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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 18.メドゥーサ ⑰

ネロやメイ、そしてわたし達は寿々谷公園内の屋台やステージを周った。
お昼時も近かったのでたこ焼きの屋台に寄ったり、スーパーボールすくいの屋台で色とりどりのスーパーボールをすくったり。
屋外ステージでは近所の寿々谷高校の吹奏楽部の演奏を見たり、大道芸人のパフォーマンスに盛り上がったり。
わたし達4人はネロとメイの様子を側で見ているだけだったが、2人共楽しそうにしていて見ているこちらも楽しかった。
時々ネロがメイに対して恥ずかしそうな顔をするのを見ていると、ネロってこんな顔をするんだなと新たな発見もあったし。
わたし達はすっかり市民まつりを楽しんでいた。
「…それにしてもネロ、今日はすっごく照れまくってたな」
メイがお手洗いに行っている最中、公園の遊具がたくさんあるエリアで耀平がネロにそう話しかけた。
「見ていて楽しかったぞ~」
耀平がそう言うと、ネロはた、楽しかったって…と顔を赤らめる。
「そうだな」
滅多に見られないネロの顔が見られて俺達は良かったぞ、と師郎は腕を組む。
「えー」
ネロは思わず目を逸らす。
「べ、別に照れてるつもりないし…」
ネロがそう言うと、そんな事言うなよ~と耀平はからかった。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 18.メドゥーサ ⑨

「なるほど」
つまりわたしがあの子の昔の知り合いに似てたからこの間話しかけてきたんだ、と言いつつ少女はネロに目を向ける。
ネロは恥ずかしがって耀平の陰からこちらを覗き見ていた。
「うん、何かそうらしいんだよー」
ごめんなーアイツが迷惑かけてーと師郎は笑いながら頭をかく。
「ううん、良いの」
わたし、ここに引っ越してきたばかりだから誰でも話しかけてくれる人がいるのは嬉しいな、と少女は微笑む。
「それで…謝花 メイ(じゃはな めい)ちゃん、だっけ」
「うん」
わたしが話しかけると、メイと言う少女はこちらを向く。
「どうしてここへ来たの?」
ショッピングモールのこんな隅っこ、中々来る人いないんだけど…とわたしは呟く。
「あー、ママがね、トイレ行って来るからあっちで待っててって言ってたの」
そしたら見覚えのある子がいて、とメイは続ける。
「…で、よく見たらウチのネロだったって事か」
耀平がそう言うと、メイはうんとうなずく。
「まさか、先週話しかけてきたあの子だなんて思わなくて」
びっくりしちゃった、とメイは笑いつつ再度ネロの方を見た。
ネロは驚いて耀平の陰に顔を隠した。

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