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〜二人の秘密〜長文なので時間があるときに読んで下さると嬉しいです!

いつもの窓辺で外にぶらぶら足を出して座っていた。
『君が足をぶらぶらしてるときは何かあるときだな。』
先生は後ろから声をかけると、私と反対向きに座る。
そして、私は驚いて横を向く。
「なんで?…なんでそう思ったの?」
『大体そうだろ?』
「楽しい時だってぶらぶらするよ?今、楽しんでるかもよ?」
『「だって」とか「かも」とか、絶対楽しんでないだろ(笑)?』
先生は優しく朗らかに笑うと頭をぽんぽんする。

「先生、よくわかったね(笑)。あ、今日もアルいないの?」
『アルは勉強熱心だからな。それに私と違って沢山の教師仲間がいる。』
「何それ。先生に仲間がいないみたいな言い方。別に教師仲間なんていなくていいじゃん。ほら、ここに生徒仲間がいるでしょ(笑)?」
先生は恥ずかしそうに笑うと私の頬をぷにっとする。
『私の話はいいから。君の話を聞かせてくれ?』
相談に乗ってくれるとき、先生はいつも朗らかに笑う。

「特に何かあるわけじゃないんだけど、私単体だとホコリみたいなものなんだなって。」
『なんでそんな事言うんだ?私が悲しいぞ?』
「ごめん(笑)。でも事実なんだよ。私1人だと教師もクラスメートの反応も違うんだもん(笑)。」
私がそう言ったとき、先生は横からギュッとハグをする。

「先生?」
『他の奴等が君に嫌な態度をとるなら代わりに私が特別な扱いをしてやろう。君、ハグするのは好きだったろう?』
「ハグは大好きだよ。「大好き」とか「もっと仲良くなりたい」とかっていう私の挨拶だから。」
『そして、君を落ち着かせるための方法だ。』
「先生本当に私の事よくわかってるね(笑)。」
私は先生からのハグをハグで返す。
『誰かと何かが繋がってないと不安になるんだろ?』
「生きてる実感を求めてるから(笑)。ねぇ、先生良い匂いする(笑)。」
私は握った先生の服をより強く握りしめる。

「でもね、良い事もあったよ。私の事、嫌いなんだろなって思ってた教師、私の事嫌いではなかったみたい(笑)。」
『そっか(笑)。それは良かったな。』
先生はもう一度朗らかに笑う。

私達は話し終わると、先生の部屋でいつものようにまた魔法をいくつか見せてもらった。
これは先生の励ましなのだろうなと感じながら綺麗な魔法を楽しんだ。

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〜二人の秘密〜長文なので時間がある時に読んで下さると嬉しいです!

今日は窓辺に座っていつもの窓辺から見える景色を描いていた。
『今日は絵を描いているのか。』
先生とアルは両脇から私の絵を覗き込む。

「描きたい絵が描けないから下手だけど。」
“君にはここがこんなふうに見えてるんだな。”
『雨上がりって感じだな。』
先生は描いた絵を指でなぞりながらそう言った。

「よくわかったね?ほら、ちょっと前、雨の中遊んだでしょ?その時の色。」
“え、知らない。その話、知らない。”
「確か、アルがこっち来る前だったかな。」
『あぁ、君が雨具もなしに楽しそうにしてるから。』
「え〜、そうだっけ〜(笑)?でも先生が魔法を使ってくれたのは覚えてるよ。」
“どの魔法?”
「それは秘密だよ。ねぇ、先生。」
『言ってもいいと思うが君がそう言うなら秘密だな(笑)。』
先生は笑うと私の頭に手を乗せて早く描けと促す。

私は目線を描いている絵に戻す。
「あのときの感動とは少し違う気がするんだよね。」
『そうか??私はこんな感じだったと思うが?』
“う〜ん。その時の景色はわからないけど、綺麗だよ?”
「そう?じゃあいっか。」
私はそのまま続きを描き始める。

『君が描き終わるまで横で見てる。』
“賛成です。君の絵、見てたい。”
「いいよ。話ながらやる。」

私は絵を描きながら、先生やアルと魔法の話をした。
また今度、魔法の薬学を見せてもらう事を約束したとき、丁度絵が完成した。

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〜二人の秘密〜長文なので時間がある時に読んで下さると嬉しいです!

今日もいつもの窓辺で外を眺めていた。
『どうしたんだ?今日はやけに疲れてるな?』
私はいつものように振り返ると口を開く。
「ねぇ、先生。あっ、アルもいる。今から驚くような事実言ってもいい??」
“ねぇ、なんでいないと思ったの?ねぇ。”
アルが少し拗ねているのを無視して先生は続ける。

『何だ?事実って。』
“えっ、先生、無視ですか??ねぇ、先生?君もさ、無視しないでくれよ、ねぇ?”
「言うよ?あのね……。」
私は先生とアルを交互に見る。
“ねぇ、見えてはいるんだね?ねぇ?”
「今日はまだ月曜日なんだよ。」
私がそう言った瞬間、二人とも笑い出す。

「え〜?なんで笑うの?」
『いや、あまりにも重大な事を言いそうな顔だったのに当たり前すぎる事を、言うから(笑)。』
先生がそう言ったとき“無視されてたんだった!”と言う顔でアルがムスっとした。
「だって、まだ月曜日なのに、金曜日みたいな気持ちになる事ある??あとアル、その顔やめて(笑)。ちゃんと無視しないから(笑)。ごめんって(笑)。」
“ムスッ”
アルは効果音だけを口に出す。
『月曜日なのに金曜日みたいな気持ちになる事はあるがな。』
「いや、こんなにだるくて疲れてる月曜日はないよ(笑)?ねぇ、アル?」
“う〜ん。なんで月曜日って金曜日みたいに感じるんだろうね。”
『…まさか昨日、夜遅くまで起きてたか?』
「昨日はそうでもないよ?一昨日は3時くらいまで起きてたけど(笑)。」
『“いや原因それだろ!”』
先生とアルは声を揃えて言った。

「え?そんなに声揃えなくても……。」
『休みでも3時まで起きてたらそりゃ疲れ残るだろ!』
“君はとっとと寝ろ!!”
「アルがそう言うなら、先生連れて部屋戻るわ〜。」
“えっ!?なんでここで無視入るの!?”
「無視じゃないも〜ん(笑)。」
私はイタズラに笑うと、とりあえず先生とアルの手を取って自室へと向かった。

今日のアルはなんだか可愛いな〜と思いながら、
部屋でキャンドルを焚くとその火が消えてしまうまでいろんな話を3人で話し合った。

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〜二人の秘密〜長文なので時間がある時に読んで下さると嬉しいです!

今日もいつものように何もせず“ボー”っと座っていると、先生が歩いて来た。
「あれ、今日もアル居ないんだね?」
『仕事してるんだろう。アルもまだ新任だからな。』
「ふふふ。今日も二人でいれて嬉しいよ(笑)。」
『なんで照れるんだよ(笑)。』
「照れてないよ!アルが嫌いなわけじゃないけど、先生と二人っていうのもまた違う感覚なんだよね(笑)。」
私は笑うとあくびを1つする。

『眠いのか?』
「ほら、雨降ってるでしょ?音が微妙に心地よくて眠くなるのよ(笑)。」
『それは君が寝てないからだろう(笑)?』
「そうかもね(笑)。でもしょうがないのよ。英検あるし。」
『勉強、進んでるか?』
「うふふ。全く。もうあと2日くらいしかないんじゃない(笑)?」
『それ、笑い事じゃないだろ(笑)?』
「もー、大変だよね。頑張ってはいるんだけど…。」
私はもう1度あくびをするとチラッと先生を見る。

『眠いなら寝るか?』
「え〜、いいの?」
『あぁ。その代わり今晩はちゃんと勉強する事。』
「えぇ〜。結局勉強しなきゃならないの〜?」
私は文句を言いながら、先生の肩に寄りかかる。
『文句言いながらも寝るんだな(笑)。』
「1分1秒の睡眠も大切よ。」
『アルが来るか、夕飯の時間になったら起こすぞ?』
「う〜ん。りょうか〜い。」 
『絶対起きろよ?』
「うん、わかってる(笑)。おやすみ。」
『あぁ。おやすみ』

私は先生の、柔らかい柔軟剤の匂いを感じながら深い眠りについた。

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〜二人の秘密〜長文なので時間がある時に読んで下さると嬉しいです!

今日は皆既月食が見える日。
私はいつもの窓辺で空を眺めていた。

『皆既月食、探してるのか?』
先生は後ろから優しく声をかける。
「う〜ん。探してるんだけどもう梅雨だから。曇ってるね。」
私はいつものように窓辺に腰掛けると、先生をみて微笑んだ。
『雲の向こうに行けば月を見れるかもな。』
「地に足つけて見るのがいいんだよ。届かない感じがさ。」
空を眺める先生の横顔を見ながらそう答える。
『そっか。君はロマンチストだからな(笑)。』
「それ、いじってるの(笑)?」
『いじってないさ。私も流星群や月食は好きだよ。』
私はもう一度立ち上がると空を眺める。

「ねぇ、雨、降りそうじゃない??」
『予報ではいつ降ってもおかしくないって感じだったな。』
「う〜ん。次は12年後か。スーパームーンで見れる月食。」
『スーパームーンじゃなくてもいいなら来年見れるんじゃないか?』
「そうね。12年後、生きてるかもわからないし(笑)。」
私はいたずらに笑う。

『歳と12を足しなさい。』
「言いたい事はわかってるよ(笑)。でも、いつ何があるかなんてわからないでしょ?だから12年先の事なんてわからないよ(笑)。」
『12年先も、何もないと良いな。』
先生は私の言いたい事を理解したかのように、そう言った。

「さ、もう見れないだろうしご飯食べよ?あ、そういえばアルは?」
『部屋で仕事してるんじゃないか?忙しそうだったよ。』
「そっか、じゃあアルの部屋に寄るのが先だね!」

私達がアルの部屋へと足を向けたとき、小さな粒の雨が降り始めた。

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〜二人の秘密〜番外編 長文なので時間がある時に読んで下さると嬉しいです!

