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「深夜の珈琲占い」について。

リンネ「いやぁ、中々に長かったねぇ!やっと完結だよ!」

ミル「続きあるらしいですけどね。てか、『長かった』って、568歳の貴方が言うんですか。」

リンネ「おーっと、ちょっと黙り給え。それ以上言われると、私、君を杖で撲殺しかねないよ?」

ミル「やめてください本当に!ごめんなさい!」

リンネ「まぁ善いか、次は無いよ。」

ミル「はい...。」

リンネ「と言うか、よくこんなに続いたねぇ。『魔術師と派手な戦闘場面がかきたい!』って言うやたろうの欲望の塊から生まれた作品なのに。」

ミル「欲望の塊って...まぁ、だから続いたんじゃないですか?」

リンネ「おお、君も言うようになったね。」

ミル「ところで...何でやたろうさんは来てないんですか?」

リンネ「あ、あんな奴に敬称なんて付けなくて善いよ。やたろうなら、『糞真面目な堅い文になるし、そもそも後書き書く才能も根性もないので寝ます!』って。」

ミル「...それでよく小説書いてますね...。あと、何かどっかで似たような事言ってた気が...。」

リンネ「ま、いいんじゃない?本人はそれで善いみたいだし。」

ミル「そうですか...。」

リンネ「そんな訳で、続きが出る事になったよ!」

ミル「唐突ですね。」

リンネ「多分一月迄に出ると思うから、宜しくね!」

ミル「雑!」


「深夜の珈琲占い」にお付き合いくださった方々、有り難う御座います。また、この小説は「ぼくのわたしの主従関係」の企画参加で書かせていただきました。続編も、一月迄に執筆予定ですので、暫しお待ち下さい。沢山のレス、反応、有り難う御座いました。
これからも宜しくお願いします。

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横暴狩りのキャラクター紹介

・日和
異能:無生物の支配者
今回は裏で頑張ってました。描写が無かっただけです。2人ほど礼儀知らずをボコボコにしてたのです。手下(※みっちゃん)を(文字通り殺しても死なないので)平気で死地に向かわせる(敵に対しては間違いなく)冷血無慈悲の愚(※諸説あり)王。

・湊音
異能:時間の干渉者
今回は主人公。日和が後見している数々の異能者の中で、唯一彼女が積極的に絡みたがる異能者であり、また唯一日和を『女王』として持ち上げている。
干渉者級という弱い能力であるにもかかわらず、一瞬で意識を刈り取るか意識が無い時に即死させるかでもしない限りほぼ不死身というすごくすごい能力なので、ひぃちゃんでもうっかり死にかねない危険な現場には彼が出向きます。
最近はひぃちゃんに倣って上位存在しぐさも様になってきた。

・刃の青年
異能:刃の指揮者
問題児その1。異能は手足の振りが斬撃に変わるというもの。指揮者級であることで、その射程は数mほどにまで伸びている。多分数人やってる。

・イグアナの子
異能:イグアナの干渉者
問題児その4。異能はイグアナを周囲に勝手に寄ってくるというもの。彼女に触れたイグアナは彼女を守ろうとする。ちなみに繁殖スピードが数倍になる。覚悟の足りない飼育者が逃がしたイグアナがこの子の異能によって加速度的に増えていてちょっと大変なことになってます。

・落ちてきたイグアナ
イグアナの子の異能によって呼び寄せられ、ドームの一部になっていたイグアナのうちの1匹。うっかり落ちてきてみっちゃんを気絶させかけた。
今回一番湊音を追い詰めた存在。

