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うちの七不思議:完全に機能する音楽室の防音壁

とある学校に勤める用務員氏の話。
その学校の音楽室は学校裏手の駐車場に面しており、そこを掃除している時に生徒たちの音楽の授業と時間が重なると、子ども達の元気な歌声や楽器の演奏の音が聞こえてきて、用務員氏はその場所の清掃作業が特に気に入っていたという。
ある日の事、その日も駐車場の清掃作業に従事していた用務員氏。今日は静かだ、ということは今日この時間は音楽の授業は無かったか、などと考えながら作業を進め、ふと顔を上げた時、自然と目に入った音楽室の窓を見て彼は驚いた。
音楽室の中には何人もの子どもの姿が見え、その動きから彼らが合唱の練習をしているということが見て取れたのだ。
よくよく思い出してみれば、確かに普段その曜日のその時間帯はどこかのクラスの音楽の授業があったはずだ。それなのに何も聞こえないということは、いつの間に防音壁の補強でもしたのだろうか。
そんなことを考え、これからは子ども達の歌声を聞きながらの作業もできなくなるのだろうかと寂しくなりながら、用務員氏は作業を終えた。
しかし翌日、彼が同じ場所で作業をしていると、音楽室からは別の子供たちの元気な歌声が。ならば昨日の無音は何だったのだろうか。
その後、用務員氏は同じ現象に数度遭遇したものの、ついにその原因は掴めなかったという。

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企画思いついたんで協力してください。

どうもナニガシです。そろそろ入学式やら新学期の季節ですね。私の身内も明日から学校だとはしゃいでおりました。
学校生活が始まるとは言いますが、学校といえばやっぱり怪談ですよね。
そういうわけで、今回は「学校の怪談・七不思議」をテーマにした企画を催します。架空の怪談や学校の七不思議を自作するなり、本当に自分の学校に伝わっているお話を持ってくるなり、実体験を素知らぬ顔で書き留めるなりして、作品を投稿してください。
作品の形式は自由。怪談のエピソードを淡々と並べるも良し、七不思議に巻き込まれた登場人物たち視点のホラー小説でも良し、気付いたらバトルアクションになっているも良し、怪異になぞらえた連続殺人事件が起きるミステリなんかもアリです。皆さんの創造力次第でいくらでもぶっ飛んだものを書いて大丈夫です。
参加しても良いよーって方は、タグの2つ目か3つ目に「うちの七不思議」と書いて作品を投稿してください。別に1つ目に書いても問題は無いですが。
期間は4月いっぱい。作品数の上限はもちろん無いので、思いついたら思いついただけ投稿していただければ幸いです。みんなで最強の七不思議作ろうぜってことで、皆さんの参加お待ちしております。

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てぶくろ異説・冬を越す雪下の2匹

「ただいま、カエル君」
この手袋の拠点の中に声をかけながら、我が相棒ネズミ君が拠点に帰ってきた。これ幸いとすっかり冷めきっていた寝床から這い出す。
「やァ、危うく凍え死ぬところだったんだ」
「馬鹿言え。せっかく僕が作った防寒着を着ておきながら、凍え死ぬってことは無いだろうさ」
ネズミ君は笑いながら、自慢の毛皮についた雪を払って拠点の外に蹴り捨てた。
たしかに彼の手先は器用だ。外で拾ってきたという何かの毛皮の欠片を、これまた外で拾ってきたという植物を解した繊維で縫い合わせたこの防寒着を着ていれば、ただ寝床で丸まっているよりは随分とマシな気分になる。しかし、我がカエルの身体はひんやりと湿っていて、防寒着の内側に溜め込む熱を生み出すには向いていないのだ。ネズミ君の体温は我が生命維持にきわめて重要なのである。
「ネズミ君、今回の収穫はどうだったい?」
「ああ、いくらか毛皮と植物片を拾ってきたよ。これから肉を削いで、もう少し頑丈な防寒着を作ろうかと思ってね。そうすれば、君も雪掘りに出てこられるだろう?」
「ああ、2匹がかりなら多少は危険も避けられような。我が足技が唸るぜ」
「ははは、期待しているぜ。それじゃあ、僕は防寒着づくりに取り掛かるよ」
ネズミ君はそう言って手袋の奥へ引っ込んでいった。手袋の四指の側は彼の休息と製作作業のための空間になっている。彼は毛皮を作業台の上に伸ばし、石の欠片のナイフを用いて毛皮を洗い始めた。
さて、彼がああして疲れた体に鞭打って働いてくれるわけだし、彼を労うために疲労回復の膏薬でも作り溜めておくとしようか。植物片を拾ってきたと言っていたし、我が観察眼を以てすれば有用な薬草の1つや2つは見つかるだろう。

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理外の理に触れる者:だいぶ遅れてご挨拶

先月いっぱいを目安として「理外の理に触れる者」という企画を立ち上げたナニガシです。だいぶ遅れてしまいましたが、終わりの挨拶くらいはしておこうと思いまして書き込もうというわけでして。
今回は未完成の全知全能さん、赤い思想さん、テトモンよ永遠に!さんの3名に参加していただけました。
登場人物を「時の異能者」のみに絞り、戦闘シーンを重点的に描写してくれた未完成の全知全能さん。ナニガシは男の子なのでバチバチの戦闘シーンとか大好きなので助かりました。
怪奇・ホラー的要素の中に異能者の設定を混ぜ込んだ赤石奏さん。ナニガシは少し前からホラーやら怪談やらにお熱なので好みの世界観で楽しかったです。
そして、よく長編小説を投稿していらっしゃるテトモンよ永遠に!さん。人外の異能者の存在は最初の設定でほんのちらっと示唆していたんですが、どうやら拾っていただけたようでたいへん嬉しかったです。
また良さげなもの思いついたら何か企画しますし、他の人が何か企画してくれたら参加させていただきたいと思っております。
そういうわけで今回はこれっきりです。参加してくださった皆さんありがとうございました。

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理外の理に触れる者:蝶と鴉と猫 おまけ 壱

「理外の理に触れる者:蝶と鴉と猫」のおまけ…と言うか解説編です。

・黒羽(くろは)
異能:死の指揮者
一応この物語の主人公。
作中ではあまり描いてないが長い黒髪で黒地に柄の入った和服を着ている。
明言し忘れたが、一応男。
元々は街で有名な地主の子どもだったが、妾の子だったために家族から疎まれていた。
そのため実母の元で幼少期を過ごしていたが、母親が亡くなったことで父親の家に引き取られることになった。
しかし幼い頃から異能を持っていたために、無自覚の内に小動物や植物を殺すことを繰り返していたため、家族から恐れられ、最終的に実家から追い出されてしまった。
実家から追い出された後も実家の人間から命を狙われることは多く、一度死にかけたこともある。
その時にカラスに出会い、カラスの異能によって傷の治りが早くなる“性質”を与えられたことによって生き永らえている。
現在は街外れの古民家に住んでいる。
なお、カラスに出会うまで異能と言う概念は知らなかった模様。
異能“死の指揮者”は触れた生物を死なせることができる異能。
ただ、人間に使おうとすると抵抗されることが多い。
黒羽自身はあまり制御できてないようだ。

・カラス
異能:カタチの支配者
黒羽の友達(?)。
ただの気まぐれで黒羽を助けた結果、黒羽と連むようになった。
カラスの姿をしているが、喋ったりするようにその正体はカラスではない。
真の正体は物質の身体を持たない神霊のような存在。
遠い昔から存在し、その異能で長い時を過ごしてきた。
カラスの姿をしているのは、今はそういう気分だから。
異能“カタチの支配者”はありとあらゆる生物・非生物に様々な性質を与えることで、性質や見た目を変えることができる異能。
回想では黒羽に“傷の治りが早くなる”性質を与えることで死の危機から救ったりした。
カラス自身には“不死身”とか“発話”とかの性質を与えることで現在の姿を保っている。
ちなみにカラス自身に“名前”は存在しない。
“カラス”という名前自体は通称みたいなものである。

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理外の理に触れる者:海殺しのキャラクター④

・来実(くるみ)
異能:雨雪の干渉者
二つ名:白雪姫
桜の同級生にして一番の親友。異能者仲間でもあるので割とずぶずぶ。過去に『夜の指揮者』から攻撃を受けた際、日和に助けられ後見された。二つ名は桜からもらった。
異能の性質は大気中の水分や既に発生している雲に干渉し、雨を降らせる、雨を止ませる、雪を降らせる、雪を止ませる、雨を雪にする、雪を雨にするの6通り。射程距離はかなり長く、数㎞程度の範囲は余裕でカバーできる。