今日はいつものように彼女に引っ張られアルの部屋に行くと、ピクニックに行く事になった。
『飲み物くらい持っていくか。』
私は飲み物を持って校門へ行くと1番乗りだった。

「先生早いね!」
私が飲み物を持ってきたというと彼女は笑ってサンドイッチを持ち上げた。
“遅くなってすみません!”
アルも来て3人そろったので、私は口を開いた。
『人がいないところに行って魔法で移動しようか。』
“そうですね。”
アルもそう返事をしたので人気のない所へ行った。

『こっちにおいで。』
「どうするの?」
彼女を手招きすると少し不安そうな顔をした。
『手を貸して。アル、準備はできたな?さぁ、君は目を瞑って。離すんじゃないぞ。』
私がそう言うと、彼女はギュッと目を瞑り、恋人繋ぎで手を離さないように握った。
アルと目を合わせると、彼女の言う「綺麗な魔法」で移動をした。
私が『もう開けてもいいよ。』と声をかけると彼女は目を開け、綺麗な草原に見とれていて、嬉しそうだった。
彼女は持って来たレジャーシートをアルと広げる。
そして、真ん中に座るとランチボックスを広げ両脇に座るよう私達に指示を出した。

“これは美味しい!”
「でしょ!?昨日ちゃんと作ったんだよ(笑)?」
『昨日から考えてたのか(笑)?』
「うん(笑)。サプライズ。」
彼女は可愛らしく笑うと、残りのサンドイッチを口に入れる。
“ほんと美味しかったよ。”
『ごちそうさま。』
私がそう言ったとき、彼女は空を向いて寝転んだ。
「今日、凄く良い天気だね!このまま寝ちゃおっかな。」
“それ乗った。”
アルがそう言って眠りに着こうとしたとき、彼女はもうすでにスヤスヤと寝息をたてていた。
そして5分も経たないうちに2人とも眠ってしまった。

私は2人の寝る横で、可愛らしい寝顔を眺める事にした。
快い風と太陽の温もりが優しく包み込み、気持ち良さそうだった。
彼女が起きてしまうまで、私はそっと二人の寝顔を見守った。

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〜二人の秘密〜長文なので時間があるときに読んで下さると嬉しいです!

私は先生を見つけ「おはよう。」とだけ挨拶をし、手を引っ張って走っていた。
『どこ行くんだ?』
「アルのとこ。いいからついて来て。」
私と先生はアルの部屋の前で止まるとノックをした。
“は〜い。どうぞ〜。”
私は扉を開けると部屋には入らず叫んだ。
「アル、ちょっと来てぇ〜。」

“何だ?”
アルは先生がいる事に驚いたようだったが私は続ける。
「これでみんなそろったね!」
『みんなってほどの人数ではないがな(笑)。』
「んも〜。それはいいの!」
“で、何?今日はどうしたの?”
「あ、そうそう。3人でピクニック行こうと思って。時間ある?」
『私はいいが。』
“時間はあるよ。”
先生とアルは目を合わせるとそう言った。
「じゃあ決定!!またあとで!!」
アルの部屋の扉を閉めると私と先生も部屋に戻る。
私はレジャーシートやサンドイッチを持つと校門へ行く。

1番乗りは先生だった。
「先生早いね!」
『飲み物は持ってきたぞ!』
「お〜、ナイス!私はサンドイッチ。」
先生はニコッと笑うと後ろを指差す。
“遅くなってすみません!”

3人そろった事を確認すると先生は口を開く。
『人がいないところに行って、魔法で移動しようか。』
“そうですね。”
アルがそう返事をしたので人気のない所へ移動する。
『アルは1人で行けるだろう?こっちにおいで。』
先生はそう言うと私を手招きする。
「どうするの?」
『手を貸して。アル、準備はできたな?さぁ、君は目を瞑って。離すんじゃないぞ。』
私が目を瞑り先生がそう言った瞬間、ふわりと浮く感覚がした。

『もう開けてもいいよ。』
先生がそう言ったので目を開けると、綺麗な野原と大きな木の下に立っていた。
「わぁ〜。凄いね!!」
“魔法の世界ではこうやって移動するんだよ。”

私とアルは、サンドイッチを食べると先生の隣でスヤスヤと眠ってしまっていた。
先生の隣で眠れる幸せを噛み締めながら、
数時間後、野原をあとにした。

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〜二人の秘密〜長文なので時間があるときに読んで下さると嬉しいです!

“君は何でクラスではいつも無愛想なの?”
いつもの窓辺で読書をしていると、今日はアルだけが先に来た。
「アルには関係ないでしょ?先生は?」
私は本を読みながら答える。

“ときどきはこっち見ろよ。”
「私が他の生徒みたいに貴方をチヤホヤすると思ったの?」
開いていた本を閉じて、アルを見る。
“怒ってる?”
「えぇ。怒ってる。」
“何で?”
アルが隣にすわったので、私は隅っこにズレる。

「ここは、先生との秘密を共有してるとこなの。その先生をつれてこないでたった1人で来たのに私が怒らないっていう自信があったの?」
アルは少し驚いた顔をする。
“先生と一緒に来なかったことに怒ってるのか?”
「……うん。私はまだ貴方のこと100%信じきれてないから。」
“君には危害を加えない事を約束しよう。”
アルは指切りをしようとして小指を差し出す。
「あっ、先生来た。」
“えっ?”
アルは、小指を下げると後ろを向く。
「嘘。」

“意地悪しないでくれよ。”
「私に触れるなんてあと100年早いわ。もう少し秘密を知ってからじゃないとね(笑)。」
“じゃあ、心の準備ができたとき、君に秘密を1つ話すよ。”
「それが私の信頼度だから(笑)。貴方のこと、嫌いなわけじゃないから。」
私が笑うと、アルは降参だという顔をした。
“煽ったのは秘密を知るためか。”
「それもあるけど、普通に腹立った(笑)。」

私とアルが笑っていると、遅れて先生も合流した。
何を話していたのかと聞かれたが、私とアルの『二人の秘密』にした。

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〜二人の秘密〜長文なので時間があるときに読んで下さると嬉しいです!

テストが終わり、今日は窓辺でうたた寝をしていた。
『おい、危ないぞ?ここ何階だと思ってるんだよ。』
私はいつものように先生の声だと確認し、目を開けて答える。

「私の中ではここ、1階なんだけど。」
『ばか。2階だよ。』
私は笑いながら答える。
「ごめん、知ってるって(笑)。でも落ちないと思うから大丈夫(笑)。落ちそうになったら、先生来てくれるでしょ?」
『いつでも来れるわけじゃない。』
「私が来てほしいときはすぐ来てくれるじゃん。」
『君ってやつは、いつも適当だな(笑)。』
「適当は適当でも、そこらへんの適当とは違う(笑)。」
先生は頭をぽんぽんすると優しく笑う。
『笑ってるのになんで泣きそうなんだ?』
「ん〜?テストで疲れたから。あくびしたんだよ。」
『そっか。』
先生は“そっか”と返事をしたのにも関わらず私の頬を両手でつまみ笑顔を作る。
「なに?」
私は一瞬驚いた顔をしたが、不覚にもニヤけてしまった。

『君はその顔が一番だ(笑)。』
先生は笑うと手を離す。
「これ、笑うっていうかニヤける…だけど(笑)。」
『それでいい。それが君の本当の顔だろう(笑)?』
「っていうか、なんで泣きそうな顔って思ったの?」

『なんとなく。』
先生は何かを考えながらそう言った。
私が頭の上にはてなを浮かべていると、先生は笑う。
「何で笑うのよ〜。」
『いや、その考え方、結構かわいかった(笑)。』
「“かわいい”なら笑わなくていいじゃん!面白がってるな(笑)!!」
『テストが終わって、ここに来るのが久しぶりだから嬉しいんだよ(笑)。』
「も〜、先生ってば。(笑)先生、ただいま。」
『あぁ、おかえり。そして私も。ただいま。』
「うん(笑)。おかえり。」

私達はアルが来る前にテスト中のときの話をした。
「意外と点数良いと思うな(笑)。」
『言ったな(笑)?点数悪かったら罰金だぞ。』
「えっ〜!?」

私は先生に罰金だけはやめてくれと頼み込んだ。
先生はイジワルをして笑っていたが、私はその横顔を見るのが好きだった。

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〜二人の秘密〜長文すみません!

