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ユーラシア大陸縦横断旅36〜ベルリンデート〜

列車は定刻の5分遅れでオイローパシティに位置するHBFに着いた
「ここが故郷の姉妹都市なのか…」そう呟くと横で彼女が時計を見ながら「ブランデンブルク門、今からなら行けるかなぁ」と呟く
「ブランデンブルク門なら、ここからシュプレー川を渡ってティーアガルテンを抜ければすぐさ。それに、俺たちはEUレールパスを使うんだから、通る国さえ間違えなければ列車は好きなタイミングで乗れるから大丈夫さ。どうせ、ハンブルクかケルンで1時間近く待つんだから」そう言うと、彼女が「森鴎外の舞姫の舞台、行ってみたかったんだ〜」とめちゃくちゃ喜んで早速シュプレー川を渡りに行き、俺は走って追っかける
「この橋の名前知ってる?」そう訊くと、「ここはドイツ帝国の都だったから、帝室の名前からホーエンツォレルンじゃない?」「ホーエンツォレルン橋はケルンのライン川の橋さ。この橋はモルトケね」そう言うと、「モルトケってあの、プロイセンの軍師モルトケ?」「そうだよ。あっでも、俺はビスマルク派なんだけどね」と返すと「あっ、アレ、戦前に放火されて建て直されて冷戦期は立地上の問題で使われなくなって放置されてた建物じゃない?」と彼女が進行方向右側を指差す
「そうだね。昔はあの屋根の上にソビエトの兵士が赤旗を掲げたんだよなぁ…そう考えると感慨深いな」とまたもや歴史談義が始まる
そこで悪戯っぽく、「首都とかけて、俺の彼女ととその心は?」と謎かけを始めてみると「どちらも大好き。違うの?」と訊かれたので「どちらも何度か変わったけど,もう変わらない」そう自信満々に答えると、彼女もつられて笑い出す
偶然か必然か、俺たちの頭上には演習中のドイツ空軍のアクロバット航空隊が描いたハートのスモークが浮かんでいた

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ユーラシア大陸縦横断旅34

昼下がり、ネヴァ川の船に乗る。
彼女は「歴史の街なのに、船は現代的だね」と呟く
「言われてみれば現代的だな。でも、この船、幼少期に乗ったヤツに似てるなぁ」と返す
「どこで乗ったの?もしかして,ここ?」「いや、ロシア自体今回初めてだったんだから、ここでは乗ってないよ。東京湾の水上バスさ。母さんに連れられて,よく葛西臨海公園に遊びに行ったんだけど、その時はお決まりのように夕陽に照らされて輝く臨海副都心やレインボーブリッジを眺めながら水上バスでお台場に行っていたことを思い出してね…」そう言うと、「じゃあ、そっちのカメラのカバー貸して」と彼女の一言
彼女の意図に気付いてカメラからカバーを外して差し出す
そして、「俺,こんな粋な計らいしてくれる女の子と付き合ったこと,一度もねぇなぁ…」と呟く
「どう?惚れ直しちゃった?」と彼女がいつもとは逆の立場で揶揄ってくる
流石に恥ずかしくなって,「察してくれよ」と返す
彼女が「好きな人を揶揄うのって、意外と楽しいね」とイタズラっぽく笑うと、俺も苦笑いだ
しばらくして、ピョートル大帝の像が見えて来た
「あっ!騎馬像だ!」と叫ぶ
「これがピョートル大帝の像か…って、向こうに要塞が見える!ということは、この先の右に見えるのはエルミタージュ美術館だよ」と教える
「私、本当は絵画も含めて宮廷文化には興味ないんだ。でも、ここってもともと貴族の街だから『美術館が多い街に来て美術館に行かないとは何事だ』って怒られそうだったから宮殿も見てみたいって言ったんだ」と彼女がポツリと呟く
「この街には宇宙開発の歴史を知ることができる博物館があるし、過去の戦争についての博物館もあるよ。要塞が見たいなら、港の沖にある要塞地帯、クロンシュタット行きの観光船の空き便も探してみるし、他の場所も探してみるよ」と返す
そしたら、積もりに積もった思いが込み上げてきたのか「やっぱり、優しいね」と一言呟くと泣いてしまった
「俺は心から幸せになれた時期よりも多くの人から傷つけられた時期の方がはるかに長いんだ。だから、どんなことがあっても、俺が傷つかないように気を配ってくれる人をパートナーにしたいと昔から思っていた。そんな理想の異性というのが君というだけさ」と返し、彼女を抱き寄せる
バルト海に沈む夕陽は水面に反射し、巨人のホームカラーに輝いていた

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ユーラシア大陸縦横断旅33

ホテルを出て開口一番、「さっきの虹、まだかかってるよ」と彼女が幼稚園児のように無邪気な笑顔を浮かべてはしゃぐ
「本当だな。こんなに綺麗で長い間かかってる虹は初めてだなぁ。って、あっ…終わった…」俺も興奮していたが、カメラを取り出した瞬間、悪夢のような現実が待っていた
そう,北国のサンクトペテルブルクは年によっては4月の末でも川が凍結するほど寒い日があり、カメラが外の冷気に晒されてバッテリー消耗のペースが早まり、充電切れで作動しなくなった
「終わったってどうしたの?昨日のプロ野球、巨人勝ったんだから、元気出してよ」と彼女が慰めようとしてくれる
「カメラのバッテリー、早くも切れた」そう言うと
「実は、隠してたんだけど、私もあなたと同じ機種のカメラ持って来てるんだ。ただ、カバーはそっちと同じコラボの限定品で2種類あるうち、そっちとは違う方ね」と衝撃の告白が
「そっちが使えそうになるまではこちらで撮って,そっちに転送するね。だから、撮りたいものあったら言ってね。私、頑張っちゃうから」と頼もしい一言が続く
「よし、じゃあ行くか」
「そうだね。帝政ロシア時代の貴族の宮殿の建物とか、この土地に古くからあった要塞跡とか、博物館になってる軍艦アヴローラも見たいね」とこれからどこを巡るのかで盛り上がる
俺たちのサンクトペテルブルク観光は、これからだ

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ユーラシア大陸縦横断旅32〜ペテルブルグの夜明け-

午前5時、降りしきる雨の音で目が覚める
カーテンを開けて外を見ると、雨で視界が真っ白になる中建物の灯りだけが黄色く輝いている
まるで,早朝のイルミネーションだ
ロシアと言えば、言わずもがな紅茶文化圏だ
それ故、このホテルの部屋にも給湯器とティーバッグがある
冷蔵庫には無料と書かれた袋の中に使い捨て容器に入ったジャムがある
日が昇り切るまでに急いで給湯器でお湯を沸かして,紅茶を淹れる
雨の音、愛しの彼女の寝息、街明かり、東の空の色
この全てが織りなすハーモニーはロシアの伝統に近いスタイルで頂く紅茶の味を引き立たせてくれる
「おはよう。今何時?」彼女が眠そうに目を擦りながらそう訊く
「おはよう。起こしちゃったかな?今、朝の5時半だよ」
「え?5時半?そんなに早いならもうちょっと寝たかったなぁ…って、外の景色、綺麗だね」「そうだな。タワーブリッジを渡る二階建てバスの二階席から見たロンドンの街並みを思い出すよ。あの時もこんな風に雨の音が聞こえたんだ。」
「そっか…ロンドンもペテルブルグも,貴族の街で太い川が流れてるんだよね。ロンドン、憧れの街なんだ」
そんなやり取りをして、彼女もおもむろにカップを手に取り紅茶を淹れて飲む
隣の部屋のテレビから俺が昔元カノと付き合ってた頃によく歌っていた思い出の歌が流れてきた
時計を見れば午前6時だ
窓を開けるとひんやりとした風と雨の音が部屋に入り込む
そして、「さあ、行こうか」
「それ、俺のセリフや!」そう言って2人顔を見合わせて笑う
荷物を持って外に出ると、空にはネヴァ川を覆うように虹がかかっていた

