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空虚な監獄と無彩色ノスタルジック

生きている意味も 死ななければいけない意味も
分からないまま僕は奈落の底へ落ちる
何をしたって何を言ったって
助けを求めても君は知らん顔
君には伝わらない 受け取ろうともしない

空虚な監獄に囚われ
増えていくのは手錠と足枷
まとわりつく蔓が思考停止を促す
何度逃れようと体を動かしたとて
如何にもこうにも出来ない

何を食べても 砂の味
見えるのは無彩色ノスタルジック
あの懐かしい 色が恋しいや
騒音をシャットアウトした耳と鳴り響く罵声
もう止まれない 止まらない 耳鳴り
夢現を願っても何もないディストピア
声もうまく出ない 話せない
言葉を発する権利此処に消失す
鉄格子の凹凸ももはや感じない

ゴカンガキエテイク。


懐かしいノスタルジックだって
目の前の無彩色を眺めれば色の素敵さも
忘却の彼方へ旅立ってしまう
闇が手招く アンノスタルジックな世界
僕は牢獄と言う名の箱庭で踊り続けた
手錠と足枷が邪魔をしても
アンゴカンな僕は踊れるんだ
ナイフがなければね

なんて残酷なんだ なんて思っていたのも最初だけ
そう考える概念すらない世界
僕の好きなものも当然許されない世界
鉄格子の味だけが僕を支配する
箱庭ではまだ、踊っている

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黄紅葉

嗚呼 夏が過ぎ去りて
秋の香薫る清涼よ
貴方の元へと舞い戻りたいと存ずるけれど
もう秋の風が吹く頃ね 貴方ももう忘却の彼方

春の濡れた羽衣は 乾いたけれど
この想いは夜長想いても尽きぬ
されどもう運命の歯車は回ることを知らぬまま
もう報われる事なきと分かっていても
とめどなき秋の川

かの方と過ごす夜が芋名月など
なんのご褒美であろうか
私は貴方の名月でありたく
かの方の名月ではござらん

嗚呼貴方は黄紅葉
我のことなど秋風の刹那でしょう
秋水に手を浸し 仰ぐは秋高し
ひとたび貴方と二人紅葉見
それももう夕紅葉となりにけり

嗚呼 天高く馬肥ゆるこの頃
夜半の秋に見るは錦紅葉
我 秋波を身に纏い
貴方と二人 中秋の名月身を重ねて
月の日に重ならぬことを祈り
秋暁を貴方と迎え
そんな紅葉の賀を貴方と開きたいと存ず
されど それは儚き月の迷い夢にござり
まことは悲秋であった


貴方の元へと歩み紅葉を散らす我
黄紅葉と紅葉 互いに寄り添いたきにけり
そして秋旻を見上げ 花紅葉誇る野山の錦

嗚呼 この世で我の願い叶わぬのなら
彼岸で貴方ともう一度巡り会いたき
彼岸の夕暮れ 夕日に祈る 我と貴方の幸を
もう────秋水に身を委ねる時でございます
貴方を 彼岸の向こうからお慕いいたします

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あの日、私がいないという事。

8月6日 午前8時15分 ヒロシマ 原子爆弾投下
あの日、私はそこにいない。
まだ、生まれていない。
初めて原爆ドームに行った、小学校6年の秋。
原爆ドームを見て、全ての時間が止まった。
涙は、、、流れなかった。

テレビで観ている景色より、残酷で、まるで映画のセットのような。
街にビルが立ち並ぶ中そこだけが「異質」だった
砂時計が…止まっている。

まだ幼い私は折り鶴を折るなんて自己満足だ、そんなの折ってもなにも変わらないと思っていた。でも、あれを見た瞬間、全てが変わった。
折り鶴の色とりどりの色がまるで世界を色付けるかのような───
平和の色を創り出すかのような───
そんな風に、私には見えたのだ。


あの日、私がいないという事。
それはまだ幼かった私のような人が
まだまだいるという事。
そして、今の私のように、心を変えるきっかけを
作る事ができるそんな力が私たちにはある事。
多くの時を超えてもまだ、大切に守らなくてはならないものがある事。
そして、人の痛みを自分の痛みのように感じる
その大切さに気づく事なのではないだろうか。





あの日、私がいないという事。
それは核兵器が未だ根絶されないことを悲観する理由にも、あの時を知らないから伝えていく事が出来ないという諦める理由にも、ならないのだという事を知ってほしい。





あの日、私がいないという事。
ただ、それだけで伝えられる言葉が
どこかにあるはずなんだ。
戦争をしてはいけない。核兵器をなくす。
そんな、一見当たり前のことが
時空を超えた今日では当たり前でなかったこと。





その「事実」を貴方に伝えたい。
大切な、、、貴方に

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ラストシンデレラ

ふと深夜のベットに忍び寄る影
その影は私を舞踊会に誘う
けれど思い出す 校門で見かけたあの影
学校でも時々見かけて
私の心を抉り取っていく
怖いんだ 踊りたくないの

深夜0時になったから かぼちゃの馬車も
綺麗なドレスも 消えてくんだよ
この世のものは全て消えていくんだ
そう考えたら怖いんだ

私が今見てる気色
私が今感じてる事
私が今聴く音たち
私が今息をする事

全部全部消えていく日が来る事
分かってはいるんだ
でも怖いんだ
地震とか 大雨が続くと
災害で自分が死んでしまうのではないのかとか
考えてしまう私がいて 怖いんだ

ねぇ、こんな私だけど、やっぱり君は
私の事変だって笑うんでしょう?
君は「憂鬱」のひとことだけ残して
私の心を泣かせているんだから
気づかないし、知らないんでしょう?
君が好きな事も
「君が好きだから」まだ死にたくない事も
知らないんでしょう?

深夜のお客さんにオーダーしてあげましょう
「あの子の──────憂鬱をなくてあげて」
「それが私がシンデレラとしての──」

そういって、0時の鐘が鳴る─────
ベットの上で シンデレラは静かに息を引き取り
意外にも満足そうに微笑んだシンデレラ
その次の瞬間───








あの影が
光を放ち シンデレラに──