今日はいつもの窓辺で教科書やノート、ワークを積み上げ、読んでいた。

『おっ、珍しいな(笑)。』
“君も勉強するんだ(笑)。”
二人とも私を見て笑う。
「アルはうるさい。明日からテストなの!やばいでしょ、コレ。」
先生は隣に座る。
『明日は、英語と古典と音楽か。』
「うん。英語は普通の中間テストで、古典はパフォーマンス課題、音楽は普通に授業なの。」
“じゃあ、明日は英語だけ……?”
「いや、古典もテストみたいなものよ。」
そう言うと、アルは隣に座ろうと試みる。
「アル!教科書置いてるでしょ!!座らないで!!」
“じゃあ、教科書、持ってやるから。”
「あぁ〜。それならいいよ。」
アルと私がそう言ったとき、先生がノートを指差す。

『ココはこっちだよ。ほらここの選択問題。』
「えっ、うそ?」
『ココはこうなって、こうなる。』
先生はペンをとり、ノートに書いて説明してくれる。
「危なっ!間違えて覚えるとこだった!」
“他のとこも教えてやろうか?”
「何でアルが言うのよ(笑)。先生、ここもよくわからないから教えて!」

先生は、私に問題の解き方を教えてくれて、アルは、答えを見ながら丸付けをしてくれた。
明日からの中間テスト、先生とアルがいればやる気になれる気がした。

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〜二人の秘密〜

私はいつもの窓辺で、外に足を出して座っていた。

『今日はクラスで文化祭のステージ、決めるんじゃないのか?』
「おっ!先生。」
『教室にいないから探したぞ?』
「私はいてもいなくても変わらないよ。」
『なんでそんな事言うんだ?』
先生はそう言うと座る。

「私はグループLINE入ってないの。どうせグループLINEで話すんだから、いなくたっていいのよ。」
私がそう言うと、先生は頭をぽんぽんする。
『私は君がそう思っている事が悲しい。』
「ん〜?何で?」
『それは、君がやりたいことを1つもできないという事だろう??』
「別にいいよ。どうせ楽しくなくなるんだから。」
『君は私とは違う。仲良くできるだろう?』
君は私とは違う、これは先生の口癖だ。

「そう思うよね(笑)。仲良くできるって私も思ってた。でも実際には違った。こんななら、仲良くした次の日が辛くなるだけよ(笑)。」
先生は少し苦しそうに笑う。
『君には辛い思いをしてほしくないから、どっちも辛いなら好きにするといい。けど、全部私に相談する事だ。全部だぞ?』
「わかってる、全部ね(笑)。」
私が笑った時、雨が降り始めた。

『雨だな。』
「もう梅雨の季節だね。」
『文化祭、頑張れ。』
先生はそう言うと微笑んだ。

梅雨に入るであろう、雨の匂いを
私達は時間いっぱい楽しんだ。

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〜二人の秘密〜長文なので時間があるときに読んで下さると嬉しいです!

「いったぁ〜。」
いつもの窓辺に座ろうとした時、窓枠に手をぶつけた。
少しの間うずくまっていると、いつもの様に足音が聞こえた。
“どした?”
『……大丈夫か??』
私はいつもの様に、先生とアルの声なので振り返る。

「手、ぶつけただけ。……うん、もう大丈夫!」
私が立ち上がると、先生はぶつけた方の手をとる。
『ちょっと赤くなってるが、本当に大丈夫か?』
「うん!なんかさ、【カチン】ってなる時あるでしょ?そんな感じのやつだから大丈夫!」
“なんか貼ってやろうか?”
「う〜ん、まだ大丈夫かな。…そんな事より、ふと思い出して聞きたいことあるんだよね!」
『なんだ?』
「先生達ってさ、物語みたいに箒で空飛べるの?」
『あぁ。私はそんなに飛ばないが、アルは向こうで箒をよく使うよ。』
“いや、私は下手なんで見せられるものではないですよ?”
アルがそう言っているのをわざと聞き逃し、魔法を使って箒を2本呼ぶ。
1本は先生が掴むと、もう1本はアルの手元へ飛んでいく。

“えっ!?今から飛ぶんですか!?”
『安心しろ。私の魔法で周りには見えないようにしてやる。』
アルは“う〜”と唸りながら箒にまたがる。
『ほら、君もまたがって。』
「えっ、いいの?」
『あぁ。ほら。』
先生は私に箒を渡し先にまたがせると、続けて後ろにまたがる。
『私もココを持っているから、君も離すなよ?』
「うん、わかった!」
『アル、いけるか?』
“はい、いつでもウェルカムです!”
先生とアルが床を蹴ると、窓から飛び出した。

「うわぁ!先生、アル、凄いよ!!!」
私がそう叫んで、アルが飛ぶ右を見るとゆらゆらしていた。
「アル、もしかして本当に下手くそ(笑)?」
私が笑うと、先生はアルにアドバイスをした。
そしてアルは、笑いながらこの時間を楽しんでいるようだった。

この時間が、永遠に続けばいいのに。
私は心の底からそう思った。

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〜二人の秘密〜長文なので時間があるときに読んで下さると嬉しいです!

私はいつもの窓辺で歌を口ずさんでいた。

“なんの歌?”
先生と一緒に来たアルが答える。
「教えない(笑)。」
『教えてあげてもいいんじゃないか(笑)?』
先生は笑いながら隣に座る。
アルも座ろうとしたので引き止める。
「待って、先生の隣は私!!って言うことは私が真ん中!!」
“え〜、だめなの?”
「そりゃそうでしょ?ここまで来るのに先生のこと、独り占めしてたんだから。」
『まぁまぁ(笑)、アルは何人かの生徒に話しかかられてて、私は先に歩いていたよ?』
「それはそれで腹立つからだめなの!」
“どこが!?腹立つ要素あった??”
「先生よりモテてる。」
私がそう言ったとき、先生は吹き出して笑った。

「先生?」
『あ〜、ごめんごめん。君たち、仲良くなったな(笑)。』
「どこが!?」
『喧嘩するほど仲が良いとか言うだろ(笑)?』
“確かに言いますけど……。”
「なんかさ、今日はただ、3人でいちゃいちゃしてるだけじゃない?(笑)」
“はっ?いちゃいちゃ?”
「そう。先生を二人が取り合う三角関係?的なの(笑)。」
『確かに、ありそうだ(笑)。』
「まぁ、本当にアルが嫌いなわけじゃないの。」
『私はわかっているよ。』
「さすが先生(笑)。」
“なんか、僕が負ける三角関係のパターンですね。”
私と先生は、しょんぼりしたアルを見て笑った。

私達は同級生のようだった。
そして意地悪な事を言いながらもお互いの事を思い合っていた。
私は先生とアルになんの歌を歌っていたのか教えると、続きを歌うことにした。

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〜二人の秘密〜長文なので時間があるときに読んで下さると嬉しいです!

いつもの窓辺に、今日は横向きで体操座りをして、顔を埋めて座っていた。
『何だ?今日はそんなに場所とって座って。何かあったか?』
「いや、何か調子悪いんだよね(笑)。」
先生の方を向いて笑ったとき先生の顔がすぐ近くにあった。

私が驚いていると、足の三角形になっている所に腕を通し、背中に手を当てるとそのまま持ち上げた。
『このまま連行する。』
「ちょっ、ちょっと待って!そういう意味の調子悪いじゃないから!あと下ろして!!」
『じゃあ、どういう意味の調子悪いだ?』
先生は下ろさずに答える。
「下ろしてくれたら話する!下ろして!!」
『しょうがないな〜。』
先生は、私の足を廊下側に向けて窓辺に座らせると、隣に腰掛ける。

「調子悪いっていうかね、ちょっと人間関係?に疲れただけよ。」
『それは大丈夫な方の調子悪いか?』
「うん、そう。大丈夫な方の調子悪い(笑)。まぁ、教師に対する方の悩みだから、毎日会うわけじゃないし。」
『本当に大丈夫か?とりあえず熱はないみたいだな。』
先生はおでこに手を当てて自分の体温と比べる。

「だから言ったでしょ(笑)?そっちの調子悪いじゃないんだってば。あっ、あと本当に大丈夫だよ?私には先生がいる。アルだっているしね(笑)。」
私は笑いながらあくびを1つする。

『何かあったら私に相談しなさい。必ず。』
「わかってるよ。だから今も相談したでしょ(笑)?」
私が笑うと、遠くからアルが歩いてくるのが見えた。
「昨日、深夜までテレビ見てたから、めっちゃ眠い(笑)。」
『君はそういうとこあるからな(笑)。』
「ほら、アルが来るからいつも通りね(笑)!!」
私はニコッと笑う。

先生は頭をぽんぽんするといつも通り、窓辺に深く腰掛けた。

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〜二人の秘密〜長文なので時間があるときに読んで下さると嬉しいです!

