ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 18.メドゥーサ ㉓
「…メイをここまで連れ出したのは、アンタか‼」
ネロはそう怒鳴るが、少女はうふふふふと笑うばかりだ。
「そんな事はどうでも良いわ」
両目を暗赤色に輝かせた少女ことヴァンピレスはこう続ける。
「2人共、わらわの餌食になって?」
そう言って彼女は白い鞭をどこからともなく出すと、それを思い切り振り回した。
「危ない‼」
いつの間にか異能力を使うのをやめた耀平は思わず飛び出す。
ネロは咄嗟にメイを突き飛ばすと、どこからともなく黒い鎌を出してヴァンピレスの伸びてくる白い鞭を受け止めた。
「ネロ‼」
メイは困惑した顔で叫ぶ。
ネクロマンサーは具象体同士のぶつかり合いに苦悶の表情を浮かべた。
「これは、どういう…」
「ボクに構わず逃げろメイ‼」
メイの言葉を遮るようにネクロマンサーは怒鳴る。
「ほら、逃げるぞ」
耀平がそう言ってメイを立たせようとする。
しかし、メイは立たない。
メイの目はヴァンピレスと戦うネクロマンサーの姿に釘付けになっている。