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世にも不思議な人々㊻ 敬う人その2

彼の不思議な少年としばらくお話していると、どこからか大きめのヒキガエルがのたのたと私達の方に這いずって来ました。
「あ!せーあ様だ!ほら、あれがせーあ様だよ!格好良いでしょう!」
「おー、ヒキガエルだ」
すると、そのヒキガエルが話しかけてきました。
『ヒキガエルとは何だ。我こそはこの一帯を仕切る土着の神、青蛙神にあるぞ。頭が高い!』
いや、カエルに頭が高いなどと言われましても。まあ穏便に済ませたいので言う通りにしましょうかね。私は屈んで目線を少し低くしました。
「申し訳ありません青蛙神様。ところで失礼を承知でお尋ねしたいのですが」
『何だ?』
「一体貴方様はどのような出自で?」
『出自?そんなものは知らぬ。気付いた時には既にこの世に在った。ただそれだけのことだ』
「ほう。……もしかして、そこの少年が関わっているとか、そんなこと無いでしょうか?」
『厶、彼奴か?さあ、我も所詮は産まれて幾らも経たぬ新参故、知らないことなど山とある』
ふーむ、彼の少年が一枚噛んでいると思ったのに確証が無い。
そんなこんなを考えておりますと、やけに背の高い、と言っても住之江少年よりかは少し低い、それでも細いせいでより背が高く感じられる男がやって来ました。
「む、これは奇々怪々。ヒキガエルと子供が話してら。……ふーむ、而してそれなら何もおかしくないか」
何やら訳を知っている様子。
「えーっと……すみません。これについて何か知ってるのです?」
「うにゃ。けどさっき見たお陰で分かった。ところで君もそこの少年も、僕らの仲間なのか。どんな能力なんだい?」
なぜ私が能力を持っていると知っているのでしょう。雰囲気も不審者だし近寄りたくないです。
「今君は『なぜ自分が能力を持っていると知っているのだろう。雰囲気も不審者だし近寄りたくない』って思ったろう。……君は次に『な、何故私の考えている事が!?』と言う」
「な、何故私の考えている事が!?……ハッ!」
「そういう能力だからだよ。僕のことはキタと呼んでくれ」
その男、キタさんは随分親しげに言いました。

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世にも不思議な人々㊺ 敬う人その1

どーも皆さん私です。能力名『蛍の光』、住之江少年を治す少女です。
先日、ふと気まぐれに外に出かけたときのことです。
用水路の縁に座り込んで一人で楽しそうに話している男の子を見かけたもので、奇妙に思い近付いてみたのです。背丈は私と同じくらいだったので恐らく小学生でしょう。
どうやら用水路の中の何かに話しかけているようです。普通なら小二病かと思って放置するのですが、今回ばかりは何か直感が働き、つい話しかけてしまいました。
「ねえ、君、何と話してるの?」
「んー?あなた誰?」
「私?んー、魔法使いだと思ってもらえれば」
「ふーん、そりゃ随分と怪しい肩書きだ」
「で、何と話してたの?」
「せーあ様と話してたの」
「せーあ様って?」
「せーあ様はカエルの神様だよ。この辺りのヌシをやっていて、小さい生き物達はみんなせーあ様を敬ってるの」
せーあ……青蛙(せいあ)神のことかな?
「へー、そのせーあ様は昔からここにいるの?」
「いやー?昔は居なかったんだけど、少し前から出てきて一緒にお話をするようになったの」
「ふーん。そうだ、君、名前は?」
「えー、先生が知らない人には名乗っちゃいけないって」
「それならしょうが無い。君、最近見えない何かに話しかけられた覚えは無い?」
「うーん、無いなー」
「じゃあ頭の中に音楽が流れてくることは?」
「僕音楽好きだから、そういうのはいつものことだしなー」
「じゃあ最近、決まった曲が何度も流れてきたことは?でなきゃ、そのせーあ様と話すときとかにも」
「うーん……、あったような……無かったような
……ってあれ、せーあ様居なくなってる」
「あららごめんなさい。私と話してる間に」
「良いの良いの。せーあ様とはいつでも話せるから」

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世にも不思議な人々をリストアップ6

此花陽太郎(ヨースケ)
中学校の頃のあだ名がヨースケだった。他に陽の字がつく奴はいなかったらしい。陽介には面白いのでヨースケと呼ばせている。周りからは感情を素直に表す明るい奴だと思われているが、その実その心の中は中々のカオスであり、心中を読むのは難しい。
能力
認識した足場には、それがどんなものであろうと乗ることができる。空中の砂粒にも、尖った針の先にも、飛んでいる羽虫の背にも、風に揺れる笹の葉先にも、本当に何にでも乗れる。もちろん足場に固体の要素は不可欠。ゲルとかダイラタンシー現象はセーフ。恐ろしいのは、ただバランスがどうのという話ではなく、ただ『その足場に乗れた』という結果だけを定着させる能力であるという点である。
作者のコメント
読みは「このはな ようたろう」。バランス感覚が良かったんだと思う。童謡を考えなくて良いのすっごい楽です。

岸和田陽介(ヨータロー)
中学校の頃のあだ名がヨータローだった。他に陽の字がつく奴はいなかったらしい。陽太郎には面白いのでヨータローと呼ばせている。周りからは感情を表に出さないクールな奴と思われているが実際は感情的で表情もコロコロ変わる。ただその変化が小さいのである。
能力
『何か』を召喚する。『何か』は対象の視界の端ギリギリに出現し、視界の隅をキープするように歩き、歩行速度より早くそちらを向かれた場合は瞬間移動する。この『何か』には対象の注意を引き寄せる性質がある。ちなみに『何か』の正体は長さ60cm程度の竹ひごのような存在である。
作者のコメント
目立つのが嫌いだった結果、こうなりました。読みは「きしわだ ようすけ」。もし僕にスタンドが発現してもこんなのだな、みたいな能力。

