36は暗号化されたグリモワールの内容を書こうと思って投稿したんですが、いかんせん乗りませんでした笑
なんとなくここで内容を変更してやってしまうのが嫌だったので#36はなかったことにしました。ってけーねが言ってた。

物語はここからクライマックス。
......だと思う。

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ファヴァー魔法図書館 #35

『キャンバスナイト』

ガラシャは起床したとき、謎の違和感に襲われた。
ユリの様子がおかしいのである。
しかし、ガラシャにはその本質を読み取る事は出来ない。
ガラシャはまだ9歳なのだから。

ユリは突然ガラシャにプレゼントをした。
内容は、ただひとつの真っ白なキャンバスだった。
ガラシャにこれを渡す時ユリは言った。
「心を見て、心で描きなさい。」
ガラシャからしたら意味のわからない言葉だった。
心を見るとは、心で描くとはどういう事なのか。
しかも一体どういう意図で渡されたのかもわからない。

取り敢えずガラシャは誰も居ないところへ行って考えて見ることにした。
そしてガラシャは『地上の果て』へ向かった。
ガラシャはずっと座っていた。
ずっと座っていた。
座っていた。
気がついたらガラシャの隣に一人が座っていた。
漆黒のスーツを着た何かが。
それは突然話し始めた。
「ねぇ、君は何を目指しているの?
僕にはわからないくらい君の心は散らかっている。
そんなに散らかっているとなくし物をしてしまうよ。
少し片付けようか、顔を少し近ずけて。
僕の目を見ずに、中空を見るんだ。」

ガラシャは疲れきっていた。
もう何が何でも良かった。
ガラシャの脳内に思い浮かんだのは、
襖から一度見た夜空とひょうという声だった。

ガラシャが正気を取り戻した時、何かはもういなかった。
キャンバスは相変わらず真っ白だった。
でも最初とは明らかに違くみえた。

視覚など所詮ただの感情の写し鏡。
本来映さねばならない物よりも、
感情というフィルターの方が近いでしょうに。

To be continued #36 『グリモワール』

P.S.世の中にはたくさんの景色があります。
でも、僕ら人間って一生かかってもその景色の1%も見ることができないんですよね。
人間の一生に対して世界って広すぎます。
何だかこういう連想ゲーム楽しいです笑

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「いらっしゃいませ」
「とりあえず生ビールね……あと、やっこある?」
「すみません。ありません」
「じゃあ枝豆」
「すみません。きらしてます」
「なにかできるのは?」
「すみません。なんか適当に買ってきますんで、お客さん、店番しといてください」
「嫌だよ……仕事帰りで疲れてるのに」
「ですよねぇ。あ、ピーナッツならあります」
「乾きものかあ。まあいいか。……その水槽の魚はなんだい?」
「お出ししますか?」
「川魚みたいだね」
「さあ〜、なに魚なんだか。つぶれた店から水槽ごともらったんで」
「そんなわけのわからない魚食べるわけないだろう」
「名前はアイっていうんですよ。わたしがつけたんです」
「ペットを客に出そうとするんじゃないよ」
「へへへ」
「へへへって……ところでどうしてアイなんて名前にしたんだい?」
「コイって魚はいますよね」
「うん」
「でもアイって魚はいないじゃないですか」
「うん」
「だからです」
「うん、さっぱりわからない」
「愛ってなんなんでしょうね」
「生存本能由来の感情だろうな」
「愛って必要なんでしょうか?」
「過剰な愛は排他性を高めるからマイナスだな」
「なにごともほどほどが肝心ってことですかね」
「そうだな。……生ビールおかわり」
「お客さん、なにごともほどほどが肝心ですよ」
「俺の身体に気なんかつかわなくていいんだよ。どれだけ商売っ気ないんだ君は」
「すみません。生ビールそれで終わりです」
「じゃあ瓶ビールでいいよ」
「かしこまりました。すぐ買ってきますんで、店番しといてください」
「会計してくれ」

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太陽に恋する月の話 その1

「ねぇ、ねえったら、ねぇ、地球ってばっ」
「聞こえてるって、なんだよもう」
「うさぎが寝ちゃったのよ、お話ししましょう」
「仕方ないな」
「見て。ほら、今日も太陽がとっても綺麗」
「君は本当に太陽が好きだね」
「ええ、あんなにかっこよくて、明るくて、暖かい星はないわ」
「無いなんてことはないよ。他の太陽みたいな星が僕らから遠くにあるだけさ」
「私達が感じられる場所にないなら、もうそれは存在しないみたいなものよ」
「違うと思うけどなぁ。それに、もし君が水星の近くに住んでたら、熱いとか言って太陽を嫌ってるかもよ」
「そうかもしれないけど、でもとにかく今は太陽が好きなのよ」
「そう」
「お話しできないかしら」
「流石に遠いからね」
「ねえ、あなたの中にいる生き物達、何か私が太陽とお話できる手段作ってないの?」
「ないよ。というか、僕らの存在を認識してないのに作れるわけないだろ」
「もう、役立たず」
「しらないよ」
「叫んだら聞こえるかしら、おーい、たーいようー!」
「聞こえないよ。何か伝えたいなら伝言を頼むことだね」
「誰に?」
「金星に。金星から水星に、水星から太陽に」
「面倒ね…まぁでも仕方ないわ。とりあえず金星を気長に待ちましょうか」