今日の1時間は自習になり、アルが自習監督として教室に来ていた。
20分が経った頃、微かに爆発音が廊下の方(いや先生の部屋だろう)から聞こえた。
アルもその音に気づいたらしく、私と目を合わせた。

「先生、トイレ、行っていいですか?」
授業が始まって20分、欠席にならない事を確認し、手をあげて聞く。
“あっ、もちろん。自習なので、どうぞ。”
アルともう一度目が合ったのでウィンクをする。
先生の部屋に行ってくると言う意味だったがわからなかったらしい。
私はさぁ?わかんない。というジェスチャーをして先生の部屋へと急いだ。

先生の部屋へ行くと、間髪入れずに扉を開けた。
「先生!大丈夫!?」
煙が充満していたが廊下に流れると困るので扉を閉める。
『今、授業中だろ!ゴホッ』
「アルの自習だから。うわっこれヒドい。ゴホッ」
私は手探りで窓を開けると、次に先生を探す。
先生の手に触れたので、ギュッと握る。
『ん?何だ?』
「生きてるか確認。窓開けたから少し待ってよ。」
『あぁ。ありがとう。』

5分ほど経つと、ほぼ完全に煙がなくなったので状況を把握する。
「割れたの鍋だけ?」
『あぁ、そうみたいだな。』
「よし、あと20分あるからさっさと片付けよ!」
私は雑巾を2枚持ってきて先生に渡す。
『ありがとう。』
「っていうか先生、GW明けて、授業も始まってんのに、薬学の研究してんの?」
『あぁ。失敗するとは思ってなかったんだよ。』
先生と私は机や床にこぼれた液体の薬を拭いていく。
『きれいになったな。』
「うん!後は鍋の破片集めて終わり!」
そう言うと、私達は1つ1つ丁寧に集める。

『終わった。』
そう言った先生の指から血が出ていた。
「先生!破片で指切ってるっ!!!」
『ん?あぁ、なんてことない。』
「なんてことないじゃない!座りなさい!!」
私は救急箱を持ってきて、簡単に治療する。

「先生はいっつも無茶ばっかり。これ以上の無茶はしないで?」
『あぁ。ありがとう(笑)。』
先生はニコッと笑う。
「あっ、あと少しで授業終わるから行くね!アルが大変なことになる(笑)!」
私は駆け出す。
『なぁ、ありがとう。』
私が扉を開けたとき先生は、そう言った。
私は振り返り微笑むと、教室まで走った。

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〜二人の秘密〜長文なので時間があるときに読んで下さると嬉しいです!

廊下で歩いている先生を見つけると、そっと近づいて後ろからハグをする。

「先生!!」
『君か…。心臓止まったらどうするつもりだ?』
「あっ、びっくりしたんだ(笑)。大丈夫!!私が驚かせて死んじゃった人、まだ見たことないから!!」
そう言いながら、ピースを差し出す。

『今日はなんだ?用事か?』
「急なんだけどね、先生の誕生日っていつ??」
『本当に急だな(笑)。』
「いや、聞いてないな〜って思って。」
『知りたいか?』
「うん!知りたい!!」
『5月2日。』
「ふむふむ、5月2日ね!………って過ぎてんじゃん!!」
私はカレンダーに誕生日を記入しながら言う。

『だって聞かれなかった。』
「うん、聞いてない。でも教えてよ!!祝ってくれって言ってよ!!!」
『祝ってくれって言うのは恥ずかしい。』
私は先生の頬を少しつねる。
「何恥ずかしがってんだよ(笑)!」
『でも、今教えただろ?』
私は先生の頬から手を離す。
「確かに。じゃあ、今日のところは許す(笑)。」
私はニコッと笑う。

「ねぇ、今日ゴールデンウィーク最後だしさ、今からケーキ作らない??」
『材料はどうするんだ?』
「知ってる?今日、アルが帰ってくるんだよ?」
私はイタズラな顔をして笑う。
「あと1秒したら来る。」
“ただいま帰りました!!”
アルは私の向いていた方向、つまり先生の後ろから声をかける。

『知ってたな?』
「うん、知ってた(笑)。」
“なんの話ですか?”
「今からアルをパシるって言う話。」
“え?”
戸惑ったアルを見つめて続ける。
「先生の誕生日ケーキ作ります!私と先生は、先生の部屋で道具の準備、アルは、ここにないもの買ってきて!!」
“誕生日だったんですか!?”
アルは先生にそう聞くと、私に材料を聞いて校舎を出た。
アルには申し訳ないなと思いながら、先生の部屋で道具の準備を進めた。

アルが帰ってくると、私達はチョコレートケーキを手作りした。
また来月でも手作りした何かをプレゼントできたらなと、先生の楽しそうな横顔を見ながら思った。

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〜二人の秘密〜長文なので時間があるときに読んで下さると嬉しいです!

今日も生徒が全くいない。
少し残っていた生徒もいい天気だから遊びに行ったのだろう。
そんな事を考えながら、いつもの窓辺から中庭を眺めていた。
すると、下から先生の声がした。

『お〜い、いるんだろう?』
「ん〜??いるよ〜!!」
『ちょっと降りといで。』
「待ってて〜。」
下に降りると、先生は背をこちらに向けて生き物を触っていた。
馬と鷲が合体したような生き物だ。

「先生、その子は…?」
『おぉ、来たか。あ、ちょっと待て。一礼しろ。』
「普通でいいの?」
私は授業の号令のような例をする。

『さぁ、おいで。』
先生はそう言うと私の手を生き物の顔に触れさせる。
「この子どうしたの?」
『ヒッポグリフ。時々、バレないように遊びに来るんだ。』
「ヒッポグリフってほんとにいたんだ。」
『こっちでどういう話になってるのか知らんが、本物だ。』
「こっちの世界では、礼儀正しくしないと怒られる、グリフォンと雌馬?の間に誕生した伝説の動物になってるよ。あってるかわかんないけど。確か。」
『あぁ。ほとんどあってる。不思議だな(笑)。』
「先生みたいな魔法使いさんが詳しく書き変えたのかな(笑)??」
私はヒッポグリフを撫でながら答える。

『乗って見るか??』
「えっ?見られたらまずいんじゃないの?」
先生は私を持ち上げるとヒッポグリフの背中に乗せる。
『魔法で姿を消せばいいだろう(笑)?』
先生はイタズラに笑うと私の後ろにまたがる。
ヒッポグリフは駆け出すと大きな羽で羽ばたいた。

風と一つになったような感覚が心地よかった。

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〜二人の秘密〜長文なので時間があるときに読んで下さると嬉しいです。

ゴールデンウィーク中盤、実家に帰ったり、遊びに出ている生徒が多く、いつもより静かな窓辺で本を読んでいた。

『お〜、珍しい。なんの本だ??』
「お〜、先生!何の本でしょう?」
私は質問を質問で返した。
先生は少し考えると両手を挙げる。

『降参だ(笑)。』
ニコッと笑うと隣に座る。
「魔法使いのお話(笑)。こっちの世界の人が考えてる魔法界の物語だよ。」
私は栞を挟むと本を閉じる。
『面白いか??』
「ん〜、私は本物の魔法使いを知ってるから変な感じ(笑)!」
『そうだな(笑)、君は魔法が本当にあるという事を知っている。』
「先生の魔法がキレイって事も知ってる(笑)。」
私は本を落とさないよう横に置く。

『ゴールデンウィークも半ばだな。』
先生はふと空を見て呟く。
「寂しい?」
『寂しくはないが、休みが一番だ(笑)。』
「アルもこの休み使って実家帰ったもんね(笑)。」
『休みが長いとなんでもできるだろう?』
「うん、先生も魔法の研究やりやすいしね(笑)。」
『だな(笑)。また手伝ってくれ。』
先生は優しく笑う。
「え〜。先生の魔法、きれいだからいいよ。」
私は窓から立ち上がり背伸びをする。

「アル、お土産買ってきてくれるかな〜?」
『期待しとこうか(笑)。』
先生は可愛らしく笑うと立ち上がる。
『今日は風が強くて寒いから、部屋で話そう。ついでにアルに手紙を書けばいい(笑)。』
私は振り返る。
「なんて書くの?」
『決まってるだろ?“お土産待ってる”だ(笑)。』
先生はいたずらに笑う。
「何それ(笑)、可愛すぎかよ(笑)!!」

私達は誰もいない寮の談話室でアルに手紙を書いた。
もちろん、最後に“お土産待ってる”と付け加えて。

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〜二人の秘密〜

今日は遠足で動物園に来ていた。
「おっ、先生見つけた!」
私は本部から抜け出してきた先生を見つけ出す。

「もう本部にいなくていいの?」
『あぁ。私だって周る権利がある。それに、問題が起こらなければ私も周れる(笑)。』
先生はニコッと笑う。
『さぁ、一緒に周ろう。』
「うん!今日はアルもいないしね(笑)。」
『お土産買って帰ろうか(笑)?』
「そうだね、きっと今頃悲しんでるよ(笑)。」
私はそう言いながら歩き出す。

『君は私と居るところを見られても恥ずかしくないのか?』
「ん?いきなり何??」
『私は嫌われものだし、せっかくの遠足を私と周るなんて勿体なくないか?』
「ん?何言ってるかわかんない。私は先生が好き。それだけで良くない??うん。それだけでいいよね?先生。」
『強引だな(笑)』
先生は嬉しそうに、でも恥ずかしそうに笑う。

「強引に決まってるでしょ(笑)?ほら、ライオンだよ?可愛くない??」
『あぁ。可愛い。』
先生は写真を撮りながら言う。

「先生もさ、同じくらい可愛いよ?」
『なんだそれ(笑)?』
「も〜、結構本気なんだけどな〜(笑)。ほら、私、蛇見に行きたい。」
『蛇はあっちだな。』
「先生。私は先生の一番いいとこ知ってんだ。」
『え?』
「あっ、言わないけど。でも、先生と居るとこ見られても恥ずかしくないよ。」
私は先生を見てニコッと笑うと先生が指差した方へ歩き出す。
先生の横に並ぶと、私は先生の横顔写真を撮りながらまた一つ、先生の事を愛おしく思っていた。

