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Metallevma キャラ紹介②

・アメシスト
鉱石:アメシスト  核:左のこめかみから頬にかけて線状に走る紫水晶の筋
能力:感覚の鋭敏化・鈍化
能力の由来:『酒に酔わない』の意味を持つアメシスト。アメシストの能力は、アルコールの中毒症状に飲まれる事無く、逆にそれによって引き起こされる感覚の鈍化と過敏化を自在に引き起こす。
クォーツ族の戦士。ルチルとは相棒の関係で完全に信頼しきっており、万が一共に戦うことになれば、死角への注意が完全に無くなる。知覚能力を鋭敏化し、恐怖や自衛本能を鈍化させることで発揮される高い格闘能力は、クォーツ族はおろか周辺の他部族でも勝てる者がいないほど。能力の使い方ゆえに負傷することも多い。
シトリンに憑依してもらうと壊れない上に拡張性が極めて高い身体が手に入るのでとても強いのだが、アメシストは身体の部位が少ない状態での戦闘には慣れていても多い状態での戦闘には慣れていないので、必然的に部位欠損を補う形で能力を発動する外無く、条件を満たしにくいという事情もあり、”バーント”は飽くまでも最終兵器。戦士の人手が足りなさ過ぎて基本的にソロで戦うことが多い。

・シトリン
鉱石:シトリン・クォーツ  核:額に2本生えた黄水晶の短い角
能力:親和性の高いメタルヴマに炎の形で憑依する
能力の由来:焼黄(やきき)から。焼黄とは人工的にシトリンを作り出す手法であり、紫水晶や煙水晶を加熱処理することで、その色を黄水晶のようにすることができるそうな。紫水晶由来だと「バーント・アメジスト」、煙水晶由来だと「バーント・スモーキークォーツ」というらしいですよ。
クォーツ族の護衛官。能力は自身を黄金色の炎に変え、仲間に憑依するというもの。炎は対象の部位欠損を補い、実体としてシトリン自身または憑依対象の意思のままに動く。ある程度の親和性が必要で、現状能力が適用されるのはアメシストとスモーキー、モリオンの3名のみ。ルチルのことを苦手に感じており、それとよく一緒にいるアメシストのことも警戒している。
アメシストに憑依した時の強さは本当に凄まじいのだが、では何故最強コンビがシトリン&アメシストではないのかというと、シトリンが戦闘力が低いにも拘らず重要度の高いスモーキーの護衛に就かなければならないこと、シトリンの能力では、実質的な人手が二人分にはなれないことが理由。

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Metallevma:ネコメとクリスの小さな宇宙~眠る雷神~ その②

クォーツ領は半径2㎞程度の凡そ円形の高い泥塀に囲まれて守られており、出入りが可能な関所は、東側の1か所にのみ存在する。
関所の門から反対側、西の辺の周囲には日本庭園のような広大な敷地が存在し、ネコメとクリスタルはその庭園に向かっていた。
「見て見てクリスチャン。見えるかい? ボクには『素敵なモノ』ってことしか見えない」
「にゃん、きれーなとこ」
「そうかい。それじゃあ突撃ィー!」
駆け出そうとするネコメの足首が何かに引っかかり、ネコメは勢いのままつんのめった。転倒し額を地面に打ち付ける直前、何者かに身体を支えられる。
「はいストップ。ここには入っちゃ駄目」
「うげぇえ? 誰?」
ネコメの見上げる先、眼球の無いネコメには見えなかったが、白拍子の水干に身を包んだメタルヴマが鋭く睨みつけていた。
「ワタシはガーデン・クォーツ。この『庭』の管理者さ。悪いがここは、ワタシ以外の者に入ってもらっちゃ困るんだ」
「なんでぇ? 庭なら見せておくれよぅ」
「そいつは駄目だね」
ガーデン・クォーツは短く断り、ネコメを立ち上がらせた。
「だからなんでなんだよぅ」
ガーデン・クォーツは指を1本ずつ立てながら理由を述べた。
「理由は3つ。一つに余所者の貴様がいるから。二つに無暗に他人に入られて、意図的にしろそうでないにしろ荒らされてはワタシが悲しいから。そして三つに……」
そこで言葉を切り、一瞬躊躇してから、再び口を開いた。
「……これは貴様をクリスちゃんの友人であり闘争に関心を示さないクリソベリル族と見込み、疑念を敢えて放棄して説明することだが」
「うん」
「この庭の存在意義がただの『庭園』ではなく、『監獄』、或いは『封印』であるからだ」

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Metallevma キャラ紹介①

・クリスタル
鉱石:水晶  核:後頭部から生えた水晶柱
能力:世界の境界面を認識する
能力の由来:占いに使う水晶玉のイメージから
クォーツ族の末っ子的ポジション。戦闘力は無いが、見ているものが他のメタルヴマ達とは違うようで、戦線にも構わずふらふらと出て来てしまう。一度戦火に巻き込まれ核となる水晶柱を半分ほど砕かれたショックで頭の中もふらふらのふあふあになってしまった。周囲からは戦えないことで時には厄介に思われながらも、比較的平和な時には「クリスちゃん」の愛称で可愛がられてもいる。本編後、何やら進化を遂げたそうな。

