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鬼ノ業~序章(拾参)

「…んぅ…__!?」
びくっとして起きあがった。開かれた玄関からは眩しい光が入り込んでいる。朔が目があったのは、体格のいい一人の男性。お米を炊いているらしい。
「お…叔父上…?」
蒼の言葉を思い出す。
「朔、目が覚めたか。大きくなったなあ。」
焼けた顔に満面の笑みを浮かべる。
「おい朔、そんな呼び方するなよ。おじさんでいいんだよ。」
豪快に笑うおじさんに、朔は涙が出てきた。
「おじさんっ…おじさんっ!」
おじさんは釜戸から離れ、朔を抱き締めた。
「わかってる__辛かったな、朔。」
こらえていたものがはち切れて、ただただ泣くだけ。しかし、おじさんは黙って朔を待つ。そうしているうちに、薊が起きた。朔は慌てて目をこする。兄としての威厳は保っておきたいような朔に、おじさんは思わず笑みがこぼれる。
「兄様…ここはどこ?」
不安そうな妹に笑いかける。
「おじさんの家だよ。僕達はおじさんに助けられたんだ。」
「どうして、叔父様の家に__」
固まった。
「あ、薊…。」
「母様は?」
思い出している。
「母様はどこ?」
朔は目をそらしてしまった。そらしてはいけないのに。妹と、正面からぶつからないといけないのに。
「母様…母様!!」
両手で顔を覆う。泣くという言葉では足りない。

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鬼ノ業~序章(拾参)

「…んぅ…__!?」
びくっとして起きあがった。開かれた玄関からは眩しい光が入り込んでいる。朔が目があったのは、体格のいい一人の男性。お米を炊いているらしい。
「お…叔父上…?」
蒼の言葉を思い出す。
「朔、目が覚めたか。大きくなったなあ。」
焼けた顔に満面の笑みを浮かべる。
「おい朔、そんな呼び方するなよ。おじさんでいいんだよ。」
豪快に笑うおじさんに、朔は涙が出てきた。
「おじさんっ…おじさんっ!」
おじさんは釜戸から離れ、朔を抱き締めた。
「わかってる__辛かったな、朔。」
こらえていたものがはち切れて、ただただ泣くだけ。しかし、おじさんは黙って朔を待つ。そうしているうちに、薊が起きた。朔は慌てて目をこする。兄としての威厳は保っておきたいような朔に、おじさんは思わず笑みがこぼれる。
「兄様…ここはどこ?」
不安そうな妹に笑いかける。
「おじさんの家だよ。僕達はおじさんに助けられたんだ。」
「どうして、叔父様の家に__」
固まった。
「あ、薊…。」
「母様は?」
思い出している。
「母様はどこ?」
朔は目をそらしてしまった。そらしてはいけないのに。妹と、正面からぶつからないといけないのに。
「母様…母様!!」
両手で顔を覆う。泣くという言葉では足りない。

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鬼ノ業~序章(拾壱)

草の茂みに隠れる。
それは__
「あ、蒼!?」
「しっ。静かに。」
泣き止まない薊をぎゅっと抱き締めて、嗚咽が響かないように、そして、安心させるように言う。
「大丈夫。またすぐ逃げるから。」
朔は懸命に堪える。
「蒼、紗那が殺されたって…。」
「本当のことだ。俺が帰ったら殺されてた。玄関の前で。
だけど、俺は朔の母上を疑うつもりはない。」
朔は涙目だ。
「あんなに優しい母上などいない。」
ごしごしとこする。
「僕はこれからどうすればいい。
…それを教えに来てくれたんだろう?」
蒼は笑う。そうだ、と応え、
「このままここで隠れてろ。ただし、物音ひとつ立てるな。
きっと、朔達の叔父上が来てくれる。 」
「叔父上…?」
「朔の母上のお兄様だ。」
「なんでそんなこと知って__」
蒼は、これには不思議そうな顔をした。
「おばさんが…俺に、そう伝えてきたんだ。今日、帰り際に…。」
少々考えるようにしてすぐ戻る。
「でもおばさんがいっていたんだ。俺は朔達を信じている。
…でも、俺はこの村に留まらないきゃいけない。紗那のこともあるから。」
朔は強く頷く。
そこで、少し蒼は笑った。
「でも、いつかきっと会いに行く。探しにいくから、二人のこと。…妹殺した犯人も見つけてやる。」
朔は、蒼のその言葉が嬉しくて、涙が出てきた。
「待ってる。僕も、強くなるから。」
「あぁ!」

