表示件数
0

ファヴァー魔法図書館 #52.5

『ユリさんのグリモワール講義その1』

BGM〜【蓬莱伝説】
ガラシャ「ねぇユリ、グリモワールって結局何なの?」
ユリ「そう言えば言っていなかったね。君は魔法使いの素質があるからね、教えてあげよう。
名付けて『ユリさんのグリモワール講義』だ!」
ガラシャ「メタいわ、凄いメタ発言だわ。」
ユリ「おっと危ない。それじゃあ気を取り直して。」
ユリ「まずはグリモワールとは何なのかだね。
君たちも知っている通りグリモワールとは魔道書だね。読んで時の如く「魔」法を「導」く「書」の事だね。そして私がそれの執筆者って訳だよ。」
ガラシャ「魔法を導くって具体的にはどんな感じなの?どうせ魔法使いの考えたものだから私が使った使い方以外にも有るわよね。」
ユリ「そうだね色々とあるね。
一つ目は君に使った様に魔法を単純に暗記せずに引き出す使い方。
二つ目は特殊な文字列で魔力を上げる使い方。
三つ目は...これが一番重要な使い方なんだけど、魂を導く使い方だね。」
ガラシャ「三つ目が解らないわ、何それ、魂を導く?詳しく教えて。」
ユリ「それがね、ここで終わらせたらヤバイんだよね。(企画的に)」
ガラシャ「またメタ発言......相変わらずね。」

P.S.急に書きたくなって書いてみました。
はじめに書いてあるBGMは僕の気まぐれです。ですが後ろで流すのを推奨します。
僕の気まぐれで続けます。(とか言って書くのが楽しいだけだったり笑)

0
0

ファヴァー魔法図書館 #50 『6章 管理人執筆中』

『助手【ミリオ】』

『雨夜詩』
【こんな時
僕は何処か飛ばされそうで
一人怖くて
すがりつきたくても何も無いような気がして
零れる音が無情に響き
僕の心に硫酸のあめを降らす
ああ、天にましますリリュウメネ
私の孤独を...リリュウメネ】

「.........ねぇ、ミリオ。
この子は何でこう考えちゃうのかな、
この子は少なくとも恵まれていた、僕よりは。
何でだろうね、ホントに。」
管理人はミリオにそう言った。
「..................。」
ミリオは話すことが出来ない。
傍から見れば何時もジェスチャーで管理人と話す。
「そうだね、そう考えるんだね。なるほどね.....。」

ミリオは一定の周期でハーヴティーを淹れる。
幸いここのハーヴティーはチープなオレンジジュースにはならない様だが。
管理人は一定の周期で満足する。
「うん、うん、やはり君は上手いね。
人を見る疲れはこれぐらいでしか取れないよ。」

「ミリオ、この本をあっち側の最果てに置いてきて暮れるかな?グリモワールはそのうち届けるから。」
管理人はそう言い残しカンテラの火を渡した。

To be continued #51 『助手【シェスコ】』

P.S.えーと、始まりました、6章。
この章は助手達の目から管理人さんを掘り下げようと思います。
久しぶりに純粋なこゝろを持とうと思います。

2
0
0

ファヴァー魔法図書館 #48

『コタエとケツイ』

「文紡さん、何故ですか。
何故突然想起堂を辞めてしまうのですか。
何故今なのですか。」
勘木の質問に文紡はゆっくりと応えた。
「それは私自身の問題です。
今ここで理由を説明することも出来ますが、貴方に理解させる事は至難の業です。いくら私が唄あはせの優勝者で貴方が準優勝者であっても...ね。」

文紡の辞表は皆が思っているよりもあっさりと受理された。
渚瀧院文紡としての最期の日、文紡の退任式典が執り行われた。
退任式典で文紡のする事は後任者の指名と院名の授与である。
「わたくし、渚瀧院文紡は後任者に先の唄あはせの準優勝者、『勘木』を指名致します。
そして院名『真紡院 文明』を授け、わたくしは想起堂主任歌人と専属三味線奏者を退任させて頂きます。」
文紡はこの瞬間をもって『渚瀧院文紡』では無くなった。
また、林中明動としての人生を歩み出すのだ。