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ユーラシア大陸縦横断旅31

モスクワを出てから一時間、サプサン号はトヴェリを通過した
そしたら、彼女が一言「さっき言ってたタシュケントの花って何なの?」と訊く
「少し悲しい歴史の話も入るんだけど,旧ソ連構成国だった中央アジアのウズベキスタンの首都、タシュケントには日本から贈られた花があるんだよ。」と軽く話し始めると、彼女が「もしかして,ナヴォイ劇場の建設で殉職した日本人のお墓に植えられている桜のこと?」と食いつく
「そうだよ。まぁ厳密に言えば、日本人墓地だけじゃなくて向こうの中央公園にも桜は植えられているそうだけどね。さっき調べてたんだけど、中央公園の桜、満開だけど所々葉桜があるね」と言って画像を見せる
「この白っぽい桜、滅多に見たことないなぁ」と彼女が一言
「どれ?これ?ソメイヨシノじゃん」「知ってるの?」「知ってるも何も、東京じゃ一般的なんだよ。江戸時代に今の東京で生まれた品種なんだよ。」なぜかロシアにいるのに東京談義が始まる
「東京って意外と歴史もあるし、何でも揃ってるんだね。地元の九州とは大違い」と彼女が自虐気味に笑う
そして,俺も自虐気味に笑って反論する「まあでも、俺からすれば福岡の方が魅力的さ。東京にはないものがあるから」「東京にないもの?海も城跡も山も島もあるでしょ?何がないの?」「君がいない」と真面目な表示に向き直ってそう告げる
「そんな表情されたら、私戦力外なのかと思っちゃうよ」と笑われる
「戦力外ってwプロテクトならまだしも、戦力外なら俺がされるのかと思ってた」と笑い返す
いつのまにかプロ野球の話になり、2人で談笑しているとあっという間にネオルネッサンス様式の駅に入線した
駅名標にはМосковскийと書いてある
貴族文化と芸術の花咲く北の港町、ペテルブルグに着いたのだ
街に出て,彼女に囁く
「これがネヴァ川につながる運河なんだけど、君ってこの水面に映る夕陽よりも綺麗だね」
その瞬間、彼女がはにかみながらも笑う「私の顔がレニングラードになっちゃった」
「俺はどれだけ大変な状況でも、千日経とうと何万日経とうと、一生添い遂げるだけさ」とこの街の歴史に絡めて一言返す
その瞬間、お互いに言った短いワンフレーズは潮風にかき消されて聞こえなくなった

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ユーラシア大陸縦横断旅30

定刻から1時間遅れの午後3時頃、俺たちを乗せたK3列車はは終点,モスクワ・ヤロスラフスキー駅に着いた
2人揃って子供のように目を輝かせている
それもそのはず
モスクワは帝政ロシアの前身、モスクワ大公国時代からのロシアの都であり、帝政時代に北の古都へ遷都された後も皇帝の戴冠式が行われた歴史の街だからだ
ロシア語を読める俺に対し、東京の夜景のように輝く彼女が建物の看板に書いてある文字を読んでくれとせがんでくる
そして,彼女が目的地を見つけてくれた
そこには,Ленинградский вокзалと書いてある
モスクワは列車の方面ごとに駅が分かれていて,その方面にある地域の名前が駅名になっているのだ
彼女が見つけたレニングラーツキー駅はその名の通りレニングラード、つまり古都ペテルブルグ方面へ行く列車の起点なのだ
俺たちはサプサン号でペテルブルグに行き、ペテルブルグで一泊して歴史を肌で感じ、その後寝台列車赤い矢号でモスクワへ戻り、さらにベラルースキー駅前のホテルで一泊して午前11時の寝台列車でベルリンを目指すことになっている
と言うのも、モスクワ〜ベルリン間は片道およそ2日の行程なのだが、俺たちが乗った北京発の列車だとモスクワに定刻に着いても乗り換えには間に合わないので、モスクワに帰ってきた便の折り返しに乗る必要があるからだ
今後の予定を話し合っていると、粉雪がモスクワ市街北東部にある3つのターミナル駅が集まる広場に舞い落ちる
「もう4月の中頃だと言うのに、まだ雪降ってる…故郷の福岡じゃ考えられない…」と彼女が呟く「俺の故郷、東京でも見たことないよ…でも、今頃タシュケントでは綺麗に花が咲いてるんだろうなぁ」と返す
サプサン号の発車時刻が迫っている
そして,3つのターミナル駅が集まる広場で1番北にあるレニングラーツキー駅から15:30発770番列車が一路、サンクトペテルブルク・モスコフスキー駅を目指して走り出す

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ユーラシア大陸縦横断旅28

太陽が南から西に傾き始める中、列車はエカテリンブルクのホームに滑り込む
ふと、「もうエカテリンブルクか…シベリア鉄道の旅ももう終わりだなぁ」と呟く
彼女はまるで雷の音が響いた時の子供のように丸くなって何かに怯えているように見える
「おい、大丈夫か?」「ここ、エカテリンブルクでしょ?怖い話を思い出しちゃって…」「ロシア革命で皇帝のニコライ2世が家族もろとも処刑された事件のこと?」「そうだよ。100年以上前の話だと言われても,怖いよ」そう彼女が震え声で言うのでリアクションに困って苦笑いを浮かべて「幕末の剣豪が好きな人とは思えないリアクションなんだけどなぁ」と思わず心の声を漏らしてしまった
「まだ発車しないの?」「30分停車だからね。あっでも,その館はもう取り壊されてるよ」「もう…ないの?出てきても大丈夫なの?」と尋ねられる
「大丈夫。俺が守ってやるからな」「本当?」「勿論。というか、俺が君に初めて惚れた時に何て言ったか覚えてる?」それを聞いて頬を染めながら「『惚れた女を大切にし、彼女が傷つかないよう気を配る。そして,時には体を張って彼女を守ること。それは男としての俺の一生モノの課題だ』ってこと?」と訊く
「大正解!さぁ、安心して出ておいで。」そう言うと彼女がハムスターのように出てきた
「どんなシチュエーションでも,やっぱり俺の彼女は魅力的だな」と呟き、彼女が照れる
そして,列車は発車する
明日のこの時間にはモスクワだろう

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ユーラシア大陸縦横断旅27

現地時間で日付が変わってからおよそ30分、オムスクに着いた
時差ボケと彼女の魅力のせいで眠れない
「どうしたの?眠れないの?」「まあ、時差ボケでな」
「時差ボケってwハワイはもっと酷いよ。ましてや貴方、ハワイよりも時差が少ないロンドン行ったことあるんでしょ?このくらい我慢してよ」
「ロンドンから帰国した当時は真夏、しかも地球の裏側じゃちょうどリオ五輪やってて、上野の屋外パブリックビューイング場で猛暑の中熱中症で倒れてどうやって時差ボケ治したのか記憶にないんだけどw」「リオ五輪っていつだっけ?」
「76年だけど?」「皇紀じゃなくて西暦か元号で言ってよ。皇紀で計算するの慣れてないの(笑)」「西暦だと2016だな」
そんな話をして気づいたら、イシムを過ぎ、朝日に輝くチュメニの駅に着いた
彼女は話し疲れたのか爆睡、俺は油田の街に着いたことに興奮を覚えたが、流石に起こすのも可哀想だと思い、手書きのメッセージを枕元に置いて俺も寝た
「Спасибо, что стала моей девушкой 」と敢えてロシア語で書いて置いた
意味は,「俺の彼女でいてくれてありがとう」だ
その意味を知った彼女に甘えられたのは言うまでもない
そして,甘い響きとは程遠く拙いフランス語で
こう囁く「Unis pour la vie 」
意味は,「ずっと一緒だよ。」だ
そんな俺たちを乗せ,いよいよエカテリンブルクまであと数分という所まで来た…
ウラル山脈超えも近い