そして、アルへのお土産に、3つのお揃いマグカップを買って帰った。

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〜二人の秘密〜

遠足の準備をするため、部屋にこもっているとノック音が聞こえた。
「は〜い!」
返事をすると先生が顔を出す。

『入ってもいいか?』
「お〜、先生。いいよ〜!」
『何してるんだ?』
「3日後?の遠足の準備(笑)。」
『ちょっと早すぎないか(笑)?』
「うん、だいぶ早いよね(笑)。…あれ、珍しくアルいないんだね。」
『寂しいか?』
「全然。あっ、失礼か(笑)。寂しくないというか、最近は先生と二人きりで話せなかったから良かった(笑)。」
先生は投げてあった雨具を取って渡す。

『雨、降らないといいな。』
「うん、そだね。先生は?遠足来るの?」
『あぁ。生徒監視役だな(笑)。』
先生は笑うと、今度はレジャーシートとカメラを取る。
「さぁ、準備完璧だと思うな〜!」
私はリュックのファスナーを閉める。

『何かあったら、私には言えよ?』
「ん。わかってるよ(笑)!!」
『じゃあ、いつものとこ行くか?』
「うん!あっ、その前に、先生も何かあったら言ってね?」

私達は新たに二人で約束をした。
いつもの窓辺に行くと、アルが座っていたので後ろから驚かせる。
先生はそんな私達を見て遠くから笑って眺めていた。
私は先生の横に立つと手を引いて、アルの座る窓辺へと走った。

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〜二人の秘密〜長文なので時間がある時に読んで下さると嬉しいです。

私は廊下を歩いていたアルを捕まえる。
「アル、おはよう。」
“ん?まだおはようなのか?”
「おはようのほうが言いやすいの!」
私はそう言うとアルの手を取り駆け出す。
“どこ行くの?”
「勘違いしないでよね!」
“いや、どこ行くの!?”

私は先生の部屋の前で止まるとノックする。
『は〜い。』
先生の返事を確認すると、扉から顔だけを出す。
「先生、今、暇?」
『おう。入っておいで。』
「今日はアルも連れてきた。面倒くさかった。」
私とアルは先生の部屋へ入る。
“せめてどこに行くかだけは教えてくれよ。”
「そうね〜。」
私は少しそっけない返事をすると、先生に耳打ちをする。
そして、私と先生はアルを見てニヤリと笑う。

“なんですか……?”
「『魔法見せ』」「て」『ろ』
私達は語尾が違ったことに笑う。
「先生のやつ、もう命令じゃん(笑)!」
『これくらいがちょうどいいだろ(笑)?』
“ちょうど良くないですよ〜!!嫌ですっ!”
「え〜、この間、見せてくれるって言ったのに〜!」
“そもそもこんな所で魔法を使ったらいけないんだ。”
『私は彼女に何度も魔法を見せてる。』
「爆発させた事もないし、私も手伝った!!」
『こっちの世界で使ったらいけないこともないし、この部屋は誰も来ないし、彼女は誰にも話さない。』
「ほら、先生もここまで行ってるんだからさ。」
“う〜。”
『私達の勝だな(笑)。逃げられないぞ(笑)。』
先生はイタズラに笑う。

3人で準備をすると、アルは先生と同じ様に魔法の薬学を見せたくれた。
先生の魔法のほうが綺麗だっていうのは私だけの秘密。

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〜二人の秘密〜長文なので時間がある時に読んで下さると嬉しいです。

今日はいつもの窓辺で季節の変わり目の風を楽しんでいた。
“やぁ。”
アルの声と二人分の足音がしたので振り返る。

「え〜?アルも来たの〜??」
『嫌だったか?』
アルの代わりに先生が問う。
「だって、私と先生座るだけでもう入れないっ!!」
『入れそうだぞ?』
そう言うと、先生は隣に座ってアルを招く。

「アル、待って!先生がまん……いや、私が真ん中!!!」
“さぁ、座ってもいいかい?”
「うん、良くないけど良いよ!」
『どっちなんだよ(笑)。アル、座るといい。』
“隣に失礼します(笑)。”
アルはニコッと笑う。

「二人の秘密の場所だったのに〜!」
私はアルにほっぺを膨らませて見せる。
“それは、それは。すみませんでした(笑)。”
アルが笑うと、先生は私の頭に手をのせる。
『まぁいいだろう?私の部屋も知っているし、授業だってあるんだ。』
「え〜。…うん。わかった。」
“素直だな〜(笑)”
「ムっ!」
私はアルを一瞬、怒った顔で見る。
そして、ニコッと笑う。

『今日は何してたんだ?』
「季節の変わり目の風の匂いを楽しんでた〜。」
『君はそう言うの好きだな(笑)。』
「次はきっと雨の匂いだと思うな〜(笑)。…あっ、アルは?こういうの好き?」
“そうだな〜。どっちかと言うと好き。”
「ふ〜ん。」
『興味なさそうだな(笑)。』
「あるよ、多分(笑)。あるから聞いた。」
“少しは興味あるみたいで良かった。”
私は少し先生寄りに座る。
「なんかアル、嫌(笑)。」
私はイタズラに笑う。
『また今度、アルが魔法を見せてくれるよ(笑)。』
先生は優しく、朗らかに笑う。
“え〜、私がするんですか〜!?”

私と先生はアルを見て笑った。
そして、風の匂いで季節の変わり目を感じとった。

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〜二人の秘密〜長文過ぎたので続きました。《part2》

「何で謝るの?あ、あと何で敬語?」
“謝ったのはなんとなく。あっ、敬語なのは君が私の事を嫌いそうだから……。”
「何で?いつ嫌いって言ったっけ?」
“初めて会ったとき、君は素っ気なかったし、少し怖かった。”
「だって新しく就任したじゃんかさ?初めから壁壊してくわけないじゃん!」
私がそう言うと、先生は私の頭に手を置く。

『まぁ、この子はこんな感じなんだ。二人とも仲良くしてな?』
「何よそれ〜(笑)。でも、先生の命令は聴かなければ(笑)。了解です!!」
“私も了解です!”
「先生はこの人の前だと何か変な感じね(笑)。」
『そうか?』
「うん、変(笑)。あっ、っていうか、貴方の事、何て呼べばいいの?二人とも先生じゃ紛らわしくない(笑)?」
『私の事は“先生”で決定なんだな(笑)。』
「当たり前でしょ(笑)?ほら、あだ名でも何か考えて!!」

“魔法界では、アルと呼ばれていました。”
「敬語、嫌。何でアルなの?」
“アルベドという入射光に対する反射光の比があるんですけど……だけど、そこかららしい……です。”
「う〜ん、難しいことは知らん!でもアルって呼ぶね??あっ、あと敬語はほんとに直して??」
“気をつける。”
「はい。それで良し。先生、決まったよ!!」
『うん(笑)。そんな感じで仲良くしてくれ(笑)。』
「何よ?なんで笑ってるのよ(笑)??」

私達は一人増えた“仲間”とともに笑いあった。
梟の郵便屋さんに、先生は魔法界の恩人へ宛てる手紙を、アルは新しく就任した事を知らせる手紙を結びつけると、順番に梟を飛ばした。

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〜二人の秘密〜長文過ぎたので続きます《part1》

私はいつものように窓辺に向かった。
だが今日は、先生が先に来ていた。
「先生っ!」
私は声をかけたときに気付いた。
足が4つ…。先生の影に誰かがいた。

私は先生を見ながら問う。
「先生、それ誰?」
『“それ”って言っちゃ駄目だろ〜?』
先生がそう言うと謎の人物は顔を出す。
“こんにちは。”
顔を出したのは“例の教師”だった。

「あっ。」
『何でココにいるのかって顔してるな(笑)。』
「そりゃそうでしょ…?」
私がそう言ったとき、2羽の梟がそれぞれ先生と教師の腕にとまる。

「え?」
『これで意味がわかったか(笑)?』
先生はイタズラに笑う。
「その子達は魔法界の郵便屋さんよね?」
『あぁ、ご名答。正解だ(笑)。』
例の教師はおろおろして私と先生を交互に見る。
「ってことは……?は!?二人とも魔法使いとか言うんじゃないでしょうね!!」
『そうだ。私達は二人とも魔法使いだよ(笑)?』
「はっ?どゆこと??」
“あ、あの〜。”
例の教師は申し訳なさそうに入ってくる。
『ん?』「ん?」
“本当は君が、《魔法使いの存在を知っている》と言う事を知っていました。”
「あ〜、私の話?」
“隠すつもりはなかったのですが、何かすみません。”
「何で謝るの?あ、あと何で敬語?」

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〜二人の秘密〜

次の授業の準備をしていると、先生とある教師が1人、数秒違いで入ってきた。
〈次の授業は私の授業です!〉
教師がそうわめいているのが聞こえた。

〈この時間、この子達は私の生徒です。私の生徒を取らないでください!〉
私は開いていた教科書を閉じて、二人の間に割って入る。
「私達は貴方のものではありません。私は今日、貴方の授業を受ける事はできません。」
私はそう言い放つと、先生の手を取りいつもの窓辺に走る。