仕出原 栄人(神か少年)
「お前神かよ」が口癖。
能力 とおりゃんせ
神だと思った人間を神格化する。たとえ冗談でも僅かにでもそう思ったのならばその人間は神になる。
・神格化された人間は長寿になる。(150歳くらい)
・神格化された人間は生命力が向上し、多少の怪我はすぐ治る上、病気にも強くなる。
・神格化された人間は、そのジャンルに由来した能力を手に入れる。
まさに現人神量産の能力。
作者のコメント
読みは「しではら はるひと」。彼の存在はこの作品の能力の可能性を広げてくれた。

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世にも不思議な人々をリストアップ5

トカゲ氏
トカゲだった男。
能力 黄金虫
他者に暗示をかけられることによって別の生き物になる。人間以外のあらゆる生き物が変化の対象となり、植物や菌類にもなり得る。ウイルスは無理。
作者のコメント
彼の友人はこの後無事ボコボコにされました。彼については名前は考えてないです。

住之江 俊介(大男)
身長七尺に届くほど長身の初の同級生。先天性の能力者。
能力 パフ
あらゆる事象が彼にとって害にならない。その影響で危機から人間を守るためにある反射の仕組みや痛覚が無い。だから辛いのも平気。更に出力を制御するための身体のブレーキが無いため、通常ならあり得ないパワーが出せる。身体はボロボロになる。なお、彼の能力は不死とも言えるが、治癒はしない。メラニンや白血球はなぜかある。
毒や病は効かないが、所詮はタンパク質の塊なので強酸かければ爛れるし、燃やせば炭化するし、首を切り落とせば首から下は神経が切れるので動かなくなる。しかし細切れになろうと蒸発しようと食われて消化されようとそれらは彼の害になり得ないので、治せれば元に戻る。
作者のコメント
読み方は「すみのえ しゅんすけ」。中学校時代の友人との『何も害にならない能力があったら毒とか病気とかアレルギーとか平気になるんじゃね?』『それ、失血とかそういうのも平気にならない?』『実質不死身だ!やべえなww』みたいな会話から誕生した能力です。

少女
住之江と仲の良い少女。計算すると背丈は140無いことになる。不登校。過去に何があったかは不明。最近住之江の小指の先の部分を切り落として治療用に引き取ったそうな。何それ怖い。
能力 蛍の光
何かで突き刺すことによってその人間の外傷を全て完全に治す。刺すときは普通に痛いので、それこそ痛覚の無い住之江ぐらいしか使える相手がいない。
作者のコメント
上の能力者だけを治すための能力です。

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世にも不思議な人々㊸ 度を越した神職その1

と言う訳で、今回彼の大男は件の神か少年に話を聞きにやってきました。
「よー、神か少年。ちょいと話があるんだが」
「何?えーっと……確か……鈴木、いや、佐藤?ごめん、誰だっけ?」
「クラスメイト名前忘れるやつがいるか?」
思いっ切りブーメランですよ。
「まあ良いや。で、何の話?金なら貸さないよ」
「そんな話ではない。そもそも俺は人に金は借りない」
「ほう。じゃあ何だ?あ、待って、予想する。えー、あ、分かった!…いや、やっぱ分からん」
「どっちだよ。まあ、話ってのはうちのクラスの陽太郎と陽介のことなんだが」
「あー……」
神か少年は何かを察したような顔をしました。
「肯定ととって良いんだな?」
「ああ、うん。構わないよ。ということはお前もだったりする?」
随分あっさりとお認めになる。
「ああ。その通りだ」
「こんな偶然あるんだねえ。そうだ、折角だから僕の力の結晶を見せてやろう。ちょっと待って。呼ぶから」
呼ぶ?召喚系の能力?でもそれだとちょっと待つ理由が分からないしねえ。
「お、おう。……そういえば、お前の能力ってどんなのなんだ?」
「お前のは?」
「不死身の能力だと思ってもらえればだいたい合ってる」
「そう。僕の能力は、『神だと思った人間を神格化する』能力だよ」
「あー、よく分からん。要するに?」
「現人神量産」
「なるほど、よく分からないということがよく分かった」

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世にも不思議な人々番外編 No.2談義

キタ「いやー、久し振りに登場ですよ」
初「僕はちょっと前にちらっと出たけど」
真琴「いやマジで久し振りだよ俺らは」
キタ「まあ、今回はこの作品で二番目に強い能力者について考察するわけなんだが」
真琴「何故二番目?普通こういうのは最強を考察するものじゃないのか?」
キタ「いやー、それについては作者公認で万能ちゃんが居りますからねー……」
初「あれか」
真琴「あれじゃあしょうがねえや」
キタ「まず候補をあげてみるか。まずは作者がNo.2だと正式に認めてる伏見君だろ」
初「誰それ」
真琴「チャチャさんのことだ」
初「ああ、あの人か」
キタ「次に阿蘇さん。人外モードの時はパワーもスピードも上がって細切れになっても再生するとか」
初「何それ強い。結構良い勝負だな」
キタ「他には、呪術使いの前橋つくばちゃんとかもいたな」
真琴「誰だそれ知らない」
キタ「僕らとはまだ会ってないからね」
初「群馬なのか茨城なのかはっきりして欲しい名前だ」
真琴「そうだ。素のフィジカルだけならあいつも負けてないんじゃあないか?ほら、通り魔のなっちゃん」
キタ「君からそんな言い方が出てくるとは」
真琴「う、うるせー!」
初「確かに彼女もすごいよな」
キタ「あとは、持久力のあいつ。大男。名前はまだ無い」
初「え、嘘、あいつも能力者なのか。この間会ったけどそんな素振り……あったな。すごい深い切り傷作って平気な顔してたわ」
キタ「さて、誰が最強かな」
真琴「なおこの中で最強になっても二番目は揺るがない模様」
初「やっぱりこの中じゃ最古参のチャチャさんを推したいな。一番縁深いし」
キタ「けどあの人呪いに勝てるか?」
真琴「有り得そうなのがなぁ。あの人なら何かどうにかできそう」
初「そうそう、底が見えない」
キタ「僕としては人外の阿蘇さんを推すな。あの人、なのか?姿がもう強キャラだもん」
初「それこそ呪いに勝てるか?」
真琴「逆にあの姿が呪いっぽい」
キタ「まあ結論は個人に任せるってことで」
真琴「終わり方雑だな」