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視える世界を超えて エピソード1:鬼子 その④

「え、種枚さん……?」
「いやァっははははは! ごめんね、君があんまり無知なものだから!」
種枚さんはなかなか歯に衣着せぬ言い方をしてくる。
「良いかい、君? 『霊感』とは、文字通り五感で霊体に干渉する能力だ」
こちらの胸の辺りを、やけに長く尖った爪の生えた指でつつきながら、種枚さんは言葉を続ける。
「霊体を感知する。それだけならそれは霊感でも何でもない。奴らの存在を知っているなら、誰にでもそのくらいできるものさ」
言いながら、種枚さんは親指で彼女の後方を指差した。
そちらに目をやると、さっき遭遇したあの巨大な人影が、物凄い勢いでこちらに突進を仕掛けてきているのが見えた。
「いやァ、思ったより早かったね。腕を1本奪ったのに……良いかい君」
自分を庇うように、種枚さんはあの人影に向けて一歩踏み出した。そういえばよく見ると、ハーフパンツから伸びた彼女の足は、何も履いていない素足のままである。
「霊感ってのは『こういうの』のことを言うんだ。覚えておきな」
彼女が僅かに重心を前に傾ける。瞬間、その姿が『消えた』。
人影は勢いそのままにこちらに突進してくる。種枚さんはどこに消えたのか。目だけを動かし探していると、すぐに彼女は見つかった。

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ファンタジーの設定だけ置いていこう:火薬銃

この世界の銃器は大きく2種類に分かれる。
一つは魔力を弾丸に変換して撃ち出す魔力銃。そしてもう一つが、現実に存在するものとほぼ同じ、火薬を利用して弾丸を発射する火薬銃(別名に非魔力銃ともいい、敢えて2分類に入れる場合は空気銃などもこちらに分類される)。

魔力銃は込める魔力の量やバランスを調整することで、威力や弾速を調節することが可能。また、弾薬を必要としないという点も長所である。
代わりに調節に時間と思考を割かれるため上級者向けであることや、使用者の魔法適性が大きく影響してくるため、使い手を選ぶなどの短所もある。

これに対して火薬銃は、一定の威力でしか出力されない上に弾薬を必要とするため物資を圧迫する代わりに、所有者の能力値に拘らず高い威力を発揮し、また非魔法武器であるため魔法耐性や魔力無効などの防御を無視してダメージを与えることができる。
かつて戦術・戦略が魔法に大きく依存し、魔力がその者の価値とさえ捉えられていた時代、魔力感知・対魔法障壁の影響を受けない火薬銃を用いる射撃兵奇襲部隊が活躍した事件は有名。

ちなみに成立は火薬銃が先。保有魔力の高くない者でも魔法職と同等の射程と威力で戦えるようにと開発され、改善と多様化を繰り返してきた。
この火薬銃を基に、魔法職の者が詠唱などの手間を無視して素早く攻撃に転じることができるように開発されたのが魔力銃。

また、かつては火薬銃の威力や弾速を魔力によって制御・強化する半魔法銃が考案されたこともあったが、魔力銃を使用できるほどの魔力がある者にとって火薬銃を使う利点は特に無く、火薬銃を使う者にとっては魔力による操作が余計な手間となったため、実用化には至っていない。個人で開発している者がいる可能性は十分ある。

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ファンタジーの設定だけ置いていこう:遠釣り

水棲の魔物を討伐・捕獲するための技法の一つ。

「釣り」と名につくように、大型の釣竿を用いて行う。

対象が生息する川や海、湖などの水際から最低数m~最大数十m離れた位置から釣り糸(対象のサイズやパワーによってはこれが金属製のワイヤーになるが、その場合も「釣り糸」と呼ばれる)を投げ、対象を地上に引き上げることで行動能力を低下させ、討伐したり生け捕りにしたりする。
この過剰なまでに取られる距離の目的は、対象を引き上げ戦闘する空間の確保、また対象に力で劣る場合に引きずり込まれるまでの時間を稼ぎ対応するためである。

また、この狩猟法は必ず2人以上で行わなければならない。
1人は竿を保持し、釣り上げる役割(「釣り手」と呼ばれる)。
そしてもう1人は、釣り手の横で望遠鏡や高台などを利用して水面の様子を観察し、釣り手が仕掛けるタイミングを指示する「観測手」。観測手を置く理由は、仕掛けの浮かぶ水面との角度と距離のために、釣り手からは目視確認が困難なこと、また基本的に大型の魔物に対して行う技法のため、釣り手は引き上げだけに集中すべきであることなどにある。
人手が足りている場合は、針投げ(最初に釣りのための仕掛けを水面に投げる役割の人員。また、仕掛けを投げる行為そのものも指す)、釣り手補佐、戦闘員などもう少しサポート要員を増やしたりもする。