・ルチル
鉱石:ルチルクォーツ  核:胸元に埋もれた針水晶球
能力:水晶の針を生成し射出する
能力の由来:和名が『針水晶』なので
クォーツ族の戦士。ローズとは同じ日に生まれた関係で兄弟姉妹のように親しくしている。アメシストとは戦士としての相棒の関係で、共闘時は中後衛として前衛向きのアメシストを支えている。しかし2人ともとても強い上にまともな戦力が少なすぎて人手を無理やり割かなければならないので、共闘することは滅多に無い。あったらそれはクォーツが滅ぶかどうかの瀬戸際である。
特に親しいローズとアメシストに対しては距離感と感情がちょっとアレなところがあり、ついたあだ名が「同期と相棒限定感情激重病めたるヴマちゃん」(シトリン命名)。

・ローズ
鉱石:ローズクォーツ  核:左の鎖骨の辺りに生える3本の短い紅水晶柱
能力:他のメタルヴマを自身の手元に引き寄せたり跳ね退けたりする
能力の由来:ローズクォーツは女神アフロディテの石とされ、恋愛の守護石としても知られている。愛する者同士が引き合うように、恋破れた者同士が自然と距離を取るように、ローズクォーツの能力はメタルヴマ同士の距離を操る。
クォーツ族の医務官。ルチルとは兄弟姉妹のように親しくしている。戦線においては傷ついた仲間を素早く回収し、襲い掛かる敵は撥ね退ける、救護班として活躍することが多い。育ちの悪さが隠しきれていない言葉遣いや行動が見られる。

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Metallevma 部族紹介

クォーツ族:クォーツ(水晶)のメタルヴマ達。そのスタンスはどちらかというと専守的である。これは煙水晶のスモーキーと黒水晶のモリオンの2名のメタルヴマの特殊能力による土壌生成・地形干渉によって、少ない面積により豊かな地形を用意でき、ナワバリの面積の重要性が低いため。今あるナワバリと仲間を守ることを重視している。
弱点は戦闘面で特に強い人員(かつ表に出ることができる者)がアメシスト、ルチルの2人しかおらず、攻勢に回りにくいこと。

クリソベリル族:感覚能力に特化した特殊能力を持っている傾向が強い、ナード気質の集団。自身の興味の対象以外にはほぼ無関心であり、ナワバリ争いにもあまり積極的では無い。そもそも戦闘能力もかなり低く、戦ったら死にかねない。その弱さゆえに脅威度も低いことからナワバリ争いにおける討伐優先順位も低かったことで、辛うじて生き残っている。

隕鉄一派:鉄隕石を核に持つメタルヴマの集団。『鍛造』と呼ばれる技術によって自身の核である隕鉄を含む全身を改造し、戦闘力を只管に追い求めている。その行動理念の全ては「自分達“の方が”強い」であり、ナワバリ争いとは無関係に各方面に喧嘩を売ってはその圧倒的戦闘力で蹂躙している。一人でも他派閥のメタルヴマが生き残っている限り、彼らの侵略が止まることは無い。また、「相手が死ぬ」ことは彼らにとっては分かりやすい強さの証明でしかないため、殺傷行為への忌避感も他のメタルヴマより乏しい。

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Metallevma:水晶玉は流星を見通す その⑬

「……“天鉄刀”はどうする? 隕石の雨を、どう防ぐつもりだ?」
ルチルが見上げる先、その上空には、天球をほぼ埋め尽くすように大量の隕鉄塊が出現していた。
「私の能力と、シトりんの壊れない炎の身体。恐れるものがどこにある?」
アメシストはニヤリと笑い、炎の脚を深く折り曲げ、大きく前傾した姿勢のまま勢い良く飛び出した。
無数の隕鉄塊が不規則に降り注ぐ中を、アメシストは僅かな隙間を縫うようにして正確に回避しながら進んでいく。
アメシスト自身の能力によって極限まで鋭敏化された感覚能力が辛うじて生存ルートを導き出し、本質的に不壊の流体である、シトリンの能力による炎の脚を、一般的なメタルヴマの身体には耐え切れないほどの速度で稼働することで、ルートの発見とほぼ同時にそれを辿りようやく成し得る荒業である。
「よっしゃ、このまま奴の能力の範囲外まで逃げ切るよ」
「あ、ああ……」
あまりの速度と乱暴な挙動に、ルチルも簡単な相槌を返すことしかできない。
「……っと、その前に」
突然急ブレーキをかけてアメシストが立ち止まる。
「うわぁっ⁉ アメシスト、何を……⁉」
「ルチル、さっき言ってたよな? 『一撃返してやらなきゃ気が済まない』って」
「ああ、けど……」
「せっかくだし、それも叶えてから逃げ切ろうか。シトりん、ちょっと切り離すけど良いね?」
黄金の炎の塊が右脚から分離し、球体の形でアメシストの目の前に浮かぶ。
「よしよし。それじゃあこいつを……お見舞いしてやる!」
掛け声とともに回し蹴りに蹴飛ばされた火球は、隕鉄塊の隙間を器用に回避しながらテーナイトに迫り、下半身の核を僅かに溶かして火花と散った。
「はい全部叶えたから私らの勝ち。そーれ逃げろー!」
アメシストがからからと笑いながら逃げ去って行くのを、テーナイトは攻撃を受けて僅かに溶けた核を気にしつつも、それ以上は何もせず見送った。

