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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ -Japanese Robin- 2

「それでは、本日の授業はここまで」
「みんな、宿題はちゃんとやっておくように」と言って、教室から教官が去っていく。それを見届けてから、教室内にいる色とりどりの服を着た少年たち…アヴェスたちは椅子に座ったまま近くの席の者と会話を始めたり、荷物を鞄にまとめて教室から去っていったりと、思い思いに動き始めた。
そんな中、教室の窓際の列の一番後ろの席で橙色の詰襟にバルーンパンツを履いたアヴェスは窓の外に広がる青空を見つめていた。
「……アーカ‼︎」
どんっ、と机を叩く音で橙色の詰襟のアヴェスはハッと我に返る。彼が思わず机を叩いてきた人物が立つ自身の左側を見ると、茶色と鳶色の千鳥格子模様のケープと白いパフスリーブシャツ、そして茶色いバルーンパンツとベレー帽を身につけたアヴェスが机に手をついていた。
「……」
橙色の詰襟のアヴェスは、相手に黙って冷たい目を向ける。しかし相手のベレー帽のアヴェスは、気にせずニコニコ笑っていた。
「どうしたの? ずぅっと外眺めちゃって」
「授業がつまんなかった?」とベレー帽のアヴェスはその場にしゃがみ、机に頬杖をつき始める。橙色の詰襟のアヴェスは「別に」とまた窓の外を見る。
「ただ物思いにふけってただけ」
「へぇ〜! 物思い‼︎」
ベレー帽のアヴェスはなぜかきらきらと目を輝かせる。

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空想少年要塞都市パッセリフォルムズ -Japanese Robin- 1

「ねぇ、要塞都市の外へ行きたいって思ったことある?」
近代的なレンガ造りの要塞都市中心街から離れた丘の頂上に座りつつ、橙色の詰襟ジャケットとバルーンパンツ、帽子に黒い和袖の外套を羽織った少年が、同じようなジャケットとバルーンパンツに帽子、そして白い和袖の外套を羽織った少年に尋ねる。白い外套の少年は「どうした?」と訊き返す。
黒い外套の少年は「え〜いいじゃーん」と遠くを見る。彼の視線の先にはこの要塞都市を守る高い壁が小さく見えていた。
「何気なく思ったんだしー」
黒い外套の少年はそう言って笑う。白い外套の少年は「ふぅん」と頷いた。
「コマは思ったことすぐに言えるよね」
「?」
白い外套の少年がそう呟くと、コマと呼ばれた黒い外套の少年は左側を見て首を傾げる。白い外套の少年は「いやだって」と続ける。
「コマは誰とでも話せるし、自分より話すのが上手いから」
「うらやましい、な」と白い外套の少年は膝を抱える。それを見て「もーしょげないでよアカ〜」と隣に座る白い外套の少年の肩を叩いた。
「アカにはアカなりのいいところがあるんだからさー」
「そんな顔しないの〜」とコマは笑う。アカは「そうかな……?」と照れくさそうにした。
そしてコマは思い出したように、アカに尋ねる。
「それでさ、アカは要塞都市の外に行きたい⁇」
その質問に、アカは少し考えてから答える。
アカの答えを聞いて、コマはアカらしいねと笑った。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 23.オウリュウ ⑲

「えーすごいじゃーんれーいー」
ネロはそう言って黎にくっつく。
黎は静かにネロの頭を撫でた。
一方それを見る耀平は少し不服そうな顔をしている。
「お、耀平嫉妬してる?」
ネロがかわいくて仕方ないんだな~?と師郎はそんな耀平の肩に手を置く。
すると、そ、そんな訳ないしと耀平はその手を払った。
その様子を見て霞さんはふふふと笑うが、ここでわたしはさっき思ったことを思い出し、彼に尋ねる。
「…そういえば、霞さんって異能力者だったんですね」
わたし、全然気付かなかったです、とわたしが言うと、霞さんはまぁねと頭をかく。
「君が一般人だから言わなかったけど、ネロちゃんが堂々と異能力を使っているのを見て大丈夫だと思ったからさ」
だからあの通り使ったんだ、と霞さんは一瞬両目を菫色に光らせた。
「ちなみに僕のもう1つの名前は”オウリュウ”だよ」
霞さんの言葉に対し、わたしはそうなんですねと答えた。
「…まぁ、そんなことは置いといて」
そろそろ駅へ向かおうぜ、と師郎が手を叩いてわたし達の注目を集める。
「そろそろ霞も帰らなきゃだろ?」
師郎がそう言うと、霞さんはそうだねとうなずく。
わたしと黎もうなずき、ネロは耀平に近付き、行こうよーと彼の腕を引っ張る。
耀平はちょっと不満そうな顔をしていたが、うんとうなずくと駅に向かって歩き出した。
辺りはもうすっかり日が暮れ切っていた。

