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ただの魔女 終

“魔女”が目を覚ました時、最初に見たのは彼女を見下すヤヨイの顔だった。
「あ、おはようございまーす……この度はうちの姉上がお世話になりましたぁ」
「ぅ……誰……?」
身を起こそうとする“魔女”の眼前に、ヤヨイはメイスを突き付ける。
「悪いけど、動かないでいただいて…………。私は中山ヤヨイ。あんたが散々痛めつけてくれた中山サツキの実妹だよ」
「……へぇ?」
再び頭を下ろし、“魔女”はヤヨイと睨み合う。
「それで、妹が何の用? お姉さんの敵討ち?」
「別に……死んだわけでも無いし」
「何だ、サツキ死ななかったんだ。私が死んでなかったから、てっきりあっちが死んだものかと」
「あんた戦闘狂か何かなの? ……まあ良いや。用件はまあ、一つだけでさ」
「ふーん?」
ヤヨイの言葉を待つ“魔女”の顔面を、鎚頭が鋭く打ち据えた。顔面の骨が砕ける感触と共に、“魔女”の顔は打撃の勢いで横方向に弾かれる。
「痛……あれ? 痛くない……?」
ダメージが一切残っていないことに困惑する“魔女”の顔面を、更に正面から叩き潰す。
「ぐっ…………⁉」
メイスが持ち上がった後の“魔女”の顔にはやはり、傷の一つも無い。
「私の魔法だよ。『外傷の治癒』。流石に身内が殺されかけて黙っていられるほど私も優しくなくってさぁ。お姉ちゃんが友達だって言ってたからこのくらいで済ますけど……」
“魔女”の胸倉を掴み、引き寄せる。
「今度私の身内に手ぇ出してみろ。お前の精神がベキベキに砕けるまで殴り続けてやる」
「…………っはは。私、あんたのことも嫌いじゃないよ、中山ヤヨイ」
「……はぁ?」
「あんたの信念はきっぱりしてるから聞いてて気持ちが良いや」
ヤヨイから解放された“魔女”は、徐に立ち上がり、衣服についた埃を払った。
「そうだ。中山サツキに託ってくれる?」
「……何を」
「『富士見ヒカリ』。私の本名だよ。私だけ名前を掴んでるのは不公平だからね」
“魔女”――ヒカリはヤヨイに手を振り、屋上の落下防止柵を乗り越え、飛び降りた。
慌ててそちらに駆け寄ったヤヨイが見たのは、校舎の壁に貼り付いていた大型ゴーレムの手の中に納まったヒカリの姿だった。
「……あんのクソ魔女が」
ゴーレムに抱かれて去っていくヒカリに悪態を吐き、ヤヨイは変身を解除した。

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魔法をあなたに その②

オイラin人間社会。
今日はアレ……何だっけ、“魔法少女”? ソレにするのにちょうど良さそうな人材を発掘するゼィ。
欲しい魂は、所謂“イジメられっ子”ってタイプの人種ダナ。
揉まれて擦れて磨き上げられた(すり減ったともいう)、鋭くタフな魂。ただのイジメられっ子で良いってわけでも無ェ。折れて引きこもったり自傷に走ったりするようなのじゃ駄目だ。やり返せるほどの跳ねッ返りも好かねェ。理想は“耐え続けている”奴。心身を削られながら、“まだ折れてねェ”奴だ。
そーいうワケで本日の狩り場は某中学校。建物部分がクソデカいんで、多分たくさん人材がいる。人が多けりゃ多いほど、好みの奴がいる確率も上がるってェ寸法よ。
つーわけで捜索のため、フラフラと建物の周りを飛び回っていると、いきなり爆音が響いてきた。あれだ、何とかって奴。……時報? 的なアレ。知ってるゼ、物事の始まりと終わりに鳴らすヤツだ。つまり、運が良ければこれからガキ共がわらわら出てくる。
ワクワクしながら出入口周辺に隠れて待ち構えていると……。
『ビンゴ!』
しばらくじっとしているうちに、同じような服装したガキ共が出てきた。狙うは2択。独りぼっちの奴か、不自然に取り囲まれてる奴。欲を言えば女が良い。アイツらは精神が野郎よかチカッとだけどろどろしてるからな。

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ただの魔女 その⑨

鳩尾への攻撃で呼吸を潰されたサツキは、抵抗できないまま押し倒されているうち、自分の首にかけられた“魔女”の手の力が緩んでいることに気付いた。
顔に垂れてくる涙と涎の混合液を左手で拭っていると、完全に脱力した“魔女”の身体が、サツキ自身に重なるように崩れ落ちた。咄嗟にその背中に手を置くと、掌にはべったりと彼女から流れ出した血が付着する。
(『ダメージを共有する魔法』…………こんな痩せた身体で、何度も私が殴った後で、私よりずっと辛かっただろうに……)
「あ、そうだ。こんなことしてる場合じゃない!」
サツキは“魔女”を抱え、舌打ちの音で『反響定位』を開始した。
(現在地と、方向……良し。あと少し、頑張れ私)
短距離転移を繰り返し、サツキは彼女が通う中学校の屋上に倒れ込むように到着した。
(マズい、流石に出血し過ぎた……ちょっと、もう動けないかも……)
「…………ヤヨイ!」
最後の力を振り絞り、サツキが呼びかけると、倒れる2人の傍に一人の少女が近付いてきた。
「はいはいお姉ちゃ……うっわ何その傷!? あとそっちの子誰⁉」
「えっと……」
(そういえば、この子の名前は聞いてなかったな……起きたら教えてもらおう)
「えっと、私の友達。この子のこと、治してくれる?」
「……分かったよ。あとですぐお姉ちゃんも治すからね?」
ヤヨイと呼ばれた少女は素早く変身し、片手に握ったライトメイスの鎚頭で、“魔女”の頭を軽く小突いた。
「ほぃ治療完了。お姉ちゃんも治すから……うっわなんで両目潰れてるの怖っわぁ……」