・湊音(みなと)
異能:時間の干渉者
二つ名:付き人
日和とは同い年でいとこの関係。そっくりでまるで双子。苗字も同じなせいで学校では双子だと思われているし、本人たちも特に否定はしていない。
異能の性質として特に得意なのは過去への干渉。過去視をしたり、過去の自身の動作に干渉して間接的に現在を改変したり、触れたものの過去の状態を現在に持ってきて固定したりといったことが可能。それ以外のこともある程度はできる。
異能者としても生物に対しては無力な日和の弱点を補う存在であり、異能者を取りまとめる『女王』の補佐役としていろいろと動き回っている。ひぃちゃんが後見した異能者に実際に指導を行うのも彼の仕事。

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理外の理に触れる者:海殺しのキャラクター③

・桜(さくら)
異能:狼の干渉者
二つ名:白狼侍
日和の1個下くらいの年齢。過去に『夜の指揮者』から攻撃を受けた際、日和に助けてもらい後見された。二つ名は日和から賜ったもので「はくろうじ」と読み、由来は後述する“白雪姫”に仕える狼の侍従ということから。
異能の性質は、「狼」という生物の定義に干渉してその条件の中に自分を割り込ませることで、自身の肉体に狼の特徴を発現させるというもの。最近、後述する”付き人”との修行の末に完全な狼化もできるようになった。

・黒崎孝太郎(くろさき・こうたろう)
異能:砂漠の干渉者
二つ名:海殺し
今作で町一つ砂漠化させたやべー奴。異能者になってから日が浅いどころじゃないので、異能の扱いには慣れていない。亮晟に後見され、どうにか異能の制御が可能になった模様。
異能の性質は、自身を中心とした半径5㎞程度の空間における環境条件に干渉し、その一帯を砂砂漠または岩石砂漠にランダムに変えるというもの。今回は砂砂漠になった。移動すれば勿論砂漠の範囲も動き、また自身から離れた位置程、元の環境の性質が重なり合ったようになる。異能を使うと世界がバグるやべー奴。

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理外の理に触れる者:海殺しのキャラクター②

・水呼(みこ)
異能:水の観測者
二つ名:水先案内人
道連れ。多分亮晟と同い年くらい。
異能の性質は、水源や水の多く集まっている場所までの距離と方向が分かるというもの。汗や涙、血液など自分の体液を水の集まった方向に引き付けさせる力もあり、もうしばらく能力を使い続ければ干渉者への昇格もあり得ない話じゃない。

・日和(ひより)
異能:無生物の支配者
二つ名:無命女王
ここら一帯の異能者を統括しているボス的存在。中学2年かそこらだと思う。異能の扱いに長け、支配者としての自覚もあり、とても偉そうで実際偉い。支配者としてとても強いので、シハイシャ・スゴイツヨイ・プレッシャーとシハイシャ・スゴイサトイ・シックスセンスが使える。

※シハイシャ・スゴイツヨイ・プレッシャー:支配者級の異能者が自分の異能の強さとそれゆえに発生する王としての責任を強く自覚していると使える、自分の強さに基づいた威圧。生物としての根源的恐怖を刺激するので、どんなに強い異能者でもビビッて動けなくなる。実際は能力でも何でもないただのハッタリ。
※シハイシャ・スゴイサトイ・シックスセンス:異能の扱いに長け、対象に慣れ親しんだ支配者級の異能者にだけ使える第六感。他の異能者が異能を使っていると、その人の位階が何となく分かる。干渉者と指揮者の違いを判別する時などに便利。

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理外の理に触れる者:海殺しのキャラクター①

・八街亮晟(やちまた・りょうせい)
異能:怪獣の指揮者
二つ名:モンスター
本作の主人公的人物。高校2年か3年くらい。他の異能者との関わりはそんなに無い(皆無ではない)。
異能の性質は怪獣への変化と怪獣の召喚・使役。身体の大きさや形状が本来のものと外れるほど変化した際に身体が動かしにくくなるが、修練によってある程度は補える。
彼が異能によって操る怪獣とは夢と浪漫と破壊力の合成であり、似非科学を含めた科学的論理によって説明可能な範囲で特殊な形状と能力を具えた物質的に実在する生物である。月の操る鬼神と異なり、霊感など無関係に観測が可能。

作中に出た手持ちの怪獣一覧
・石竜:体長約3m。4本の脚の先には長い3本の指を具え、身体と比較して異常に長い両腕から続く手は4本指であり、対向拇指の形を取っている。背中の翼はそこまで大きくはなく、飛行には使えない。放熱用のものと思われる。皮膚の熱遮断性も高く、高温環境での生息に適応している。ワニのような頭部には眼球が無いものの、何故か人間と同程度の視覚能力がある。
・人狼:体長2.5m、尾長2.3mの2本足で立つ狼のような姿の小型怪獣。尾は鱗に覆われている。厚い毛皮と体毛の色などから、寒冷地での活動に特化していると思われる。
・砂鯨:体長80m程度の白いマッコウクジラから手足が生えたような形状の怪獣。牙が長い。砂の中を水中と同じように泳ぐことができる。脂肪が厚いため、衝撃に対する耐久力も高い。
・駿竜:体長4m程度、尾長3m程度の4本脚で歩くドラゴンのような怪獣。最高時速500㎞以上で走ることが可能でありながら、鱗や体毛の性質、細長い体形などが影響し、騒音も衝撃波も発生させずに高速行動をとることができる。
・病霞:体長5m、尾長5m。巨大な黒蛇の胴体から手足が生えたような姿の怪獣。口内に並ぶ牙は鉱石のような性質をしており、それらを打ち合わせて発生させた火花に、揮発性の高い可燃性の毒液を舌下の器官から霧状にして噴き出すことで引火させ、火炎放射が可能。手持ちの中で唯一火を吹ける怪獣。毒霧を利用して有毒空間を作り出すことも可能。

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理外の理に触れる者:海殺し その⑪

後見。そんなものがあるらしいってことは人伝に聞いたことがある。たしかあれは、支配者級の異能者の特権じゃ無かったのか。
「指揮者の中でも、お前ほど異能を制御し切れている奴は見たことが無いぞ。純粋な力で言えば支配者級にも匹敵するあの“総大将”でさえ、既に半分ほど人間を辞めているというのに。『能力を制御する』という観点において、指揮者以下の位階の異能者じゃお前は間違いなく最高の実力者だよ。……ああ、評判を気にかけているなら心配は無用だ。お前の実力は私が保証するし、異を唱える阿呆は『説得』してやる」
「そもそもお前が後見してやれば済む話じゃねえのか」
「嫌だよ。私は可愛い女の子だけに囲まれて生きてたい」
「こいつ……」
とりあえず駿竜を消し、砂漠の異能者の胸倉を捕まえて立ち上がらせる。
「おいお前。名前は」
「え⁉ あ、ああ、えっと、あー、あの、俺は黒崎。黒崎孝太郎」
「長えな。略してクロコって呼ぶぞ」
「あっはい」
「異能『怪獣の指揮者』、二つ名“モンスター”、八街亮晟。クロコ、お前を『後見』する。お前は今から俺の弟子な。俺のことは師匠とでも何とでも好きに呼べ。1時間以内にこの砂漠、消すぞ」
「えっあっ了解」
了承を取ったところで、あの女王さまがけらけらと笑い出した。
「何なんだよお前はァ!」
「いやぁーはっはっはっはっ、悪いね、楽しくて楽しくて。おいクロコ」
女王さまがクロコの方に向き直る。
「お前に二つ名をくれてやろう」
「え、あ、はいどうも」
クロコの方も素直に応じる。
「”海殺し”。あらゆる環境条件に干渉し、土壌の養分と水分を完全に奪い取る、げに恐ろしき世界の破壊者。『砂漠の干渉者』として、これからはその名を使って良いぞ? お前と怪獣のことは、私の異能に乗せてここらの異能者たちに広めてやる」
「う、ウス」
盛り上がっているところ悪いが、今は砂漠を元通りにするのが先だ。女王さまからクロコを引き離し、騒がしいだけのこいつらから離れてクロコに指導する場所を探すために歩き出す。
「行くぞクロコ。お前に異能の使い方を教える。まあ、身に付くかどうかはお前次第だけどな」
「あ、ウス、よろしくお願いします」
何故か無言で俺たちのあとをついて来るその他大勢を何度も追い返すことになったのは、大変腹立たしかった。