ちなみに、針投げのスタイルにもいくつかの種類があり、地面・水面に対しほぼ水平に投げる「線投」、30~60度程度角度をつけて斜めに投げ上げる「純投」、水際近くで放ってから走って距離を取る「放走」、跳躍や踏み台など高低差を利用してやや下に投げる「降投」、弩型の専用器具を利用し機械動力で発射する「射投」などが知られている。

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視える世界を超えて エピソード1:鬼子 その②

人影が遂にその手を宙に持ち上げ、自分の顔に触れようと伸ばしてきた。あと数十㎝で奴の手が届くかというその時。
「やめとけよ化け物」
男声とも女声とも取れない、中性的な声が背後から聞こえてきて、影の動きも止まった。反射的に振り返ると、街灯に照らされて1人、誰かが立っている。
オーバーサイズのパーカーで顔と体型は隠れていて性別は分からないけど、自分より少し身長の低い、多分結構若そうな……。
「ほら、そっちの君。早く逃げなよ。『それ』、結構危ない生き物だよ?」
『誰か』は人影を指しながら悠然と歩いてこちらに近付いてきた。
「……何ぼーっとしてるんだよ。仕方のない奴め」
『誰か』は自分の横を通り過ぎ、人影の前で立ち止まった。
何をするのか見つめていると、動きが止まったままの人影の腕に手をかけた。
「なァー頼むよ、ここは私の顔を立てちゃくれないかね?」
人影は『誰か』の問いかけには答えず、空いたもう片手を伸ばしてきた。
「へえ、そうかい」
『誰か』が、人影の腕にかけていない方の腕を素早く振った。その瞬間、人影が今伸ばしてきていた腕が切り落とされたように、ぼとり、と地面に落ちた。
「ほら君、まだいたの。逃げるよ」
『誰か』はそう言って、自分の手を掴んで人影のいるのと反対側に走り出した。

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横暴狩り その⑧

イグアナ・ドームと格闘しつつ数分ほど待っていると、土くれ小人が数体組で引き返してきた。その手には長さ60㎝ほどの木の枝と軍手が1双携えられている。
「おやありがとう、素敵な気遣いまで」
軍手を履き、木の枝を手に湊音は再びイグアナ・ドームに相対した。
まずイグアナの1匹の頭を、枝で軽く突く。すると、別のイグアナが枝に素早く噛みついた。
(よし来た。さて、釣れるかな……)
イグアナが木の枝を放そうとしないのを確認してから、それを慎重に手元へ引き寄せる。やがて前肢がドームから離れ、あと一歩というその時、枝に更に重量がかかった。また別のイグアナ数匹が、持ち上がりかけていたイグアナを捕まえているのだ。
「……君たち、随分とこの『壁』を壊したくないみたいだね。中の人がよっぽど大切なのかな?」
枝を引く力を僅かに強め、片手が届く距離まで引き寄せてから、枝を咥えていたイグアナの頭に触れる。
(この枝にガッチリと食らいついた、その瞬間を『固定』した)
「これで君はもう……」
枝を勢い良く振り抜くようにして、イグアナを『釣り上げる』。
「離れられない」
枝を噛んでいたイグアナが引き上げられるのに巻き込まれ、他の数匹の個体もドームから弾き飛ばされた。

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横暴狩り その⑥

「小人くん。小人くん? いるかな?」
路地から大通りに出て、歩きながら人通りの減ったタイミングを見計らって湊音が呼びかけると、足下に土くれ小人が駆け寄ってきた。
「次の子のところまで案内してくれるね?」
小人は敬礼を返し、飛び跳ねるように湊音を先導し始めた。
(二人目は……何だっけ、何かの爬虫類が異能の対象だったと思うんだけど……。何か、随分珍しい生き物『だけ』が対象だったせいで、その印象しか頭に残ってないや)
土くれ小人が通りを外れ、2棟のあまり高くないビルの隙間に入り込んでいった。湊音はそれを一度は見逃したものの、姿が消えたことに気付いてからすぐに異能を発動して過去に遡るように捜索し、どうにか小人に追いついた。
(いやぁ危なかった、考え事しながら歩くのは危険だね。…………たしか干渉者級の異能者だったはず。どんな問題を起こしているのか、ひーちゃんは教えてくれなかったけど……まあ、さっきの子より恐ろしくは無いかな……)
考えながら歩いていると、頭上に重量物が落下、衝突してきた。気絶する直前に過去干渉を使い、回避しつつ落ちてきたものを両手で受け止める。
「…………あぁー、なるほどね」
黄緑色の鱗、縞模様のある長い尾、太く頑丈な肉体、背中に並ぶ独特の棘状のクレスト、若いながらも既に全長約1mはある大型爬虫類、グリーンイグアナだった。
「思い出した。次の子は『イグアナの干渉者』か」