〈23.オウリュウ おわり〉

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 23.オウリュウ ⑰

「じゃあ、異能力を解除して」
黎の言葉に耀平は、え、と驚く。
「それじゃおれ達は…」
「いいからお願い!」
霞‼と黎が声を上げた時、分かった!と霞さんが言った。
その途端、辺りの霞がなくなり、元の通りの細道が現れた。
元のように周囲を見ることができるようになったヴァンピレスは、にやりと笑っていつの間にか出していた具象体の白い鞭を振るおうとする。
しかしそんな彼女に向かって中身が入った状態のペットボトルがわたしの後方から真っ直ぐに飛んできて、ヴァンピレスの額に直撃した。
「あうっ」
ヴァンピレスはそううめくと、額を手で押さえながらその場にしゃがみ込む。
「だ、誰ですの…?」
わらわにペットボトルなんて…とヴァンピレスは顔を上げる。
わたしも彼女が目を向ける方を見ると、紺色のパーカーのフードを目深に被った少年、黎が立っていた。
「まさか、貴方…」
ヴァンピレスはふらふらと立ち上がると、黎に向かって具象体の白い鞭を向ける。
黎はかすかに後ずさり、ヴァンピレスは思い切り具象体を振り上げようとした。
しかし、そんな彼女の後ろから、させるかぁーっ‼という叫び声が聞こえた。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 23.オウリュウ ⑪

「あの子は昔から明るくて、何だかこんな僕にも良くしてくれるから、すごく嬉しかった」
だから僕も、人が怖くなっていったんだろうね、と霞さんは言った。
わたしや師郎は黙ってそれを聞き、隣のベンチに座るネロと耀平は静かにこちらを見ている。
黎もちらと霞さんの方を見る。
「ま、そういう訳で僕は変われたんだ」
霞さんは微笑んだ。
わたし達はそんな霞さんの事を見ているばかりだったが、やがて彼はさて!と呟く。
「そろそろ日も暮れてきているし、帰る事にしようか」
霞さんがそう言ってわたし達に背を向けると、え~もう帰るのー‼と耀平が不満気に声を上げる。
霞さんはそうだよ~と振り向いた。
「君達だって、そろそろ帰り始めないと親に心配されるでしょ?」
「まーそうだけど…」
耀平は不満気な顔をするが、霞さんはじゃーあー、と彼に近付き顔を覗き込む。
「僕の事、寿々谷駅まで送ってくれない?」
その言葉に、耀平の顔がパッと明るくなる。
「え、いいの?」
「うんもちろん!」
ギリギリまで一緒にいたいし~と霞さんは続けた。
「やったぁ!」
耀平はそう言って嬉しそうに立ち上がる。
霞さんはふふと笑った。

