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創作のタネ(その2)

その1の続き。

D:Aの取り巻きの1人。Aに憧れていて、Aに気に入られたくて背伸びしまくった結果Aの友人になった。Aに心酔しており、Aのヤバさにはあまり気づいていない。Aと付き合いの長いBにちょっと嫉妬しているし、Aから目の敵にされているCのことは嫌いで、Aのご命令とあらばなんだってやってしまう。最終的にAを見捨てて逃げ出し、BやCの協力者になったり。
E:いわゆる第三勢力。Aのヤバさに気づいているが、そのヤバさ含めてなぜかAのことを心の底から気に入っており、隙あらば絡みに行っている。そのためAからはよく思われていないし、B以外のAの取り巻きからは嫌われている…が、マゾヒスト(?)なのでウハウハしている。Aのお気に入りであるBが羨ましいけど、別に嫉妬していないしAに近づくため積極的に接近しているし、Cにもなぜか興味を持って絡みまくっている。なに考えてるか本当にわからない奴。最終的にBやCに協力し、Dなど友人や周囲の人に見捨てられてズタボロになったAに近づき、共依存みたいな関係にしてしまう。

…走り書きと言ったのに、すごい分量になっちゃった。
でもまぁいいか。
(ちなみにここで自由に使っていい設定。自分は今すぐに設定を使う予定はないけど、使うとしたら少年マンガ的なバトル×百合みたいな感じになりそう…)

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創作のタネ(その1)

さっきNHKのテレビドラマをたまたまちょっと観てたんだけど、なんか自分の義務教育時代を思い出して胸クソ悪くなるようなコドモキャラが出てきてたんだよね。
でもここから創作のタネが閃いたので、走り書き程度に残しておく。

とりあえず登場人物は5人。

A:すごくなんでもできる人気者だが、恐ろしいことに友達を自分の所有物やペットのように思っており、無意識のうちに自分の思い通りになるよう誘導したり工作したりしている。もちろん自分の思い通りにならない奴は徹底的に貶める。ただのやべー奴だが、周囲は意外と気づいてない。最終的になんやかやで自滅するが、後述のEとともに行動することに。
B:Aと付き合いの長い友人であるが、自分が所有物扱いされていることに薄々気づいている。が、Aとは昔からの友人でBの親など周囲の人間はAのことを「とてもいい子」だと思っているし、下手なことをすれば後述のCのようにAにいじめられると思っているので、とりあえず愛想笑いしてる。最終的にAと決別し、後述のCとともに行動するようになる。主役を張るならコイツ。
C:友人があまりいない一匹狼で、周囲からだいぶ浮いている。Aやその周囲のようにやたらめたら群れている奴らに興味を持たないこともありAから目の敵にされていて、なにかにつけて陰口叩かれたりヒドい目に合わされたりしている…が、諸事情で鋼のメンタルを持っているためあまり傷ついていない。とりあえずAやその周囲のことは「愚かだなぁ」と思っている。なんやかやBとともに行動するようになる。

長いからその2に続く。

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ハブ ア ウィル ―異能力者たち― 25.ヴァンピレス ⑫

「ぼくの異能力…”ヴァンパイア”は”他者の記憶を奪い取る”能力だ」
つまり、きみやヴァンピレスとあまり変わらない、と逢賀さんは目を光らせるのをやめて続ける。
「だからきみは、ぼくのアシストをしてくれればそれで良いんだ」
最後に手を下すのは、ぼくだけで十分、と逢賀さんは前を見た。
「あの子…ヴァンピレスが異能力を発現させて、人々の記憶を奪うようになってから、ぼくはずっと罪悪感を抱いてきた」
ぼくの妹のせいで多くの人が困っているのを、見ていられなかったんだと逢賀さんは呟く。
「最初は説得で何とかしようって思ってたけど全然上手くいかなくて、もうほとんど諦めてた」
でも、きみ達…ネクロマンサー達の存在を知って、ぼくは希望を持つことができたんだ、と逢賀さんはネロの方を見やった。
「きみや、その仲間達みたいな強力な異能力者がいれば、きっと彼女を止められる」
だから、ぼくの手助けをしてほしい、と逢賀さんは言う。
「これ以上、彼女によって、記憶や異能力を失う人をなくすために」
そして、きみ達自身が、安心してこの街で暮らせるように…と逢賀さんはネロの目をじっと見た。

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LINkerWorld LINearWaltz / Miraculous-Ephemeral 18

「あの子、ここにいたの⁈」
 ミラがそう訊くと、フォーは「うん」と頷く。
「じゃ、じゃあ、追いかけなきゃ!」
 「どこに行ったの⁈」とミラはフォーに尋ねるが、ここでインテが「ちょっと待ってください」と間に入った。
「ミラ一人を行かせるなんて、ちょっと危ないんじゃ……」
「いや、ミラを一人で行かせるなんて言ってないよ?」
「えっ?」
 フォーの言葉に、インテはついポカンとする。フォーは「えへへへへ」と笑った。