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Metallevma:水晶玉は流星を見通す その⑫

「ふぅ……危ないところだったね、ルチル」
来たる衝撃に備え反射的に目を閉じたルチルだったが、危惧したそれが襲い掛かってくることは無かった。かけられた声に恐る恐る目を開くと、アメシストがニタリと笑いかけている顔が目に入った。
「あ……アメシスト⁉ お前、身体は……!」
「シトりんにもう少しだけ動かさせてもらってる。大丈夫、この戦いが終わったらしばらく療養するさ」
アメシストの言葉に合わせて、アメシストの手足や損傷を補い埋めるように燃えていた黄金色の炎が揺れ動く。
「ローズもこんなに小さくなっちゃってまあ……」
分裂した炎の細腕でローズの残骸を抱え込み、アメシストはそれを眺めながら呟く。
「ローズちゃんはダメージで疲れてるんだ。構わないでやってよ」
「私もルチルも同じだってのに。あいあい」
アメシストは頷き、“天鉄刀”“隕鉄刀”の両名に背を向けて駆け出した。
「アメシスト⁉ 何故逃げるんだ! あいつらに一撃返してやらなきゃ気が済まない!」
炎の腕から逃れようともがき始めるルチルを、アメシストは炎の腕を分裂させることで強引に抑え込んで走り続ける。
「馬鹿言え! 私とルチル、ついでにローズ。私ら3人、全員生き延びればそれが私らの勝利だ。傷さえ治せば何度でも挑めるんだぜ、相棒!」
「ッ……! ……悪かった、熱くなってた」
「良い子だ、ルチル」
駆けるアメシストの背後から、“隕鉄刀”カマサイトが追いかけるように突進してくる。
「逃げられると思ったか馬鹿め!」
「逃げられるさバカめ」
抉れた腹部を埋める黄金の炎に“隕鉄刀”の刃が突き刺さり、衝撃波で一瞬炎が吹き飛ばされる。
「うおっとシトりん、無事かい?」
黄金の炎が枝分かれし、小さくサムズアップを作ってみせる。
「アッハハハハ! 私も無事だ、こっちの身体は“流星刀”にやられて殆ど空っぽだからね。そして“隕鉄刀”の弱点は『ここから先』にある」
炎の脚を大きく伸ばし、アメシストは“隕鉄刀”から距離を取る。しかし、カマサイトはそれを追うことができず歯を食い縛って地面を踏みしめている。
「奴の能力は『自身の持つエネルギー全てを刃の先から対象に注ぎ込む』もの。『全て』だぜ。攻撃の直後、奴は絶対に立ち止まる。立ち向かえばまず勝てないが、『追われる側』にさえ回れれば、まず負けないんだよ」

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Metallevma:水晶玉は流星を見通す その⑪

「さて……」
凄まじい殺気を放ちながらローズを自分の背後に庇い、ルチルは二人に相対する。
「ローズちゃんは、本来ならこんな簡単にやられるような奴じゃない。貴様らがどんな卑怯な手を使ったのかは知らないが……肉片の一片すら残ると思うなよ?」
「ふむ、何をそこまで激怒しているのやら……我が同胞を2対1で下しておいて、卑怯はそちらだろう?」
“天鉄刀”テーナイトは呆れたように言い返す。
「黙れ! 私の仲間をあんな目に遭わせておいて!」
ルチルの放つ水晶柱を、テーナイトは隕鉄で迎撃し、1発残らず叩き落す。
「アメシストは! 両腕と片脚を失って“流星刀”に手傷の一つも負わせられなかったんだぞ! あれが『卑怯』であってたまるか!」
最大出力の水晶柱を3発生成し、超高速で叩き込む。
「ほう! 我らの鍛造技術はそこまで圧倒的だったか! 嬉しい事実が聞けたなァ?」
テーナイトは高笑いし、巨大な隕鉄塊1つで全てを押し返した。
それでも落下運動を続ける隕鉄塊に引き続き水晶柱をぶつけ続けるが、隕鉄塊の硬度と質量に弾かれ、その威力は全く減少しない。
隕鉄塊は全てを粉砕して尚止まること無く、落下地点にいたルチルとローズをも巻き込んで地表に衝突した。

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【急募】タイトル募集

おととい面白いお話を思いついたから、まずはあらすじだけでも聞いてほしい。

舞台はとある地方都市“彩(いろどり)”。
多くの芸術家が居住・活動し、市民生活に芸術が当たり前のように存在することから“芸術都市”と呼ばれている。
そんな中、世界各地で芸術が消えていく事象が発生。
彩市も例外ではなく、徐々に生活から芸術が消えていく。
世界の芸術を守り、支えてきた秘密組織“フォールム”はこの事態を危ぶみ、“創造力”で戦う戦士“リプリゼントル”の素養を持つコドモたちを探し始める。
素質あるコドモたちは“フォールム”にスカウトされ、芸術を消し去る怪物“エベルソル”との戦いに身を投じていく。

