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LOST MEMORIES ⅡCⅩⅢ

新しい道が色々と見えてきた。それがチャールズと瑛瑠の関係に当てはまるかは別として、選択肢が増えたことで拓けた気になる。
チャールズに話した、イニシエーションについての考察――何らかのプロジェクトなのではないか――を英人に話してみた。
瑛瑠が話終えたあと、英人は口を開きかけたのだが、
「そういえば、英人さんは成人してらっしゃるんですよね?」
今までの話とは何の脈絡もない振り方に、口をつぐんで目を少し見開いた。
「そうだが。」
「それでもなお、イニシエーションと言われてこちらへ送られたのですか?」
「ああ。」
事も無げに言うその様子に、瑛瑠はどう返したものかと閉口する。
「何かこう……なかったんでしょうか。不安や疑問など。」
当初、チャールズを質問攻めにした記憶がよみがえる。それは今も変わっていないかもしれないけれど、英人が素直に従ったのだろうか。
「僕は聡いから。」
そう言ってコーヒーを飲む。面白そうに言う裏にはからかいが見てとれて、瑛瑠は少しむっとする。
「さすが、大人は違いますね。」
嫌みに対して苦笑いを返される。
「僕は、10年前の記憶が多少残っていたんだ。何かあるなとは思っていたし、文献も漁った。それをふまえて、従ったんだ。」

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花が咲く頃に

彼女の後ろ姿はもうそこにはない。カラッとドアが開く音がしてそっちの方へ視線をやる。僕はベットになんかしんないけど座ってるからカーテンを開けドアの方人の影がある方へ目をやる。そこには隣のクラスの人がいた。「あの。。。一年B組の野々山です。」彼女は恥ずかしそうに僕の方を向いた。なぜか彼女の言葉を思い出した。「君はモテるからね。」なんで?わからない。モテるとか告られたこともない。付き合ったこともない。人を好きになった事もない。なぜ?「あの。。。ずっと前から。。。あなたのことが好きでした!」「。。。え?」え?僕は今なにを言われた、、?告白された?分かっているけど思考が追いつかない。「え、あっどう、して?」デリカシーがなかっただろうか。でも口をつぐむことはできなかった。「そ、れは!こんな私に優しくしてくれて、嬉しくて、、!きになっ、ちゃって。。。気づいたら、す、きだったんです、」なんで?野々山さんは行事の時に関わった程度。しかもたった一ヶ月だぞ?僕がおかしいのか?「えっ、と、ありがとう。?
ただ今君とは付き合えないかな、、。ごめん」なんとか答えた回答それが僕の回答。うまく思考が回らなかった。
「そう、ですか、、やっぱ私なんかじゃ無理ですよね!ごめんなさい!それじゃ!」そう言い切った野々山さんはの瞳からは涙が流れていた。。。彼女はとても可愛い感じの人ででも自己評価は低い人だ。不思議な人だと思ってた。ただそれだけ。彼女は違ってた。僕を好きだったのだ、それは今考えてもわかんない。でも彼女と僕が付き合うのはなんか違う気がしてしまった。なぜ?わからない?「あーっ、、、!くっそっ、、!わかんねーよ、、」と小さく呟いた僕の声はお昼休みの騒がしさで消されて言った…

