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世にも不思議な人々㊻ 敬う人その2

彼の不思議な少年としばらくお話していると、どこからか大きめのヒキガエルがのたのたと私達の方に這いずって来ました。
「あ!せーあ様だ!ほら、あれがせーあ様だよ!格好良いでしょう!」
「おー、ヒキガエルだ」
すると、そのヒキガエルが話しかけてきました。
『ヒキガエルとは何だ。我こそはこの一帯を仕切る土着の神、青蛙神にあるぞ。頭が高い!』
いや、カエルに頭が高いなどと言われましても。まあ穏便に済ませたいので言う通りにしましょうかね。私は屈んで目線を少し低くしました。
「申し訳ありません青蛙神様。ところで失礼を承知でお尋ねしたいのですが」
『何だ?』
「一体貴方様はどのような出自で?」
『出自?そんなものは知らぬ。気付いた時には既にこの世に在った。ただそれだけのことだ』
「ほう。……もしかして、そこの少年が関わっているとか、そんなこと無いでしょうか?」
『厶、彼奴か?さあ、我も所詮は産まれて幾らも経たぬ新参故、知らないことなど山とある』
ふーむ、彼の少年が一枚噛んでいると思ったのに確証が無い。
そんなこんなを考えておりますと、やけに背の高い、と言っても住之江少年よりかは少し低い、それでも細いせいでより背が高く感じられる男がやって来ました。
「む、これは奇々怪々。ヒキガエルと子供が話してら。……ふーむ、而してそれなら何もおかしくないか」
何やら訳を知っている様子。
「えーっと……すみません。これについて何か知ってるのです?」
「うにゃ。けどさっき見たお陰で分かった。ところで君もそこの少年も、僕らの仲間なのか。どんな能力なんだい?」
なぜ私が能力を持っていると知っているのでしょう。雰囲気も不審者だし近寄りたくないです。
「今君は『なぜ自分が能力を持っていると知っているのだろう。雰囲気も不審者だし近寄りたくない』って思ったろう。……君は次に『な、何故私の考えている事が!?』と言う」
「な、何故私の考えている事が!?……ハッ!」
「そういう能力だからだよ。僕のことはキタと呼んでくれ」
その男、キタさんは随分親しげに言いました。

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世にも不思議な人々をリストアップ6

此花陽太郎(ヨースケ)
中学校の頃のあだ名がヨースケだった。他に陽の字がつく奴はいなかったらしい。陽介には面白いのでヨースケと呼ばせている。周りからは感情を素直に表す明るい奴だと思われているが、その実その心の中は中々のカオスであり、心中を読むのは難しい。
能力
認識した足場には、それがどんなものであろうと乗ることができる。空中の砂粒にも、尖った針の先にも、飛んでいる羽虫の背にも、風に揺れる笹の葉先にも、本当に何にでも乗れる。もちろん足場に固体の要素は不可欠。ゲルとかダイラタンシー現象はセーフ。恐ろしいのは、ただバランスがどうのという話ではなく、ただ『その足場に乗れた』という結果だけを定着させる能力であるという点である。
作者のコメント
読みは「このはな ようたろう」。バランス感覚が良かったんだと思う。童謡を考えなくて良いのすっごい楽です。

岸和田陽介(ヨータロー)
中学校の頃のあだ名がヨータローだった。他に陽の字がつく奴はいなかったらしい。陽太郎には面白いのでヨータローと呼ばせている。周りからは感情を表に出さないクールな奴と思われているが実際は感情的で表情もコロコロ変わる。ただその変化が小さいのである。
能力
『何か』を召喚する。『何か』は対象の視界の端ギリギリに出現し、視界の隅をキープするように歩き、歩行速度より早くそちらを向かれた場合は瞬間移動する。この『何か』には対象の注意を引き寄せる性質がある。ちなみに『何か』の正体は長さ60cm程度の竹ひごのような存在である。
作者のコメント
目立つのが嫌いだった結果、こうなりました。読みは「きしわだ ようすけ」。もし僕にスタンドが発現してもこんなのだな、みたいな能力。