…てな感じで、魔法少女ものやプ◯キュア的な雰囲気の物語です。
鬱要素はありそうでそんなにない感じです。
で、なんでここに書き込んだかと言うと、この物語のタイトルが決められないんですよ。
自分ってそんなにタイトルセンスがないので、中々いいタイトルが思いつかないんです。
だからここのみんなに協力を仰ごうと思いました。
タイトルの要件は、「サブタイトルがない」「助詞を複数使わない」「やたらめったら長くない」これだけです。
どういうのでもいいのでいいタイトルが思いついたらレスお願いします。

ちなみに参考ですが、作中用語は「フォールム」は「FORUM」、「リプリゼントル」は「representor」、「エベルソル」は「eversor」です。
今の所は小説やマンガにしてどこかに投稿する予定は立ってないけど、いつか小説かマンガにしたいと思ってます。

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Metallevma:水晶玉は流星を見通す その⑩

「……! もう1人……!」
攻撃の実行者を確認しようと振り向こうとするローズだったが、それも叶わず刃に触れた腹からローズの肉体は爆ぜ飛んだ。
「…………⁉」
辛うじて残った胸より上が地面に転がり、ローズの目に敵の正体が映る。
蹄が生え、地面に力強く踏ん張る四肢、背中側がより強固に武装された重厚なプレート・メイル、何より、額から生える湾曲した刀身。
(リノセラス……? ……いや、これは……!)
ローズの目が見開かれる。一見、犀のようであったその生き物は、武装によって猛獣に似た姿を得たメタルヴマであった。
「ふむ……我が異能で殺してやりたかったが……まあよくやった、“隕鉄刀”」
”天鉄刀”から『隕鉄刀』と呼ばれた犀のようなそのメタルヴマは唸り声をあげ、ローズの頭を蹄を模した長籠手で踏みつけた。そのまま踏み砕こうと力を入れたその時。
「貴様アァッ! ローズちゃんに、何をしているッ!」
ルチルの怒号と共に叩きつけられた最大威力の水晶柱によって、“隕鉄刀”は轢き飛ばされた。
「ルチル……“流星刀”は……?」
「追い払った。アメシストは動けなくなってる。もう喋らなくて良い、すぐ逃がしてあげるから待ってて」
「うん……“天鉄刀”と“隕鉄刀”だ。ルチルでも勝てるか怪しい。……気を付けて」
消え入りそうな声でルチルに伝え、ローズはそのまま気を失った。

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Metallevma:水晶玉は流星を見通す その⑨

「何か飛んでくるのは分かったけど、あんな怖いものが飛んできてたんだァ……」
ネコメも岩石塊を見つめ、絞り出すように呟く。
「ねこちゃん、にげよ」
クリスタルに上着の袖を引かれ、ネコメは頷いて立ち上がった。
「うんそうだね。全く戦えないボクらは邪魔にならないようにしなくちゃだ。生存最優先!」
ネコメはクリスタルを抱え岩石塊から離れるように駆け出し、その場に取り残されたのは、ローズ一人。
「この大岩……まるで隕石? いや、衝撃はほぼ無かった……」
「そうであろう? 我が異能によって降り注ぐ隕鉄は、それ自体の質量によってのみ破壊を引き起こす! その純粋たること、これより美しい能力は他に類を見ないだろう!」
上空から朗々と語る声にローズが見上げると、隕鉄塊に突き破られた天井から見下ろす一人のメタルヴマの姿があった。
そのメタルヴマの腰より下は、核と思しき金属光沢を帯びた八面体の黒い結晶に埋まるように融合しており、右手に携えた軍刀を肩に担いでローズを睥睨している。
「美しいかどうかは別にして……失せろ侵入者!」
ローズが左手をそのメタルヴマに向け、能力を発動しようとする。しかし、何者かに背後から腹部を貫かれたことで、能力の発動は失敗に終わった。

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Metallevma:水晶玉は流星を見通す その⑧

「……はい、処置完了」
クォーツ族のナワバリの中央付近にある避難施設にて、ローズに首の傷を処置され、ネコメは患部をさすって微笑んだ。
「うんうん動く。ありがとローズのひと」
「言っておくけど、ダクト・テープで雑に貼っ繋いだだけだから、ちゃんと治るまでは無茶しないでね?」
「はーい」
生返事を返し、ネコメはすぐ傍でぼんやりとして座っていたクリスタルの隣に座った。
「クリスチャン、クリスチャン」
「ねこちゃん!」
「見て見てー、首直してもらった!」
「んにゃぁー」
「ここのみんなは優しいねェ」
「へぁん?」
「……なんでピンと来てないの? 身内でしょ?」
「にゃぁー……」
首を傾げて唸るクリスタルに疑問を覚えつつ、ネコメは額の核で周囲を見渡した。
「それよりさァ、この辺には『境界面』無いのかね?」
「ハハハ、訳の分からないものが避難所にそんな簡単にあったら困るなァ」
笑うローズの背後で、ネコメの視線が止まる。
「な、何だい急に私を見つめて……」
「クリスチャンこっち」
クリスタルの首の後ろを捕まえ、ネコメは自分の身体の方にクリスタルを引き寄せた。
「……あ」
ローズは二人にまだ無事な左の掌を向け、能力を発動する。ローズの身体が二人に引き寄せられるよう飛んでいき、衝突の勢いで3人はもつれ合ったまま更に転がった。
「たしか……ネコメの力は『危険』と『興味』を認識する能力。あの反応の仕方ってことは……」
ローズは直前まで自分がいた場所に目をやった。そこには、ローズを押し潰そうとしていたかのように岩石塊が突き刺さっていた。