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「とある小説について。」について

蘭「と言う訳で第一部は無事閉幕だねぇ。」

優「マジで、何で第一話から痛い台詞回しで殺されてるんだよ俺。」

蘭「善いじゃん。ちょっと面白かったよ、あれ。」

優「うわ、最悪。マジで最悪。散々な目にしか合わねぇじゃん。何でだよ。俺なんかしたか?」

蘭「まぁ特定のキャラに散々な目に合わせるのは作者の十八番だからねぇ。」

優「なんつぅ十八番だよ。酷えな。人間性皆無か。人間失格だよあいつなんか〜!!」

蘭「と言うかこう言うのって、普通作者がやるもんじゃないの?」

優「何だ、それなら『駄目人間は大人しく布団で寝てます、と言うか自分の作品についてとか書きたくない!』って言って引っ込んだぞ。」

蘭「ごめん、もしかしてやたろうって馬鹿なの?破滅的だよ?」

優「やめてやれ、本人曰く『馬鹿だけど廃人ではないつもり』らしいからな。」

蘭「先刻やたろうに『人間失格』って言ったのにその口が言うか。」

優「ゔっ...!」

蘭「兎に角、明日から第二部【とある小説と猫】開幕です!」

優「あっこいつ良いとこ持ってきやがった!」

蘭「是非ご覧ください!」

優「こいつ...まとめよる。」

「とある小説について。」沢山の反応、レス、ありがとうございました。明日から第二部「とある小説と猫」を投稿予定です。これからも宜しくお願いします。

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横暴狩り その⑤

「…………ふむ」
湊音はしばらく考え込んでから、膝をついて青年と視線を合わせた。
「どう? 怖い?」
「な……が……」
「動けないでしょ。膝をついたその瞬間から、君の時間はもう進まない。『その過去』を固定したから。そういう能力。たしかに君の異能はかなり強かったけど、君はそんなに強くなかったね。3回やり直すだけで抑え込めた」
「ッ……! 俺、が……弱い……だと……⁉」
小刻みに震えながら言葉を絞り出す青年を、湊音は少し驚いたように眺めていた。
「ん……たしかに僕の異能は干渉者級だからそこまで拘束力は強くないけど……前言撤回、君自身も決して弱くはな」
青年の両腕が振るわれ、湊音の胴体が輪切りにされる。
しかし、再び異能が発動し、湊音は青年の背後に回り羽交い絞めを決めていた。
「4回目かぁ……しかし、君も分からない人だなぁ」
青年の耳元に顔を近付け、湊音は囁くように語り掛ける。
「僕は『時間の干渉者』だ。たしかに直接君を傷つけることはできないけれど、君の身体の自由は既に僕の手にある。わずかな擦り傷でも負ってみろ、僕の異能でその瞬間を『固定』すれば……どうなるか、予想できるね?」
数秒遅れて、青年の顔が青ざめた。
「ふふ、分かってくれて嬉しいよ。これに懲りて、あまりお痛をしなくなってくれると嬉しいな。僕が仕える“無命女王”は、僕なんかより何倍も強いし、僕よりもずっと容赦無いからね」
既に異能を解除しているにも拘らず動けないでいる青年の頭を一度優しく撫で、湊音はその場を後にした。