仕出原 栄人(神か少年)
「お前神かよ」が口癖。
能力 とおりゃんせ
神だと思った人間を神格化する。たとえ冗談でも僅かにでもそう思ったのならばその人間は神になる。
・神格化された人間は長寿になる。(150歳くらい)
・神格化された人間は生命力が向上し、多少の怪我はすぐ治る上、病気にも強くなる。
・神格化された人間は、そのジャンルに由来した能力を手に入れる。
まさに現人神量産の能力。
作者のコメント
読みは「しではら はるひと」。彼の存在はこの作品の能力の可能性を広げてくれた。

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世にも不思議な人々をリストアップ5

トカゲ氏
トカゲだった男。
能力 黄金虫
他者に暗示をかけられることによって別の生き物になる。人間以外のあらゆる生き物が変化の対象となり、植物や菌類にもなり得る。ウイルスは無理。
作者のコメント
彼の友人はこの後無事ボコボコにされました。彼については名前は考えてないです。

住之江 俊介(大男)
身長七尺に届くほど長身の初の同級生。先天性の能力者。
能力 パフ
あらゆる事象が彼にとって害にならない。その影響で危機から人間を守るためにある反射の仕組みや痛覚が無い。だから辛いのも平気。更に出力を制御するための身体のブレーキが無いため、通常ならあり得ないパワーが出せる。身体はボロボロになる。なお、彼の能力は不死とも言えるが、治癒はしない。メラニンや白血球はなぜかある。
毒や病は効かないが、所詮はタンパク質の塊なので強酸かければ爛れるし、燃やせば炭化するし、首を切り落とせば首から下は神経が切れるので動かなくなる。しかし細切れになろうと蒸発しようと食われて消化されようとそれらは彼の害になり得ないので、治せれば元に戻る。
作者のコメント
読み方は「すみのえ しゅんすけ」。中学校時代の友人との『何も害にならない能力があったら毒とか病気とかアレルギーとか平気になるんじゃね?』『それ、失血とかそういうのも平気にならない?』『実質不死身だ!やべえなww』みたいな会話から誕生した能力です。

少女
住之江と仲の良い少女。計算すると背丈は140無いことになる。不登校。過去に何があったかは不明。最近住之江の小指の先の部分を切り落として治療用に引き取ったそうな。何それ怖い。
能力 蛍の光
何かで突き刺すことによってその人間の外傷を全て完全に治す。刺すときは普通に痛いので、それこそ痛覚の無い住之江ぐらいしか使える相手がいない。
作者のコメント
上の能力者だけを治すための能力です。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 6.ハルピュイア ⑧

「…確かに」
ただわたしから”異能力を知るキッカケになった人達”を紹介してもらうなら、わざわざ鷲尾さんを呼ぶ必要はない。じゃあなぜ…
「あ~、それはね」
亜理那は少し間をとって答える。
「わたし1人だとサヤカから情報引き出せる自信がないから! あとハルカにその事教えたら絶対それが誰か知りたがっていい圧力になると思ったし」
え、とわたしと鷲尾さんは軽く凍り付く。
「あ、圧力…」
内容も内容だけど、いつもの彼女からは考えられないような言葉を繰り出した亜理那に、わたしは唖然としてしまった。
鷲尾さんもあきれたように下を向く。
「そう! 圧力! あとわたしよりもハルカのほうがそういうの得意だし…」
「いやそんなワケねーわ」
あきれ切っているわたし達を気にせず、いつも通りに話を続ける彼女に鷲尾さんは軽く反論した。
そんな突っ込むも気にせず、亜理那はわたしに向き直る。
「と、いうワケでさ~サヤカ、その人達の事教えてくれない? お願いっ!」
そう言って、彼女はぺこりと頭を下げた。
「お、お願いって…」
一生のお願いと言わんばかりに頭を下げる亜理那に、わたしは戸惑った。