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魔法をあなたに その①

オイラin魔界。
今日は随分久しく会わなかった奴の姿があった。コイツぁ珍しい。せっかくだから絡んでやろう。
『ヨォー、テメェ珍しいじゃねェか。最近ずゥーっと出ずっぱりでよォ。何だァ? 里帰りかァ?』
『ム? おや、旧友。帰って早々知った顔に出会えるとは嬉しいねェ。……まァ、大した用事は無いヨ。たしかに里帰りと言って良いかもしれない』
『ウカカ、そーかィ。ところでテメエ、最近の調子はどうだァね』
『頗る良いヨ』
『バァカ言ってンじゃねェ。“回収状況”だよ』
『あァ……』
オイラ達は人間のガキ共とある種の共生関係にある。オイラ達はアイツらに超自然的パワー、所謂“魔法”をくれてやる。魔法はアイツらが自分たちの世界を守ったり、アイツら自身の人生をちょろっと彩るのに使われる。代わりに運悪くアイツらが若くして……そうだな、アイツらで言う“成人年齢”って頃より先に死んじまったら、その“魂”はコッチで回収してオイラ達自身のエネルギーとして活用させてもらう。“戦うための力”を与えてるんだからそりゃ死にやすいだろッテ? 双方合意の上だしセーフセーフ。化け物だらけの世の中だからしゃーないネ。
『先日、7番目に“魔法少女”にした子が無事に天命を全うしてくれてね。嬉しいことだ』
『ナァニ言ってダ、もう70年は早く逝ってもらわにゃ意味無ェだろーが』
『君は相変わらず口が悪いねェ……君の方こそどうなんだイ?』
『ッ…………お、オイラのことァどうでも良いだろうヨィ! 「オメガネにカナウ」良い魂の持ち主が少ねェンだよ今の時代はァ!』
『自白していくねェ……』
『ウッセバーカ! んじゃ、オイラぁもう出るからナ! ジャーナこの……あン? お前今、何て呼ばれてる? それで呼んでやるヨ』
『……そうさねェ、今はこの見た目から「ヌイグルミ」と呼んでくれる子が多いねェ』
『ホムホム了解、ジャーナおヌイ』

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ただの魔女 その⑦

ようやく気付けた……けど、こんなこと普通あり得る?
振り下ろされた槍の穂先が、身を捩った私の肩を掠める。
「っ……! 人間でも修行すればできるようになるとは聞いたことあるけどさぁ……!」
暗闇を飛ぶコウモリや海中を行くイルカをはじめとした、種々の動物に確認される生態。何らかの音を発し、それが周囲の物体に反射して戻ってくる時間差と角度から、目に見えない世界を、音を使って『視る』技術。
「”反響定位”……!」
また、短槍がコンクリートを叩く。片腕しか使えない上に、既に毒気が回り切っているはずなのに、彼女の攻撃は回数を重ねるごとに鋭さと精度を増している。これじゃまるっきり、向こうの方が化け物じゃないか。
薙ぎ払いを咄嗟に片腕で受け止める。みしり、と骨が軋む感覚。直後、全身を衝撃が駆け、弾き飛ばされた。
「っ……っあ、はぁっ……はぁっ…………! くそ……! 私、なんだよ……! 殺すのは……! 私の方、だってのに……!」
頬の皮膚が削れて熱い。槍を受けた左腕も動かない。もしかして折れた?
「っ……でも、これで……『お揃い』だ…………!」
今、私と彼女は鏡合わせに同じ腕を潰している。両眼を潰すのは気が早かったかな……まあ良いや。
「一つ、呪ってみようか」
また、彼女が短槍で足元を打つ。転移する気か。
「させるかっ!」
ダガーを投げる。この風切り音は聞こえてるはずだ。そして、この状況。『前例』はただの1度きり。使うかどうかは彼女次第。それでも、信じてる。彼女が本気で、私と渡り合おうとしてくれることを。
一瞬の浮遊感と共に、視界が変化する。来た、『位置を入れ替える魔法』!
来たる衝撃に備え、身体を硬直させる。それと同時に、背中の一点にダガーが突き刺さった。

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ただの魔女 その⑥

片目が辛うじて生きてる分、感覚能力では私に分がある。大型ゴーレムが来るまでの推定約3分、持ち堪えれば良い。
「……そんなわけ無いじゃん」
『今』『ここ』で、『私が』殺さなきゃ。
今のダメージを考えると、〈邪視〉はあと1回しか使えない。けど向こうにはどうせ見えてないわけだし、タイミングがあったら積極的に使って行こう。
懐から乾燥させた薬草の粉末を取り出し、地面に投げて火をつける。紫色の煙といやに甘ったるい匂いが辺りに立ち込める。普段から嗅ぎ慣れた、気持ち悪くて安心する匂い。慣れないうちは神経を侵し動作を鈍らせるだけだけど、毒性にさえ慣れてしまえば、高揚感と痛覚麻痺が良い具合に働いてくれる。
「うぅっ……何、この匂い…………」
彼女はやはり、この『毒』には慣れていないらしい。全身の神経が少しずつ麻痺し出して、身体に力が入らなくなってきて、ほら見ろ、どんどんふらついてきてる。
(これなら、殺せる!)
ダガーを取り出し、突撃する。腰だめに構え、全体重をかけて腹を狙い……。
カンッ、と彼女の短槍が足元のコンクリートを打った。かと思うと彼女の姿が消え、背後から風切り音が近付いてきた。咄嗟に倒れ込み、突きを回避する。
足音で気付かれた? にしたって、あの潰れた両目で、『瞬間移動の直後に』、ここまで正確な攻撃ができるわけ……。
カンッ、とまた、短槍がコンクリートを叩く。
「……そういうことか……!」

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日々鍛錬守護者倶楽部 その⑥

立ち上がろうとする怪物を前に、サホはその場でスタッフを振り回し始めた。その軌道上には闇を凝縮したようなラインが残存し、空間を少しずつ侵食するように広がっていく。やがて直径約10mの半球状に暗闇が広がり、タツタはその闇に溶け込むように姿を消した。
(サホの生み出した“エフェクト”……暗闇と、私の魔法で操る“霊”は相性が良い。この霊障は今、闇に溶けている)
無数の霊体腕が、怪物を“空間上”に“縫い留める”。
「お前の『魂』を掴んだ。この“霊体”と同様に、『障られた』お前もまた、闇と一体化する。そして……」
タツタは素早く闇の中を滑るように移動して、サホの背後に着地した。同時に、サホの振り上げていたスタッフの先端を飾る宝石が光を放ち始める。
「『闇』を切り裂く光の一閃」
振り下ろされて生じた光の軌跡が、一筋の斬撃として空間を占める暗闇を両断し、吹き飛ばす。一瞬遅れて、怪物の残骸が無数の肉片となってその場に降り注いだ。
「…………いやァ……決まったね」
タツタがサホに声を掛ける。
「うん。実践は初めてだったけど……上手く決まって良かったよ…………」
サホも額の冷や汗を拭いながら答え、肉片を回収するタツタの霊体腕に近付く。
「……バラバラだねぇ」
「うん、バラバラだ」
「タツタちゃんが闇から抜け出したタイミングに合わせて斬らないと、タツタちゃんもこうなるってことだよね?」
「ま……そうなるね。スリル満点だ」
「こわぁ……。真っ暗だから、私からはタツタちゃんがどんな状態か見えないんだよ?」
「ダイジョブダイジョブ。何年一緒に戦ってきたと思ってるの。私らの息の合い方なら失敗確率0パーだよォ」