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Metallevma:水晶玉は流星を見通す その⑦

ルチルは無数の水晶針を周囲に浮遊させながら敵の懐に飛び込んだ。トロイライトが刀を振り上げる瞬間、水晶針の弾幕を空間を埋め尽くすように射出し、視界を塞いだ隙に急接近し、無事な左腕で刀の柄を押さえる。
「これさえ、奪えば……⁉」
刀を奪おうと力を加えるが、手に貼り付いたかのようにびくともしない。
「オ……レの……『核』に…………触るな」
「は……?」
トロイライトは左腕でルチルを殴りつけ、吹き飛ばした。
(あいつ……今、たしかに『オレの核』と言った。あの刀が核だと?)
咳き込みながらも起き上がり、ルチルは水晶針の弾幕を再び撃ち込む。トロイライトは刀を振るった余波で弾幕を打ち消し、攻撃のための斬撃を打ち出すため、再び刀を構えた。
トロイライトが斬撃を放つ直前、視界の外、斜め右後方から飛んできた槍のような水晶柱がその身体を弾き飛ばした。
空中で体勢を立て直そうとしたトロイライトだったが、身じろぎしようとする前に、その身体は予め地面に突き立てられていた水晶柱に叩きつけられ、仰向けに倒れそうになる。
「ナイスぅルチル。あとは私の仕事だ」
倒れまいと踏ん張るトロイライトの顎に、アメシストの飛び膝蹴りが突き刺さる。
耐え切れず脚が砕け千切れ飛ぶほどの威力に、重装のトロイライトとはいえ成す術無くナワバリの遥かに外まで吹き飛ばされ、二人の前から姿を消した。
「ぃよっ……しゃぁあー……! 勝てたぁー……!」
満足げに地面に転がるアメシスト。ルチルが足を引きずりながら近寄って来たのに気付き、アメシストは肩しか残っていない両腕をルチルに向けた。
「相棒ぉ、もう両手足無くなっちゃった。抱っこして抱っこ。私の事運んでー」
「……私の手足も相当限界なんだが……まあ仕方ないな。しかしこれ、『勝った』ってことで良いのか?」
抱え上げられながら、アメシストはからからと笑う。
「良いに決まってるじゃない! 私らの目的は、私らが死ぬ前にあいつを眼の前から一瞬でも退かすことだったんだから。ほら、戻ってくる前に私らもさっさと逃げてしまおう」
「了解」

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Metallevma:水晶玉は流星を見通す その⑥

「しかし……困ったねェ」
一頻り笑った後、アメシストが無感情に呟いた。
「私らクォーツの中じゃ、私とルチルのコンビは最強の呼び声高いわけだけど……戦術の核になる私の手足は、とっくの疾うにズタボロだ」
「……なら、どうする? 私一人でアレを相手しろと?」
「いやァー……それは駄目でしょうよ。嫌だよ、自分が何もできないのに目の前で仲間が殺されるのを見るとか」
「私だって嫌だ」
「あ、次が来る」
アメシストが残った足でルチルを蹴り飛ばし、その反動で自分も飛び退くことで斬撃を回避した。
続いて飛んでくる斬撃を、アメシストは転がるように回避するが、躱しきれずに左肩を深く切り裂かれる。
「うあぁー……すまない相棒。もう駄目っぽい」
「馬鹿言うな!」
無数の水晶柱でトロイライトを生き埋めにしてから、ルチルはアメシストを素早く助け起こした。
「冗談言ってる暇があったら考えるんだ、アレを追い払う方法を!」
ルチルに言われて、アメシストはルチルの顔をまじまじと見つめた。
「……本気で言ってる?」
「……どういう意味だ?」
「アレ、本当に『倒さなくて良い』の?」
「倒せないだろうあんなの。今を生きて乗り切れれば、それで良い!」
真っ直ぐに言い切るルチルに頭突きを当ててから、アメシストは高らかに笑い地面に倒れ込んだ。
「ああ分かった! 私がどうにかする。奴の注意を私から完全に逸らしてくれ!」
「了解した」
水晶柱の山を吹き飛ばし現れたトロイライトを睨み、ルチルは短く答えた。