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理外の理に触れる者:海殺し その⑩

「よう、砂漠の。とりあえずこの状況どうにかしてくれ」
そいつに話しかけると、ようやく覚醒したようで急に慌て出した。
「え、ああ、ああッ⁉ 何だこの状況!」
「こっちが言いてえよ」
「とにかくその化け物どっかやってくれ!」
「ああうん」
駿竜を消し、砂漠の異能者の胸倉をつかむ。
「さあ、この砂漠をどうにかしろ。ここは温暖湿潤気候帯で今は真冬なんだよ」
言ってやると、そいつは目を泳がせながら答えた。
「い、いやな、実を言うと俺もよく分かってねえんだよ。この滅茶苦茶な力に目覚めたのが多分今日の朝、自覚したのはこの砂漠の中でも全く暑いなーとか日差し強っとか思わないなって思ったあたりからだから、今日の正午くらい。とりあえず家を出てみたら突然自分の周りに砂嵐が起きてさ、どうしようも無かったんだよ……」
「……なるほど、理解はできた。で、この状況、直せるのか、直せないのか」
「実を言うと……ちょっと厳しいかなって……」
「駿竜、来ませい」
あの怪獣を再び召喚し、砂漠の奴の首から上を口の中に収めさせる。別に噛みちぎらせようってわけじゃ無い。ただの脅しだ。
「……なあ怪獣。そいつ、もしかして異能の使い方に慣れていないんじゃあないのか?」
女王さまが話しかけてきた。
「ほら、今日発現したばっかりだって言っていたろう」
……そういえば。
「つーことはこの砂漠、このままになるのか」
「ああ……最悪なことに。本当に申し訳無いんだけど」
怪獣の口の中でそんな言い訳をするあたり、こいつ結構胆力あるな。
「……なァ怪獣。良い方法があるぞ?」
女王さまがいたずらっぽく後ろから声をかけてきた。
「何だ」
「怪獣、お前そいつを後見しろ」
「……はぁ?」

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理外の理に触れる者:海殺し その⑨

思うように動かせない身体をどうにか少しずつ捻って背後に目をやると、女王さまと似た見た目の中性的な少年が俺の背中に手を置いていた。
「彼女を攻撃しようって言うなら、ぼくは止めなくっちゃならない」
「な……何をした…………」
「わぁいミナト。紹介するよ、怪獣」
答えたのは女王さまの方だった。
「そいつが私の用事、っていうか探し人」
「へぇ……」
「私の恋人さ」
「そうかい……」
「まあ冗談なんだけど」
「ハッ倒すぞテメエ」
「ちょっとみっちゃーん? そいつ普通に動いてんだけどぉー?」
普通には動けてない。憎まれ口をたたくのが精いっぱいだ。
「しょうがないよ、ぼくは飽くまで干渉者だ。あらゆる時間は自然に流れたがる権利がある」
ミナトとやらの発言からして、こいつは『時間の干渉者』か。しかし、ただの干渉者に人ひとりの動きを止めるほどの力があるのか?
「ほら、喧嘩は良くないよ。今はその砂漠の異能者をどうにかしなきゃってところでしょう?」
ミナトの異能について考えていると、奴がそう言って俺から手を放した。身体の自由が急に戻り、反動でバランスを崩しそうになったところを駿竜の首にどうにか寄りかかる。
「ああクソ、そうだった……。駿竜」
指示を出し、まだ駿竜が咥えていた異能者を地面に落とした。その衝撃で意識を取り戻したようだ。

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理外の理に触れる者:海殺し その⑦

矢印を数十個辿りつつ歩いて1時間も経った頃だろうか。ようやく奴らを見つけた。あの女王さまに道連れ、その他知らない顔が何人か。その場の異様な雰囲気に馴染んでいる様子から、全員異能者なんだろう。
「ん、お前か怪獣。ご苦労だったな。良いもの乗ってるじゃないか」
砂が固まってできたパラソルの下で、水の塊をクッション代わりにして寝そべった女王さまがこっちに手を振ってきた。
「このや……この女郎……」
殴ってやろうかと拳を握りしめると、別方向からも話しかけられた。
「あ、おかえりー。何か頑張ってくれたみたいじゃない」
道連れも砂でできたデッキチェアに腰掛け、素足を地面からわき出す水に浸しながらこっちを見ている。とりあえず片手を挙げて応える。
「わん」
また別の声。こっちは聞き覚えがある。
「……その声、狼か」
「うん」
女王さまと同じか少し下くらいの年齢の、狼の耳と尻尾を生やした少女が、別の少女に捕まっている。
「さすがにあの竜巻は私じゃ破れなかったから助かった」
「そうかい」
「こっちはうちのお姫様。雪を降らせてた異能者」
そいつも会釈してきたのでこっちからも会釈で返す。
「何だよぅ、私にだけ邪険じゃないかぁ?」
女王さまがわざとらしくすねたように口をとがらせる。
「うるせえ。パシってきた奴に振り撒く愛想なんざ持ち合わせてねンだ」
ビビらせてやろうと火を吹こうと口から肺にかけて部分的に怪獣化し、牙を打ち合わせた時だった。
「駄目だよ、きみ」
誰かの手が背中に触れ、身体の動きが突然に止まった。

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理外の理に触れる者:蝶と鴉と猫 壱

ぱち、と目を覚ますと見慣れた天井が見える。
暫くの間そのままでいたが、やがて誰かの気配を感じて窓の方を見た。
「よぉ」
そこにはカラスが留まっていた。
「随分と寝てたみたいじゃないか」
そう言って、カラスはケタケタと笑う。
「…」
畳の上に寝転んでいる黒髪の人物は、静かに起き上がった。
部屋のゼンマイ時計を見ると、午後2時を指している。
「どうだいお前、よく眠れたかい?」
夢でも見てたのか?とカラスは笑いながら言う。
「…別に」
見てたとしても忘れてるよ、と黒髪の人物は素っ気なく答える。
「そうかね?」
お前がそう言う時は大体…とカラスが言いかけた所で、黒髪の人物は立ち上がった。
「…おっと、どこへ行くんだい?」
部屋の出入り口へ向かおうとする黒髪の人物を、カラスが引き留める。
「ちょっと散歩」
あんまりいい寝覚めじゃないから…と黒髪の人物は部屋から出ようとする。
「じゃあオレ様も連れてってくれよ、黒羽(くろは)」
お前1人じゃ心もとないだろ?とカラスが言うと、黒羽と呼ばれた人物は窓に一瞥もせずこう言った。
「好きにしたら」
カラスはその答えを聞くと、バササッと黒羽の肩に飛び乗った。
「へっへっへ」
やっぱりこの場所は落ち着くなぁとカラスは笑う。
黒羽はカラスがちゃんと肩の上に乗ったのを確認してから歩き出した。

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理外の理に触れる者:海殺し その⑦

歩き出そうとして、身体に力が入らなくなっていることに気付いた。流石に2度も怪獣化した後にあれを呼んだのはやり過ぎだったか。とりあえずその場に尻もちをつくように座り、体力の回復に専念することにする。それはそれとして、犯人も捕まえておかなくっちゃならない。
「『駿竜』、来ませい」
4本足で立つ、体長4mほどの翼の無いドラゴンが俺の前に駆けてきた。
「連れて来い」
さっきまで砂嵐があった場所を指して命ずると、駿竜は目にも留まらぬスピードでそっちに向かって駆けて行き、僅か数十秒で戻ってきた。口には異能者らしき俺と同世代くらいの少年を咥えている。どうやら気絶しているらしい。砂鯨の直撃でも受けたか? 生きてるってことはそれは無いか。
「よくやった」
駿竜に手招きして身を伏せさせ、背中の上に這い上がる。
「俺の足跡を辿れ。急がなくて良い。あの偉そうな女王さまに達成報告でもしてやろうじゃねえか」
俺の命令に頷き、駿竜が駆け出す。急がなくて良いと言ったのにその速度はなかなかのもので1回背中から転げ落ちたが、それで反省したようで、無事にのんびりと引き返すことができた。

足跡をたどってあの女王さまと出会った場所に向かうと、そこには誰もいなかった。あいつが呼んだ水の跡すら残っていない。
軽く周囲を探してみると、水でできた矢印が等間隔に浮いている。
「あンのチビ…………こっちから出向けってのか。駿竜、悪いがもう少し歩いてもらうぞ」
指示を出すと、駿竜は短く喉を鳴らし、矢印を辿って歩き出した。