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世にも不思議な人々番外編 No.2談義

キタ「いやー、久し振りに登場ですよ」
初「僕はちょっと前にちらっと出たけど」
真琴「いやマジで久し振りだよ俺らは」
キタ「まあ、今回はこの作品で二番目に強い能力者について考察するわけなんだが」
真琴「何故二番目?普通こういうのは最強を考察するものじゃないのか?」
キタ「いやー、それについては作者公認で万能ちゃんが居りますからねー……」
初「あれか」
真琴「あれじゃあしょうがねえや」
キタ「まず候補をあげてみるか。まずは作者がNo.2だと正式に認めてる伏見君だろ」
初「誰それ」
真琴「チャチャさんのことだ」
初「ああ、あの人か」
キタ「次に阿蘇さん。人外モードの時はパワーもスピードも上がって細切れになっても再生するとか」
初「何それ強い。結構良い勝負だな」
キタ「他には、呪術使いの前橋つくばちゃんとかもいたな」
真琴「誰だそれ知らない」
キタ「僕らとはまだ会ってないからね」
初「群馬なのか茨城なのかはっきりして欲しい名前だ」
真琴「そうだ。素のフィジカルだけならあいつも負けてないんじゃあないか?ほら、通り魔のなっちゃん」
キタ「君からそんな言い方が出てくるとは」
真琴「う、うるせー!」
初「確かに彼女もすごいよな」
キタ「あとは、持久力のあいつ。大男。名前はまだ無い」
初「え、嘘、あいつも能力者なのか。この間会ったけどそんな素振り……あったな。すごい深い切り傷作って平気な顔してたわ」
キタ「さて、誰が最強かな」
真琴「なおこの中で最強になっても二番目は揺るがない模様」
初「やっぱりこの中じゃ最古参のチャチャさんを推したいな。一番縁深いし」
キタ「けどあの人呪いに勝てるか?」
真琴「有り得そうなのがなぁ。あの人なら何かどうにかできそう」
初「そうそう、底が見えない」
キタ「僕としては人外の阿蘇さんを推すな。あの人、なのか?姿がもう強キャラだもん」
初「それこそ呪いに勝てるか?」
真琴「逆にあの姿が呪いっぽい」
キタ「まあ結論は個人に任せるってことで」
真琴「終わり方雑だな」

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 6.ハルピュイア ⑤

「あ、あと! あと! ハルカは小学校からの異能力者仲間なんだ!」
「ちょ、ちょっと亜理那ぁ!」
突然の発言に、鷲尾さんは動揺した。
「なんてこと言うの⁈ バレちゃいけないのに…! 常人に見えている世界から隠さなきゃいけないモノを、何で…」
もう信じらんない…と彼女は手で顔を覆い隠す。
あ、勘違いしないで!と亜理那は慌てて鷲尾さんに説明する。
「あのね、サヤカはただの常人だけど前々から異能力のことを知ってるんだ! だから大丈夫! 多分他の普通の人たちには言ってないし!」
だから安心して!と亜理那は鷲尾さんを落ち着かせようとした。
それを聞いた鷲尾さんは静かに顔を上げる。
「多分て…それでも1人にバレてる時点で相当大変なことなんだけど?」
あーっ、まぁね…と亜理那はうなずく。
「でも、サヤカはサヤカの方で異能力知るキッカケになった人たちに脅しとかかけられてるハズだから! きっと平気!」
確かにそうだけど…わたしは多分言ってないのに、何で亜理那はその事を知ってる?
…それにしても、亜理那が会わせたい人って、予想通りやっぱり異能力者だったんだな、とわたしは思った。
まぁ、それがまさか面識のある人だとは思わなかったけど。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 6.ハルピュイア ④

「あ、そうなの?」
「…そういうものよ」
壁にもたれる彼女はあきれたかのように亜理那を見た。
彼女―鷲尾さんの様子を見ていて、この人は相変わらずなんだな、と思った。…まぁ、つい少し前まで同じクラスだったから、変化がなくて当然なんだろうけど。
鷲尾さんこと鷲尾 遥は、去年わたしと同じクラスの人だった。
こちら側からの印象としては、マジメで冷静。クラスでどんちゃん騒ぎしているような人たちからは、いつも少し離れたところにいるような人。
かと言って、わたしと同じように孤立していたわけではなく、よく同じようなメンバーでつるんでいることが多かった。
でもたいがい、一緒にいる人たちは彼女と同じように割とおとなしめな人達ばかり、亜理那のような人と繋がりがあるとは到底思えなかった。
「ね、ねぇ亜理那。亜理那は鷲尾さんとどういう関係?」
話が一旦落ち着いたところで、わたしは亜理那に切り出した。
「え? えーとね、ハルカはわたしと小学校の頃からの付き合いなんだ。たまにそこらへんでおしゃべりしたりするし」
ねーハルカ?と亜理那は鷲尾さんの方を見る。
鷲尾さんはまぁ、そうね、とうなずいた。