 一方そのころ、薄桃色の髪のリニアーワルツはディソーダーの群れの中を走りながら、迫りくるディソーダーと戦っていた。ただでさえ不気味な見た目なのに、けばけばしい色合いが余計恐ろしく見える敵を薄桃色の髪のリニアーワルツは手に持つ刀型ジェミニ・コノハナサクヤで切り伏せ続けている。小型のディソーダーたちは悲鳴を上げながらコノハナサクヤによって両断されていった。
「;***+`*:#%&(+>=)‼」
 薄桃色の髪のリニアーワルツが次々とディソーダーを倒していくと、不意に前方からつんざくような雄叫びが響く。薄桃色の髪のリニアーワルツが顔を上げると、大型のクモのような形をしたディソーダーが飛びかかってくる。薄桃色の髪のリニアーワルツはコノハナサクヤを突くような体勢で構えて、ディソーダーに向かって駆け出した。
 しかしクモのようなディソーダーは、薄桃色の髪のリニアーワルツの目の前で翅のある甲虫のような姿にばらばらと分離して、薄桃色の髪のリニアーワルツの攻撃を避けてしまう。薄桃色の髪のリニアーワルツはハッとしたように目を見開いた。

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LINkerWorld LINearWaltz / Miraculous-Ephemeral 17

「誰だかわかんねーけど、まさか……」
 パッションがそう言いかけたとき、リニアーワルツたちの後方から「みんなーっ‼」という大きな声が響いた。パッションとグリッタが振り向くと、黄緑色の短髪のコドモ——ミラが走ってきている。
「えっミラ⁈」
 驚くパッションに対し、ミラは「大丈夫だった⁈」と尋ねる。パッションは「いやそんなことより……」と言いかけるが、ここで「ミラ」と落ち着いた声が飛んできた。ミラが声の主の方を見ると、ポセイドンを抱えたインテが駆け寄ってきている。
「どうしてここに来たんです⁇」
 「基地にいるようにと言ったのに……」とインテは心配そうな表情をする。ミラは「ごめん」と謝るが、「でもね」と続けた。
「これを落としてった子が心配になっちゃって」
 「それでいても立ってもいられなくて……」とミラは手の中のキーホルダーをインテに見せる。インテは呆れたように「ミラ……」と呟くが、それを遮るようにミラは「だけど」と口を開く。
「自分はあの子を放っとけないんだ」
 「だってあの子、ペアのことを訊いたら様子がおかしかったし……」とミラは手の中のキーホルダーに目を落とす。インテは「そんなこと言っても——」と言いかけるが、ここで「別にいいんじゃない?」という声がミラの背後から聞こえた。ミラが振り向くと、弩型ジェミニ・アンフィトリテを持った紫髪のリニアーワルツ・フォーことフォーチュネイトが微笑んでいた。
「ミラは、その子のことが心配なんでしょ?」
 「なら、追いかけなよ」とフォーは笑う。
「さっきの見たことないリニアーワルツ、きっとミラが拾ったキーホルダーの持ち主だろうし」
「えっ⁈」
 フォーの言葉に、ミラは思わず声を上げた。

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LINkerWorld LINearWaltz / Miraculous-Ephemeral 16

「ま、おれとしては戦えればどうでもいいんだけどよ!」
 「おもしれーことになりそうだし?」とパッションは目の前のディソーダーにエンキドゥを突き立てようとする。だが左側から光の矢が複数飛来し、ディソーダーに突き刺さった。
「⁈」
 急に自分の獲物を取られたパッションは、驚いて矢の飛んできた方を見る。パッションの視線の先にある建物の上からは、弓型ジェミニ・ギルガメッシュを持った金髪ボブカットのリニアーワルツ・グリッタことグリッタリングが飛び降りてきていた。
「ちょっとパッション‼」
 「戦えればどうでもいいとか言わないの!」とグリッタはパッションの服の襟首を掴む。パッションは「ちょ、ちょっと」と慌てるが、グリッタは「ちょっとじゃない!」と言い返す。
「前線都市でディソーダーなんて前代未聞なのよ⁈」
 「フツーに大ピンチなの、あたしのペアならわかるでしょぉ⁈」とグリッタはパッションの襟首を掴んだまま前後に揺さぶる。パッションは「落ち着け落ち着け」とグリッタを止めようとした。しかし不意に二人はなにかの気配を感じ取り、パッと顔を上げる。
 二人の目の前には、体長数メートルほどあるムカデのようなディソーダーが頭部をもたげていた。
「……ひぇっ」
 パッションとグリッタは小さく悲鳴を上げる。ディソーダーに潰される——と二人は青ざめるが、そこへ一つの人影が飛び込んできた。
 人影は近くの建物の上から飛び降りつつ、手に持つ刀のようなものでムカデ型ディソーダーに斬りかかる。ディソーダーは悲鳴を上げてのけぞり、そのまま地面に倒れた。
「……」
 人影は地上に着地すると、刀のようなものを一振りしてから背後を見る。そこにはケンカをしていたパッションとグリッタが呆然と立ち尽くしていた。周囲のリニアーワルツたちも、ポカンとした様子でその人物を見ている。薄桃色の長髪をなびかせたその人物は周囲の者たちを一瞥すると、次々と向かってくるディソーダーたちの方へ駆け出した。
「ねぇ、あの子って……」
 グリッタが恐る恐る口を開くと、パッションは「あ、あぁ……」と呟く。

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LINkerWorld LINearWaltz / Miraculous-Ephemeral 15