「鈍感でしょ、君は、、さ、、。これじゃ勝ち目ないじゃん、、」
私はそう保健室前のドアで呟いた。


こんなにも君が愛おしくて溢れ出しそうな気持ちはなんだろう。

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LOST MEMORIES~番外編Ⅱ~

真っ先によぎったのは、何かあったなという確信だった。
いつもより早い時間に帰宅する瑛瑠は、制服を着替えず、リビングのテーブルに大量の紙を重ねあげていた。スカートのひだが崩れるのもお構いなしに座っている。
チャールズは彼女へ、とりあえずお帰りなさいと声をかけた。
「今日はどうなさったんですか。」
乾いたホチキスの音が響く。
ただいまと言った彼女は顔を上げずに、友人の手伝いだと話す。
「あまりに忙しそうだったから、手伝いを申し出たの。書類とじなのだけれど。」
チャールズはすっかり慣れた手つきでコーヒーを入れる。そして、いつもより覇気のない、愛しいその声に耳を傾けた。
「みんなと一緒にやろうと思ったんだけど、教室も図書室も使えないから、これを借りて家でやろうと思ったの。」
ホチキスをちらつかせた瑛瑠の声は、やはりいつもより暗くて。
彼女が帰宅してから、やっとかち合った瞳。
ああ、もう。彼女も、こういう顔をする子だ。
チャールズは2つのコーヒーカップを、離れたい位置に、丁寧に置いた。書類にかかってはいけないから。
そして、後ろから瑛瑠をふわっと包み込む。瑛瑠の体が強張るのを感じた。
違う、怯えさせたいわけではない。
「ち、チャールズ!?」
「珍しく感傷的みたいですね。」
驚いたことで悲鳴に近いものをあげる瑛瑠に、努めて茶化すように言う。
その顔を見るのは辛い。どうか、笑って。
瑛瑠の体から、力が抜けたように感じた。瑛瑠を包み込むその腕に、少し笑って彼女は手を添える。
「ちょっと寂しかった。ずっと独りだったはずなのにね。」
胸が締め付けられる想いだった。思わず顔が歪む。
さて、そんなことはいさ知らず、瑛瑠は顔を上に向け、チャールズの瞳を見つめてくる。
「ね、ぎゅってしてもいい?」
悪戯っぽいその眼に苦笑する。そういうところだと言いたい。
どうぞという返事に、彼女は嬉しそうに、そしてはにかむように微笑んで、照れ隠しの意味もあるのだろうが、立ち上がると勢いよく抱きついてきた。
あったかい。くすりと笑って放たれた言葉に、既視感を覚える。
ほら、スカートにはすっかり皺がついてしまっている。
願わくば、彼女が笑顔でいられますように。
自分の罪を贖う術を想いながら、今度はぎゅっと抱き締めた。

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LOST MEMORIES ⅡC

「さて、可愛いお顔が台無しのお嬢さま。」
はっと顔を上げるも、言葉の意味を飲み込んでむっとする瑛瑠。
「どうせ私はあなたほど女性を絆すような顔はできませんよ。」
「こら。」
そう言いつつも、チャールズは輝き割り増しの微笑みで続ける。
「その事に関しては心配無用です。お嬢さまは自覚がない分さらにたちが悪いので。
――それよか、明日のデートは何を着ていくんです?」
すごく失礼なことを言われた気がするが、流しておこう。
デートではないけれど。
立派なデートです。
不毛なやり取りを交わして瑛瑠は尋ねる。
「誰かと出掛けるときは、どんな服を着たらいいの?」
さて、万能人チャールズの出番である。
「お任せください。」
恭しくお辞儀をしたかと思えば、リビングから出ていってしまった。
瑛瑠は考える。
コーディネートしてくれるのだろう。クローゼットを開けるのは必須。とすると、部屋に入るのも必須。
何もないけれど。何も、ないけれど。
「ちょっとチャールズ!?待って!」
看病時は特例だ。慌てて瑛瑠も立ち上がるが、チャールズは既に姿を消している。
顔を赤くした瑛瑠が部屋に入り、仕事の早いコーディネーターの並べる服を見て驚くという一連の流れまで、あと5秒。

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LOST MEMORIES CⅧⅩⅥ

瑛瑠は気づく。彼の知るエアヒューマンが、その女性なのだ。そうだとわかると、その代名詞でも納得できる。
では、なぜ身を強張らせたのだろう。
「そのエアヒューマンの彼女と、何かあったの?」
ビンゴ、だ。
無意識なのか不可抗力だったのか、先程の台詞はどうやら瑛瑠に聞き取ってもらおうと思った言葉ではなかったらしい。相手が瑛瑠だということもあるのだろう、あからさまに顔を歪めるようなことはしないが、この表情の意はわかる。拒絶だ。
しかし、自分の言葉には責任を持っていただきたい。
言葉を口にするより、はるかに音声として入ってくる方が不可抗力だ。
こうなったら聞いてみたいと思ってしまうのは仕方がないと思う。
歌名を思い出しながら、チャールズに訊ねる。
「素敵な方だったんでしょうね。やっぱり、高校の時の同級生なの?」
ついでに、その頃の情報が掴めればいい。そう安易に思った。
しかし、この後瑛瑠は後悔する。もう少しちゃんとチャールズの表情を読み取れていたら。これまで、あえて避けるようにしていた理由を少しでも考えていたら。
「本当に素敵な方でしたよ、エアヒューマンの彼女は。そして、お嬢さまのおっしゃる通り、10年前の同級生です。」
そして、チャールズは哀しそうに微笑んで、こう紡いだ。
「私は、彼女を殺しました。」