文紡は文紡で無くなる前、八千代に呼び出されていた。
「文紡、貴方は記憶が飛んでいる。そうですね。」
「......何故、解ったのですが?」
「そんな事、今は関係ありません。其処には貴方がそういう状態だという事実があるだけです。」
「八千代さまは...何かを知っているのですか?」
「悪い事は言いません。私は貴方に『ファヴァー魔法図書館』へ行くことを勧めます。」
「八千代さま...一体......」

文紡は通称となり今や隣に有るのは一つの三味線。
そして文紡は旅人になる。
それは、虚空に消える藍微塵のように。

To be continued #49 『黒幕(第5章最終話)』

P.S.昨日サボったので今日は2話投稿しました。
何だかこってりしてますね、この話。
なんて意味の無い事言ってみたり笑

0

ファヴァー魔法図書館 #45

『A.L.N王女、来訪』
「文紡さーん、起きてください。」
勘木の少し気の抜けた声が文紡の部屋に響き渡る。
「......おはやうございます...勘木...何故何時もより一時間も早く起こすのですか?」
勘木は少し驚いた表情で、
「何を言っているんですか。今日は他国の王族のお方がいらっしゃるんですよ。文紡さんも行かないと行けないじゃ無いですか。」
と、言った。

A.L.N第一王女『アレクサンドラ=ディアナ』
この星で一番広い国の王位継承者である。
今日はネペジの現御神の位『宝条八千代』と様々な会談をするという。
文紡は昼に開かれる歓迎の食事会で披露をする予定だった。

「また忘れていたんですね、どうしたんですか?最近忘れ事が多いですよ。」
勘木は心配していた。
文紡は「多分疲れているんでしょう。」とだけ言って支度を始めた。

『A.L.N』正式名称『ALL LAND NATION』。
北南に広大な広さを持ち、北は極寒、南は熱帯という国である。
様々な国の気候が集まり様々な国の生態系がこの国で形成されているというのが国の名前の由来である。
ネペジとは友好関係にある。

文紡は支度を終え、勘木に言った。
「では、行きましょうか。」

To be continued #46 『唄あはせ前夜』

P.S.ふぅ......。
......眠気って、兵器に流用出来ないかなぁ......。
ってずっと考えていました。

1

ファヴァー魔法図書館 #44

『Curious under the moon syamisen and song』
ばんばん...べんっ...ちき...
【今宵はよく良く月が見え
今宵はよく良く地が冷える
地が冷えるなら雲がなく
地が冷えるなら空きよし
星も瞬くやまなしや
かわもを流れるやまなしや
山無し曰く病ま無しと
我に問うたは我が母や】
............ちきちき......ちき...

.........故郷とは、薬そのもの。
薬即ち毒となる。
故郷に居過ぎるのは毒だ。
たまに帰るから良いのだ。

「文紡、貴方は天才です。
ですが、それ故に他人とぶつかり合うという事を知りません。
そうです、貴方は想起堂に来なさい。
此処に居たら貴方を負かす人間も現れるでしょう。
その時を、挫折の時を待つのです。
その時が、貴方が歌聖と成る瞬間です。」

故郷とは.........下らないものだなぁ。
と、考えるのも毒なのだろうか。

To be continued #45 『A.L.N王女、来訪』

P.S.恐らくただいまです。
二週間で帰ってくると言った割には一週間でしたね笑
流石約束破りに定評のある僕です笑

この一週間何をしていたかと言うと、音楽聞いたりインスト曲作りながらだらだらプロット書いていました。(インスト曲作ってて分かったけどやっぱ東方の影響って凄いや)
思いつきが多くて整理が地味に大変でした。
とまあこんな感じで多分上手く纏められたので再開します。

それと、#36って......あったじゃ無いですか。
アレ、締まっておくのもアレなんで。
このあと投下しておきます。
(彼処です......渋です。)
頑張って探して頑張って解読してね笑

0

ファヴァー魔法図書館 #43

『唄あはせの便り』

ある日、文紡の部屋へ弟子の一人の勘木が一つの便りを言いに来た。
「あの......文紡さん...残念ですが...。」
文紡は悟った様子で言った。
「わかっています、もう長くは無いと。」
勘木も残念そうに、
「そうです。『唄あはせ』の時期が来てしまいました。」と言った。