途中でチャイムが鳴ったが無視して走る。
そして、窓辺につくと手を離した。
『なんか、ありがとう。』
「ん?何で?私はただ腹立っただけよ?あの人に。」
『〈私のもの〉って言われたからか?』
「うん、良くわかったね(笑)?どういう理屈か知らないけどさ。まぁそもそもあの人は入学したときから嫌いだった(笑)。」
『私が声を出す前に君が来てしまったから、何も言えなかったよ(笑)。』
「あっ、ごめん。何か言いたかった?」
『いや、助かったよ(笑)。』
私は先生が笑ったのを確認すると、腰掛ける。

「もういいや、授業も抜け出して来ちゃったし、サボろ!!!」
『私も授業ないし、サボるか(笑)。』
そう言いながら先生も座る。
「先生なのにサボっちゃっていいの〜?」
『今日は生徒の保護も兼ねてる(笑)。』
「も〜、何それ(笑)!私の事使ってんじゃん(笑)!」
私は笑いながら先生をどつく。

『君は時々、本気で自分を見せるからな(笑)。』
「先生には毎日見せてるけど(笑)?」
『そうだな(笑)。ありがとう。』
「何で先生がお礼言うの(笑)?しかも、それは先生も同じでしょ(笑)?」

私達は次のチャイムが鳴るまで話し合った。


その後校長に呼び出され、怒られるのかと思ったが、なぜか謝られた。
というのも、実は先生が正しかったらしく、私達がいなくなった教室では混乱を招いていたそうだ。
[とりあえず]であの教師が授業をしたそうだが、今回の抜け出しは、お許しを頂くことになった。

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〜二人の秘密〜today part2

コンコン。
私はホットミルクとチョコレートを持って扉を叩く。
『はい。』
先生が返事をしたので扉を開ける。

「先生風邪引いたんだって?大丈夫??」
『君か(笑)。安心しろ。大丈夫だ。』
「ほら、いつものやつ。差し入れ。」
私は先生のベッドの横に椅子を持っていき座ると、
いつものようにミルクとチョコレートを混ぜる。
「今日ね、この間の若い教師さんにね、先生の様子見に行ってって言われたよ?」
『ん??まさか、また素っ気なくしたんじゃないだろうな??』
「う〜ん。………ちょっと(笑)?」
『あれでも私の後輩なんだ。いじめないでくれよ?』
「自分で来ればいいのにって思っただけよ〜。あの人、自分のこと好きじゃないみたいだし?」
『好きじゃないみたい?』
先生はホットミルクチョコレートを飲みながら答える。

「自信ないですみたいな感じ?私、あぁいう人は嫌いじゃないよ。」
『嫌いじゃないのに素っ気ないのか?』
「自信ないのが腹立つの。」
『腹立つのか(笑)?』
「だって、先生の事独り占めしてるくせに。」
『ん??そこなのか?』
「当たり前でしょう?」

コンコン。
『どうぞ。』
先生がそう答えると例の教師が入ってくる。
“あっ。”「あっ。」
先生は教師を私の隣に座らせると、いつものように会話をし始めた。
変な人が増えたと思いながら、私はまだ口をつけていないホットミルクチョコレートを差し出す。
そして、しょうがなくいつものように話し始めた。


この教師の事はまた話すとして、
覚えておいてくれるとありがたい。

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〜二人の秘密〜長文なので時間がある時に読んで下さると嬉しいです!

コンコン。
私は先生の部屋の扉を叩く。
『はい。』
先生が返事をしたので扉を開ける。

「先生!!!日本史!!!」
『主語、述語がない!』
先生は鉛筆と書類を持ったまま、こっちを向く。
「あ、そうね(笑)。日本史がね、担当教師の教え方が適当すぎてわかんないから、先生に教えてもらおうと思って。」
『日本史は知らん!』
「えっ…?」
『日本史はやった事ない。』
「あ、そうか!先生、日本史受けたことないよね。学校は魔法界の方のだから。」
『魔法界の歴史は勉強するんだがな。』
そう言いながら先生は、書類等を片付ける。

「え〜、残念。でも、ついでに魔法史?教えてもらおっかな〜。」
『魔法史なんて覚えてどうするんだ?』
「私も魔法使いになれそうじゃない(笑)??」
『魔法史をやったって、魔法使いにはなれないと思うがな(笑)。』
「先生の事を知るための1つの方法よ(笑)。」
『本当にやる気か?魔法史。』
「先生がやっても良いって言うならね(笑)。」
『出来る事ならやって欲しくないんだが(笑)。』
「え〜、じゃあいいや〜。諦める(笑)!その代わり、魔法1!」
そう言って人差し指の1を先生の前に差し出す。

『今日はどんな魔法がみたい?』
「いつものやつ!魔法の薬学!!とっても綺麗なの!」
先生は理科で使うような道具や鍋を取り出しながら言う。
『とっておきの魔法を見せてやろう(笑)。野草選びを手伝ってくれ。』
「はーい!」
私達は棚の中から薬草を選び、とても綺麗な魔法薬学を見せてもらった。

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〜二人の秘密〜長文なので時間がある時に読んで下さると嬉しいです!

私は誰もいない大広間で居眠りをしていた。
気付いたときには、腕を枕にして、顔を横に向けぐっすりと眠ってしまっていた。

『よだれ垂らしてる。』
先生がそう言ったので、私はチャイムがなったときに起きるように、ハッとして、口元を拭った。
少しの間戸惑っていると、先生は口をひらく。
『ごめん、嘘。』
「も〜!!!ほんとに焦った!!!」
『なんでこんなとこで寝てんだ(笑)?』
「ついうとうとしちゃって、そのまま寝てた。」
『せめて部屋で寝ろよ(笑)。』
「いや〜、部屋でもベッドあるのに床の上で寝ちゃうとかあるでしょ?」
『私はベッドまでちゃんと行くが?』
「え?本当!?うっそだぁ〜!!」
『なんでそこで嘘つくんだ(笑)?』
「それもそうか(笑)。私は暖房の前で温まってると寝ちゃってるのよ(笑)。」
そう言いながらわたしは背伸びをする。

『まぁ、早く寝ることだな。』
「う〜ん。どんだけ寝ても眠いものは眠いのよね(笑)。」
『まだ若いって事なんじゃないか(笑)?』
「何それ(笑)。でも確かに私、幼稚園生くらい寝てると思う(笑)。」
『それはそれで良いことだよ(笑)。ほら、そんなとこに座ったままじゃなくて部屋に帰るぞ?寮の扉までは送ってやる。』
「はーい。」
『今日は素直だな(笑)。』
「部屋に帰ってまた寝ます(笑)。」
私は立ち上がって、先生をチラッと見る。

『寝過ぎも良くないからな(笑)?』
「わかってる〜!!」

私達は廊下を進みながら、今までに、見た夢の話で盛り上がっていた。

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〜二人の秘密〜長文なので時間がある時に読んで下さると嬉しいです!

今日は昨日から雨が降り続いている。
いつもの窓から見下ろしている中庭で、傘をさしながら雨を浴びる。

『なぁ、それ傘の意味あるか(笑)?』
「知らない人が来たらそれとなく傘をさして立っとく。」
『それ、逆に変な人じゃないか(笑)?』
「えっ?そう??…まぁ誰も来ないからいいの!」
『雨、好きか?』
「うん。好きよ!」
『ならば良いものを見せてやろう(笑)。』
先生はニコッと笑うと腕を振る。

「あっ!」
『私の魔法だ。ここの庭だけ空中で雨粒が止まるようになってる(笑)。』
私は上を見上げると、空中に停止した雨粒を触る。
「魔法で空中に浮いてるけど、水のままなんだね!」
『物質そのものは変わらないよ。ただの雨だ。』
私は雨粒の中を覗き込み言う。
「雨粒の中が凄くキレイ。緑とか建物の色とか粒の中に吸い込まれてるみたい(笑)。」
『人が通ればそこだけ水が無くなるぞ(笑)。』
その後、私達は少しの間遊んでいた。
すると、粒が木々からポタポタ落ちるように頭上に当たる。

『ほら、そろそろ魔法が切れるぞ。』
先生はそう言うと私の手を引き、屋根の下へ入る。
屋根の下にたどり着いた時、ちょうど魔法が切れたのか、さっきよりも土砂降りの雨が地面を叩きつけた。
「この魔法には有効期限?があるんだね?」
『雨は自然現象だからな。20%の力でしか魔法を使ってない。』
「お〜、先生は優等生だね(笑)。」
『そんなことないさ。魔法と自然は大事に使わないとな(笑)。』

私達は部屋に戻りながら雨の匂いを楽しんだ。

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〜二人の秘密〜長文なので時間がある時に読んで下さると嬉しいです!