 前線都市内でディソーダーの出現が確認されてから暫く。ヘスぺリデスの商店街では派手な色をした体長数メートルほどのディソーダーが、周囲に大小さまざまなディソーダーを引き連れて暴れまわっていた。ディソーダーは口のような器官から光線を放って街を破壊しつつ、ヘスぺリデスの大通りを進んでいる。基地の避難指示によって街中には人影がなく、ディソーダーが侵攻する地鳴りのような音だけが響いていた。
 しかしディソーダーの群れが大通りの交差点にさしかかったとき、群れの横から光の矢や光弾が複数飛んでくる。突然の攻撃に小型のディソーダーは悲鳴を上げてひっくり返り、大型のディソーダーは動きを止めて光の矢や光弾が飛んできた方を見た。
 交差点の角の向こう、商店街の建物の屋根の上や道路上には、華やかな容姿にカラフルな衣装を着込んだコドモたち——リニアーワルツが、弓や銃器の形をした武器——ジェミニを構えて立っている。敵の出現に気づいたディソーダーたちは雄叫びのような声を上げて、リニアーワルツたちの立つ方へ方向転換した。
 しかしそんなディソーダーの目の前に、商店街の細い横道や建物の陰から刃物や鈍器の形をしたジェミニを持ったリニアーワルツたちが現れる。近接武器を持ったリニアーワルツたちは、群れの前方に固まる甲虫のような姿をしたディソーダーに飛びかかっていった。ディソーダーたちは口から光線を吐いたり攻撃を避けようとしたりしたが、次々とリニアーワルツたちに撃破されていく。そんな中で、青い長髪をバンスクリップでまとめたリニアーワルツ・インテことインテリジェントは、三叉矛型ジェミニ・ポセイドンを振り回して小型のディソーダーたちを串刺しにしていた。
「……それにしても、前線都市内でディソーダーが出るなんて、随分妙な話ですよ」
 「ねぇ?」とインテが近くで大剣型ジェミニ・エンキドゥを振り回すリニアーワルツ・パッションことパッショネイトに話しかけると、パッションは「そうだな!」とディソーダーを斬り捨てつつ返す。

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LINkerWorld LINearWaltz / Miraculous-Ephemeral 14

「だってそのキーホルダー落としてった子、リニアーワルツなんでしょ~」
 「ペアもいるみたいだし、きっと平気だよ~」とフォーはニコニコしながら続ける。それでもミラは不安げだったが、「なによりも」とインテは笑みを浮かべた。
「ミラは、それをその子に返すんでしょう?」
 「なら、ここで待っているのが正解だと思いますよ」とインテはミラの頭を撫でる。ミラは「……うん」と苦々しく頷いた。
「じゃ、おれたちも行くかね」
 ミラとインテ、フォーの会話を見てから「早くしねーとこの街が壊されちまう」と、パッションはグリッタの方を見やる。グリッタは「そうね」と返す。
「あたしたちペアで、この街を守りましょ!」
 そう言って、パッションとグリッタはラウンジを飛び出していく。
「では僕たちも」
 「行ってきます、ミラ」と言って、インテはミラの頭から手を離した。そしてフォーとともに、ラウンジを去っていく。
「……」
 再び自分一人になったラウンジで、ミラは再度ポケットからあのキーホルダーを取り出す。照明の光にかざすと、相変わらずきらきらしていた。
「あの子、大丈夫かな」
 一人でディソーダーを軽々と倒していたとはいえ、ペアの話をするとひどく苦しそうにしていたあのリニアーワルツ。
 本当に大丈夫だろうかという思いが、ミラの中をよぎる。
「やっぱり」
 ミラはそう呟いてソファーから立ち上がる。そして、キーホルダーを力強く握りしめて、ラウンジを飛び出していった。

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LINkerWorld LINearWaltz / Miraculous-Ephemeral 13

「なぁミラ、そのディソーダーが出たところってヘスぺリデスのどの辺だ?」
 「管理官たちに報告して、おれたちが……」とパッションがテーブルに身を乗り出したとき、不意にラウンジ内のスピーカーからサイレンが流れ始めた。
「⁈」
 リニアーワルツたちが思わず顔を上げると、ラウンジの出入口から背の高い女性……ウェスト管理官が飛び込んでくる。
「大変よ‼」
 「ヘスぺリデス内で、 ディソーダーの出現が確認されたわ‼」と管理官は大声を上げた。ミラは「実は今その話を……」と言いかけるが、ウェスト管理官は気にせず続ける。
「司令官は、ヘスぺリデス基地所属の全ペアの出撃を命令したわよ‼」
 「だから訓練終わりに悪いけど、あなたたちも出撃しなさい‼」とウェスト管理官は叫ぶと、そのままほかのリニアーワルツを呼びに行くのか廊下へ飛び出していった。ミラは管理官の言葉に思わず青ざめるが、パッションの「……行くか」という言葉を聞いて我に返る。仲間たちの方を見やると、四人は既にソファーから立ち上がったり、ラウンジの出入口の方に向かったりしていた。
「……みんな」
「大丈夫ですよ」
 言いかけるミラに対し、インテは優しく声をかける。
「僕たちは、いつも通り出撃するだけですから」
 「安心してください」とインテはミラの肩に手を置いた。ミラは「だけど……」とインテの顔を見上げる。
「このキーホルダー、あの子にまだ……」
「それもきっと大丈夫だと思うな~」
 ミラの言葉を遮るように、今度はフォーが口を開いた。

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LINkerWorld LINearWaltz / MIraculous-Ephemeral 12