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夜明けまで65時間-ナイトMORE〜

「くそっ、いつになったら夜は終わるんだ。」
壁を蹴りながら蒼衣(あおい)は吐き出すように言う。
最後の日没から実質時間約96時間。蒼衣は今の時代珍しくない異能者の1人だった。蒼衣の能力は、いや、まだ言わないでおこう。ただ異能者でありながら夜が明けるのを待つしかない、いわゆる一般人と同じなのだ。
紗衣華(さいか)、今のところ世界で最後の異能者と言われている。夜明けを取り戻そうとしている、、はずだが。「けっ、何もがいてんだ」まあ紗衣華はこういうタイプである。
「紗衣華さま、お客様です。」
「分かりました。今、行きます。」
そこで待っていたのは蒼衣だった。
「うわっ、何その汚らしい格好。」
「おい、紗衣華と言ったな。ちょっと来い。」
蒼衣が向かう先は悪喰(あくい)シティと呼ばれるスラム街だった。
蒼衣はどんどん進んでいき、1つの大きな門の前に立った。「ここだ。お前、状況は知っているか?」
「『夜明け』なんてこなくて良いじゃない。」
「やっぱり分かってねえ。」
そこから蒼衣は説明した。時々お前は馬鹿だのお嬢様の世間知らずだの混じえながら。
今「夜」が永遠のものとなっていること。「夜明け」が失われたら植物が育たず、食べものが食べられないこと。そして、「夜」が永遠のもののままだと、蒼衣-ダイトフーチャーと言われる者たち-は生を終えてしまう可能性があること。実は蒼衣は太陽が出ていないと能力を発揮できず、能力を発揮しない時間が137時間以上になると衰弱していくのだ。
「それで、ここは、、『夜明け』を永遠のものにした異能者のアジト。」
「夜明け」を永遠のものにした異能者、俺は take nights と呼んでいるが、そいつが1つの街をつくっているとは俺も驚いた。と言い、
「じゃあ行くぞ。」
「嫌だ。」
有無を言わせぬ蒼衣の態度に、いつも通りの紗衣華。
「俺が行くにはお前の能力(ちから)が必要なんだ。」
女子を落とすような決め台詞に、紗衣華はしぶしぶ歩を進めた。

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Metallevma:ネコメとクリスの小さな宇宙~眠る雷神~ その⑧

電撃を食らったクリスタルは大きく仰け反り吹き飛ばされたが、ネコメを助け起こした時から手を握り合ったままだったこと、そして、後頭部の水晶柱が世界の『境界面』を直撃したことで、その場から大きく後退することは無かった。
代わりに水晶柱が虚空に衝突すると同時にひび割れを発生させ、発生した穴に二人の身体が吸い込まれる。
「だッ、逃げンなガキ共!」
ライトニング・クォーツは二人に向けて電撃を放ったが、2つの世界の境界上で弾かれるようにかき消され、2人には届かなかった。
淀んだ空間を二人は落ち続け、遂に落下した場所は庭園の一角、小さな池の畔だった。
「……助かったのかな?」
「にゃっ」
「ありがとね、クリスチャン。立てる?」
「たてにゃい……」
「だろうね、ボクも身体がまだ痺れてるもの……」
2人が電撃のダメージで転がったまま動けないでいると、ガーデン・クォーツがやって来て二人を見下ろしながら話しかけてきた。
「……驚いたな。まさか生きて戻ってくるとは」
「およ、ガーデンのひと。たすけて、動けないの」
「ワタシの言うことを聞かなかった罰と思ってしばらくそのままでいろ。外に放り出すくらいはしてやる」
「うげぇ助かりマス……」
未だ動けない状態の二人を抱え、ガーデンはその場を離れて庭園の外に二人を放り出した。
「動けるようになったらすぐ帰れよ。ワタシは封印の確認をしなければならないんだ。これ以上手間をかけさせるなよ」
「あい了解……」

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Metallevma:ネコメとクリスの小さな宇宙~眠る雷神~ その⑦

