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とっても頭の軽いお話です。

「なんでこんなに散らかっているの!勝手に部屋に入られるのが嫌ならちゃんと掃除してよね!
……なにこれ…30点のテスト⁉どうしたらこんな点数が取れるの⁉どうしてこんなことになった⁉さすがにこれは言わなきゃ……せめて問1は答えようよ……問1.春は[    ]なんて、小学生だってわかるよ……むしろ何が合っていたの…」

「ただいまーおなかすいたー」
「おかえりなさい。おやつの前にそこに座って」
「? 何かした?」
「ベッドの下にあったあれは何ですか」
「んー……?(なんかあったっけ…?あ、昨日もらったラブレターかな。そういえば昨日読んで、広げたまんま寝ちゃったっけ。ベッドの下に落ちてたのかー)あーあれね」
「どうしてあんなことになったの……」
「え……おれがカッコいいからじゃん?」
「すごい開き直り方!!!先生が嫉妬して点数下げたってこと……?そんなことあるの……?」(ぶつぶつ)
「母さん?」
「……そうだとしてもよ…、問1くらいは答えてほしかったな……」
「問1?(1行目ってことか?なんて書いてあったっけ。『めっちゃかっこよくてまじあげぽよ~ってカンジ』……?)ああ、あげぽよ?」
「随分と現代的!むしろ書かなくてよかった!!!」

 問1.春は [ あげぽよ ] 。

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冬至

あれは、いつ頃の事だっただろうか。まだ京都に住んでいたから恐らく小学校に上がる前の話だろう。私には毎日のように遊んでいた男の子がいた気がする。着物を着て狐のお面をかぶった男の子。こんな話をすると友達はみんな「夢だよ。今どきそんな恰好してる子いないよー」という。両親も覚えていないみたいだ。でも、私は覚えてる。あの夕焼けを。あの言葉を。
※※※
「あかりー?なにやってるの?そっちじゃないよ!こっち!こっち!!」
「あかり、本当に京都住んでたことあるのー?迷子にならないでねー?」
「ごめん。ごめん。住んでたことあるって言っても小学校上がるまでだから覚えてるわけないじゃんっ!」
「でもさ、祇園の街並みってあかりの夢にでてきたっていう狐のお面の男の子とか出てきそうじゃない?」
ゆっこが笑いながら言った。
「確かに・・・!!」
「京都はやっぱりあやかしとか似合うよねー!」
「だから、夢じゃないってばっ!」
※※※
『今日は一年で一番夜が長い日なんだよ。京の都には夜が似合う。』 
何もないところで躓いて転んで泣きじゃくる私の前で男の子は唐突に言った。刻々と夜の色に染まっていく夕焼けに照らされた神社の鳥居。
『さあ、泣き止んで。転んだことで厄は払えた。きっとこの先良いことが起こるよ。ほらもう君は帰りな。』
※※※
「あかり!!!あぶない!!!!!!!車!!!!!」
ゆっこの声が耳の端っこで聞こえた時、私は急に強い力で後ろに引っ張られ歩道に倒れこんだ。
「どんくさいのは相変わらずだな。」
耳元で笑いを含んだ声がした。何処か懐かしいような声色で私は慌てて顔を上げようとした時、
「あかりー!!!大丈夫!?!?!?」
ゆっこ達が駆けて来るのが目の端に映った。気づいたら私を支えていた手は離れていた。去っていくその人は黒髪の着物姿だった。
(お礼が言えなかった・・・)
「あかり。大丈夫だった!?!?!?!」
「無事で良かったよぉ」
「ねえねえ!!!あの人かっこよかったね!!!」
「それな!!!背高くてめっちゃ着物似合ってたし!!!」
「ねえ、あかり。あの人狐のお面付けてたよ。」
ゆっこが言った。

暮れ行れ時のひんやりとした空気の中、夕陽を背景にぽつぽつと街に灯りが燈っていく。
今日は一年で一番夜が長い日。

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きっとね

来年の君の誕生日プレゼントは
これにしようって決めたんだ
まだ買ってはないけど
だからそれまでは隣にいたい
プレゼントを贈る資格を
ギリギリでもいいから持っていたいのだ

君が喜ぶ顔がみたいなんて純粋な気持ちでは
なくもなくもなくないないのかも
わかっているのは とりあえず好きさ あぁ

君がいると幸せだから なんて歯が浮くような言葉を
ろくでもないと思いつつ 虫歯押さえながら言いたくなる
明日も笑えたらいいね なんて在り来りな言葉で
電話を切ろうとする僕を とめる君を期待して