「はぁ。」
私は窓辺に座り、壁に寄りかかりながら一つため息をする。

『なぁ。雨、降ってるから窓閉めるぞ?』
先生はいつものように話しかける。
「うん。もう少しだけ。」
『今日はどうした?』
先生は立ったまま後ろから顔を覗き込む。

「ん〜?何が?」
『“何が?”じゃないだろう?今にも泣きそうな顔してる。』
私は先生の顔を一瞬だけ見て話し出す。
「新学期ってさ、何なんだろうね。」
そう言った時、雨粒が風に煽られて顔や体中に当たる。

『ん?どういう事だ?』
「先生の事じゃないけど失礼なこと言うね?」
『あぁ。』
先生がそう返事をすると、私は雨に隠して涙を流しながら言う。
「教師ってさ、何で贔屓するんだろうね……。何でやる気ない人が副担になっちゃうんだろうね……。何でこんなに教師の事で我慢しなきゃいけないんだろうね……。何で良い先生ばっかどっかに行っちゃうんだろうね……。何だろうな〜(笑)。何でだろうね。」
先生は長いローブを脱ぐと私の肩にかけて中へと引き入れる。
そして先生は窓を閉めて言う。
『寒いだろう??そんな顔をするな。私だけは君の味方だと言っただろう?』
先生は冷たい手で私の顔の水を拭うとぎゅっと抱きしめる。
『温かいか?』
「うん、温かいよ。でも先生のローブ長い(笑)。」
先生は私の肩を持って下を見る。
『確かにこれは長いな(笑)。』

私達は笑っていたが、私はふざけて先生の部屋へと走り出した。
『もう!ビシャビシャになるだろう(笑)!』
先生は廊下で私を捕まえるとお風呂場まで連行し、カーテンと扉を閉め、出ていってしまった。

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〜二人の秘密〜長文なので時間がある時に読んで下さると嬉しいです!

「うわ、先生見つけた!!!」
私は先生を見つけたのでとりあえず駆け出す。
『なんだ?うわって。嫌みたいじゃないか?』
「違う違う!!聴いてほしい話があるの!!」
『こんなとこで話すのもなんだからいつものように窓に座って話そう。』
先生がそう言ったので、いつもの廊下を通り窓の前に向かう。

『なんだ?聞いてほしい話って?』
「授業の話!!」
私はそう言いながら座る。
『授業?』
「なんで先生、私のクラスの授業担じゃないの!?」
私がそう言い終わる頃に、隣に腰掛ける。

『しょうがないだろう?私が決める事ではないんだから。』
「む〜。先生じゃないからやる気でないよ!!死んだっ!!!!」
『そんなこと言わないでくれ。』
私は更に先生を困らせてみる。

「これで成績落ちたらどうするの!?」
『ならば私が居残り授業をしてやろう。』
「一対一?」
『あぁ。』
「先生の部屋…?」
『あぁ。』
「じゃあ許す。」
『あぁ。…ん?これならいいのか?』
「先生、今適当に返事してたな!!」
『いや、ついつい流れで(笑)。 』
「も〜。忘れないでよね、居残り授業(笑)!!」
私は先生の横で笑う。

『授業のあとに、同じことをすればいいんだろ?』
「そうね!わかりやすくね(笑)?」
『わかった、わかった(笑)。』
私は長い髪の毛を耳にかける。
「これから授業に全部出れるかどうか心配。」
『保健室登校みたいに、私の部屋に来なさい。かくまうことはできるぞ(笑)。』
「それ、私の成績落ちるやつじゃん(笑)!」
『そこはなんとかするさ(笑)。』
「まぁ、頑張らなきゃね(笑)!」

私は笑いながら先生の横顔を眺めた。
そして、いつものようにおかしくて笑えるような雑談をした。

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〜二人の秘密〜長文なので時間がある時に読んで下さると嬉しいです。

先生の部屋の前を通ろうとすると、部屋の中から“ガタッゴト”と音がしたので、先生の部屋を2回ノックする。
何かを隠そうとする音がして、“バサッ”と羽音がする。
「先生〜??私〜。」
『なんだ、君か。入っておいで。』
私は扉から少し顔を出す。
「何してるの?」
『頼む、先に扉を閉めてくれ。』
「あ〜、ごめんごめん。」
私は部屋に入り、扉を閉める。

『内緒だぞ?』
「もちろん、秘密。」
私が人差し指を口元に持っていったのを確認すると、鳥かごを取り出す。
「えっ、羽根の生えた悪魔??」
『いや、これは妖精だ。』
「これが??私の想像とは違うな〜……。」
『こっちの世界と魔法が使える世界では勘違いしている事が多いんだ。』
「今日はなんでこの子を??」
『ほら、覚えてるか?梟の郵便屋さん。』
「覚えてるよ。いつもの窓のとこから飛ばしたよね。」
『あぁ。その梟が連れてきた。』
「ん?なんで?」
『こっちの世界に迷い込んだから探せと命令だ。』
「それ、先生の仕事なんだね?」
『こっちの世界に来ている魔法使いは少ないからな。』
そう言うと先生は、笛で梟を呼ぶ。

「久しぶりに先生が魔法使ってるの見た。」
『まだ魔法使ってないがな(笑)。』
「え〜、十分魔法だよ(笑)。」
先生は、窓にとまった梟に妖精が入った鳥かごを持たせると、窓から梟を飛ばす。
「これで、あの子は魔法の世界に帰れるの?」
『あぁ。もうここには来ないだろう。』
「ねぇ、先生?久しぶりに魔法の薬学見せてよ(笑)。」

私は、先生の事を手伝いながら新しい魔法の薬学を見せてもらった。
魔法の薬を作り終えた頃、開けていた窓から1通の手紙が降ってきたのに気づいたのは、片付けが終わったあとだった。

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〜二人の秘密〜長文なので時間があるときに読んでくださると嬉しいです!

『新しいクラスどうだった?』
いつもの窓辺で足を外に出しぶらぶらさせていると、先生が話しかけた。
「お〜、先生。忘れちゃった?私のクラスはクラス替えなしだよ?」
『忘れてない。覚えてるよ。ただ、前学期と変わったとこなかったかなって思って。』
「あ〜、そういう事ね(笑)!特に何も変化ないよ。」
私は少し笑う。
そして先生は、いつものように隣に腰掛ける。

『君は殻にこもり過ぎだ。』
「ん〜?……ん?You Too.でしょ(笑)?」
『何でそこだけ英語なんだよ(笑)。』
「なんとな〜く(笑)。」
『君は良い子なんだから少しだけ殻の外に顔を出してごらんよ。』
「私は十分顔を出してる。ただ誰も気づいてくれないだけよ(笑)。」
『君はもう少し笑うべきだ。』
「ん?十分笑ってるよ?」
『普段の話だ。ここの話じゃなく。君はいつも真顔だ。少し怖い(笑)。』
「え〜、でも先生の真顔もだいぶ怖いよ(笑)?」
『それは知ってるさ(笑)。ただ君が辛そうに見える。』
「そうかな?」
『自分を殺さなくたっていい。もう少し笑え。』

「りょーかい。もう少し笑えるようにするね(笑)。ただ1つ約束。先生も自分を殺さないこと!!!」
『わかった。約束だ(笑)。』
先生は小指を立てて私の前に差し出す。
「ゆびきり!!」
私は指切りをして先生の手を握る。

「大丈夫。私は先生の事、大好きだから本当の先生を知ってる。先生が自分を殺さないなら私は凄く嬉しい。だから先生、そのままでいいからね?」
『ありがとう(笑)。君は普段だけ、もう少し笑えばいい(笑)。』
先生はそう言うと、私の頭に手をのせる。
私は少しはにかむと、春の匂いを感じとった。

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〜二人の秘密〜長文なので時間がある時に読んでくださると嬉しいです。

「ふわぁぁぁぁぁ。」
私はあくびを一つする。
『今日は眠そうだな?』
先生はいつものように話しかけると、隣に座る。

「昨日、3時までドラマ見てたの。」
私はもう一度あくびをしながら答える。
『3時……?夜中のか??』
「そう、夜中の。」
『ここは寮だぞ?なんでテレビがあるんだ??』
「各寮に談話室あるじゃん?そこだとバレない。」
『今、私にバレたがな(笑)。』
「先生にはいいよ、バレても(笑)。」
『まぁ、早く寝ろよ?』
「わかってる。今日は1時までには寝るつもり。」
『明日から新学期だろう?遅刻するなよ?』
「わかってる。まぁ5分くらいのは許して(笑)。」
『新学期から遅刻は流石にやばいだろう(笑)?』
「そうね〜。頑張って起きる。」
先生は何か聴きたそうな顔で私の顔を見る。

「ん?何??」
『いや、なんのドラマ見てたのかなって思って。』
「あ〜、もともとは韓国のドラマなんだけど、それをリメイク?したやつ。」
『面白かったか?』
「そうね〜、一度見ると続きが気になってやめられないのよ(笑)。」
『君はよくドラマみてるよな?』
「ドラマは面白いからね。自分の知らない人生を知れるでしょ(笑)?」
『う〜ん、難しいな。』
「うん(笑)、先生はドラマあんまり見ないもんね(笑)。」
『今度、オススメでも教えくれ。』
「無理してみなくてもいいんだよ(笑)?」
私は悪戯に笑う。

『久しく見てないからな、見てみたいんだ(笑)。』
先生は恥ずかしそうに笑う。
「うわっ、何それ、可愛い〜(笑)。」

私は笑いながら空を眺めた。
雲一つない良いお天気で、燕が2匹飛んでいた。

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〜二人の秘密〜長文なので時間があるときに読んでくださると嬉しいです。