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Metallevma:水晶玉は流星を見通す その⑤

戦場に駆け付けたルチルの目に入ったのは、力無くへたり込む相棒の姿と、その数十m前方に立ちはだかる甲冑姿のメタルヴマだった。
「アメシスト!」
仲間の名を呼びながら戦線に飛び込み、ルチルは最大出力の水晶柱を敵に叩きつけた。
「うお、遅いよルチルクォーツ。私が半分無くなっちゃったじゃないか」
おどけて言うアメシストの両腕と左脚は根元から失われ、腹部も半分以上抉り抜かれている。
「すまない、遅くなった」
「いやごめんて、軽口よ軽口……実際早すぎるくらいだよ。しかしさっきの攻撃すごかったね。『針』ってより最早『柱』って感じだ」
「あれで斃れていてくれれば良いんだが……」
ルチルの言葉と同時に、地面に深々と突き刺さった水晶柱が爆ぜるように砕け、土煙の奥から抜き身の刀を引きずる甲冑姿のメタルヴマが現れた。
「出たな……トロイライト」
「気を付けなよ。“流星刀”は間合いを問わず、理不尽なほどの剛剣だ」
「ああ。あれだけの距離を余波が飛ぶんだからな……」
呟きながら、ルチルは無数の水晶針を自身の周囲に漂わせた。
青年、トロイライトが刀を振り上げると同時に、刀身に狙いを定めて水晶針を全て叩きつけ、斬撃を妨害する。刀は水晶針の威力に跳ね返されるが、その反動は斬撃の余波として前進し、ルチルの右腕とアメシストの髪を一束吹き飛ばした。
(な……⁉ 馬鹿な、完全に防いだはず……⁉ 横暴にも程がある……!)
「お、先にやり合ってた私と同じ反応してら」
アメシストがけらけらと揶揄うように笑った。

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Metallevma:水晶玉は流星を見通す その④

「外……だと?」
「そーお外」
ルチルが訝し気に問い返すも、ネコメは事も無げに答える。
「クリスチャンにも見えてるんだろうさ。ドキドキワクワクするような、“異世界”ってやつが」
言いながら、ネコメはクリスタルに意識を向けた。その目に映らないクリスタルの口元は、心なしか僅かに上がっていた。
「ナワバリ争い? 下らないねそんなこと。こんな小さい世界に甘んじる奴らの諍いになんか興味無いよ。すぐそこに見えてンだ、この不可視で強大な『壁』のその先が。出自やナワバリの違いなんかでいがみ合ってる暇も無いほど、ボクらの戦いは困難で不確かなんだぜィ?」
ネコメがニヤリと不敵な笑みをルチルに向けた瞬間、ネコメの首が刎ね飛び、後方から飛んできた何者かの腕に吹き飛ばされていった。
「ッ⁉ ネコメ⁉」
咄嗟に立ち上がるルチル。
「る、ルチル! 敵襲だ!」
駆け寄って来たのは、片腕を失ったルチルやクリスタルの仲間、ローズだった。
「ローズちゃん! あの腕ローズちゃんだったの⁉」
「うん、油断した。クソ、“あれ”が来たんだ!」
「あれってなに……」
首だけになったネコメが尋ねる。答えるのはルチル。
「……“流星刀”のトロイライト。最近この辺で猛威を振るってる『隕鉄一派』の1人だ」
「そっかー……ところでなおして」
「ああ。ローズちゃん!」
ルチルに呼ばれ、ローズが自身の傷口を抑えながら駆け寄ってくる。
「クリスちゃんとついでにネコメを頼む。戦況は?」
「アメシストがどうにかしてる」
「私はそっちに行く。他に誰も近付けるな。私とアメシストで駄目ならあとはもう無駄な被害だ」
「了解。行くよ、クリスちゃん」
「んぇあ?」
クリスタルはネコメの胴体を小脇に抱えたローズに呼ばれ、訳も分からずネコメの頭を抱えてローズについて避難した。

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Metallevma:水晶玉は流星を見通す その③

「しかし君らも飽きないな。毎日毎日何にも無い空間に手ェ伸ばして。退屈しないの?」
ルチルのその言葉にネコメの動きが止まり、口元をニタリと歪ませてルチルの顔を覗き込んだ。
「『何も無い』? 何も無いだって? そう見えるのかい? ハハハ、そうかそうか! ボクらが何も無いところを手探りする狂人にでも見えてるわけか! クォーツのひとでも聡い奴ばっかりじゃないんだねェ!」
「死にたいようだな?」
核に水晶針を突き付けられ、息を呑むようにネコメの笑いは途切れた。
「ぃやァーゴメンナサイ調子乗りました……。いやね? 違うんですのヨルチルのひと。ボクら、そうこのネコメちゃんとクリスチャンは、可視光しか感知できない残念な眼玉しか持ち合わせてない余所のメタルヴマらとは見てる世界が若干違うんですノヨ」
「……前にも聞いたな。どういう意味なんだ?」
ルチルの問いかけに、シシシと息を漏らすように笑いネコメは答える。
「いやほら、たとえばボクはクリソベリル・キャッツアイ。イワユル“猫目石”を核に持ちましてね。この猫目は現在絶賛生き別れ中の両の目玉とは違って、ゾクゾクするモノとワクワクするモノしか見てくれないんですノヨ」
「……つまり、どういうことだ?」
「ボクが触れたら死ぬような危険物の存在が、ボクには手に取るように分かる。距離も方位もね。『ワクワクするモノ』ってのはそりゃァルチルのひと」
ネコメはそこで言葉を切って、再び虚空に目をやった。
「“小さな世界”ミクロコスモスの外っ側でさァね」