「……そうかい」
ライトニング・クォーツは落胆したように肩を落とし、何気ない所作で二人に片手を向けた。
「聞いてくれると、嬉しかったんだがなァ」
ライトニング・クォーツの言葉と同時に、二人の間を電撃が走り抜けた。
「言うたろ、雷神様ッてよ。ここまでノコノコ来た時点で、お前らァ儂に従うか死ぬしか無ェんだぞ?」
「……だってよ、クリスチャン。どうする?」
ライトニング・クォーツを見つめたまま、ネコメが尋ねる。
「んにゃぁー……やー……」
電撃がぶつかった足下を見ながら、クリスタルが反応する。
「ふーむ……今、見えてる?」
「みえてる」
「オーケイ」
じりじりと後ずさるクリスタルの足元に、牽制するように電撃がぶつかる。
「オイオイお前さんら、こんな目の前で逃げようって腹づもりかイ? 言っておくがなァ、儂の電撃は相当な速度でお前さんらを殺せるぞ? 核程度なら容易く焼き砕ける」
「……いやァー、逃げようだなんてそんなもんじゃァ無いやい」
クリスタルを庇うように数歩前に踏み出したネコメの胸の辺りに、電撃が直撃する。
「ぐぇっ」
「何を企んでいるのか知らんが……ガキ一人で儂の異能を止められると思うなよ?」
「痛てててて……止めようとか、クリスチャンだけ逃がそうとか……そんなんじゃないノヨ、雷神様……」
クリスタルが倒れ込んだネコメに心配そうに駆け寄り、抱き起す。
「あー、大丈夫、ダイジョウブよクリスチャン。熱くて痛くて痺れてるだけだから……」
「んにゃぇ、そーゆーのダイジョブくないっていうの……」
「そうかな、そうかも?」
2人の様子を眺めていたライトニング・クォーツが、不意に電撃をクリスタルに向けて放った。
「……ボクらの『勝ち』ですぜ、雷神様」
ネコメが呟いた。

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Metallevma キャラ紹介④

・トロイライト
鉱石:鉄隕石  核:右手と一体化した流星刀の刀身
能力:高威力・長射程の斬撃を放つ
能力の由来:『流星刀』とかいう実在するクソかっこいい武器と隕石の持つエネルギーの大きさから。
『隕鉄一派』の一員にして大幹部三人衆の3番手。“流星刀”の異名を持ち、自身の核を加工した武器を用いて強力な斬撃を放つ。その一撃は、刀が僅かに前方に触れただけで数十m先まで届き、その根元から先端まで鋼鉄でも容易く斬り裂けるほどの威力を持つ。

・テーナイト
鉱石:鉄隕石  核:下半身の大部分を飲み込んだ形の八面体の金属結晶
能力:鉄隕石を狙った場所に落下させる
能力の由来:“天鉄刀”とかいう実在するクソかっこいい武器。シンプルに隕石。
『隕鉄一派』の一員にして大幹部三人衆のトップ。“天鉄刀”の異名を持ち、下半身の代わりに巨大な鉄の結晶が生え、磁力反発によって空中浮遊している。
能力は隕鉄の塊を狙った場所に落下させるもので、落下時の衝撃は操作可能。衝撃波で破壊を起こすのは“天鉄刀”の名に恥じるとしてあまり好んでいない。隕鉄そのものが対象を破壊してくれなくてはと思っている。軽減された衝撃のエネルギーはテーナイト自身に吸収され。磁力浮遊のための電磁力を生み出すエネルギーに変換されるので無駄が無い。

・カマサイト
鉱石:鉄隕石  核:頭部から生えた角のような隕鉄刀の刃
能力:自身の持つエネルギーを刃に触れたものに全て伝える
能力の由来:“隕鉄刀”とかいう実在するクソかっこいい武器と隕石が与える被害の甚大さ。
『隕鉄一派』の一員にして大幹部三人衆の2番手。“隕鉄刀”の異名を持ち、蹄を模したサボ(木靴)と前脚を模した杖というか籠手というかな感じの武装、背面が重厚に補強された金属鎧を身に付けており、その姿はリノセラス(犀)のようでもある。能力は突進や落下によって生じる運動エネルギーや位置エネルギーの全てを、額の隕鉄刀を通して衝撃として伝える能力。対象は固体または実体のあるものに限られる。受けたダメージすら隕鉄刀を何かに当てておけば回避できる。唯一の弱点は、能力を発動するとその性質上、動きが完全に停止してしまうこと。