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籠蝶造物茶会 あとがき

どうも、テトモンよ永遠に!です。
こちらは「籠蝶造物茶会」のあとがき…と言うかおまけです。
よかったらお付き合いください。

「造物茶会シリーズ」はぼくの高1の時の空想から生まれました。
ただ、元々は魔術が出てくるようなお話ではなく、人外達がいちゃいちゃ(笑)するようなお話でしたし、キャラクターもナツィとキヲンしかいませんでした(しかも当時は明確な名前がなかった)。
ただ空想の内容が少々えげつなく(お察しください)、空想している自分が辛くなってしまったために全然違うお話にしました。
それが「造物茶会シリーズ」の始まりです。
でも最初の内はキャラ名やそれぞれの設定がかなり違ったり、ナツィとセットなのはきーちゃんだったりしました。
この辺りは空想を続けている内に自分にとってよりしっくりくる方…現在の形へと変わっていきました。
ちなみにきーちゃんがナツィにくっ付いたりしているのは初期の名残りです(笑)

今回はこれくらいにしておきましょう。
いつになるか分からないけど、「造物茶会シリーズ」第3弾もお楽しみに。
また「ハブ ア ウィル」の新エピソードも絶賛制作中で、3月中の投稿を予定しております。
こちらもお楽しみに。

あと最後ですが、ぼくから質問です。
ポエム掲示板を出入りしているとここで自分以外にも小説を書いている人を度々目撃するのですが、皆さんどういうキッカケで小説を書いているのでしょうか?
ぼくはある人がここで長い長い小説を書いているのを見て、真似したくなって始めたのですが…
みんなはどうなのでしょうか?
よかったらレスから教えてください。

ではこの辺で。
テトモンよ永遠に!でした〜

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理外の理に触れる者:海殺し その⑥

(……さて。どうしたもんか)
一応、指の先を砂嵐に突っ込んでみたが、一瞬でひき肉にされてしまった。指一本しか入れなくて本当に良かった。人型に戻ればどうせ治るからまあ問題無い。
「…………まあ破れるけどさァ……やりたくねえなァ……」
溜め息を吐いて怪獣化を一度解く。そう、この程度の障害なら、俺の異能で呼び出す怪獣であれば簡単にブチ破れる。しかし、あのレベルの怪獣は自分で化けるにはデカすぎるから、わざわざ召喚しなけりゃならない。勿論、体力の消費も結構なものになるわけで。
「……でもまあ、やらねえとだよなー…………よし、やるか」
十分に距離を取ってから、左腕を砂嵐に向け、意識を手の先に集中させる。
「……『砂鯨』、来ませい」
その言葉で、俺と砂嵐の中間の地面から『そいつ』が飛び出した。数十mはある背丈、先端が二つに分かれた幅広の尾、水かきのある手足、白色のゴムのようにたるんだ皮膚、ハクジラのような形状の頭部と口からはみ出した異様に長い牙。俺の持つ怪獣たちの中で最も巨大で、重厚で、強力な化け物だ。
「ああクソ……手っ取り早く行こう。倒れ込め」
砂鯨の皮膚は高速で回転する砂粒を軽く弾き返し、質量で押し潰すようにして、砂の壁を容易に突き破った。そして地響きを立てながら砂鯨が倒れ込んだ数秒後、あれだけ大規模だった砂の竜巻もきれいさっぱり消えてしまった。
「ご苦労、砂鯨」
声をかけてやると、砂鯨はまた砂の中へと消えていった。さて、この町を砂漠にした犯人の顔でも見に行ってやろうか。

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理外の理に触れる者:海殺し その⑤

「そうそう、せっかくだからこれも言っておこうか。お前が探すべきは『雪』と『竜巻』だ」
別れる直前、あの女王さまは俺に向けてそう言ってきたんだ。
『竜巻』というのはまだ分かる。砂嵐みたいなやつが発生してるってんなら極めて自然だ。しかし、『雪』ってのはどういうことだ? こんな暑さの中じゃ、降って来る間に溶けて、せいぜいが雨になっちまうだけだろうに。
考えながら歩いていると、不意に鼻先に何かが落ちてきた。指でそれを触ってみると、小さな結晶のようだ。
(……まさか、このクソ暑い砂漠の中で、本当に雪が降るとは……)
一度変化を解き、人間の身体で雪の冷たさを楽しむ。石竜の皮膚で防いでいたとはいえこれまでひたすらに暑いだけだったから助かる。

しばらく身体を冷やして、再び怪獣化する。今度の変化はさっきより獣寄りに、やや小柄な2m半程度の背丈に薄灰色の毛皮と狼のような頭部、体長とほぼ同じ程度に長い尾を具えた、自分の中で『人狼』と呼んでいる姿だ。
その姿で雪の降る中をしばらく歩いていると、すぐに『竜巻』の方も見つかった。空高くまで伸びる、轟音を立てる砂の柱。これは紛うこと無き砂の竜巻だ。
「わん」
不意に足下に犬の鳴き声が聞こえた。そっちを見てみると、なかなかワイルドな雰囲気の大型犬がこっちを見上げていた。
「……いや待て犬は普通あんな露骨に『わん』とは言わねえな? お前異能者だろ」
犬を指差して言ってやる。犬は頷いて応えた。
「あと、おおかみ」
犬もとい狼が普通に話しかけてきた。
「そうかい」
「あれ、どうにかして」
「あの砂嵐をか」
「そう。あの中に砂漠の異能者がいる」
「そうかい。まあこっちも一応頼まれてここまで来てるからな」
「ん。それじゃ」
それだけ言うと、狼はどこかへ走り去ってしまった。

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理外の理に触れる者:海殺し その④

水のコンパスを眼球の無い顔で見ながら、ひたすら砂の上を歩き続ける。あいつが話さなくなったせいで、実に退屈な作業と化している。鬱陶しいだけだと思っていたあいつも、結構大きな働きをしていたわけだ。
「おい怪獣」
不意に声をかけられた。声のした方に目をやるが、砂しか見えない。
「こっちだって」
そっちを見てるんだが。
「…………ああ、そういえばそうか」
目の前の砂の塊が突然崩れ、その下に偉そうに膝を組んで座る少女が現れた。
「やあ、良い天気だな?」
少女が話しかけてきた。とりあえず何も言わず睨み返しておく。
「……何だよぅ、返事くらいしてくれても良いんじゃあないの? 私、女王さまぞ?」
「ハァ?」
「お、喋った。ただの怪獣じゃないみたいだな?」
「誰だお前。女王だァ?」
「うん。異能は『無生物の支配者』、人呼んで“無命女王”。それが私だよ」
「へえ、知らない名前だ」
「怪獣よー……もっと周りの異能者に興味持て? 私、ここら一帯のボスみたいなものぞ?」
「へえ、そいつは知らなかった」
「……まあ良いや。私は用事があって忙しいんだ。その代わりに、ほれ」
周囲の砂が浮き上がり、矢印の形をとる。コンパスが指すのとはちょうど90度ほど進路がズレていやがる。
「この砂漠は、異能者が創り出したものだ」
「ンなこたァ分かってんだ」
「お前、行って止めてこい。日差しと乾燥は身体に悪いからな」
「悪いが、こちらも用事があってな」
「そっかー……」
無命女王とやらがこっちに指を差してくる。直後、手の中の水のコンパスが弾け飛んだ。
「あッ! おま、何しやがった!」
「水源なら連れて来てやる。そいつ置いてさっさと行かんか」
奴が地面を指差すと、砂の地面に小さな穴が開き、結構な勢いで水が噴き出した。地下水だったとしても透明すぎる気がしないでも無いが、まあ異能の影響だろう。
「これでそいつも平気だろう。早く行って来い」

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理外の理に触れる者:海殺し その③

あいつを腕で拾い上げて首の後ろに乗せ、翼を日陰にしてやる。
「わあ快適。最初からこうしてくれれば良かったのに」
「図々しいなお前。捨ててくぞこの野郎」
「女郎なんだよなぁー……あ、やめて日差しが痛い」
ちょっと翼を開いて懲らしめてやった。すぐに閉じたが。
「まあ大人しく方向をを教えてあげることにしよう。とりあえずそのまま12時方向へー」
「了解」
奴の指示に従って歩き出す。俺の異能『怪獣の指揮者』によって変化したこの身体は、皮膚が熱を遮断するおかげで、サイズの割に暑さに対して快適なんだ。
「……あ、マズい」
「ん、道を外れていたか」
「いや……私の方に問題が」
「どうした」
「この暑さは良くないね。体力がもう……。手、出して」
首の高さまで手を持っていくと、あいつがそこに手を重ねて、また離した。
「あとは……それ見て……」
手の中を見ると、透明な液体が針状に固まっている。
「何だこれ。水か?」
「私の汗」
「気持ち悪ッ」
「失礼だなぁ……。私の異能で、それは……コンパスの役目を果たす、から……」
「……おいどうした」
「体力温存のために、寝ます……」
「寝るなー、寝たら死ぬぞー」
雪山じゃあるまいし、くらいは言い返してくると思ったが、何も返事が無いあたりマジで寝たのか。どうやら相当参っていたらしい。