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翠精造物帰路

すっかり日が暮れた商店街にて。
辺りが暗くなっても人で賑わう商店街を、1人の女と5人のコドモたちが駅に向かって歩いていた。
「でねー、そのトゥイーディアって子が助けてくれたんだよ〜」
金髪にカチューシャをつけたコドモ、キヲンがマスターである女…寧依と腕を組みながら話している。
その様子を後ろから青い長髪のコドモ、ピスケスと赤髪にキャップ帽のコドモ、露夏が見守りながら進んでおり、その数メートル後方で黒髪のコドモ、ナツィとジャンパースカート姿のコドモ、かすみが歩いていた。
「…なぁ」
「?」
ナツィに呼ばれて、かすみは隣を歩くナツィの方を向いてどうしたのナツィ、と尋ねる。
ナツィは前を向いたまま続ける。
「お前、“商会”の魔術師を止めるために“翼”を使ったんだって?」
ナツィにそう聞かれて、かすみはあ、うん…と気まずそうに頷く。
「きーちゃんを上から探してたら、露夏ちゃんが危ないと思って…」
それで咄嗟に、とかすみは苦笑いする。
ナツィはふぅんと返して沈黙した。
暫くの間、2人の間に静かな間が空いたが、ふとかすみがもしかして、と呟く。
「自分のこと心配してる⁇」
「⁈」
ナツィは驚いて立ち止まる。
「えっ、えっと…」
振り向きながら顔を赤らめるナツィに対し、かすみはなんとなくだよ、と笑いかける。
「ナツィは自分が滅多にしないことをすると心配するの、分かってるから」
かすみの言葉に、ナツィは顔を背けるように前を向く。
それを見てかすみはふふ、と微笑みナツィの手を取った。
「…大丈夫」
自分は自分の身を傷つけたりしないから、安心してとかすみはナツィの顔を覗き込む。
「…うん」
ナツィはかすみの方をちらと見て、その手を握り返した。

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飛龍造物茶会 あとがき

どうも、テトモンよ永遠に!です。
毎度のごとく「造物茶会シリーズ」のあとがきです。

今回のエピソードは、”今後”への布石として書いたものでした。
元々はナツィたちがいつもの街の外でワイバーン的な人工精霊やその仲間に出会って戦う…みたいな話を書きたい!と思うところから始まりましたね。
ただ実際に書いていく過程で、トゥイーディアは「人間を嫌いつつも憧れる矛盾した子」にするつもりが、「弱い子に意外と優しい姉御肌っぽい子」になってしまったので「あれ?」って感じです(笑)
でも”今後”への布石にするつもりで話の内容を詰めた結果なので「まぁいっか」と思います。
…だけどちょっと粗削りすぎた気もする。

ということで、今回はここまで。
造物茶会シリーズ第11弾もお楽しみに。

最近は想定よりも忙しくなってきちゃって、自分で始めた企画の作品の執筆が進まず悶々としてます。
あと最近はなんだか遅筆になってきちゃって、(遅筆なことは考えて書けていることかもしれないけど)逆に困ってますね。
まぁ今月中に書きあげて投稿を済ませたいので頑張ります。
それと、今は執筆を止めているけど「造物茶会シリーズ」第10弾の記念エピソードを書きかけています。
こちらはナツィとかすみの馴れ初め話なので、お楽しみに。

てなわけで、テトモンよ永遠に!でした~。

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飛龍造物茶会 Act 23

「“商会”の連中はしつこいな」
「それはこっちのセリフだ」
“学会”の犬ども、とキャスはナツィを睨む。
「おいらたち“商会”のナワバリに人工精霊を差し向けやがって…」
「は? コイツはただの迷子なんだけど」
キャスの言葉にナツィは言い返す。
嘘つけとキャスは吐き捨てるが、ナツィは嘘じゃないとキャスを睨み返した。
「単にコイツは裏路地に迷い込んで気付いたら“商会”のナワバリにいた、それだけだ」
「そんなの建前だろう⁈」
キャスは言い返すが、ナツィは建前じゃないと冷静に返す。
「コイツ、なにも武器を持ってないし出したりもしてないだろう」
普通に“学会”から差し向けられた人工精霊だったら攻撃されそうになると応戦するのが普通だろ、とナツィは続けた。
キャスは、それは…と言いかけるが、すぐに言葉が続かなくなる。
しかし…例え、そうだとしても!とキャスは槍をナツィとキヲンに向けた。
「無関係の奴に“商会”に触れられちゃ困るんだよ‼︎」
キャスがそう叫ぶと、キャスが持つ槍の穂先が橙色に輝き始める。
ナツィは咄嗟に大鎌を構える。
だがそこへ雄叫びと共に何かが突っ込んできて、キャスの槍を奪い取った。
そして上空へと舞い上がる。