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ユーラシア大陸縦横断旅25

現地時間午後7時半、薄暮の空の下、俺たちが乗るK3/0033号列車はノヴォシビルスク駅に着いた
ホームを見て彼女が一言「駅の時計とこっちの時計、合わないよ。」「どれ、見せてみな」実際に見たら笑うしかなかった
「なんだよ、そう言うことかよ」と思わず吹き出す
そして、彼女が頬を膨らませながら「どうせ私は彼氏ほど旅慣れていない田舎者ですよ〜だ」と拗ねてる
「まあまあ、落ち着けよ。原因、話してやるから」
「本当?教えて教えて!」と子供っぽくはしゃぎながら答える
「ロシアってのは、国が大きいのは知ってるよね?ロシアよりも小さなアメリカだって国土が大きいから国内にも時差がある。それはハワイとアメリカ本土に訪れたことがある君なら分かるでしょ?」
「流石に知ってるよ。でも、その話とこれって何の関係があるの?」「まあいいから、最後まで聞きなよ。シベリア鉄道はいくつものタイムゾーンを跨ぐようにして線路が張り巡らされている。だから、走らせるなら基準となるタイムゾーンが必要なんだ。そうなると、首都であり列車の起点であるモスクワの時間を基準にして列車を動かすと都合がいい。だから、シベリア鉄道の長距離便が停まる駅ではモスクワの時間を採用しているんだ。モスクワとここ、ノヴォシビルスクは時差が四時間だから、駅の時計も君の時計と4時間ズレているよ」そう言うと彼女は「さっすが私の彼氏!頼りになる〜」と笑い出した
一方、俺はと言うとその無邪気な笑顔に心を撃ち抜かれて無意識のうちに「ヤバい。俺の彼女、いや、俺の嫁さん可愛すぎんだろ…こんなんじゃ理性なんか吹っ飛ぶな」と呟いていた
その後すぐ、食堂車で晩飯を食べていると列車は市街地に挟まれたオビ川の鉄橋を渡る
「シベリア鉄道は風景が同じでつまらないって言われているけど、愛しの人と一緒なら彼女の顔だけ見てればいいんだからいい癒しになるな」と言ったら彼女が「私の彼氏って、こんなロマンチックな人だっけ?」と自問してる
そこですかさず、「フランスと江戸っ子と華族文化が入り混じる街の出身だからな」と笑う
そして、2人揃って「これからもずっと一緒だよ』と言う
シベリア有数の大都市の夜景が俺たちの将来を照らし、祝福してくれている中を列車はモスクワに向け突き進み、俺は彼女の誕生日プレゼントを買うべく、グム百貨店のカタログを読み漁る

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ユーラシア大陸縦横断旅25

クラスノヤルスクを出てからおよそ五時間半、マリインスクに着いた
「え?今2時過ぎだよね?なんで10:27発なの?」彼女が駅の時計を見て驚く
「さあ、なんでだと思う?」といたずらっぽく笑って訊き返す
そしたら彼女が「その笑顔は反則だよ〜もしかして、あの中国のお仲間とグルでプロポーズとセットのドッキリ仕掛けたの?」と見当違いの質問が…
もう種明かしするしかないな
「ロシアって国土が大きいでしょ?だから、タイムゾーン、つまりある一定の範囲から向こう側に行けば時計の針が戻ったり進んだらするエリアの境界が複数あるんだ。それでも、一つの国の中にそうしたエリアの境界線があって、そこを跨ぐ列車を走らせるなら、基準が必要でしょ?」そこまで言うと、「じゃあ、その基準ってもしかして、首都であるモスクワの時間ってこと?」「その通りさ。ここはノボシビルスクのタイムゾーンの中なんだ。こことモスクワの時差がおよそ四時間なんだ。あと、プロポーズの件はアイツが勝手に指輪が入った箱を北京の大使館経由で俺に届けただけさ。俺は先輩がパリの日本大使館にいると思ってパリの大使館経由で渡したかったんだけどなぁ」そう説明しているうちに列車は駅を出る
「それってどういうことなの?」
「これ、見てみなよ」
「この日って…」そう、そこには『パリ到着』と書いてあり、その上には『想い人の誕生日』と書いてあったのだ
「この日って君の誕生日じゃなかったっけ?」「そうだけど、なんで知ってるの?」「あの時一緒だったオプで誕生日の話題になったの、覚えてない?」「思い出した!その時、私も自分の誕生日言ってた。と言うことは、覚えていてくれてたの?」と嬉し泣きしている「KLで言ったろ?君のこと忘れられなかったって。言い換えれば、君とのやり取りはほとんど、俺の頭の中に入っているんだよ。あと、俺は好きな人にプロポーズする時はその人の誕生日に『プレゼントは俺だよ。その証拠に、ほら』と言って夜景の綺麗な街で指輪と赤バラの花束を渡すシチュエーションに憧れてたんだ。でも、『愛の街』で有名なパリに着く前にやっちゃった」と言うと「じゃあ、11月生まれの貴方の誕生日プレゼントは花嫁姿の私だね」と彼女が顔を真っ赤にしつつも笑っている「いや、それよりも読売の日本一」と返す
彼女の誕生日まであと6日
よし、プレゼントをモスクワで調達だ

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ユーラシア大陸縦横断旅24

日の出に近いがまだ西は暗い午前6時頃、トラス橋を渡る音で目が覚める
川面の向こうには朝靄の中アパートや教会らしい建築物群が見える
「ここは?橋を渡っているが、ボルガやオビはまだ先だよなぁ…それに、川の向こうに中心市街地が見えるとなると、これはクラスノヤルスクのエニセイ川か?」
確証は持たなかったが、到着駅の駅名標にはКрасноярск( クラスノヤルスク)と書いてあった
つまり、さっきの川はエニセイ川だったのだ
クラスノヤルスクを出ると同時に彼女が目覚める
そして、開口一番「どうして私と距離置こうとするの?私ってそんなに魅力ないの?」といきなり尋ねてくる
「正直言って、君は俺にはもったいないくらい魅力的だからなぁ…君の彼氏が本当に俺でいいのか分からなくなってしまってね。俺がそばにいない方が君が幸せになれるんじゃないかとか考えちゃうんだよ。自分と彼女の関係のことになると後ろ向きになっちまうダメ男が彼氏でごめん。もし、こんな俺でも受け入れてくれるなら嬉しいな」そう言って頭を下げる
「バカなこと言わないで!私が生涯バッテリーを組みたいと思っている相手は貴方しかいないの!だから、こっちは貴方が重くてど天然で抜けている所がある私なんかと一生一緒に居たいと思ってくれるまで20年でも30年でも待つつもりなの!」と俺が彼女に初めて惚れた時のセリフで返された
「そうか。実は、俺も同じ気持ちだったんだ。こんな時にムードもへったくれもないけど、言わせてくれ。俺と結婚してくれないか?ゴーアラウンドならいくらでもするがダイバートはしない」と当時の言い回しで伝えて指輪を渡す
「もう、離さないよ」「俺もな」
カレカノから婚約者同士になったカップルを乗せ、列車は西へ行く

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ユーラシア大陸縦横断旅23

深夜、ナウシキでロシア入国手続きを終えて眠りにつく
そして、目が覚めたら朝日で輝くプラットホームの駅に着いた
駅名を見ると、Улан-Удэ(ウランウデ)だ
そう、この駅はかつて俺がシベリア鉄道版の鉄道唱歌作詞で省くか否かで迷った場所である
当時の苦労を思い出しながら車窓を眺める
そして、セレンガ川を渡るところで彼女を起こす
なぜなら、セレンガ川を渡ると、彼女も俺もシベリア鉄道の旅で1番楽しみにしていたバイカル湖畔の風景が見えるはずなのだから
ありがたいことに、湖畔の天気は晴れだ
そして、彼女は湖面に映る青空と小高い山の風景を見ながらボソッと尋ねる
「今も結婚願望ってあるの?昔は『25になるまでに嫁さん欲しい』って言ってたけど」
「あるようでない。」とだけ返す
「あるようでないってどういうこと?」と聞き返されたので、「今は言えないよ…俺たちがパリに着く日になれば答えが分かるから、それまで待ってくれ」と返すと、彼女がふと「もしかして、私って魅力ないのかなぁ」と呟く
だが、俺はその呟きを聞かなかったフリをして「俺が結婚したいと思っている相手は一人しかいないし、むしろその人ほど魅力がある女性には会ったことも話したこともないんだがなぁ…」と呟く
「変なこと訊いちゃってごめん。もうこの話は終わりにしよう」そう言われて話題が変わり、広いバイカル湖畔南部の町、スリュジャンカの駅でオームリという名物の食べ物を誰が買うのかという話になり、俺が買うことになった。
俺はホームにいた物売りからなんとか最後の残りを買うことに成功したのだが、彼女が美味しいと言ってガツガツ食べるものだから、俺の取り分がほとんどなくなってしまった
幼少期に弟とよく食べ物を巡って喧嘩したので、どうすれば穏便に済むかは経験上知っている
だから、残りは彼女にあげた
そして、彼女がバイカル湖をすぎて一言、「ゆう君(俺の幼少期の愛称)みたいな優しい人と結婚したいなぁ」と呟く
そして、俺も「こんな一途に俺のこと思ってくれて、健気で、天然な彼女と結婚したいなぁ」と呟く
「え?今なんて?」と彼女は訊き返すが、対向列車との離合の音でかき消されて聞こえなかった

