常勝のダイヤ#6
桜色に染まり出した河川敷の風景が鉄橋の響く音と共に過ぎていく。なかなか見ない景色だ。だって、俺らは、、、
「おい、みたか?山桜高校春の甲子園勝ち上がってるよな!」
普段俺たちはこの時期、甲子園にいる。春の選抜で、完成を浴びてこの通勤時間の電車よりもっと多い人たちに囲まれて、躍動してる。
はじめての感覚だ。でも、しゃあない。秋の頃はそれほどの実力だったんだ。でも、俺らは必ず夏で日本の頂点に,,,,,,宿命とも思える。
朝練の準備のために、部室を開けると先客がいた。
「悔しいな。」バットを握りながらそっけなく橋爪は言った。
「もう、過ぎたことだ。夏の方が俺らは似合うだろ。」
バッテリーを組んできた俺たちは、やっぱり同じことを考えてるのだろう。中学生時代からこいつと、この学校に進む前からずっと、一緒にプレーしてきた。はて、春の花粉がくすぐる花をすすりながら、何気なくキャッチボール。いつもより、球が速かったのは、悔しさからか、女バスが河川敷をランニングしてたからか。
こっからどう気合いを入れ直していくかが、よくわかっていなかった。