「街中で落とし物を拾っちゃって」
 ミラの言葉にフォーは「落とし物か〜」と呟く。
「どんな落とし物⁇」
「えっ、あぁ……こういうの」
 ミラはズボンのポケットから、先ほどまで眺めていたキーホルダーを取り出してフォーに見せる。フォーは「へー」と頷いた。
「道端に落ちてたの?」
「あっ、いや、知らないリニアーワルツにぶつかったときに落としていって……」
 ミラがそう言いかけたとき、「えっなにそれ!」とパッションが近寄ってくる。ミラは思わずそちらに目を向けた。
「知らないリニアーワルツって……ミラのペア候補⁈」
「ちょっとパッション、そんなわけないでしょう」
「えーでも知らないリニアーワルツが来てるんだろ〜?」
パッションとパッションに続き近寄ってきたグリッタはそう言い合うが、ミラは「あっでも」と声を上げる。
「ペアがいるのかジェミニを使ってたよ⁇」
 その言葉に、その場にいるリニアーワルツたちは「えっ」と呟いた。ミラは少し不思議そうな顔をするが、グリッタは「それって……」とこぼす。
「ヘスペリデスの中にディソーダーが出たってこと⁇」
「あっ、まぁ、うん」
 ミラが驚いたように頷くと、グリッタは「マジ……?」と呆然とした。ミラは「そんなに驚く⁇」と首を傾げるが、「いやいや驚くとかそういうレベルじゃねーよ」とパッションが腰に両手を当てる。
「防壁に囲まれているこの前線都市にディソーダーが出るとか、かなりヤバい状態だぞ⁈」
 「一般人に被害が出るよ……」とパッションは呟いた。ミラは「確かに」とこぼす。

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LINkerWorld LINearWaltz / Miraculous-Ephemeral 11

「ミラにデリカシーのない発言はダメでしょ〜」
「ちょ、ちょっと待てグリッタ」
 「おれそこまで言ってな……」とリニアーワルツ・パッションはグリッタと呼ぶリニアーワルツから離れようとするが、グリッタはぐいとパッションの襟を引っ張る。
「他人は意外なところで傷つくものなの」
 グリッタがパッションを睨むと、パッションは「ひぇっ」と小さく悲鳴を上げた。
 その様子をミラは苦笑いしながら見ていたが、ふと右隣を見ると紫髪でツインお団子ヘアのリニアーワルツが座ってニマニマしていることに気づく。
「フォー⁇]
ミラが不思議そうに尋ねると、フォーと呼ばれたリニアーワルツは笑顔を崩さぬまま「ミラ」と口を開いた。
「なんかあった?」
「えっ?」
 「どうして急にそんな……」とミラは驚くが、「いつもの勘ですよ」と優しげな声が飛んでくる。ミラが声の主の方を見やると、青い長髪を金色のバンスクリップでまとめたリニアーワルツがミラの左隣に座ろうとしていた。
「フォーは昔から他者の心の機微に敏感ですから」
 「ね?」と青髪のリニアーワルツが訊くと、フォーは「うん」と頷く。
「そしてインテはそんなフォーを理解してくれる」
「そうですね」
 「ラボで造られたころから、僕たちはずっと一緒ですから」とインテと呼ばれたリニアーワルツは、いつの間にか目の前のテーブルの上に用意していたティーカップにティーポットの紅茶を注いだ。ミラはその様子を静かに見ていたが、「あっ、もちろんミラもずっと一緒ですからね?」とインテは思い出したように呟く。ミラは「それはわかってる」と笑った。
「……で、なにかあったんですか?」
 「管理官たちの立ち話を聞く限り、ウェスト管理官に怒られるようなことをしたみたいですが」とインテはティーカップを手に取ってミラに目を向ける。ミラは「ま、まぁ……」と苦々しく頷いた。

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LINkerWorld LINearWaltz / Miraculous-Ephemeral 10

 前線都市・ヘスペリデスの基地内にある、リニアーワルツの居住棟にて。
 リニアーワルツたちがくつろげるように家具が設えられたラウンジのソファーに座りながら、黄緑色の短髪のリニアーワルツ……ミラは退屈そうに足をばたつかせていた。先ほどウェスト管理官の付き添いで外出をしたのに、途中で管理官の元を離れてしまった上、予定していた帰宅時間を過ぎそうになってしまったので無理やり基地に連れ戻されたのである。せっかく外出したのに予定していた買い出しができずに基地に帰されたミラにとって、あまり面白くない状況だった。
「……結局、返せなかったなぁ」
 「これ」とミラはジャケットのポケットの中からキラキラしたキーホルダーを取り出す。外出したときに出会った、薄桃色の髪のリニアーワルツが落としていったキーホルダー……返すつもりだったのにと思いつつ、ミラはそれをラウンジの室内灯にかざして眺めていた。
「……たっだいま〜‼︎」
 突然の大きな声にミラが慌ててキーホルダーをズボンのポケットの中に隠すと、ラウンジの出入り口から色とりどりの髪色とファッションのコドモたち……ヘスペリデス基地所属のリニアーワルツたちが入ってくる。そのうち大きな声でただいまを言いながらラウンジに飛び込んできた短い赤髪のリニアーワルツは、ミラの姿を見ると「おっミラじゃねぇか」と明るく声をかけた。
「台所に行ってるんじゃないのか?」
「あぁ、それは……」
 ミラがそう言いかけると、赤髪のリニアーワルツは自身のジャケットの襟を後ろから掴まれる。「うぐっ」と間抜けな声を上げる赤髪のリニアーワルツに対し、「ちょっとパッション〜」と仲間の後ろ襟を掴む者……金髪をボブカットにしたリニアーワルツは笑顔を浮かべながら眉間にしわを寄せていた。

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LINkerWorld LINearWaltz / Miraculous-Ephemeral 9