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世にも不思議な人々㊷ 歩く人・見せぬ人その5

「さて、何を使って治そうかねぇ?」
少女がわくわくした表情で大男を見下ろしています。
「あ、そういや君、どうやってそいつの傷を治すつもり?」
尋ねたのはヨースケ(陽太郎)の方。表記が大変ややこしいです。
「そうねぇ……。よし、こうしよう」
そう言って少女は徐ろに手を貫手の形にし、大男のボロボログチャグチャの右腕に思い切り良く突き刺しました。
「えええええ何やってるの!?」
「おいおいおいあまりにグロ注意過ぎるぜ」
これには流石のヨースケ(陽太郎)&ヨータロー(陽介)も引いてます。無理も無い。多分僕も引く。
しかしその手が腕から抜かれた時には、もう傷は全て治っていました。
「これが私の能力。『何かで突き刺した対象の外傷を完全に治す』能力だよ。すごいでしょ。痛いけどね」
「うへえ……。治すために刺されにゃならないのか……。」
「俺だったら御免だな……」
「俺は痛覚無いから平気なんだよ」
陽太郎(ヨースケ)と陽介(ヨータロー)は怖がってるようですが大男は平気そうな顔。
「けど私もこのやり方はもうやりたくないな。これでもいけるかなって思ったけど、ぶっちゃけ感触が気持ち悪い」
何言ってるんだこいつは。
「何言ってるんだお前は。自分でやっといて勝手な」
あらま。大男と感想が被った。
「そういえば、君たち誰?」
少女が今更な質問を二人組にしてきました。
「ああ、こいつらが件の能力者疑惑の奴らだよ。実際そうだった」
答えたのは大男。
「へえ、二人はどういう経緯で能力者に?」
「ああ、俺達はねー」
「あいつの影響だな」
「あいつとは?」
「「神か少年」」
二人組の声が揃いました。
「いや誰だよ」
男が突っ込みました。
「ほら、ケイドロの時もいたろ?」
「『お前神かよ』が口癖のあいつだよ」
「あいつか!へー、そいつぁあ面白いや。そいつも能力者ってことで良いのか?」
「多分?」
「恐らく」
「じゃあ少年。次はそいつだな!」
そういうわけで、次回はそいつに話を聞きに行くようです。

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世にも不思議な人々㊶ 歩く人・見せぬ人その4

「お、帰ってきた。お帰りー、ヨータロー。件の『あいつ』、連れてきた?」
「いや、よく考えたらそいつの家知らなかった」
「ふふふ、ドジだねえ。しょうが無い、僕が行ってまいります!……で、君の家何処だっけ?」
「えー……めんどくせーな……。そうだ、台車か何か持ってこい」
そんなこんなで、三人で大男の家に行くことになったようです。道中、大男は二人に能力について訊きました。
「なあ、お前らの能力ってどんなのなんだ?」
「んー?じゃあこの俺、此花陽太郎の異能から教えてしんぜよう!」
言ったのは何故かヨースケの方。お前ヨースケと違うのか。
「お前ヨースケじゃなかったのか」
「ああ、それ渾名。で、俺の異能は、なかなか面白くてね、『認識した足場には無条件で確実に乗ることができる』っての。二段ジャンプは砂粒をこっそり投げてその上に乗ってたの」
「ほう、そりゃ面白い。で、お前の能力はどんなのだ、ヨータロー?あ、もしかしてお前の名前ヨースケだったりする?」
「同級生の名前くらい把握しとけと思うんだが。まあその通り、自己紹介させてもらうと俺の名は岸和田陽介。俺のは『何か』を召喚する異能だ」
「何かって何だ。あ、そこ右な」
「了解。俺もよく分からん。けど、その何かは対象の視界の端にしか存在できない代わりに注意を引く力があるんだ」
「道理でちょくちょく意識が離れたわけだ。何かってどんなのなんだろうな」
「さあ?見えないものを見る異能力者でもいれば解決するんだがなー」
どこぞの能力者がくしゃみしてそう。
「ついた。ここだ。鍵は開いてるはずだからあいつを呼んできてくれ」
行ったのは陽太郎の方。すぐに戻ってきましたが一人です。
「それっぽい奴はいなかったよ。ところで君って妹いた?」
「何でだ?いないが」
「何かちっさい小学生くらいの女の子が一人いただけだったんだけど」
「そいつだ!そいつを連れて来い!あとその話絶対そいつにはするなよ。あれで気にしいなところあるから」
「はーい」
今度は無事連れてきたようです。
「ヘイヘーイ少年?またボロボロだね。またあれをやったのかい?」
「おう。さあ早く治せ」

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世にも不思議な人々㊵ 歩く人・見せぬ人その3

「流石にまいたか!?」
「やめろヨースケ。あんまりフラグを立てんな」
ええ見事にフラグです。そんな二人にあの大男がものすごいスピードで突っ込んできました。
「ぎゃっ!」
「うおっ」
「よっしゃぁ……捕まえたぜェ……」
「くそぅ……。やられたー……」
「ヨースケがフラグなんか立てっから……」
「よし、ようやく捕まえたぜ。ちとボロボロになったけどな」
「いやいや貴方、ボロボロというよりグチャグチャですけど……ぅぇ」
ヨースケの言う通り、大男の両脚と右腕はグロ注意な感じでグチャグチャになっていました。
「何、問題無い。俺の能力は『あらゆる事象が己の害にならない』能力だからな」
ところで、痛覚というものは生物への損傷がその生物にとって害になるからこそいち早く危険を察知するために存在するものである。故に危険が存在しない彼には、能力の影響で痛覚が存在しないのです。
「いやそれはどうでも良いんだ。こっちが見てて気持ち悪くなるから何とかしてくんない?」
ヨータローがつっこみます。
「おお。じゃあ俺を家まで運んでくれないか?あいつは多分今日もいる」
「ええ……。それは良いけどさぁ……。ヨータロー、どっちが右側支える?」
「俺は嫌だぞ」
「俺もだよぉ……。あ、そうだ。その『あいつ』とやらをここに連れてくりゃ良いんじゃね?文脈的にお前をどうにかできる奴なんだろ?」
ヨースケの提案に大男もヨータローも感心。
「その手があったか。じゃあ、三組に不登校が一人いたろ?あいつが多分今日も俺の家に居るはずだから連れて来てくれ」