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Metallevma:水晶玉は流星を見通す その②

「クリスちゃん? クリスちゃ……あ」
クリスタルを探しに来たそのメタルヴマは、クリスタルの隣に座る異種のメタルヴマを認識した瞬間、反射的に針状の水晶柱を生成し射出した。
しかし、それがよく知る者であることに気付き、すぐに水晶柱の動作を止め、粉砕し霧散させた。
「何だ、ネコメか……」
「もうびっくりしたなァ……ルチルのひと。手が早いのよ」
背後からの無音の攻撃に対し、的確に後頭部を庇った腕を解きながら、ネコメは振り向きつつ頬を膨らませて抗議した。
「それが正解だから良いんだよ」
「そりゃぁそうなんだけど……クリスチャンのお友達なんだからこう、もっと手心ってものを……」
「……まあ、正直その子の相手をしてくれてるってだけで助かってはいるんだけどね。戦えないくせにうっかり結構なダメージを食らったりするもんだから……」
「はァー呆れたっ! 水晶のひとはこれだからいけない。戦いにしか価値を見出せないなんてサモシイと思いませんか!」
「クォーツ領は良い場所だからな。日々様々な部族に襲撃を受けるこの現況、戦えない上に読めないタイミングで戦場に現れる味方ってのがどれだけ恐ろしいと思っている。クォーツの戦力は決して大きくは無いんだぞ?」
「……参った微妙に反論しづれェや」
言い合いながら、ルチルも二人の隣に腰を下ろした。

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Metallevma:水晶玉は流星を見通す

メタルヴマに似つかわしくない、煤けた無地のシャツ1枚のみを身に纏った幼い少女のような姿のそれは、今日も虚空に手を伸ばし、無意味な呻き声をあげていた。
「クリスチャン! クリスチャンどこー! おーいクリスチャン!」
「あぇ?」
呼び声に反応し、そちらに顔を向ける。両の眼球を抉り出されたメタルヴマが一人、見えない目できょろきょろと周囲を探りながら少しずつ近付いてきているのが見えたので、後頭部からひび割れ中ほどから折れた水晶柱を生やした少女のようなメタルヴマ、クリスタルは、手を振って呼び返した。
「ねこちゃん!」
「あ! よっしゃ聞こえた!」
猫耳風の突起が付いたキャスケット帽を被った盲目のメタルヴマはクリスタルに駆け寄り、額に輝くクリソベリル・キャッツアイの核でクリスチャンの顔を覗き込んだ。勿論その鉱石の目に、クリスタルの顔を確かめられるような視力は具わっていないのだが。
「ネコメちゃんが今日も来てやったぜークリスチャン。いつ殺されるかとビクビクしながら来てるんだ。感謝しろよー?」
「んー」
クリスタルの隣に腰を下ろし、ネコメも同じように空中に手を伸ばし始める。
「この辺? この辺で合ってる? 自分がどう動いてるのか目視できないのがキツイのよ」
「ぁんー」
クリスタルは曖昧に答え、虚空に透明な壁でもあるかのように両手で叩くような動作を始めた。

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Metallevma 〈企画要項〉(再掲)

(月が変わると前の月の書き込みがバックナンバーなどでしか見られなくなるため、先月投稿したものを見てなかった人用の再掲です。それではどうぞ。)

どうも、テトモンよ永遠に!です。
突然ですが企画です。
タイトルは「Metallevma」。
鉱物を核に生まれたヒト型の存在“メタルヴマ”の物語を皆で描いていく企画です。
まずはとりあえず設定です。

・メタルヴマ Metallevma
鉱石を核に生み出されたヒト型の“何か”。
身体のどこかから核と同じ鉱石が生えている。
核になっている鉱石の名前を名乗っている。
核になった石の石言葉や性質にちなんだ特殊能力を持つ。
核の鉱石が健在な限り死ぬことはないし、食事の必要はない(食事は嗜好品程度と捉える者が多い)。
性別はないが、同じ鉱物種を核とする者をきょうだいや家族、一族として認識する。
おしゃれ好きな者が多く、皆個性豊かな格好をしている。
その昔、ある王が自らのしもべとして生み出したのが始まり。
そうして生み出された原初のメタルヴマが自らの同族を生み出していったことで数を増やしていった。
しかし数が増える内に人間に歯向かうようになり、やがて人間の住む世界から追放されてしまった。
現在は人間の住む世界のすぐ傍にある世界“ミクロコスモス”で暮らしている。

・ミクロコスモス Microkosmos
メタルヴマ達が住む小さな異世界。
人間達の住む世界から様々なモノが流れ着く。
住民であるメタルヴマ達は一族ごとの派閥に分かれて激しいナワバリ争いを続けている。
現在はメタルヴマ達が人間の住む世界を真似て人間世界顔負けの都市が造られている。

開催期間はとりあえず9月が終わるまでで、形式・投稿回数は特に問いません(あ、公序良俗は守ってね!)。
投稿作品にはタグ「Metallevma」(スペルミス注意)を付けて投稿してください。
難しめの企画ですが、企画趣旨に大体合っていればOKですのであまり気負わずにご参加ください。
質問などはレスからお願いします。
皆さんの参加お待ちしております‼︎