『唄あはせ』とは年に一度の行事である。
官民問わず国中の実力ある歌人が宮殿内にある『無相の言の葉の館』に集まり、歌を詠み合う。
文紡はこの行事が嫌いで嫌いで仕方が無かった。
原因はそのルールである。
二人が向かい合い一人が短歌を詠み、もう一人はそれを聞く、そしてそれに返歌を返す、またそれに返歌を返す、またそれに......と言う風にどちらかが返歌を返せなくなるまで続けると言う感じである。

文紡は天才である。
そしてかなり優しい人間である。
その性格故に、人を負かすのが嫌いなのである。
だが、勝ってしまうので自ずとその姿を見てしまう。
しかし『想起堂』の人間として出ないといけない。
そういうのが嫌なのである。

「仕方ないですね、今年も出ます。
今年こそ誰か私に勝ってくれないでしょうか。」
文紡の願いは切実である。

To be continued #44
『Curious under the moon syamisen and song』

P.S.最近、たまにインスト曲を作ったりします。
適当に頭の中のメロディラインを打ち込むのですが。
良くそれを物語の発想の起点にしています。
勿論この章にもテーマ曲があります。
どうせ黒歴史入りしますけど笑

それと、一つ。
この間完結させたプロットが気に食わなかったので書き直します。なので、暫くファヴァー魔法図書館は休みます。
このままだと「性格破綻ワロタw」とか「何故殺したし」とか言われそうだったんで笑
まぁ一、二週間で帰ってきますけどそこん所よろしくお願いします。

0

ファヴァー魔法図書館 #42

『ガラシャは貰って行きます』

この夜、文紡は三味線を弾いていた。
弾いているだけでは良かったのだが、つい熱が入ってしまったのだろう、三時頃まで寝ずに弾いてしまっていた。
文紡が時間に気付き寝支度を始めようと思った時、窓際に思わぬ来客があった。
その来客とは、
大魔法使い『ユリ・ロトウ』である。

「へロー無垢な奏者くん。突然だけど伝言を頼めるかな?」
文紡は状況がいまいち読めなかった。
目の前にいる大魔法使いの事は知っている、
でも何故ここへいるのだろう、
彼女はファヴァーに引きこもっていた筈だ。
文紡は考えるのを止めて訪ねた。
「はい、何でしょう?」

「いいね、じゃあ言うよ。
ガラシャはここに帰ってきたくない様です。
それで、私ユリと共に旅をしたいそうです。
ガラシャは貰って行きます。
......と、八千代さんに伝えて貰えるかな?」
と言ってユリは消えてしまった。
暫くして文紡は思考を取り戻した。
「.........どう伝えよう。どうやっても大事になるな。」
結局、文紡は夜を明かす事になってしまった。

To be continued #43 「唄あはせの便り」

P.S.たまには追記も真面目に書かないと。
なーんてことをしたら載りませんでしたでした笑
やっぱりいつも通りが一番だね!!

なーんていっつもハイテンションで書いてるけど。
現実の俺は友達から「気がついたら萌え尽きてそう」と言われるくらいローテンションの根暗なんだよな......酷いね笑
でもここでパラドクスが生まれるんだよな。
俺がこんな奴じゃなかったら幾分か人生は初月なんだろうけど、それだと俺の大部分の構成要素である文学とか漫画とかゲームとかとは縁が遠くなってしまっているだろうからそれはそれで幸せなのかってなるんだよなぁ。

やっぱりいつも通りが一番だね笑(2回目)

4

ファヴァー魔法図書館 #41

『ネペジ現御神の位』
ネペジには代々国家元首の称号である
『現御神の位』を継承する家がある。
その名も『宝条家』、そして現在の現御神の位の称号を継承しているのが『宝条八千代』である。