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世にも不思議な人々㊴ 歩く人・見せぬ人その2

「おい、どうしたヨースケ。お前があいつから逃げたそうな顔してたから隙を作ってやったが、何故あいつから逃げるんだ?」
影の薄い少年が二段少年に問いました。
「いや、自分でもよく分からん。けどあいつは何かヤバイ気がする。人間として必要な何かが決定的に欠けてる気がするんだ。あと普通にでかくて怖い!」
「だから何故逃げる?仮にも同級生だろ」
「いやー、よく分からん異能を持ってる俺らとしてはあんまりバレちゃいけない気がすんのよ。あいつは絶対俺らの異能について訊こうとしていたぜ」
「ふむ。じゃあ逃げた方が良いかもな。って、あいつ追い付いてきたぞ」
後ろを見ると、すぐ後ろにまであの大男は迫って来ていました。
「やべえぞあれ!やっぱ体格差的に逃げ切るのは無理だって。一歩当りの距離が違うもん!仕方ねえ、ヨータロー、俺に負ぶされ!」
「おお、やるのか、あれ」
ヨータロー、と呼ばれた方が何とかヨースケ、と呼ばれた二段少年の背中に取り付くと、次の瞬間には二人の姿は大男の真上にありました。
「ぬ、やはりお前ら……!」
大男が驚いている間に、二人は着地し、逆方向に向けて全力ダッシュを始めました(ヨータローもヨースケの背中からもちろん降りています)。
「くそう、逃がすか!」
大男が追おうとしましたが、その時またあの「カツン」という音が。そちらを大男が見て、やはり何も無いと確かめてから向き直ると、やはり二人は遠くに。
「ええい面倒くさい、こうなったら奥の手だ」
そう言って大男は右手を地に付き、力を溜めるような動作を始めました。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 6.ハルピュイア ①

「ちょ、ちょっと待ってちょっと待って!」
昼休み、暑いながらもそれなりに人がいる廊下を、わたしは同じクラスの亜理那に引きずられて走っていた。
「とりあえずちょっと待って!」
わたしの必死の叫びをやっと聞き入れたのか、亜理那は立ち止まってわたしの方を振り向いた。
「なぁにサヤカ?」
「何って…」
イマイチ状況を理解していない亜理那に、わたしはちょっとあきれてしまった。
…ついさっきまで、わたしは教室でいつものように本を読んでいたはずなのだ。
だけど亜理那に、ちょっと会ってほしい人がいるんだけどさぁ…いい?と聞かれ、暇だからいいよ、って答えたら…こうなった。
誰かに会うと聞いて、教室出てすぐかな、と思っていたが、教室出てすぐどころか、廊下の突き当りのほうまで移動してきてしまったのだ。
…しかも走って。
走らなければいけないって事は、何か重要なことなのだろうか。
なんとなく、察しがつきそうな気がするけど。
「ねぇ亜理那…一体誰に会うの?」
誰に会うのかまだ分からないから、わたしは尋ねてみた。
「え、それはね~…まだ秘密!」
そう言って亜理那はまだ誰に会うかも伝えず、ただ人差し指を立てるだけだった。

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世にも不思議な人々㊳ 歩く人・見せぬ人その1

「よお、二段ジャンプ野郎」
例の大男が彼の二段ジャンプ使いの少年に話しかけました。
「……、え、何、俺?」
「お前以外に誰がいる」
「こいつかな」
彼の横には、例の影の薄い少年がおりました。
「して、何用だい?」
二段少年(長いのでこう略します)が問います。
「おう、話は他でもない、先日のケイドロについてだ」
「あー、楽しかったねー。それが何?」
「あの時の二段ジャンプについて色々訊きたい。ありゃあ人間にできる動きじゃなかったぜ」
突然二段少年が狼狽え出しました。こいつは黒だな。
「あ、ああ、あれかい?あれは、ほら、体重移動の仕方と蹴り方の工夫でどうにかなるんだよ」
「馬鹿言え。そんな小説みたいなことがあるか」
「君今結構なこと言ってるぜ……」
「さあ、話してもらおうか…」
そう言って大男が二段少年に向かって一歩踏み出したその瞬間、どこからか、「カツン」と足音のような高く硬い音が聞こえてきました。思わずその音の方に振り向くと、何も無い。しかし大男が向き直ったとき、彼の二人の少年はどこかに消えていました。
と思ったら、少し離れた場所にいました。大男との距離を全力で引き離しにかかっています。大男は、彼らは黒だと確信し、追跡を開始しました。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 5.クラーケン ㉒

「…まぁ、僕から言えるとしたら、この人たちは敵に回したらものすごくヤバい人たちだって事です、はい」
美蔵は微妙な顔でそう言い切った。
「…そうなの」
わたしはポツリと呟いた。
確かに、この人たちは敵に回さない方が良いのかもしれない。
前に「常人は”異能力”に関わっちゃいけない」と言われた時に恐ろしいと思ったし、美蔵は彼らを見た時に動揺していた。
よくよく考えたら自分はかなりすごい人たちとつながりを持っているんだな…そう思った。
「…ねぇ、そろそろ駄菓子屋行っていい? いつまでもここでグダグダしてるワケにはいかないし」
話に一区切りがついたところで、ネロが切り出した。
「そうだな」
「じゃー行こーぜー」
「…まだ、買い物してなかったの」
みんなが駄菓子屋の方に移動しだす中、わたしは思わず言った。
「…いや、まだなんだけど」
ネロがぽかんとした様子でこちらを見た。
「あ、そう…」
「とりあえず行こうぜ不見崎(みずさき)。僕も用事済んでないし」
ボンヤリしているわたしを美蔵は追い抜かしながら言う。
「え、ちょっと待ってよ!」
わたしはまた置いてかれないように、彼らの後を歩き出した。