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ただの魔女 その⑤

背後に気配と足音。咄嗟に振り向きざま、〈指差し〉を放つ。けど、奴は既にそこにはいなかった。
「……うん。何となく分かってきた」
また背後から声がする。きっと次振り向いても、あの転移の術で消えるんだろう。
「あなたは、私達のこと心配してくれてたんだね」
「はあぁあっ!?」
奴のふざけた言葉に思わずそちらを向き、〈邪視〉を使おうとした。けど無理だった。それより早く、あいつの短槍が、私のこめかみの辺りに直撃した。
視界に火花が散り、そのままコンクリートに叩きつけられる。この鈍痛と熱、きっと頭が割れたな。
「あなたは、『仲間』のことが心配だったんだ。同じ“魔女”である私達が。きっと“魔女”って存在にも思い入れがあるんだろうね」
頭上から声が掛けられる。私が倒れてるんだから当然だけど、気に食わない。睨み返そうとしたけど駄目だ。血が目に入るのと殴られた衝撃とで視界が定まらない。
「…………私があなたの心にどこまで寄り添えるかは分からないけど」
あいつの短槍の石突が、私の顎を持ち上げる。
「今から私は1人の“魔女”として、友人を傷つけるあなたを何としても止めるから」
「…………あぁ、畜生」
頭が痛くて熱い。目も見えない。何より大嫌いな『魔法少女』に見下されているこの状況が腹立たしい。
それなのに。
「何だよ…………嬉しいじゃんか」
震える両腕をどうにか踏ん張って、身体を起こす。
「ねぇ。名前、教えてよ」
「…………? えっと、サツキ。中山サツキ」
「そっか……オーケイ、サツキ」
右目に溜まった血を拭い、ありったけの敬意と殺意を込めて彼女を睨み返す。
「私の愛しい同志! 憎むべき敵! 私の全力を以て、呪い殺してやる!」

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ロジカル・シンキング その⑩

「先輩助けに来まなぁーんかヒオ先輩も変身してるぅ⁉」
炎を破って現れたのはフレイムコードだった。
「あ、ホタちゃぁん……フウリ先輩負傷中……たすけて…………」
フレイムコードに気付いたフウリが、蚊の鳴くような声で呼びかける。
「りょ、了解です! けど、不謹慎だけど火事が起きてたのは都合が良かった。私の『魔法』でも心配せずに使える。はーちゃん!」
フレイムコードに呼ばれ、炎の隙間をドゥレッツァが駆け込んできた。
「うぅ、足裏熱い……」
「はーちゃん、フウリ先輩をお願い」
「分かりましたっ。それじゃ」
ヘイローを背負い、ドゥレッツァは素早く火の中から離脱した。
「それじゃ、あの化け物片付けますか、ヒオ先輩」
「うん。早速来るよ」
怪物が口から火炎を吐き出した。それに対し、フレイムコードはスタッフを振るって炎の渦を生成し相殺する。
続いて放たれる尾の一撃をアリストテレスの障壁で一瞬防ぎ、破壊されるより早く後退して回避する。
「ぅあ……これ、マズいかもですヒオ先輩…………」
「何が?」
「いやぁ……だって考えてもみてくださいよ。好き好んで周囲火の海にする火炎放射機能搭載モンスターが、私の『火』で倒せると思います?」
「大丈夫、そっちは私の仕事だから。ホタはホタの『魔法』でできることをやって」
「私にできることぉ……?」

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五行怪異世巡『竜』 その③

「なッ⁉」
慌てて子供を捕まえようと、平坂が前に出るが、子どもはそれを機敏に躱し、屋外へ出て行く。しかし数m走ったところで、上から降ってきた種枚に組み伏せられた。
「ぐああー! 放せ無礼な人の子めがー!」
「お、この子見る目あるねェ。潜龍のなんかよか、よッぽど私のことが良く見えてる」
「うるさい! 我を神格と知っての狼藉かー⁉」
「神だろうが今死んでねェなら殺せば死ぬだろ」
無感情で平坦な種枚の返事に、子どもが息を呑む。瞬間、種枚の身体が弾かれるように子どもの上から転げ落ちた。
「おい、どうした! 無事か!」
駆け寄ってきた平坂に、種枚は片手を挙げて応える。
「ぅぁー……1回食らったことあるから慣れてはいるがよォー……こいつ、シラカミメイよか出力がデケぇや」
「何?」
よろよろと立ち上がりながら、種枚は言葉を続ける。
「このチビ、『雷』を使いやがる」
2人が子どもに目を戻すと、そこには小さな身体に合った大鎧を身に纏い、七支刀を構えた件の子どもの姿があった。
「あらら……可愛い剣士さんもいたもんだ。なァ潜龍の?」
「……何だ」
「あれだけの真似ができるモノが、本気で『神を騙る物怪』だと思うかね?」
「……武具の生成、雷の発生、それにあの構え、ほんの1桁歳の人間に身に付く練度じゃあない。これだけの多才性……」
「……つまりィ?」
平坂はそれには答えず、無警戒に子どもに向けて歩いて行く。
「ぬ?」
そして半ば呆然としている子供の目の前に跪いた。

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五行怪異世巡『竜』 その②

「へェ、それならなんであんな失礼な真似してるんだ?」
「お前なら、神を名乗る子どもを信用するか?」
「それはお前が一番信じてやらなきゃならないことなんじゃないのか?」
「相手が祭神を名乗り悪さを企む物の怪だったりしてみろ。それこそ顔向けできないだろう」
2人の話し声に気付いてか、項垂れていたその和装の子供が2人に顔を向けた。
「ああっ、貴様あ! おい無礼な跡継ぎよ! さっさとこの縄を解け! そっちの娘でも良いぞ。せっかく我が顕現してやったというのに、有難がる気配の一つも見せないとは! 恥を知れ恥を!」
喚く子どもを放置して、種枚は平坂に話しかける。
「あんなこと言ってるぜー? 放してやったらどうだ? お前がやらないなら私がやるぞ」
「誰が許すか」
「お前にゃ私は止められねーだろうがよ」
2人が言い争っている間、子どもは何も言わず縄の拘束の中で藻掻いていた。ふと、そちらに目をやった種枚が、急に口を噤む。
「……どうした、鬼子」
「ん、いやァー……ちとヤバいかもしれんなァー……って」
種枚の視線を追って、平坂が子どもに目をやるのと、子どもが自身を拘束している縄を切断して逃げ出すのは、ほぼ同時だった。