渚瀧院文紡はこの日、八千代に呼び出されていた。
「渚瀧、最近の出来はどうですか?もう3日も文紡は唄を出ていないのですが。」
文紡は少し気まずそうに応えた。
「えーと、最近降りて来ないんです。言の葉が。
スミマセン、院名を頂いたのに。」
八千代は少し落ち着いた様子で、
「良いですよ。逆にこれまでの院名継承者より作詞間隔が狭くて心配していたところでした。くれぐれも無理はしないようにして下さいね。」

文紡は八千代のいる萃霧宮をでて想起堂へ戻った。
そして三味線を取り、思うままに詠んでみた。
ちきちきばんばん...
【舞いし夢想の記はいずこ
二度と戻らぬ儚さと
幽幻夢幻の華やかさ
その身即神仏なりて
蘇らせは出来まいか
舞踊りたるあの記憶
二度と触れぬその手先】
ちきちきばんばん......ばん......

To be continued #42 ↙
『ガラシャは貰って行きます』

P.S.一つ報告。
プロットでのファヴァー魔法図書館が完結しました。
プロットなのでまだ骨組みだけですが、それだけでも#200あたりまで行きました。
恐らくちょくちょくネタも挟みたくなってくるし時事ネタも尽きないからファヴァー魔法図書館は#400あたりまで行くかなと思います。
そういう事なんでよろしくお願いします。(って誰に何をお願いしてるんだろ。)

※今回は固有名詞とか設定とか解ってないとアレな感じの物語何でレスの方に設定書いていきます。

2

ファヴァー魔法図書館 #40 第5章『その男、聖なり』

『萃霧の言の葉』

ちきちきちきちき......ばんばんばんばん......
【國在りて山河在り
満たされた世の中にも
満たされぬ心在り
ものありても音なければ
満たされぬものより満たされぬ
言の葉一つひらひら散りて
行き着く先は彼方の心
夢幻の音に
幽幻の心をのせ】
ちきちきちきちき......ばんばんばんばん......
「............駄作だなぁ。コレ」
そこは『ネペジ』、真ん中の国。
そのネペジの首都『青木京』、そこの宮殿内に
想起堂主任歌人『渚瀧院 文紡』は居た。

この国の人々は、物語に飢えていた。
飢えというのは怖いものである。
その飢えを和らげるためにこの国には『想起堂』という部門があった。
『想起堂』は1〜2日に一度、国民に向って短い唄を詠う。
そして文紡はそこの主任歌人で毎日の様に唄を創っては演奏している。

これは、たった一歌人のどうしようもない物語。

To be continued #41『ネペジ現御神の位』

P.S.始まりました第5章。
まぁ、いつも通りの事ですが。

昨日の夜、悪夢を見ました。
どんなものかは思い出せませんけど、未だにべっとりと僕の周りに口に出してはいけないような感覚が浮遊しています。
夢は脳の想像とよく言われます。
だとしたら僕はとんでもなくタチの悪い脳の様です笑

1

ベラルーシのおとなたち

 夜勤明け、家にはまっすぐ帰らずに、いつものコース。24時間スーパーでビールを買い、公園のベンチ。深く息を吸い込む。何年も変わらぬ毎日。新鮮なのは外の空気だけだな。と、アレクサンドルはつぶやいてビールを開ける。

 いまのような空気ができたのは、よくは知らないけど億単位のレベルの昔だ。そんな前からある空気のどこが新鮮なのだろう。

 目の奥が痛む。仕事中は、今日はまっすぐ帰り、すぐに寝ようと思うのだが。
 妻は子どもができてからすっかり変わってしまった。子どもができる前までは聡明だったのに。いまはなにを言っても通じない。話の内容ではなく、表情や態度にばかり注意を向けるようになった。ちょっとしたことで感情的になり、ぐちと文句ばかり。要するに、すっかりばかになっちまったってことだ。
 結局、生きるというのは、理屈ではないのだろう。

 子どもができるまでは、ああしようこうしようというビジョンがあった。いまは子どもに振り回されっぱなしだ。結局、生きるというのは、理屈ではないんだ。

 相性ばつぐんだって占い師に言われてそれがきっかけで親密になった。どこがばつぐんなんだよ。

 相性ばつぐんだって占い師に言われてそれがきっかけで結婚したのに。

 そろそろ帰るか。妻が朝食、俺にとっての夕食を用意して、不機嫌な顔で待っている。
 
 そろそろ帰ろう。子どもが起きてしまったかもしれないし。わたしがいなかったら主人が動揺する。

 こんな感じで、アレクサンドルとアレクサンドルの妻は公園をあとにする。入れ違いで、アンドレイとアンドレイの妻がべつべつにやってくるのだが、わざわざ描写するまでもないだろう。