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理外の理に触れる者:海殺し その②

「あ」
道連れが短く声をあげ、足音が一つ減った。俺はまだ歩き続けてるってことは、あいつが立ち止まったのか。あいつのいた方を見ると、砂に足を取られて躓いたのか、うつ伏せに転んでいた。
「……何やってんだ」
「…………」
あいつは顔を砂にうずめたまま答えない。何かヤバい気配がする。
「……これは、良くないね」
喋った。生きてはいるらしい。
「喋り過ぎた。体力がもう無いや」
「無駄話してるからだろ」
「何も言わないでいると、精神的に良くない気がして……」
あいつは立ち上がろうと手を砂に付いてはいるが、全く身体が持ち上がる様子が無い。
「……私はもう駄目みたいだから、構わず先に行って……」
冗談を吐く余裕はあるようだな。
「馬鹿言え。お前の異能無しにこんな場所歩けってのか」
「でも私、20㎏入りのお米より重いよ?」
「それより軽い奴がいたらビビるわ」
異能を使い、自分の姿を変える。爬虫類と猛獣を混ぜたような、体長3m近い胴体。砂に沈みにくい、長い指を具えた脚が4本。4本指に長い爪、鱗の生えた腕が2本と、飛ぶのには使えない、ただの飾りの皮膜翼が1対。便宜的に、自分の中で『石竜』と呼んでいる姿だ。
「足になってやる。お前が鼻になれ」
「そこは目じゃ無いん……わぁっ」
あいつが顔を上げ、眼球の無いワニみたいな顔面に驚き、変な声をあげた。

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理外の理に触れる者:海殺し その②

「あ」
道連れが短く声をあげ、足音が一つ減った。俺はまだ歩き続けてるってことは、あいつが立ち止まったのか。あいつのいた方を見ると、砂に足を取られて躓いたのか、うつ伏せに転んでいた。
「……何やってんだ」
「…………」
あいつは顔を砂にうずめたまま答えない。何かヤバい気配がする。
「……これは、良くないね」
喋った。生きてはいるらしい。
「喋り過ぎた。体力がもう無いや」
「無駄話してるからだろ」
「何も言わないでいると、精神的に良くない気がして……」
あいつは立ち上がろうと手を砂に付いてはいるが、全く身体が持ち上がる様子が無い。
「……私はもう駄目みたいだから、構わず先に行って……」
冗談を吐く余裕はあるようだな。
「馬鹿言え。お前の異能無しにこんな場所歩けってのか」
「でも私、20㎏入りのお米より重いよ?」
「それより軽い奴がいたらビビるわ」
異能を使い、自分の姿を変える。爬虫類と猛獣を混ぜたような、体長3m近い胴体。砂に沈みにくい、長い指を具えた脚が4本。4本指に長い爪、鱗の生えた腕が2本と、飛ぶのには使えない、ただの飾りの皮膜翼が1対。便宜的に、自分の中で『石竜』と呼んでいる姿だ。
「足になってやる。お前が鼻になれ」
「そこは目じゃ無いん……わぁっ」
あいつが顔を上げ、眼球の無いワニみたいな顔面に驚き、変な声をあげた。

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理外の理に触れる者:海殺し その①

「……暑いね」
偶然そこらで遭遇してから道連れになった異能者が呟く。多分俺に話しかけているんだろう。小さく頷いて応える。声に出して応じる余裕なんぞ残っていない。
その理由は何と言ってもこの環境だ。確かこの辺りは、人口10万人弱のそれなりの規模の町だったはずじゃないのか。なんだって建物一つ見えない砂漠と化していやがる。
「今2月だよ? 冬将軍はどこでサボってるのやら……日陰、無いかなぁ……」
見りゃ分かるだろうよ。地平線の向こうまで、砂でできた平面と丘しか無い。
「…………ああそっちじゃないそっちじゃない」
道連れが俺の腕を引いて、数度進路を変える。
「何すんだ」
「いやぁ、水源に向かうのは良い。それはあり。でも、離れる方向に行くのは良くないよ」
「…………?」
何を言っているのか分からん。
「あれ、言ってなかったっけ? 私の異能、『水の観測者』。水源までの距離と方角が分かる」
そういや会った時に何か言ってたような気もする。
「砂漠で遭難した時ぐらいしか役に立たないと思ってたけど、まさか日本で砂漠で遭難する機会に恵まれるとはねぇ……鳥取以外で」
「鳥取に砂漠は無い。ありゃ砂丘だ」
「あれ、そうだっけ」
「ちなみに日本一デカい砂丘は青森にある」
「何で知ってるの?」
「高校で地理取ってるから」
「へぇ」
畜生、無駄に喋ったせいで体力削れた。

3

タイムジャック2

「協力?」
“そうか、別に戦わない選択肢がないと言うだけで協力しちゃいけない訳じゃない”
「そう、明確な攻撃手段がないだろ?お互いさ」
「ま、まぁな」
俺は少し拳を作った。
「もちろん、それは超能力という意味だ、その拳はこの話に意味がない」
やはりバレている。こいつも本当に未来が…
「確かに協力した方が良さそうだ」
拳を解き、その手を彼に向ける。
「同じ能力同士だと話が早くて助かるよ」
彼もその手を掴んだ。
「お互いまだ名乗ってなかったな、俺は常磐守、よろしくな」
「僕は奥野智也、君とは仲良くなれそうだ」
『さぁ超能力者の原石達よ、準備はいいか?』
会場を先程の静寂に包む声。
『あと10分でスタートだ。存分に生き残りたまえ!』
部屋の壁面にモニターが現れ、タイマーが表示される。
「いよいよ始まるね」
「あぁ、やるしかねーな」
0:10
この辺りから色んな人間の思惑が頭の中に飛び込んでくる。
0:09
「僕らみたいな考えのやつもいるだろうね」
0:08
「どうかな…基本人間なんて自分勝手だからな」
0:07
時間を止める。または時間を早回しする。
0:06
色んな考えのやつがいる。
0:05
それを認知できるなら…
0:04
せっかく智也もいる
0:03
攻撃しなくたって
0:02
やりようはある
0:01
「来る…」
0:00
画面がその数字を表示した瞬間、
景色が全て停止した。
「さすが、まずは第1関門突破かな」

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ちょっとした企画:理外の理に触れる者 2/2

・二つ名
異能者が自称したり他の異能者から呼ばれたりする異名。どこかの異能者が「何かかっこよくね?」みたいなノリで付けたところ、他のノリの良い異能者たちも便乗し始めた。現在では全異能者のうち、実に6割が二つ名を持っている。そのうち半分程度は他の異能者にも知れ渡っている。漢字オンリーの四字熟語みたいな雰囲気のやつもあれば横文字のやつもある。仮名と漢字が混ざっているのもいる。基本的に支配者レベルの異能者の二つ名には「王」「帝」「神」などの文字が使われることが多い。それより下の位階の能力者がそれらの文字を使った二つ名を名乗ると、よほど実力が無い限りは表で陰で思いっきり叩かれる。支配者の人たちは王や神なのでそんな細かいこと気にしないでくれることも多い。

・後見
異能者が他の異能者、特に自分より下の位階の能力者を自分の下に置いて世話すると宣言すること。基本は支配者級の能力者しかやらない。たまに指揮者級で力のある能力者がやることもある。簡単に言うと、「こいつ私のお気に入りだから手ぇ出すなよ?」ということ。元々はとある支配者級の異能者が、自分の住む地域一帯で起きる異能者どうしの諍いを手っ取り早くおさめるために考案したシステムであり、後見された異能者は周囲から、後見した異能者の手下扱いされると同時にいじめられにくくなる。後見対象をどうするかは人によって違う。宣言だけして放っておくこともあれば、能力の制御の練習に付き合ってあげたり、お友達になったりということも。


ざっくりした設定はこのくらいです。質問があったらレスしてください。あとは皆さんの想像力にお任せします。今月いっぱいくらいを目安とした企画です。書いて良いよって人はタグに『理外の理に触れる者』を入れて投稿してください。