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ただの魔女 その④

「……なんで…………どうして、こんなことを?」
彼女が尋ねてきた。
「『こんなこと』って?」
「私達、仲間じゃないですか……なんで、同じ“魔法少女”に」
ありったけの殺意と敵意、呪詛を込めて奴を睨みつける。肩の辺りを重点的に見つめ続け、右の鎖骨を粉砕する。
「っ……⁉」
「ぎっ……ふ、ざ……けるなよ…………!」
『実害』を与える程の呪術となるとこっちの負担も大きい。両の眼球が焼けるように痛むけど、そんなの関係無い。今はこの舐め腐った“魔法少女”をブチ殺すのが先だ。
「うぅ、なんで……」
取り落とした短槍を拾い上げようと膝をついた奴に接近し、その顎を蹴り上げる。
仰向けに倒れ込んだ奴の身体の上に腰を下ろし、喉に手をかける。これで命は握った。
「やっぱりそうだ……」
奴が何か言い始めた。
「あなたは私達を『殺したい』わけじゃない」
再び睨む。奴の左眼が弾け飛んだ。こちらの両目からも生温い液体が溢れ出してきているけど構わない。けどこいつを殺す前に、これだけは言っておかなくちゃならない。
「良いか! 私もお前も、所詮は悪魔に魂売り渡した“魔女”でしかないんだよ! 飽くまで本質は『邪悪』だ!」
「なっ……! 違う! ヌイさんは、魔法少女は……!」
「黙れェッ!」
奴のもう片目も潰す。こっちも左眼が見えなくなったけど問題無い。
「ただの子供に甘言吐いて死地に送り込む人外が、悪魔じゃなくて何だってんだ! ……そのくせお前ら、何を名乗って……『魔法少女』、だと……? 正義の味方にでもなったつもりか⁉」
奴の首を掴む力が自然と強まる。
「私は自分の意思で悪魔と繋がった。その『悪性』を誇りにもしている! 自ら選んだ道への『責任』であり『義務』だからだ! それをお前ら……“魔女”の身で自分の邪悪に目を背けてんじゃあないぞ!」
奴の首を捩じ切る勢いで手に力を込めた。けど、その瞬間、奴は姿を消した。また転移の術だ。

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ロジカル・シンキング その⑧

「あ、ヒオちゃんやっほ。……可愛い衣装だね?」
「ん、フウリ」
ヘイローは自身の魔法によって頭上の光輪を操作し、崩落する建物から逃げ遅れた一般人を守っていた。
「突然で悪いんだけど、ヒオちゃん。助けて? ちょっと今動けそうに無いんだけど……私の魔法、火力あり過ぎて巻き込んじゃいそうだし……」
「分かった。こっちは任せてフウリは怪物の方を片付けて」
「うん。いくら私でもヘイロー無しで怪物とは戦えなかったから……じゃ、まず避難路を作ってくれる? そしたら攻撃用に使えるようになるから」
「了解」
ヒオ、もといアリストテレスが手を翳すと、その手の中に魔力の塊が光球となって出現した。
光球を、退路を阻む炎に投げ込み、続いてもう一つ光球を生成する。そちらの光球はゆっくりと彼女自身と一般市民たちを飲み込むように膨張し、彼らが完全に取り込まれたタイミングで、事前に火の中に投げられていた光球が炸裂し、炎の中に道ができた。
「はい皆さん、あの『避難路』が消えないうちに早く逃げてください。大丈夫、全員通り抜けるのにかかる3倍くらいは維持できるので」
一般市民はよろよろと順番にその通路を通って火の外へ逃げ出していった。完全に避難が完了するのを確認してから、指を鳴らして避難路を形成していた力場を消滅させる。
(……よし。今のところきちんと使えてる。そうだ、早くフウリの手伝いに行かなきゃ)
再び光球を生成する。
「〈Parameters〉」
アリストテレスの目の前に、光のウィンドウが出現する。
(『魔法』とは、『魔力』というエネルギーを別のエネルギーに変換する技術。熱と音は……別にいらないかな。射程も少し削って……下げた分を威力と貫通力に乗せる)
各パラメータを操作し終えたところで、光球は小さな塊となってアリストテレスの掌の上に落ちた。
先端のすぼまったおおよそ円筒形のそれを、腰のホルスターから取り出したリボルバー・ハンドガンの回転弾倉に込める。
「〈Preset : Crush Bullet〉」

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ただの魔女 その③

再び戦地へ視線を戻す。ゴーレムはまだ手探りを続けていたので、やめさせる。
さぁ、俯瞰できているこの状況を活かして探さなきゃ。『さっき倒した魔法少女』と、『それを逃がした奴』。
ゴーレムは適当に暴れさせながら、辺りに注意を払う。
ふと、首筋に嫌な寒気みたいなものが走った。反射的に身を伏せると、頭上を何かが高速で通り過ぎた。
「……誰?」
振り向いて、私に攻撃してきた奴を見る。さっき倒した魔法少女とどことなく似た感じの衣装を着た女の子が、短槍を構えていた。
「あぁ……また“魔法少女”か。アレの仲間かな。よく私が犯人って分かったね。あのヌイグルミにチクられたかな」
小型ゴーレムを私と魔法少女の間に移動させ、棘状に変形させて攻撃する。
彼女は回避するでも無く、後退するでも無く、『突撃』してきた。そしてゴーレムの棘が命中する直前、彼女の姿が消えて目の前の景色が僅かに変化した。
「……いや違う!」
ゴーレムの棘が私の背中に直撃する。セーフティが作用してすぐに崩れたけど、これで私の武器は無くなった。
背後から放たれた槍の刺突を身を捩って躱し、彼女の方を見る。
「私とあんたの位置を入れ替えたんだ。これも魔法なの? 不思議な術使うねぇ……ん?」
突き出された槍をよく見てみると、穂先じゃなく石突の方がこちらに向いていた。つまり、こいつは私を殺す気が無いってこと?
……彼女が短槍を下ろした。

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Side:Law in Black Market 世界観

舞台は近未来の世界。自律ロボットもサイボーグも多分いる。
約200年前、人類は滅亡の危機に瀕した。理由は不明。紙媒体の資料はポスト・アポカリプスにおいて『燃料』として消えてしまったから。デジタル・デバイスは生きているが、重要な情報は大部分が厳重に保管・秘匿されているため、真相を知る人間は少ない。
人類は世界各地のメトロポリスの高層建造物群を利用し、上へ上へと逃げるように移住していった。やがて彼らはそれぞれの役割に応じて、そのスカイ・スクレイパー群に3層に住み分けるようになる。
地表から100m以上の上層〈アッパーヤード〉。総人口の約2割、主に有力者や権力者が住み、デジタル・メモリを利用した情報・記録の保存と各スカイ・スクレイパー群の統治を目的としたエリア。
〈アッパーヤード〉より下、地表から40m以上の〈グラウンド〉。建造物の隙間に橋を渡すように増築された『地表』が総面積の約7割を占める、一般市民の居住区。
そして、〈ブラックマーケット〉。正確な規模や面積は一切不明で、地表から〈グラウンド〉や〈アッパーヤード〉の高さにまで食い込んでいることすらある、人格や思想故に民衆から『あぶれざるを得なかった』ドロップアウター達が最後に辿り着く危険地帯。
〈ブラックマーケット〉の領域内において上層の『法』は適用されず、ただ『商品価値』を示せる限り生を許されるという『掟』だけで回っている。『価値』を失った人間は、最後に残った『肉体』と『生命』を『価値』が分かる人間に『活用』されることになる。