〈5.クラーケン おわり〉

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世にも不思議な人々㊲ 死なない人・死なせない人その3

「まあそいつら普通に捕まったんだけどな」
「へー、どうやって?」
「二段ジャンプ野郎はより高いジャンプで取り押さえたし、影の薄い奴は普通に突っ込んで捕まえてた」
「二段ジャンプより高いジャンプができるその子何者?アスリートか何か?」
「さあ、知らん。けど知らないってことは違うんだろ。で、神か少年も物陰に隠れてたのがバレてあっさりお縄」
「神か少年って何その略し方」
「で、残りが主催者のジョジョなんだが、探しに行く気配が無いからどうしたのかと訊いたらそいつは絶対に捕まえられないからどうせ無駄だっつって、じゃあ試しにと一回ケイドロ止めて範囲決めてそいつを全員で捕まえようってことになったんだよ」
「範囲って?」
「4m四方」
「無理でしょ。1対6でしょ?」
「ああ、無理だった」
「やっぱり」
「捕まえるのが」
「ファッ!?」
「あれは人間の身体能力じゃなかったわ。あいつも俺らの同類だったのかね?」
「ハッハッハ、そんな馬鹿な。そんなコロコロいるわけ無いよ」
「……そうだな。それもそうだ。……あれ、そうだよな?あんまり人外ばっかで感覚変になってたかな」
「それもやむなし。だって君だろ、二段ジャンプだろ、逃げ足特化だろ……、マジに全員能力者あるかも……」
「だろ。折角だから今度そいつらにカマかけてみよっかな」
「何か分かったら教えてよ」
「おう。……さて、ところで一つ良いか?」
「何?」
「お前が不登校な分には別に構わないんだが、何故俺ん家に来た」
「細かいことは気にするなよ、少年」

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世にも不思議な人々㊱ 死なない人・死なせない人その2

「さて、少年?どうしてこうなったのか話を聞こうか?」
少女が大男に問うた。
「あー、そうだな、簡単に説明するとだな、まあこれを見てくれ」
そう言って大男は自分のスマホの画面を見せた。チャットアプリの画面が表示されている。少女がその文章を音読した。
「『逃げ足に自信のある奴集合!あの公園でケイドロしようぜ!日時は……』。……何これ。いやね、まあ、それに参加したってことなのは分かった。けどそれでどうしてあんなになるの?君はもっと自分を…まあ死なないし良いのか?」
「まあそういうわけだ」
「まあ良いでしょう。じゃあその時の話聞かせてよ。どういうメンツでやったのさ?」
「えー、メンバーは殆どクラスの男子で、主催者はジョジョだろ、他には」
「待って、ジョジョって誰よ?」
「所沢初だが」
「無茶が過ぎない?」
「そうか?で、他がクラス一の俊足だろ、『お前神か』が口癖の奴だろ、影の薄い奴だろ、二段ジャンプできるやつだろ、」
「ちょっと待って。二段ジャンプってできるもんなの?」
「そいつはできたからなー。んであとは、ジョジョが連れてきたお前くらいちっさい少女」
「ほう。それで?」
「その少女が鬼だったんだが、真っ先にクラス一の俊足がやられた」
「へえ、その子速いんだねえ」
「で、その次に俺がやられた。逃げるときに枝に引っ掛けるか何かしたんだろ」
「引っ掛けるのは服くらいにしてほしいよ……」
「んで、そこからが長かったな。鬼は二段ジャンプ使いを追ってたんだが、相手は空中を上手いこと逃げるからなかなか捕まらない。その間に影の薄い奴が解放に来たんだが、あの鬼、20mくらい離れた距離からそれに対応しやがったんだ。けど何故かそいつも捕まえるには至らない」
「はー。そんなことあるのか」

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世にも不思議な人々㉟ 死なない人・死なせない人その1

「やあお帰り、少年。まーたボロボロになって帰ってきたね?」
少年、と言うには肉体的に成長し過ぎた、一応年齢のみは少年の2m超えの大男に、彼の3分の2程度しか無い、とても彼と同い年とは思えない少女が心底寛いだ様子で話しかけた。
「……ここは俺の家だ。何故ここにいる。そんな当たり前のように」
「案ずるな、君の親には了承を取っている。嬉々として招き入れてくれたぞ」
「……そうか。それなら仕方無いな」
良いのか。
「傷を見せてみな?私が治してやるからさ」
「いらん。どうせ大したことはない」
「腕の骨が露出するほどの裂傷を大したことないと形容するのは君だけなものだよ。全身傷だらけのズタボロだし。何をしたの?」
何故平気なんだろうねー?痛みは?気合でどうにかなるレベルを大きく超えてますけど?
「おお、そんな酷かったか。うん、確かに。こいつは実に気持ち悪い。いやな、ちょっとばかし、な」
ちょっと、何だ。
「そうでしょ?いくら君が不死身でも治癒は君の専門外なんだから」
ほう、不死なのね?道理で気にしない訳だ。
「おう、で、今回は何で治すつもりだ?包丁系は大体やっちまったろ?牛刀とかどうだ?」
「この間やったよ」
「あれ片手剣じゃなかったのか。鮪包丁は?」
「それもやったね。あれは確か半月前だったんじゃないかな?」
「あれ日本刀じゃなかったのか」
会話が剣呑過ぎます。治す算段はどこに消えた。
「まあ、私の力なら最悪縫い針1本で十分なんだけどね」
「何でも良いから早く治せ」
「了解。じゃあ果物ナイフ辺りで行きますかね」
そう言って、少女は果物ナイフをどこからか取り出し、大男に向き直り、ナイフを深々と彼の胸に突き刺した。ってちょっと待てぃ。治すって何だっけ。
「ごっふ」
そしてナイフを抜くと、胸の傷を含め全身の外傷は消えていた。
「うおお…、相変わらず慣れねーな。つーかもっと丁度良いものあったんでは?」
「気にするな。治してもらったんだから文句言わないの」