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鏡界輝譚スパークラー:プロフェッサーよ手を伸ばせ その⑩

「抜けました! 脱出成功です!」
剛将の言葉と同時に、二人は村の境界を踏み越えた。
剛将の声に応え、小型ドローンは1度宙返りを決めて見せる。
『よく逃げ切ったね。最後に1個面白い機能を見せてあげよう。その名も“ミミック・フィスト”』
義腕が一瞬強く光り、その光が止むと義腕は人間の腕と変わらない外見に変わっていた。
『光の力を消費して、“人の腕の映像”を義腕の上に投影したんだ。人体に不自然な変形をしたらすぐに解除されちゃうから気を付けてね』
「あ、はい了解です。……え光の力使ってるんですか?」
『うん』
「僕の?」
『そりゃまあ。一応アンプル燃料の分がまだ残ってるから今日1日ぐらいはもつとは思うけど。光の力で動く以上、戦闘に使える力は減るから気を付けてね。何だったら、普通に学校で貰うP.A.を使った方が良いかも。アンプルは欲しかったら郵送させるから、必要になったら自宅か学校の住所教えてね。窓口には我が親友、三色吉代を通してもらえれば大丈夫だから、洞志村民避難地の……あれ何番だっけ』
『3番だな』
『そこを訪ねてくれれば良いから』
「分かりました、ありがとうございます」
『カゲが手を出してくるとも限らない。早く帰りな』
「はい、ありがとうございました」
「お世話になりました、失礼します」

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教会輝譚スパークラー:プロフェッサーよ手を伸ばせ その⑧

ドローンから聞こえる明晶の指示に従い、剛将と花は脱出のため走り続けた。しかしその足は目の前に現れた大型のカゲに妨げられて止まってしまう。
『お、なかなか大きいのが出たねぇ。君ら、こいつのことは知ってる?』
明晶の問いかけに答えたのは花だった。
「いいえ、初めて見る型です。STIで教えてもらった中にも、こんなのは無かったはずです」
『そっか、それならワタシが勝手に命名しよう。ソレの名前は“ハイドラ”だ』
『”ハイドラ”ぁ? ダゴンじゃ駄目なのか?』
吉代の反応に、明晶はケラケラと笑って答えた。
『だってダゴンの方はちょっと好きなんだもん。そのまま名前使うのは申し訳なくない?』
『知らん』
『っと、今はハイドラだったね。ハナちゃんは足止めを頑張って。ゴーショウくん、ドローンの下にケースがくっついてると思うんだよ。それを開けておくれ』
「あ、はい」
剛将がそれに従いケースを開けると、中には緩衝材に埋もれてガラス製のアンプルが数本並べられていた。
「これは?」
『まあざっくり言うと、光の力を濃縮した燃料だね。義腕の手の甲を開けて、アンプルを中に差し込んで。細い方から入れるんだよ』
「開けるってどうやって」
『開けーって念じたら開くから』
「……あ、本当だ」
アンプルを義腕に差し込むと、手の甲の機構は再び閉じ、鈑金が一瞬大きくほどけ、すぐに元の腕の形に落ち着いた。
『これから使う技は、光の力をかなり消耗する。君の光の力じゃそう気軽に使えるモノじゃないからねぇ。ついでに近接戦にもっていかなきゃならないから覚悟しておいて。さあハナちゃん、一度退いて』
「あ、はい」
花が銃撃を止めて剛将の陰に隠れ、それに続いて剛将はハイドラに向けて飛び出した。

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鏡界輝譚スパークラー:プロフェッサーよ手を伸ばせ その⑦

扉を開けた瞬間、屋外に犇めいていたカゲ達がその物音に気付き、一斉に二人の方に振り向いた。
『まずは基本の技から行こうか。適当なカゲに拳を向けて狙いを定める。腕はまっすぐ伸ばしていた方が良いけど、最悪拳さえ向いていれば大丈夫』
明晶の指示の通りに義腕が動き、カゲの群れに狙いを定める。
『本当は直接口で言った方が楽なんだけど……まあ頭の中で唱えるだけでも良い。この技の名は』
鈑金の隙間から、光の力が可視光として迸る。
『リーチ・フィスト』
その名が呼ばれるのと同時に義腕が高速で伸長し、導線上のカゲを貫いた。
「わぁっ⁉ 伸びた!」
『まだまだこんなものじゃないよ』
再び義腕が縮み、今度は小刻みに振動し始める。
『これは少し扱いが難しいけど、多分慣れればある程度は操れるようになると思うから頑張って。そしてこの技の名は』
再び、義腕が高速で伸長する。しかし先程の直線的な軌道では無く、不定期なタイミングで鋭角から直角の角度で滅茶苦茶に折れ曲がり、周囲のカゲをまとめて打ち抜いた。
『リーチ・フィスト・ディストーション。かっこいいと思わない?』
『それについては議論の余地があるんじゃないか』
「あ、三色さんも話に参加するんですね」
『さて、この辺の雑魚は今ので大体倒せたかな。隙間が残っているうちに早く進みな』
「分かりました!」