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ユーラシア大陸縦横断旅22

午前1時、俺たちはノックの音で起きた
どうやらここは中蒙国境の中国側にある内モンゴル自治区のエレンホト(二連)のようだ
2人とも中国語が話せないので、彼女は英語、俺は片言のロシア語で対応して中国を出国する
そして、俺たちはすぐにモンゴルへ入国するが、列車は線路幅の関係上台車変更の作業中だ
車内に戻って2人とも一眠りするとカーテンの向こう側から朝日が差し込んできた
時計を見ると6:20とのこと
つまり、ここはゴビ砂漠の中にあるサインシャンドということか
実際、駅名標にはキリル文字でサインシャンドと書いてあった
ウランバートルの街は午後2時半ごろに見ることになるのかなぁと思い、二度寝した
チョイルという街の駅に着いて目が覚めた
そこで気付いてしまったのだ
そう、食堂車での朝食の時間は終わってしまったと
そして、彼女もまだ寝ている
暇を持て余していたので、モンゴル語で自分が歌える唯一の歌を歌いながら窓の外を流れるモンゴルの広大な荒野と草原の景色を見る
「ダルハン〜マンナイ〜ツスゲル〜ウルス〜♪」と歌っていると、なぜか隣の客室が静かになった
そして、昼食時に食堂車で隣の客室にいたモンゴル人の客に話しかけられた
お互いに英語で会話していると、実は俺が鼻歌で歌っていたのはモンゴルの国歌だったことを知った
そして、俺はモンゴル国歌を歌える日本人として男女関係なくモンゴル人の乗客から人気者扱いされてしまった
そして、その光景を見ていた彼女が嫉妬したのは言うまでもなく、その後客室で平謝りした
気付いたら列車は起伏の激しいウランバートルの郊外にある高原まで出ていた
その高原地帯に沈む夕陽を2人で見て、関係の修復に成功した
そして、夜になりスフバートルに着き、いよいよロシア入りすることになる

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ユーラシア大陸縦横断旅21

上海虹橋空港に隣接した虹橋駅からおよそ4時間半、北京の駅に着いた
そして、会心の友とはここで分かれるはずだ
ところが、彼は「俺たちの先輩で日本大使館に勤務している人がお前に渡したいものがあるそうだ。それを受け取りに行かないか?」と言って俺とより長く一緒にいようとした
結局、日本大使館へ3人で行って紙袋の中に入ったプレゼントのように包装された小さな箱と俺の名前宛てに書かれた便箋らしき封筒を渡された
そして、封筒の中を開けてみると手紙が入っていた
俺が朝鮮半島にルーツがあることを誰かが知っていたのだろう
内容は日本語だが、ハングル表記で書かれていた
要約するとこうだ
「この紙袋の中には、あのガイドをしていた友達から教えてもらった情報を元に、彼女へのプロポーズ用の指輪が入った小さな箱が入っている。北京で開けずに、『愛の街』として知られるパリまで開けるなよ」とのことだ
それを読んで俺は自分のメンツを潰された気がして茫然としていた
彼女は「ハングルって難しい。解読して」と俺にねだってくる
「これはちょっと見せられないよ…」と言うしかなく、彼女もそれ以上は追及しなかった
そして、いよいよ北京を発つ時間になり、友に感謝の言葉を述べて俺たちは寝台列車に乗り込む
次に起きる頃にはもうモンゴルだ

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ユーラシア大陸縦横断旅20

3人揃って朝食を取った後、すぐに荷物を纏めて駅に行く途中のタクシーから京杭運河を見る
友曰く、「よく見ろよ。これが隋の煬帝の大運河を共産党下部組織の人たちが拡幅したもので、一部は世界文化遺産さ。」とのこと
俺たち2人の反応は少し違った
彼女は「これがあの大運河なの?すごい!初めて実物見たけどカッコいい」かなりと興奮気味
俺はというと、「大運河って、水の都の蘇州も通ってなかったっけ?」と質問する
「蘇州も天津も通るぞ。ただ、やっぱり終点の杭州が有名だな」とのこと
そんなやり取りを経て、杭州の駅に着いた
上海まではおよそ40分ほどだそうだ
実際、思いの外すぐに上海に着いた
ただ、列車の接続の都合上上海観光はお預けになった
それを聞いた彼女は少し残念そうだ
「超大都会の景色、見てみたかったなぁ…」
「俺も中国最大規模の貿易港の港湾の風景見たかった…でも、まだまだ超がつくほどの大都会には寄るからそこの風景見ようよ。夜景で輝くタワーブリッジとか、夕暮れのグランプラスとか、昼下がりの東京のアップローズの庭とかオススメだよ」
「昨日の情報、役に立つな」と耳打ちされて苦笑いするしかなかった
そして、彼女が疑問符を浮かべる
「アップローズってのは東京、それも俺が生まれ育ったエリアの施設の名前さ」と解説する
そして、友から「それも、結婚式場な」と補足されて2人とも頬を染め、沈黙が続く
車内でそんなやり取りをしていると早くも列車が蘇州を通過した
そして、最初の停車駅、南京南に滑り込む
南京南を出てすぐに長江を渡ったが、まだまだ北京への道のりは長い

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杭州での一幕(ユーラシア大陸縦横断旅)

宿にチェックインしてすぐ、俺たちはカーテンを開けて眼下の夜景を眺めてすぐ、部屋のベッドの上に倒れ込んだ
それもそのはず
飛行機でも2時間半の距離を高速鉄道で約5時間、そしてそこにプラスしてビエンチャンからの約5時間、合計およそ10時間も列車に座っていたのだ
そして、会心の友から内線電話がかかってきたので俺が受ける
「2人とも、あんな長旅してるんだから疲れてるんだろ?だから、明日の朝まで起こさないよ。
ゆっくり寝て疲れ取れよ。でも、お互いが魅力的すぎてまともに眠れなかったとかいう言い訳はしないでくれよ?北京からの列車に間に合うよう全て手配してあるんだからな?
あっあと、お前が列車内で寝ている隙にお前にとって将来必要になるであろうモノを注文するためのメモ書いてズボンのポケットに突っ込んで置いたからな。参考にしてくれよ?」
「そのモノって何だ?危ないモノじゃないよな?」「おいおい…いくら何でも、危ないモノ注文してお前らの人生破滅させるほど愚かなことはしないぜ?そのモノってのは、婚約指輪だ。それだけ2人ともお似合いってことは将来的には彼女さんの左手に着けてやるんだろ?だったら、あらかじめ指のサイズ測った方がいいと思ってな」
そのやり取りを彼女も聞いていて、そばにいた彼女は顔を真っ赤にしてフリーズしていた
「君のその粋な計らいは嬉しいし、俺としても指輪なら将来的に渡すつもりだったからありがたいんだけど、そばで彼女が顔真っ赤にして聞いてるからその辺にしといてくれ」「お前も爆弾発言してないか?」
「あっ…」
それ以降の沈黙を破る砲撃のような大声で彼女が一言
「2人とも、あまり揶揄わないでください!」
そして、お互い気まずくなってどちらともなく電話を切った
お互いに興奮して眠れないので、過去の旅での体験談を語り合った
そして、話し疲れたのか彼女が寝落ちしたので、ベッドに運んでやることになった…
こんな可愛い姿見せられたら、眠れんわ!
彼女の寝顔が窓から差し込む月と港町のネオンの光に反射して今まで見たことない輝きを発していた