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世にも不思議な人々㊵ 歩く人・見せぬ人その3

「流石にまいたか!?」
「やめろヨースケ。あんまりフラグを立てんな」
ええ見事にフラグです。そんな二人にあの大男がものすごいスピードで突っ込んできました。
「ぎゃっ!」
「うおっ」
「よっしゃぁ……捕まえたぜェ……」
「くそぅ……。やられたー……」
「ヨースケがフラグなんか立てっから……」
「よし、ようやく捕まえたぜ。ちとボロボロになったけどな」
「いやいや貴方、ボロボロというよりグチャグチャですけど……ぅぇ」
ヨースケの言う通り、大男の両脚と右腕はグロ注意な感じでグチャグチャになっていました。
「何、問題無い。俺の能力は『あらゆる事象が己の害にならない』能力だからな」
ところで、痛覚というものは生物への損傷がその生物にとって害になるからこそいち早く危険を察知するために存在するものである。故に危険が存在しない彼には、能力の影響で痛覚が存在しないのです。
「いやそれはどうでも良いんだ。こっちが見てて気持ち悪くなるから何とかしてくんない?」
ヨータローがつっこみます。
「おお。じゃあ俺を家まで運んでくれないか?あいつは多分今日もいる」
「ええ……。それは良いけどさぁ……。ヨータロー、どっちが右側支える?」
「俺は嫌だぞ」
「俺もだよぉ……。あ、そうだ。その『あいつ』とやらをここに連れてくりゃ良いんじゃね?文脈的にお前をどうにかできる奴なんだろ?」
ヨースケの提案に大男もヨータローも感心。
「その手があったか。じゃあ、三組に不登校が一人いたろ?あいつが多分今日も俺の家に居るはずだから連れて来てくれ」

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世にも不思議な人々㊴ 歩く人・見せぬ人その2

「おい、どうしたヨースケ。お前があいつから逃げたそうな顔してたから隙を作ってやったが、何故あいつから逃げるんだ?」
影の薄い少年が二段少年に問いました。
「いや、自分でもよく分からん。けどあいつは何かヤバイ気がする。人間として必要な何かが決定的に欠けてる気がするんだ。あと普通にでかくて怖い!」
「だから何故逃げる?仮にも同級生だろ」
「いやー、よく分からん異能を持ってる俺らとしてはあんまりバレちゃいけない気がすんのよ。あいつは絶対俺らの異能について訊こうとしていたぜ」
「ふむ。じゃあ逃げた方が良いかもな。って、あいつ追い付いてきたぞ」
後ろを見ると、すぐ後ろにまであの大男は迫って来ていました。
「やべえぞあれ!やっぱ体格差的に逃げ切るのは無理だって。一歩当りの距離が違うもん!仕方ねえ、ヨータロー、俺に負ぶされ!」
「おお、やるのか、あれ」
ヨータロー、と呼ばれた方が何とかヨースケ、と呼ばれた二段少年の背中に取り付くと、次の瞬間には二人の姿は大男の真上にありました。
「ぬ、やはりお前ら……!」
大男が驚いている間に、二人は着地し、逆方向に向けて全力ダッシュを始めました(ヨータローもヨースケの背中からもちろん降りています)。
「くそう、逃がすか!」
大男が追おうとしましたが、その時またあの「カツン」という音が。そちらを大男が見て、やはり何も無いと確かめてから向き直ると、やはり二人は遠くに。
「ええい面倒くさい、こうなったら奥の手だ」
そう言って大男は右手を地に付き、力を溜めるような動作を始めました。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 6.ハルピュイア ①

