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Tell us terrible Terrors:のろい、まじない、きりはらい その⑤

「世の中知らないことだらけですねぇ……えっと、略霊能力の効果は……あぁー!」
「ん、どうした?」
「だからあの写真の顔、全然印象に残らないんだぁ! 目ぇ外した瞬間に何か記憶が朧ろげになると思ってたんですよねぇ~」
燿子の言葉に、清嘉も出力された記述を確認する。
「……はー、なるほどなぁ……むしろよく写真残せたよなぁ。っつーか写真でも効果発揮すんのかすげぇ能力だな……」
「わー、異聞能力もシンプルに攻撃力高いですねー。ま、情報はゲットできたんで。作戦立てていきましょっか」
燿子はタイプライターから手を離し、自身の略霊能力を終了させた。
「それで、どうしますかセンパイ? 現状唯一の手掛かりなこの写真、目を離した瞬間証拠能力失いますよ。私の能力で何とかします? あのタイプライター、キーすっごい重いからあんま使いたくないんですけど……センパイが言うなら無理しますよ?」
(なら別の道具使えば良いのに……)
清嘉はその指摘を飲み込んで答えた。
「いや、写真1枚あれば、位置掴むだけなら俺ができるよ」
「へぇ~、そういやセンパイの能力知らないですねぇ。何なんです?」
「あぁ、【メリーさん】だよ。おいで、“メリーさん”」
清嘉が虚空に呼びかけると、何も無かったはずの空間に突如、背丈60㎝程度の赤と黒を基調としたロリータ衣装の少女が現れた。
「わぁ可愛い~。ほっぺたモチモチしてる~」
燿子はその召喚体を抱き上げ、両頬をもちもちと弄り始めた。
「やめたげて……“メリーさん”、この写真の子のところに行ってくれるか?」
召喚体は清嘉を見上げて頷くと、燿子の腕の中から一瞬で姿を消した。
「あー……もっと愛でたかったです……」
「後でね? あと、もう見つけたよ」
「はっや。足立センパイってもしかして天才?」
「“メリーさん”がすごいんだよ……あ」
「どしたの」
「いや……ターゲットが移動してるっぽい……とりあえず追いかけようか」
「りょーかぃ」
二人は空き教室の状態を入室前と同等に片付けてから、学校を後にした。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 25.ヴァンピレス ㊳

「僕は、きみを、止めに来た」
「そんな、どうして」
ヴァンピレスはつい後ずさる。
「わらわは、別に、悪い事なんて、そんな」
「君は、たくさんの人に迷惑をかけた」
ヴァンピレスの言葉を遮るように、逢賀さんは続ける。
その瞳は鮮やかな鮮紅色に輝いていた。
「たくさんの人の”大切なもの”を奪い、”大切な絆”を、壊した」
その”報い”は、必ず受けなければならない…と逢賀さんことヴァンパイアはヴァンピレスに近付く。
ヴァンピレスはおびえたように後退するが、その途中でつまずき尻もちをついた。
「これ以上、きみに誰かの”大切”を壊させないために、きみ自身の手を、これ以上汚させないために」
僕はきみを、止める‼とヴァンパイアは右手に銀色の長剣を生成し、ヴァンピレスに向かって走り出す。
ヴァンピレスは後ずさろうとするが、身体が思うように動かないのか地面の上で身じろぎするだけだった。
このままでは、ヴァンピレスの異能力は、奪われる。
…つまり、記憶が奪われるという事。
ただでさえ寂しい思いをし続けてきた彼女が、記憶を失ったらどうなるだろう。
ただでさえ、1人で物憂げな表情をしていたというのに…

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 25.ヴァンピレス ㉜

「それに、彼女をこれ以上孤独にはしたくないから」
だから、わたしを連れて行って、とわたしはネロの目をじっと見据えた。
ネロは、アンタ…と呟きかけるが、ここで見つけたわよ、ネクロマンサーと聞き覚えのある声が聞こえる。
ネロの後方十メートル程の所を見ると、白いミニワンピースに白いコート、そして長い髪をツインテールにし、瞳を赤黒く光らせた白い鞭を手に持つ少女…ヴァンピレスが立っていた。
「今日は貴女の方から襲ってきたから何かあると思っていたけど…」
貴女、わらわを奪おうって言うのね、とヴァンピレスはにやりと笑う。
ネロは、アンタ立ち聞きしてたのかよ!と叫んで、その目を赤紫色に光らせた。
「あらあら、わらわが奪った異能力を使っただけの事よ?」
別に怒る事でもないわ、とヴァンピレスは小首を傾げてみせる。
そんな彼女に、ネロことネクロマンサーはアンタ…!と憤りの声を上げるが、ここでわたしはねぇ、と声をかけた。
「あなた…ヴァンピレスは、どうして他の人の異能力を奪うの?」
わたしの質問に、ヴァンピレスは、あら貴女、随分度胸があるのねと返す。
「さすが、わらわの”提案”を断っただけあるわ」
「質問に答えて‼」
話を逸らそうとするヴァンピレスに対し、わたしはそう要求した。
それに対しヴァンピレスは少し不満そうな顔をしつつ、そうねぇ…と答える。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 25.ヴァンピレス ㉚