「こんにちは。」
いつもの窓へ向かう途中、新しく赴任してきた先生とすれ違った。
“今日からこの学校に赴任してきました。わからないこともあると思いますがよろしく。”
「そうですか。よろしくお願いします。」
私はそっけない挨拶をして窓辺へ向かう。

窓の外を眺めていると、いつもの声がする。
『今日はまた一段と悲しそうな顔をしてるな。』
「先生、やっほ。そう??」
先生は隣に座る。

『さっき、新しく赴任してきた先生に会っただろ?』
「うん、若い男の人だった。」
『そいつと話した。挨拶してくれたけどそっけない女子生徒がいたって。』
先生はそう言うと、怪しく笑う。
『私はそれが誰かを知っている。君だろう(笑)?』
「先生、先に答え合わせしちゃったよね(笑)?」
『いいや、若い男の人としか聞いてない。』
「先生、天の邪鬼ね(笑)。その人、どんな人だった?」
『今日はスーツ来てた、確か赤色のネクタイ。』
「あ〜、それ私だわ。さっき会った人。」
『やっぱりな(笑)。新しい先生は不満か?』
「不満ではない、というかまだ話してないからわかんないよ(笑)。」
『じゃあなんでそんなそっけないんだ?』
「学校って嫌いなんだよね。今更だけど(笑)。」
『それは知ってるさ。君の事はなんでもとは言わないが知ってるつもりだ。』
「私は、学校のそっけない感じが嫌いなの。バイバイする先生の扱い酷すぎない?だから、新しく来る先生も初めは警戒しとくの。」
『じゃあ、嫌いという訳ではないんだな(笑)?』
先生は可愛らしくニコッと笑う。

「好きか嫌いかはこれから決める。」
『私のことは好きか?嫌い?』
「どっちかというと嫌いかな〜。」
『え、、こんなに話してくれるのにか!?』
「嘘、嘘(笑)。好きよ。大好きな先生(笑)!」
『からかわないでくれ(笑)。』
先生は恥ずかしそうに笑う。
「ごめんごめん(笑)。」

私は先生の事をからかいながら笑った。
そして舞い落ちる桜の花びらを掴もうと手を伸ばした。

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〜二人の秘密〜長文なので時間があるときに読んでくださると嬉しいです。

「先生っ!!!」
私は先生を見つけたので駆け出し、後ろからハグをして捕まえる。
『なんだ?珍しい捕まえ方をするな?』
先生は顔だけをこちらにむける。

「まぁここ、誰も来ないしいいかなって(笑)。」
私が手を離すと、先生は私の正面に立つ。
『君の挨拶は不思議だからな(笑)。』
「他の地域では、ハグとかキスは挨拶でしょ??私なりの挨拶はこれだから(笑)。」
『君は本当に不思議だ(笑)。』

「まぁこれ、いつもは男の人にはしない挨拶なんだけどさ、今日は先生にお願いがあってさ。」
『お願い?』
「うん。絶対に断らないって約束できる??」
『どんなお願いなんだ?』
「先に約束して!!」
『あぁ。わかったよ。約束する。』
「ありがと(笑)。」
『ほら、お願いは??』
「今度はさ、後ろじゃなくて、前からハグして?」
『前?』
「そう、普通のハグ。」
『いいよ。』
「え?いいの?」
『いや、君が断るなと言ったのだろう(笑)?』
「確かに(笑)。じゃあ、ハグしていい??」
先生は両腕を広げ、私は先生の胸の中に飛び込む。

『何かあったんだろう?』
「私のハグはね、私に気づいてほしくてするの。」
『気づいてほしくて?』
「存在をわかってほしいっていうかさ。温もりを感じたいというかさ。まぁ、いろいろあるのよ。」
先生は少しギュッとする。
『ほら、温かいだろ?』
「うん、あったいね。生きてるって感じ(笑)。」
私は笑うと、先生から離れる。

「いや〜、久しぶりにガチのハグしたわ〜(笑)。」
『君の“ガチ”のハグはこれなんだな(笑)。』
「私、このハグは嫌いな人にはしないから(笑)。」
『君は本当に不思議だな(笑)。』

私のハグはすべての人には受け入れてもらえない挨拶だ。
それ故に先生のぬくもりは嬉しかった。
私達はいつもの窓へ行き、雑談を楽しんだ。

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〜二人の秘密〜

私はいつもの窓から、桜の木を眺めていた。

『満開になったな。』
先生の声がしたので振り返ると、先生はお盆を数センチ上にあげた。
『満開になったら花見って約束しただろ?』

「約束したけど、どこからそのお盆持ってきたの(笑)?」
『私の部屋からだが?』
「ここに来るのに誰にもみられなかったの(笑)?」
『あぁ。』
「先生が廊下でお盆持って歩いてたら変な人だよ(笑)。」
『今日は休みだから誰もいないさ(笑)。』
先生は笑うと隣に座る。

『お茶とお菓子。好きなの食べろ。』
「ありがと〜。」
私はお茶とチョコレートを手にとる。

「もう花びら散ってきちゃってるね。」
『それはそれで綺麗だ。』
「私も満開よりは、散ってるときが好きよ。」
私がそう言うと、先生は散ってきた花びらを一枚掴む。
『ほら、花びら。』
「先生って可愛いことするんだね(笑)。ありがとう(笑)。」
『私も散っているときが一番好きだ。人間は満開の時にしか見てくれないだろうが、桜が散るのは人間にない儚さがある。』
「要するに、綺麗ってことでしょ(笑)?」
『あぁ(笑)。哲学っぽくなっただろ(笑)?』
「う〜ん、どうだろ(笑)。」
先生はチョコレートをひとかけら口に放り込む。

『まぁ、いいじゃないか(笑)。花見を楽しもう。』
先生はそう言うと、太陽に手をかざす。
『今日は良い天気だな。』
「風も気持ちいいしね。」

私達は太陽の光や風を浴びながら雑談し、とても素敵な花見をした。

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〜二人の秘密〜

私は先生を見つけて駆け出す。
「先生〜!!!写真撮ろ!!写真!!」
『あぁ。』

「スマホ?デジカメ??どっち?」
『今持ってるのか?』
「うん、どっちもあるよ?」
先生は私の手を引いて、隅の方へと行く。

『一応、スマホは禁止なんだ。今日だけだぞ?』
「うん!ありがと!!」
私は何枚か写真を撮る。

『なんで今日なんだ?』
「ん?写真撮るのが?」
『あぁ、写真撮るのが。』
「ほら、さっきまで離退任式だったでしょ?今日はみんな写真撮ってくれるんだよね〜(笑)。」
私はイタズラに笑う。

『私は退任も離任もしないが?』
「次、いつ撮れるかわかんないでしょ?成長記録だよ(笑)!」
『私の成長記録か?(笑)』
「うん(笑)。」
『私の容姿はもう変わらないよ(笑)。』
「それはわからないよ(笑)?」
私はもう一度イタズラに笑う。
『本当に可愛いことを思いつくもんだ。』
先生は頭をぽんぽんする。

「あまり子供扱いしないでよね〜!!」
『まだ子供で良いじゃないか(笑)。』
先生は笑いながら頬をつつく。
私は先生の人差し指を掴んで言う。
「よし。このまま先生の部屋に連行だっ!!」

私は先生を部屋に送り返した。
私はこの写真を大切にしようと思いながら、先生の部屋を後にした。

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〜二人の秘密〜長文なので時間がある時に読んで下さると嬉しいです!

誰もいない大広間でお菓子の振り分けをしていた。

『今日はここにいたのか。何してるんだ?』
先生は近くまで来て座る。
「明日、離退任式でしょ?1ミリでもお世話になったなら差し入れ?してもいいかな〜って。」
『手伝ってやろうか?』
先生は私の顔を覗き込む。

「お菓子の振り分けは手伝ってもらおっかな(笑)」
『君は偉いな。』
「ん?何が?」
『だって、担任でもなんでもないだろう?』
今回離退任する先生は一年、もしくは二年、授業を担当してもらった先生ばかりだった。

「あっ、先生、勘違いしてる。私、担任だったら絶対に何もあげないよ?(笑)」
私はイタズラに笑う。
『君は本当に人間嫌いだな(笑)。』
先生は笑いながら、頭をなでる。
「先生も人間嫌いのくせに何言ってんの(笑)?」
『さぁ、私の話はいいさ(笑)。どうやって分けるんだ?』
「大体同じ数になるように、とりあえず平等にわける!」
『手紙も書くつもりなんだろう?君は手紙を書けばいいさ。』
「よくわかったね?」
『便箋出しっぱなだぞ(笑)。』
「あっ…。」
『ほら、喋ってないで書け(笑)。』

私は手紙に手をつける。
「先生がどこにも行かなくて良かったよ。」
『ん??』
「先生、離任しなくて良かった。」
『そうか。そう言ってくれると嬉しいな(笑)。』
「せめて卒業するまで、この学校にいてよね!」
『卒業しても会えるさ(笑)。』
先生はニコッと笑い、私も笑って答える。
「じゃあ、約束だ(笑)。」

私達はもう一度自分の“仕事”へと手を戻す。
お菓子を分けながら袋に詰めていく先生を見て、
この時間が永遠に続けばいいのに、とそう思った。