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ちょっとした企画:理外の理に触れる者 1/2

異能設定
肉体年齢3歳以上の人間または人外存在に、大体2d6で6ゾロが出るのと同じ確率で発現する。人外存在の場合は若干確率が上がり、人間の倍くらいの確率で発現する。学校の1クラスに1人か2人はいるくらいの確率。
能力名は以下の2要素によって説明される(「○○の●●者」みたいな感じで)。
・能力対象
異能で干渉する対象。1d100でファンブルするのと同じくらいの確率で同じものを対象とする異能者が現れることもある。
・位階
干渉の程度の強さ。4段階に分かれる。能力の強制力は上の位階ほど強く、能力同士が干渉した場合、より高い位階の能力が優先される。
能力の使用には代償が必要で、基本的には体力の消耗という形で処理される。稀にそれ以外の方法でどうにかしている能力者もいる。位階が上がるほど代償は大きくなるが、その分できることも大きくなる。
また、能力を使い続けることで上の位階にランクアップすることもあり得なくは無いが、一つ位階を上げるためには普通にやったら大体数百年から数千年の年月が必要なので、人間には基本的に不可能。ランクは以下の通り。
観測者:最も低い位階。対象を認識する異能。所謂「霊感」などはこれに当たる。能力者全体での割合は2d6で4以下が出る確率と同じくらい。
干渉者:2番目に低い位階。対象に触れ、その動作や定義に干渉する。本質は対象への『依頼』であり、対象には依頼を拒否する権利がある。できることはあまり多くは無いが、能力使用による代償も少ない。能力者全体での割合は2d6で5~7が出る確率と同じくらい。
指揮者:2番目に高い位階。ある程度の強制力と威力を以て対象を操作するもの。本質は対象の『使役』であり、対象は基本的に命令を実行しなければならないが、抵抗する権利がある。抵抗は多くの場合肉体や精神の変質という形で現れるため、未熟な能力者は能力に振り回される。能力使用時、改変の規模に比例してより大きな代償が必要になる。能力者全体での割合は2d6で8~11が出る確率と同じくらい。
支配者:最高位階にして能力の完成形。指揮者以下にできることは全部できる上、絶対的な強制力を持っている。威容による命令であるため代償も存在せず、また対象は自分にとって不都合な動作ができなくなる。能力者全体での割合は2d6で6ゾロが出る確率と同じくらい。

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理外の理に触れる者:魑魅魍魎の総大将 その⑥

「ごちそーさまでした」
未だ飲み込み切れない霊体組織に口をもぐもぐさせながら手を合わせ、月は化け物に向き直った。
「鬼、ご苦労」
床に倒れて動かなくなった鬼の背中を踏みつけつつ、化け物に近付いて行く。彼女が通り過ぎるのと同時に、鬼の身体は彼女の足元に吸い込まれるように消えていった。
「さて、待たせたなぁ」
化け物が咆哮をあげ、両腕を彼女に向けて伸ばしたが、月の目にも留まらぬ蹴りがそれを弾き返し、衝撃に耐えきれなかったのか片腕は2つ目の肘関節から捩じ切れ落ちた。
「どした? この程度か? ほらほら頑張れ頑張れ」
にやつきながら化け物を睨む月の両目の上には、いつの間にか新たに1対、金の虹彩と縦長の瞳孔を具えた眼が現れている。
化け物が残った片腕で薙ぐように攻撃を放つ。遠心力によって化け物自身の能力以上の威力を持っていたそれを、月は片手で軽々受け止め、膝を使って蹴り折り引きちぎった。
「ほらほら、もうお手てが無くなっちゃったなァー?」
ちぎった腕を引きずりながら更に近付く。化け物が短く吠えて噛みつこうとしてきたが、月は一度腕を放り捨ててから片手で受け止め、下顎を鬼化した脚で踏みつけ、押さえた片腕で上顎を持ち上げ、動きを完全に封じてしまった。
「あーらら、もう動けなァーい。……さて」
鬼の牙の並ぶ口を耳まで裂けさせたにたにた笑いを化け物に向け、空いた片腕を虚空に向けて突き出す。
「戟、来ぃ」
無から突然現れた矛状の武器を掴み、開かれたままの化け物の口の中に突き刺し、その頭部を貫通させる。無数の眼球が一瞬ぎょろぎょろと動いたが、すぐにそれらは動きを止め、薄灰色に濁り、月が戟を消すと支えを失った死骸は壁から剥がれ、畳を数枚吹き飛ばして床上に斃れた。
「よしよし、鮮度は大事だし、さっさとイタダキマス」
露わになった床板の上に座り込み、化け物の残骸をかき集め、月はゆっくりと食事を始めた。

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理外の理に触れる者:魑魅魍魎の総大将 その⑤

「それじゃ、イタダキマス」
鬼と化け物がぶつかり合う激しい戦闘音を気にかける様子も無く、月は人影にのしかかったまま手を合わせた。
「どこからいこっかなー……やっぱ取りやすいとこからかなー……」
ぶつぶつと呟きながら、人影の肩の辺りを押さえた膝でそのまま腕に当たる部位を踏み折り、付け根から外れた腕を拾って食べ始める。
「……うーん……あっさりめ。まあメインディッシュは向こうにいるし」
十数秒で腕の1本目を食べ終わり、もう片方にも手を付ける。
(……しかし私の異能、『鬼神の指揮者』。オバケを食べることで能力を使う原動力にしてるわけだけど……、そのオバケを食べるために能力で顎を鬼化させる必要があるわけで、それでまたお腹が空いてくる……)
「…………控えめに言って最高」
食べ進めて最後に残った腕の付け根を口内に放り込んでから、月は心底幸福そうに呟いた。
「さて、次はどこにしよ…………座り心地悪いなァ」
最後の抵抗にのたうつ人影に苦言を吐き、両手を頭部に当たる部位にかけ、勢い良く捻る。頭部が120度ほど回転した人影はそれでもなお暴れていたが、月の手刀が首を切断すると、それきり動かなくなった。
「さすがにちょっと大きいかなー……まあいけるいける」
頭部を持ち上げてしばらく眺めていた月だったが、鬼化した下顎をさらに縦に分割し、蛇が獲物を食らうようにその頭部を丸呑みし始めた。途中、化け物に殴り飛ばされた鬼がすぐ横を飛んでいったが、指だけで再び化け物に立ち向かうよう指示すると、鬼はすぐに体勢を立て直し、また突進していった。
「……………………ふぅ、さすがに頭まるまるはきつかったぁ。そろそろ鬼にも申し訳ないかな。さっさと残りも食べちゃお」

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理外の理に触れる者:魑魅魍魎の総大将 その④

月に取り押さえられた人影はしばらく手足をじたばたと振り回していたが、身体の上に座られ、両腕を膝で、頭部を片手で畳にめり込むほど押さえつけられ、全く逃れられる気配は無い。
「ほれほれ大人しくなー。さっさと本体出して」
月が言うと、部屋の奥の壁に瘴気が集まっていき、遂に怪異存在の本体が姿を現した。
壁から生えるようなそれは凡そ痩身の人間の上半身の形状をしていながら、現れている部分だけで全長は3mに近い巨体であった。異様に長い腕には一般的な人間より2つ余計に関節ができており、片方の掌につき4本しか無い指は、球関節にでもなっているのか滅茶苦茶な方向と角度で折れ曲がっている。また全身の皮膚は青白いにも拘わらず、熱を発しているのか全身から湯気が立ち昇っており、ところどころに金属光沢を帯びた鱗のようなものが生えている。頭部では長く鋭い牙の並んだ口が耳まで裂けており、頭蓋全体を血走った無数の眼球が覆い尽くしている。
「うんうん、これは食べ応えありそう。鬼、来ぃ」
月がそれを恐れる様子も無く虚空に命じると、彼女の足元から別の人外存在が現れた。
およそ八尺、天井と比較してやや高すぎる背丈を折り曲げ、金色の瞳を具えた両の眼で化け物を睨むのは、赤い皮膚と分厚い筋肉に覆われ、額から二本の太く短い角を生やした、まさしく『鬼』と呼ぶべきモノだった。
「私はこれからしばらく食事に入る。その間この場を持たせておけ」
その言葉に従うように、鬼は一声短く吠え、化け物に肩から突進していった。

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理外の理に触れる者:魑魅魍魎の総大将 その③

人型から剥ぎ取った霊体組織を齧りながら、月は人型から示された道を進んでいた。
「うん……食感は良い……けど味は薄すぎるし、何より量が足りない……」
自分の目方の半分程度はある霊体をみるみるうちに腹に収め、最後の一かけらを飲み込む頃、漸く目的地に到着した。
「おー……おっきい家」
固く閉ざされた門を蹴り、施錠を確認してからその上を軽々と跳び越え、前庭に蔓延る雑草を枯れ朽ちさせながら進み、ほぼ何の障害も無く母屋に到着した。
「ノックしてもしもーし。ヤバいのがいるってんでご相伴に与りにきましたー」
引き戸の入り口もまた当然のように施錠されており、月はそれを蹴破って屋内に侵入した。
屋内には幼い少女のすすり泣く声が響き渡っており、月はその音源を探して屋内をしばらく歩き回る。
「ん、ここか。トツゲキー」
やがて音源たる一室を発見した月が、現在彼女が居る廊下と室内を隔てる襖戸を蹴破ると、30畳ほどの広間の中央付近で幼子らしき人影が入り口に背を向けて蹲っていた。先ほどから聞こえてきている泣き声は、その人影から発されているようである。
「……擬餌よ、一つ教えておくと」
月は一足に人影の背後まで跳び、それが振り向く前に頭部らしき部位を捕え、床面に叩きつけ取り押さえた。
「今どき、廃墟で泣き声が聞こえて心配して近付くような奴などいないぞ」

