表示件数
5

なぞなぞリスペクト

「遅くなりました!!」
 観音寺隼人は、車から慌てて降りると、先に待っていた先輩刑事に頭を下げた。五十嵐剛。規律にはめっぽう厳しいので有名だ。
「遅い!もう七分も遅刻だぞ!」
「すっ、すいません!」
「…まあいい。事情聴取だ。いくぞ」
 凄まじく早い五十嵐の徒歩に、観音寺は必死でついていく。
 今回のガイシャは、上殿敬子、四二歳主婦。場所は自宅のリビングで、何者かによって後頭部を殴られた後に失血死。争った形跡はなく、現場からは犯人を特定できるものは何も見つからなかった。死亡推定時刻は、昨日一月一三日午後7時頃。目撃証言もなく、捜査は非常に難航していた。
 今回事情聴取を取るのは、ガイシャの夫である上殿凛太郎、四五歳会社員。近隣の住民によると、最近あまり中は良さそうには見えなかった、とのこと。

 以下が事情聴取の様子だ。
「上殿さん。あなたは昨日の午後七時頃、どこにいらっしゃいましたか」
「刑事さん、まさか私を疑っているんですか?!」
「いえ、あの、この質問は皆さんにお答えいただいているものでして…」
「…ふん。まあ、良いですけどね。じゃあお答えしますよ。私は確か、まだその時空の上でした」
「…空の上、ですか」
「ええ。私はここ二週間休暇をとってオーストラリアに旅行に行っておりまして、昨日の夜十時にやっと帰国したんですよ。そしたら、まさか妻が、あんな目にあっているなんて…」
「そうでしたか。それはお気の毒に。ところで、オーストラリアでは何をなさっていたんですか?」
「別に、観光ですよ。色んな所を見て回りました」
「良いですねー、オーストラリア。僕もいつか行ってみたいものです。何が一番良かったですか?」
「やっぱり海ですかね。一月なんでちょっと寒かったですけど、夕日の沈んでいく様は圧巻でしたよ」
「そうでしたか。それでは一応確認を取らせていただきます。ご利用になられた旅行会社はどちらでしたか」……

 その後、旅行会社などに問い合わせてみたが、上殿氏がオーストラリアに行っていたことは確からしい。これは難しい事件になるぞ…。そんな話を五十嵐刑事にすると、
「おい、何をぼさっとしているんだ。どう考えてもその凛太郎ってやつが怪しいじゃないか」

6

花が咲く頃に

彼女の後ろ姿はもうそこにはない。カラッとドアが開く音がしてそっちの方へ視線をやる。僕はベットになんかしんないけど座ってるからカーテンを開けドアの方人の影がある方へ目をやる。そこには隣のクラスの人がいた。「あの。。。一年B組の野々山です。」彼女は恥ずかしそうに僕の方を向いた。なぜか彼女の言葉を思い出した。「君はモテるからね。」なんで?わからない。モテるとか告られたこともない。付き合ったこともない。人を好きになった事もない。なぜ?「あの。。。ずっと前から。。。あなたのことが好きでした!」「。。。え?」え?僕は今なにを言われた、、?告白された?分かっているけど思考が追いつかない。「え、あっどう、して?」デリカシーがなかっただろうか。でも口をつぐむことはできなかった。「そ、れは!こんな私に優しくしてくれて、嬉しくて、、!きになっ、ちゃって。。。気づいたら、す、きだったんです、」なんで?野々山さんは行事の時に関わった程度。しかもたった一ヶ月だぞ?僕がおかしいのか?「えっ、と、ありがとう。?
ただ今君とは付き合えないかな、、。ごめん」なんとか答えた回答それが僕の回答。うまく思考が回らなかった。
「そう、ですか、、やっぱ私なんかじゃ無理ですよね!ごめんなさい!それじゃ!」そう言い切った野々山さんはの瞳からは涙が流れていた。。。彼女はとても可愛い感じの人ででも自己評価は低い人だ。不思議な人だと思ってた。ただそれだけ。彼女は違ってた。僕を好きだったのだ、それは今考えてもわかんない。でも彼女と僕が付き合うのはなんか違う気がしてしまった。なぜ?わからない?「あーっ、、、!くっそっ、、!わかんねーよ、、」と小さく呟いた僕の声はお昼休みの騒がしさで消されて言った…

「鈍感でしょ、君は、、さ、、。これじゃ勝ち目ないじゃん、、」
私はそう保健室前のドアで呟いた。


こんなにも君が愛おしくて溢れ出しそうな気持ちはなんだろう。