「ちょ、ちょっと待ってちょっと待って!」
昼休み、暑いながらもそれなりに人がいる廊下を、わたしは同じクラスの亜理那に引きずられて走っていた。
「とりあえずちょっと待って!」
わたしの必死の叫びをやっと聞き入れたのか、亜理那は立ち止まってわたしの方を振り向いた。
「なぁにサヤカ?」
「何って…」
イマイチ状況を理解していない亜理那に、わたしはちょっとあきれてしまった。
…ついさっきまで、わたしは教室でいつものように本を読んでいたはずなのだ。
だけど亜理那に、ちょっと会ってほしい人がいるんだけどさぁ…いい?と聞かれ、暇だからいいよ、って答えたら…こうなった。
誰かに会うと聞いて、教室出てすぐかな、と思っていたが、教室出てすぐどころか、廊下の突き当りのほうまで移動してきてしまったのだ。
…しかも走って。
走らなければいけないって事は、何か重要なことなのだろうか。
なんとなく、察しがつきそうな気がするけど。
「ねぇ亜理那…一体誰に会うの?」
誰に会うのかまだ分からないから、わたしは尋ねてみた。
「え、それはね~…まだ秘密!」
そう言って亜理那はまだ誰に会うかも伝えず、ただ人差し指を立てるだけだった。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 5.クラーケン ㉒

「…まぁ、僕から言えるとしたら、この人たちは敵に回したらものすごくヤバい人たちだって事です、はい」
美蔵は微妙な顔でそう言い切った。
「…そうなの」
わたしはポツリと呟いた。
確かに、この人たちは敵に回さない方が良いのかもしれない。
前に「常人は”異能力”に関わっちゃいけない」と言われた時に恐ろしいと思ったし、美蔵は彼らを見た時に動揺していた。
よくよく考えたら自分はかなりすごい人たちとつながりを持っているんだな…そう思った。
「…ねぇ、そろそろ駄菓子屋行っていい? いつまでもここでグダグダしてるワケにはいかないし」
話に一区切りがついたところで、ネロが切り出した。
「そうだな」
「じゃー行こーぜー」
「…まだ、買い物してなかったの」
みんなが駄菓子屋の方に移動しだす中、わたしは思わず言った。
「…いや、まだなんだけど」
ネロがぽかんとした様子でこちらを見た。
「あ、そう…」
「とりあえず行こうぜ不見崎(みずさき)。僕も用事済んでないし」
ボンヤリしているわたしを美蔵は追い抜かしながら言う。
「え、ちょっと待ってよ!」
わたしはまた置いてかれないように、彼らの後を歩き出した。

〈5.クラーケン おわり〉

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世にも不思議な人々㊲ 死なない人・死なせない人その3

「まあそいつら普通に捕まったんだけどな」
「へー、どうやって?」
「二段ジャンプ野郎はより高いジャンプで取り押さえたし、影の薄い奴は普通に突っ込んで捕まえてた」
「二段ジャンプより高いジャンプができるその子何者?アスリートか何か?」
「さあ、知らん。けど知らないってことは違うんだろ。で、神か少年も物陰に隠れてたのがバレてあっさりお縄」
「神か少年って何その略し方」
「で、残りが主催者のジョジョなんだが、探しに行く気配が無いからどうしたのかと訊いたらそいつは絶対に捕まえられないからどうせ無駄だっつって、じゃあ試しにと一回ケイドロ止めて範囲決めてそいつを全員で捕まえようってことになったんだよ」
「範囲って?」
「4m四方」
「無理でしょ。1対6でしょ?」
「ああ、無理だった」
「やっぱり」
「捕まえるのが」
「ファッ!?」
「あれは人間の身体能力じゃなかったわ。あいつも俺らの同類だったのかね?」
「ハッハッハ、そんな馬鹿な。そんなコロコロいるわけ無いよ」
「……そうだな。それもそうだ。……あれ、そうだよな?あんまり人外ばっかで感覚変になってたかな」
「それもやむなし。だって君だろ、二段ジャンプだろ、逃げ足特化だろ……、マジに全員能力者あるかも……」
「だろ。折角だから今度そいつらにカマかけてみよっかな」
「何か分かったら教えてよ」
「おう。……さて、ところで一つ良いか?」
「何?」
「お前が不登校な分には別に構わないんだが、何故俺ん家に来た」
「細かいことは気にするなよ、少年」