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世にも不思議な人々㉞ 悲しきトカゲその2

以下、トカゲの書いた文面である。
『やあお二人さん。話を聞いた限りでは二人も私の同類とお見受けする。その縁でどうか私の話を聞いてほしい。信じてもらえないかも知れないが私はもともと人間だったのだ。』
こんな文章書ける知能がある時点で十分信じるに値しますよ、トカゲさん。以下続き。
『ある日私は不思議な力を手に入れた。「暗示によって己の姿を変える」というものだ。それによって友人にこの姿に変えられてしまった。元に戻れたらあいつは殴ろうと思う。どうやらこの力は自分の意思によっては姿を変えられないらしいのだ。そこで頼みがある。何とかして私を人間に戻して欲しいのだ。無茶は承知だが、この姿のままでいるともしかしたら私は自分の人間出会った頃を忘れ、ただのトカゲとして知性も手放し無意味に一生を終えてしまうかもしれない。それが私はたまらなく恐ろしいのだ。』
「………どうするつーさん?」
暫く呆然とした後、有栖が口を開いた。
「………無茶にも程があると思うのよ、私。っていうか呼び方よ。……でもまあ、私達が拾ってて運が良かったね」
「けどつくば、人をトカゲには出来そうだけど、逆いけるの?」
「どうだろ。だから君の力を使うんだよ。確実に治すためにさ」
「どういうこと?」
「私の能力で君に、『あのトカゲは人間に戻る』と暗示をかける。そうすれば彼も元に戻るって寸法だよ。もちろん私もトカゲ氏に対して呪(まじな)うよ?」
「その手があったか。よし、早速実践だ」

「ありがとうお二人さん!あなた方は私の恩人だよ!恩に着る!」
トカゲ氏は無事元に戻りました。
「いえいえ良いのですよ。同じ能力者ですから。困ったときはお互い様です」
これはつーさん。
「しかし暗示で能力が発動ですか。シンパシー感じます。」
「ほう、君もその手の能力か。ぜひ詳しく聞かせてほしいな」
「はい、喜んで」
「フフフ、友人増えて良かったねアリスちゃん」
「え、うん、ってその呼び方やめてってば!」

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世にも不思議な人々㉝ 悲しきトカゲその1

ここは、皆さんご存知、高崎有栖の自室である。今回もまた例によって例の如く、前橋つくばが窓から入り込んできた。虫かごを抱えている。
「ハローアリスちゃん!面白いもの持ってきたよ!」
「だからその呼び方止めてってばつーさん」
「思いっきりブーメランだよ。大体君みたいな最早可憐とさえ言える少年を格好いい呼び方なんてできるわけ無いでしょう?」
「な、何だとぅ!」
「君、男子に告白された回数が女子にされたそれより多いって噂あったよね。あれホント?」
「うっ……。と、とにかく!早く本題入ろう、面白いものって何?」
「ああ、それなんだけどね……」
そう言ってつくばは虫かごを有栖の前に突き出した。中には、トカゲが一匹だけ入っている。
「これ!すごくない?」
「何これ……作り物……?」
「いいやよく見て。ちゃんと生きてるでしょ?」
「いや、それは分かるんだけどさ……。私、うずくまって頭抱えて考え事してるようなポーズする爬虫類は初めて見たよ……」
「そうでしょー?見つけたから捕まえてきたの!面白いじゃない」
と、トカゲが二人の方を、まるで助けを求めるかのようにじっと見た。
「む、こっち見てら。何だ何だ、私たちが人間、しかも不思議な能力を持ったヤバい奴らと知っての狼藉か?」
「止めなつーさん。トカゲ相手に喧嘩売ってちゃ別の意味でヤバい奴だよ。きっと何かあるんだ。……そうだ!」
有栖は机上からインク壺と紙を一枚持って来て、床に置き、その上にトカゲを放した。というか有栖さん、インク壺なんて持ってるのね。
「さあトカゲ氏。何か思うところがあるなら、筆談で教えておくんなし」
「アリスちゃんもアリスちゃんでなかなかヤバい奴のムーブメントだよ」
「喧嘩売るよかマシでしょ!」
そうしているうちに、トカゲが紙の上をインクを付けた身体で這いずり回り、その軌跡は汚いながらも文字の形をなしていた。

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世にも不思議な人々をリストアップ4

鈴木燕(すずき つばめ)
伏見清次の友人。彼よりは一つ年下。つまり現役合格している。
能力 WAになっておどろう
時間を止めてその中で自由に動ける。制限時間などは特に無いが、喩えるならば水に潜るようなもので、あんまり止めてるとキツイらしい。教わるまで時を再始動するという点についてはこの能力の効果の範囲外だった。
作者のコメント
彼の場合は名前の方が地名由来です。ところで、燕市について調べてたら、市長が鈴木でびっくりしました。偶然ってすごい。

高崎有栖(たかさき ありす)
中二の少年。アルビノ。一人称が定まらず、使ったことのある一人称を挙げると、僕、私、俺、わー、なー、うー、我、うら、おいら、わっち、有栖さん、この高崎有栖、わちき、それがし、わたくしめ、オラ、我輩、などとキリが無い。
能力 子守歌
自分にかけられた暗示が世界にまで影響を与える能力。彼に嘘をついてはいけない。
作者のコメント
シューベルトのあれです。一応童謡の部類には入るはず。

前橋つくば(まえばし つくば)
有栖と同い年の少女。有栖とは10年来の友人。両親は理系だが、彼女は別にそういうわけではない。しかし腐っても科学屋の両親から産まれた自分が非科学の極みみたいな能力を手に入れてしまい、これで良いのかとも思ったが、難しいことを考えるのは得意ではないので、まあ良いかとそれについては考えるのを止めた。
能力 ひみつのパレード
対象を『呪う』能力。これは『のろう』能力にして『まじなう』能力でもある。
作者のコメント
苗字も名前も地名由来。呪術系は強い。というか、この辺でだんだん能力のレベルが暴走し出してる気がする。