物語の主な舞台は〈ブラックマーケット〉。ドロップアウター共が己の『価値』を武器に現世の地獄を生き抜く、そんな歴史の端にも引っかからないような、ちっぽけなお話。

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五行怪異世巡『天狗』 その⑬

数分して、青葉と天狗のもとに種枚も合流してきた。
「うぁー……? おや青葉ちゃんよ、捕まえたのかい?」
「あ、はい。どうにか」
「そりゃめでてぇや。そこ、代わってくれるかい?」
「はい、どうぞ」
天狗から離れた青葉に代わり、種枚が天狗の身体の上に腰を下ろし、〈薫風〉の柄に踵を乗せた。
「そんじゃ、オイ天狗」
「な、何だよ……?」
やや怯えた表情の天狗の眼前に鋭い爪を具えた指を突き付け、種枚は顔を寄せた。
「現状、貴様の命は我々が握っているわけだが……ここは上位者らしく貴様に死なずに済む可能性を提示してやる」
「なっ、『上位者』だと……⁉」
反抗しようとした天狗の顔を片手で掴み、僅かに握力を込める。
「馬鹿め、話は最後まで聞け雑魚妖怪が」
「…………!」
「良いか? おい天狗、私たちの仲間になれ」
「ナ、ナカマ……?」
「ああ。本来なら人間相手に悪さする阿呆は容赦なくブチ転がす所存なんだが……。安心しろよ、同類なら身内にいる。悪いようにはしないさ」
「……何をすれば良い?」
既に抵抗を諦めて脱力していた天狗に問われ、種枚はニタリと笑った。
「良い子だ。人間相手に悪さする阿呆を懲らしめてくれりゃあ良い。貴様はあの子……青葉ちゃんの下につけ。貴様の生死は単に、貴様があの子の機嫌を損ねないかにかかっている。ふざけた真似はするなよ?」
天狗の額に、出血が起きる程度に爪を強く押し付け、肩の〈薫風〉を抜いた。

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ロジカル・シンキング その⑦

頭上に乗ったヌイグルミの案内で街の上空を高速飛行するヘイローの腕の中で、ヒオはフウリから得た答えを反芻していた。
『どうだいヘイロー、見えてきただろう。あの火事の中心に敵がいる。君の魔法は今回、鍵になるはずだ』
「そっかー。あ、ヒオちゃん、どこで下ろせばいい? 今回は火が危ないからあんまり近付かない方が……」
「いや、大丈夫」
ほぼ反射的に答えたヒオに、ヘイローは目を丸くした。
「……じゃ、じゃあギリギリまで寄せるよ? 気を付けてね?」
炎の壁の目の前に到達し、ヘイローは地面にヒオを下ろしてから火の中に飛び込んでいった。取り残されたヒオの頭上に、ヌイグルミが現れる。
『ヘイローは行ってしまったヨ。魔法の使えない君では、仮にこの火に一般人が巻かれていたとして、君ではいつものように助けに行けない』
ヌイグルミの言葉には答えず、ヒオは炎を見つめていた。
「……魔法のことが、今までは分からなかった。みんなと違って、私には理解できない力を使うなんてできなかった」
『ン?』
「けど……今日フウリに話を聞いて、ようやく理屈が分かってきた。少なくとも、納得できた」
『……ホゥ』
「理解できるなら、大丈夫。私なら、十分使える」
炎に向けて、ヒオが一歩踏み出す。
『……ホゥ!』
ヒオの着ていた服が、錬金術士風の衣装の上から白衣を羽織ったものに変化する。
『遂に君も目覚めたか! なら、お祝いに君にも“名”を贈らなくっちゃァならない!』
ヒオが炎の中に飛び込む。しかし、それはヒオの身体を焼くことは無く、彼女から一定距離を置いて掻き消える。
『この“魔法”という超自然現象に対して、最後まで「理」を諦めなかったその姿勢に敬意を表し! 君に贈る“名”は!』
ヒオが両腕を真横に広げると、その動きに合わせて周囲の炎が外側へ押し出されるように吹き飛んだ。
『“万学の祖”【アリストテレス】』

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五行怪異世巡『天狗』 その⑫

突然、青葉・カオルの2人を中心に旋風が発生し、土煙と落葉が舞い上がった。
「畜生、付喪神風情が舐めやがって! 大妖怪への無礼、ただで済むと思」
天狗の言葉は途中で途切れた。土の旋風を突き破って放たれた〈薫風〉の突きが、左肩を貫いていたのだ。
「うるさい」
カオルは風が止んだのに合わせて蹴りを食らわせ、仰向けに転がしてからそのまま刺突で地面に縫い留めた。
「クソ、抜けよこれ! 痛いだろ」
喚こうとする天狗の顔を踏みつけ、また黙らせる。
「……あ」
「どうしたの、カオル?」
「ごめんね、ワタシの可愛い青葉。そろそろ限界。ちょっと来てくれる?」
手招きされ、青葉がカオルに近付く。すると目の前に立った青葉に倒れ込み重なるようにして、カオルの肉体が消滅した。
「⁉ 消え……⁉」
動揺する青葉の頭の中に、直接声が響く。
(ごめんねぇ、ワタシの可愛い青葉。肉体を維持しようとすると結構消耗するんだ。でも大丈夫、カラダが無くたって人外のモノにワタシの可愛い青葉を傷つけさせやしないから)
「え? あ、うん……」
状況に困惑していた青葉だったが、天狗が逃れようともがいていることに気付き、すぐに左肩の〈薫風〉を踏んで押さえた。

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ロジカル・シンキング その⑤

およそ30分後、フウリが持ってきた昼食を平らげてから、2人はインスタントのカフェオレを飲みながら食休みをした。
「……それで、ヒオちゃん」
「ん?」
「頭の中は整理できた?」
「……だいぶ」
「それは良かった。じゃあ聞かせてくれる?」
ヒオは頷き、姿勢を正してフウリをまっすぐ見つめ返した。
「フウリ。私の問題を解決するためには、フウリの協力が必要なの」
「ほうほう。何でもするよ」
「えっと……質問に答えてほしいの。『フウリがどうやって魔法を使っているのか』。光輪を操ったり、空を飛んだり、ものを浮かせたり、フウリはあれをどうやってるの?」
ヒオの質問に、フウリは困ったように頬を掻く。
「…………どう……とは?」
「言葉通りなんだけど……普段、魔法を使ってる時、どんな感じなのか。それを聞かせてほしいんだけど……」
「えぇー……困ったなー…………え、どう言えば良いんだろう……」
考え込みながら、フウリは徐ろに【ヘイロー】に変身した。
「どう……って言われてもなぁ……」
呟きながら、魔法によってマグカップの中のスプーンを浮遊させ、中身をかき混ぜる。
「えっと……『これ』を言葉にすれば良いんだよね?」
「そう」
「そうは言ってもなぁ……」