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 5.クラーケン ⑲

「…やっぱすごいなぁ」
「そう? こいつのお陰で僕は色々と大変だったんだけど?」
思わずこぼれた感嘆の言葉に、美蔵はちょっと微妙な顔をする。
「”クラーケン”が発現し始めた頃、よくこの能力で周りに被害が出てたんだよ。自分も、異能力なんてものが顕れ始めてるなんて気付かなくて、無意識のうちに能力を発動しては周りを盲目にして、面倒ごとを随分起こしてた…自分でも周りに何が起こってるか分からなくて、周りとトラブって大変なことになってたし」
彼は少し間をおいて苦笑する。
「…ま、完全に発現したら原因が全て分かってすっきりしたけどな。もちろん”クラーケン”のせいで色々大変だったけど、別に憎んだりはしてねえよ…”異能力”は自分という存在の、一側面みてえなもんだから」
「自分の、一側面…」
わたしは思わず復唱する。つまり、さっきネロが言っていたように、もう1人の自分ってことか。
「そ。人間の長い歴史の中で、延々と引き継がれてきた”もう1つの自分”。ま、自分は唯一無二なのに、他の人に引き継がれるってちょっと意味分かんないけど」
ま、ずっとそういうもんなんだけどなーと彼は笑う。

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世にも不思議な人々㉟ 死なない人・死なせない人その1

「やあお帰り、少年。まーたボロボロになって帰ってきたね?」
少年、と言うには肉体的に成長し過ぎた、一応年齢のみは少年の2m超えの大男に、彼の3分の2程度しか無い、とても彼と同い年とは思えない少女が心底寛いだ様子で話しかけた。
「……ここは俺の家だ。何故ここにいる。そんな当たり前のように」
「案ずるな、君の親には了承を取っている。嬉々として招き入れてくれたぞ」
「……そうか。それなら仕方無いな」
良いのか。
「傷を見せてみな?私が治してやるからさ」
「いらん。どうせ大したことはない」
「腕の骨が露出するほどの裂傷を大したことないと形容するのは君だけなものだよ。全身傷だらけのズタボロだし。何をしたの?」
何故平気なんだろうねー?痛みは?気合でどうにかなるレベルを大きく超えてますけど?
「おお、そんな酷かったか。うん、確かに。こいつは実に気持ち悪い。いやな、ちょっとばかし、な」
ちょっと、何だ。
「そうでしょ?いくら君が不死身でも治癒は君の専門外なんだから」
ほう、不死なのね?道理で気にしない訳だ。
「おう、で、今回は何で治すつもりだ?包丁系は大体やっちまったろ?牛刀とかどうだ?」
「この間やったよ」
「あれ片手剣じゃなかったのか。鮪包丁は?」
「それもやったね。あれは確か半月前だったんじゃないかな?」
「あれ日本刀じゃなかったのか」
会話が剣呑過ぎます。治す算段はどこに消えた。
「まあ、私の力なら最悪縫い針1本で十分なんだけどね」
「何でも良いから早く治せ」
「了解。じゃあ果物ナイフ辺りで行きますかね」
そう言って、少女は果物ナイフをどこからか取り出し、大男に向き直り、ナイフを深々と彼の胸に突き刺した。ってちょっと待てぃ。治すって何だっけ。
「ごっふ」
そしてナイフを抜くと、胸の傷を含め全身の外傷は消えていた。
「うおお…、相変わらず慣れねーな。つーかもっと丁度良いものあったんでは?」
「気にするな。治してもらったんだから文句言わないの」