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ユーラシア大陸縦横断旅19

2人分の荷物を3人で分担して大急ぎで目の前に止まっているバスに運び込み、昆明南駅から昆明駅に移動する
そして、すぐに和諧号上海西行きの列車に乗るため手続きを済ませて3人で車内に入る
すると、彼が「手配しといた宿に連絡入れるなら早い方がいいと思うから、検札済んだらすぐデッキ行っていいか?」といきなり尋ねてくる
彼に何か考えがあるのだろうと察して、「わざわざすまない。」とだけ返した。すると、すぐに車掌が来て検札が済んだ。
その時に彼が中国語で車掌に一言二言発したのだが、俺は「シャンハイシー」と「ハンチョウ」という2つの駅名、そして中国語で「私たち」を意味する単語を聞き取った。
ここで得られた情報から、直感で「もしかしたら行き先が変わるのかもしれない」と察して万が一に備えて彼に聞いた。
「もしかして、俺たちは上海じゃなくて杭州で降りることになるのか?」
彼は「そうだ。勝手に変えて申し訳ないけど、実は宿が上海だと値段は高い上に予約取れなくてな。だから、杭州に宿を手配させてもらったんだけど、切符だけは事前に上海までの分で買っておいて、手続きの関係上切符の変更が間に合わなかったんだ。あと、彼女さんもお前と同じ宿の方が心強いだろ?だから、さっきバスで彼女さんと話して宿の変更について承諾受けたから、彼女さんの宿も変えようと思ってな」と言ってスマホを持ってデッキに向かっていった。
それからおよそ20分、「おい、彼女さん起きたら伝えてあげて。『宿の変更できた』ってな。一応、俺も君たちと同じ宿取ってあるよ。部屋は分けてもらったよ。彼女さんとお前で一部屋使いな。」と言いながら彼が戻ってきた。
「甘い一時過ごしても良いけど、部屋の中だけにしてくれよ?俺は見てられんよ」という捨て台詞付きで
そして、列車が義烏の駅を通過する頃に彼女を起こして、降りる支度をする
あと、数十分で歴史と水路の街、杭州だ
明日の昼の列車で上海西へ行き、そこから北京行きの和諧号に乗り換えて北京を目指すことになっている
彼曰く、今回の宿では部屋から浙江省随一の大都市、杭州の夜景が一望できるそうだ
そんな話に俺たちカップルが想像を膨らませていると、列車は杭州の一つ手前の駅を通過した
目的の駅に着いて外に出ると、海の方から昇る月が綺麗だ

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ユーラシア大陸縦横断旅17

中国入ってからも昆明までは意外と時間かかるなぁ
どこかの駅に着いたようだが、今いるのはどこだ?
駅名標を見ると普洱と書いてある
そして気付いた
ここは俺が大好きな中国茶の一種、プーアール茶の産地であること
そして、ここで降りた少数民族らしき乗客の多くは、この辺りの茶畑やその周辺の集落で生活している人なのだと
トンネルだらけの区間で、しかもかなりの長旅で疲れたらしい彼女は寝ていたが、起きて一言
「大勢の人が降りたけど、ここって何か有名なものあるの?」「ここか?九州で言うと知覧みたいな町さ。お茶で有名なんだよ。中国茶の中で俺が特に好きなプーアール茶の産地なんだ。香りは少しクセがあるけど、味は美味しいからハマるよ。」「中国茶はほとんど飲んだことないから分からないなぁ」「俺は一時期、中国茶にハマってお茶っ葉ごと買って自分で淹れて飲んでたことあるよ。特に、福建や台湾の烏龍茶と雲南のプーアール茶が好きでよく飲んでたなぁ。まあでも、インドのチャイとかイギリスの紅茶にハマってからは中国茶飲まなくなったけど…機会があれば淹れてあげるよ」
シベリア鉄道の車両なら、サモワールで紅茶淹れて飲むことできるんだろうけど、モンゴル経由モスクワ行きの列車って、確か中国国鉄の車両を中国とモンゴル国境のモンゴル側に位置するザミンウードで台車を替えて直通させるんだよなぁ

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ユーラシア大陸縦横断旅16

列車はまだラオス領内だ
「どうして第三者呼ぶことにしたの?私たち2人の旅なのに」彼女はかなり不満そうだ
「中国ってかなりIT産業が進んでて、もう現金使えない店が大半なんだ。それこそ、田舎町の屋台であってもね。中国国民はホテルも列車の切符もみんな国からのQRコードアプリで支払いできるんだけど、中国政府から見た短期滞在の外国人観光客、つまり俺たちみたいな人はそのQRコードとそのアプリを使えないんだよ。だから、決済に協力してくれる人と一緒に動いた方が良いと思ってね。高校2年の頃に意気投合して1番仲良くなった同級生の男子生徒は中国人で向こうの市民権も持ってる人だ。しかも、彼は当局関係者の特権を持っている人だから、彼に協力してもらえればより円滑に旅を進められると思ってね。和諧号という高速鉄道を昆明と上海で乗り継ぐんだけど、その時の入場にはその政府支給のQRコードがない人は面倒な手続きを経なくちゃいけないんだけど、そのQRコード持ってる人に同伴してもらえるとその手続きが簡略化されて北京着いたらすぐに隔日運行のモスクワ行きの列車に乗れるんだよ。だから、申し訳ないけど北京まで辛抱してくれ」俺がそう言うと彼女は「流石私の彼氏だね。そこまで考えてなかったよ」と苦笑いを浮かべている
そして、しっかりしているように見えて意外と抜けているところがあるという共通点が見つかり、お互いに惚れ直して笑っている
ついに、国境まで来た
これから一気に中国領内を約時速300キロの列車で駆け抜けて華北まで向かう
一時的に漢字が見られるが、日本や台湾の漢字とは字体が異なるのでうまく読めるか分からないな

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ユーラシア大陸縦横断旅13

ハットヤイの街を抜けてすぐ、進行方向右側に湖が見えた
「あの湖ってどこに繋がってるの?」彼女は見たことないものを眺める5歳の子供のようにはしゃぎながら尋ねる「アレか?アレは、ソンクラーの街に繋がっていて、そこから海に繋がっているよ。」「ソンクラーって、かつて日本軍が上陸したシンゴラのこと?」「そうだね。まぁでも、シンゴラはタイの領土だからタイ語ではソンクラーという名前になるね」「山田長政が最期を迎えたパタニーってどの辺?」「シンゴラの南さ。俺たちは西海岸に近い内陸部からタイ入りしたけど、東海岸に沿って北上するとタイに入って最初の街なんだとよ」「私が歴史好きなの知ってるでしょ?だから、山田長政ゆかりの土地行きたかったなぁ…」「センセープ運河の船乗りたかったけど、君のためならプラン変えるよ。ただ、アユタヤとバンコクって距離があるからアユタヤだけでいい?」「距離ってどのくらい?」「東京から函嶺洞門くらい」「箱根駅伝で喩えないで(笑)」「博多から下関くらいって言えば分かるかい?」「意外と離れてるんだね」「だから、アユタヤ行ってたら市内観光してる時間がないんよ。まあいいか、近代的な都会なら俺の故郷、シンガポール、KLの街並み見たんだし」「東京出身者は羨ましいなぁ…」「でも、君が俺の隣にいなくて故郷の福岡県にいたから俺、夕陽見るのがつらくなってたんだよなぁ」「そっか…東京から見たら福岡って西の方だから、まさに日が沈む方角か〜」
そんなやり取りを経ておよそ10時間、チャオプラヤ川をまず渡り、チャオプラヤ川に繋がるような構造で張り巡らされた運河を渡った。
そして、着いたのだ
正式名称がべらぼうに長くて全部言えない街、バンコクに!