2
1

妖精たちの反乱(飯テロ)

「もしもし、」と夕ご飯のとき電話に出たのはママで、どうやら相手は清水のおばちゃんらしい。話が盛り上がっているのを良いことに、僕は小さくごちそうさま、と言って席を立つ。食器を片付けるフリをして、アスパラガスを生ゴミと一緒の袋に詰めてしまう。ばれませんように、と願いつつ、背すじがぞわぞわしてるのをごまかすために、ごちそうさまー、と大きな声で。
はーいとママの返事が聞こえた。

僕が妖精たちに会ったのは、そんな日の次の日で。楽しみにしていた給食の揚げパンが、妖精になっていた。いや、揚げパンだけじゃなくて、おわんやお皿に1匹ずつ、アルミのおぼんにのっているもの全部。そして僕の方を見て口々にこんなこと言うんだ、「きみ昨日アスパラガスを捨てたね。」
「捨ててない」「いや捨てただろう、ボクたちは見ていたよ」「なんでよ、てか誰なの」「ボクたちは妖精、ところできみ、今日の給食は楽しみにしていた揚げパンだよね」「僕のはそれが妖精になってるんだけど、」むすっとしている僕をよそに、妖精たちは ははは、と甲高い声で笑い出す。「きみの分はボクがもらったよ。返して欲しけりゃもう食べものを捨てたりしないって約束するんだね」ふよよ、と僕の鼻先に浮かんだ揚げパンの妖精は、意地悪なことに揚げパンの匂いがうんとして。
「そんなのムリだって!」
「ねえサトシくんさっきから誰としゃべってるの」聞いてきたのは隣の席のアユミちゃんで、
あ。その手には揚げパン。
「アユミちゃんごめん、それ一口ちょうだい」「え」ぱくりと口の中に楽しみにしていた揚げパンが拡がって、キャーーッと妖精たちの黄色い悲鳴が教室に響いた。

だからと言って嫌いなものは嫌いだ。僕は相変わらずアスパラガスは残すし、妖精たちはキャイキャイ騒いで現れる。あと変わったことといえば、僕がアユミちゃんを、アユミと呼ぶようになったこと、だろうか。

3

その時、トイプードルに電流走る!!(物理)

「俺ぁよ、アイツに会ったときに死を覚悟したんだ。」
愛知県某所在住のトイプードルさんは、噛みしめるようにゆっくりと語り始めた。
「最初に目に入ってきたのは、黄色い毛並みに赤い真ん丸ほっぺさ。赤いとこがバチバチ音をたてて放電してやがった。戦闘準備万端って訳だ。こっちはボール追っ掛けながら公園走り回った後でぐったりしてんのによ。洒落にもならねえ。」
ふわふわの茶色い毛に覆われた小耳を上下させながら、トイプードルさんは小柄な身を小刻みに震わせる。
「勝敗は最初から決まってたんだ。そこへさらにあの声が聞こえた訳よ。『ポ○モン、ゲットだぜ‼』甲高い声だ。ヤツの背後から聞こえてきやがった。こいつが聞こえちゃ、もうどうにもならねえ。俺のこの愛くるしい尻尾も、一気に臨戦体制に入る。」
彼は、その愛くるしい目を閉じて、真ん丸の尻尾をピンとさせた。
「だがそのときだ、愛しのご主人が投げた緑色のボールが、俺とヤツの間を横切ったんだ。俺ぁ思わずそのボールを目で追っちまった。その隙にヤツは、俺の全身に電気ショックを食らわせやがった。俺ぁ毛並みが良いからよ、電気の通りも良い訳だ。身体中がちぎれるように痛んだ。あまりの痛みに俺ぁ、そのまま気を失っちまった。」
再び開かれたその愛くるしい目には、微かに涙が浮かんでいた。
「気がついたときには、近所の今西動物病院のベットの上だった。完敗さ。俺ぁアイツに手も足も出なかった。可愛さでは負けてねえつもりだが、まだまだ修行が足りねえな。ま、ご主人と一緒に一からまたやり直しだ。」
トイプードルさんは深いため息を吐き出すと、どこか晴れ晴れとした顔で部屋から出ていってしまった。