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 5.クラーケン ⑰

「てか、ケンジが異能力者だって事知らなかったのかよ」
「えっけ…」
なんか、美蔵のことを下の名前で呼ぶ人が珍しすぎて、わたしはちょっとびっくりした。
「いや別に人の事どう呼ぼうとこっちの勝手でしょ」
「あ、そうだね…」
ネロに真顔で言われて、わたしは沈黙した。
「…そういやケンジ、何でそこに隠れてたんだよ? なぁ」
こっちの会話が終わったのを見計らってか、師郎が美蔵に尋ねた。
「い、いやぁ~さっきアイツに異能力の存在がバレたと思ってあの2人を逃がすために能力使って自分も逃げたんですけど、また会いそうになったんで…」
美蔵は気まずそうに説明する。
「…だからどっか行くまで隠れてたんですけど」
「いや自分まで逃走する必要ねーだろ。あとこういう時に敬語使うな」
「あーはいはい…てか離してくださいよちょっと痛い」
美蔵は愛想笑いを浮かべて懇願する。が、師郎はまだ美蔵の腕を離す気はないようだ。
ふと、わたしはあることに気付いて美蔵に尋ねた。
「ねぇわたしすごい気になってんだけど…」
「何?」
美蔵たちはこちらに目をやった。
「美蔵とネロとか耀平とかって…どういう関係なの?」

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世にも不思議な人々をリストアップ4

鈴木燕(すずき つばめ)
伏見清次の友人。彼よりは一つ年下。つまり現役合格している。
能力 WAになっておどろう
時間を止めてその中で自由に動ける。制限時間などは特に無いが、喩えるならば水に潜るようなもので、あんまり止めてるとキツイらしい。教わるまで時を再始動するという点についてはこの能力の効果の範囲外だった。
作者のコメント
彼の場合は名前の方が地名由来です。ところで、燕市について調べてたら、市長が鈴木でびっくりしました。偶然ってすごい。

高崎有栖(たかさき ありす)
中二の少年。アルビノ。一人称が定まらず、使ったことのある一人称を挙げると、僕、私、俺、わー、なー、うー、我、うら、おいら、わっち、有栖さん、この高崎有栖、わちき、それがし、わたくしめ、オラ、我輩、などとキリが無い。
能力 子守歌
自分にかけられた暗示が世界にまで影響を与える能力。彼に嘘をついてはいけない。
作者のコメント
シューベルトのあれです。一応童謡の部類には入るはず。

前橋つくば(まえばし つくば)
有栖と同い年の少女。有栖とは10年来の友人。両親は理系だが、彼女は別にそういうわけではない。しかし腐っても科学屋の両親から産まれた自分が非科学の極みみたいな能力を手に入れてしまい、これで良いのかとも思ったが、難しいことを考えるのは得意ではないので、まあ良いかとそれについては考えるのを止めた。
能力 ひみつのパレード
対象を『呪う』能力。これは『のろう』能力にして『まじなう』能力でもある。
作者のコメント
苗字も名前も地名由来。呪術系は強い。というか、この辺でだんだん能力のレベルが暴走し出してる気がする。

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元人間は吸血鬼(仮)になりました。#3.5

雨月視点


静かにピアノを弾き続ける涼香。本当に何も覚えてないんだ。あんなに必死であの四人のことを守ろうとしてたのに。人間ってやわだなあ。誰かに守ってもらわないと行けないなんて。
きっと私にも、人間だった頃があったんだろうけど、何も覚えてない。何も分からない。なにかを守る理由が。守るものも、守られることもなかったから。愛されなかった。ただそれだけ。分かりきってる事。だから、きっとその、憎しみで、私は、死んでから、キョンシーなんかになったしまったんだろう。
こんなに醜い見た目じゃ、ここでも誰にも愛されない。でも、風花が教えてくれた。怪物は、同族には優しいってこと。
だから、できることなら、二度と人間は見たくない。
涼香は、愛されたのかな。愛されてたか。あの四人に。悔しいな。あの四人に教えてやりたい。「怪物になってから、お前らのことなんか、涼香は忘れたよ」って。
きっと、あの四人は、笑って許すんだろう。悔しい。私だって、愛されたかった。
どうしようもなく悔しい。
きっと私は、涼香に嫉妬してるんだ。こんなに醜い感情を持っているから、愛されないんだ。
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はい!皆さん!お久しぶりです!
イカとにゃんこです!覚えてる人いますかー⁈
覚えてる人はレスください!
実は、部活を辞めたり、勉強したり、ベース弾いたり(おい!)で忙しかったので書き込みできませんでした。(苦しい言い訳)
これからもよろしくです!(急だな!)