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ユーラシア大陸縦横断旅12

朝飯はマレーやインドネシアでよく食べられているブブールというお粥に決定
そして、列車に乗り込む
「Любимый(ロシア語でパートナーを呼ぶ時に使う言葉、ただし女性が使う)、昨日は色々迷惑かけてごめんね。疲れちゃったんじゃない?」
「気にしないでくれよ。一昨日の昭南島滞在の方が頭使って疲れたから大丈夫さ。」「え?昭南島?シンガポールのこと?」「そうだね。これがその写真さ。古戦場のブキテマ高地、それから2・15の交渉が行われたフォードの工場跡とか色々あるよ。そうだ!昨日のKL、そして今朝撮った君の可愛い寝顔の写真も見るかい?」「寝顔は消してよ〜(笑)」「こんな綺麗な彼女の寝顔を消せなんて、流石に酷だろ」「そんなに綺麗だった?」「バシー海峡に沈む夕陽よりも綺麗だったけど?」「バシー海峡って?」「台湾とフィリピンの間の海峡さ。俺、KLを訪れてからおよそ2年半後に台湾島の最南端に位置する墾丁というリゾート地を訪れたことがあるんだ。その時に最南端の岬で夕陽を観たんだ。これがその写真ね」「糸島の海みたい」「まぁバシー海峡も玄界灘も東シナ海と繋がってるから同じようなもんだしな」
そんなやり取りをする2人を乗せ、およそ16時間かけてクルンテープまで向かう

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ユーラシア大陸縦横断旅⑧

「ちょっと遠回りになるけどモノレールにする?それとも、地下鉄で直行にする?ペトロナスツインタワーにはこの2通りの行き方があるんだけど、君に任せるよ」
「じゃあ、モノレールにしよっか」
そして、タワーの展望室へ
「アイツにもここの夕焼け見せたかったなぁ…」「え?」
「兄貴、覚えてる?私、好きな人のこと諦めきれないって言って兄貴の告白2回保留にしたの」「そう言えば、あったなぁ…」「その時の『好きな人』と付き合ったはいいんだけど、『君は俺にとって大切なことを理解してくれないのに愛情だけは重いから、もう疲れたんだ。悪いけどもうアプローチしないでくれ。今までの関係も白紙にしてくれ。』って振られちゃったんだ…」「そうだったのか…つらいこと思い出させちまってすまなかった」「兄貴、頭上げてよ。ここ、イスラム圏でしょ?(笑)」「そうだな。現地の人に誤解されたらどうしよう。って言うか、やっと心から笑ってくれたね。まだ会って数時間だけど、こっちは君が作り笑いしてばかりで心配してたんだぜ?」「気付いてたの?」「そりゃ気付くさ。誰だってあんなリアクションされたらな」「そっかwところで今、何時?」「あっ、あと2時間で列車行っちゃう」「夕飯食べて行かないと明日の朝まで飲まず食わず?」「そうだな。とりあえず、急いでセントラルまで戻るよ。ビュッフェだけどマレー料理の品揃え豊富な穴場食堂がセントラルの駅前にあるんだ」
そう言い切る前に、俺たち2人はエレベーターに飛び乗り、駅までの連絡通路を駆け抜ける

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ユーラシア大陸縦横断旅⑥

「お呼びですか?」「クアラルンプール来るの初めてで、市街地への行き方が分からないのに、言葉も通じなくって…」「市街地のどの辺ですか?」
「ペトロナスツインタワーなんですけど…」「俺もちょうどそこ行こうと思ってたので、ご一緒しますね」「ありがとうございます。お兄さん、お名前伺ってもよろしいですか」「○○(俺の本名)です。」「かなり珍しいお名前ですね」「そりゃそうでしょう。自分、純日本人じゃなくて日韓ハーフなんですよ。それで、親が日本語でも韓国語でも呼びやすい名前にということで付けてもらったんですよ」
「お兄さんの下の名前って、漢字だとどう書きますか?」
俺が名前の漢字を書いてみせる
すると、向こうが驚いた
「え?もしかして、東京の兄貴?」「じゃあ、もしかして、君は俺がいつぞやの初夏に恋して忘れられなかった九州の妹分?君の名前の漢字ってこうだっけ?」
とりあえず九州にいる想い人の下の名前書いてみる「私の名前、それだよ!というか、あの時私に恋してそれ以来忘れられなかったの?」
「そうだよ悪かったな。あの時、オープンチャットで君に恋してお互いやり取りできなくなって以降、俺の好みに合う女性に巡り会えなくて、君のこと忘れられなくなってな」「そうだったんだ…
実は、福岡発だとまだクアラルンプール行きの直行便ないの。だから、バンコク経由かシンガポール経由なんだけど、安かったのがバンコク経由よ。
でも、鉄道旅でバンコク経由してラオス行くから、また戻る感じになりそうだけどね」
「え?バンコク経由して列車でラオス行くの?」「うん。ラオスからは中国が作った国際列車で雲南省昆明まで行って、そこから高速列車で北上して北京、モンゴル経由でロンドンまで行くの」「俺のとルート一緒じゃん。切符のデータってある?」「はい、これ」「こんなことってある?全部同じ列車だ。しかも、指定席は隣だし、寝台列車は2人用相部屋なんだけど寝台は俺と同室じゃん」「兄貴、これからロンドンまでよろしくね。」「こちらこそよろしくな。ここ、クアラルンプールもヨーロッパはベルギーのブリュッセルも、ロンドンも一度は訪れたことあるから、案内は任せてよ。」
そう、俺はかつてオープンチャットで恋した後輩のまだ見ぬ女の子と再会(?)したのだった
列車が来る時間が近づいたので、2人分荷物を持って駅へ行く。

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ユーラシア大陸縦横断の旅⑤

前泊まった時はここのホテルで朝飯食えずに朝イチの空港シャトルでターミナル行ってすぐにデンパサール行きに乗ったよなぁ
朝飯はビュッフェか
イスラム教を信仰する人が多いから、料理もハラールの物が多いなぁ
この国は他民族国家だから、他の国の料理も選択肢に入ってるけど、まあいいか
朝からカレーも食っちゃえ!
だいぶ食ったなぁ
さて、チェックアウトまでは時間あるし、空港行こうかなぁ
「バンコク乗り継ぎだったけど、無事着けてよかった〜」
え?今の日本語だよな?それも若い女性の声?
というか、この人は日本から安く行ける直行便あるのに、なんでバンコク経由という選択肢取ったの?そんなことを疑問に思ってた
「どうしたらいいの、言葉が通じない…」
「『どうしたらいいの』ってこっちが言いたいよ…
チェックアウト済んだはいいものの、この観光客助けてたら本数が少ない速達列車に乗り遅れちゃうんじゃないか?ここ、駅から少し離れてるもん」と思わず日本語で言ってしまった
「そこのお兄さん、ちょっといいですか?」
呼ばれたら無視することはできないもんなぁ
しょうがねえ、一本後の特急乗るか
あの時はこの会話から運命の出会いになるとは思わなかった

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ユーラシア大陸縦横断旅②

2つの観光地に近いチャイナタウンのホテルでチェックイン
ここ、シンガポールは中国にルーツを持つ人、いわゆる華僑とか華人と呼ばれる人が多い
しかも、その多くは福建省とか広東省と言った中国南方の美食で知られる地方にルーツを持つ中華料理、それも南方の料理が美味しいはずだ
でも、インド系の人も多いからインド料理も旨そう
シンガポール名物の海南鶏飯でも食べるか!
アレ、結構美味いんだよなぁ
海南鶏飯って、実は中国の海南島のあたりの移民が持ち込んだ鶏肉と米の料理だからそのまま海南鶏飯と呼ばれてるんだよなぁ
まあ、日本ではシンガポールチキンライスって呼ばれてるけど
タイ料理のカオマンガイと確かルーツは同じだから、バンコクでカオマンガイ食べるとなると2日連続で同じもの晩飯で食べることになりそうだなぁ
まあいいか
旅先の郷土料理の中でも、特に俺の好みに合う物を食べるのが俺の美徳なんだから
そうと決まれば、チャイナタウンで街歩きしながら、食べ歩くか〜
ー2時間後ー
あっ…食べ過ぎて歩くのキツい
いやまぁ、大好物だとは言え一品で一食賄える料理を店5軒回って同じ料理食べまくったからな
シンガポールは物価高いけど、その割にこの料理は安くガッツリ食べられるからって調子乗り過ぎた…
明日、長距離を列車で移動するのにこりゃ大変なことになるだろうなぁ
まあいいか
明日のJB(ジョホールバル)発の列車は夕方の便だから、午後2時くらいまでは観光できるかなぁ

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ユーラシア大陸縦横断旅①

ここは午前6時の成田空港1ター南ウィン
俺が乗るのはSQ637便、シンガポール・チャンギ国際空港行きだ
俺は念願の大陸縦横断の旅に行くつもりで起点をシンガポールに選んだ
なぜなら、シンガポール側のウッドランド駅からは世界最短の国際列車が出ており、対岸のジョホールバル経由で北上してKL、そしてクルンテープ、いわゆるバンコクを経由してさらにラオス経由で中国雲南省へと北上し、さらに北上して北京からモンゴルのウランバートル経由でモスクワへ行く
モスクワからはミンスク、ワルシャワ経由ベルリン行きでドイツ入りし、ベルリンからハンブルク経由でケルン、ケルンからブリュッセル経由でパリ、パリから先はユーロスターでロンドンまでの長旅だ
時は変わってここは機内
離陸してすぐ、利根川と霞ヶ浦が左に見えた
そして、今度は房総半島が右に見える
ここから太平洋に出て、フィリピンはミンドロ島のサンタクルズ上空を経由してリアウ諸島沖上空から着陸する8時間の旅
飛行機は日本時間の午前10時50分発
つまり、到着は日本時間で夜7時になる
俺は進行方向右列の窓側に座っているから、到着時はジョホール海峡に沈む夕陽が見えるはず
アレ?
到着早まった?
気づいたら、チャンギ国際空港の3ターに到着だ
さあ、今日はどこで晩飯食おうかなぁ