2

ファヴァー魔法図書館 #38

『ノスタルジイ』

ぽたり......ぽたり......。

次の瞬間、ガラシャの顔にはガラシャが干からびてしまうのではないくらいのの涙が流れていた。
「ねぇ、ユリ。」
ガラシャは流れる涙以外は無表情で呟いた。
「ねぇ、これが正解だったのかしら。
全ての記憶を取り戻して、果たして幸せなのかしら。もしかしたら私酷い間違いを犯してしまったのかもしれないわ。いや、きっとそう。」
ユリはゆっくりと言った。
「そんなことまだわからないさ、それはこれからの君次第だよ。ただひとつ言えることは、君はこの図書館の外の国のお姫様で君はここに連れ去られてきたってことさ。」
ガラシャはまだ流れる涙を拭いて言った。
「一気に思い出してしまったの、怖いことを。
私、どうしたら良いんだろう。
でも一つだけわかるわ。私、あそこには帰りたくない。帰ってもどういう顔をすればいいかわからないよ。」
ユリはまたゆっくりと、今度は言い聞かせる様に、
「ガラシャ、今決めなくてもいいんだよ。ゆっくりとゆっくり決めればいいから。
今日は疲れたでしょう。一旦寝なさい。心を落ち着ければ見える景色も変わるよ。」と言った。

ガラシャが寝てしまった後、ユリはアパルトマンの外へ出て柄でもなくののしった。
「鵺ェェェッ!!貴様聞いているかァァァァッ!!
貴様だけは、貴様だけは絶対に許さんぞォォッ!!
この虚構を壊してもなッ!!」
その声は、無機質の空に虚しく響くだけである。

To be continued #39 第4章最終話↙
『虚構の崩壊、ロマンチック逃避行』

P.S.あとがきだけでもほっこりとしていって。
暇な時になんとなく意味わかんないタイトルを思いつきます。
だいたい使えませんけど。少しここで吐き出しておきます。良ければ使って頂いても結構です。
・その時、トイプードルに電流走る!!(物理)
・樹海ロスト
・着メロしかないオーケストラ
・ベラルーシのおとなたち
・妖精たちの反乱(飯テロ)
他にももっとあるんですけどこの使えそうなお(か)しいものたちを供養しときます。
これを文章化してくれる人が出てくる事を祈って笑

2

ファヴァー魔法図書館 #37

『サルヴェイジ』

ある朝のこと、
「ねぇ、ガラシャくん。」
と、ユリはガラシャに向って話しかけた。
そして、
「君の記憶を取り戻す準備は整った。これから私は君の望む通りに事を運ぶ事にする。」
と、続けた。

ガラシャは余りにも突然のことに唖然とした。
ガラシャは記憶を取り戻したい、それは揺るぎない願いであり意思である。
それと同時にガラシャは本能的にユリとの別れを覚っていた。
その時、齢九つのアタマは『揺れた』。
そしてひとつの答えを出した。
「ユリ、私もう怖くない。記憶を取り戻したい!」

ユリはゆっくりと頷いた。
そして話し始めた。
「それじゃぁ、これから君の記憶をサルヴェイジするけど聞いてね。
君の記憶は私の魔法で引き上げるんだけど、ひとつ難点がある。
サルヴェイジと言っても思い出させる対象を見分ける事が出来ないから、結果的に君はこれまでの記憶を全て取り戻すことになる。過去の些細な会話とか、これまで食べたパンの枚数さえも思い出すことになるけどいいね?」
ガラシャの返事は決まっていた。
「言ったでしょう、もう怖くないって。」
ユリは笑顔でガラシャの前にしゃがみ耳元で囁いた。
「何があっても動揺してはだめ。だめだからね。」