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五行怪異世巡『天狗』 その⑪

「ワタシはカオル。ワタシの可愛い青葉の愛刀だよ」
少女は天狗を一度大きく振り上げて地面に叩きつけてから、右腕で青葉を抱き締め答えた。
「愛刀…………って、〈薫風〉⁉ 付喪神⁉」
「さあ、そうなんじゃないかな? そんなことどうでも良いよ、ワタシの可愛い青葉。……ああそうだ。そこの妖怪」
青葉に頬ずりしながら、カオルは目だけを足元に倒れる天狗に向けた。
「何かは知らないけど……お前の火の玉のお陰で身体が作れた。それだけは感謝する。それから」
言いながら、カオルは自然な動作で刀を握っていた青葉の指を1本1本、右手で丁寧にはがし、落ちてきた〈薫風〉を機械人形のそれのような外見の左手で受け止めた。
「貴様、どんな雑魚種族か知らないが、よくもワタシの可愛い青葉を傷つけようなんて馬鹿をしてくれたな?」
「なっ……雑魚だと……? ボクは『天狗』だぞ!」
天狗は叫ぶが、カオルの注意は既に天狗から逸れ、青葉を撫で繰り回すのに夢中になっている。
(クソ、コイツ……、突然出てきておいて、このボクを舐め腐っていやがる……!)
再び天狗火を生成し、青葉達に向けて転がす。しかしカオルが〈薫風〉を火球に向けると、その刃先に吸い込まれるようにして消滅してしまった。
「……霊障、呪詛、妖術。特に人外の力で青葉を傷つけようだなんて、考えないでほしいね。やるならワタシを殺してからだよ。無理だろうけど。ねー、ワタシの可愛い青葉?」
「え、うん……あと離して……」

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ミセコエ:〈五行会〉のイカレたメンバーを紹介するぜ!

前シリーズ『視える世界を超えて』略して”ミセコエ”ですが、最終的なキャラクター紹介をしていなかった気がするので、夜中のうちに雑に投げとこうと思います。取り敢えず〈五行会〉幹部連中だけ。

・〈木行〉“雷獣”白神鳴
年齢:自称19歳  身長:170㎝くらい
人間に化けて人間社会で生きている妖怪。静電気を溜め込んで自由に放電できる。千葉さんはお友達でお気に入り。その辺にいる妖怪や幽霊やオバケを拾っては仲間にしている。

・〈火行〉“鬼子”種枚
年齢:不明  身長:160㎝くらい
〈五行会〉の発起人にしてフリーの怪異狩り。普段何をしているのかは一切不明。生物学的には霊感があるだけのただの人間のはずだが、身体能力やその他の特徴がどう見ても人外。本名は誰も知らない。

・〈土行〉“犬神憑”犬神
年齢:中学生  身長:150弱
種枚さんの親友で理解者で同志でその他いろいろな子。月一で殺し合うだけで相思相愛。犬神憑きの家の出で、土砂や岩石を操る力がある。5人の中で唯一余所の街在住。本名は種枚さんしか知らない。

・〈金行〉“常人”岩戸青葉
年齢:13歳  身長:チビ
『最も人街に近い家系』岩戸家の当代末子。霊感が無く、各代で最も人外の才が弱い女子が受け継ぐ家宝〈薫風〉を手に夜な夜な武者修行していたが、最近は落ち着いてきた。

・〈水行/代表〉“潜龍”平坂
年齢:23歳  身長:172かそこら
”潜龍神社”の神職を務める霊能者。〈五行会〉のリーダー役を押し付けられた人。先日、無事に当代”潜龍”を正式に継承した模様。ちなみに”潜龍神社”は飽くまで霊能者家系が代々管理しているだけで、”潜龍”の対怪異技術は神様とは無関係。

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ロジカル・シンキング その④

「……んー、ヒオちゃんは今でも、できることを頑張ってるじゃない。街の人たちの避難誘導とかさ」
「そりゃ、私だけ何もしないわけにはいかないでしょ。せっかく4人揃って、あの……何だっけ、『魔法少女』? とやらになれって言われてさ」
「あー、あのヌイグルミね」
「いや多分何かしらの動物だと思うけど……3人は魔法少女としてちゃんと変身してちゃんと戦ってるわけじゃん。それなのに私だけ、その……何もしないってのは…………」
「なに、仲間外れっぽくて寂しい?」
「いやそうじゃなくて……」
徐ろにフウリが立ち上がる。
「お昼にしよっか。お腹がいっぱいになれば考えもまとまるよ。用意してくるから、ここで待ってて。考えの整理でもしててよ」
「……うん」
フウリが退室した後、テーブルの上を片付けていたヒオがふとテーブルの上に目を戻すと、中央辺りに全高30㎝程度のぬいぐるみのような生き物が鎮座していた。ヒオはほぼ反射的にそれの頭部を掴み、床に叩きつける。
『…………アハハ、お転婆だなァ。痛いじゃないか』
「いきなり出てきて何の用? ヌイグルミ」
『おかしいなァ。名前は最初に教えてあげたはずなのに……まあそこはどうでも良くって。どうやら君1人変身できないのを気にしているようだから、何かアド痛い痛いイタイイタイイタイ』
ヌイグルミの頭部を掴むヒオの力が強まり、ヌイグルミは言葉を中断させられた。
『……まァ、どうやらこちらから言う事は何も無いみたいだけど』
「……は? どういう意味?」
『ヘイローが言っていただろう? 君には頼れる仲間がいる。まだ保護者の出る幕じゃァないってことサね』
いつの間にか拘束を抜け出していたヌイグルミは、再びテーブルの中央に戻ってからその姿を薄れさせ始めた。
『じゃァね。次会ったときには、君の悩みが解決していることを期待しているヨ』
ヒオがヌイグルミの頭部に向けて消しゴムを投げるのと、ヌイグルミが完全に消滅するのは、ほぼ同時だった。