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鬼ノ業~序章(玖)

薊の叫ぶ声は悲鳴と化している。
震える朔は、それでもしっかりした面持ちで紗那の父を見る。
「さ、紗那殿のお父上。
しかし、そ、それでは母が殺したという確固たる証拠がございません。」
必死に大人の口調を真似る。
薺は肩で息をしていて、不安そうに子供二人を見上げていた。
「それは__お前達が鬼だからだ。」
空気が凍った。
紗那の父親の目は据わっている。周りを見れば、他の村人もそうであった。
「人間じゃない。俺達とは違う。
違う"力"を持っている。」
「な、何を…。」
「いつかボロを出すと思ってはいたが…こういった形で俺らに歯向かうとはなあ鬼共!」
再び薺を蹴り、そして踏んだ。顔を、だ。
朔は薊を庇い、見せないようにする。
「お前達もだ。いつまた、ここにいる誰かを殺すかもわからんからな。」
そう言うと、違う人が、朔と薊を連れ出す。
「やめて!
せめて二人は見逃してやってください!!」
「おーおー命乞いか!?」
「母様は殺してなんかいない!」
「だったら誰が娘を殺した!」
「母様じゃない!」
紗那の父親と薊は止まらない。しかし、力で薊が勝てるわけがなかった。
「ちょっと黙れ嬢ちゃん。君も母様のようにしてほしいか?」
「__触るな。」
何かの圧力がかかったような感覚。
深い翠の目で睨む兄に守られた妹。
その瞬間を、薺は見逃さなかった。

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鬼ノ業~序章(捌)

「紗那を…殺した…!?」
聞こえてきた単語に、薊は色を失う。
思わず、といったように薊は扉へ向かう。朔は止めようと自分も向かうが、立ち止まってしまった。
村人全員と言ってもいい。皆、家を囲んでいる。鬼柳家の家を、火を掲げて囲んでいる。
薺は、その内の一人の男に髪を無造作に掴まれている。力なくその場に座り込んだ姿は痛々しい。
「母様!」
「来ないで!薊!」
「待って!薊!」
母と兄の声が重なる。
「なんで…なんで!」
薊は睨む。母を掴んでいる男を。
男は口を開く。
「紗那の友達の嬢ちゃんか?
…うちの紗那が殺されたんだよ、お前の母親にな!」
薊は理解出来ていない。
「なんで…紗那が殺されるの!?
それに…母様は殺してなんかいない!」
「黙れっ!」
びくっとする。大の大人に着いた四歳の子供が勝てるわけがない。
紗那の父親は口を開く。
「なんで殺されるかなんて…俺が聞きたい…こっちは愛娘殺されてどうしたらいいかわからないってのにっ…!」
「じゃあどうして母様が殺したなんて言えるの!?」
父親は吐き捨てるように言う。
「紗那と最後まで一緒にいたんだ、こいつが!村人が見ているんだ、家の前まで送っていたところを!」
「ですから私は__」
「黙れ!」
蹴り飛ばした。夜だというのに、緋い血が鮮やかに散る様子が目にはいる。
「母様!」

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鬼ノ業~序章(漆)

「どうしたの?」
「…薊だけは心配…。だから、俺もついていきます。
紗那のこと、よろしくお願いします。」
一礼して蒼も走る。
「あ、蒼君!?」
蒼は、このとき妹と離れたことを、後に後悔する。
「行っちゃったわ…。
しっかりしたお兄ちゃんね。」
「うん!さな、お兄ちゃん大好き!」
他愛もない会話をしながら、紗那を送り届ける。
薺は朔を背にかえると、布団はしかれ、水と手ぬぐいまで用意されている。十分だ。
「二人とも、ありがとう。」
朔を寝かせると、薺もほっとした様子で。
「蒼君、本当にありがとう。わざわざ一緒にやってくれて…ごめんね。」
蒼は首を振った。
「いえ…こちらこそ、ごめんなさい。勝手な行動して…。」
「いいえ、とっても有り難かったわ。ありがとう。
妹ちゃんが待っているわ、行ってあげて。」
「蒼兄、ありがと。」
珍しい薊のお礼にくすぐったくなる。
「いや…、朔に付いててやれよ?」
「うん!」
微笑んで、蒼は鬼柳家を後にした。