ユリは立って、グリモワールの詠唱を初めた。
部屋は眩い光に包まれた。

To be continued #38 『ノスタルジイ』

P.S.#36なんてなかった、いいね。
#36は暗号化されたグリモワールの内容を書こうと思って投稿したんですが、いかんせん乗りませんでした笑
なんとなくここで内容を変更してやってしまうのが嫌だったので#36はなかったことにしました。ってけーねが言ってた。

物語はここからクライマックス。
......だと思う。

2

ファヴァー魔法図書館 #35

『キャンバスナイト』

ガラシャは起床したとき、謎の違和感に襲われた。
ユリの様子がおかしいのである。
しかし、ガラシャにはその本質を読み取る事は出来ない。
ガラシャはまだ9歳なのだから。

ユリは突然ガラシャにプレゼントをした。
内容は、ただひとつの真っ白なキャンバスだった。
ガラシャにこれを渡す時ユリは言った。
「心を見て、心で描きなさい。」
ガラシャからしたら意味のわからない言葉だった。
心を見るとは、心で描くとはどういう事なのか。
しかも一体どういう意図で渡されたのかもわからない。

取り敢えずガラシャは誰も居ないところへ行って考えて見ることにした。
そしてガラシャは『地上の果て』へ向かった。
ガラシャはずっと座っていた。
ずっと座っていた。
座っていた。
気がついたらガラシャの隣に一人が座っていた。
漆黒のスーツを着た何かが。
それは突然話し始めた。
「ねぇ、君は何を目指しているの?
僕にはわからないくらい君の心は散らかっている。
そんなに散らかっているとなくし物をしてしまうよ。
少し片付けようか、顔を少し近ずけて。
僕の目を見ずに、中空を見るんだ。」

ガラシャは疲れきっていた。
もう何が何でも良かった。
ガラシャの脳内に思い浮かんだのは、
襖から一度見た夜空とひょうという声だった。

ガラシャが正気を取り戻した時、何かはもういなかった。
キャンバスは相変わらず真っ白だった。
でも最初とは明らかに違くみえた。

視覚など所詮ただの感情の写し鏡。
本来映さねばならない物よりも、
感情というフィルターの方が近いでしょうに。

To be continued #36 『グリモワール』

P.S.世の中にはたくさんの景色があります。
でも、僕ら人間って一生かかってもその景色の1%も見ることができないんですよね。
人間の一生に対して世界って広すぎます。
何だかこういう連想ゲーム楽しいです笑

0

ファヴァー魔法図書館 #34

『管理人、来邦』

こんこん...こんこん...
夜、ユリ以外の全てが寝静まった夜。
アパルトマンのドアが小気味よい音を立てた。
「やあこんばんは、違ったら失礼、此処はユリ・ロトウのお宅かな?」
「ええ、多分そうだわ。いいよ、入って。」
ドアがゆっくりと開き、一人が入ってきた。
『管理人』である。

「頼み事があってね。......とっても大事な。」と前置きして管理人は話を始めた。
「僕の勢力圏内にあるネペジの大切な女の子がいなくなってしまってこの街で目撃されたらしいんだ。それで、君にその子を探して欲しいんだけど、頼み事は出来ないかな?」
ユリはゆっくりと立ち上がり「わかったわ」と言った。
管理人は少し口角を上げて特徴を言い始めた。
「歳は9歳で身長は低め。目撃時着ていたのはローブでその中に紅いシャツを着ていて......」
ユリはゆっくりと瞬きをした。
そしてゆっくりと話し始めた。
「ある程度絞れはしたけど、最後に一つだけ名前を聞かせて貰おうかしら。」
管理人は片目を瞑って応えた。
「名は宝条ガラシャ、ネペジの元首『宝条八千代』の妹だよ。」

かたん...かちゃ...
ユリは管理人にいつものハーヴティーを淹れた。
摩天楼の絶えることの無い光に照らされて液面は重い体を動かす様に揺れていた。
管理人はキッチンの戸棚から瑠璃色の角砂糖を取ってきてティーカップに二つ入れた。
ちゃぷん
と不敵な音を立てて角砂糖は液面へ吸い込まれ、消えた。
ユリと管理人は無言でその様子を見ていた。
虹色の湯気をあげて、液面は揺れていた。
管理人はハーヴティーを片目を瞑り一口飲んだ。
ユリは棚から煙管を取ってアパルトマンの外へ出ていってしまった。