来年の春にはどこに行こうか
景色なんて良くなくても
在り来りな街の中で
君の写真を撮りたいな

君の全部を愛せてないのは、それくらい
いやそれも含めて君だと思える
僕をみつけたからだよ 辛くもないさ

僕が好きな天気が君の 大嫌いな天気だったとしても
心地よく浮かんでしまう 地に足をつけて、踏み鳴らそう
明日もあえたらいいね なんて不思議な願い事して
おやすみを言おうとする僕を とめる君を期待して

君がいると幸せだから なんて歯が浮くような言葉を
ろくでもないと思いつつ 虫歯押さえながら言いたくなる
明日も笑えたらいいね なんて在り来りな言葉で
電話を切ろうとする僕を とめる君を期待して

願う君を期待して 寝ちゃう君を期待してる

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神幸痴膿

おはようございます。○○○○さん。
今日は12月20日天気は曇り最高気温は15度最低気温は8度です。おすすめの洋服はダッフルコートです。
最近めっきり寒くなりましたね。
手洗いうがいを心がけることが大切です。
冷蔵庫の中の牛乳が少なくなってきています。
今日は駅前のマルエツが安売りですよ。
…あなたは誰ですか?
○○○○さんですか?

あぁ…   

今日の予定は2時から○○○○さんと会食、5時から映映画。2時から今日の予定は7時からジムとn…
そうですよね今年何年でしたっけどうでもいいですねどうでもいいですかねどうでもいいかいいかどうでもそれより街はどうなりました?壊れましたか壊れましたか壊れましたかそれより地球はどうなってなってどうなっいますどうなっていますか?明日は明日の予定は2時から3時にかけてかけて3時2時明日の予定は明日に今日は12月20日天気は曇り最高気温はぇぐゅなむぁきっヴぇるぇぬカミサマカミサマカミサマカミサマカミサマカミサマカミサマカミサマカミサマカミサマカミサマカミサマカミサマカミサマカミサマカミサマカミサマカミサマカミサマカミサマカミサマカミサマカミサマカミサマカミサマ
地球人はどこですかあなたは誰ですかここはここはここはどこここどどどどどこですか地球人はアメリカはテネシー州にUFOがUFOがみつみつみつかりましみつかりみつかりまし宇宙人カミサマ宇宙人カミサマ宇宙人宇宙人宇宙人宇宙人カミサマカミサマ宇宙人宇宙人宇宙人宇宙人誰ですか誰ですかカミサマですか誰ですか人間ですか命のあるあるあるカミサマ宇宙人宇宙人宇宙人宇宙人宇宙人UFOが墜墜墜落してして宇宙人カミサマ宇宙人ガ

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蜘蛛の糸

カンダタが糸登りに疲れて、少し休憩と下を見ますと、何と他の亡者達もどんどん登ってきているのでした。あれだけの量の亡者、一人でも切れてしまいそうな細い糸に、どうして耐えることができましょうか。
「こら罪人ども!この蜘蛛の糸は……」
しかしここでカンダタ、言葉を止め考えました。もしも自分が今やろうとしていたように下手に騒いだりすれば、その振動で糸が切れてしまうかもしれない。幸いにもまだ糸は切れていない。では今必要なのは糸への錘を減らす事ではなく。
「おいお前ら!急げ!急いで登って来るんだ!しかし決して下手に糸を揺らすんじゃあないぞ!一人ずつ!一人ずつだ!隙間を作らず慎重に俺のところまで登って来い!」
亡者達がその通りカンダタのところまで隙間を作らずにカンダタの足のすぐ下のところまで登ってきますと、亡者の身体が梯子のような役割を果たし、カンダタの思惑通り糸への負担が軽減したのでした。
(へっへっへ、俺の思った通りだ。今必要なのは『負担の軽減』ではなく『糸の補強』!これで下の奴を踏みながら登っていけば、糸はきっと切れないだろう。極楽浄土へ行くのもいよいよ夢じゃねえな!)
そしてとうとうカンダタの手が、極楽浄土に届きました。そして全身を引き上げると。
「よくやった亡者ども!お前らのお陰で『俺だけは』極楽浄土に辿り着けたぜ!じゃ、お前らはこれからも永遠に地獄で苦しみな!」
そう言って糸を引きちぎってしまいました。
「ハッハッハッハ!こりゃあ良い!こいつぁあ傑作だな!あの阿呆共め、見事に騙されやがって。さあて、極楽巡りでもするか……ん?」
ふと気付くと、彼の身体に何かが覆い被さってその影で周りが暗くなっていたようです。
「ん?一体何だぁ?これは……え」
振り返るとそこには。
「う、うわあ!何だ、何なんだお前!嫌だ、や、止めろ、来るな、来るなぁ、うわあああああ!」
結局彼も地獄へ逆戻り。そこからは皆さんご存知の通り。
極楽ももうお午近くなったのでございましょう。