「ってことは、きみ“ペア”がいるの⁈」
 その言葉に、薄桃色の髪の人物は目を見開く。ミラは気にせず「いいなぁー、自分はペアがまだ見つからなくてさ〜」と続けるが、目の前の人物が俯いていることに気づいてハッとする。
「あれ、だいじょ……」
 ミラがそう訊きながら相手の顔を覗き込もうとするが、相手は「来ないで!」と声を上げる。過呼吸になっている薄桃色の髪の人物を見てミラは「えっ」と驚くが、相手は胸に手を当てながら「なんでもない、なんでもないわ」と自らに言い聞かせるように呟いている。ミラは暫く困惑していたが、なにか声をかけようとしたときに薄桃色の髪の人物は路地の奥へと走り出してしまった。
「あっ……」
 「待って!」とミラは追いかけようとする。しかしそんなミラの背後から「見つけたわよ!」と聞き覚えのある声が響く。ミラが振り向くと、一緒に買い出しに出かけていたウェスト管理官が駆け寄ってきていた。
「もう急に走り出さないの‼︎」
 「あとで始末書書かされる私の身にもなりなさいよ!」とウェスト管理官はミラの腕を引っ掴むと、そのまま大通りの方へツカツカと歩き出す。「あちょっと……」とミラは言いかけるが、抵抗も虚しくそのまま引きずられていった。

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LINkerWorld LINearWaltz / MIraculous-Ephemeral 8

「ていうかきみ、この街じゃ見かけない顔だけどどこから来たの?」
「……」
「なんていうか、すごくかわいい服だねそれ」
「……」
「そういえば、さっきの武器、もしかして……」
「うるさい‼︎」
 ミラが背後から一方的に質問攻めにする中、薄桃色の髪の人物は急に立ち止まって叫んだ。その言葉にミラはびくりと身体を震わせるが、「……ごめん」と少しの沈黙ののち謝る。
「この前線都市で見ない顔だったから気になっちゃって」
 「嫌な気持ちにさせてたら……」とミラは言いかけるが、言い終える前に相手は振り向いた。
「どうして、私についてくるのよ」
 薄桃色の髪の人物は冷たい目をミラに向ける。ミラはその目に一瞬どきりとしたが、臆せず「いやだって……」と苦笑いした。
「さっき助けてもらっちゃったからありがとう言わなきゃって思ったし、それに……」
「感謝なら結構」
 ミラの言葉を遮るように相手は冷たく言い放つ。
「私はディソーダーがいたから義務として倒しただけよ」
 「別にあなたを助けようだなんて思ってない」と薄桃色の髪の人物はミラから目を逸らした。その言葉にミラは「えっじゃあもしかして……」と目を見開く。
「きみもリニアーワルツ⁈」
 その声に、薄桃色の髪の人物はびくりとした。ミラは気にせず「すごーい!」と飛び跳ねる。
「だって、ディソーダーを倒せたってことはきみはリニアーワルツで、さっき持ってたのはジェミニってことでしょう⁈」
 「カッコいい〜!」とミラは目を輝かせた。相手はその姿にポカンとするが、ミラは気にせず「あ」と呟く。

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LINkerWorld LINearWaltz / Miraculous-Ephemeral 7

「ぜ、前線都市って壁にちゃんと囲まれてるはずだよね……?」
 「なんで都市の外にいるディソーダーがここに……⁈」と、ミラはにじり寄る敵から逃れるため立とうとする。しかし驚きと恐怖の余りうまく立ち上がれず、後ずさるだけで限界だった。それでもディソーダーたちは容赦なく迫り、ミラ自身も後ずさるうちに建物の壁にぶつかってしまう。
 このままでは自分の身が危ない……そうミラは思い、思わず手の中のキーホルダーを握りしめた。そのときだった。
「€;$+|”|‘=・,‼︎」
 不意に目の前に人影が飛び込んできて、手に持つ刀のようなもので目の前のディソーダーを切り伏せる。ディソーダーは不快な悲鳴を上げて真っ二つになった。それとともに周囲のディソーダーたちが目の前の人物に飛びかかってくるが、その人物はディソーダーたちを避けたり、手に持つ刀のようなものでディソーダーたちを両断していく。ミラが呆然と見ている間に、目の前の人物はディソーダーたちを全て倒してしまった。
「……」
 ディソーダーを軽々と斬り捨てた人物は、ちらと座り込むミラの方を見やる。長い薄桃色の髪の一部を桜の形をした髪飾りで結わき、桜色の官帽と軍服のようなワンピースを着たその姿は、ミラが少し前に街中でぶつかった人物と一致していた。
 ミラはそれに気づくと「あっもしかして!」と声を上げる。
「さっきお店の前でぶつかった……」
 ミラがそう言いかけると、相手はミラに背を向けてその場をあとにしようとした。ミラは「ちょっと待って!」と立ち上がる。
「どこに行くのー?」
「あなたには関係ない」
 薄桃色の髪の人物は地面に投げ捨てていたと思しき革製ケースを拾うと、手に持つ刀のようなものをしまった。ミラはその中身をつい覗き込もうとするが、相手はミラの興味を吹き飛ばすように音を立ててケースを閉じる。そしてまたツカツカと歩き出した。
 ミラは思わずその人物を追いかける。

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LINkerWorld LINearWaltz / Miraculous-Ephemeral 6