ヴァンピレスから異能力を奪い取る作戦を止める、とわたしが決めてから暫く。
わたしは寿々谷駅周辺のあちこちを走り回っていた。
…というのも、なんだかんだ半年以上ネロ達と一緒にいて、互いの連絡先を交換していないのだ。
一応ネロ達と逢賀さんの作戦会議の場に同席しているので、大体どの辺りで作戦を決行するかは分かっている。
しかし、ヴァンピレスをどのタイミングで襲撃するかは逢賀さんが連絡したタイミングで、という事になっているため、どこか別の場所でネロ達が待機している可能性があった。
「どこ行ったんだろう…」
路地を早歩きしつつ、わたしはそう呟く。
とりあえず、いつもの駄菓子屋でいつも店番をしているおばあちゃんにもネロ達を見ていないか聞いたが、今日は見ていないという。
もしかしたら既に作戦は終わっているのかもしれないが…そうであって欲しくない。
わたしは一縷の望みをかけて、路地を駆け出した。
とにかく、異能力を使うのだから人目につかない所のはずだ…
そう考えつつ路地の十字路にさしかかった時、不意に見覚えのある小柄な少女が路地の角から転がり出てきた。
わたしは自分の足元から立ち上がろうとするその少女…ネロと目が合う。

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【第一部 FANATICALとADDICTED】p.1

1話 狂信的で依存的な


「ただいまアディくーん、愛しのハニーが帰ってきたわよー」

 07号室の扉が開き、派手な服装の少女がにこにこしながら闖入してきた。

「おー、おかえりー。ファナ、遅かったな」

 アディくんと呼ばれた少年――アッドは簡易ベッドに横になって、本を読んでいた。その隣には文庫や新書など五冊が積まれている。
 アッドは少女をファナと呼んで、一度振り返っただけで読書を再開する。

 時刻は午前0時。子供が出歩くには遅すぎる時間に帰ってきた相棒を心配する素振りを見せないアッドに、ファナは不満そうな顔をした。

「ねーちょっと! 親愛なる女の子がこんな遅い時間に帰ってきたのよ。心配してよ!」
「別に心配することないだろ。襲われても倒せるんだし」
「そーうーだーけーど! 何、ファナには興味ないんだ?」

 ファナは拗ねた顔でベッドに寝そべるアッドの上に跨って座った。アッドは苦笑して本を閉じた。

「なんか飛躍したなあ」

 アッドは起き上がって、左手でファナの頬を優しく撫でた。その左の薬指にはめた指輪はファナとお揃いだ。

「じゃあどこ行ってたの」
「えー、どこだと思う?」
「自分で言わせといて……」

 不平を漏らしつつもアッドの表情は愛しい者を見るときの微笑みを浮かべている。ファナはその手を優しく包んで、満足げな表情を呈している。

「それよりね、ファナ、今日10万も貰っちゃった」

 ファナはそう言って剥き身の10枚の紙幣を鞄から取り出し、無邪気に少年の目の前に突きつける。アッドは複雑な心境で眉をひそめた。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 25.ヴァンピレス ⑱

「ボク達について来るのはいいけど、異能力者同士のいさかいに自分から首を突っ込むなってボクは言いたいんだ」
ネロはそう言って立ち上がった。
「…異能力は”一般人”には秘密にしなくちゃいけないものなんだよ」
それなのに、異能力の事をアンタは知ってしまった、とネロはわたしを睨む。
「そんなアンタが今回の決闘に手を出したら、どうなるか分かんないだぞ?」
それでボクは忠告してるんだ、とネロは瞳を赤紫色に光らせた。
わたしはその言葉に気圧されそうになったが、負けじとで、でも!と立ち上がる。
「他の皆は…」
「あーゴメンおれネロに賛成だわ」
わたしの言葉を、耀平が手を挙げて遮断する。
わたしは驚いていると、耀平はだってと続けた。
「一般人のお前を下手にこのごたごたに巻き込む訳にいかねーし」
それに、と耀平は黎や師郎の方を見やる。
「足を引っ張られた結果、おれ達の内の誰かがヴァンピレスの手にかかっちゃ困るし」
なぁ?と耀平が同意を求めると、黎は静かにうなずき、師郎はあぁそうだなと答えた。
「そんな…」
わたしは思わず落胆する。
それを見て師郎は、まぁ仕方ない事さと呟いた。

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悪女と呼ばれた令嬢は皇太子殿下に愛される

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「ん〜!いい朝。」
私の名前はティアラローズ・ルナ・アフネル。エルザカール王国の上級貴族、セフィロス・リリック・アフネルの娘です。
「お嬢様、失礼いたします。」
「どうぞ。」
入ってきたのは私の侍女、マリー。
「おはよう、マリー。」
「おはようございます、ティアラお嬢様。お髪を整えてますね。」
エルゼカール王国は、北にフィルクガイラ帝国、南にリィニ法国、西にヴィロ妖精国、東にルウェン公国と、四つの大国と隣接しています。エルゼカール王国はそのうちの二つ、フィルクガイラ帝国とヴィロ妖精国と同盟を結んでいます。フィルクガイラ帝国の皇帝はアレカシウス・クィ・フィルクガイラ様、ヴィロ妖精国の王はミハエル・ディ・ヴィロ様です。お二方ともお会いしたことがありますが、アレクシウス様は豪快で勇敢な方、ミハエル様は知的でお優しい方でした。リィニ法国とルウェン公国とは宗教上の違いから敵対していますが、今は休戦しています。ちなみに、この国の王様はセシル・バイエ・エルゼカール様、次期国王である皇太子様はフランシス・バイエ・エルゼカール様です。
「ティアラ様、どうなさいました?お支度終わりましたよ?」
「あら、ごめんなさい。少し考え事をしていたのよ。さあ、広間へ行きましょう。」

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