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My memory in London 〜幼馴染の君へ〜

成田の2ターから香港経由で飛ぶことおよそ20時間
ロンドン西郊ヒースロー空港に降り立った
それから1時間ほど経ってかの有名な時計塔の前をタクシーで通ったら夜11時を告げる鐘が鳴った
君に会いにここまで来たんだ
大陸一個飛び越えたんだよ?
もともと母親同士が仲良くて俺たちも仲良くなったそんな君との幼稚園の卒園式以来の再会を楽しみに、日本海もウラル山脈もドーバー海峡も越えてブリテンの島に降り立った
君に真っ先に会いに行きたかった
でも、弟の幼馴染も英国にいたから、そちらを優先せざるを得なかった
大英博物館の展示品は圧巻だったし、オーストラリアのシドニーで食べて以来のフィッシュ&チップスも美味かった
一時的に君のこと忘れてロンドン観光を楽しんでしまった
タワーブリッジだって何度もバスで渡ったし、飽きるほどダブルデッカーバスにも乗った
チューブにも乗った
テムズにかかるウォータールーの橋から見る夕焼けは綺麗だったなぁ
君と再会したのは俺がヨーロッパ旅行の真っ最中で次の旅先であるコペンハーゲンに飛ぶ前日だった
君との再会の時は俺たち2人とも、ガチガチに緊張してめちゃくちゃ他人行儀だったな
それでも、俺はあの時君に会えて本当に良かったよ
デンマーク行きのスカンディナビア航空の機内で名残惜しくて泣いた
でも、EUレールパスの日付の関係で次はいつ会えるか分からない中シェラン島へ行かなくてはならなかった
それから3年、君が帰国して気付いたら同じ高校で、同じクラスになった
緊急事態宣言発令直撃で登校不能
オンライン学活でロンドンまで君に会いに行ったこと忘れられてたのは忘れないよ
結局、俺たち地元の幼馴染コンビでうまくやっていけたのはクラスが同じ最初の一年間だけだったよな
俺は誕生日も幼稚園の頃のかけっこもヨーロッパ行きも全て君より遅かったけど、今日やっと18になれた
将来のことで分岐することはあるだろうけど、どんなに離れていても俺たちは同じ地元のエースさ
これからもよろしくな
俺たちが20歳になる2年後にはコロナも収まるだろうから、その時は一緒に思い出の街、ロンドンでビールでも、いやイギリスではエールが主流か
まぁとにかくロンドンのパブでフィッシュ&チップスと思い出話を肴に酒飲みながら男同士語り合えることを願ってる
受験、頑張ろうな

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友へ

君との出会いは小学3年の秋だった
当時の俺は特定の相手にしか心を開かなくて君にも迷惑かけたっけ
お互いに色々あって、小学4年に上がったと同時に離れ離れになってたよな
俺は君と離れ離れになった頃に習っていた剣道でお世話になった鉄道好きの先輩2人の後を追って、先輩達と同じ中学に進んだ
そしたら、入学式の日に君がいて驚いたよ
俺は昔みたいに先輩達と話をしていたら、君も俺と同じ鉄道ファンだと知って俺たち3人と同じ会話のグループに入ってゆき、君の幼馴染の鉄道ファンも加わって5人のグループが出来上がったな
俺は中央線を駆け抜けた特急型車両のラストランには立ち会えなかったけど、君が代わりに行って、写真も撮って送ってくれて助かったよ
それから俺たち4人で集まったのはその年の夏の地元の阿波踊りだったな
俺はみんなと分かれた後、東京駅に直行して当時先が短いと言われていた特急の車両を見に行ったんだ
それから2年、俺たちの地元、東京でもコロナが流行り始めてヤバいことになるかもしれない時に君の企画のもとで半ば無理矢理行った卒業旅行でのことは忘れないよ
前日に急遽待ち合わせの時間を前倒ししたのに、俺が当日に寝坊して当初の予定通りにことを進めた結果3人揃って泉岳寺から歩くハメになってしまってごめん
俺は予定があって君たちより先に帰ったけど、あの時に降り立った砂浜で遊んだこと、それから河津桜と菜の花が織りなす色の絨毯は今でも印象に残ってる
高校が別々になったから、大学も将来歩む道も別々になるだろうけど、俺たち3人はいつまでも同じ中学の同級生鉄オタトリオとして永久に不滅の絆と友情で繋がっている
君の世話になったからこそ、次は俺が高校の卒業旅行を計画しようと思う
俺たちの友情を再確認するために、またあの砂浜で写真を撮ることは確定だけどね
そして、俺たちは新たなステージへ飛び出し、予定が合えば何度でもあの砂浜に行こうや
母校と同じくらい、大切な俺たちの原点だから

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往年の列車は心の中へ

幼き日の俺を乗せて韓国の大地を走り抜けたセマウル号はあの窓が楕円の客車から最新式の四角窓のITXセマウルになった
日本では俺が乗ることは叶わなかったが、名前が次世代の名前に受け継がれた列車は数多くある
遠い北陸と越後湯沢を結んだ「はくたか」は新幹線に、ブルートレインでお馴染みの「はやぶさ」、「さくら」も新幹線の愛称になった
1番の憧れだった大阪と札幌を結ぶことで有名な
トワイライトエクスプレスはクルージングトレイン
トワイライトエクスプレス瑞風になった
急行銀河もWEST EXPRESS 銀河となった
夢の超特急として知られた0系こだま
300系ひかり、500系のぞみも今はN700系,N700A,N700Sの3つの車両にその名を譲り、今は一線を退いた
それから最近,九州では特急かもめが無くなって新幹線の名前にもなってたな
甲州街道沿いを駆け抜け、後に他の私鉄にも譲られたことでお馴染みの往年の名車両の5000系は新たにデビューした京王ライナー向けの車両の形式番号を新5000系としたこともあったな
思い出の車両や憧れの列車は世代交代が進み、今はもう俺が乗ったことのない列車や乗りたくても料金が高くて乗れない列車ばかりだ
俺の思い出や子供の憧れとして日本全国を突っ走った先輩達のバトンを受け取った後輩列車は走り出す
今では,世間的にはまだまだ若いはずの俺よりも若い車両が増えている。
通勤電車では首都圏のE233系とか、車両の外見とデビュー当日のハプニングから電子レンジという蔑称で呼ばれるようになってしまったE235系もそう
新幹線なら俺のいる東京と想い人のいる街を結び恋愛成就という望みを乗せて走るのぞみ号のN700、はやぶさ1号のE5,H5系、こまちのE6系、北陸・上越新幹線で走る若手エースのE7,W7系もそうだ
往年の気動車、キハ40の後釜と呼ばれたGVE系統も忘れてはいけないな
「負けないでもう少し、最後まで走り抜けて」俺たち鉄道ファンが歌うこのワンフレーズの歌詞に乗せ、都営地下鉄三田線6300形や中央線快速電車の209系はいつ置き換えが終わるか分からない中、今日も走り続ける
俺は鉄道ファンとして、この先輩たち、いやその後輩たちの活躍も胸に刻み、今日も鉄道を乗り回す