「それにしてもここ……ちょっと怖いなぁ」
 路地裏を歩きつつミラはそう言って辺りを見回す。昼間とはいえ、ひと気がなくしんと静まり返っている小道は、普段表通りしか歩かないようなミラにとって不気味に見えた。
「……」
 ミラはつい立ち止まって、手の中にあるキーホルダーに目を落とす。いくら路地裏が怖くても、先ほどぶつかった人物が落としたキーホルダーを届けなければならない……
 「だからあの子を探さなきゃ」とミラが思い直して顔を上げたとき、目の前の道の角になにかが隠れたような気がした。
「?」
 「なんだろう」と思いつつミラは角の建物に近づく。さっきの子かなと思いつつ角の向こうを覗き込もうとすると、陰からなにかが飛び出してきた。
「‼︎」
 ミラは飛び出してきた“なにか”を避けようとするが、腰を抜かして尻もちをついてしまう。その“なにか”……けばけばしい色合いで多脚の大型節足動物のような生物は、地面の上をガサガサと動く。ミラがつい辺りを見回すと、周囲の建物の壁や地面には体長1メートルほどの節足動物のような生き物が複数うごめいていた。
「こ、これって、ディソーダー⁈」
 自身の周りを囲む奇妙な生き物たちを見て、ミラはつい声を上げる。まだ戦場に出たことのないミラにとっては初めて実際に見るが、自身が生み出され戦闘訓練を受けた“ラボ”の資料や仮想訓練シミュレータの映像で何度もその姿を見せつけられてきたため多少の見覚えはあった。禍々しい見た目をした、奇怪な存在……異界における人類の敵・ディソーダーだ。

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LINkerWorld LINearWaltz / Miraculous-Ephemeral 5

 暫くの間その場に微妙な沈黙が流れたが、やがてウェスト管理官が「行くぞ」とミラに声をかける。ミラは「うん……」と再度店内に入ろうとするウェスト管理官のあとに続こうとするが、不意に踏み出した足元になにかが当たる感覚がした。
「?」
 ミラが足元を見ると、そこにはきらきらした桃色の花のキーホルダーが落ちていた。
「これって」
 ミラが思わず拾い上げてそう呟くと、ウェスト管理官が「どうした?」と振り向く。ミラはそれに答えずじっとつまみ上げたキーホルダーを見つめていたが、やがて「ウェスト管理官」と口を開いた。
「ちょっと、行ってきてもいい⁇」
 ウェスト管理官は「は?」と呟いた。

 前線都市・ヘスペリデスの路地裏。ここを1人の小柄なコドモが歩いている。黄緑色の髪のその人物……ミラキュラスことミラは、手の中のきらきらしたキーホルダーを見て「どこ行ったんだろ、あの子」と呟いた。
 というのも、ミラは先ほど街中で不思議な人物とぶつかったときに、ぶつかった相手が落としていったと思われるキーホルダーを拾ったからである。とても綺麗なものだった上、もしかしたら相手の大切なものかもしれないと考えたミラは、監視役のウェスト管理官の制止を振り切ってぶつかった相手を追いかけているのだった。

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LINkerWorld LINearWaltz / Miraculous-Ephemeral 4

「ちょ、ちょっとミラキュラス!」
 「なにやってるのよ……」とウェスト管理官は転んでしまったミラに対してツカツカと歩み寄る。ミラは「ご、ごめん……」と苦笑いするが、ウェスト管理官は「謝るならぶつかった方にしなさい」とミラの腕を引っ張り立たせた。そのときになって、初めてミラはぶつかった相手を見る。
 その人物の姿は、どこか奇妙なものだった。
 というのも、薄い桃色の長髪の一部を桜の形をした髪飾りで結わいており、桜色の官帽を被って帽子と同色の軍服のようなワンピースを着た、随分と華のある容貌をしていたからだ。ついでに背丈もそれなりにある上、革と思しき素材でできたなにかのケースを持っていて、このヘスペリデスの街中ではミラと同じくらい目立っていた。
「……」
 ミラとぶつかった桃色の髪の人物はすでに立ち上がっており、ワンピースの裾を、汚れを落とすように少しはたいている。ミラは相手の華やかな容姿にわずかな間見とれてしまったが、相手がその視線に気づいて訝しげな目を向けたことでハッと我に返った。
「あっ、さっきはぶつかってごめんなさい」
 「どこか痛くなかった?」とミラは付け足すが、相手は「別に」と目を逸らす。
「そっか」
 「ならよかった」とミラは言いかけるが、ミラが言い終える前に相手はツカツカと先ほど進んでいた方向に向けて歩き出した。「あっ、ちょっと……」とミラはつい呼び止めようとするが、早歩きする相手はあっという間に通りの横の細い道に入って見えなくなってしまった。ミラはポカンとした様子で言葉を失う。

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LINkerWorld LINearWaltz / Miraculous-Ephemeral 3

「私が通行人の道案内をしている隙に、勝手に前へ進むんじゃない」
 「トラブルにでも巻き込まれたらどうするんだ」と厳しい表情で言うウェスト管理官に対し、ミラは「えーいいじゃーん」と笑う。だがウェスト管理官はますます厳しい顔をした。
「リニアーワルツはあくまで異界開発機構が保有する、対ディソーダー戦のための戦力なんだ」
 「だから前線都市内で行動する際は、管理官の監視の下でしか行動できないと……」とウェスト管理官は言いかけるが、ミラは「えー厳しい〜」と口を尖らせる。
「自分はペアがいないから戦力外なのにー?」
「こういうときにその話を持ち出すんじゃない」
「そんな〜」
 ウェスト管理官に諫められて、ミラはついがっかりする。そんなミラを見ても「お前が勝手な行動をすれば、私も処分の対象になりかねないからな」と冷たいことをウェスト管理官は言い、ミラに「ほら、突っ立ってないで」と声をかけた。
「訓練中の仲間たちのために焼き菓子を作るつもりでいたんだろう?」
 「店にさっさと入るんだ」と管理官はミラの肩に手を置いて、店内へ入ろうとする。ミラも「うん」と頷いてウェスト管理官に続こうとした。
 しかし急に歩道を通りに沿って走ってきた人物にぶつかりそうになってしまう。ミラは相手を避けようとしてよろけて尻もちをつき、相手も前方へ転んでしまった。