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理外の理に触れる者:魑魅魍魎の総大将 その②

「御機嫌よう。ようこそいらっしゃいましたわ」
伽は突如現れた人外存在に怯む事無くにこやかに話しかけた。
『気ニシナクテ良イノヨォ。オ姉サンノ言ウコトナラ何デモ聞イチャウヨォ』
人型もケタケタ笑って返す。
「実はですね、この辺りで人外のモノを探していますの。できるだけ大きなものが望ましいのですけれど……心当たりありません?」
そう問われて、人型は顎に指を当てて考え込んだ。
『フゥーンム…………。イヤ、マアネ? オレモ根無シノ浮遊霊ダ、ソノ手ノ噂ニハ明ルイ自負ガアルヨ? ケドネェ……オ姉サンヲ危険ニ晒シチャア、オレガ何言ワレルカ分カンネーノヨ……』
「あら心配してくださるの? ご安心なさって、向かうのはこの子ですわ」
伽は悩む人型に笑いかけ、月を指しながら言った。月も突然注意を向けられて一瞬きょとんとしたものの、すぐ微笑んで人型に手を振ってみせた。
『エ、マジデェ? ソンナラドーデモエーワ! チョイト待チナィ!』
口しか見えない表情を輝かせた人型は、腕を構成する靄を一度ほどき、変形させて再び固定した。
『ジャジャァーン、オレ製コノ街ノ地図。チョウドココノ所ニアル空家ガヤベエノヨ。見タ目ハ立派ナ日本家屋ナノニ勿体無イ』
人外の靄で構成された地図を数十秒かけて頭に叩き込み、月は姿勢を正した。
「ほうほうなるほど。ありがと人型さん。じゃ行ってくるなー」
『オウ逝ッテコーイ!』
伽と人型に手を振ってその場を去る月を見送り、伽は不意に先程までとは異なる冷たい表情を人型に向けた。
「……ところで貴方。身体が半分も削り取られて、まだ動けるんですのね?」
『……エ? エ、アレェ⁉ アバ、アババーッ⁉』
自身の異常を思い出したように断末魔をあげて崩れていく人型をその場に放置して、伽はその場を離れた。
「近頃この辺りに出没していた浮遊霊の退治、終了。ルナちゃんがちょうど良く通りかかってくれて助かりましたね」

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理外の理に触れる者:魑魅魍魎の総大将 その①

「や、いかろ姐さん」
とある夕暮れ時、薄暗い路地裏にて声を掛けられ、その女性は振り返った。
「あらルナちゃん。学校の帰り?」
『いかろ姐さん』と呼びかけられたその女性は、よく見知った少女の姿を見とめ、視線を合わせるように腰を曲げながら答えた。
「そそ。ところで私、お腹空いちゃってまして……いつもの、お願いできます?」
鋭い牙を口から覗かせてニタリと笑う月に対し、いかろもとい伽はしばし考え込んでから答えた。
「……指揮者さま直々のお願いですし、まあ良いでしょう。不肖ながらこの”霊能者”伽、特別割引でお受けいたしましょう」
「わーい。今おサイフに300円しか持ってないんだけど、それで良い?」
「いえ、お金を戴くなんてとんでもない。ただ、こちらのお仕事を少しばかり手伝っていただければ……」
「あー……まあ軽いオヤツをはさむのもアリかな。おっけおっけ」
月の返答に頷き、それから伽は数秒黙り込んだ。瞑目し、集中力を高めるように深呼吸を繰り返し、不意にかっと目を見開く。それと同時に彼女の目の前に、どこから現れたのか黒く禍々しい靄のようなものが集まり、やがて人間を模した形状に安定していった。
『ヤァ、ドウシタイオ姉サン。手デモ借リタイノカイ?』
その人型は楽しそうに、ガサガサとした気味の悪い声で問いかけた。

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能力モノの設定を思いついたので誰か書いてください その②

・二つ名
異能者が自称したり他の異能者から呼ばれたりする異名。どこかの異能者が「何かかっこよくね?」みたいなノリで付けたところ、他のノリの良い異能者たちも便乗し始めた。現在では全異能者のうち、実に6割が二つ名を持っている。そのうち半分程度は他の異能者にも知れ渡っている。基本的に支配者レベルの異能者の二つ名には「王」「皇」「帝」「神」などの文字が使われることが多い。それより下の位階の能力者がそれらの文字を使った二つ名を名乗ると、よほど実力が無い限りは表で陰で思いっきり叩かれる。実際の支配者の人たちは王や神なのでそんな細かいこと気にしないでくれることも多い(たまに狭量な人も居る)。

能力詳細
・各位階は具体的に何ができる?
 観測者にできるのは良くてせいぜい能力対象と意思疎通ができるようになるところまでです。その結果、対象が意思と自ら動作する能力を持つ場合は、もしかしたら交渉して望む行動をしてもらえるかもしれません。
 干渉者にできることは簡単に言うと「動作の依頼、定義への干渉」です。飽くまでも「依頼」であり、絶対に言うことを聞いてくれるとは限りませんが、無生物や概念相手でも使える上、あまり大規模な動作でなければ基本的にはやってくれます。また、能力対象になるためには干渉者以上の位階が必要です。
 指揮者にできることは簡単に言うと「操作・使役」です。ある程度の強制力があります。支配者級の異能者に妨害されない限り、その指令は基本的に実行されます。干渉者以下にできることも大体できます。
 支配者は何でもありです。以上。
 たとえば「霊体」が対象だった場合、観測者はそれらを認識でき、おしゃべりも可能かもしれません。干渉者は彼らに触ることができ、もしかしたら軽く追い払ったり呼び寄せるくらいできるかもしれません。幽体離脱とかもできるかも。指揮者は彼らを使役できます。召喚したり祓うことも可能です。支配者は霊絡みでさえあれば何でもありです。

この世界観、設定で何か書いてみても良いよって方がいたら、書いてやってください。タグに「理外の理に触れる者」と書いていただければ幸いです。

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能力モノの設定を思いついたので誰か書いてください その①

異能設定
肉体年齢3歳以上の人間または人外存在に、大体2d6振って6ゾロが出るのと同じくらいの確率で何の前触れもなく唐突に発現する。人外存在の場合は若干確率が上がり、人間の倍くらいの確率で発現する。平均して学校の1クラスに1人か2人はいるくらいの確率。
能力名は以下の2要素によって説明される(「○○の●●者」みたいな感じで)。
・能力対象
異能で干渉する対象。1d100でファンブルするのと同じくらいの確率で同じものを対象とする異能者が現れることもある。
・位階
干渉の程度の強さ。4段階に分かれる。能力の強制力は上の位階ほど強く、能力同士が干渉した場合、より高い位階の能力が優先される。
能力の使用には代償が必要で、基本的には体力の消耗という形で処理される。稀にそれ以外の方法でどうにかしている能力者もいる。位階が上がるほど代償は大きくなるが、その分できることの幅も大きくなる。
また、能力を使い続けることで上の位階にランクアップすることもあり得なくは無いが、一つ位階を上げるためには普通にやったら大体数百年から数千年の年月が必要なので、人間には基本的に不可能。それこそ時間の異能者でも無ければ無理。ランクは以下の通り。
観測者:最も低い位階。対象を知覚認識する異能。所謂「霊感」「未来予知」「読心」などはこれに当たる。能力者全体での割合は2d6振って4以下が出る確率と同じくらい。
干渉者:2番目に低い位階。対象に触れ、その動作に干渉する。できることはあまり多くは無いが、能力使用による代償も少ない。能力者全体での割合は2d6振って5~7が出る確率と同じくらい。
指揮者:2番目に高い位階。ある程度の強制力と威力を以て能力対象を操作するもの。能力使用時、改変の規模に比例してより大きな代償が必要になる。能力者全体での割合は2d6振って8~11が出る確率と同じくらい。
支配者:最高位階にして能力の完成形。指揮者以下にできることは大体できる上、絶対的な強制力を持っている。威光による命令であるため、代償も存在しない。能力者全体での割合は、2d6振って6ゾロが出る確率と同じくらい。