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Metallevma:ネコメとクリスの小さな宇宙~眠る雷神~ その④

「そっかー残念」
無感情に呟き、ネコメはクリスタルに目をやる。
「クリスチャン」
「んっ、んぅー……りゃっ!」
ネコメに声を掛けられ、クリスタルは軽く頷いた後、大きく勢いをつけて重心を後方に移動させた。無抵抗のネコメの身体もそれに釣られて、仰向けに地面に倒れ込む。
クリスタルの後頭部に生える欠けた水晶柱が地面に衝突すると同時に、地面に板ガラスが割れた痕のような罅と穴が生じ、2人の身体はその中へ吸い込まれていった。
「…………⁉ 馬鹿な、何が起きたッ⁉」
ガーデン・クォーツも穴に駆け寄るが、中に見えるのは禍々しく淀んだ虚空のみで、二人の姿は既にどこにも見えない。
不意に気配を感じ、ガーデン・クォーツは咄嗟に頭を上げ、庭園に建つ社の方に目をやった。
そこには、並んで社を観察するネコメとクリスタルの姿があった。
「おい馬鹿共、そこを離れろ! 冗談抜きに死ぬぞッ!」
慌てて二人を呼び戻そうとするが、二人はガーデン・クォーツに対して手を振るばかりで、従う気配が全く見られない。
「クソ、馬鹿共が……ワタシはもう知らん! 精々死なんでくれよ!」
ガーデン・クォーツの捨て台詞に親指を立て、ネコメとクリスタルは社の戸を開け、内部に侵入してしまった。

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Metallevma キャラ紹介②

・アメシスト
鉱石:アメシスト  核:左のこめかみから頬にかけて線状に走る紫水晶の筋
能力:感覚の鋭敏化・鈍化
能力の由来:『酒に酔わない』の意味を持つアメシスト。アメシストの能力は、アルコールの中毒症状に飲まれる事無く、逆にそれによって引き起こされる感覚の鈍化と過敏化を自在に引き起こす。
クォーツ族の戦士。ルチルとは相棒の関係で完全に信頼しきっており、万が一共に戦うことになれば、死角への注意が完全に無くなる。知覚能力を鋭敏化し、恐怖や自衛本能を鈍化させることで発揮される高い格闘能力は、クォーツ族はおろか周辺の他部族でも勝てる者がいないほど。能力の使い方ゆえに負傷することも多い。
シトリンに憑依してもらうと壊れない上に拡張性が極めて高い身体が手に入るのでとても強いのだが、アメシストは身体の部位が少ない状態での戦闘には慣れていても多い状態での戦闘には慣れていないので、必然的に部位欠損を補う形で能力を発動する外無く、条件を満たしにくいという事情もあり、”バーント”は飽くまでも最終兵器。戦士の人手が足りなさ過ぎて基本的にソロで戦うことが多い。

・シトリン
鉱石:シトリン・クォーツ  核:額に2本生えた黄水晶の短い角
能力:親和性の高いメタルヴマに炎の形で憑依する
能力の由来:焼黄(やきき)から。焼黄とは人工的にシトリンを作り出す手法であり、紫水晶や煙水晶を加熱処理することで、その色を黄水晶のようにすることができるそうな。紫水晶由来だと「バーント・アメジスト」、煙水晶由来だと「バーント・スモーキークォーツ」というらしいですよ。
クォーツ族の護衛官。能力は自身を黄金色の炎に変え、仲間に憑依するというもの。炎は対象の部位欠損を補い、実体としてシトリン自身または憑依対象の意思のままに動く。ある程度の親和性が必要で、現状能力が適用されるのはアメシストとスモーキー、モリオンの3名のみ。ルチルのことを苦手に感じており、それとよく一緒にいるアメシストのことも警戒している。
アメシストに憑依した時の強さは本当に凄まじいのだが、では何故最強コンビがシトリン&アメシストではないのかというと、シトリンが戦闘力が低いにも拘らず重要度の高いスモーキーの護衛に就かなければならないこと、シトリンの能力では、実質的な人手が二人分にはなれないことが理由。