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ただの魔女 その②

3度、4度、5度目の撃破。すぐさま再生。粉微塵程度でどうにかできるような代物じゃあないよ。
「…………けど、いい加減見飽きたなぁ」
ゴーレムに斬りかかろうとする魔法少女を『指差す』。
魔女の指差しは呪術的攻撃力を持つ。魔力と呪詛はあの忌々しい“魔法少女”に真っ直ぐ飛んでいき、ヒット。
殴りかかるゴーレムに反撃しようとした瞬間、私の呪いが届いた。あの子の身体から急激に力が抜け、その場に膝をつく。こうなれば、私のゴーレムは確実に当てられる。
巨大で重厚な拳が見事に命中し、あの子は壁を数枚ほど破壊しながら吹っ飛んでいった。
「さあ行けゴーレムあいつを追って。死体の様子を確かめようか」
魔法少女でぶち破った穴から腕を突っ込ませて、民家の中を探らせる。変形させてできるだけ腕を伸ばさせているけど、どこに入り込んでしまったのかなかなか手応えが無い。
「…………いや」
違う。『見つからない』んじゃない。『既に移動している』んだ。
あのダメージで逃げ出したとは思えない。最低でも動けなくなるくらいの衝撃は与えたはずだから。となると…………。
『もう1人仲間がいて、その子に逃がしてもらった』
背後からの声。咄嗟に振り返ると、何かヌイグルミのような生き物が数m離れたところにちょこんと座っていた。
「誰?」
『君が戦っている魔法少女の上司みたいなものだヨ』
「へぇ」
『しかしまァ……驚いたなァ。君、こちらと無関係に魔法を使うなんて……君、その力を世界のために活か』
指差して呪詛でヌイグルミを撃ち抜く。
『……ひどい、なァ。いきなり……』
「失せろ悪魔が。『その枠』はもう埋まってるんだよ」
護衛用に手近に残していた小型のゴーレムを棘状に変化させ、ヌイグルミの頭部を撃ち貫く。確実に殺したと思ったけど、その姿はすぐに薄れて消えてしまった。どうやら仕留め損ねたみたいだ。

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ただの魔女 その①

粘土・土塊・石ころ・木の根・砕けた舗装のアスファルト。
混ぜてくっつけ捻くれさせて、出来上がりますは自慢のゴーレム。
“emeth”なんて弱点つけて自動化せずに、都度都度指揮るマニュアル操作。
跳んで走って暴れ回って、殴って壊して傷つけて。
こうして“悪事”を働いていれば……。
「…………そら来た」
この猛然たる風切り音。“悪者”を打ち倒さんとする正義の味方。華美な衣装に身を包み、派手な魔法で平和を守る、みんなの憧れ。
「“魔法少女”……!」
街の危機に颯爽と駆け付けた魔法少女は、私の創ったゴーレムを、光を纏った剣で一閃。
たった一撃でやっつけてしまった。周囲の一般市民からも歓声が上がり、彼女も笑顔で手を振って応える。
まさにスター。ヒーロー……ヒロイン? 街のアイドル。みんなが彼女に憧れて、みんながあの子を好いている。
「…………気に食わないなぁ」
ゴーレムに魔力を送り込む。崩れた身体は再び歪に引っ付いて立ち上がる。
ほらほら頑張れ正義の味方。街の脅威がまた立ち上がった。
彼女の剣がまた閃いて、今度は綺麗に3等分。
「その程度?」
再び修復されるゴーレム。どうせ私がいる限り、何回だって再生されるんだから。そろそろ気付かないものかね?

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五行怪異世巡『天狗』 その⑧

(……しかし、驚いたな)
青葉のいる場所から数十mほど離れた木の上に“隠れ蓑”で姿を消しながら立ち、天狗は青葉の様子を観察していた。
(さっきまではあの化け物がいたから目立たなかったけど……何なんだ、あの子?)
天狗は青葉に対して、種枚の直接的な暴力性とはまた異なる脅威を感じ取っていた。それ故に、敢えて距離を取り、頑なに遠隔攻撃のみを仕掛けていたのだ。
(動きは遅いし、ぎこちない。仮に近付いたとして、万が一にも奴がボクに触れられるなんてことはあり得ないだろう。それなのに……何だ? あの子に対して感じている、この『気持ち悪さ』は……)
一瞬、青葉から視線を外し、別方向に目をやる。種枚のことは“天狗倒し”“天狗囃子”という二重の『音の幻術』による誘導で厳重に隔離している。種枚が発生させたものなのか、随所で木が倒れ土煙が上がっているが、この様子ならしばらく2人が合流することは無いだろう。
それを確かめ、天狗は再び天狗火を生成し、青葉に差し向けた。

青葉に向けて倒れた枯木を、彼女は前方に向けて飛び込むようにして、辛うじて回避した。
しかし、倒れ込んで身動きの取れなくなった青葉に、次の天狗火が迫る。
「っ……!」
咄嗟に刀を盾代わりにしようとしたその時だった。
(斬れ!)
『声』ともまた違う、『意思』のようなものが、青葉の脳内に閃光のように走った。刀に目をやると、種枚が鞘と柄を固く結び留めたはずの下げ緒は、転げ回って天狗火から逃げていたためかいつの間にか解けている。
短く、鋭く息を吐きながら、刀を抜き放つ勢いで迫りくる天狗火に斬り付ける。火球は刀身に触れた場所から綺麗に両断され、青葉を外れて地面に着弾した。
「……何だったんだ、今の…………人は無意識に情報を取り入れてるってやつかな」
再び納刀しながら、青葉はよろよろと立ち上がった。

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ロジカル・シンキング その①

全高約7mにもなる大型怪人の拳を回避しつつ、格闘家風の長身の魔法少女【ドゥレッツァ】は大通りを駆けながら怪人を誘導していた。
「うおっ危なっ」
正中線を捉える一撃を受け流し、ドゥレッツァは魔法を発動する。怪人の腕を横合いから弾いた衝撃が、一瞬遅れて爆発的に膨れ上がり、怪人は反動で体勢を崩した。
「……ジャストタイミング」
うつ伏せに倒れ込んだ怪人の身体は、大通りを横切る道路にはみ出していた。その道路を、直径2mほどの光線が通過する。光線が止んだ後には、上半身を消し飛ばされた怪人が倒れていた。
「ふぅ……助かりました、先輩」
光線の飛んできた方に顔を向ける。天使のような姿の魔法少女【ヘイロー】が、ドゥレッツァの近くにふわりと着地した。
「いやいや、良い誘導だったよ、はーちゃん」
「光栄です……疲れたぁ」
2人の元に、魔女風の衣装を纏った魔法少女【フレイムコード】と、学校制服姿の少女が近寄って来た。
「あ、ホタちゃん、ヒオちゃん。街の人たちの避難誘導ありがとね」
変身状態を解除したヘイロー、フウリが2人に向けて手を振った。
「うん、2人も討伐お疲れ様」
変身解除したフレイムコード、ホタルコも片手を軽く挙げて応えた。ヒオは軽く会釈して応じる。
「………………さてと、アレが出てくる前に私はちょっと失礼しようかな。あ、ヒオちゃん借りるね」
フウリは再び変身し、ヒオを背後から抱き締め飛び去った。