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対怪異逃避行:鏡像の怪異 のあれこれ

・相手した怪異
『とある学校の七不思議:鏡像の怪異』
午後6時6分、かつ日没後、校舎の西階段2~3階間の踊り場にある鏡を見てはいけない。鏡像の中の自分が手を伸ばしてきて、現実の自分を殺しに来るのだ。
「鏡像の自分」は動きこそ素早いものの、鏡から完全に外に出ていくことはできないので、回避自体は決して困難ではない。
しかし、この怪異は一度発生すれば学校敷地内の鏡面をどこまでも追跡し、目が合えば再び攻撃してくる。

・登場人物
主人公:特に霊感があったりするわけでは無いが、周囲の人間が何故かそっち系の話大好き人間ばかりなので、知識はそれなりにあるし、存在も信じている。七不思議は何かそういう生き物なので見える。
幼馴染:中学校までは主人公と同じところに通っていたが、学力の差etc.の要因によって別の高校に通うことになった。家系の因縁で霊感めいたものがあり、自衛のために知識を貪欲に吸収している。稀に家系とは無関係に忍者めいた身体能力と影の薄さを発揮することがある。

・今回の怪異誕生秘話
夜中にヘッドライト付けたまま手を洗いに洗面所に行ってふと鏡を見たら光の反射で顔が潰れて眩しかったのに着想を得て、悪意ガン積みしたのが今回の怪異。

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対怪異逃避行:鏡像の怪異 その⑦

(そうはさせるか……! それにテメエの攻略法なら、既に『複数』考えてあるんだよ!)
奴が完全にしゃがみ込み、普通にしていれば目が合わないなんてあり得ないほどに身体を折り曲げた。しかし生憎と、現実の俺と鏡の中の俺の目が合うことは無い。
咄嗟に出したスマホのライトで照らされて、反射光で完全に顔が潰されてるんだからな。ちょっと眩しいが、この程度はコラテラルダメージだ。
「ザマァ見やがれ」
鏡像に中指を立てて校舎を出る。向こうも中指を立てて返した。所詮は反射だ。

「やあ、お疲れ様」
「ん」
校舎を出て数歩、あいつが背後から肩を叩いて労ってきた。間違っても後ろは向かないようにする。また鏡面を見る羽目になっちゃまずいし。
「いやぁ、奴が勝手に動いた時にはもう駄目かと思ったよ」
「あんま俺を舐めんなよ? お前から怪談を聞いては『主人公もこうすりゃ良かったのに』なんて妄想してんだぜ」
「私が君の生存に一役買ってたわけだ。嬉しいことだね」
「身の程を弁えろ元凶」
「はっはっは。ところで奴の出現範囲は、『学校敷地内』だ。校門までもう少しだけ、気を張っていた方が良いと、私は思うね。……そういえば今日は午前中、雨が降ってたね」
「わーかってるって」
用済みになったスマホはうっかりオフになった画面を見ないようにポケットに仕舞って、校舎からは全力で目を逸らして、俺たちは無事に帰途についた。
ちなみにあいつは不法侵入について何のお咎めも無かったらしい。というか侵入を気付かれてもいなかったらしい。たしかに他の生徒や教師の姿は見なかったが、侵入者が全く気付かれず好き勝手歩き回るとか恐ろしいことだよなぁ。

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対怪異逃避行:鏡像の怪異 その⑥

「それでどうするのさ」
「まあ大したことはしないんだが……、普通に『ガラス面から目を背け続ける』、それだけ」
「わあ地味」
「けど、確実だろ?」
「それはそう」
とりあえず下駄箱から靴を取り出し、あいつの方に意識を向けながら出口に向かう。
「……さっきから思ってたんだけどさ。あんまりこっち見ないでよ、照れるじゃない」
あいつが至って平坦な声色で言う。
「つっても、意識を向けておくのにちょうど良いものが無くてなぁ」
「地面でも見てればいいのでは?」
「なるほど名案」
その提案に乗って、足下に視線を移してみる。その時一瞬、出口扉のガラス面が目に入った。でも、できるだけ意識しないようにしてたし目は合っていないはずだから多分セーフのはずだ。

……うん、扉に近付いても手は生えてこないから大丈夫だったんだろう。
目を伏せたままガラス扉を押し開け、目を伏せたまま出口をくぐる。ガラスに映った俺の足が目に入ったが、足しか見えていない現状じゃ、向こうも手は出せない。
(なんせ、そういうルールだったもんなァッ!)
声に出して煽り散らすわけにもいかないので頭の中だけで言いながらその足を見ていると、鏡像に変化があった。
膝を深く折り曲げ、腿、腰、腹と見える部位がどんどん増えていく…………野郎、鏡の中で屈んで、強引に目を合わせてくるつもりか!

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対怪異逃避行:鏡像の怪異 その②

…………さて。
俺は今まさに学校から帰ろうとしているわけなんだが。
今日は部活があったから、帰りがそれなりに遅くなってるわけなんだよ。
で、部室の位置と昇降口の位置を鑑みるに、今まさに俺がいる西階段を降りるのが一番手っ取り早いわけなんだ。
……そして今、ちょうど鏡のかかった踊り場で、昨日あいつから聞いた怪談を思い出してしまった。
「…………まあ、一応。一応、確認ってことで」
スマートフォンで時間を見てみる。18時5分。ギリギリセーフ。
あいつめ、脅かしやがって。そう思いながら再び鏡に目をやった。
鏡に映った俺が、にやりと笑った。現実の俺は異常事態に歯を食い縛っているというのに。
鏡に映った俺が、腕をゆっくりと上げ始めた。現実の俺は何もできず腕を垂らしているというのに。
鏡に映った俺が、鏡面の境界をすり抜けてこっちに腕を伸ばしてきた。現実の俺は……とか言ってる場合じゃねえ!
そう頭では分かっていても、戦場暮らしだったわけでも無い人間が咄嗟に動ける訳も無い。腕はすごいスピードでこっちに迫ってくる。
しかし、鏡像の俺の手が俺の首に届くより前に、現実の俺がそれから逃げようと動こうとするより前に、背後から誰かに足払いを受け、派手にすッ転んでしまった。鏡像の腕は空を切り、現実の俺はそのまま階段を転げ落ちていく。
「……痛え…………」
「やあ、生きてるね。それは良かった。お礼を言ってくれても良いんだよ?」
この声は……。
「……なんでここにいるんだ」
このクソッたれの怪談を俺に教えた、我が幼馴染じゃないか。何だかんだで救われたが、それはそれとして許せねえ。
「不法侵入してきた。堂々としてればバレないもんだね」
「大体、俺がこんな目に遭ってるのはお前があんな話したせいだぞ。どうしてくれるんだ」
「どうもしないよ。まぁ、とりあえずは逃げようじゃないか。付き添いぐらいならするよ?」
「そりゃどーも」
階段を安全に歩いて降りてきたあいつに手を貸してもらい立ち上がり、とにかくこの校舎を脱出するために、階段を更に降り始めた。

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対怪異逃避行:鏡像の怪異 その①

「こんな話を知ってる?」
下校中、偶然出くわしたあいつがいつもの切り出し方で話しかけてきた。こいつがこの言い方をするのは、毎回必ずオカルト絡みの話をするときなんだ。正直飽きてるんだが、とりあえず聞き流すことにして、あいつの話すままに任せる。多分これが一番良いやり方だ。
「学校の七不思議の一つなんだけどね、6時6分に西の階段の踊り場の壁にかけてある鏡を見ちゃいけないっていうの」
「へえ」
「見るとどうなるか、これが分かりやすい。鏡に映った自分が、自分を殺しに来るんだ」
「そりゃ怖い」
「まあ、躱すだけなら簡単なんだよ。そいつは鏡の外に完全に出てくることはできないから」
「そりゃ怖くない」
「いやいや、こいつが恐ろしい代物でさ。たとえその場を逃げ出したとしても、一度現れたら最後、ありとあらゆる鏡面に現れては狙ってくるんだ」
「そりゃ怖い」
「助かる方法は簡単。一度学校の敷地内から逃げ出してしまえば良いのさ。次の日にはもう安全に戻ってるからね」
「へえ」
「……ところでこれ、うちの学校の七不思議じゃ無いんだよね」
「……は?」
「君の学校の七不思議なんだよ」
こいつとは高校に上がってから通う学校が別になったわけだが……何故そんなことを知っているのか。
「つーかなんでそんなこと俺に教えんだよ。明日からどんな気分で学校行きゃ良いんだ」
「何も知らないよりは安全かなー……って」
「季節が悪りィよ季節が……」