回復魔法のご利用は適切に_11
シオンが弱気になっていたところ、不意にエリザベスの手が伸ばされ、人型を指差す。
「いいこと?しっかりと立っていてください。すぐ終わりますわ」
「う…うん」
エリザベスが親指を弾くように上げると、カチッと音がし、火花が散る。
「照準は"核"…『シルバーバレット』!」
それは言葉というよりも、『詠唱』であった。強い衝撃…いや、反動がある。エリザベスを下敷きに転んでしまうところだった。
「わっ…」
反射で瞑った目を開けると、そこにはヒビの入った人型が立っていた。
「核、少し外してしまいましたわ…」
「核って?」
「なんといいますか、魔法の本体、のような…説明が難しいですわ、とりあえずこれを壊せれば暫くスタンさせられますの」
「へぇ…すごいね…」
落ち着いたためか、シオンの足の血がようやく止まった。