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LINkerWorld LINearWaltz / Miraculous-Ephemeral 2

 しかし、この鼻歌を歌うリニアーワルツ・ミラキュラスことミラは少し事情が違う。というのも、このリニアーワルツは十分戦える状態であるはずなのに、ペアとして適合するリニアーワルツが見つからないのだ。
 リニアーワルツは生み出されると異界開発機構の上層部が保有する高度なAIによって膨大な組み合わせシミュレーションが行われ、その予測結果の中から一番戦闘において相性がいいと考えられる相手とペアを組ませられる。だがミラは、この組み合わせシミュレーションでもペアとして適性の高いリニアーワルツがあまり見つからず、結局”有事の際の予備“という名目で生み出された基地のある前線都市・ヘスペリデスにい続けているのだ。そのため、基地内ではペアのいないミラを“戦力外のお荷物”として邪険に扱う者も少なくない。しかしながら、ミラはそのことをあまり気にせず、ペアが見つかるまでのんびりと待機の日々を送っているのだった。
 そうこうしているうちに、ミラは小さな商店の前で立ち止まる。小さいながらも小綺麗なその店には、“MARUS GROCERY”という看板が掲げられていた。
 ミラは看板を確認すると、店の自動ドアに近づこうとする。しかし背後からの「おい」という鋭い声に呼び止められて、くるりと振り向く。そこには背が高く、ヘスペリデス基地で働く職員の制服を着た女が立っていた。
「どこへ行っていたんだ、ミラキュラス」
 睨みつけてくる女に対し、「あ、ウェスト管理官」とミラは間の抜けた声で返す。ウェスト管理官と呼ばれた女は「お前なぁ…」と呆れた。

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LINkerWorld LINearWaltz / Miraculous-Ephemeral 1

「……ふんふふ〜ん」
 午後の暖かな日差しが辺りを照らす異界の前線都市・ヘスペリデスには、商店街がある。資源獲得のために開発が進む異界で働く多くの人々の生活を支えるため、人類の生まれた世界から決して少なくない数の人々がやって来ては、人々の生活に必要な仕事に就いているのだ。その業種は多岐に渡り、小売業やサービス業、運輸業……と人類が生まれた世界と同じように人々は働いている。異界の開発の拠点だけでなく、異界で働く人々を支えるために前線都市が存在していた。
 そんな街の商店街の大通りを、のんきに鼻歌を交えながらスキップしている奇妙なコドモの姿があった。
 そのコドモは短い黄緑色の髪に緑と赤のベレー帽を被り、黒いシャツに緑と赤のネクタイを締めた上に緑のブレザータイプジャケット、緑と赤のストライプ柄の膝丈ズボンを身につけて、足元は白い膝下ハイソックスに黒い革靴を履いている……といったいで立ちだ。
 パッと見たところは人間のコドモのそれだが、この華やかな容姿は本来であれば見る者に違和感を生じさせるはずである。しかし、ヘスペリデスの街中を行く人々は誰も気に留めない。なぜなら、このコドモは異界で働く人々や前線都市を、謎の敵・ディソーダーから守るために生み出された特別な存在——リニアーワルツだからだ。
 異界を開発する過程で人類や前線都市を襲撃するようになったディソーダーへの対策のため、異界開発の中心的存在・異界開発機構が生み出したこのヒト型存在は、二対一組で造られる合体・分離兵器……ジェミニを使いこなし、相性のいいリニアーワルツとペアを組んで前線都市の外へ戦いに赴くことが任務となっている。人々や前線都市を守るリニアーワルツたちは、異界で働き暮らす人々にとって自分たちを守ってくれる”英雄“であった。

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墓想造物茶会 あとがき

どうも、テトモンよ永遠に!です。
「休日中に〜」と言いつつ月曜日になっちゃったけど、「墓想造物茶会」のあとがきです。

今回のエピソードは前日譚である「緋い魔女」「緋い魔女と黒い蝶」が、どのようにして「造物茶会シリーズ」の時間軸に繋がっていくのかが明かされた回でした。
「造物茶会」の構想初期(高校生のとき⁈)から考えていたエピソードなので、やっと形にできてよかったです。
でも構想段階で細部を詰めきれていなかったこともあり執筆は大変でした(時間もめっちゃかかった)。
お陰で投稿回数40オーバーの長編になってしまったし、荒削りみたいなところもあるけれど、結構いい感じかなと思います。

というわけで、裏話はこのくらいにして。
次のエピソード(造物茶会シリーズ第13弾)の執筆はあまり進んでいないけれど、今年度中に物語が一応終わる気がするのでどうぞこれからもお付き合いください。
あと「ハブ ア ウィル」の25個目のエピソードがやっと出来上がったので、とても長くなりますが楽しみにしておいてくださいね。
これから忙しくなる気しかしないので、今後もここでの投稿を続けられるか心配だけど、これからもよろしくお願いします。