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元人間は吸血鬼(仮)になりました。#3.5

雨月視点


静かにピアノを弾き続ける涼香。本当に何も覚えてないんだ。あんなに必死であの四人のことを守ろうとしてたのに。人間ってやわだなあ。誰かに守ってもらわないと行けないなんて。
きっと私にも、人間だった頃があったんだろうけど、何も覚えてない。何も分からない。なにかを守る理由が。守るものも、守られることもなかったから。愛されなかった。ただそれだけ。分かりきってる事。だから、きっとその、憎しみで、私は、死んでから、キョンシーなんかになったしまったんだろう。
こんなに醜い見た目じゃ、ここでも誰にも愛されない。でも、風花が教えてくれた。怪物は、同族には優しいってこと。
だから、できることなら、二度と人間は見たくない。
涼香は、愛されたのかな。愛されてたか。あの四人に。悔しいな。あの四人に教えてやりたい。「怪物になってから、お前らのことなんか、涼香は忘れたよ」って。
きっと、あの四人は、笑って許すんだろう。悔しい。私だって、愛されたかった。
どうしようもなく悔しい。
きっと私は、涼香に嫉妬してるんだ。こんなに醜い感情を持っているから、愛されないんだ。
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はい!皆さん!お久しぶりです!
イカとにゃんこです!覚えてる人いますかー⁈
覚えてる人はレスください!
実は、部活を辞めたり、勉強したり、ベース弾いたり(おい!)で忙しかったので書き込みできませんでした。(苦しい言い訳)
これからもよろしくです!(急だな!)

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世にも不思議な人々㉜ 呪う人・信じ込む人その3

「君の能力、それは……」
「……それは……?」
「『自分にかけられた暗示が世界にまで影響する能力』です!」
「……何それ?つまりどういうこと?」
「つまりね、君に『あなたはだんだん眠くなる』って暗示をかけたとするでしょ?そしたら君はただ眠くなるだけ。だけどさっきみたいに、たとえば、『今はもう夜だ。だから君もそろそろ眠くなるはずだ』みたいに暗示をかければ、本当に夜になる。つまりそういうこと」
「いや、全く分からん。理解はしたが納得ができない」
「これが本当って証拠が一つだけあるよ」
「何?」
「私、君に対して嘘だけはついたこと無いでしょう?もちろん君への好意はあるよ?けど君の能力がうっかり変な方に動いちゃいけないってのもあって」
「ええ……。我ちょっとショック受けたさ……」
作者のナニガシさんはそれが理由として成り立つことにショックを受けたさ……。ところで。
「あ、そういえばつーさん?」
「何?…って、だーかーらー!呼び方ー!」
「ああ、ごめんつくば。君は何をしたの?まさか暗示だけじゃないよね?今更わざわざやりに来たってことは、何かあるんだと思うんだけど」
「ウフフフ。やっぱりちゃんと呼ばれると嬉しいねぇ。ああ、そうそう、それが私が来た目的なんだけどね。なんとついに私も不思議な能力手に入れたんですよ!」
「へえ。どんなの?」
「『呪う』能力」
「……え?」
………え?
「今何て」
「だからー、呪う能力だって」
「え、のろ……」
「私の能力は『のろう』能力であり『まじなう』能力でもあるの」
「へ、へえ……。……あ!そういえばその二つ同じ字か!」
「そう!分かってくれた?」
「うん。……けどさ、何かもう夜になっちゃったしさ、もう帰りなよ」
「えー、いけずぅー。『泊まってけ』くらい言えないの?それだから君はアルティメットチキンなんだよ」
だからそれは他人だっての。

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世にも不思議な人々㉛ 呪う人・信じ込む人その2

「そこの壁に時計、かけてあるでしょ?……あれをイメージして……。今は…15時30分……、今31分になった。そのまま長針はどんどん回る…。ほーら、もう16時……17時……18時……」
彼女の言葉に対応するように、壁掛け時計の針はありえないスピードで回っていく。電波時計で電波受信させたときみたいになってる。彼女の言葉はまだ続く。
「19時……30分。もうすっかり夜。外も真っ暗。いくら今が夏で昼が長いと言っても、流石に日が暮れたよ。……さあ目を開けて」
アリスなる少年が目を開くと、少女の言葉の通り時間は四時間進み、外はすっかり真っ暗になっていた。
「うわっ、何だこれ。さっきまでもうちょっと明るくなかった?」
「そうだねー、さっきまでもう少し明るかったねー。時間も四時間くらい進んでるねー。私数十秒くらいしか話してないよ?」
「あれ、じゃあおかしくない?何、つーさん何かした?」
「ほらー、また『つーさん』って。止めてって言ってるでしょう」
「いや、今はそんな場合じゃあないよね?これどうなってるの?つくばが何かした?」
「お、今度は呼んでくれたね?つーさん嬉しいよお?……そうねー、確かに私も少しは何かしたけど、大部分は君の仕業だよ」
「え、どういうことさ?」
「あー……。君気付いてなかったのかー。もう、そうだなー、四年くらい前、小四の頃から君、この力持ってたんだけどねー」
「え、力って何?有栖さん聞いたことないよ?いやホント何、怖いな」
アリスってそう書くのか。話は変わるけどそういう小説家いたよね。で、有栖君の能力ってどんなのなのさ。続けて。
「え、それこそ嘘でしょ?そんなしょっちゅうとはいかなくても、たまーに使ってたよ」
「え、何のことさ。怖い話止めて」
「むー……。しょうがないなー。私が教えてしんぜよう!」
お、待ってました!毎度お馴染み、能力説明タイム!アリスちゃんはどういう能力なのかな?