事件は、この夜のことだった。
ドンドンという音に目が開いた。扉付近には既に薺が寄っている。重く眠たい眼をこすって朔が起き上がろうとすると、母は「朔はここにいなさい。」と、静かに、それでも強くいい放った。
不自然なことに、扉から漏れる緋がある。よこにいる薊が熟睡していることから、もう夜中のはずなのに、外が明るい。
「おい!いるんだろう!?出てこい!!」
この家に向けられている。そんなことくらい、小さな朔でもわかった。思わず薊を起こす。起こさなければ、そう思った。
「薊!起きて、薊!」
「兄…様?」
薺は扉を開けた。と同時に、声にならない悲鳴をあげたのを、朔は見ていた。
「母さん!」
「来ないで!!」
「来いよ。」
外にいる誰かが、薺を力ずくて引っ張り出した。
「母様!?」
起きたばかりの薊は、何が起こっているのか、さっぱりわからなかった。それは、朔も同様であるが。
「お前だろう!?俺達の子供を殺したのは!
紗那を殺したのは!!」

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流星のように駆け、永久に願う龍

「あぁ少し、昔話に付き合ってくれ」
「それはいいが...」
「あれはまだ、私があの世界...故郷に居た頃の話だ...」
リュウセイは語り始めた...

「俺は姫...プリンプリン王女をお守りする役割を担っていた、確かに、俺は戦闘能力は高かった...でも、その国は平和だった...あの日まではな」
リュウセイは少し口調が強くなった
「あの日は姫の成人の儀式があった。そこを狙われたんだ...王...姫の父上の側近であった、イプシロンが裏切った、いや、それも偽りか、『コードネーム イプシロン』、そう呼ぶべきだな奴が王を手にかけた...それを合図に上空から兵が次々と国に降り立ち、次々と町を破壊し、森を燃やしていった、俺は姫を守りながら戦った、幸い、俺の戦闘能力のお陰でなんとかなったよ、姫を逃がそうと空に舞い上がり、飛行船に向かう途中に...翼を1つ...ちょうど今、剣を持ってる方をやられた、なんとか飛行船にはたどり着けたが...そこにイプシロン...奴がいたんだ...なんとか姫を飛行船で逃がした...間一髪な...俺は谷津を止めていた、姫が逃げたのをみて、本気をだした、そして、そこにいた軍は全滅させた、そして、俺は力尽きた...」
口調をもどして言った
「それから、世界の境界を越えれるようになった、姿がかわるのはよくわからんがまぁいいさ、そしてここにたどり着いた...というわけだ、龍騎、召喚のカードを」
「あ...あぁ...」
リュウセイはカードの中にはいった、その瞬間、龍騎の体は青く変化した
「再び、お前の力となろう...」
シンジは力が溢れるのがわかった...

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ファヴァー魔法図書館 #59.5

『ユリさんのグリモワール講義その4』

BGM〜【夢と現の境界】
ユリ「さてBGMをかけようか諸君。」
ガラシャ「(うわっ作者趣味悪っ...)
ユリ、今回は何を話してくれるの?」
ユリ「そうだな、今回はグリモワールの内容について触れようか。」
ガラシャ「割とまともね。」
ユリ「この間触れた通り、グリモワールの内容は暗号化されている。
簡単かつ無害な魔法程単純で、困難かつ有害な魔法程複雑になるように暗号は定められているよ。」
ガラシャ「暗号化するとどうなるの?」
ユリ「しっかりとした魔法使い以外は魔法を使えなくなるって言うメリットがあるね。」
ガラシャ「そうじゃ無くて暗号化した文章の事」
ユリ「そうだね...例えば【ガラシャ】という単語があったら【GARASYA】と置き換えて、アルファベットを10文字ずらして【QKBKCIK】としたりとかして作るよ、複雑なのになるとこれに他の暗号を上乗せしたりして複雑化するね。」
ガラシャ「魔法使いはどうやってそれを解読するの?」
ユリ「そこはぶっちゃけ努力と素質だね。
君は一瞬で読めてしまったみたいだけど。」
ガラシャ「へぇ、割と単純なのね。」

その5へ続く

P.S.今回は真面目にやりました。
BGMがBGMだからね。

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