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コロナ前最後の帰省

学校の終業式を終えて帰宅し、既に纏め終わった
荷物を持ってNRTに直行し
2時間のフライトを終えて親子3人
仁川国際空港第二ターミナルに降り立った
平昌オリンピックの前後だったな
オリンピックのマスコットがお出迎え
親父数日後に合流の予定
到着は夜の9時前後
空港鉄道で二駅ほど
ウンソ駅前のホテルに1泊
クリスマス前後の夜、非常に冷え込むので
駅の入り口側の食い物屋で串刺しのおでんとその場で蒸してくれる水餃子を人数分一パックずつ注文して部屋で窓から見える列車を見ながら食べる
一夜明け、叔母の住むソウルへ
しばらくは叔母の家に泊めてもらうことに
その後,母の郷里の田舎町へ向けてソウル駅へ
客車の窓が四角い客車列車の急行ムグンファ号南行麗水EXPO 行き
ソウル駅を出てからおよそ数分,龍山を過ぎたあたりで凍った川にかかる鉄橋を渡る
そう、この川は俺にとって思い出に残った出来事が多くまた韓国有数の大河として有名な漢江だ
そして、永登浦を過ぎるとソウルの郊外へ出る
世界遺産の城として有名な城のある水原に着く
懐かしいなぁ
この地にある世界遺産のファソン(華城)には家族4人で行ったことがある
台風のせいで華城列車という移動手段が使えなくて山のように建つ城壁の頂上から歩いて入り口まで雨の中傘もなく下りたのはいい思い出さ
そんな思い出の町を過ぎ、祖父母と俺と母さんとまだ幼稚園児だった弟と海を見に行ったアサン(牙山)の街まで南下して来た
ここまで来れば、禮山の町はすぐだ
大型の温泉保養施設で夏にはプールもやってる大型施設のパラダイススパの最寄り駅、道高(トゴ)温泉までやってきた
ここの駅は昔移設された経緯があって今の位置にあるそうだ
旧駅跡には廃線跡を活用したレールバイクの施設で親戚一同集まって遊んだっけ
そんな今までの母方の実家へ帰省した時の思い出に浸る12歳の日韓ハーフの少年、
目的の駅に着くまであと数分ということで下車準備をする弟,迎えの親戚から駅に着いたと連絡を受けた母親の3人を乗せてムグンファ号は田舎町、禮山の中心地から一駅手前の駅に着いた
数日後、親父を迎えにソウルの玄関口と言える空港に向けまた北上する
今度は客車の窓が楕円形のセマウル号が親子3人と故郷からソウルに戻る若者を乗せて北へ向かう

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乗ってた時間こそ短いが

家族4人,2回台湾の地を踏んだ
1回目は、台湾の成田空港と言っても過言ではない桃園の飛行場から台北へ
2度目は、小港飛行場こと高雄国際空港から高雄市街へ
どちらもタクシー移動がメインだったけど、高雄と台南の往復の移動で乗った自強号や花蓮からの帰りで乗ったタロコ号、市街地の移動ではMRTの地下鉄は今でも記憶に残ってる
歴史の街,台南と港湾都市の高雄はかなり近いけど観光客も通勤客も運ぶ重要区間
島の西海岸にあって南端に近い中で1番栄えている港が高雄、そのやや北にあるのが歴史の街
まるで京阪間みたいだな
車窓も大都市とベッドタウンを結ぶような風景さ
タロコ号の沿線は、原住民が今も暮らし、国立公園があるタロコの山から流れた川が生み出した綺麗な海岸線がしばらく続く
海の反対側には山がそばにある関係で車窓はまるで伊豆みたい
いつか彼女ができたなら
見せてやりたいこの車窓
鈍行列車でノロノロと
乗れば海の風景を2人で独占できるはず
高雄の空港降りたなら
まずは地下鉄
北に行き
君に見せたい美麗島
駅の改札の天井は
ステンドグラスの装飾が
俺も一度は行ったけど
忘れられない美しさ
今もスマホの待ち受けに
そこから一駅
高雄駅
自強号で1時間
台南越えたらすぐに着く
嘉義の街にも行きたいな
不屈の闘志を示した高校の
球児が過ごした街なのさ
お茶の山地で有名な
阿里山行くにも都合がいい
そのあとガオティエ乗り込んで
着いた駅は
台北だ
ここはよく混むターミナル
だから俺の手離すなよ
MRTの赤線で
着いた駅は101
あの有名な
観光地
タワーから見る街の夜景
美しいこと間違いなし
台湾の
古い呼び名はフォルモサで
美しい島という意味の
ポルトガル語が由来だよ
自然と歴史,多様な文化が織りなして
できた魅力が溢れてる
島より素敵な君だけは
絶対手放す気はないよ

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思い出の鉄道は、数年の時を経て蘇る

ここはデンマーク、コペンハーゲン中央駅
スーツケースを持って俺と弟と母が横並びに3人、ここから出るハンブルク行きICE列車を待っている「本当に、列車ごと船に乗り込むの?」「そうだよ。かつて日本で、本州と北海道を結んだルートに準えてドイツの青函連絡船って呼ばれてるよ。俺、一度は乗ってみたかったから楽しみだなぁ」そんな話に「2人とも、今日の景色は一生に一度きりかもしれないから、よく目に焼き付けてね」と母親が言う。
そして、親子3人を乗せた特急はこの旅のメインルート,大ベルト海峡の航路、いわゆる渡り鳥ルートを過ぎてハンブルクに着いた。
親子の旅はまだまだ続き、場面は変わってオランダのアムステルダム中央駅
「まるで東京駅だ。東京が恋しいなぁ」そう呟く俺の声は母の耳に届いたようだ「ベルギーではハズレだったけど、こっちには美味しいと評判の和食屋があるから、寝台列車までの時間で食べに行こうか」そんなたわいもない会話を経て一家はCNLペガスス号のアムステルダム発チューリヒ行き寝台特急に乗り込んだ。
それから数時間,オランダのユトレヒトも、ドイツのアーヘンもボンも過ぎてスイスのバーゼル付近を走行中、俺は電車酔いに悩まされ、宿泊地のグリンデルバルトで体調を治してスイスの旅を楽しんだ
それから数ヶ月後、このドイツを中心に走るCNL寝台列車が全系統廃止された。その3年後、今度はコペンハーゲンとハンブルクを直線的に結ぶ渡り鳥ルートが廃止になった。
渡り鳥ルート休止の2年後に当たる2021年12月,名前をナイトジェットと変えてオランダ〜スイス間の寝台列車が復活した。
そして2022年現在、かつての渡り鳥ルートを船を介さずに結ぶ橋やトンネルの建設が進められており、ドイツからのICやICEが走る日も近いそうだ。
俺たち兄弟の思い出を乗せた列車は名前を変え、車両を変え、ヨーロッパを巡る旅人を乗せて新たな時代のヨーロッパを駆け抜けてゆけ!

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鉄道唱歌アレンジ〜別バージョン編〜

1:海のあなたに薄霞む
山は上総か房州と
歌に詠まれし品川の
駅より伸びる
京急線
2:江戸より伸びし五街道
海沿い進みし東海道
横浜近くの宿場まで
電車は旧道沿い走る
3:品川駅を出で行けば
坂を登りて急カーブ
今も忘れぬ鉄橋の
下行く列車は
数多し
4:品川駅は品川の
区より北の町にあり
それ故次の停車場は
北品川と呼ばれたり
5:ここはかつての宿場町
海苔とアサリの
名産地
海岸線の埋め立てで
面影消える悲しさよ
6:品川宿を後にして
次は梅の大森よ
お雇い博士の
モース氏が
見つけし塚は
北にあり
7:昔は開かずの踏切と
呼ばれし蒲田の駅超えて
渡るは六郷川の橋
川崎駅に着きにけり
8:京浜急行電鉄の
鉄道線の
発祥地
それはこの町
川崎と大師を結ぶ
大師線
9:川崎出でて花月園
名を変え花月総持寺の
駅より省線右に見え
電車の競走面白や
10:鶴見子安を後にして
今着く駅は
仲木戸ぞ
横浜線は乗り換えよ
11:絹糸運びし鉄道も
今は通勤路線なり
在京私鉄三線と
ケト線繋ぐ生命線
12:大船行きは乗り換えと
呼ばれて降るる
横浜の
旧駅名は平沼で
旧横浜は桜木町
13:桜木町の駅前は
世にも名高き
みなとみらい
デートスポット集まりて
夜景の綺麗な町となる
14:根岸線に乗り換えて
関内駅に着きにけり
災害復興されしのち
今建つ
横浜スタジアム
15:機械と車掌の声曰く
次に止まるは
石川町
歩きてすぐの名所とは
山下公園中華街
16:山手も磯子も打ちすぎて
右に見ゆるは
品鶴線
根岸線の終点は
今着く駅の大船よ
17:横須賀行きは乗り換えと
呼ばれて降るる
大船の
先の鉄路は
江ノ島や横須賀
神戸へ続きたり