ばかやろう。
ドライヤーでごうごうと髪を乾かしながら、きみのことをおもいだした。ひそやかな夜の空気とぼんやりとした月のひかりが混じりあって、セカイはきょうも終わってゆく。はじまりには目立つように赤のマーカーで印をつけて、ラッパでも鳴らして合図をしてほしいな。そうしたらきっと、もっとさようならだって上手にできて、こんなにもくるしい気持ちにはならなくてすむ。夢のなかに、おもいだしてしまったきみのことぜんぶ置き去りにして、丈夫な鍵をかけて二度と顔を出さないように閉じ込めておけるのに。
きちんと乾かした髪があしたの朝さらさらのストレートになっても、綺麗だねって言ってほしいきみがもういないことがくやしくて堪えきれなくて、生乾きの髪のまま乱暴にドライヤーのスイッチを切った。ずっと一緒にいるって言ったくせに、私をおいてひとりで先に行くなんて。忘れられるわけがないでしょう。ばかやろう。
(お久しぶりです。そこそこ元気にやってます。知らない名前がたくさん増えててわくわくします。)