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日々鍛錬守護者倶楽部 その③

「で、タツタちゃん。何飲む?」
自動販売機の前でサホに尋ねられ、タツタは無言でボタンの1つに指を置いた。
「アイスココアね、りょーかい」
サホが投入口に1枚ずつ小銭を入れ、ボタンが光った瞬間にタツタが押す。
「ごちそーさまですサホさんや」
「うん、まあ負けたからねぇ……」
サホ自身も缶ジュースを購入し、近くに設置されていたベンチに並んで座って一息つく。
2人が飲み物を飲んでいると、離れた場所から爆発音とガラスの割れる音が聞こえてきた。
「敵⁉ 学校の中だよね今の⁉」
「落ち着けサホ」
いつの間にか変身していたタツタが、立ち上がろうとしたサホの肩を掴んで止める。
「〈See Thorough〉」
タツタが空いた片手の上に、霊体の眼球を生成し、音のした方へ飛ばす。壁と天井をすり抜けて飛んでいったそれは、数秒後引き返してきた。
「行くよサホ。怪物だ」
「う、うん!」
サホも変身し、廊下を駆ける。
「サホ、私は直線で行くから」
「え? 了解」
タツタは壁に足を掛け、力を込める。
「〈Walk Through〉」
霊体化した肉体がその壁をすり抜けた。そのまま重力すら無視して、音源の方向へ建材をすり抜けながら一直線で移動する。
最後の壁をすり抜ける直前、一時停止して再び霊体の眼球を飛ばす。その眼球は壁の向こうで暴れる、体長2mほどの怪物を映した。教室の隅には、まだ帰っていない生徒数人が縮こまって震えている。

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五行怪異世巡『天狗』 その⑥

「そっちかァ!」
音のした方に駆け出そうとした種枚を、今度は青葉が制止する。
「待ってください、種枚さん!」
「ア?」
「今の音……多分、何もありませんよ」
「何ィ?」
「そういう怪現象の話を聞いたことがあるんです。天狗の名を冠する怪異の一つです」
「へェ……」
しかし、種枚を止めようとしてそちらに注意を向けたのがいけなかった。
2人の背後から、先ほどより大きな破壊音が聞こえてくる。そちらに2人が目をやると、高さ10mは優に超える大木が、2人に向けて倒れてくるところだった。
「あっははははは! ボクの目の前でのんびりお喋りなんかしてるから! キミらみたいな注意散漫で生意気な子たちには、こうして『実害』をくれてやっているのさ!」
大木が倒れ土煙が巻き起こる中、天狗の楽しそうな笑い声が周囲に響く。
「さてさて、流石に死んだかな? 1人くらいは生きているかな?」
言いながら天狗が姿を現し、少しずつ薄れていく土煙に、スキップでもするかのように軽やかに近付いていく。
大木の倒れ込んだ位置から2mほど離れた位置で立ち止まり、その場で覗き込む。にやけたようなその表情は、すぐに険しいものに変わった。
「……これが『実害』、ねェ? だいぶ舐められたモンだ」
「いや、普通人間は木が倒れてきたら潰されちゃうものですよ」
種枚と青葉の気軽なやり取りが聞こえてくる。土煙が完全に晴れたその場には、倒れてきた木を種枚が片手で軽々受け止めている姿があった。
「くそ、何だよこの人間! 化け物か⁉」
そう吐き捨て、天狗は姿を消した。
「オイオイ何逃げてンだァ⁉ 私とやろうぜ!」
そう吼え、種枚は天狗が逃げていったと思しき方向に駆けて行った。

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日々鍛錬守護者倶楽部 その②

両手持ちのスタッフを構えて近付いてくるサホに対し、タツタは魔法で生成した2本の半透明な青白い腕を飛ばして応戦する。向かってくる2本の腕をスタッフを横薙ぎに一撃で消し飛ばし、勢いを落とすことなく更に突き進む。
タツタはその足下に腕を伸ばし、足を取ろうと試みたが、それは跳躍によって回避され、サホはそのままスタッフを振り上げ、勢い良く振り下ろした。
宝石で装飾されたスタッフの先端がタツタの脳天に直撃する寸前、背後から伸びてきた1対の腕が彼女の首と腰を捉え、後方に引き寄せることで回避させる。
「やっぱり強いなぁ、タツタちゃん」
「私としてはあんたの方が恐ろしいけどね」
「それじゃぁ」
「まだ時間はあることだし」
「「ギアを上げるか」」
タツタは、6対12本の『腕』を生成し、同時多角的にサホに差し向ける。
対するサホはその場でスタッフを横薙ぎに振るう。先端に飾られた宝石の軌跡は炎のエフェクトとしてその場に残り、彼女はそれを掴み新たな武器として『腕』たちを迎撃し始めた。
元々持っていたスタッフと炎の鞭による二刀流で、『腕』は次々と打ち据えられ、消し飛んでいく。タツタも絶え間なく腕を生成し続け、サホの動きを防御に専念させ続ける。
(まだだ…………もっと集中させろ……処理が追い付かなくなるまで、腕を増やしてやる!)
生成される『腕』の本数が、更に倍になる。サホはスタッフの軌道に炎のエフェクトを生成し、それらを壁として防御を続ける。
(…………今!)
「〈Pass Through〉」
足下から地面の下を通して伸ばした2本の『腕』が、地下から透過してサホの両脚を掴む。
「うげぇっ」
『腕』はそのまま彼女の足を引き、仰向けに引き倒した。その身体の上に、タツタが腰を下ろし、無表情でサホの顔を見つめる。
「…………」
「…………私の勝ち」
ニタリと笑い、タツタは魔法の『腕』で音楽の再生を止めた。
「ぬぁー負けたぁー」

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マホウショウジョ・リアリティショック キャラクター

・福居路香(フクイ・ミチカ)
性別:女  年齢:まだ12歳  身長:144㎝
中学校に進学したばかりの少女。誕生日は2学期中盤。
部活動は決めていないが、何となく音楽部に入ろうと思っている。良い感じの管楽器をやってみたいが自分と周囲の適性的にドラムセットを叩く未来が確定している。
友人も多く、多趣味で、勉強も決して際立って得意では無いながらも毎日努力してそこそこの成績を維持している、ばちぼこのリア充。
家族や周囲からは愛され適切に褒められて育ってきたので自己肯定感も自己効力感もMAXで、自分の人生を滅茶苦茶価値が高いものとして認識している。子供なんてそれくらいで良いんだよ。

・使い魔
女子中高生を狙って魔法少女にさせようとしてくる謎の生き物。外見は四足歩行の哺乳類をモチーフにしたと思われるぬいぐるみのよう。全高約15㎝。ちっちゃい。色々と適当な甘言を述べて言いくるめまくり、これまでに数十人ほど戦いの道に引きずり込んだ実績がある。その大義はただ、化け物達から世界の平和を守るという一点にのみある。我が行いに一点の曇りなし。全てが正義だ。ちなみに歴代魔法少女たちは4割ほどが無事に成人し、1割が存命かつ未成年です。
ミチカちゃんにプレゼントした髪飾りは、本物の宝石とプラチナが使われている地味にすごいやつ。ミチカちゃんはよくある子供向けの安価な作り物だと思ってる。