ということで、あとがきはここまで!
テトモンよ永遠に!でした〜。

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墓想造物茶会 Act 41

「じゃ、なんで保護者のじいさんのところに帰らなかったんだよ」
「うっ」
露夏に聞かれて、ナツィはついうろたえた。
どうなんだよお前〜と露夏に顔を覗き込まれて、ナツィは少し嫌な顔をするがやがて…嫌だったんだよ、と呟く。
「ばあさんの墓参りに行くの」
ナツィがそう言ってそっぽを向くと、露夏はな、なるほど…?と首を傾げた。
「恥ずかしいのか?」
露夏がそう尋ねると、ナツィはいやそうじゃないしと呟く。
「やっぱり、いない人のことを思うと悲しいし…保護者に優しくされるのがちょっと嫌だから…?」
「なんだよそれ」
ナツィの言葉に、露夏は低い声で返す。
「お前、身近な人との時間は大事にした方がいいと思うぞ」
お前は人間より長生きしちゃうんだろ?と露夏は腰に手を当てる。
「だから、保護者の爺さんとの時間は大事にしろ」
じゃないと後悔すんぞ、と露夏はナツィの目をじっと見た。
「…でも、ちょっと一緒に行くの恥ずかしいし、気まずいし」
「お前は反抗期か」
「でも…」
「でもじゃない」
言い訳を連ねるナツィに露夏は呆れるが、ふとかすみがあ、と呟く。
「ナツィ…こうしてみたらどう⁇」
かすみの急な提案に、ナツィは目をぱちくりさせた。

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墓想造物茶会 Act 39

「結局、“事情”っていうのは…」
「うぐっ」
ナツィは驚いたように顔を上げる。
「確かに話の核心まで辿り着いてないな」
「おばあちゃんが大事なのはわかったけど…」
露夏とキヲンもそう不思議がる。
「あらあら、気づいたら話がだいぶ逸れちゃったじゃないの」
ピスケスはそう茶化すようにナツィの顔を覗き込む。
ナツィはべ、別にこの話も重要なんだし…と恥ずかしそうにそっぽを向いた。
「で、ナツィはどうして構ってほしくないなんて言ったの?」
教えてほしいな、とかすみはナツィに少し近づく。
ナツィはかすみを見て少し顔を赤らめるが、すぐに顔を逸らしてこう答えた。
「それは…その、やっぱり誰かを失うのが怖いから、かな」
うん、とナツィは頷く。
「だって、俺は特別な存在だから人間や他の人工精霊より大事にされるし、それで大事な人たちより長生きしちゃうから…」
大事な人たちは、みんないなくなっちゃう、とナツィは両手の人差し指を突き合わせながら続ける。
「それで昔の大切な主人も、俺を外へ出してくれたばあさんも、いなくなっちゃったから…」
そ、その、とナツィはしどろもどろになり始める。
その様子を仲間たちは不思議そうに見ていたが、かすみだけはナツィの隣にそっと移動してナツィ、と呼んだ。

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墓想造物茶会 Act 38

「なんで…」
「あのおばあさんは病気だったのよ」
急にピスケスが話に割り込んできたので、ナツィの話を聞く3人はそちらに目を向ける。
ピスケスは淡々と続けた。
「ナハツェーラーを引き取った時点で、あのご夫人はもう先が長くなかった」
それでも引き取ったのは、あの夫妻には子どもがいなかったからみたいなんだけどね、とピスケスは呟く。
「最期くらい、子どもがいる生活を送ってみたかったのでしょう」
それでコイツと暮らすことを選んだ、とピスケスは足元に座り込むナツィを見下ろす。
ナツィは膝を抱えて黙っていた。
「それじゃ、ナツィは…」
「アイツはもう先が長くないこと、俺に黙ってたんだ」
入院したときだって、すぐ帰るって言ってたのにとナツィはこぼす。
「それなのに、アイツはいなくなってしまった…」
ナツィは抱えた膝に顔を埋める。
「それに、アイツだけじゃなくて、俺の保護者…あの爺さんも、俺にアイツの先が長くないってこと、黙ってたんだ」
だから裏切られたみたいで、俺は…とナツィは消え入りそうな声で続ける。
仲間たちはナツィの昔話を聞いて、つい沈黙する。
ナツィは膝に顔を埋めたまま震えている。
誰もが続ける言葉を見つけられずにいる中、ふとかすみがねぇ、と尋ねた。

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墓想造物茶会 Act 37

「ナツィのところにおばあちゃんがいること知ってた⁇」
「いや、知らないけど…」
ピスケスは知ってたの?とかすみがピスケスに目を向けると、まぁそうねとピスケスは口元を手で隠しながら答えた。
「…で、話に戻るんだけど、俺は当時誰かに引き取られるのがすごくどうでもいいことだった」
だって引き取られたって俺は貴重品扱いで自由も利かないし、なにより人間が嫌いだしとナツィは足元を見る。
「だから俺はアイツらに引き取られてこの街に来ても、ずっとアイツの家にいるつもりでいたんだ」
でも、とナツィは自らの足先を見つめた。
「あの婆さんは、俺を外に引っ張り出した」
アイツは俺がずっと家の中にいるのはよくないと思ってたみたいだし、なにより俺を人間のコドモのように扱っていたんだ、とナツィは続ける。
「俺は人間が嫌いだから人間みたいに、ましてやコドモ扱いされることなんて嫌だったのに、アイツは俺を何度も外へ連れ出した」
そしてそのうち、俺もアイツらに気を許すようになったんだとナツィは呟いた。
「でも、アイツは…死んでしまった」
不意にナツィがそう呟いたので、キヲンは、えっと声を上げ、かすみや露夏も驚いたような顔をする。

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