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世にも不思議な人々㉚ 呪う人・信じ込む人その1

所変わって、ここはある人物の私室である。もちろん物語には初出だ。ベッドに少女が一人、寝そべって本を読んでいた。日本人にも拘らず、髪はプラチナブロンド、目は赤みを帯びていて、肌は陶磁器のように白い。先天性白皮症、所謂アルビノというやつだ。
と、そこに、窓から別の少女が侵入してきた。
「ヘイヘイヘーイ、ハローアリスちゃん」
窓から入ってきた方が部屋で本を読んでいた方に呼びかける。
「その呼び方やめてって言ってるじゃないのつーさん。僕、これでも一応立派な男よ?」
呼びかけられた方がベッドに座り直して言い返す。ていうかごめん、男だったの?じゃあ少年だな。ほんとごめんね、雰囲気が男っぽくなかったからさ。
「ここで『これでも一応』とかつけるあたり立派な男じゃないよ」
つーさん、と呼ばれた少女が言い返す。
「大体アリスちゃんは男のくせに名前も外見も可愛らしすぎるのだよ。髪だって伸ばしてるしさ。身長いくつだっけ?120?130だった?」
「140は超えてるよ!」
「私152−。うふふ、勝った」
「つーさんこそ背が高すぎるんじゃない?」
「そうかな?普通だよ?それに呼び方についてなら私にも文句があるよ。君はいつもいつも私のことを『つーさん』と渾名でしか読んでくれない。普段から『つくば』と呼び捨てにしてくれと言ってるでしょう?」
ちょっと待って。つくば?今そう言った?キラキラネーム過ぎん?
「いや、何かもうつーさんで定着してると言いますか、何といいますか……」
「ええいうだうだと!私が下の名前で呼び捨てにするのを許してるのなんて君くらいなのだよ!友達にだって許してないのだから!このヘタレ!甲斐性無し!アルティメットチキン!」
それは別の人だ。止めてあげなさい。というかそろそろ本題に入れ。
「ああそうそう、で、本題なんだけど」
「うん、何?」
「ちょっと目を瞑って!」
「え、何でさ、怖い」
「まあ良いから良いから」
「わ、分かった」
アリスと呼ばれていた少年が目を閉じると、つーさんなる少女は彼に近寄り、耳元で囁いた。

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世にも不思議な人々㉙ 乙鳥の世界その3

鈴木「お前、昔っからそのケはあったけどよー、やっぱりだったか……」
僕「いや違うってば。やめてそういうの」
鈴木「まあまあ、たとえお前がロリコンだったとしても俺は親友のままでいてやるからよ」
僕「だーかーらー!違うってのに!」
などと鈴木の奴としばらく喋ったところで、僕はそろそろ本題に戻ることにした。
僕「そうだ。早く時間動かせよ。ずっと止まりっぱなしってのも不便だし」
鈴木「ああ、それなんだけどな………」
やけに気まずそうな鈴木。
僕「どうした?……あ、お前、まさか……」
鈴木「まさか、何?おにーさんに言ってみ?多分当たってるから」
僕「いやまさかそんな……。だってお前、自分で時間止めたんだろ?まさか動かせないなんて…」
鈴木「ビンゴ」
僕「え?」
鈴木「いやな、俺、この間この力を手に入れて、今日初めて使ったんだよ。でな、ほんの実験に留めとこうとしてな、タイムアウトで勝手に戻るかな?って思ったんだが、なかなか動かない。じゃあ動かそうと思っても、動かし方が分からん。なあ、どうしよ?」
僕「いや、知らねーよ。僕の能力でできるのは止まった時間の中で動くことだけで時間の操作じゃない。あ、けどそれなら適役が。お華さん!」
安芸「はい。何でしょう?」
僕「この時間動かせない?」
安芸「他の人が止めたのを動かすなんてそんな」
ええ……。
僕「じゃあせめて、こいつに時の動かし方を教えてやるくらいは」
安芸「それくらいなら。……では、えーと、鈴木さん、でしたっけ?」
鈴木「おう。鈴木燕ってんだ。よろしくな。で、君は何て?」
安芸「はい、私、安芸華世と言います」
鈴木「それで『お華さん』か。じゃあ、教えてくださいな」
安芸「はい、まず、できると信じます」
鈴木「え、お、おう。それで?」
安芸「そしたら出来ます」
鈴木「お、おう。おお?」
駄目だ、彼女の場合少し特殊だから参考にならない。あれ、これもしかして詰んだまである?
鈴木「時は動き出す!」
動き出したわ。マジか。
鈴木「おお!ありがとう!お華さんや!君は恩人だ!」
安芸「いえいえ。良いのですよ」
まあ、これでハッピーエンドだ。それより僕は家に帰って寝たい。いやここが僕ん家なんだが。
僕「という訳で僕は疲れたんで寝る。解散!」

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 番外編 待ち合わせ中のお話

みんなで集まるときの集合場所である、ショッピングモールの屋上は、遮るものがほとんどなく、今の時期は本当に暑い。
夏場に限らず人がたくさんいるような場所ではないので、同類同士で集まったり、普通の人に聞かれちゃいけないような話をするにはぴったり―
「…」
つつっ、と腕をつつかれて思わず隣を見ると、パーカーの袖にちょっと隠れた手がスッと棒の付いたアメを突き出してきた。
「…黎?」
「…やる」
さっさと受け取れと言わんばかりに、黎はアメを突き出した。
「…なんで?」
こいつが他人にモノをあげるのは珍しーなー…と思いながら、おれはそれを受け取った。
なんかのお礼のつもりか、それとも…
暫くの沈黙の後、黎は口を開いた。
「…誕生日」
「?」
「お前、こないだ誕生日だったじゃん」
「…あー、そうだったな。1週間前だけど」
確かに先週…21日はおれの誕生日だった。バースデーケーキを除けば、誰かから何ももらってないけど。
「…1週間遅れだけどはぴば」
なんかこの人にしては珍しいセリフを聞いて、おれは思わず吹き出してしまった。
「待って、今のちょっとだけかわいい」
「…」
当の本人は照れているのか、つっと向こうを向く。
おれは、ははは…と笑いながら、もらったアメの包装を剥いた。

「あっ、このアメ黄色だ」
何気なく呟くと、黎がちらとこっちを見る。
「…それお前の目の色と揃えたから」
「ん?」
何のことだかよく分からなくて、おれは首をかしげる。
「…だって”コマイヌ”の目は黄金色…大体一緒じゃん」
あ、そっか…と自分の手に目を落とし、再度隣に目を向けた。
「え、お前やっぱかわいい」
「…かわいかない」
また黎はぷいとそっぽを向いた。

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