記憶とは糖度の高い果実。
心とは限りなく澄んだ水。
意味の無い、二人だけの秘密。
甘くない、誰も取らない果実。

ユリが絶対吸うことのない煙管は虹色のような星色のような煙を天に上げていた。

To be continued #35 『キャンバスナイト』

P.S.まさか、まさか書くのに三時間かかるとは。

0

ファヴァー魔法図書館 #33

『空の境界は地上』

魔法都市ミコトはドーム状の無機質の空間の中にある。
そのため、地上の果ては空と繋がっている。
ユリとガラシャはこの日、誰も居ない地上の果てに来ていた。

この場所からは街の高楼が良く見える。
物悲しい摩天楼も。
「.........あそこが街の中央にある時計台で、あそこが魔法で雲を生成している煙突よ。」
ユリは眼鏡をかけながらガラシャに丁寧に説明していた。
ガラシャは一通り説明を聞き終えてから暫く口を閉じてしまった。
ユリは、その間持ってきたサンドウィッチを食べながら街の摩天楼を眺めていた。
そして、ガラシャが口を開いた。

【光の集まりは
実りし言の
葉を散らす
杞憂の天に
思ひをはせる】

ユリはサンドウィッチを食べ終わり口を開いた。
「なぁるほど、君は韻文を詠むのか......君は私の師匠と同じだね。」
ガラシャは少し恥ずかしくなってユリに言った。
「ち......違うの。これを詠もうと思って詠んだんじゃないの。無意識にこの音が出てきただけなの。」
ユリは少し納得した様子でガラシャに
「なら尚更だよ。もしかしたら君の記憶を取り戻す手掛かりになるかもね。」
ガラシャはその話を聞いて嬉しいような恥ずかしいような顔をした。

To be continued #34 『管理人、来邦』

P.S.授業受けていてなんとなく思ったんですけど。
漢文ってあるじゃないですか。
あれのいつか役に立ちそう感は異常だと思います。
言いたいのはそれだけです笑

2

ファヴァー魔法図書館 #31

『ガラシャのたぶんはじめてのお使い』

ある日ユリは突然こう言った。
「ガラシャ、君にひとつ魔法を教えてあげよう。」
ガラシャは少し迷ったがこう言った。
「どんな魔法?」
ユリは企む顔をしてこう言った。
「力持ちの魔法だよ。」

「......そんで、このグリモワールを読んで......そうそうそんな感じ......よし、出来た。
これで君は少しの間力持ちだよ。」
ユリは少しあざとい顔をしてこう続けた。
「それでさぁ...あの、ひとつ頼まれ事をしてくれないかしら?」
ガラシャはこの時心の中で、あぁあの時断っておけばよかったと後悔した。
「どんな頼まれ事?」
「あのね、お使いをしてきて欲しいんだ。」
「何を買ってくればいいの?」
「このメモに書いてあるやつ。」
「わかった、行ってくる。」
「ごめんね、行ってらっしゃい。」

―表
ガラシャは魔法都市ミコトの中心街へ向かって歩いていた。
「もう何よ、ユリったら。ひどいよ。」
こんなことをぶつぶつ言っていたら着いた。
ユリが買ってこいと言ったのは、一週間の食料と蛍と沢山の便箋と芍薬の花である。
食料は何処でも買えるがほかの物は特定の場所でしか買えない。
おかげでガラシャは街の隅から隅まで歩く羽目になった。
ガラシャは歩いている最中街を見て、この街はなんだか哀しい街だなと思った。
永遠とも思える摩天楼もガラシャの目にはなんだか物悲しく見えた。

アパルトマンに帰ると壁に積まれたグリモワールが崩れていて、ユリが片付けをしていた。
ユリはガラシャを見て、
「おっ、丁度いい所にガラシャが。
すまないが頼まれごとを.........。」
ガラシャは呆れてこう言った。
「もう、ユリは仕方が無いわね!」

Coming soon ―裏⬇